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暴力と弱さの間で葛藤する人間。ハーベイ・カイテルが怪演。宗教的テーマか。

「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト 無修正 HDリマスター版」
1988年、ニューヨークのブロンクス。警部補LT(ハーヴェイ・カイテル)は今朝も車中から二人の息子を見送りながら、目覚めのコカインを吸う。今日最初の事件は被害者二名の殺人事件。現場を離れコーヒーを買いに行くと、駐車場泥棒を見かけるが無視。次の事件は薬物売人グループの追跡。LTは売人をアパートの上階に追い詰めるふりをして、別の事件で入手した薬物を与え、自分のために取っておいた薬物を吸う。売人は数日内に薬物を売却し、売上金の一部をLTに渡すことを約束する。その頃、修道女(フランキー・ソーン)が教会で二人の若い不良からレイプされる事件があり、犯人逮捕の賞金は5万ドルとされる。LTは病院で医師の診断を受ける修道女を覗き見るが、彼女は犯人を恨まないとし、事件により神のご加護を受ける機会を得たと語る。翌朝、LTはテレビでメッツvs.ドジャースのリーグチャンピオンシップシリ
ーズで、自分が賭けていたドジャースが負けたのを見てがっくりするが、次の試合で掛金を倍にして取り戻そうとする。メッツは最初三連敗し、彼はドジャースの勝利を確信していのだ。今度の掛金は持ち金以上の3万ドル。彼の薬物使用および飲酒はさらにひどくなり、行動は制御不能に。他の事件現場で薬物を見つけてスーツのポケットに隠す。しかし注意力減退により薬物を路上に落とし、同僚は訝るが、彼は証拠として提出するつもりだったと嘘をつく。彼は掛金をさらに倍の6万ドルにする。ノミ屋は忠告するが、LTはこれまで三連敗したチームが優勝したことはないと言う。彼の犯罪行為は悪化し、親の車でクラブに行こうとした若い女性二人を路肩停車させ、猥褻行為を強要する。メッツが勝ち、彼は掛金をさらに倍にしようするが、ノミ屋はLTが胴元から殺害される恐れがあるとし、12万ドルの掛金は自殺行為だとして拒否、LTは胴元に掛金を告げる。飲酒運転をしながら試合結果を聴
くが、ドジャースが負け、カーラジオを銃で撃つ。やがて、売人から売上金のうち3万ドルを回収する。彼は修道女がレイプされた教会へ行くと、彼女が祭壇の前で跪いて祈っていた。彼は、もし彼女が犯人が誰か知っているのであれば、代わりに彼らを殺すと言うが、彼女はもう忘れたと繰り返し、祭壇の前に跪く、LTを残して去り、、LTは精神的に不安定になる。彼は祭壇の十字架に貼られたキリストを見て涙しながら罵声を浴びせ、最終的に自分の弱さを懺悔して罪の許しを請う。キリストの足元に這っていき、血まみれの足にキスをして顔を上げると、それはキリストではなく聖杯を持った近所の黒人女性だった。彼女は、LTに、夫の質店に二人のレイプ犯が聖杯を質入れしたのだと語る。LTはレイプ犯二人を追跡して発見し、二人を手錠で繋ぐ。彼らに銃口を向けつつ、メッツが歴史的大逆転をし優勝するところをテレビで見ながら三人で次々とコカインを吸う。そして、彼らをバスターミナルに連れて行き、二度とニューヨークに戻ってくるなと語り、3万ドルが入ったシガーボックスを持たせてバスに乗せる。二人をバスで逃がした後、泣きながら車を走らせ、道路で止まると、別の車が横づけし「おい、警官」と声を掛け、雑踏の中に銃声が二発響く。LTの車の周りに人が群がっていく―。
アメリカ・インディーズ映画界の鬼才と言われるアベル・フェラーラの1992年公開作で、ニューヨークを舞台に、暴力と弱さのあいだで葛藤する人間と都市の暗部を描いた人間ドラマです。1992年のカンヌ国際映画祭で上映されるも、ショッキングな描写や内容から賛否を呼んだそうです。2024年に本邦でリバイバル上映されました。
「ルーテナント(Lieutenant)」=「副官」「補佐官」はここでは警部補の意味であり、「バッド・ルーテナント」は悪徳刑事ということですが、そえを絵に描いたような堕落した主人公LTを、「ピアノ・レッスン」(墺・ニュージーランド・仏)、「スモーク」('95年/米)のハーベイ・カイテルが怪演しており、特に素っ裸でラリっているシーンは強烈な印象を残しました。
しかしながら、内容的には哲学的とも言える問い掛けがあるものになっています。ハーベイ・カイテル演じる主人公が、酒とドラッグの日常に溺れながらも、最後に信仰らしきものを持つ(犯罪者に"赦し"を与える)のは、それなりに説得力があったように思います(主人公は、自分がカトリックであることを認めており、子供たちもカトリック系の学校 に通わせていた。ただし、今は信仰とは程遠い生活ぶりだった)。主人公は存在となる最後の信仰に辿り着いたことでキリスト者になり得たのか。でも、あっさり殺されてしまう。それが、彼の贖罪だったのか。
公式リーフレットによると、そもそもこの映画は1982年にスパニッシュ・ハーレムで起きた尼僧強姦事件と、その事件解決のために教会だけでなく一般市民からも懸賞金の寄付が募られ、犯人がすぐ捕まったという出来事からインスパイアされたもので、共にカトリック教徒であるアベル・フェラーラ監督と女優のゾーイ・ルンドの共同脚本です(実質彼女が脚本の殆どを書き、撮影現場でもリライトをしながら出演していたようだ)。
アベル・フェラーラ監督はその後仏教徒になったそうですが、それを聞くと、親鸞の「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という言葉がこの映画から思い出されます。

一方のゾーイ・ルンドは、ミュージシャン、モデル、女優、作家、脚本家、政治活動家、プロデューサーと多彩な活動をしながらも、1999年にパリで麻薬中毒による心不全で37歳で死去しています。この映画でハーベイ・カイテルがラリっているシーンが強烈な印象を残すのは、脚本家にそうしたバックグラウンドがあったからというのもあるかもしれません。

「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト」●原題:BAD LIEUTENANT●制作年:1992年●制作国:アメリカ●監督:アベル・フェラーラ●製作:エドワード・R・プレスマン/マリー・ケイン●脚本:ジゾーイ・ルンド/アベル・フェラーラ●撮影:ケン・ケルシュ●音楽:ジョー・デリア●時間:96分●出演:ハーヴェイ・カイテル/ゾーイ・ルンド/フランキー・ソーン/ヴィクター・アルゴ/ポール・カルデロン/ レナード・トーマス/ロビン・バロウズ /ヴィクトリア・バステル●日本公開:1994/06●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:早稲田松竹(24-05-28)((評価:★★★☆)併映:「レザボア・ドッグス」(クエンティン・タランティーノ)

満月の夜、女優を夢見るマムラカット(チュルパン・ハマートヴァ)は森で舞台俳優と名乗る男に声をかけられて互いに結ばれ
る。その後体の変調に気づいたマムラカットは村の医師を訪ねたものの、医師は流れ弾に当たって死ぬ。仕方なく父親(アト・ムハメドシャノフ)に妊娠を打ち明けるが、激怒した父親は戦争で精神を病んだ息子ナスレディン(モーリッツ・ブライプトロイ
)と彼女を引き連れて相手の男捜しに東奔西走。道中、困窮した状況を察したマムラカットは、売血を試みるが、ひょんなことから何もせずに金を貰えることに。村に帰ると、父親がわからない子を妊娠した彼女への村人からの罵倒が絶えず、一人村を出て列車に乗り込むマムラカットは、車内で売血の際に会った男と再会する。将来を悲観したマムラカットにその男は結婚を申し
出る。そして結婚式。だが晴れの舞台は一転し、新郎と父親の頭上に何故か空から牛が降ってきて直
撃、二人は湖にら落下して溺死するという悲劇に。後に月夜の男が判明。しかし、その男は、飛行機から牛を突き落とした男でもあった。怒ったマムラカットがその男に銃口を向けると、男は恐怖のあまり昏睡状態になる。兄ナスレディンは村人たちの怒号に追い詰められた妹のマムラカットを石垣の上に建つ家に逃す。するとその家の天井についた扇風機がプロペラとなり―。
「ルナ・パパ」は、バフティヤル・フドイナザーロフ監督による1999年公開のファンタジックなドラマ。1999年の東京国際映画祭で上映され、「最優秀芸術貢献賞」を受賞した作品です。キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの三か国の国境が接する地域(グーグルマップで見ると、この辺りは国境が入り組んでいて、確かに作品に出てきた大きな湖もある)に3.5キロメートルにも及ぶ広大なセット建てて撮られた作品そうで、吹きさらしの荒野、西部劇みたいな舞台は、無声映画時代の(「
出てくる人びとが皆何かにつけて"過剰"で、予想だにつかないことが次から次へと起き、まったく先が読めない展開で飽きさせませんでした。終盤は、風刺の色合いを強めるとともに、一気にファンタジスティックな展開へ。でも、一方で、そ
こまでにリアリズムを積み上げているから、それだけファンタジーの効果があるのでしょう。ラスト、「心の狭い人たちよ、さようなら」と語り手の「(母親の胎内にいる)ボク」は言い残して、「家」は、「天空の城 ラピュタ」の如く舞い上がります。
真摯なヒロインのマムラカット(「大地」「祖国」という意味らしい)を演じたソビエト連邦生まれのロシアの女
優チュルパン・ハマートヴァが良く、彼女はその後、ヴォルフガング・ベッカー監督の「グッバイ、レーニン!」('03年/独)や、2021年のカンヌ国際映画祭に出品されたキリル・セレブレニコフ監督の「インフル病みのペトロフ家」(露・仏・スイス・独)などにも出演。2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した際にはラトビアに滞在しており、戦争に反対する請願に署名。その後ロシアへの帰国を断念し、3月20日に亡命を決断したことを公表しています。
「ルナ・パパ」●原題:LUNA PAPA●制作年:1999年●制作国:ドイツ・オーストリア・日本●監督:バフティヤル・フドイナザーロフ●製作:カール・バウムガートナー/ ヘインツ・ストゥサック/ イーゴリ・トルストノフ/トマス・コーファー/フィリップ・アブリル●脚本:バフティヤル・フドイナザーロフ/イラー・クリナザーロフ●撮影:マーティン・グシュラハト/ドゥシャン・ヨクシモビッチ/ロスチスラフ・ピルーモフ●
音楽:ダーレル・ナザーロフ●時間:108分●出演:チュルパン・ハマートヴァ/モーリッツ・ブラウプトロイ/アト・ムハメドシャノフ/ポリーナ・ライキナ/メラーブ・ミニッゼ●日本公開:200/07●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-04-04)((評価:★★★★)
内戦状態にある中央アジア・タジキスタンの首都ドゥシャンベで、ロープウェイの操縦士として働く青年ダレル(ダレル・マジダフ)。一方、モスクワから久々にドゥシャンベに帰ってきた女性ミラ(パウリーナ・ガルベス)は、父が
賭博で作った借金のかたにされてしまう。街で銃声が鳴り響く中、都会的なミラに一目惚れしたダレルは彼女の愛を獲得するべく突き進むが―。
1993年公開のタジキスタンのバフティヤル・フドイナザーロフ監督(1965-2015/49歳没)作で、長編デビュー作「少年、機関車に乗る」('91年/タジキスタン・ソ連)で国際的に注目された同監督の長編第2作であり、内戦下のタジキスタンを舞台に若い男女の不器用な恋の行方を綴ったラブストーリー。1993年・第50回「ヴェネツィア国際映画祭」で銀獅子賞を受賞しています。
因みにタジキスタンは、1991年のソ連の崩壊でタジキスタン共和国として独立したのですが、独立直後から共産党勢力とイスラム勢力の内戦状態が長く続き、最終和平合意が成立したのは1997年6月で、この間、内戦により約6万人が死亡したと言われています。
タイトルの「コシュ・バ・コシュ」は、タジクの賭博用語で"勝ち負けなし"という意味だそうで、ここでは主人公の青年の恋模様を象徴していると思われます。一方の、主人公の女性は
、最後に「父の死」という哀しい思いをすることになりますが、気づいてみれば、そうした辛いことばかりではなかったことが示唆されています(彼女にとっても"勝ち負けなし"か)。ということで、一応はアンハッピーエンドな面もありながら、ハッピーエンドでもあると言えるのですが、実態としては結局父親の負債は、それを肩代わりした青年に引き継がれているだけなので、これから先も二人は大変だなあと(この青年もギャンブルで取り返そうと考えているところからすると依存症? かつての賭博仲間が誰も相手にしてくれないのは、誰もがトラブルに巻き込まれたくないからか)。
冒頭の女性の父親らが賭けをやる場面が迫真の演技で、この監督の演出力にただならぬものを感じました。青年の飄々とした雰囲気も良かったです。でも、将来がちょっと心配(笑)。砲火の音が響く一方で(実際に撮影の後半は内戦が激化した時期だったとのこと)、淡々と続く人々の生活を牧歌的なムードの中に描き、戦時下での恋、ロープウェイでのデートと、"愛は時や場所を選ばず"という主題を上手く浮き彫りにしていたように思います。
撮影に使われたロープウェイは、グーグルマップで検索すると今もあるみたいですが、観光用で使われているのかどうかはよくわかりません(そう言えば、この映画では、ロープウェイで干し草とか運んでいたけれど、観光客らしきはまったく出てこなかった)。個人的には、前エントリーで取り上げた「
「コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って」●原題:KOSH BA KOSH●制作年:1993年●制作国:タジキスタン●監督:バフティヤル・フドイナザーロフ●脚本:バフティヤル・フドイナザーロフ/レオニード・マフカーモフ●撮影:ゲオルギー・ザラーエフ●音楽:アフマド・バカエフ●時間:96分●出演:パウリーナ・ガルベス/ダレル・マジダフ/ボホドゥル・ジュラバエフ/アルバルジ・バヒロワ/ナビ・ベグムロドフ/ラジャブ・フセイノフ/ズィーズィデン・ヌーロフ●日本公開:1994/08●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-04-02)((評価:★★★★)


「四月十六日の朝、医師ベルナール・リウーは、診察室からでかけようとして、階段口のまんなかで、一匹の死んだ鼠につまずいた」―。アルベール・カミュが第二次大戦後まもない1947年に発表した小説で、194X年のアルジェリアの人口二十万人の港町オランが舞台(オランはアルジェリア北西部に位置する同国第二の人口(2008年現在683,000人)を持つ都市で、観光名所である)。大流行する感染症のペストに対して、人々が何の手も打てず、死者が増え続ける。絶望の淵で、思想も立場も異なる人たちが手を携え感染症という不条理に抗う様子を描いています。
このカミュの『ペスト』は、新型コロナウイルスが猛威を奮う中で空前のヒットとなった作品でもあります。新潮文庫版は2020年だけで過去の販売総数を超えてしまったといい、岩波文庫(三野博司:訳)や光文社古典新訳文庫(中条省平:訳)でも新訳が刊行され、中条省平氏監修の『

このカミュの『ペスト』も、1992年に「プレイグ」(plague、ペストの英語表現)として映画化されています。舞台を現代の南米の架空の小都市(市の名前は原作と同じ)に移し、エイズをはじめとする時代状況の変化に即した新たな解釈が付け加えられていますが、原作にほぼ忠実に映像化されていると言えます。監督・脚本はアルゼンチン・ブエノスアイレス出身のルイス・プエンソ。音楽は、「炎のランナー」「ブレードランナー」などのヴァンゲリス。出演はウィリアム・ハート(リウー医師)、ロバート・デュヴァル(グラン
ト老人・原作の喘息病みの爺さんに相当する役か)ほか、「

の意図した事が不明瞭なまま雰囲気だけ盛りたてて先に進んでしまう、かなり一人よがりな印象も。やはり、原作の不条理的テーマというのは映画では伝わりにくいものだったかもしれません(あらすじを再確認するにはまずまずだった)。
サンドリーヌ・ボネール 

「アダムス・ファミリー」●原題:THE ADDAMS FAMILY●制作年:1991年●制作国:アメリカ●監督:バリー・ソネンフェルド●製作:スコット・ルーディン●脚本:キャロライン・トンプソン/ラリー・ウィルソンソ●撮影:オーウェン・ロイズマン●音楽:マーク・シャイマン(主題歌:M.C.ハマー)●原作(キャラクター創造):チャールズ・アダムス●時間:100分●出演:アンジェリカ・ヒューストン/ラウル・ジュリア/クリストファー・ロイド/クリスティーナ・リッチ/ジュディス・マリナ/ダナ・アイヴィ/カレル・ストルイケン/ダン・ヘダヤ/ポール・ベネディクト/エリザベス・ウィルソン/ジョン・フランクリン●日本公開:1992/04●配給:COLTRI(コロンビア・トライスター映画)(評価:★★☆)
「アダムス・ファミリー2」●原題:THE ADDAMS FAMILY VALUES●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:バリー・ソネンフェルド●製作:スコット・ルーディン●脚本:ポール・ラドニック●撮影:ドナルド・ピーターマン●音楽:マーク・シャイマン(主題歌:Addams Family (WHOOMP!))●原作(キャラクター創造):チャールズ・アダムス●時間:94分●出演:アンジェリカ・ヒューストン/ラウル・ジュリア/クリストファー・ロイド/ジョーン・キューザック/クリスティーナ・リッチ/キャロル・ケイン/ダナ・アイヴィ/ジョン・フランクリン/ジョーン・キューザック/メルセデス・マクナブ/デヴィッド・クラムホルツ/ピーター・マクニコル/クリスティーン・バランスキー/ネイサン・レイン/トニー・シャルーブ/シンシア・ニクソン/デヴィッド・ハイド・ピアース/バリー・ソネンフェルド●日本公開:1993/12●配給:ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ(評価:★★☆)
南米の小都市オラン。政局が混乱し、特別警戒体制にあるこの地を取材すべく、フランスのテレビ局からカメラマンのタルー(ジャン=マルク・バール)とニュースキャスターのマルティーヌ(サンドリーヌ・ボネール)が訪れていた。マルティーヌはある時、ホテルのエレベーター内で鼠を見つけ、まもなく泡を吹いて死んだのを目撃する。やがて激しい悪寒と嘔吐の末に死ぬ人々が続出し、オランの街は静かな死の恐怖に包まれた。医師のリウー(ウィリアム・ハート)は、早くからそれをペストによるものだと判断。ペスト発生のニュースを隠すよう要請する市行政部の意見に真っ向から反対し、軍隊を呼んで街を閉鎖すべきだと主張する。街は完全に封鎖され、タルーは特ダネのチャンスだと意気込むが、恋人をパリに残すマルティーヌは街から脱出しようと決心する。彼女はその工作のため、暗黒街とつながりのある男コタール(ラウル・ジュリア)と接触する。その間にも犠牲者は増え続け、3人は罪なき聖歌隊の少年が、死の床で短い命を散らすところに立ち会った。教会で人々の改悛を説いていたパヌルー神父は、この不条理な死を受け入れがたく、苦悩した末にペスト患者の死体を埋葬する穴に赴き、自らの体を横たえる。さらにリウーの友人で気のいい老役人グラント(ロバート・
デュヴァル)も病に倒れ、マルティーヌはベッドに横たわる瀕死の彼を見舞う。タルーとマルティーヌは街に残り、ボランティアとしてリウーに協力した。だが、マルティーヌは隔離所に収容されてしまい、タルーは自分がペストに罹ったことを知る。やがてペストの猛威も終息に向かう。グラントは一命を取り留め、タルーも快方に向かい、マルティーヌも隔離所から開放された。オランの人々が笑顔を取り戻した頃、狂気にとらわれたコタールが部屋に立て籠り、「ペストはまだ終わっていない、いつかまたやって来るぞ」と叫び、通りに向けて無差別に発砲した。リウーが説得に当たったが、群衆を守ろうとしたタルーが撃たれた。リウーは瀕死の彼を抱いて泣いた。


この作品は「
映画は劇場未公開で、80年代に日
本語ビデオが「パワースポーツ企画販売」という主としてグラビア系映像ソフトを手掛ける会社から「サイコティック」というタイトルで発売(年月不明)され、こうした会社からリリースされたのは、テイラーの乳首が透けて見えるカットがあるためでしょうか("色モノ"扱い?)。'20年5月にDVDの海外版が再リリーズ、'22年12月VOD(動画配信サービス)のU-NEXTで日本語字幕付きで配信されました。
ではないでしょうか。一部改変されていて、リズが当初からインターポールにマークされている設定になっていますが(ただしその理由は最後まで明かされない)、これは、映画の脚本にも参加したミュリエル・スパークがインターポールに勤務したことがあるという経歴の持ち主のためでしょうか(アンディ・ウォーホルが出演している)。
エリザベス・テイラーは体当たり的にこの難役に挑んでいますが、役が役だけに、また、ましてやオチが不条理オチだけに、評判はイマイチだったようです(彼女の生涯最悪の映画とも言われているらしい)。
また、「嘱託殺人」を選んだのは、主人公がカソリックで、自殺が禁じられていることも理由として考えられるように思いました(自分を殺す際に手足を縛ることまで要求したのは、あくまでも殺人だと印象付けるため)。
「サイコティック」●原題:IDENTIKIT(英:DRIVER'S SEAT/伊:SMRT U RIMU)●制作年:1974年●制作国:イタリア●監督:ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ●製作:フランコ・ロッセリーニ●脚本:ラファエル・ラ・カプリア/ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ/ミュリエル・スパーク●撮影:ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:フランコ・マンニーノ●時間:105分●出演:エリザベス・テイラー/イアン・バネン/グイード・マンナリ/モナ・ウォッシュボーン/アンディ・ウォーホル●配信:2022/12●配信元:U-NEXT(評価:★★★★)


第1章のミニシアターというものが未知数だった「80年代」のトップは新宿「シネマスクエアとうきゅう」(81年12月、歌舞伎町「東急ミラノビル」3Fにオープン)。企業系ミニシアターの第1号で、1席7万円の椅子が売り物でした。柳町光男のインディペンデント作品「
が16週上映(コピーは"中世は壮大なミステリー"。教養映画風だが実はエンタメ映画)、今で言うストーカーが主人公で、買い手がつかなかったのを買い取ったというパトリス・ルコントの「
六本木「俳優座シネマテン」(81年3月、「俳優座劇場」内にオープン)の「テン」は夜10時から映画上映するためだけでなく、ブレイク・エドワーズのコメディ「テン」(79)から
とったとのこと。トリュフォーの、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女アデルの狂気的な恋の情念を描いた「アデルの恋の物語」(75)はここでした。ルキノ・ヴィスコンティが看板監督で、「地獄に堕ちた勇者ども」(69)や「
81年オープンのもう1館は、渋谷「パルコ・スペース・パート3」。ヴィスコンティの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(43)(ヴィスコンティの処女作。原作はアメリカのハードボイルド作家ジェームズ・M・ケイン。映画での舞台は北イタリア、ポー河沿いのドライブイン・レストランに。ファシスト政権下でオールロケ撮影を敢行した作品)、「
行機でやってきて、ホテルに泊まり1週間通い詰めた人もいたとのこと。カルトムービーとインディーズのメッカでもあり、日本では長年オクラだった「ピンク・フラミンゴ」(72)は、86年に初めてここで正式上映されたとのこと、個人的には84年に「アートシアター新宿」で観ていましたが、その内容は正直、個人的理解を超えていました。99年に映画常設館「CINE QUINTO(シネクイント)」となり、これは第2章で「シネクイント」として取り上げられています。個人的には、初期の頃観た作品では、フランスの女流監督コリーヌ・セローの「彼女と彼たち-なぜ、いけないの-」(77)、チェコスロバキアのカレル・スミーチェクの「少女・少女たち」(79)、台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の「
「シネヴィヴァン六本木」(83年11月「WAVEビル」地下1階にオープン)は、オープン2本目でゴッドフリー・レジオ監督の「コヤニスカッティ」(82)を上映、アメリカの大都市やモニュメントバレーなどを映したイメージビデオ風ドキュメンタリー。コヤニスカッティとはホピ族の言葉で「平衡を失った世界」。延々と続いた早回しシーンがスローモーションに転じた途端に眠気に襲われました。アンドレイ・タルコフスキー監督の「ノスタルジア」(83)が84年に7週間上映、ビクトル・エリセ監督の「
監督の「
「ユーロスペース」(82年、渋谷駅南口桜丘町「東武富士ビル」2Fにオープン)は、85年6月のデヴィッド・クローネンバーグ監督の「
ーヴン・キング原作の「
「シャンテ・シネ」(87年、日比谷映画跡地にオープン)は、今の
「TOHOシネマズ シャンテ」。ここの大ヒット作は何と言っても88年公開の「ベルリン・天使の詩」(87)で、30週のロングランという単館ロード全体の記録を打ち立てたとのこと(動員数は16.6万人)。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の「
「シネスイッチ銀座」(87年にオープン)は、個人的には前身の「銀座文化劇場・銀座ニュー文化」さらに「銀座文化1・2」の頃から利用していましたが、"シネスイッチ"は、洋画と邦画の2チャンネルを持つという意味でのネーミングだそうで、ジェームズ・アイヴォリーの「
第2章のブームの到来の「90年代」のトップは渋谷「シネマライズ」(86年6月、渋谷 スペイン坂上「ライズビル」地下1階にオープン)。劇場の認知度を上げたのは86年7月公開のトニー・リチャードソンの「
2011年に閉館した「シネセゾン渋谷」 (85年11月、渋谷道玄坂「ザ・プライム渋谷」6Fにオープン)はリバイバル上映に個性があり、市川崑の「
「ル・シネマ」(89年9月、渋谷道玄坂・Bunkamura6階にオープン)の方は東急系で、92年にかけられたジャック・リヴェット監督(原作はバルザック)のフランス映画「
主演の「花の影」(96)も17週上映、今世紀に入ってからは、張藝謀(チャン・イーモウ)監督、チャン・ツィイー主演の「
「恵比寿ガーデンシネマ」(94年10月、恵比寿ガーデンテラス弐番館内にオープン)は、ポール・オースター原作、ウェイン・ワン監督の、ニューヨークのタバコ屋の人間模様を描いた「スモーク」(95)のような渋い作品をやっていました。個人的には、ロイ・アンダーソンの「
第2章の最後は、「岩波ホール」(68年オープン、74年から映画常設館に)。サタジット・レイ「
4年2月にロードショー。4週間後にホールは満席になったといいます(因みに、サタジット・レイの「大地のうた三部作」のうち「大河のうた」は結末がハッピーエンドでないため、インドでも興行上は振るわなかった)。その後も、75年にルネ・クレールの「

「隣の女」●原題:LA FEMME DA'COTE(英:THE WOMAN NEXT DOOR)●制作年:1981年●制作国:フランス●監督:フランソワ・トリュフォー●製作:フランソワ・トリュフォー/シュザンヌ・シフマン●脚本:フランソワ・トリュフォー/シュザンヌ・シフマン/ジャン・オーレル●撮影:ウィリアム・ルプシャンスキー●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:107分●出演:ジェラール・ドパルデュー/ファニー・アルダン/アンリ・ガルサン/ミシェル・ボートガルトネル/ヴェロニク・シルヴェール/ロジェ・ファン・ホール/オリヴィエ・ベッカール●日本公開:1982/12●配給:東映ユニバースフィルム●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-10-01)(評価:★★★)●併映:「アメリカの夜」(フランソワ・トリュフォー)/「終電車」(フランソワ・トリュフォー)
「アメリカの夜(映画に愛をこめて アメリカの夜)」●原題:LA NUIT AMERICAINE(英:DAY FOR NIGHT)●制作年:1973年●制作国:フランス●監督・脚本:フランソワ・トリュフォー●製作:マルセル・ベルベール●撮影:ピエール=ウィリアム・グレン●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:115分●出演:ジャクリーン・ビセット/ヴァレンティナ・コルテーゼ/ジャン=ピエール・オーモン/ジャン=ピエール・レオ/アレクサンドラ・スチュワルト/フランソワ・トリュフォー/ジャン・シャンピオン/ナタリー・バイ/ダニ/ベルナール・メネズ●日本公開:1974/09●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-10-01)(評価:★★★☆)●併映:「隣の女」(フランソワ・トリュフォー)/「終電車」(フランソワ・トリュフォー)
「終電車」●原題:LE DERNIER METRO(英:THE LAST METRO)●制作年:1980年●制作国:フランス●監督:フランソワ・トリュフォー●製作:マルセル・ベルベール●脚本:フランソワ・トリュフォー/シュザンヌ・シフマン●撮影:ネストール・アルメンドロス●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:134分●出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ジェラール・ドパルデュー/ジャン・ポワレ/ハインツ・ベネント/サビーヌ・オードパン/ジャン=ルイ・リシャール/アンドレア・フェレオル/モーリス・リッシュ/ポーレット・デュボスト/マルセル・ベルベール●日本公開:1982/04●配給:東宝東和●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-10-01)(評価:★★★)●併映:「アメリカの夜」(フランソワ・トリュフォー)/「終電車」(フランソワ・トリュフォー)
「薔薇の名前」●原題:LE NOM DE LA ROSE●制作年:1986年●制作国:フランス・イタリア・西ドイツ●監督:ジャン=ジャック・アノー●製作:ベルント・アイヒンガー●脚本:アンドリュー・バーキン●撮影:トニーノ・デリ・コリ●音楽:ジェームズ・ホーナー●原作:ウンベルト・エーコ●時間:132分●出演:ショーン・コネリー/クリスチャン・スレーター/F・マーリー・エイブラハム/ロン・パールマン/フェオドール・シャリアピン・ジュニア/エリヤ・バスキン/ヴォルカー・プレクテル/ミシェル・ロンスダール/ヴァレンティナ・ヴァルガス●日本公開:1987/12●配給:ヘラルド・エース●最初に観た場所(再見):新宿武蔵野館(23-04-18)(評価:★★★)
「赤い影」●原題:DON'T LOOK NOW●制作年:1973年●制作国:イギリス・イタリア●監督: ニコラス・ローグ●製作:ピーター・カーツ●脚本:アラン・スコット/クリス・ブライアント●撮影:アンソニー・B・リッチモンド●音楽:ピノ・ドナッジオ●原作:ダフニ・デュ・モーリエ「いまは見てはだめ」●時間:110分●出演:ドナルド・サザーランド/ジュリー・クリスティ
/ヒラリー・メイソン/クレリア・マタニア/マッシモ・セラート/レナート・スカルパ/ジョルジョ・トレスティーニ/レオポルド・トリエステ●日本公開:1983/08●配給:ヘラルド・エース●最初に観た場所:新宿・シネマスクエアとうきゅう(83-09-11)(評価:★★★)
「マーラー」●原題:MAHLER●制作年:1974年●制作国:イギリス●監督・脚本:ケン・ラッセル●製作:ロイ・ベアード●撮影:ディック・ブッシュ●音楽:グスタフ・マーラー/リヒャルト・ワーグナー/ダナ・ブラッドセル●時間:115分●出演:ロバート・パウエル/ジョージナ・ヘイル/リー・モンタギュー/ロザリー・クラチェリー●日本公開:1987/06●配給:俳優座シネマテン=フジテレビ●最初に観た場所:新宿・シネマスクエアとうきゅう(87-06-21)(評価:★★★)
「ケレル(ファスビンダーのケレル)」●原題:QUERELLE●制作年:1982年●制作国:西ドイツ/フランス●監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー●脚本:
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー/ブルクハルト・ドリースト●撮影: クサファー・シュヴァルツェンベルガー/ヨーゼフ・バブラ●音楽:ペール・ラーベン●原作:ジャン・ジュネ『ブレストの乱暴者』●時間:108分●出演:ブラッド・デイヴィス/ジャンヌ・モロー/フランコ・ネロ/ギュンター・カウフマン/ハンノ・ポーシェル●日本公開:1985/05●配給:人力飛行機舎=デラ●最初に観た場所:新宿・シネマスクエアとうきゅう(88-05-28)(評価:★★★?)
「アデルの恋の物語」●原題:L'HISTOIRE D'ADELE H.(英:THE STORY OF ADELE H.)●制作年:1975年●制作国:フランス●監督・製作:フランソワ・トリュフォー●脚本:フランソワ・トリュフォー/ジャン・グリュオー/シュザンヌ・シフマン●撮影:ネストール・アルメンドロス●音楽:モーリス・ジョベール●原作:フランセス・ヴァーノア・ギール『アデル・ユーゴーの日記』●時間:96分●出演:イザベル・アジャーニ/ブルース・ロビンソン/シルヴィア・マリオット/ジョゼフ・ブラッチリー/イヴリー・ギトリス●日本公開:1976/04●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:大塚名画座(78-12-08)(評価:★★★★)●併映:「二十歳の恋」(フランソワ・トリュフォー/ロベルト・ロッセリーニ/石原慎太郎/マックス・オフュルス/アンジェイ・ワイダ)
「地獄に堕ちた勇者ども」●原題:THE DAMNED(独:Götterdämmerung)●制作年:1969年●制作国:イタリア・西ドイツ・スイス●監督:ルキノ・ヴィスコンティ●製作:アルフレッド・レヴィ/エヴェール・アギャッグ●脚本:ルキノ・ヴィスコンティ/ニコラ・バダルッコ/エンリコ・メディオーリ●撮影:アルマンド・ナンヌッツィ/パスクァリーノ・デ・サンティス●
音楽:モーリス・ジャール●時間:96分●出演:ダーク・ボガード/イングリッド・チューリン/ヘルムート・バーガー/ラインハルト・コルデホフ/ルノー・ヴェルレー/アルブレヒト・シェーンハルス/ウンベルト・オルシーニ/シャーロット・ランプリング/ヘルムート・グリーム/フロリンダ・ボルカン●日本公開:1970/04●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:大塚名画座(79-02-07)(評価:★★★★)●併映:「ベニスに死す」(ルキノ・ヴィスコンティ)
「カッコーの巣の上で」●原題:ONE FLEW OVER THE CUCKOO'S NEST●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:ミロス・フォアマン●製作:ソウル・ゼインツ/マイケル・ダグラス●脚本:ローレンス・ホーベン/ボー・ゴールドマン●撮影:ハスケル・ウェクスラー●音楽:ジャック・ニッチェ●原作:ケン・キージー『カッコウの巣の上で』●時間:133分●出演:
ジャック・ニコルソン/ルイーズ・フレッチャー/マイケル・ベリーマン/ウィリアム・レッドフィールド/ブラッド・ドゥーリフ/クリストファー・ロイド/ダニー・デヴィート/ウィル・サンプソン●日本公開:1976/04●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:テアトル吉祥寺(82-03-13)(評価:★★★★)●併映:「ビッグ・ウェンズデー」(ジョン・ミリアス)
「光と影のバラード」●原題:Свой среди чужих, чужой среди своих(英題:AT HOME AMONG STRANGERS)●制作年:1974年●制作国:ソ連●監督:ニキータ・ミハルコフ●脚本:エドゥアルド・ボロダルスキー/ニキータ・ミハルコフ●撮影:パーベル・レベシェフ●音楽:エドゥアルド・アルテミエフ●時間:95分●出演:ユーリー・ボガトィリョフ/アナトリー・ソロニーツィン/セルゲイ・シャクーロフ/アレクサンドル・ポロホフシコフ/ニコライ・パストゥーホフ/アレクサンドル・カイダノフスキー/ニキータ・ミハルコフ●日本公開:1982/10●配給:日本海映画●最初に観た場所:六本木・俳優座シネマテン(82-11-21)(評価:★★★☆)
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」●原題:OSSESSIONE●制作年:1943年●制作国:イタリア●監督:ルキノ・ヴィスコンティ●製作:カミッロ・パガーニ●脚本:ルキノ・ヴィスコンティ/マリオ・アリカータ/ジュゼッペ・デ・サンティス/ジャンニ・プッチーニ●撮影:アルド・トンティ/ドメニコ・スカーラ●音楽:ジュゼッペ・ロゼーティ●原作:ジェームズ・M・ケイン●時間:140分●出演:マッシモ・ジロッティ/クララ・カラマイ/ファン・デ・ランダ/ディーア・クリスティアーニ/エリオ・マルクッツォ/ヴィットリオ・ドゥーゼ●日本公開:1979/05●配給:インターナショナル・プロモーション●最初に観た場所:池袋・文芸坐(79-09-24)(評価:★★★★)●併映:「家族の肖像」(ルキノ・ヴィスコンティ)
「ピンク・フラミンゴ」●原題:PINK FLAMINGOS●制作年:1972年●制作国:アメリカ●監督・製作・脚本・撮影:ジョン・ウォーターズ●時間:93分●出演:ディヴァイン/ディビッド・ロチャリー/メアリ・ヴィヴィアン・ピアス●日本公開:1986/06●配給:東映=ケイブルホーグ●最初に観た場所:渋谷・アートシアター新宿(84-08-01)(評価:★★★?)●併映:「フリークス・神の子ら(怪物団)」(トッド・ブラウニング)
「彼女と彼たち-なぜ、いけないの-」●原題:POURQUOI PAS!●制作年:1977年●制作国:フランス●監督・脚本:コリーヌ・セロー●製作:ミシェル・ディミトリー●撮影:ジャン=フランソワ・ロバン●音楽:ジャン=ピエール・マス●時間:97分●出演:サミー・フレイ/クリスチーヌ・ミュリロ/マリオ・ゴンザレス/ニコル・ジャメ●日本公開:1980/11●配給:フランス映画社●最初に観た場所:渋谷・パルコスペース3(84-06-17)(評価:★★★★)
「寡婦(やもめ)の舞」●原題:과부춤(英:WIDOW DANCING)●制作年:1984年●制作国:韓国●監督:李長鍋(イー・チャンホ)●脚本:李長鍋(イー・チャンホ)/李東哲(イ・ドンチョル)/イム・ジンテク●撮影:ソ・ジョンミン●原作:李東哲(イ・ドンチョル)『五人の寡婦』●時間:114 分●出演:イ・ボイ(李甫姫)/パク・ウォンスク(朴元淑)/パク・チョンジャ(朴正子)/キム・ミョンコン(金明坤)/パク・ソンヒ/チョン・ジヒ/ヒョン・ソク/クォン・ソンドク/ソ・ヨンファン/イ・ヒソン●日本公開:1985/09●配給:発見の会●最初に観た場所:渋谷・パルコスペース3(「東京国際映画祭」)(85-06-02)(評価:★★★☆)
「ビジル」●原題:VIGIL●制作年:1984年●制作国:ニュージーランド●監督:ヴィンセント・ウォード●製作:ジョン・メイナード●脚本:ヴィンセント・ウォード/グレーム・テットリー●撮影:アルン・ボリンガー●音楽:ジャック・ボディ●時間:114 分●出演:ビル・カー/フィオナ・ケイ/ペネロープ・スチュアート/ゴードン・シールズ●日本公開:1988/02●配給:ギャガ・コミュニケーションズ●最初に観た場所:渋谷・パルコスペース3(85-06-02)(評価:★★★☆)
「コヤニスカッティ(コヤニスカッツィ)」●原題:KOYANISQATSI●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:ゴッドフリー・レッジョ●製作:
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「暗殺の森」●原題:CONFORMISTA●制作年:1970年●制作国:イタリア・フランス・西ドイツ●監督・脚本:ベルナルド・ベルトリッチ●撮影:ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:アルベルト・モラヴィア『孤独な青年』●時間:115分●出演:ジャン=ルイ・トランティニャン/ステファニア・サンドレッリ/ドミニク・サンダ/エンツォ・タラシオ●日本公開:1972/09●配給:パラマウント映画=CIC●最初に観た場所:シネヴィヴァン六本木(84-06-21)(評価:★★★☆)
「闇のカーニバル」●制作年:1981年●●監督・脚本・撮影:山本政志●製作:伊地知徹生/山本政志●時間:118分●出演:太田久美子/桑原延亮/中島稔/太田行生/じゃがたら/遠藤ミチロウ/伊藤耕/中島稔/前田修/山口千枝●公開:1981/12●配給:CBC=斜眼帯●最初に観た場所:渋谷・ユーロスペース(83-07-16)●2回目:渋谷・ユーロスペース(88-07-09)(評価:★★★★)
「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」●原題:THE BROTHER FROM ANOTHER PLANET●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ジョン・セイルズ●製作:ペギー・ラジェスキー/マギー・レンジー●撮影:アーネスト・ディッカーソン●音楽:メイソン・ダーリング●時間:110分●出演:ジョー・モートン/ダリル・エドワーズ/スティーヴ・ジェームズ/レナード・ジャクソン/ジョン・セイルズ/キャロライン・アーロン/デヴィッド・ストラザーン●日本公開:1986/05●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:ユーロスペース(86-06-14)(評価:★★★★)
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「避暑地の出来事」●原題:A SUMMER PLACE●制作年:1959年●制作国:アメリカ●監督・製作・脚本:デルマー・デイヴィス●撮影:ハリー・ストラドリング●音楽:マックス・
スタイナー●原作:スローン・ウィルソン『避暑地の出来事』●時間:131分●出演:リチャード・イーガン/ドロシー・マクガイア/トロイ・ドナヒュー/ サンドラ・ディー/アーサー・ケネディ●日本公開:1960/04●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:銀座文化劇場(84-06-21)(評価:★★★☆)
「酒とバラの日々」●原題:DAYS OF WINE AND ROSES●制作年:1962年●制作国:アメリカ●監督:ブレイク・エドワーズ●製作:マーティン・マヌリス●脚本:J・P・ミラー●撮影:フィル・ラスロップ●音楽:
「シャレード」●原題:CHARADE●制作年:1963年●制作国:アメリカ●監督:スタンリー・ドーネン●製作:マーティン・マヌリス●脚本:J・P・ミラー●撮影:フィル・ラスロップ●音楽:
ー・マッソー/ジョージ・ケネディ/ネッド・グラス●日本公開:1963/12●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ●最初に観た場所:銀座文化劇場(88-04-16)(評価:★★★☆)

「レザボア・ドッグス」●原題:RESERVOIR DOGS●制作年:1992年●制作国:アメリカ●監督・脚本:クエンティン・タランティーノ●製作:ローレンス・ベンダー●撮影:アンジェイ・セクラ●音楽:カリン・ラクトマン●時間:100分●出演:ハーヴェイ・カイテル/ティム・ロス/マイケル・マドセン/クリス・ペン/スティーヴ・ブシェミ/ローレンス・ティアニー/クエンティン・タランティーノ●日本公開:1993/04●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所(再見):早稲田松竹(24-05-20)(評価:★★★★)●併映:「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト」(アベル・フェラーラ)
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ダー●音楽:レイチェル・ポートマン●原作:ポール・オースター『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』●時間:113分●出演:ハーヴェイ・カイテル/ウィリアム・ハート/ハロルド・ペリノー・ジュニア/フォレスト・ウィテカー/ストッカード・チャニング/アシュレイ・ジャッド/エリカ・ギンペル/ジャレッド・ハリス/ヴィクター・アルゴ●日本公開:1995/10●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:新宿武蔵野館(24-06-05)((評価:★★★★)
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ルディーノ・ザッポーニ●撮影:ダリオ・ディ・パルマ●音楽:ニーノ・ロータ●時間:110分●出演:フェデリコ・フェリーニ/アニタ・エクバーグ/ピエール・エテックス/ジョセフィン・チャップリン/グスターブ・フラッテリーニ/バティスト●日本公開:1976/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:池袋・文芸坐(78-02-07)(評価:★★★★)●併映:「フェリーニのアマルコルド」(フェデリコ・フェリーニ)

「木靴の樹」●原題:L'ALBERO DEGLI ZOCCOLI(米:THE TREE OF WOODEN CLOGS)●制作年:1978年●制作国:イタリア●監督・脚本・撮影:エルマンノ・オルミ●音楽:J・S・バッハ●時間:186分●出演:ルイジ・オルナーギ/フランチェスカ・モリッジ/オマール・ブリニョッリ/テレーザ・ブレシャニーニ/バティスタ・トレヴァイニ/ルチア・ベシォーリ●日本公開:1979/04●配給:フランス映画社●最初に観た場所:有楽町・スバル座(80-12-02)(評価:★★★★)
「大理石の男」●原題:CZLOWIEK Z MARMURU●制作年:1977年●制作国:ポーランド●監督:アンジェイ・ワイダ●製作:バルバラ・ペツ・シレシツカ●脚本:アレクサンドル・シチボ
ル・リルスキ●撮影:エドワルド・クウォシンスキ●音楽:アンジェイ・コジンスキ●時間:165分●出演:イエジー・ラジヴィオヴィッチ/クリスティナ・ヤンダ/タデウシ・ウォムニツキ/ヤツェク・ウォムニツキ/ミハウ・タルコフスキ/ピョートル・チェシラク/ヴィエスワフ・ヴィチク/クリスティナ・ザフヴァトヴィッチ/マグダ・テレサ・ヴイチク/ボグスワフ・ソプチュク/レオナルド・ザヨンチコフスキ/イレナ・ラスコフスカ/スジスワフ・ラスコフスカ●日本公開:1980/09●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:飯田橋・佳作座(81-05-24)(評価:★★★☆)●併映:「水の中のナイフ」(ロマン・ポランスキー)

「女の叫び」●原題:A DREAM OF PASSION●制作年:1978年●制作国:アメリカ・ギリシャ●監督・脚本:ジュールス・ダッシン●撮影:ヨルゴス・アルヴァニティズ●音楽:ヤアニス・マルコプロス●時間:110分●出演:メリナ・メルクーリ/エレン・バースティン/アンドレアス・ウツィーナス/デスポ・ディアマンティドゥ/ディミトリス・パパミカエル/ヤニス・ヴォグリス/フェドン・ヨルギツィス/ベティ・ヴァラッシ●日本公開:1979/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:岩波ホール(80-02-04)(評価:★★★★)

因みに、本書に特効薬の研究開発者としてその名が出てくるウィリアム・キャンベルとともに、共同開発者として'15年にノーベル生理学・医学賞が授与されたのが(残念ながら本書にその名前が出てこないが)大村智・北里大特別栄誉教授です。本書では、4万種のバクテリアの抗寄生虫性を確かめたところ、効果があったものは1種類だったとありますが、それが、大村博士が伊東市の川奈ホテルゴルフ場近隣の土から採取した新種の放線菌でした。
第2章では、1949年にモンタナ州マン渓谷で起きたで起きた大規模な森林火災に立ち向かった森林消防隊長ワグナー・ドッジの話です。彼は、15人の部下とともに火の海に取り囲まれますが、"向かい火"というあえて足元に火を放つ手法で2人の部下と窮地を脱します。ただし、無口な性格から部下に自分の考えを説明しておらず、離反した残り13人の部下が焼死しました。リーダーには「己(の考え)を語る」ことが求められるということです。
第3章では、1970年のアポロ13号の宇宙飛行で、故障した宇宙船を無事地球に帰還させるために全権を与えられた管制官ユージン・クランツの話です。ここでは、困難だが失敗が許されない状況で、解決策が見つかるという揺るぎない信念で危機を耐え抜いた例を引いて、あらゆる状況で最善をつくすことがリーダーの要件であることを伝えています。
この話はアポロ13号の船長だったジム・ラヴェルらが『失われた月』(未訳)という本に著しており、ロン・ハワード監督により「アポロ13」('95年)というタイトルで映画化され、ラヴェル船長はトム・ハンクス、飛行主任ユージン・クランツはエド・ハリスが演じています。
第6章では、危機に瀕した米国最大の年金基金(教職員退職年金)を再建したクリフトン・ウォートンが、旧態依然とした巨大組織でのリストラをどのように進めたのか、第7章では、ソロモン社(ソロモン・ブラザーズ)のトップ(会長兼CE0)として部下の不正の報告を受けたジョン・グッドフレンドが、迅速な行動を怠ったためにその経営権を失い、ウォーレン・バフェットCEOに経営再建をゆだねることになった経緯が、第8章では、第三世界の女性のための銀行を設立したナンシー・バリーが、いかにして「自分の人生はこの仕事をするためにあった」との己れの天分を知るに至ったか、第9章では、エルサルバドルの大統領に選ばれたアルフレッド・クリスティアニが、内戦続きで荒廃した国を、交渉による同意を得ることで内戦を終結させた経緯が描かれています。

「アポロ13」●原題:APOLLO 13●制作年:1995年●制作国:アメリカ●監督:ロン・ハワード●製作:ブライアン・グレイザー●脚本:ウィリアム・ブロイルス・Jr./アル・レイナート●撮影: ディーン・カンディ●音楽:ジェームズ・ホーナー●原作:ジム・ラヴェル/ジェフリー・クルーガー●時間:140分●出演:トム・ハンクス/ケヴィン・ベーコン/ビ
ル・パクストン/ビル・パクストン/ゲイリー・シニーズ/エド・ハリス/キャスリーン・クインラン/ローレン・ディーン/ミコ・ヒューズ/ジーン・スピーグル・ハワード/トレイシー・ライナー/メアリー・ケイト・シェルハート/クリス・エリス/ザンダー・バークレー/クリント・ハワード/ベン・マーリー●日本公開:1995/07●配給:ユニヴァーサル映画=UIP(評価:★★★★)

1994年原著刊行(原題:The Oz Principle: Getting Results through Individual and Organizational Accountability)の本。本書で言う〈アカウンタビリティ〉とは「当事者意識を持って主体的に行動する力」という意味です。著者らは、アメリカで最もポピュラーな童話『オズの魔法使い』のテーマは、「登場人物たちが被害者意識から脱し、自分の持っている能力に気づく」ことであるとし、『オズ』の物語や登場人物になぞらえながら、個人と組織がアカウンタビリティを高めていく方法を解説しています。
映画化作品「オズの魔法使」('39年)が有名です(最近のソフト化作品は「魔法使い」と"い"を送ったりしている)。ヴィクター・フレミングが監督していますが、彼は同じ年に「風と共に去りぬ」も撮っています。初めて観た時は、教訓めいたものはあまり意識しなかったように思います(笑)。ただ、「風と共に去りぬ」と同じく戦後の公開で、当時これを観た日本人は、「風と共に去りぬ」同様に、こんな映画を作っていた国と戦争してしまったのかあ、これは勝てるわけがないと思ったのではないでしょうか。
MGMは当初、主人公ドロシーの役にシャーリー・テンプルを予定していましたが、20世紀FOXが彼女を貸さなかったため、当時無名のジュディ・ガーランドが起用されました。彼女が歌った主題歌「虹の彼方に」は、2001年に全米レコード協会等の主催で投票により選定された「20世紀の名曲」(Songs of the Century)で第1位に選ばれ、さらに2004年のAFIの「アメリカ映画主題歌ベスト100」でも第1位を獲得しています。
「オズの魔法使」●原題:THE WIZARD OF OZ●制作年:1939年●制作国:アメリカ●監督:ヴィクター・フレミング●製作:マーヴィン・ルロイ●脚本:ノエル・ラングレー/フローレンス・ライアソン/エドガー・アラン・ウルフ●撮影:ハロルド・ロッソン●音楽:ハーバート・ストサート●原作:ライマン・フランク・ボーム「オズの魔法使い」●時間:101分●出演:ジュディ・ガーランド/レイ・ボルジャー/ジャック・ヘイリー/バート・ラー/ビリー・バーク/マーガレット・ハミルトン/フランク・モーガンイ●日本公開:1954/12●配給:MGM●最初に観た場所:高田馬場・ACTミニシアター(84-06-05)(評価:★★★☆) 
「最後の一葉」「賢者の贈物」など、O・ヘンリーの代表的短編5編を原作とする、5人の監督による全5話のオムニバス映画で、進行役を作家のジョン・スタインベックが務めています。
紳士気取りで人の善いルンペン男ソーピイ(チャールズ・ロートン)は、夏は涼しいセントラル・パークで、冬は暖かい留置所で暮らすこと
にしていた。ある年の冬、彼は仲間のホレス(デイヴィッド・ウェイン)に、留置所に入る秘術を伝授しようとしたが、どうもうまく警官に捕まらない。ソーピイは街の女(マリリン・モンロー)に声を掛けたが、かえって彼女に好意を寄せられ面喰らって逃げ出す始末。ある教会に入り、オルガンの響きに心打たれて、ルンペン渡世から足を洗おうと決心したが―。
刑事のバーニイ(デール・ロバートソン)は、迷宮入り殺人事件の犯人をヤクザ者のジョニイ(リチャード・ウィドマーク)だと睨んだ。バーニイとジョニイは幼な友達で、2人は十数年ぶりで再会したのだ。バーニイはジョニイに証拠を突きつけ迫るが、ジョニイはバーニイに昔千ドル貸したことを持ち出した。バーニイはジョニイを一応見逃し、千ドルの工面を考えた。すると町の新聞「クラリオン・コール」が、犯人の名前を通告した者に千ドル出すという懸賞を―。
最後の格闘シーンは要らなかったが、新聞記事で見せる終わり方は旨かった。リチャード・ウィドマークのヤクザ者の役が嵌っている。晩年は大御所的存在だったが、若い頃は、冷やかな笑顔をトレードマークに、
ギャング映画の非情な殺し屋、戦争映画の冷徹で人望のない指揮官役などで持ち味を発揮していた人だ。「
恋人に捨てられた若い女画学生ジョアンナ(アン・バクスター)は、失望し、寒いニューヨークの街を彷徨った末、姉スーザン(ジーンン・ピータース)と一緒に住むアパートに辿り着くと、そのまま病の床に伏す。医師は肺炎と診断し、ジョアンナが生きる希望を取り戻さなければ助からないと言った。彼女は自分の部屋の窓ぎわに生えている蔦にある21枚の葉が、その1枚ごとに彼女の1年間の生命を意味し、最後に残った葉が風に吹き落とされたら、自分は死ぬと思い込んでいる。容態は悪化し、ある朝、蔦も葉も最後の1枚になっ
た。途方にくれたスーザンは、バーマン(グレゴリー・ラトフ)という自分の才能に自信を失った画家に悩みを訴える―。
評価されているようだ。他のカラー作品も観たが、「葉っぱ」がダメなものが多い。白黒が幸いしたかも。アン・バクスターと言えば「イブの総て」('50年)だが、「
サム(フレッド・アレン)と相棒のビル(オスカー・レヴァント)は、金持ちの子を誘拐して身代金を稼ごうとアラバマの村へやって来た。2人はうまく少年を誘拐する
ことに成功、身代金請求の手紙を少年の両親宛てに出した。ところが、この少年、インディアンの酋長気どりの腕白小僧で2人はほとほと手を焼く。そのうち、両親から手紙が来たが、それには身代金を払わないと言うばかりか、どうしても少年を返したいなら250ドルよこせと書いてあった―。
愛し合う若夫婦デラ(ジーン・クレイン)とジム(ファーリー・グレンジャー)は、貧乏なのでクリマス・イヴが来るのにお互いの贈物を買うことができなかった。デラは出勤するジムを送りながら一緒に街に出、途中で2人はある宝
石商のウィンドウの前に立ち止まる。ジムは素敵な櫛に目をつけ、これがデラのふさふさした金髪を飾ったらさぞ美くしかろうと考えた。一方デラはプラチナの時計入れを見て、これはジムの骨董的な金の懐中時計を入れるのにふさわしいと思った―。
「人生模様」●原題:O. HENRY'S FULL HOUSE●制作年:1952年●制作国:アメリカ●監督:(第1話)ヘンリー・コスター/(第2話)ヘンリー・ハサウェイ/(第3話)ジーン・ネグレスコ/(第4話)/ハワード・ホークス/(第5話)ヘンリー・キング●脚本:(第1話)ラマー・トロッティ/(第2話)リチャード・L・ブリーン/(第3話)アイヴァン・ゴッフ/ベン・ロバーツ/(第4話)チャールズ・レデラー/ベン・ヘクト/ナナリー・ジョンソン/(第5話)ヘンリー・キング/ウォルター・バロック/フィリップ・ダン●撮影:(第1話)ロイド・エイハーン/(第2話)ルシアン・バラード/(第3話)ジョセフ・マクドナルド/(第4話)ミルトン・R・クラスナー/(第5話)ジョセフ・マクドナルド●音楽:アルフレッド・ニューマン●原作:原作:О・ヘンリー●時間:117分●出演:(第1話)チャールズ・ロートン/マリリン・モンロー/デヴィッド・ウェイン/(第2話)デイル・ロバートソン/リチャード・ウィドマーク/(第3話)アン・バクスター/ジーン・ピーターズ/グレゴリー・ラトフ/(第4話)フレッド・アレン/オスカー・レヴァント/リー・アーカー/(第5話)ジーン・クレイン/ファーリー・グレンジャー/(進行役)ジョン・スタインベック●日本公開:1953/06●配給:20世紀フォックス(評価:★★★★)

新婚旅行中の夫婦、そして彼らの招待客たちを乗せた豪華客船がナイル川を進んでいた。そんな中、船内で乗客が次々と何者かによって殺されていく。偶然船に乗っていた名探偵・ポアロは、謎に包まれたこの事件を解明し、犯人を探し出そうと奔走する―。

国:アメリカ●監督:ケネス・ブラナー●製作:ケネス・ブラナー/サイモン・キンバーグ/リドリー・スコット/マーク・ゴードン/ジュディ・ホフランド●脚本:マイケル・グリーン●撮影:ハリス・ザンバーラウコス●音楽:パトリック・ドイル●原作:アガサ・クリスティ●時間:127分●出演:トム・ベイトマン/アネット・ベニング/ケネス・ブラナー/ラッセル・ブランド/アリ・ファザル/ドーン・フレンチ/ガル・ガドット/アーミー・ハマー/ローズ・レスリー/エマ・マッキー/ソフィー・オコネドー/ジェニファー・ソーンダース/レティーシャ・ライト●日本公開:2022/02●配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン●最初に観た場所:上野・TOHOシネマズ上野(シアター3)(22-03-03)(評価:★★★)

TOHOシネマズ上野




「ナイル殺人事件」●原題:DEATH ON THE NILE●制作年:1978年●制作国:イギリス●監督:ジョン・ギラーミン●製作:ジョン・ブラボーン/リチャード・グッドウィン●脚本:アンソニー・シェーファー●撮影:ジャック・カーディフ●音楽:ニーノ・ロータ●原作:アガサ・クリスティ「ナイルに死す」●時間:140分●出演:ピーター・ユスティノフ/ミア・ファロー/ベティ・デイヴィス/アンジェラ・ランズベリー/ジョージ・ケネディ/オリヴィア・ハッセー/ジ
ョン・フィンチ/マギー・スミス/デヴィッド・ニーヴン/ジャック・ウォーデン/ロイス・チャイルズ/サイモン・マッコーキンデール/ジェーン・バーキン/サム・ワナメイカー/ハリー・アンドリュース●日本公開:1978/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:日比谷映画劇場(78-12-17)(評価:★★★☆)




英国の事務弁護士レンフィールド(ドワイト・フライ)は、トランシルヴァニアの貴族ドラキュラ伯爵(ベラ・ルゴシ)に招かれてドラキュラ城を訪れる。ドラキュラはロンドンでの土地の購入を希望していた。しかし、ドラキュラの正体は伝説上の存在とされていた吸血鬼
であり、レンフィールドは下僕にされてしまう。ドラキュラはレンフィールドに手引きさせて船を占拠して英国に渡り、レンフィールドは「精神を病んだ」としてセワード精神病院に搬送される。修道院を棲家とすると、東欧から移住してきた高貴な伯爵として社交界に現れ、修道院の隣に居住するセワード博士(ハーバート・バーンストン)一家に接触する。セワードの娘ミーナ(ヘレン・チャンドラー)の友人ルーシー(フランシス・デイド)はドラキュラの虜になり、血を吸われて死んでしま
う。セワードの元を恩師のヴァン・ヘルシング教授(エドワード・ヴァン・スローン)が訪れ、レンフィールドが吸血鬼になっていることを告げるが、セワードは吸血鬼の存在を信じようとはしない。レンフィールドも「自分を病院から遠ざけろ」と訴えるが、セワードは聞き入れずに病室に戻してしまう
。その夜、ドラキュラはセワード邸に忍び込み、ミーナを襲い吸血する。その日以来、ミーナは悪夢にうなされるようになり、ヘルシングは彼女の婚約者ハーカー(デヴィッド・マナーズ)と共に屋敷を訪れるが、そこにドラキュラが見舞いに訪れる。ミーナはドラキュラの来訪を喜ぶが、ドラキュラの姿が鏡に映らないのを見たヘルシングは、ドラキュラこそが吸血鬼であると確信する。ヘルシングは、ドラキュラを寄せつけないためにミーナの部屋をトリカブトで埋め尽くすが、吸血鬼の血が入ったミナはそれを嫌がり、彼女の身を案じるハーカーもヘルシングに反発する。ドラキュラは再びセワード邸に忍び込み、ミーナを連れ去ってしまう。同じ頃、レンフィールドが精神病院から脱走してドラキュラの元に向かい、ヘルシングとハーカーは彼を尾行する。これによってドラキュラが隠れ家にしていた修道院まで二人が来てしまい、ドラキュラはレンフィールドを裏切ったと見なし殺害するも、夜明けが近付いてきていたためミーナを連れて慌てて地下墓所の棺に逃げ込む。地下墓所で二人は棺で眠るドラキュラを発見、ヘルシングはそばにあった棒を折ってドラキュラの心臓にその尖った先端を刺して彼を殺し、ハーカーはミーナを取り戻す―。
トッド・ブラウニング監督の1931年2月公開作で、ブラム・ストーカー原作『

原作との違いは幾つもありますが、まず、ドラキュラ城を訪れるのが弁護士のジョナサン・ハーカーではなく、原作において精神病院の院長のジョン・セワード博士の患者であるレンフィールドになっていて(ドラキュラ伯爵のロンドンでの土地購入手続きのために赴くのは原作と同じ。そして映画でも結局ドラキュラ伯爵にやられて結果的には原作のようにセワードの患者になるのだが、原作では最初からセワードの精神病院にいる患者となっている)、ハーカーの方はずっとロンドンにいることになっています。ミーナがセワード博士の娘であるというのも映画のオリジナルで、原作では、ハーカーとセワードはかつてはミーナを巡っての恋のライバルで、今は友人みたいな関係でさほど年齢差が無いのですが、映画ではセワードはミーナの父親であるため、初老の医師となっています。
それと、これが一番原作と異なる点かもしれませんが、原作ではドラキュラ伯爵はロンドンにおいては影の如く行動し、作
中の主要登場人物の前に姿を見せないのに対し、このベラ・ルゴシ演じるドラキュラ伯爵は、社交好きなのか(笑)社交の場も含め主要登場人物の前によく姿を現し、わざわざミーナのお見舞いにまで来たりして、そこで鏡に映らないことで自らが吸血鬼であることがヘルシング教授にバレてしまったりしています。
このように物語は序盤はドラキュラ城で、中盤以降はほとんどセワード邸の中で話が進んでいきますが、セワード邸ではドラキュラ伯爵vs. セワード博士の"直接対決"があったりして、互いに"ガンの飛ばし合い"をしたりします(ヤンキーではない。ドラキュラ伯爵がセワード博士に催眠術をかけようとして失敗する、といった場面などがあったりするということなのだが)。
でも、夜会服をまとったドラキュラ伯爵の妖しく、不遜で、優雅な姿や立ち振る舞いは厳かかつ華麗であり(時折ユーモラスに見えるチャーミングさも)、作品全体を「雰囲気」のあるものとしており、当時49歳だったベラ・ルゴシの演技がその時代「映画の中で最もユニークで強力な役」と称賛されたのも頷けます。
「魔人ドラキュラ」●原題:DRACULA●制作年:1931年●制作国:アメリカ●監督:トッド・ブラウニング●製作:トッド・ブラウニング/カール・レムリ・jr●脚本:ギャレット・フォート●撮影:カール・フロイント●音楽:フィリップ・グラス (1999年)●原作:ブラム・ストーカー●時間:75分●出演:ベラ・ルゴシ/ヘレン・チャンドラー/デヴィッド・マナーズ/ドワイト・フライ/エドワード・ヴァン・スローン/ハーバート・バーンストン/フランシス・デイド/ジョアン・スタンディング/チャールズ・ジェラード●日本公開:1931/10●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(評価:★★★★)




「ブーム」とはパーティーのこと。ブームに誘われることを夢見る13歳のヴィック(ソフィー・マルソー)が、自分の14歳の誕生日ブームを開くまでの物語。リセの新学期(夏のバカンス明け)に始まり、歯科医の父親(クロード・ブラッスール)とイラストレーターである母親(ブリジッド・フォッセー)の別居騒動、ハープ奏者の曾祖母プペット(ドゥニーズ・グレイ)の折々の助言を背景に、ブームで出会ったマチュー(アレクサンドル・スターリング)との恋模様、春休み明けに自身が開く誕生日ブームまでを描く。
「ラ・ブーム」('80年/仏)はクロード・ピノトー(1925-2012/87歳没)監督によるフランス映画で、個人的にはこの映画で「
(1966年生まれ)のデビュー作であり(日本で言えば"中一"だが高校生くらいに見えたりもする)、ブリジッド・フォッセーはソフィー・マルソー演じる思春期の娘をも持つ母親役。個人的にはどうってことない映画でしたが、ヨーロッパ各国や日本を含むアジアでヒット作となりました。
娘の恋愛だけでなく、親夫婦の倦怠期とそこからの脱脚を
も描いているところがフランス映画らしく、改めて観ると、フランス的文化・恋愛価値観が垣間見られた作品だったように思います。映画パーソナリティの襟川クロ(1950年生まれ)氏が「おもちゃ箱的青春ムービー。(中略)ごく普通の少女達が、普通の恋をして、またひとつ大人になるのでありました、とりまく大人は大人でイロイロあり、ひとつ年をとりましたとさ。といった、よくあるパターンではありますが、しかし、その味つけがなかなかのもの」と評価したほか、映画評論
家の
この映画は高田馬場パール座で観て、併映がフィービー・ケイツ(1963年生まれ)の19歳の時の
デビュー作である「パラダイス」('82年/米)(公開時のタイトルは「フィービー・ケイツのパラダイス」)でしたが、こちらは当時のメモを見ると「フィービー・ケイツのアイドル映画。中身がない」(評価★☆)とだけありました(笑)。フィービー・ケイツとソフィー・マルソーは当時、米仏2大アイドルだったのかもしれません。米国にはあと1人、二人
と同年代のブルック・シールズ(1963年生まれ)がいましたが、ルイ・マル監督の「プリティ・ベイビー」('78年/米)も観ました(これも高田馬場パール座で、併映はダイアン・レイン主演の「リトル・ロマンス」('79年/米))。ニューオリンズの娼館が舞台のこの作品に、ルイ・マル監督が渡米して自ら発掘した彼女を起用したもので、ブルック・シールズは11歳で娼婦(12歳)を演じてセンセーションを巻き起こしましたが、ルイ・マル作品としてはイマイチだったかも(評価★★★)。フィービー・ケイツについては「
結構、アイドル映画を観ていたのだなあと今になって思います。「プリティ・ベイビー」はブルック・シールズのアイドル映画ではありませんが(彼女の出たアイドル映画と言えば17歳の時の「青い珊瑚礁」('80年/米)あたりか)、彼女を一気にアイドルに押し上げた映画でしょう。フィービー・ケイツとソフィー・マルソーを比べると、米国型アイドルとフランス型アイドルとではやはり違うなあと思わされます(映画雑誌「スクリーン」だと、ソフィー・マルソーが表紙向きで、フィービー・ケイツがグラビア向きと言ったところか)。フランス人監督のルイ・マルが見出したブルック・シールズはどちらか。天皇徳仁(今上天皇)が皇太子時代、日本人では柏原芳恵、外国人ではブルック・シールズの熱烈なファンであったとされていましたが、プリンストン大学を首席で卒業するような才女でした。
「ラ・ブーム」で父親と娘の役だったクロード・ブラッスールとソフィー・マルソーが、この作品の6年後、フランシス・ジロー監督の「デサント・オ・ザンファー 地獄に堕ちて」('86年/仏)では年齢の離れた夫と妻を演じましたが、これも夫婦の危機を打開しようとする話で、ただし、結構どろっとした話になっています。滞在先のリゾートホテルで殺人事件が起きる犯罪ミステリ仕様ですが、やや猟奇的側面も(原作は『狼は天使の匂い』『ピアニストを撃て』『華麗なる大泥棒』のデイビッド・グーディス)。さらには、「ラ・ブーム」の父親役と裸で激しいラブシーンを演じたりしていることもあり、そうした映画を企画する側も企画する側だが、「みんな父娘相姦みたいな目で私たちを見たがってるのよね」と自分でも承知していながら、こうした作品に簡単に出演してしまうソフィー・マルソーもソフィー・マルソーだとの批判と言うか苦言もあったようです。やはり、「ラ・ブーム」のソフィー・マルソーのイメージを壊されたくないファンがいるのだろうなあ(タイトルが何のことだかよく分からないのが難。ビデオタイトルは「地獄に墜ちて」)。
さらにその13年後、ソフィー・マルソーはマイケル・アプテッド監督の007シリーズシリーズ第19作「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」('99年/英)(公開時タイトルは「ワールド・イズ・ノット・イナフ」)でボンドガールとなり、当時で32歳ぐらいでしょうか、役どころは、ピアース・ブロスナン演じるジェームズ・ボンドを翻弄する悪役エレクトラ・キングで、結構ボンドと微妙な関係になりながらも、やがて本性を現しサディスティックにボンドを苛め倒していましたが(やや変態性欲気味)、詰まるところ悪役なのでやはり最期は...。彼女は、1996年に、半自伝的小説『うそをつく女』を刊行し、作品は「女性のアイデンティティの探求」と評され、フランスでは大きくとりあげられたとのことですが、こうした有名人女優がボンドガールになるのは当時としては珍しかったのではないでしょうか。その後、2002年に、長編映画監督としてのデビュー作「聞かせてよ、愛の言葉を」('01年)でモントリオール世界映画祭の最優秀監督賞を受賞するなどの活躍を遂げています。
「禁じられた遊び」●原題:JEUX INTERDITS●制作年:1952年●制作国:フランス●監督:ルネ・クレマン●脚本:ジャン・オーランシュ/ピエール・ポスト●撮影:ロバート・ジュリアート●音楽:ナルシソ・イエペス●原作:フランソワ・ボワイエ●時間:86分●出演:ブリジッド・フォッセー/ジョルジュ・プージュリー/スザンヌ・クールタル/リュシアン・ユベール/ロランヌ・バディー/ジャック・マラン●日本公開:1953/09●配給:東和●最初に観た場所:早稲田松竹 (79-03-06)●2回目:高田馬場・ACTミニシアター (83-09-15)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「鉄道員」(ピエトロ・ジェルミ)●併映(2回目):「居酒屋」(ルネ・クレマン)

「ラ・ブーム」●原題:LA BOUM●制作年:1980年●制作国:フランス●監督:クロード・ピノトー●製作:アラン・ポワレ●脚本:ダニエル・トンプソン/クロード・ピノトー●撮影:エドモン・セシャン●音楽:ウラジミール・コスマ(主題歌:「愛のファンタジー」歌:リチャード・サンダーソン)●時間:110分●出演:クロード・ブラッスール/ブリジッド・フォッセー/ソフィー・マルソー/ドゥニーズ・グレイ/ アレクサンドル・スターリング/ ベルナール・ジラルドー/シェイラ・オコナー/アレクサンドラ・ゴナン/ジーン=フィリップ・レオナール/リシャール・ボーランジェ/ウラジミール・コスマ●日本公開:1982/03●配給:松竹=富士映画●最初に観た場所:高田馬場パール座(82-09-15)(評価:★★★☆)●併映:「フィービー・ケイツのパラダイス」(スチュワート・ジラード)
「パラダイス」●原題:PARADISE●制作年:1982年●制作国:カナダ●監督・脚本:スチュアート・ギラード●製作:ロバート・ラントス/スティーブン・J・ロス●撮影:アダム・グリーンバーグ●音楽:ポール・ホファート●時間:95分●出演:フィービー・ケイツ/ウィリー・エイムス/リチャード・カーノック/チュヴィア・タヴィ/ニール・ヴィポンド●日本公開:1982/06●配給:松竹富士(評価:★☆)●併映:「ラ・ブーム」(クロード・ピノトー)
「プリティ・ベビー」●原題:PRETTY BABY●制作年:1978年●制作国:アメリカ●監督・製作:ルイ・マル●脚本:ポリー・プラット●撮影:スヴェン・ニクヴィスト●音楽:ジェリー・ウェクスラー●時間:110分●出演:ブルック・シールズ/E.J.ベロッ/キース・キャラダイン/スーザン・サランドン/アントニオ・ファーガス/マシュー・アントン/ダイアナ・スカーウィッド/バーバラ・スティール/ドン・フッド●日本公開:1978/10●配給:パラマウント●最初に観た場所:高田馬場パール座(80-01-16)(評価:★★★)●併映:「リトル・ロマンス」(ジョージ・ロイ・ヒル)
「デサント・オ・ザンファー 地獄に墜ちて」●原題:DESCENTE AUX ENFERS●制作年:1986年●制作国:フランス●監督:フランシス・ジロー●製作:アリエル・ゼイトゥン●脚本:フランシス・ジロー/ジャン=ルー・ダバディ●撮影:シャルリー・ヴァン・ダム●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:デイビッド・グーディス●時間:88分●出演:ソフィー・マルソー/クロード・ブラッスール /ベッツィ・ブ

「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」●原題:THE WORLD IS NOT ENOUGH●制作年:1999年●制作国:イギリス・アメリカ●監督:マイケル・アプテッド●製作:マイケル・G・ウィルソン/バーバラ・ブロッコリ●脚本:ニール・パーヴィス/ロバート・ウェイド●撮影:エイドリアン・ビドル●音楽:デヴィッド・アーノルド(主題歌:「The World is Not Enough」ガービッジ)●原作:イアン・フレミング●時間:127分●出演:ピアース・ブロスナン/ソフィー・マルソー/ロバート・カーライル/デニス・リチャーズ/ロビー・コルトレーン/デスモンド・リュウェリン/マリア・グラツィア・クチノッタ/サマンサ・ボンド/マイケル・キッチン/コリン・サーモン/セレナ・スコット・トーマス/ウルリク・トムセン/ゴールディ/ジョン・セル/クロード=オリビエ・ルドルフ/ジュディ・デンチ●日本公開:2000/02●配給:UIP(評価:★★★☆)
作:エリッ
ク・アルトメイヤー/ニコラス・アルトメイヤー●撮影:イシャーム・アラウィエ●音楽:ニコラス・コンタン●原作:エマニュエル・ベルンエイム●時間:113分●出演:ソフィー・マルソー
/アンドレ・デュソリエ/ジェラルディーヌ・ペラス/シャーロット・ランプリング/エリック・カラヴァカ/ハンナ・シグラ/グレゴリー・ガドゥボワ/ジャック・ノロ/ジュディット・マーレ/ダニエル・メズギッシュ/ナタリー・リシャール●日本公開:2023/02●配給:キノフィルムズ●最初に観た場所:ヒューマントラストシネマ有楽町(シアター2)(23-02-17)(評価:★★★★)


莫大な父の遺産があり、あらゆる快楽に飽き果てて、生きている意義も見出せないという30歳の男アルチュール・ランプルール(ジャン=ポール・ベルモンド)は退屈の余り自殺したがるが、その試みは全て失敗する。そこで、フィアンセのアリス(ヴァレリー・ラグランジュ)とその小姓のレオン(ジャン・ロシュフォール)、アリスの母親スージー(マリア・パコム)とその恋人コルネリウス(ジェス・ハーン)、元後見人でもあった古くからの中国人の友人ミスター・ゴーことゴー氏(ヴァレリー・インキジノフ)と船旅に出る。ランプルールの法定代理人ビスコトン(ダリー・コール)が香港までアルチュールを探しにやってきて、アルチュールの破産を知らせる。これで自殺の名目ができたと喜んだアルチュールは自殺の試みを続け
、フィアンセの母親スージーは婚約解消を要求する。ゴー氏のアイデアで、スージーにアルチュールの生死を委ねることになる。アルチュールは婚約者アリスとゴー氏を受取人に有効期間1か月の生命保険に署名する。ゴー氏は殺し屋を手配し、そうなると自殺志願のアルテュールも生命の危険を感じて懸
命に逃げまわるという奇妙な状況になる。港のバーに逃げこんだ時、ストリッパーのアレキサンドリーヌ(ウルスラ・アンドレス)に匿ってもらった。彼女は考古学者の卵で、アルバイトにストリッパーをしていたのだ。彼は一目で好意を抱くが、恋を語っている余裕はない。ゴー氏ともう一度話し合おうと、彼を追ってネパールへ行く。例によって二人の尾行者がついてくるが、実は彼らは保険会社がつけたボディ・ガードだった。ところが今度は、保険金の一部をもらう約束になっている香港ギャングのボス、フォリンスター(ジョー・セイド)の命を狙われることに―。
「
ジュール・ヴェルヌの1879年刊行の小説『中国での中国人
の苦難』(Les Tribulations d'un chinois en Chine)が原作とのことですが、大幅に翻案されているようです。自殺志願の男(原作では中国系)が自分に生命保険を懸けられたのを機に考え方が変わるというのは同
じようですが、原作では主人公は最後、婚約者と結婚するようです(映画でもアリスは最後、結婚するのだが...)。ウルスラ・アンドレス演じるストリッパーは、映画のオリジナルかと思われます。
と同じで、むしろヒートアップした感じさえあります。なので、ベルモントのアクションは楽しめますが、ストーリーが「リオの男」以上にぶっ飛んでいて、アクションとの両方が相俟って、ややドタバタ喜劇調になったきらいもあります(同じ大金持ちの役でも、ベルモントのアクションが無いフィリップ・ラブロ監督の「
舞台出身のジャン・ロシュフォール(フィリップ・ド・ブロカ監督の「大盗賊」('62年)や「相続人」でもベルモントと共演し
ていた)が「小姓」(御屋敷付きの「執事」というよりは、どこでも主人に付いて行って面倒を見る「フットマン」という感じか)の役で脇を固めていて、いい味出していました(最後まで主人に付いて行くので出演場面が多い)。ただ、それよりも、ゴー氏を
演じたヴァレリー・インキジノフが、フセボロド・プドフキン監督の「アジアの嵐」('28年/ソ連)で、主人公のモンゴル人を演じたあの俳優だったと後で知って少し驚きました。ヴァレリー・インキジノフはロシア・ブリヤート出身のフランス人俳優ですが、血統的にはモンゴル人のようです。「モンパルナスの夜」('33年/仏)に、金持ちに怨念を抱くチェコ人の挫折した元医学生という、まるで「天国と地獄」の山崎努を連想させるような役で出演していますが、60年代のこの「カトマンズの男」では好々爺の役でした。
「アジアの嵐」は、1920年代、イギリス統治のモンゴルを舞台に、〈チンギス・ハーンの後裔〉に祭り上げられたモンゴルの青年(ワレリー・インキジノフ)が,やがて民族の自覚に燃えてイギリス帝国主義に闘いを挑むという、モンゴル解放闘争の黎明期を描いたものですが、その主人公を"覚醒"させ、英国の軛(くびき)からの解放を手助けしたのがソ連であるという、ロシア革命と「共産主義」運動を美化するプロパンガンダ映画でもあります。
それゆえに評価をするのは難しいのですが、エイゼンシテインと並ぶとされるフセヴォロド・プドフキン監督でさえ、ソ連の映画監督である限り、当時はそうした映画を撮らざるを得なかったのでしょう(「戦艦ポチョムキン」('25年/ソ連)にしても共産主義的プロパガンダ映画であり、日本でも終戦から22年が経った1967年にようやく一般公開された)。
出演者でもう一人の注目は、やはり007シリーズ第1作「
前はアーシュラ・アンドレスと表記されていた)でしょうか。スイス出身で両親はドイツ人。「ドクター・ノオ」出演時は英語がおぼつかなく、彼女のセリフはすべて吹き替えでしたが、それでも「ゴールデングローブ賞」の
新人賞を受賞しています。その後は、ドイツ語、イタリア語、フランス語、さらにはマスターした英語の4カ国を操る語学力を活かして、ハリウッド映画にもヨーロッパ映画にも多数出演しています(出演はB級娯楽映画が多いが)。因みに、この映画出演時にはジョン・デレクと結婚していましたが、ジャン=ポール・ベルモンドと恋仲になり、1966年にはジョン・デレクと離婚しています。その後もライアン・オニールらと浮名を流したりしましたが、1980年の「タイタンの戦い」で共演したハリー・ハムリンとの間に男児を生んだものの、再婚はしていません(この手の肉食系女優に結婚は似合わない?)。
ソ連映画「アジアの嵐」に出ていたモンゴル系俳優と、アメリカ映画「007 ドクター・ノオ」に出ていたドイツ系女優が同じフランス映画に出ているというのが何となく面白いです。



「カトマンズの男」●原題:LES TRIBULATIONS D'UN CHINOIS EN CHINE(英:UP TO HIS EARS)●制
作年:1965年●制作国:フランス・イタリア●監督:フィリップ・ド・ブロカ●製作:アレクサンドル・ムヌーシュキン/ジョルジュ・ダンシジェール●脚本:ダニエル・ブーランジェ●撮影:エドモン・セシャン●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:ジュール・ヴェルヌ「中国での中国
人の苦難」●時間:110分●出演:ジャン=ポール・ベルモンド/ウルスラ・アンドレス/ヴァレリー・ラグランジュ/マリア・パコム/ジェス・ハーン/ヴァレリー・インキジノフ/マリオ・ダヴィッド/ポール・プレボワ/ダリー・コール/ジョー・セイド●日本公開:1966/05●配給:エデン●最初に観た場所:新宿武蔵野館(21-05-25)(評価:★★★)●併映(同日上映):「相続人」(フィリップ・ラブロ)
「アジアの嵐」●原題:Потомок Чингис-хана(STORM OVER ASIA POTOMOK CHINGIS-KHANA)●制作年:1928年●制作国:ソ連●監督:フセ
ヴォロド・プドフキン●脚本:オシップ・ブリーク/レフ・スラヴィン/ウラジーミル・ゴンチュコフ●撮影アナトーリー・ゴロヴニャ●音楽:セルゲイ・コズロフスキー/ M・アロンソン/(サウンド版音楽)ニコライ・クリューコフ●原作:イワン・ノヴォクショーノフ「ジンギス汗の末喬」●時間:87分●出演:ワレーリー(ヴァレリー)・インキジーノフ/アナトーリー・デジンツェフ/リュドミラ・ベリンスカヤ/アネリ・スダケーヴィチ/ボリス・バルネット●日本公開:1930/10●配給:三映社(評価:★★★☆)

1962年11月30日の朝。LAの大学で英文学を教えている内省的でシニカルなジョージ(コリン・ファース)にとって、この8ヶ月間は苦痛に満ちた日々だった。16年間共に暮らした建築家のジム(マシュー・グード)が交通事故で亡くなって以来、その悲しみは癒えるどころか、日に日に深くなっていた。だが、彼は自らの手でこの悲しみを終わらせようと決意する。大学のデスクを片付け、銀行の貸金庫の中身をカラにし、新しい銃弾を購入。着々と準備
を進めるジョージだったが、一方で、今日が最後の日だと思って世界を眺めると、些細なことが少しずつ違って見えてくる。最後の授業ではいつになく自らの信条を熱く語り、講義に触発された教え子ケニー(ニコラス・ホルト)が、学校の
外で話したいと追いかけてくる。彼の誘いを断って銀行に行くと、いつも騒がしい隣家の少女と偶然出会う。ジョージは少女の可憐さに始めて気付き、彼女との正直な会話に喜びさえ感じる。だが、帰宅したジョージは、遺書、保険証書、各種のカギ、「ネクタイはウインザーノットで」のメモを添えた死装束......全てを几帳面にテーブルに並べる。そし
て銃、とその時、かつての恋人で今は親友のチャーリー(ジュリアン・ムーア)から電話が入り、ジョージは破るつもりだった約束を守って彼女の家を訪れる。夫と子供に去られ
て孤独な彼女の身勝手な言動に振り回されながらも、未熟で奔放だった青春時代を共にロンドンで過ごした彼女と心から笑い合うジョージ。そして、一日の終わりには、彼の決意を見抜いていたケニーの思いがけない行動にジョージは心を揺さぶられる―。
原作はクリストファー・イシャーウッドの同名小説で、ファッションデザイナーとして知られるトム・フォードの監督の2009年の監督デビュー作です。この作品でコリン・ファースに第66回
ヴェネツィア国際映画祭の男優賞をもたらしたほか、続く「ノクターナル・アニマルズ」('16年)で監督第2作にして、第73回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)に輝いています。
イギリスとイタリアの国籍を持つコリン・ファースは、同性愛者である大学教諭を演じたこの作品で、前述の第66回ヴェネツィア国際映画祭男優賞のほか、英国アカデミー賞主演男優賞受賞など多くの賞を受賞しています(2年後の「
一方、ジュリアン・ムーアは、この時すでに「エデンより彼方に」('02年/米)でヴェネツィア国際映画祭女優賞、「めぐりあう時間たち」('03年/米)でベルリン国際映画祭女優賞を受賞していましたが、その後「マップ・トゥ・ザ・スターズ」('14年/米)でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞したため、
映画はというと、ジョ
ージの元恋人で親友のチャーリーの母の言葉「恋愛はバスを待っているようなもので、一台のバスを逃しても、また次のバスが来る」という、まさにその通りの内容でしたが、その言葉どおりのことががゲイの登場人物に起きるというのがこの映画であり、男同士の恋愛(マイノリティの恋愛)も男女の恋愛(マジョリティの袁愛)と基本的に同じであるということが言いたかったのではないでしょうか。
冷戦下の緊張が高まる1962年のアメリカが舞台で、キューバ危機への社会不安、経済成長の影で崩壊する中産階級、ヒッピー文化の幕開け(荒廃した若者のモラルと相俟って、主人公はこれを嫌悪する)等々―そうした時代の波が押し寄せる中、主人公のジョージは、学問と孤独な精神性に魂の救いと安息を求める、いわば保守的な人間であるわけですが、そうした保守的な(しかもインテリ)人間がゲイであるという設定も、この作品の注目すべきポイントかもしれません(LGBTは文化人類学上の必然であるという近年の思潮に沿っていると言える)。
「シングルマン」●原題:A SINGLE MAN●制作年:2009年●制作国:アメリカ●監督:トム・フォード●製作:トム・フォード/アンドリュー・ミアノ/ロバート・サレルノ/クリス・ワイツ●脚本:トム・フォード/デヴィッド・スケアス●撮影:エドゥアルド・グラウ●音楽:アベエル・コジェニオウスキ/梅林茂●原作:クリストファー・イシャーウッド●時間:128分●出演:コリン・ファース/ジュリアン・ムーア/マシュー・グード/ニコラス・ホルト/ジョン・コルタジャレナ/ジニファー・グッドウィン/テディ・シアーズ/ライアン・シンプキンス/リー・ペイス/エリン・ダニエルズ/アリーン・ウェバー/ジョン・ハム(声のみ)●日本公開:2010/10●配給:ギャガ●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(19-03-12)(評価:★★★★)






![動物農場 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E5%8B%95%E7%89%A9%E8%BE%B2%E5%A0%B4%20%5BDVD%5D.jpg)






反共キャンペーンに利用された一例として、ジョン・ハラス(1912-1995)&ジョイ・バチュラー(1914-1991)監督により1954年にアニメ映画化されていますが(「ハラス&バチュラー」は1940~70年代にかけて、ヨーロッパで最大、かつ最も影響力のあるアニメーションスタジオだった)、この製作をCIAが支援していたことが後に明らかになっています。アニメ「動物農場」は結末が原作と異なっていて、原作では最後まで「非政治的」な「静観主義者」だったロバのベンジャミンが、ここでは親友のウマのボクサーがブタのナポレオンの陰謀によって悲惨な最期を遂げたのを契機に目覚め、リーダーとなって、外部の動物たちの援軍を得て反乱を起こし、ブタたちを退治するというハッピーエンドになっています。
ハッピーエンドにするのはいいのですが、やや全体的に粗かったかなあという印象で、明らかに大人向けの内容なのに、子どもに受けようとしたのか、動物たちが愛らしい動きを描いた場面がしばしば挿入されていて、そのわざとさしさから逆にCIAが背後にいるのを意識したりしてしまいます(笑)。ただし、宮崎駿監督などはその技術を高く評価していて、'08年、日本でのDVDの発売に先行して「三鷹ジブリ美術館」として配給し、全国各地で上映しています。また、ジョン・ハラスにはアニメーション技法についての多くの著作があり、宮崎駿監督もそれを参考書として読んだとのことです。
また、漫画家の石ノ森章太郎(1938-1998)がこれを漫画化していて(『アニマル・ファーム』(「週刊少年マガジン」1970年8月23日第35号~9月13日第38号)、'70年初刊)、'18年にちくま文庫に収められています。文庫版は字が小さくて読みにくいとの声もありますが、原作の登場人物のセリフをそのまま引いてきているため、文字数が多くなってしまうことによるもので、原作へのリスペクトが感じられ、また、原作の雰囲気を掴む上でもこのセリフの活かし方は良いと思いました。
最後の方だけ、ちょっと端折った感があったでしょうか。ちくま文庫同録の短編2編(「くだんのはは」「カラーン・コローン」)は要らなかったです。「アニマル・ファーム」のみ最後までしっかり描き切ってほしかったけれど、売れっ子漫画家がいくつか抱えている連載のうちの1つとして描いているので、なかなかそうはいかなかった事情があったのかもしれません。5回の連載でここまで盛り込めれば上出来とみなすべきなのかもしれません(アニメより密度が濃い)。
「動物農場」●原題:ANIMAL FARM●制作年:1954年●制作国:イギリス●監督・製作:ジョン・ハラス/ジョイ・バチュラー●製作製作プロデューサー:ルイ・ド・ロシュモン●脚本:ジョン・ハラス/ジョイ・バチュラー/フィリップ・スタップ/ロサー・ウォルフ●撮影:ディーン・カンディ●音楽:マティアス・サイバー●アニメーション:ジョン・F・リード●原作:ジョージ・オーウェル●時間:74分●日本公開:2008/12●配給:三鷹の森ジブリ美術館(評価:★★★)


アイオワ州の田舎町。24歳のギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)は、大型スーパーの進出ではやらなくなった食料品店に勤め、日々の生活は退屈だが、彼には町を離れられない理由がある。知的障害を持つ弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)は彼が身の回りの世話を焼き、常に監視していないと給水塔に登るなどの大騒ぎを起こす。母親ボニー
(ダーレーン・ケイツ)は夫が17年前に突然首吊り自殺を遂げて以来、外出もせず一日中食べ続け、鯨のように太っている。ギルバートはそんな彼らの面倒を、姉のエイミー(ローラ・ハリントン)、妹のエレン(メリー・ケイト・シェルバート)と共に見なければなれなかった。彼は店のお客で、2人の子持ちの人妻のベティ(メアリー・スティーンバージェン)と不倫を重ねていたが、彼
女の夫(ケヴィン・タイ)が気づいているかどうかは不明。ある日、ギルバートは、旅の途中でトレーラーが故障したため母親と沿道にキャンプを張っている女性ベッキー(ジュリエット・ルイス
)と知り合い、2人の仲は急速に深まるも、彼は家族を捨てて彼女と町を出ていくことは出来ない。そんな折、ベティの夫が急死し、人妻は町を出る。一方、アーニーの18歳の誕生パーティの前日、ギルバートは弟を風呂へ入れようとして、苛立ちが爆発し暴力を振るってしまう。居たたまれなくなり家を飛び出した彼の足は、自然にベッキーの元へと向かう。その夜、彼は美しい水辺でベッキーに優しく抱きしめられて眠る。翌日、トレーラーの故障が直ったベッキーは出発する―。
「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」('85年/スウェーデン)のラッセ・ハルストレム監督の1993年公開作。原作は。劇作家ピーター・ヘッジス初の小説『ギルバート・グレイプ』で、脚本も担当しています。ヒューマンドラマとして感動作に仕上がっているのは、原作の良さに拠
る部分も大きいかと思いますが、この監督は家族物を撮るのが上手いと思います。加えて、役者たちも好演しており、公開当時はレオナルド・ディカプリオの演技が話題になりましたが(彼はこの演技で19歳にしてアカデミー助演男優賞にノミネートされた)、主人公ギルバート・グレイプ役のジョニー・デップも、彼と不倫する人妻役のメア
リー・スティーンバージェンも、ベッキー役のジュリエット・ルイスも母親役のダーレン・ケイツ(1947-2017)もみんな良く、更には、この映画が映画初出演だったり、それこそワン・アンド・オンリーの出演者もいるようで、それでいて不自然さを感じさせないのは、監督の演出力の賜物かもしれません。
ネタバレになりますが、母親ボニーはアーニーが再度給水塔に登り警察に身柄を拘束されたのに怒って、家を出てギルバートの運転するクルマで警察へ出向き息子を奪還するも、その太った姿を人々から奇異の目で見られ、再び引き籠り状態となり、アーニーの誕生パーティが終わった後、自ら歩いて階段を登り、2階のベッドで眠るように息を引き取ります。そして、母親の巨体と葬儀のことを思ったギルバートは(クレーンでも使わないと遺体を2階から運び出せない状況だが、そうすれば多くの野次馬が見に来ることが予想される)、母親を「笑い者にはさせない」と決心し、家に火を放ちます。一年後、姉や妹も自分の人生を歩き出していて、ギルバートはアーニーと、町を訪れたベッキーのトレーラーに乗り込み、アーニーが「僕らはどこへ?」と尋ねると、彼は「どこへでも、どこへでも」と答えます。
彼に「自分のこと」を考えるように促したのが、母親とトレーラーで旅する生活を送っているベッキーで、彼に何がしたいのか、どういう人になりたいのかを訊き、ギルバートは「いい人に」なりたいと答えますが、これはそれまでのギルバートの犠牲的な生き方を象徴しているとともに、彼が自分というものを見つめ直し、人妻との関係にピリオドを打つ契機にもなったように思います。
一方で、このベッキーという女性は面白くて、自分を訪ねて来たギルバートに、洗濯物なんか干しながらさらっと、「(カマキリが)どう交尾するか知ってる? オスがメスに忍び寄ると、メスはオスの頭を噛みちぎるの。オスの体は交尾を続けるんだけど、交尾が終わるとメスは残りの体も食べちゃうのよ」というようなことを言います。
ギルバートが置かれている状況のメタファーだと解釈すると、"eat"はそのまま「食い尽くす」という意味にもなり、更に、メス=女性とすれば、ギルバートを喰いつす"メスカマキリ"は人妻のベティであると言えます。ベッキーはギルバートが"メスカマキリに喰われるオスカマキリ"のようだと示唆しているわけですが、ベッキーがギルバートから人妻ベティを引き剥すだけのためにこうした暗喩を用いたというのはやや狭い見方のように思われ、ベッキーはギルバートが自分自身の人生を生きるために、自分が置かれている状況を安易に受容したり、あるいは意識的に見ないようにするのではなく、まず危機感を持って自らを見つめ直すよう促したように思います。
ただし、この考えで行くと、ギルバートが愛した彼の母親にもメスカマキリの話が当て嵌まるように思われ(自殺した夫は"オスカマキリ"か?)、その辺りがなかなかこの映画の微妙なところです。でも実際、知的障害を持つ弟アーニーは18歳になったからといって何か特別に改善が見られるわけではなく、大人になって今後ますます大変そうな感じがするにも関わらず、人妻が去った代わりにベッキーという恋人が出来、さらにギルバートにとって大きな負担となっていた母親は亡くなったことで、つまり"メス"の呪縛から解放されたことで、ギルバートは自分の人生に対してもアニーに対しても、これまでよりずっと前向きになれたのではないかと思われます(ベッキーはギルバートの母親のことを偉いと思っているが、彼女がギルバートに母親との面会を求めたことは、結果として彼女が母親にある種"最後通牒"を突きつけたのと同じことになったようにも思える)。
ョルン・イスファルト●原作:ピーター・ヘッジス●時間:118分●出演:
ジョニー・デップ/レオナルド・ディカプリオ/ジュリエット・ルイス/ダーレン・ケイツ/ローラ・ハリントン/メアリー・ケイト・シェルハート/ジョン・C・ライリー/クリスピン・グローヴァー/メアリー・スティーンバージェン/ケヴィン・タイ/ ペネロープ・ブランニング●日本公開:1994/08●配給:シネセゾン●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(18-07-23)(評価:★★★★☆)


90歳の通称"ラッキー"(ハリー・ディーン・スタントン)は、今日も一人で住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。ヨガをこなしたあと、テンガロンハットを被って行きつけのダイナーに行き、店主のジョー(バリー・シャバカ・ヘンリー)と無駄話をかわし、ウェイトレスのロレッタ(イヴォンヌ・ハフ・リー)が注いだミルクと砂糖多めのコーヒーを飲みながら新聞のクロスワード・パズルを解く。夜はバーでブラッディ・マリーを飲み、馴染み客たちと過ごす。そんな毎日の中で、ある朝突然気を失ったラッキーは、人生の終わりが近いことを思い知らされ、「死」について考え始める。子供の頃怖かった暗闇、逃げた100歳の亀、"生餌"として売られるコオロギ―小さな町の、風変わりな人々との会話の中で、ラッキーは「それ」を悟っていく―。
昨年[2017年]9月に91歳で亡くなったハリー・ディーン・スタントン主演のジョン・キャロル・リンチ監督作品で、ハリー・ディーン・スタントンの遺作となりました。ジョン・キャロル・リンチは本来は俳優で(最近では「
」の創始者マクドナルド兄弟の兄モーリスを演じていた)、この「ラッキー」が初監督作品になります。一方、2017年のTV版「ツイン・ピークス」でハリー・ディーン・スタントンを使ったデヴィッド・リンチ監督が、主人公ラッキーの友人で、逃げてしまったペットの100歳の陸ガメ"ルーズベルト"に遺産相続させようとしとする変な男ハワード役で出演しています(役者として目いっぱい演技している)。
ントンは太平洋戦争時に、映画の中でダイナーの客が語る沖縄戦に実際に従軍している)、映画では少々偏屈で気難しいところのあるキャラクターとして描かれています。自分の言いたいことを言い、そのため周囲の人々と小さな衝突をすることもありますが、でも、ラッキーは周囲の人々から気に掛けられ、愛されていて、彼を受け容れる友人・知人・コミニュティもあるといった
具合で、むしろこれって"ラッキー"な老人の話なのかもと思いました。但し、彼自身はウェット感はなく、どうやら無神論者らしいですが、そう遠くないであろう自らの死に、自らの信念である"リアリズム"(ニヒリズムとも言える)を保ちつつ向き合おうしています。ある意味、精神的"終活映画"と言えるでしょうか。その姿が、ハリー・ディーン・スタントン自身と重なるのですが、孤独でドライな生き方や考え方と、それでも他者と関わりを持ち続ける態度の、その両者のバランスがなかなか微妙と言うか絶妙かと思いました。
ハリー・ディーン・スタントンはこの映画撮影時は90歳で、「八月の鯨」('87年/米)で主演したリリアン・ギッシュ(1893-1993)が撮影当時93歳であったのには及びませんが、「サウンド・オブ・ミュージック」('65年/米)のクリストファー・プラマーが「手紙は憶えている」('15年/カナダ・ドイツ)で主演した際の年齢85歳を5歳上回っています(クリストファー・プラマーはその後「ゲティ家の身代金」('17年/米)で第90回アカデミー賞助演男優賞に88歳でノミネートされ、アカデミー賞の演技部門でのノミネート最高齢記録を更新した)。
ハリー・ディーン・スタントンがこれまでの出演した作品と言えば、SF映画の傑作「エイリアン」や、準主役の「レポマン」、主役を演じた「パリ、テキサス」など多数ありますが、第37回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した、ヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」が特に印象深いでしょうか。この「ラッキー」のエンディング・ロールで流れる彼に捧げる歌の歌詞に「レポマン」「パリ、テキサス」と出てきます。また、米国中西部らしい舞台背景は「パリ、テキサス」を想起させます(ジョン・キャロル・リンチ監督は


「パリ、テキサス」('84年/独・仏)は、失踪した妻を探し求めテキサス州の町パリをめざす男(スタントン)が、4年間置き去りにしていた幼い息子と再会して親子の情を取り戻し、やがて巡り会った妻(ナスターシャ・キンスキー)に愛するがゆえの苦悩を打ち明ける―というロード・ムービーであり、当時まだアイドルっぽいイメージの残っていたナスターシャ・キンスキーに、「のぞき部屋」で働いている生活疲れした人妻を演じさせ新境地を開拓させたヴィム・ヴェンダース監督もさることながら、ハリー・ディーン・スタントンの静かな存在感も作品を根底で支えていたように思いま
す。ヴィム・ヴェンダース監督は、ロマン・ポランスキー監督が文豪トマス・ハーディの文芸大作を忠実に映画化した作品「
ハリー・ディーン・スタントンは、主役だった「パリ、テキサス」に比べると、リドリー・スコット監督の「エイリアン」('79年/米)では、"怪物"に「繭」にされてしまい、最後は味方に火炎放射器で焼かれて
しまう役だったからなあ(それもディレクターズ・カット版の話で、劇場公開版ではその部分さえカットされている)。ただ、あの映画は、英国の名優ジョン・ハートでさえも、エイリアンの幼生(チェスト・バスター)に胸を食い破られるというエグい役でした。最初に観た時はストレートに怖かったですが、最後に生き残るのはシガニー・ウィーバー演じるリプリーのみという、振り返ればある意味「女性映画」だったかも。シリーズ第1作では男性に置き換えられていますが、チェスト・バスターが躰を食い破って出て来るというのは、哲学者・内田樹氏の「街場の映画論」等での指摘もありましたが、女性の出産に対する不安(恐怖、拒絶感)を表象しているのでしょうか。
この恐れは、シガニー・ウィーバー演じるリプリーが完全に主人公となったシリーズ第2作以降、リプリー自身の見る「悪夢」として継承されていきます。「エイリアン2」('86年/米)の監督は、「ターミネーター」のジェームズ・キャメロン。ラストでエイリアンと戦うリプリーが突如「機動戦士ガンダム」風に変身する場面に象徴されるように、SF映画というよりは戦争アクション映
画風で、「1」に比べ大味になったように思います(海兵隊のバスケスという男まさりの女兵士は良かった)。デヴィッド・フィンチャー監督の「エイリアン3」('92年/米)になると、リドリー・スコット監督がシンプルな怖さを前面に押し出した第1作に比べてそう恐ろしくもないし(馴れた?)、ジェームズ・キャメロン監督がエイリアンを次々と繰り出した第2作に較べても出てくるエイリアンは1匹で物足りないし、ラストの宗教的結末も、このシリーズに似合わない感じがしました(「エイリアン」「エイリアン2」は共に優れたSF映画に与えられる「サターンSF映画賞」を受賞している)。
チェスト・バスターの出現がシリーズを象徴する場面として印象に残るという意味では、「エイリアン」でのジョン・ハートの役は、エグいけれどもオイシイ役だったかも。この人、「
そのジョン・ハートも「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」('17年/英)のチェンバレン役を降板したと思ったら、昨年['17年]1月に膵臓ガンで77歳で亡くなっています。「ウィンストン・チャーチル」ではゲイリー・オールドマンがアカデミー賞の主演男優層を受賞していますが、そのゲイリー・オールドマンと、第22回「サテライト・アワード」(エンターテインメント記者が所属する国際プレス・アカデミが選ぶ映画賞)の主演男優賞を分け合ったのがハリー・ディーン・スタントンです。但し、スタントンは"死後受賞"でした。遅ればせながらこれを機に、ジョン・ハートとハリー・ディーン・スタントンに追悼の意を捧げます(「冥福を祈る」と言うと、"ラッキー"から「冥土なんて存在しない」と言われそう)。
そう言えば、ハリー・ディーン・スタントンは生前、"The Harry Dean Stanton Band"というバンドで歌とギターも担当していて、2016年に第1回「ハリー・ディーン・スタントン・アウォード」というイベントが開催され、ホストが今回の作品にも出ているデヴィッド・リンチで、ゲストが「沈黙の断崖」('97年)でハリー・ディーン・スタントンと共演したクリス・クリストファーソンや、「ラスベガスをやっつけろ」('98年)などで共演経験のあるジョニー・デップでしたが(ジョニー・デップの登場はハリー・ディーン・スタントンにとってはサプラズ演出だったようだ)、この「ハリー・ディーン・スタントン賞」って誰か"受賞者"いたのかなあ。

公開:2018/03●配給:アップリンク●最初に観た場所:ヒューマントラストシネマ有楽町(シアター2)(18-04-13)(評価:★★★★)


「ワン・フロム・ザ・ハート」●原題:ONE FROM THE Heart●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:フランシス・フォード・コッポラ●製作:グレイ・フレデリクソン/フレッド・ルース●脚本:アーミアン・バーンスタイン/フランシス・フォード・コッポラ●撮影:ロナルド・V・ガーシア/ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:トム・ウェイツ●時間:107分●出演:フレデリック・フォレスト/テリー・ガー/ラウル・ジュリア/ナスターシャ・キンスキー/レイニー・カザン/ハリー・ディーン・スタントン /アレン・ガーフィールド/カーマイン・コッポラ/イタリア・コッポラ/レベッカ・デモーネイ●日本公開:1982/08●配給:東宝東和●最初に観た場所:目黒シネマ(83-05-01)(評価:★★★)●併映:「ひまわり」(ビットリオ・デ・シーカ)

「エイリアン」●原題:ALIEN●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:リドリー・スコット●製作:ゴードン・キャロル/デヴィッド・ガイラー/ウォルター・ヒル●脚本:ダン・オバノン●撮影:デレク・ヴァンリント●音楽:ジェリー・ゴールドスミス●時間:117分●出演:トム・スケリット/シガニー・ウィーバー/ヴェロニカ・カートライト/ハリー・ディーン・スタントン/ジョン・ハート/イアン・ホルム/ヤフェット・コットー●日本公開:1979/07●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:三軒茶屋東映(84-07-22)(評価:★★★★)●併映:「遊星からの物体X」(ジョン・カーペンター)





「エレファント・マン」●原題:THE ELEPHANT MAN●制作年:1980年●制作国:イギリス●監督:デヴィッド・リンチ●製作:ジョナサン・サンガー●脚色:クリストファー・デヴォア/エリック・バーグレン/デヴィッド・リンチ●撮影:フレディ・フランシス●音楽:ジョン・モリス●時間:124分●出演:ジョン・ハート/アンソニー・ホプキンス/ジョン・ギールグッド/アン・バンクロフト●日本公開:1981/05●配給:東宝東和●最初に観た場所:不明 (82-10-04)(評価:★★★☆)

1954年、シェイクミキサーのセールスマン、レイ・クロック(マイケル・キートン)に8台もの注文が飛び込む。注文先はマック(ジョン・キャロル・リンチ)とディック(ニック・オファーマン)のマクドナルド兄弟が経営するカ
リフォルニア州南部にあるバーガー・ショップ「マクドナルド」だった。合
理的なサービス、コスト削減、高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したクロックは兄弟を説得し、「マクドナルド」のフランチャイズ化を展開する。しかし、利益を追求するクロックと兄弟の関係は次第に悪化し、クロックと兄弟は全面対決へと発展してしまう―。
ジョン・リー・ハンコック監督の2016年製作映画(本国公開2016年12月7日、日本公開2017年7月29日)で、「マクドナルド」の"創業者"(founder)"レイ・クロックの成功とその裏側を描いた実話風ビジネスドラマです。レイ・クロックの「マクドナルド」に纏わる話は、本で読んだり(自伝『成功はゴミ箱の中に』

壮大なフランチャイズ・ビジネスで利益を追求しようとするレイ・クロックと、小規模でも堅実な道を歩もうとするマクドナルド兄弟との確執に焦点を当てていて、フェイスブックの創業者間の対立を描いた「
この映画の日本版のキャッチ・コピーの1つに「英雄か。怪物か。」というのがありますが、本国版のキャッチ・コピーは"He took someone else's idea and America ate it up."で、「他人のアイデア」とあるように、30秒以内に注文客に商品を渡すといったマクドナルドのコンセプト自体は、レイ・クロックの独創ではないことをより明確に打ち出しています。この映画はマクドナルド社の協力無しに作られているわけですが、それでもレイ・クロックという人物を、アクの強さがあるにせよ、進取の気性に富み、スモール・ビジネスをビッグ・ビジネスに変えた傑物として描いている部分が大きいように思いました。
中盤でレイ・クロックが、人から"創業"はいつか聞かれて答えに窮する場面があったのが印象に残りました(創業したのはマクドナルド兄弟だから)。それが、ビジネスが拡張すると、彼自身が"ファウンダ―(創業者)"を名乗るようになり、終いにはマクドナルド兄弟から経営権を全面的に買い取って、兄弟には「マクドナルド」という名を使わせないようにします。マクドナルド兄弟に「マクドナルド」という名を使わせないというのもスゴイですが、兄弟が交換条件として求めた「永続的に利益の1%」を支払うという件については、契約書には記さず"紳士協定"ということにして、必ず守ると言いながら反故にし、兄弟の店はやがて閉店することになったことを映画は最後に伝えています。
こうした「目的のためには手段を選ばず」的な面はあるものの、52歳のうだつの上がらないシェイクミキサーのセールスマンだった男が、あれよあれよという間に外食産業の帝国を築いてしまうというのは、まさにアメリカン・ドリームを象徴するような話であるには違いありません。成功の条件は、ひたすら「根気強く」ということでしょうか。但し、映画で描かれる彼は、人の能力(やる気と言うべきか)を見抜く才能があり、そうして得た人材を適材を適所に配置することに長け、また、いいタイミングで自身の右腕となる参謀的な人物と出会えたという運もあったようです。
KFCはフランチャイズ・ビジネスという点でもマクドナルドのずっと先輩格にあたるわけですが、マクドナルドもフランチャイズ・ビジネス抜きには考えられないわけで、そうした観点から見ればレイ・クロックも"ファウンダ―(創業者)"と言えなくはないと思います。彼は「マクドナルド」という商標にこだわったため、マクドナルド兄弟との対立が深まったという気もします。なぜ、「クロック」とせず「マクドナルド」にこだわったのかが、映画の中でも、また本物のレイ・クロックが登場する記録映像の中でも明かされていたのが興味深かったです(両親はチェコ系ユダヤ人であり、クロックという姓は当時の米国ではマイノリティ=被差別層を想起させる姓ということになる)。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」('14年)でアカデミー主演男優賞にノミネートされたマイケル・キートンがレイ・クロックを好演しています。マイケル・キートン主演のビジネス・ムービーと

「バットマン」で彼が演じたバットマンはとにかく暗く、映画自体が暗かったです。ロビンも出てこないし、昔テレビでやっていた実写版の「怪鳥人間バットマン」('66‐'67年)とは随分違う感じがしました。映画は米国ではヒットしたようですが、日本では宣伝の割りにはイマイチだったように思います。"ジョーカー"を演じたジャック・ニコルソンのギャラの高さが話題になった記憶があります。
シリーズ第2作の「バットマン・リターンズ」は、ペンギン男にダニー・デヴィート、新登場のキャット・ウーマンにミシェル・ファイファーを配しましたが、共に主役のマイケル・キートンを完全に喰ってしまう怪演を見せ、第1作よりちょっとだけ面白かったかも。何れにせよ、マイケル・キートンは、主演であるのに第1作でジャック・ニコルソンに喰われ、第2作でダニー・デヴィート、ミシェル・ファイファーに喰われるという損な役回りだったようにも思います。
話を「バッドマン」第1作に戻して、ゴッサムシティの裏社会を牛耳るマフィアのグリソム(ジャック・ニコルソン演じるグリソムの部下でその右腕だったジャック・ネーピアは、グリソムの愛人に手を出してその怒りを買って罠に嵌められ、化学工場で警官隊に追い詰められ、そこに現れたバットマンと格闘の末に化学薬品の液槽に転落してしまい、一命は取りとめたものの肌は真っ白に漂白され、顔面は麻痺、精神に異常をきたしてしまい、そこから「ジョーカー」と名乗り始めて、グリソムら裏社会の大物たちを次々と殺害し、街を支配するようになるというのが話の流れ。ジョーカーとバッドマンの間にはもともと因縁があったというとになる)を演じたのが「
この年はシルヴェスター・スタローン、カート・ラッセルがライバル刑事役でダブル主演したアクション映画「デッドフォール」('89年/米)でも犯罪組織のボスを演じ、二人の刑事を抹殺できないまでも失脚させるべく罠を仕掛け、押収品を横流しする悪徳刑事として、果てにはFBI捜査官殺しにまで仕立て上げるという役でで出ています。スタローンが時折みせるコメディタッチはイマイチ。一方、カート・ラッセルはアクションでスタローンに拮抗していました。でも、個人的には、老ジャック・パランスの悪役が嬉しかったです。ただし、「
「ファウンダー ハンバー
ガー帝国のヒミツ」●原題:THE FOUNDER●制作年:2016年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・リー・ハンコック●製作:ドン・ハンドフィールド/ジェレミー・レナー/アーロン・ライダー●脚本:ロバート・シーゲル●撮影:ジョン・シュワルツマン●音楽:カーター・バーウェル●時間:115分●出演:マイケル・
キートン/ニック・オ
ファーマン/ジョン・キャロル・リンチ/リンダ・カーデリニ/パトリック・ウィルソン/B・J・ノバク/ローラ・ダーン/ジャスティン・ランデル・ブルック/ケイト・ニーランド●日本公開:2017/07●配給:KADOKAWA●最初に観た場所:渋谷シネパレス(旧渋谷パレス座)(17-07-30)(評価★★★☆)





「ガン・ホー」●原題:GUNG HO●制作年:1986年●制作国:アメリカ●監督:ロン・ハワード●製作:デボラ・ブラム/トニー・ガンツ●脚本:ローウェル・ガンツ/ババルー・マンデル●撮影:ドナルド・ピーターマン●音楽:トーマス・ニューマン●時間:11
1分●出演:マイケル・キートン/ゲディ・ワタナベ/ミミ・ロジャース/山村聰/クリント・ハワード/サブ・シモノ/ロドニー・カゲヤマ/ジョン・タトゥーロ/バスター・ハーシャイザー/リック・オーヴァートン●日本公開:(劇場未公開)VHS日本発売:1987/11●発売元:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン(評価:★★★☆)




「ダークナイト」●原題:THE DARK KNIGHT●制作年:2008年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:クリストファー・ノーラン●製作:クリストファー・ノーラン/チャールズ・ローヴェン/エマ・トーマス●脚本:クリストファー・ノーラン/ジ
ョナサン・ノーラン●撮影:ウォーリー・フィスター●音楽:ハンス・ジマー/ジェームズ・ニュートン・ハワード●原作:ボブ・ケイン/ビル・フィンガー「バットマン」●時間:152分●出演:クリスチャン・ベール/ヒース・レジャー/アーロン・エッカート/マギー・ジレンホール/マイケル・ケイン/ゲイリー・オールドマン/モーガン・フリーマン/メリンダ・マックグロウ/ネイサン・ギャンブル/ネスター・カーボネル●日本公開:2008/08●配給:ワーナー・ブラザース(評価:★★★☆)

「怪鳥人間バットマン」(Batman) (ABC 1966~1968) ○日本での放映チャネル:フジテレビ(1966~1967)/WOWOW
「デッドフォール」●原題:TANGO & CASH●制作年:1989年●制作国:アメリカ●監督:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー●製作:ジョン・ピーターズ/ピーター・グーバー●脚本: ランディ・フェルドマン●撮影:ドナルド・E・ソーリン●音楽:ハロルド・フォルターメイヤー●時間:106分●出演:シルヴェスター・スタローン/カート・ラッセル/ジャック・パランス/テリー・ハッチャー/ジェフリ
ー・ルイス/エドワード・バンカー/ブライオン・ジェームズ/ロバート・ツダール/ジェームズ・ホン/マルク・アレイモ/マイケル・J・ポラード/マイケル・ジェッター/フィル・ルーベンスタイン/フィリップ・タン/ルイス・アークエット/ロイ・ブロックスミス/クリント・ハワード/グレン・モーシャワー●日本公開:1990/03●配給:ワーナー・ブラザース(評価:★★★)




ロンドンの保険会社で、ポアロ(ピーター・ユスティノフ)が模造宝石に保険をかけようとしたホレス・ブラット(コリン・ブレークリー)の調査を依頼される。ポアロは彼に会い、「結婚の約束をした女優のアリーナ・マーシャル(ダイアナ・リグ)に20万ドルの宝石を与えたが、彼女が他の男と結婚したので、宝石を取り戻したところ模造品だった」と聞かされる。当のアリーナはアドレア海の孤島のホテルで休暇を過ごす予定であり、ポアロもそこへ赴く。ホテルの女主人ダフネ(マギー・スミス)はタイラニア国王の元愛人で、手切れ金代りにこのホテルを貰ったのだった。アリーナとは昔一緒に舞台に出たことがあり、二人は再会すると互いに笑いながら嫌味を言い合う。アリーナが新夫ケネス・マーシャル(デニス・クイリー)、ケネスと前妻との間の子リンダ(エミリー・ホーン)と共に着いたホテルには、彼女を再び舞台に復帰させようというプロデューサーのオーデル・ガードナ
ー(ジェームズ・メイソン)と妻の
マイラ(シルヴィア・マイルズ)、彼女の伝記を執筆したジャーナリストのレックス・ブルースター(ロディ・マクドウォール)が待っていたが、彼女は女優業への復帰も伝記の出版も拒否する。そして、ホテル客のハンサムなラテン語教師パトリック・レッドファン(ニコラス・クレイ)と大っ
ぴらにいちゃつき、人々の非難の目を浴びる。アリーナのことでパトリックが妻クリスティン(ジェーン・バーキン)と喧嘩しているのを、多くの人が聞きつける。ある日、ホテルを一人で出たアリーナは、ホテルと反対側の海岸の浜辺で日光浴をしていた。パトリックとマイラがボ
ートでその浜辺へ。パトリックが横になっている彼女の所へ行くと彼女の死を発見。マイラの知らせを受けたダフネの依頼でポワロが捜査にあたる。皆それぞれに犯行動機があったが、ポアロは死亡推定時刻の11時半から12時までの全員のアリバイ
を訊くと、誰にとってもアリーナ殺害は不可能だった。リンダとクリスティンは死体発見現場とは反対側の海辺で海水浴とスケッチをしていたし、ケネスは部屋でタイプを打っていたし、レックスはボートで別の海上にいて、ダフニネは従業員とミーティングをし、窓からオーデルが庭で読書しているのを目撃していた。皆がホテルを去る日、ポワロは皆を集めて犯人を指摘する―。

原作の登場人物の内、ミリー・ブルースターが男性に変更され、レックス・ブルースター(ロディ・マクドウォール)になっているほか、ブルースターがパトリック・レッドファンと共にアリーナの遺体を発見する部分は、オーデル・ガードナーの妻マイラ(シルヴィア・マイルズ)にその役割を置き換えられています。更に、ケネス・マーシャルのことを心配する有名ドレスメーカーのロザモンド・ダーンリーは登場せず、その役割は一部、原作には無いホテルの女主人ダフネ(マギー・スミス)に置き換えられているといった感じです。
原作の舞台は英国内ですが、それをアドリア海にあるティラニア島(架空の島)に改変しています。実際のロケ地はスペインのマヨルカ島付近のドラゴネーラ島であり(ホテル内の壁にかかっている島の地図(文庫カバー図と同じ)と島の空撮映像で見る形とが一致していない(笑))、美しい風景をバックにコール・ポーターの名曲が
流れ、陽光に満ちたリゾート感、優雅な贅沢感が溢れる作品になっています。一方、一部登場人物の改変はあるものの、プロットはほぼ原作に沿っています(原作が精緻なプロットであるため、基本的には殆どいじりようがないのだが)。
そのことを意識してか、最後にポワロが犯人だと名指して推理を展開した容疑者が、話としては面白いが証拠がどこにもないと反駁し、悠々とその場を立ち去ろうとするという映画オリジナルの場面があって、それに対してポワロがどう対処したかという独自の"捻り"が加えられています。イギリス映画であって、多くの観客がクリスティの原作の結末を知っているため、敢えてこうしたシークエンスを加えたのではないかとも思われ、また、「
アリーナ・マーシャルを演じたダイアナ・リグ(Diana Rigg)は、「女王陛下の007」('69年)のボンドガールで、娘のレイチェル・スターリング('77年生まれ)も女優であり、「
パトリック・レッドファンの妻クリスティンを演じたジェーン・バーキン(Jane Birkin)は、「
ナイル殺人事件」に続いての出演で、10代で既にミケランジェロ・アントニオーニ監督の「
せたという出来事は'84年のこと。以降、女優業、歌手業をこなしながらカジュアル系のファッション・リーダーとしても今日まで活躍し続けていますが、この映画の頃はまだ"着せ替え人形"みたいな感じ。夫パトリック役のニコラス・クレイはシルビア・クリステル主演の「チャタレイ夫人の恋人」('81年/英・仏)で重要な役どころの森番役を演じるなどしましたが、残念ながら2000年に肝癌で亡くなっています。
「地中海殺人事件」●原題:EVIL UNDER THE SUN●制作年:1982年●制作国:イギリス●監督:ガイ・ハミルトン●製作:ジョン・ブラボーン/リチャード・グッドウィン●脚本:アンソニー・シェーファー/バリー・サンドラー●撮影:クリストファー・チャリス●音楽:コール・ポーター●原作:アガサ・クリスティ「白昼の悪魔」●時間:117分●出演:ピーター・ユスティノフ/コリン・ブレイクリー/ジェーン・バーキン/ニコラス・クレイ/マギー・スミス/ロディ・マクドウォール/ジェームズ・メイソン/ダイアナ・リグ/シルヴィア・マイルズ/デニス・クイリー/エミリー・ホーン●日本公開:1982/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:有楽座(82-12-28)(評価★★★☆)



1942年、トラウドゥル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)は数人の候補の中からヒトラー総統(ブルーノ・ガンツ)の個人秘書に抜擢された。1945年4月20日、ベルリン。第二次大戦は佳境を迎え、ドイツ軍は連合軍に追い詰められつつあった。ヒトラーは身内や側近と共に首相官邸の地下要塞へ潜り、ユンゲもあとに続く。そこで彼女は、冷静さを失い狂人化していくヒトラーを目の当たりにするのだった。ベルリン市内も混乱を極め、民兵は武器も持たずに立ち向かい、戦争に参加しない市民は親衛隊に射殺されていく。そして側近たちも次々と逃亡する中、ヒトラーは敗北を認めず最終決戦を決意するが―。
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の2004年作品で、ヨアヒム・フェストによる同名の研究書『ヒトラー 最期の12日間』('05年/岩波書店)、およびヒトラーの個人秘書官を務めたトラウドゥル・ユンゲの証言と回想録『私はヒトラーの秘書だった』('04年/草思社)が本作の土台となっています。映画はヒトラーが地下の要塞で過ごした最期の12日間に焦点を当て、トラウドゥル・ユンゲの目を通して、歴史的独裁者の知られざる側面を浮き彫りにしていくほか、混乱の中で国防軍の軍人やSS(親衛隊)隊員らが迎える終末、宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルス一家の最期、老若男女を問わず戦火に巻き込まれるベルリン市民の姿にも焦点が置かれています。
この映画の圧巻は、ブルーノ・ガンツ(1941-2019)が演じる、次第に冷静さを失い狂人化していくヒトラーではないでしょうか。その演技は話題になり、動画投稿サイトにおいて台詞パロディの題
材として広く用いられています(日本では「総統閣下シリーズ」と銘打たれている)。ただ、ブルーノ・ガンツの演技ばかりでなく、ヒトラーが総統官邸地下壕から出てきてヒトラー・ユーゲントを激励するシーンなどは、実際の記録映像を忠実に再現していて(元になった記録映像は生前のヒトラー最後の映像として残っているもの)、作りの細かさからリアリティを感じさせるものとなっています(ゲッペルスの6人の子供達も本モノそっくりしのようだ)。
しかし、この映画に描かれていることが全て真実かと言うと、例えば、地下要塞の最後の生き残りだった(この映画にも登場する)親衛隊曹長で地下壕の電話交換手ローフス・ミッシュ(1917-2013/享年96)は、映画は全く事実と異なっていると言い、ヒトラーが映画みたいに怒鳴ってばかりいたというのは誇張で、また、将校らが地下壕内で乱痴気パーティのようなことをしたことも無かったとのことです(ルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」('69年/伊)の影響?)
そもそもこの映画の原作者の一人、ヒトラーの秘書だったトラウデル・ユンゲ(1920-2002/享年81)の父は積極的なナチス協力者であり、また、彼女の夫は親衛隊将校だったとのことで、その証言の中立性に疑問を挟む向きもあるようです。彼女は、出版社の勧めで1947 - 48年に本を執筆しましたが「このような本は関心を持たれない」という理由で出版されなかったのが、『アンネの伝記』の著者メリッサ・ミュラーと2000年に知り合い、その協力を得て2002年に初の回顧録『最期の時まで―ヒトラーの秘書が語るその人生』を出版したとのこと。その回顧録の内容に関するインタビューの様子がドキュメンタリー映画に収められ(ベルリン映画祭観客賞)、2002年2月、この映画の公開数日後に死去しています(この「ヒトラー~最期の12日間~」でも、冒頭と最後にも生前の彼女のインタビューが出てくる)。
トラウデル・ユンゲは戦後比較的早くからヒトラーの最期について証言していますが、ローフス・ミッシュは彼女がそうした証言によって金を稼いだと批判しています。そのローフス・ミッシュ自身も1970年代からドキュメンタリー映画に登場するようになり、特に1990年代以降、ヒトラーや第二次世界大戦に関する番組によく登場していたとのことです。2006年にも「最後の証人―ロフス・ミシュ」と題するテレビ・ドキュメンタリー番組に出演、『ヒトラーの死を見とどけた


全体としては概ね事実に忠実だという評価のようですが、細部においては何が真実なのか、証言者の数だけ"真実"があって分からないということなのかもしれないです(歴史とはそういうものか)。但し、映画としては、最初はまともだったのが次第におかしくなり、最後はすっかり狂人化していくヒトラーと、最初はヒトラーに忠誠を誓っていたものの次第にその行いに疑問を感じるようになり、それでも従来の"忠誠パターン"から抜け出せないまま、最後はその異様な変貌ぶりに驚きつつ、どうにもすることも出来ずにいる取り巻き将校たちという構図が、一つの大きな見せ所となっているように思いました(ゲッペルス夫妻のように狂的に最後までヒトラーに追従して行く者もいたが、これはごく一握りか)。
今どきのビジネス書風に言えば、上司を諌めるフォロワーシップが働かなかったということでしょうか。たとえ合理的な観点から或いは良心の呵責からヒトラーに物申す将校がいたとしても、それを撥ねつ
けて二度と自分に口答えさせないだけの迫力ある(?)狂人と化したヒトラーを、ブルーノ・ガンツは力演していたように思います。普通ならば"浮いて"しまうようなオーバーアクションなのですが(パロディ化されるだけのことはある?)、オーバーアクションであればあるほど風刺や皮肉が効いてくる映画でした。
但し、この映画で良心的な人物として描かれている医官のエルンスト=ギュンター・シェンク親衛隊大佐(クリスチャン・ベルケル)は、強制収容所で人体実験を行って多数の犠牲者を出したとされており、民間人の犠牲者を回避するよう繰り返し訴えるヴィルヘルム・モーンケ親衛隊少将(アンドレ・ヘンニック)は、史実においては少なくとも2度に渡り彼の指揮下の部隊が戦争捕虜を虐殺した疑いが持たれているとのことです。同監督の「
の秘書だった Bis zur letzten Stunde」●時間:156分●出演:ブルーノ・ガンツ/アレクサンドラ・マリア・ララ/ユリアーネ・ケーラー/トーマス・クレッチマン/コリンナ・ハルフォーフ/ウルリッヒ・マテス/ハイノ・フェルヒ/ウルリッヒ・ヌーテン/クリスチャン・ベルケル/アレクサンダー・ヘルト/ハインリヒ・シュミーダー/トーマス・ティーメ●日本公開:2005/07●配給:ギャガ●最初に観た場所:渋谷・シネマライズ(05-09-24)(評価:★★★★) ウルリッヒ・マテス(ヨーゼフ・ゲッベルス)・ブルーノ・ガンツ(アドルフ・ヒトラー)


刑務所を裏取引で出所したドク・マッコイ(スティーブ・マックイーン)は、引き換えに、取引相手のテキサスの政界実力者ベニヨン(ベン・ジョンソン)の要求で、妻キャロル(アリ・マッグロー)と銀行強
盗に手を染める。ベニヨンからはルディ(アル・レッティエリ)とジャクソン(ボー・ホプキンズ)が助手兼ドクの監視役として送り込まれ、綿密な計画の末に強盗は何とか成功するが、ジャクソンが銀行の守衛を射殺してしまう。ルディは目撃者に面が割れたジャクソンを車内で射殺し、今度はドクに銃を向けるが、ドクの銃が先に火を吹く。ドクは、銀行から奪った金を約束通りベニヨンの元に運び込ぶが、キャロルの様子がおかしく、実はベニヨンとキャロルは男女の関係にあり、当初はドク
を裏切って消す考えだったのだ。しかし、キャロルはドクではなくベニヨンを射殺する。ドクは逃走中に車を止め、嫉妬と怒りからキャロルを殴り倒す。一方のルディは、防弾チョッキ
のお蔭で死んでおらず、獣医の家に押し入り、ドクに撃たれた肩の治療をしていたが、ベニヨンの死を知り、ドクの追跡を開始する。ドクは町で自分が指名手配になっているのを知ってショットガンを
買い求め、警察に追われながらも逃げて、エルパソのホテルに辿り着く。だが、そこへはルディが先回りしていて、ベニヨンの手下も向かっていた。ルディがホテルに現れ、ドグが彼を殴り倒した時に今度はベニヨンの手下が現れて大銃撃戦が始まるが、ドクのショットガンで全員が倒され、ルディも射殺される。ドクはホテルからメキシコ人の老人のトラックに乗り込み、国境を越えたところで老人からトラックを買取り、夫婦はメキシコ側へ消えていく―。
しかしながら故・淀川長治は、必ずしも2人の未来は明るいと示唆されているわけではないと言っており、これは、原作にこの続きがあって、バッドエンディンが待ち受けていることを指していたのでしょうか。但し、原作における主人公のキャラクターは極悪人に近く、取引上やむなく銀行強盗をする映画の主人公とはかなり異なるようです。個人的には、この映画のラストには、やはり何となくほっとさせられます。
妻役のアリ・マックグローは銃を扱ったことがなく、マックイーンが銃の撃ち方を教えて銃に慣れさせたりもしたそうです
が、「ある愛の詩」('70年)の白血病で死んでいく女子大生よりは、こちらの方が"演技開眼"している印象です。でも、この作品での共演をきっかけにマックイーンと結婚し、この後2本だけ映画に出て実質的に映画界を引退してしまいました。6年後に離婚してしまったことを考えると惜しい気もしますが、2006年に68歳で Festen(映画「セレブレーション」の舞台化)でブロードウェイ・デビューを果たしています。
一方、「ある愛の詩」で共演したライアン・オニールは、その後「ペーパー・ムーン」('73年)、「バリー・リンドン」('73年)などに主演するなどして活躍しましたが、2001年に慢性白血病に冒されていることが判明し、また、パートナーであったファラ・フォーセットのガンによる死(2009年6月25日、マイケル・ジャクソンと同じ日に亡くなった)を看取るとともに、自身も前立腺がんであることが公表(2012年)されていて、こちらはかなりタイヘンそうだなあと(2023年12月8日逝去・82歳没)。
「ある愛の詩」は、エリック・シーガルによる同名の小説が原作ですが、未完の小説を原作として映画の製作が始まり、先に映画が完成し、映画の脚本を基に小説が執筆された部分もあるそうです。先に小説が刊行され、その数週間後に映画が公開されており、今で言う"メディアミックス"のはしりでした。ペーパーバックを読みましたが、初めて英語で読んだ小説の割には読み易かったのは、ある種ノベライゼーションに近かったせいもあるかもしれないし、ストーリーが古典的で結末が見えているせいもあったかもしれません。この映画のヒットの後、難病モノの映画が幾つか続いた記憶があります(アメリカ人は白血病モノが好きなのか?)。
この映画がアメリカでヒットしたことについて、映画監督の大林宣彦氏はアメリカで封切り時にこの作品を現地で観ていて、ベトナム戦争で疲弊したアメリカが、本音ではこのような純愛ドラマを求めている時代感覚を肌で感じていたとのこと。但し、この映画の作られた1970年と言えばまだベトナム戦争の最中ですが、映画内にその影は一切見えません(最初観た時は"ノンポリ"恋愛映画だと思ったが、今思えば意図的にそうしていたのか)。日本でもヒットしたのは、古典的なストーリーに加えて、
因みに、主人公のオリバー・バレット4世(ライアン・オニール)のルームメイト役で無名時代のトミー・リー・ジョーンズ(当時24歳)が出演していますが、その後3年間は映画の仕事がなく、彼の無名時代は長く続き、オリバー・ストーン監督の「
ライアン・オニール 2023年12月8日逝去。(82歳没)
(●ライアン・オニールが亡くなった。「ある愛の愛の詩」('70年)の興行的成功や「ザ・ドライバー」('78年)といった渋い作品もあるが、代表作はと言うとやはり「ペーパー・ムーン」('73年)と「バリー・リンドン」('73年)になるのではないか。「ペーパー・ムーン」は泣けた。原作はジョー・デヴィッド・ブラウンの小説『アディ・プレイ』だが、日本では『ペーパームーン』の題名でハヤカワ文庫 から刊行された。ライアン・オニールとテータム・オニールの父娘共演で話題になり、本国では年間トップの興行収入を得、1973年の第46回アカデミー賞ではテータム・オニールが史上最年少で助演女優賞を受賞したが、その後、彼女が思ったほど伸びなかったことを思うと、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の演出力がやはり大きかったか、または、父親ライアンの導き方が上手かったのか(個人的評価は、初見の時の感動に沿って★★★★☆)。
「バリー・リンドン」は、スタンリー・キューブリック監督が、18世紀のヨーロッパを舞台とし、ウィリアム・メイクピース・サッカレーによる小説"The Luck of Barry Lyndon"(1844年)を原作としたもので、アカデミー賞の撮影賞、歌曲賞、美術賞、衣裳デザイン賞を受賞した。世評は「ペーパー・ムーン」よりむしろ「バリー・リンドン」の方が上か。ただ、"ライアン・オニール"に目線を合わせると、主人公でを演じる彼が抑制を効かせた演技をすることで回りを浮き立たせているので、彼自身はやや背景に埋没している印象も受けなくもない。ラストの決闘シーンにおいてさえそう感じる。そこがキューブリック監督の演出のやり方なのだろうが(個人的評価は★★★★)。)
「ゲッタウェイ」●原題:THE GETAWAY●制作年:1972年●制作国:アメリカ●監督:サム・ペキンパー●製作:デヴィッド・フォスター/ミッチェル・ブロウアー●脚本:ウォルター・ヒル●撮影:ルシアン・バラード●音楽:デイヴ・グルーシン●原作:ジム・トンプスン●時間:122分●出演:スティーブ・マックィーン/アリ・マックグロー/ベン・ジョンソン/アル・レッティエリン/スリム・ピケンズ/リチャード・ブライト/ジャック・ダドスン/ボー・ホプキンス/ダブ・テイラー●日本公開:1973/03●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:高田馬場パール坐(77-12-10)●2回目:自由が丘・武蔵野推理(84-09-23)(評価★★★★)●併映(1回目):「パピヨン」(フランクリン・J・シャフナー)●併映(2回目):「48時間」(ウォルター・ヒル)
「ある愛の詩」●原題:LOVE STORY●制作年:1970年●制作国:アメリカ●監督:アーサー・ヒラー●製作:ハワード・ミンスキー●脚本:エリック・シーガル●撮影:リチャード・クラディナ●音楽:フランシス・レイ●原作:エリック・シーガル●時間:99分●出演:ライアン・オニール/アリ・マックグロー/ジョン・マーレー/レイ・ミランド/キャサリン・バルフォー/シドニー・ウォーカー/ロバート・モディカ/ラッセル・ナイプ/トミー・リー・ジョーンズ ●日本公開:1971/03●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:三鷹オスカー(80-11-03)(評価★★★)●併映:「おもいでの夏」(ロバート・マリガン)/「フォロー・ミー」(キャロル・リード)
「ペーパー・ムーン」●原題:PAPER MOON●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督・製作:ピーター・ボグダノヴィッチ●脚本:アルヴィン・サージェント●撮影:ラズロ・コヴァックス●原作:ジョー・デヴィッド・ブラウン●時間:103分●出演:ラ
イアン・オニール/テータム・オニール/マデリーン・カーン/ジョン・ヒラーマン/P・J・ジョンソン/ジェシー・リー・フルトン/ェームズ・N・ハレル/リラ・ウォーターズ/ノーブル・ウィリンガム/ジャック・ソーンダース/ジョディ・ウィルバー/リズ・ロス/エド・リード/ドロシー・プライス/ドロシー・フォースター/バートン・ギリアム/ランディ・クエイド●日本公開:1974/03●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:名画座ミラノ(77-12-18)●2回目:名画座ミラノ(77-12-18)(評価★★★★☆)
「バリー・リンドン」●原題:BARRY LYNDON●制作年:1975年●制作国:イギリス・アメリカ●監督・製作・脚本:スタンリー・キューブリック●撮影:ジョン・オルコット●音楽: レナード・ローゼンマン●原作:ウィリアム・メイクピース・サッカレー●時間:185分●出演:ライアン・オニール/マリサ・ベレンソン/ハーディ・クリューガー/ゲイ・ハミルトン/レオナルド・ロッシーター/アーサー・オサリヴァン/ゴッドフリー・クイグリー/パトリック・マギー/フランク・ミドルマス●日本公開:1976/07●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:飯田橋・ギンレイホール(79-02-05)(評価★★★★)


1808年、スペイン・トレド。ナポレオン占領下の地で、抵抗するスペイン人が処刑される。「自由くたばれ!」という彼らの叫び。場面は変わり現代のパリ。少女がある紳士より絵葉書を貰い、母親のフーコー夫人(モニカ・ヴィッティ)にそれを見せる。「いやらしい!」という夫人と夫のフーコー氏(ジャン=クロード・ブリアリ)はやがて興奮していく。絵葉書は風景物である。翌朝、不眠症
が昂じて寝室をダチョウが歩き回るのが見えてしまったフーコー氏は医者(アドルフォ・チェリ)の所へ。すると看護婦(ミレナ・ヴコティッチ)が休暇を願っている。1泊2日の休みに彼女は父の家へ向かうが、途中で宿屋に1泊。主人(ポール・フランクール)の
案内でチェック・インしたが、伯母(エレーヌ・ペルドリエール)と甥の恋人達やマゾ男などが泊まっていた。看護婦は賭博好きの牧師らとトランプをしている。早朝、彼女は車で出発。同乗した教授(フランソワ・メーストル)は街で降り、憲兵隊本部で講義する。訓練、事故発生等で生徒は減って2人だけ。「習俗の変化」と題し、教授は友人の家での出来事を話す。食事はトイレで、トイレはテーブルの前の椅子=便器で、という話。講義を終え街へ出た2人の生徒=警官は、ルジャンドル(ジャン・ロシュフォール)をスピード違反で捕まえた。彼はガンで、1人娘が行方不明。早速彼は娘をつれて警察へ行き、この娘が誘拐
されたと訴える。捜査は開始され、ライフル乱射魔が捕まり、死刑宣告後に釈放されヒーローになる。ルジャンドルは警視総監(ジュリアン・ベルトー)に娘が発見されたと聞かされ、妻(パスカル・オードレ)の連れてきた娘と再会。総監は墓地へ行き、死んだ妹(アドリアーナ・アスティ)の棺桶を開けようとして逮捕される。そして警察でもう1人の総監(ミシェル・ピッコリ)と対面、酒を飲む2人は、動物園へ入っていく。そして動物達にダブって、あの「自由くたばれ!」の叫びがこだましてくる―。
1974年製作・公開のルイス・ブニュエル(1900-1983)監督作で、非日常的なブラック・ユーモアの世界をオムニバス形式で描いた作品です。それぞれのエピソードは緩やかに繋がっていますが(主役が)バトンタッチするかのように変わっていく)、全体として纏まった体系的ストーリーがるわけではありません。加えて、何れのエピソードにおいても設定が不条理であるため、ストーリーを書いたところで、「何のこっちゃ分からん」ということになるかも。例えば、娘が行方不明だというルジャンドルは、娘を連れて警察に行き、この娘が誘拐されたと説明する訳で、その訴えを訊いて警察が捜査に乗り出すというストーリー自体がナンセンスであり、完全に不条理です。
それでもブニュエル作品の中では分かり易い方の部類とされているようで、確かにシュールでブラックですが、現代ではそれほど刺激的でもなかったりする面もあります。ただ、最初に観た時は、風刺の意味を読み解こうとして、逆にあまり楽しめなかったかも。1度観に行ってよく分からなくて再度観に行ったりしましたが、強いて言えば、世間で言われる「常識」や「モラル」といったものも一つの囚われでに過ぎないことを示唆しているのでしょうか。ブニュエル自身が、この作品は「『
あまり深く考えず、ブニュエルのコメディ(ナンセンス・コメディ?)と割り切って、次から次へと出てくる「常識破壊」を、ジャン=クロード・ブリアリ、モニカ・ヴィッティ、ミシェル・ピコリらの真面目くさった演技と、ピエール・ギュフロワ(1926-2010)の美術的映像美とともに楽しめばいいのかも。「
「自由の幻想」●原題:LE FANTOME DE LA LIBERTE(英:THE PHANTOM OF LIBERTY)●制作年:1974年●制作国:フランス●監督:ルイス・ブニュエル●脚本:ルイス・ブニュエル/ジャン=クロード・カリエール●製作:セルジュ・シルベルマン●撮影:エドモン・リシャール●時間:104分●出演:ジャン=クロード・ブリアリ/モニカ・ビッティ/ミシェル・ピコリ/ジャン・ロシュフォール/パスカル・オードレ/ポール・フランクール/アドリアーナ・アスティ/ベルナール・ベルレー/アドルフォ・チェリ●日本公開:1977/11●配給:東宝東和●最初に観た場所:池袋文芸坐(78-10-28)●2回目:大塚名画座(78-11-07)(評価★★★☆)●併映(1回目):「サテリコン」(フェデリコ・フェリーニ)●併映(2回目):「


1815年、フランス革命後の王政復古下、飢えた姪のためにパンを1つ盗み20年の刑に受けていたジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、19年目で仮釈放となるも、身分
証の危険人物の烙印のため仕事につけずにいた。飢え、暴行を受けたバルジャンが教会の前で倒れていると、司祭が彼を客人として迎え入れ、暖かい食事とベッドを与えるが、バルジャンは夜中に教会の銀の食器を盗み逃亡する。すぐに捕まったバルジャンだったが、司祭は「食器は彼に与えたものだ」と警官に告げ、更に銀の蜀台をバルジャンへ与える。バルジャンは己(おのれ)の恥を知り、生まれ変わることを決意、身分証を破り捨て、仮釈放に伴う毎月の出頭も止める―。
1823年、バルジャンは、貧者の味方と尊敬され
る市長になっていた。新任の署長ジャベール(ラッセル・クロウ)が挨拶にやってくるが、バルジャンの面影から彼の過去に疑惑を抱く。バルジャンの作業所で働く娘・ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)は、男に捨てられ幼い娘コゼットを宿屋
の夫婦に預けていたが、そのことで職場で騒動となり、バルジャンから穏便に収めるよう命じられた工場長により解雇されてしまう。ファンテーヌは、髪の毛、奥歯を売り、娼婦に身を窶(やつ)すが、娼婦街で彼女をからかった男を突き飛ばしたところへ警官隊が通りかかり、男は彼女
に襲われたと主張、ジャベールはファンテーヌを逮捕しようとするが、バルジャンが庇い病院へ運ぶ。ジャベールはバルジャンを逃亡犯として告発するが、別人が誤認逮捕される。バルジャンは苦悶し、法廷に乗り込んで事実を明らかにするが、法廷は取り合わない。バルジャンは病院にファンテーヌを訪ねるが、彼女はコゼットの幻を見ながら亡くなる。バルジャンはファンテーヌにコゼットの保護を約束し、ジャベールから逃げながら、宿屋で使用人の扱いを受けていた幼いコゼットを引き取る―。
1832年、バルジャンは、美しい娘に成長したコゼット(アマンダ・サイフリッド)を連れ、貧民街で施しをしていた。そこにジャベールが現れる。パリでは革命気炎が高まり、特権階級の青年マリウス(エディ・レッドメイン)は、家を出て貧民街で革命運動に身を投じていた。宿屋夫婦の娘で、かつてコゼットと同じ家に暮らして
いた娘エポニーヌ(サマンサ・バークス)は、マリウスに恋をしていたが、マリウスはそれに気づかずコゼットに一目惚れし、コ
ゼットも同じく恋に落ちる。ジャベールに見つかったバルジャンは、家を引き払い、英国へ出発するとコゼットに告げる。マリウスは、エポニーヌにコゼットを探してくれと頼む。コゼ
ットは、マリウスへの手紙を門に残し、エポニーヌが手紙を取る。民衆に慕われていた将軍の葬列の日、学生運動家たちは革命を決意、コゼットに恋していたマリウスも革命を選ぶ。王政側の兵から被弾し倒れたエポニーヌは、マリウスへコゼットの手紙を渡す。一方で、マリウスからコゼットへの手紙を受け取ったバルジャンは、彼を死なすまいとバリケード内部に侵入、そこにはジャベールが居た。彼は志願兵を名乗って偽情報を流していたが、正体を看破され拘束されていた。バルジャンは
ジャベールを逃す。翌朝、大砲でバリケードが粉砕され革命軍は全員が死亡したが、バルジャンが負傷したマリウスを抱えて下水道から逃亡し、2人だけが無事だった。その途中でジャベールに遭遇するも、ジャベールは彼らを捕えずに自殺する。マリウスはコゼットと結婚、父代わりだったバルジャンは、マリウスに自らの過去を明かし、その事実が明らかにされればコゼットを苦しませることになるとし、隠遁する。結婚式の日、宿屋夫婦からバルジャンが修道院にいることを明らかにされたマリウスは、コゼットとともに修道院へと向う。愛しいコゼットに見守られながら、ファンテーヌの幻に導かれ、バルジャンは天に召される―。

ミュージカルとしては、1985年のロンドン初演から史上最長ロングランを誇り、ブロードウェイでは1987年から2003年まで6,680回に渡ってロングラン上演されており、終了時点では第3位の連続公演(劇団四季のような"断続"公演ではない)回数でした。大体、バブル期後半の頃ニューヨークに行った日本人観光客が観るブロードウェイ・ミュージカルと言えば、この「レ・ミゼラブル」か、「キャッツ」(1982年~2000年、公演数7,485回)か、「オペラ座の怪人」(1988年~、公演数11,000回超)が定番でした。
ニュージーランド出身、ファンティーヌを演じたアン・ハサウェイとその娘コゼットを演じたアマンダ・サイフリッドが米国女優で、マリウスを演じたエディ・レッドメインが英国俳優です。欲深な宿屋夫婦を演じたサシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム=カーターも英国(ヘレナ・ボナム=カーターは「英国王のスピーチ」('10年/英)でエリザベス妃を演じ、英国アカデミー賞 助演女優賞を受賞している)。ヘレナ・ボナム=カーターはハリー・ポッター・シリーズ('10年~)のベラトリックス・レストレンジ役以来どんどんスゴイ役になっていきますが、幼い子供までが凶弾に倒れるというヘビーな物語の中で、彼女とサシャ・バロン・コーエンの2人は、ある種ピエロ的なユーモアを醸していました。
この中ではバルジャンを演じたヒュー・ジャックマンもいいのですが、個人的"圧巻"は薄幸の女性ファンテーヌを演じたアン・ハサウェイでした。ファンテーヌは映画の前半3分の1くらいのところで死んでしまいますが、疾走するような集中力の高い演技で、う~ん、こんなスゴイ女優だったのかとビックリ。ミュージカルにおける俳優の演技ってパターン化しがちなのに対し(ラッセル・クロウなどがややそれ気味か)、彼女の演技はミュージカルの枠を超えてリアリティがありました。髪を売るために切るシーンでは自前の髪をばっさり切ったそうで、役者魂を感じます。彼女はこの作品で、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞の両方で助演女優賞を獲得しています(英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞の各助演女優賞も獲得)。
「レ・ミゼラブル」●原題:LES MISERABLES●制作年:2012年●制作国:イギリス●監督:トム・フーパー●製作:ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー/デブラ・ヘイワード/キャメロン・マッキントッシュ●脚本:ウィリアム・ニコルソン/アラン・ブーブリル/クロード=ミシェル・シェーンベルク/ハーバート・クレッツマー●撮影:
ダニー・コーエン●音楽:クロード・ミシェル・シェーンベルク●原作:(小説)ヴィクトル・ユゴー/(ミュージカル)アラン・ブーブリル/クロード・ミシェル・シェーンベルク●時間:158分●出演:ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アン・ハサウェイ/アマンダ・サイフリッド/エディ・レッドメイン/ヘレナ・ボナム=カーター/サシャ・バロン・コーエン/サマンサ・バークス/ダニエル・ハトルストーン/アーロン・トヴェイト/キリアン・ドネリー/フラ・フィー/アリスター・ブラマー●日本公開:2012/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(15-07-29)(評価:★★★★☆)


1939年11月8日、ミュンヘンのビアホールで恒例の記念演説を行っていたヒトラーは、いつもより早く退席するが、その僅か13分後ホールに仕掛けられていた爆弾が爆発する。当日のヒトラーの予定を徹底的に調べあげたその計画は緻密かつ大胆、更に時限装置付きの爆弾は精密かつ確実なものだった。ドイツ秘密警察ゲシュタポは、単独犯はあり得ないと考え、英国諜報部の関与を疑うが、逮捕されたのはゲオルク・エルザー(クリスティアン・フリーデル)という36歳の平凡な家具職人だった
。彼はスパイどころか所属する政党もなく、すべて自分一人で実行したと供述。それを知ったヒトラーは、犯行日までの彼の人生を徹底的に調べるよう命じる。やがて、人妻エルザ(カタリーナ・シュットラー)との恋、音楽、そして自由を謳歌していた"普通の男"の信念が明らかになっていく―。
ようですが、この作品の中で取り上げられているものはその中でもマイナーなもののようであり、このゲオルク・エルザーは、小林信彦氏によれば、戦後ドイツが東西に分断されていた時は、西ドイツでは共産主義者と見做され、東ドイツでは無視されて、彼が見直されたのは1990年のドイツ再統一以降のことであり、復権署名運動が始まったのは1993年になってとのことだそうです。
そうした意味では、戦後70年を迎え、ドイツにおいても過去を振り返る戦争映画が多く作られている、その流れの中で作られた作品であるとも言えるし、裏を返せば、エルザーのことはまだドイツでも詳しくは知られてはおらず、彼の復権運動は現在進行形であるとも言え、ドイツ国民に彼のことを知らしめる目的で作られた、何よりも先ず国内向け映画であるとも言えます。
れたことに符合しています。そして、この(大掛かりな方の)暗殺未遂事件の関係者の摘発と逮捕を担当し
たのが、映画でヨハン・フォン・ビュローが演じているハインリッヒ・ミュラーです(ナチ党指導者で逮捕されず、死亡も確認されていない唯一の人物でもある)。但し、そうした事実をある程度知らないと、なぜネーベがミュラーの目の前で絞首刑に処されるのか、また、なぜ、そうした処刑方法がとられるのかが解らない。因みに、この作
品では、ネーベは根はいい人だったようにもとれますが、彼は1941年に
一方、エルザーの回想として描かれる彼の私生活の部分は、一部フィクションが混ざっているそうですが、どの程度なのか。人妻に恋をし(件の人妻が夫のDVに遭っているといった設定は何となくフィクションっぽいが)、友を思い遣り、音楽を愛する
彼のキャラクターはなかなか人間味があっていいし、そうした自由な雰囲気が少しずつ奪われていく中で彼がヒトラーの暗殺計画を思い立つという流れは解らなくもないですが、他の人の中にもヒトラーに盲目的に追従する人ばかりではなく、そうした風潮に危惧を抱いていた人はいたはずであるのに(実際この映画にもパルチザンが登場するが)、なぜ彼だけが、こうした勇気と根気、大胆さと綿密さを要する計画をその実施にまで漕ぎ着けることが出来たのか、その辺りが今一つ見えにくく、"あの時代にこんな人もいたんだよ"的なところで終わってしまっているようにも思えなくもありませんでした。
ゲオルク・エルザーの背後に英国諜報部の関与があると疑ったのは、映画にある通りヒトラー自身であり、その背後関係を調べるよう命を受けたハインリヒ・ヒムラーが直接エルザーを取り調べ、エルザーに罵声を浴びせながら足蹴にし、ゲシュタポの一人にエルザーを鞭で苦痛で悲鳴をあげるまで打ちすえたというから、映画ではヒムラーの人物像がミュラーに置き換えられていると見ることもできますが、そんなことより、エルザーがそうした拷問に耐え抜いたことが不思議な気も。彼は1945年4月9日にダッハウ強制収容所内で処刑されますが、ヒットラーが自殺を遂げたのはその3週間後。ネーベなどが既に処刑されているのに、その5年前に事件を起こしたエルザーがそこまで生かされていたというのも不思議。ドイツ人に非ずとも重くのしかかってくる作品ではありますが、個人的には、"謎"の残る作品でもありました。

「ヒトラー暗殺、13分の誤算」●原題:ELSER/13 MINUTES●制作年:2015年●制作国:ドイツ●監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル●製作:ボリス・アウサラー/オリバー・シュンドラー/フレート・ブライナースドーファー●脚本:レオニー=クレア・ブライナースドファー●撮影:ユーディット・カウフマン●音楽:デヴィッド・ホームズ●114分●出演:クリスティアン・フリーデル/カタリーナ・シュットラー/ブルクハルト・クラウスナー/ヨハン・フォン・ビュロー●日本公開:2015/10●配給:ギャガ●最初に観た場所:渋谷・シネマライズ(15-11-26)(評価:★★★☆)
BF館」「シネマライズシアター1(2階)(303席)(後のシネマライズ)」になる。2004年、3スクリーン目、デジタル上映劇場「ライズX(38席)」を地下のバースペースに増設。地下1階スクリーン「シネマライズBF館(旧シネマライズ渋谷)」2010年6月20日閉館(地下2階「ライズⅩ」2010年6月18日閉館)。2011年、編成をパルコエンタテインメントに業務委託。地上2階「シネマライズ」2016年1月7日閉館。[写真:2015年11月26日/ラストショー「黄金のアデーレ 名画の帰還」封切前日]
【1986年】





があり、これを日本人をバカにしていると観客がとれば日本では受けないとして配給会社が配給を見送ったようですが、ちょっと世に出るのが早すぎたでしょうか。監督は後に「![黒い画集 あるサラリーマンの証言[1].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E9%BB%92%E3%81%84%E7%94%BB%E9%9B%86%E3%80%80%E3%81%82%E3%82%8B%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%A8%BC%E8%A8%80%5B1%5D.jpg)

「アパートの鍵貸します」('60年/米)は、アカデミー賞の作品賞、監督賞など5部門受賞した作品で、和田誠氏が『お楽しみはこれからだ』シリーズなどで何度も取り上げている作品でもあります。出世の足掛かりにと、上役の情事のためにせっせと自分のアパートを貸している会社員バドことC・C・バクスター(ジャック・レモン)でしたが、人事部長のJ・D・シェルドレイク(
フレッド・マクマレイ)が自分の部屋に連れ込んで来たのが、何と自身の意中の人であるエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)だったというよく知られた

のに対し、あの試合は巨人対南海線で、日本シリーズではなく1リーグ制の時の試合だと川本氏が指摘しているのがマニアックです。志村喬が野球監督を演じた「男ありて」('55年/東宝)を取り上げると、川本氏が「素晴らしい映画」だとすかさずフォローするのが嬉しいです。
れてきて飲ませるビールは"配給"だったとか(そう言えば、今日はたまたまビールが手に入ったようなことを志村喬が言ってたっけ)、一方、小津安二郎はサントリーと提携してい
て、「
このウィスキーは」と言わせているとか、岸田今日子がやっている店がトリスバーだとか。なるほどで。それでいて、冒頭の川崎球場の照明塔のシーンでサッポロビールとあるから、川本氏が言うように両方から金もらっていたのか(因みに、サントリーがビール事業に再進出したのは1963(昭和38)年で、この映画が公開された翌年)。小津映画では酒好きの中村伸郎のために、飲むシーンは実際に酒を飲ませ、肴もウニだったりしたというからスゴイね。笠智衆は下戸だったけれど、東野英治郎は本当に酔っぱらっていたわけかあ。
A級、B級問わずと言うことで、黒澤や小津といった巨匠ばかりでなく、前田葉子主演の「女競輪王」('56年/新東宝)なんて作品なんかも取り上げているのが何だか嬉しいです。




「黒い画集 あるサラリーマンの証言」●制作年:1960年●監督:堀川弘通●製作:大塚和/高島幸夫●脚本:橋本忍●撮影:中井朝一●原作:松本清張「証言」●時間:95分●出演:小林桂樹/中北千枝子/平山瑛子/依田宣/原佐和子/江原達治/中丸忠雄/西村晃/平田昭彦/小池朝雄/織田政雄/菅井きん/小西瑠美/児玉清/中村伸郎/小栗一也/佐田豊/三津田健/西村晃/、平田昭彦●公開:1960/03●配給:東宝●最初に観た場所:池袋文芸地下 (88-01-23)(評価★★★☆)

「アパートの鍵貸します」●原題:THE APARTMENT●制作年:1960年●制作国:アメリカ●監督・製作:ビリー・ワイルダー●脚本:ビリー・ワイルダー/I・A・L
・ダイアモンド●撮影:ジョセフ・ラシェル●音楽:アドルフ・ドイッチ●時間:120分●出演:ジャック・レモン/シャーリー・マクレーン/フレッド・マクマレイ/レイ・ウォルストン/ジャック・クラスチェン/デイビット・ホワイト/ホープ・ホリデイ/デイビット・ルイス/ジョアン・ショウリイ/エディ・アダムス/ナオミ・スティーブンス●日本公開:1960/10●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:銀座文化2(86-06-13) (評価:★★★★)

銀座文化2 1955年11月21日オープン「銀座文化劇場(地階466席)・銀座ニュー文化(3階411席)」、1978年11月2日~「銀座文化1(地階353席)・銀座文化2(3階210席)」、1987年12月19日〜「シネスイッチ銀座(前・銀座文化1)・銀座文化劇場(前・銀座文化2)」、1997年2月12日〜休館してリニューアル「シネスイッチ銀座1(前・シネスイッチ銀座)・シネスイッチ銀座2(前・銀座文化劇場)」









外界から隔離された巨大なチョコレート工場がある大きな町の片隅で、貧乏な暮らしを余儀なくされている少年チャーリーとその一家。ある日、チョコレート工場の工場主ウィリー・ワンカ氏が、自社のチョコレートの中に5枚のゴールデンチケットを隠し、チケットを引き当てた5人の子供を工場見学に招待すると発表する―。

但し、挿絵は、柳瀬訳のクウェンティン・ブレイク(Quentin Blake、1932年生まれ)のものが良く、大型本である『まるごと一冊ロアルド・ダール』('00年/評論社)によるとロアルド・ダールは何人かの画家と組んで仕事をしているようですが、クウェンティン・ブレイクとのコンビでの仕事が最も多く、また、クウェンティン・ブレイクの絵は、ちょっとシュールな話の内容よくマッチしたタッチであるように思います。
このお話は、メル・スチュアート監督(「夢のチョコレート工場」('71年/米)ジーン・ワイルダー主演)と、先に述べたティム・バートン監督(「チャーリーとチョコレート工場」('05年/米))によってそれぞれ映画化されていますが、ジョニー・デップがチョコレート工場の工場主ワンカ氏に扮した後者「チャーリーとチョコレート工場」は比較的記憶に新しいところで、ジョニー・デップの演技力というより、演
出に「バットマン」シリーズのティム・バートン色を感じましたが、ストーリー的には原作を忠実になぞっています。男の子がパイプに詰まったり、女の子が巨大なブルーベリーに変身してしまったりするのもCGを使って再現していますが(映画館で近くに座った男の子が「CGだ、CGだ」といちいち口にしていた)、庭園のモニュメントや芝生はパティシェによって作られた本物の菓子だったそうです。
ティム・バートン「チャーリーとチョコレート工場」('05年/米)
但し、ジョニー・デップ扮するワンカ氏が、幼少時代に歯科医である厳格な父親に半ば虐待に近い躾を受けたことがトラウマになっている"アダルトチルドレン"として描かれているのは映画のオリジナルで、これに原作の続編である『ガラスの
大エレベーター』('05年/評論社)の話をミックスさせて、ラストはワンカ氏がチャーリーとその家族を通して新たな「家族」に回帰的に出会う(トラウマを克服する)というオチになっており、やや予定調和的である気もしますが、プロセスにおいて悪ガキが散々な目に遭い、一方のワンカ氏はケロッとしている(或いはふりをしている)という結構サディスティックな「毒」を孕んでいるため、こうしたオチにすることでバランスを保ったのではないでしょうか(映画はそこそこヒットし、映画館はロード終盤でも週末はほぼ満席。結構口コミで観に行った人が多かったのか)。結局は「家族愛」に搦め捕られてしまったワンカ氏といった感じで、個人的には、折角の「毒」を弱めてしまった印象が無くもありません。
「2001年宇宙の旅」「サタデー・ナイト・フィーバー」「鳥」「サイコ」「ベン・ハー」「水着の女王」「アフリカの女王」「アダムス・ファミリー」「スター・ウォーズ」といった映画作品へのオマージュも込められていて、後でまた観直してみるのも良し。音楽面でもクイーンやビートルズ、キッスへのオマージュが込められています。こうした味付けもさることながら、ビジュアル面で原作の(クウェンティン・ブレイクの絵の)イメージと一番違ったのは、チョコレート工場で働くウンパ・ルンパ人(柳瀬訳は「ウンパッパ・ルンパッパ人」)でしょうか。ワンカ氏がアフリカの何処かと思しきジャングルの地から連れてきた小人たちですが、色黒のオッサンになっていたなあ。演じたのはディープ・ロイというケニア生まれのインド人俳優で、インドで26代続くマハラジャの家系だそうですが、この映画で165人のウンパルンパ役をこなしたとのことです。個人的には原作も映画も(特にそこに込められた毒が)好きですが、映画は子どもも楽しんでいたのでは。
ロアルド・ダールは学校を卒業して、まず石油会社に入社して最初の勤務地が東アフリカで、第二次世界大戦では空軍パイロットとして活躍したとのことですが、乗
った飛行機が燃料切れを起こして墜落、九死に一生を得たとのこと。その後、文筆家として活動するようになり、まずアフリカで聞いた話やパイロット時代の経験を生かして短編小説を書き始め、やがて児童文学の方へ進んだとのことです。初期の作品は、自伝的短編集『



「チャーリーとチョコレート工場」●原題:CHARLIE & CHOCOLATE FACTORY●制作年:2005年●制作国:アメリカ●監督:ティム・バートン●製作:ブラッド・グレイ/リチャード・D・ザナック●脚本:ジョン・オーガスト●撮
影:フィリップ・ルースロ●音楽:ダニー・エルフマン●原作:ロアルド・ダール●時間:115分●出演:ジョニー・デップ/フレディ・ハイモア/デヴィッド・ケリー/ヘレナ・ボナム=カーター/ノア・テイラ/ミッシー・パイル/ジェームズ・フォックス/アナソフィア・ロブ/アダム・ゴドリー/アダム・ゴドリー/ディープ・ロイ/クリストファー・リー/ジュリア・ウィンター/ジョーダン・フライ/フィリップ・ウィーグラッツ/リズ・スミス●日本公開:2005/09●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:丸の内TOEI2(05-10-23)(評価:★★★☆) アナソフィア・ロブ(AnnaSophia Robb) in 「ソウル・サーファー」('11年)/「チャーリーとチョコレート工場」('05年)




恩師スコット博士に婚約の報告に出かけた恋人同士のブラッド(バリー・ボストウィック)とジャネット(スーザン・サランドン)は、嵐の中で道に迷った末に山中で車がパンクしてしまい、電話を借りようと近くの古城を訪ねるが、そこでは奇怪なパーティーが開かれていた。城主フランクン・フルター(ティム・カリー)は変わった人物で、彼自身が作った人造人間、ブロンドで筋肉質の美男子「ロッキー」を披露する。そしてフルターとロッキーは、結婚するような演出でベッドのある部屋へと向かうが、ジャネットがロッキーの虜になってしまう。さらに、バイセクシュアルのフルターは、ジャネットとブラッドの両方と関係を持ってしまう―。
ジム・シャーマン監督の「ロッキー・ホラー・ショー」('75年/英)は、最初に名画座で観た時はロック・オペラってこんなのもあるのかという感じで(元々はロンドンで初演された劇場ミュージカル)、併映のロマン・ポランスキーの
ベルリンにあるハンバ
ーガー・ショップ「バーガー・クイーン」は、NYのハーレム出身ダンサーでトランスベイター(性転換者)のアンジー・スターダストが経営する店であり、類が友を呼んで世間のはみ出し者の米国人たちの溜まり場になっている。"バーガー・クイーン・ブルース"を歌うライラは、売春街から東ドイツへ渡って成功したパンク・スター、エロチックな空中ブランコ・ショウを見せるためにやって来たジュディスとパートナーのトロンは、アンジーの"スターダスト・ペンション"に棲むことになるが、隣部屋の売れない黒人ダンサーのゲイリーが魔術や妖術に凝っていて、自室に火をつけてしまう。ストリッパーのタラもトランスベイター(日本流に言えばニューハーフ)で、夜毎、違う男をベッドに連れ込んで同居人のロレッタを困らせる。「バーガー・クイーン」の店員ヨアキンも、ショービジネスのスターをめざす両性具有者(アンドロギュヌス)である―。
「ベルリンブルース」('83年/西独)は、公開された時に「ロッキー・ホラー・ショー」の再来と言われた、西ドイツの異色監督ローザ・フォン・ブラウンハイムの1986年作品で、ドイツらしいアナーキーな雰囲気に満ちたカルト・ムービーですが、不快感とかは無く最後まで楽しめました(むしろ最後の大合唱は、マイノリティの人たちが誇り高く生き続けることを宣言しているようで感動させられた)。ブラウンハイム監督自身もホモセクシュアルであることを公言し、同性愛者や性的倒錯をテーマに撮りまくっていて、出演者たちも実在のベルリン在住アメリカ人グループで、実名で出ていて現実の仕事と同じ役どころを演じています(つまり皆、本人役で出ているということ)。
後にパーシー・アドロン監督の

「ロッキー・ホラー・ショー」●原題:THE ROCKY HORROR SHOW●制作年:1975年●制作国:イギリス●監督:ジム・シャーマン●製作:作 マイケル・ホワイト●脚本:ジム・シャーマン/リチャード・オブライエン●撮影:ピーター・サシツキー●音楽:リチャード・ハートレイ●時間:99分●出演:ティム・カリー/バリー・ボストウィック/スーザン・サランドン/リチャード・オブライエン/パトリシア・クイン/ジョナサン・アダムス/ミート・ローフ/チャールズ・グレイ●日本公開:1978/02●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-02-06)●2回目:シネマライズ渋谷(地下1階)(88-07-17)(評価:★★★?)●併映(1回目):「ファントム・オブ・パラダイス」(ブライアン・デ・パルマ) 


F))(303席)」になる。2004年、3スクリーン目、デジタル上映劇場「ライズX(38席)」を地下のバースペースに増設。地下1階スクリーン「(元)シネマライズ渋谷」2010年6月20日閉館、跡地はライブハウス「WWW」に(地下2階「ライズⅩ」2010年6月18日閉館、地上2階「シネマライズ」2016年1月7日閉館)。
作年:1983年●制作国:西ドイツ●監督・脚本・製作:ローザ・フォン・ブラウンハイム●撮影:シュテファン・ケスター●音楽:ホルガー・ミュンツァー/アレクサンダー・クロート●美術:インゲ・スティボルスキー●時間:91分●出演:レアンジー・スターダスト/ジェイン・カウンティ/ジュディス・フレックス/ロン・フォン・ハリウッド●日本公開:1986/10●配給:ユーロスぺース●最初に観た場所:渋谷・ユーロスペース(86-12-06)(評価:★★★★) 「


1864年18歳でバイエルン王に即位したルートヴィヒ(ヘルムート・バーガー)は、やがて年上の従姉エリザベート(ロミー・シュナイダー)に惹かれていくが、その思いは叶えられない。またルートヴィヒは政治や軍事より芸術を好み、特にワーグナー(トレヴァー・ハワード)を援助した。そのワーグナーは王をなめきっていて、愛人コジマ(シルヴァーナ・マンガーノ)と共に彼を食い物にする。ルートヴィヒは、贅を極めた宮殿での愚かしい生活や虚しい日常と、当時勃発した普墺戦争の中で精神的に消耗していき、その行動は次第に常軌を逸したものとなっていく―。
ルキノ・ヴィスコンティ(1906-1976)監督の1972年のイタリア・フランス・西ドイツ合作映画で、「地獄に堕ちた勇者ども」('69年)、「
同じく'80年にヴェネツィア国際映画祭において、ヴィスコンティの当初の意図に限りなく近いとされる4時間版が初公開され、劣化したフィルムの修復作業を経たものが'06年に新宿のテアトルタイムズスクエアで開催された「ヴィスコンティ生誕100年祭」で、「ルートヴィヒ【完全復元版】」として「山猫」「イノセント」と共に上映されましたが、個人的にはその時は遺作となった「イノセント」しか観ることができず、今回、北千住・シネマブルースタジオのヴィスコンティ監督特集の一本として上映されたのを観ました(特集と言っても、「若者のすべて」('60年)と2作だけの上映だったが)。完全版もビデオ化されていましたが、やはりいつか劇場で観たいという思いもあって今回足を運んだ次第です。
4時間という長さそのものが劇場向きですが、冒頭のルートヴィヒの戴冠式から荘厳な舞台劇を観ているみたいで、劇場で観た価値はありました。王族の絢爛豪華な世界を妥協なく再現している点で、中期以降のヴィスコンティ作品に観られる貴族趣味が最も徹底している作品と言えるかと思いますが(撮影はリンダーホーフ城など実際にルートヴィヒ2世が建設した王城でも行われた)、そうした壮大なバックグラウンドの中で、繊細で孤独を好むルートヴィヒの理知と狂気をきっちり浮き彫りにしてみせていて、「大味」感が全くないところがスゴいと思います。
改めて完全版を観て思ったのは、史実に比較的忠実に描かれている点で、ルートヴィヒは近侍させた美青年たちを愛し、女性を嫌忌していたものの、エリーザベトだけには女性でありながら唯一心を許していたというのも事実らしく、また、彼女の妹のゾフィーと婚約者として押しつけられ、挙式を伸ばし延ばしにした挙句、婚約を反故にしてしまったのも実際のことのようです。ワーグナーに入れ込んで金を使い、城を幾つも建てて税金を使い、政治よりも詩を愛し、社交よりも真夜中の彷徨を好んだルードウィッヒですが、バイエルンの国民には人気があったそうです。
ヘルムート・バーガーは好演してると言うか、前半の美男子ぶりから終盤は一転して顔を白塗りにしての怪演、ホモセクシュアルはさほど強調されていませんが、「地獄に堕ちた勇者ども」を想起させるようなシーンがありました(ヴィスコンティとヘルムート・バーガーは"恋人同士"の関係にあったと言われ、ヘルムート・バーガーは姉として慕っていたロミー・シュナイダーから"バーガー嬢"或いは"バーガー夫人"とからかわれたほどであったという)。
ワーグナーを演じるトレヴァー・ハワードも怪演、加えて、ロミー・シュナイダーの強い意志を秘めた美しさとシルヴァーナ・マンガーノのアクの強さ―といった具合に、壮大華麗な舞台装置に決して埋没してしまうことのない強烈な個性の配役陣と、その持ち味を十二分に引き出しているヴィスコンティの演出力が光ります。やはり、これはこの監督にしか撮れない作品なのだと思いましたが、'12年にワーグナー生誕200周年としてマリー・ノエル、ピーター・ゼアー共同監督でドイツ映画「ルートヴィヒ」が作られています。ある意味、こっちの方が「ご当地」版ということになりますが、出来の方はどうなのでしょうか。
「ルートヴィヒ (ルードウィヒ/神々の黄昏)」●原題:LUDWIG●制作年:1972年(ドイツ公開1972年/イタリア・フランス公開1973年)●制作国:イタリア・フランス・西ドイツ●監督:ルキノ・ヴィスコンティ●製作:ウーゴ・サンタルチーア●脚本:ルキーノ・ヴィスコンティ/エンリコ・メディオーリ/スーゾ・チェッキ・ダミーコ●撮影:アルマンド・ナンヌッツィ●音楽:ロベルト・シューマン/リヒャルト・ワーグナー/ジャック・オッフェンバック●時間:(短縮版)184分/(完全版)237分●出演:ヘルムート・バーガー/ロミー・シュナイダー/トレヴァー・ハワード/シルヴァーナ・マンガーノ/ゲルト・フレーベ/ヘルムート・グリーム/ジョン・モルダー・ブラウン/マルク・ポレル/ソーニャ・ペドローヴァ/ウンベルト・オルシーニ/ハインツ・モーグ/マーク・バーンズ
●日本公開:1980/11(短縮版)●配給:東宝東和●最初に観た場所:(短縮版)高田馬場・早稲田松竹(82-06-06) (完全版)北千住・シネマブルースタジオ(14-07-30)(評価:★★★★)
ヘルムート・バーガー(オーストリアの俳優)2023年5月18日死去。78歳。
か。第二次大戦中のベルリン、ヘルムート・バーガー演じる権力欲に取りつかれたナチス親衛隊の将校が、軍人や重要人物が集まる高級娼館に大量の女スパイを送り込む。利用されていたと知った女主人と恋人を殺された娼婦の一人が復讐を計画、将校の秘密を暴き失脚を謀る―。「地獄に堕ちた勇者ども」の続編を狙ったエロティシズム大作と言われ、Wikipediaにも「『地獄に堕ちた勇者ども』にイ
ンスパイヤされて、さらに内容もエログロ度を強化したものであった」とあるが、「地獄に堕ちた勇者ども」とは切り離して観た方がいいのでは。「地獄...」でも共演したイングリッド・チューリンがタイトルロ
ールのマダムに扮するなど、役者は錚々たるメンバーで、内容的にもしっかりした反戦映画なのに、79年初公開時のタイトルが「ナチ女秘密警察/SEX親衛隊」とはひどすぎる。このタイトルの方が好きな人もいるが(笑)。人によって評価は分かれると思うが、個人的には退廃美にハマって、評価は「ルートヴィヒ」と同じく★★★★。)「
「サロン・キティ」●原題:SALON KITTY(英題:MADAM KITTY)●制作年:1976年●制作国:イタリア・フランス・西ドイツ●監督:ティント・ブラス●脚本:ティント・ブラス/マリア・ピア・フスコ/エンニオ・デ・コン
チーニ●撮影:シルヴァーノ・イポリッティ●音楽:フィオレンツォ・カルピ●時間:130分●出演:ヘルムート・バーガー/イングリッド・チューリン/テレサ・アン・サボイ/ベキム・フェミュー/ティナ・オーモン●日本公開:1979/03(短縮版)●配給:東映洋画●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(82-06-06)(評価:★★★★)●併映:「華やかな魔女たち」(ルキノ・ヴィスコンティ)



60年代初め、カリフォルニアの海辺の町で、マット(ジャン=マイケル・ヴィンセント)、ジャック(ウィリアム・カット)、リロイ(ゲイリー・ビジー)を中心とする若者たちで作るサーフィン・グループは、水曜日にやって来るという世界最大の波"ビッグ・ウェンズデー"に挑戦することを夢見ていた。そんな頃、彼らにもベトナム戦争の徴兵令状がきた。グループの大半が懲兵を免れようとしている中で、優等生だったジャックは懲兵検査を受けて、ベトナムへと出征していった―。
サーファーの一部には、夏の天気がいい日は海辺でサーフィンに勤しみ、冬の寒い日や海が時化たりした日などには、自宅でサーフィン映画を観たりする習慣があるそうな(サーファーでなくとも、意外と乙かも)。「ビッグ・ウェンズデー」('78年/米)は、そうした際の定番映画らしく、ジョン・ミリアス監督が35歳の頃に「自分たちの青春時代を思い出して作った」そうですが、青春の悩み、暴走、反発、落胆、挫折、恋などを盛り込んだ青春映画であるとともに、ベトナム戦争への若者の複雑な思いも反映されています。
ジョージ・ルーカス監督の「アメリカン・グラフィティ」('73年)では、ラストシーン(エピローグ)で、青春時代の仲間たちの一人がベトナムで戦死(行方不明)したことを伝えていましたが、この映画では、ベトナムへ行った仲間の戦死を悼む場面はあるものの、ジャックは生きて戻ってきます。そのジャックを2人が迎えるシーン、更に3人で颯爽と"ビッグ・ウェンズデー"へ向かうシーンがいいです。「生きていて良かった」という実感があり、アメリカ中心的と言えばそう言えなくもないですが、そうした見方に対しては、アメリカ側からすれば「戦争をやっていない国の人間が何を言うか」という感じになるのかも(因みに、ジョン・ミリアスはアーノルド・シュワルツェネッガー主演の
この映画を観て、ジャン=
マイケル・ヴィンセント(Jan-Michael Vincent)は、結構スター性があるように思ったけれど、意外と伸びなかったなあ(「アメリカン・グラフィティ」のポール・ル・マットなどもそうだったが)。ジャン=マイケル・ヴィンセントは菜食主義者だそう
で、自分の私生活を大切にするタイプだったのかと思ったら、アルコール依存症とドラッグの問題で映画界から消えていきました(ゲイリー・ビジーの方がまだ、アクション映画に悪役としてよく出演している)。
徴兵に応じたジャックを演じたウィリアム・カット(William Katt)は、80年代に入って「新・弁護士ペリー・メイスン」で腕利き調査員ポール・ドレイク・ジュニア役でその姿を見られたのが嬉しかったです。この役どころは約30年前の旧シリーズ(日本ではフジテレビが1959年3月の開局時に放映)での調査員の息子役。当時の調査員ポール・ドレイク役のウィリアム・ホッパーが既に亡くなっていたためで、一方、レイモンド・バーと秘書デラ役のバーバラ・ヘイルは30年ぶりのシリーズ共演でした。

結局、"ひと夏の体験"物語という感じで、デュークが昔サーフィンの世界チャンピオンだったのは、実は法螺話では無かったというサイドストーリーがありますが、そもそも主人公は女の子をゲットしたくてカリフォルニアに来ただけだったのか、そこのところがよく分からない。様々な男女の恋愛模様を見せつつも、やや薄っぺらい印象も
ママス&パパスのデビュー・シングルにして最大のヒット曲となった「夢のカリフォルニア」(映画内ではアメリカがカバー)が耳に心地よいですが、このオールディーズ・ナンバーだけが強く耳に残ったかな。あとはグリニス・オコナー(Glynnis O'Connor/右)の当時の豊胸か(最近では「LAW & ORDER ロー&オーダー」に出ている)。後に「チャーリーズ・エンジェル」のレギュラーメンバーとなり(シーズン5/'80年--'81年)、ボンド・ガールにもなる
タニア・ロバーツ(Tanya Roberts/左)も出ていました(「007 美しき獲物たち」('85年/英)に出る前に、「
「カリフォルニア・ドリーミング」の主人公の、見ている方が気恥ずかしくなるような青臭さと対比すると、「ビッグ・ウェンズデー」の男同士の強固な友情からは(精神的な)ホモセクシュアルの雰囲気すら感じられるというのは穿った見方でしょうか。

「ビッグ・ウェンズデー」●原題:BIG WENSDAY●制作年:1978年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ミリアス●製作:バズ・フェイトシャンズ/アレクサンドラ・ローズ●脚本:ジョン・ミリアス/デニス・アーバーグ●撮影:ブルース・サーティース●音楽:ベイ
ジル・ポールドゥリス●時間:119分●出演:ジャン=マイケル・ヴィンセント/ウィリアム・カット
/ゲイリー・ビジー/リー・パーセル/サム・メルヴィル/パティ・ダーバンヴィル/ダレル・フェティ/ジェフ・パークス/レブ・ブラウン/デニス・アーバーグ/リック・ダノ/バーバラ・ヘイル/ジョー・スピネル/ロバート・イングランド●日本公開:1979/04●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:テアトル吉祥寺(82





「カリフォルニア・ドリーミング」●原題:CALIFORNIA DREAMING●制作年:1979年●制作国:●アメリカ●監督:ジョン・ハンコック●製作:クリス・ウィテ
ィカー●脚本:ネッド・ウィン●撮影:ボビー・バーン●音楽:フレッド・カーリン(主題歌「カリフォルニア・ドリーミング」(アメリカ) )●時間:93分●出演:デニス・クリストファー/グリニス・オコナー/シーモア・カッセル/ドロシー・トリスタン

/ネッド・ウィーン/ジョン・カルビン/タニア・ロバーツ/
パール座(83-02-27)(評価:★★☆)●併映:「さらば青春の光」(フランク・ロダム)



「地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル」 CHARLIE'S ANGELS (ABC 1976~1981) ○日本での放映チャネル:日本テレビ(1977~1982)


ミス・マープル(ジェラルディン・マクイーワン)は、昔マープル家で奉公していたグェンダ(ジュリエット・スティーヴンソン)が、自分が秘書を勤める歴史家リオ・アーガイル(デニス・ローソン)と婚約したため、その結婚祝に招待される。リオの妻レイ
チェル(ジェーン・シーモア)は2年前に書斎で殺害されていて、犯人とされた養子のジャッコ(バーン・ゴーマン)は日頃から問題児で、その日もグェンダに金の無心をしに来てと口論になり、彼女に掴
みかかっていた。彼は殺害時刻には他人の車に乗っていたとアリバイを主張するも、証人が現れず死刑になっていた。ケンブリッジ大学の動物学者アーサー・キャルガリ(ジュリアン・リンド・タット)は、南極探検で英国を離れていて帰国してから古い新聞記事で、自分が処刑されたジャッコの証言にある人物であることに思い当り、ジャッコの無実を告げにアーガイルの邸サニー・ポイントに駆けつける―。
邸にはリオ家族である、長女メアリ(リサ・スタンスフィールド)、長男ミッキー(ブライアン・ディック)、次女ヘスター(ステファニー・レオニダス)、ジャッコの双生児ボビー(トム・ライリー)、末女で混血児のティナ(グーグー・ムバサ・ロー)がいて、ジャッコと同様、皆レイチ
ェルの養子だった。リオ、グェンダ、養子の兄弟姉妹の外には、メアリの夫で車椅子生活のフィリップ・デュラント(リチャード・アーミテージ)と、家政婦のカーステン・リ
ンツトロム(アリソン・ステッドマン)がいた。キャルガリがもたらしたジャッコ冤罪の知らせは皆を喜ばせることはなく、むしろ家族の間で疑心暗鬼が深まる。ミス・マープルが家政婦カーステンから家族の事情を聞くと、レイチェルの葬儀の日に、ジャッコが密かに結婚していた妻モーリーン(アンドリア・ロウ)が家を訪ねて来たと言う。翌日、ヒュイッシ警部補(リース・シェアスミス)が到着して捜査を始めると、家族間の疑心暗鬼は更に深まり、カーステンは、リオの妻の座を狙った秘書のグェンダが犯人だと糾弾する。そのグェンダが、何者かによってレター・オープナーで刺殺される―。
2007年に本国イギリスで放映されたジェラルディン・マクイーワン主演の英国グラナダ版で、この年から翌年にかけて作られたシーズン3全4話の内の第2話(通算第10話)であり、日本ではNHK‐BS2で2010年3月24日に初放映。
前半部分は、ほぼそれ以外は原作通りに進行しますが、原作では、キャルガリが真相究明に燃えるほか、フィリップも真実の解明に乗り出しますが、この映像化作品では、キャルガリの推理は冴えず、フィリップは推理することすらしないし、原作のヒュイッシ警視は、原作より年齢が下の"警部補"になっていて、あまり冴えないメガネ男に変えられている―要するに、オイシイ箇所は全てミス・マープルが持って行ってしまった感じです。
原作では、事件解決後に、キャルガリとヘスターとの間に恋が芽生えるのですが、これも無し(それ以前に、ヘスターの恋人で医師のドナルドというのが登場するが、これも出てこない)。まあ、ラストのヘスターの新たな恋の目覚めは、原作においても唐突感があるため端折ってもいいかなという気はするし、さすがに真犯人までは変えていなかったけれど、様々な改変によって原作より面白くなるならばともかく、そうもなっていないため、自分としてはイマイチでした。
グェンダ役のジェーン・シーモアは、"007シリーズ"第8作、ガイ・ハミルトン監督、ロジャー・ムーア主演「007死ぬのは奴らだ」('73年/英)のボンドガールであり、自分が初めて映画館で見た007作品であるため懐かしかったです。この作品も、"007シリーズ"の中で評価が割れている作品ですが、個人的にはそう嫌いではないです(懐かしさもあって)。
この"ミス・マープル"シリーズの
「アガサ・クリスティー ミス・マープル(第10話)/無実はさいなむ」●原題:ORDEAL BY INNOCENCE, AGATHA CHRISTIE`S MARPLE SEASON 3●制作年:2007年●制作国:イギリス●演出:モイラ・アームストロング●脚本:スチュアート・ハーコート●原作:アガサ・クリスティ「バートラム・ホテルにて」●時間:93分●出演:ジェラルディン・マクイーワン/ジュリエット・スティーヴンソン/デニス・ローソン/アリソン・ステッドマン/リチャード・アーミテージ/ステファニー・レオニダス/リサ・スタンスフィールド/バーン・ゴーマン/ジェーン・シーモア/トム・ライリー/リース・シェアスミス/ジュリアン・リンド・タット/ブライアン・ディック/グーグー・ムバサ・ロー/マイケル・フィースト/ピッパ・ヘイウッド/カミーユ・コドゥリ●日本放送:2010/03/23●放送局:NHK‐BS2(評価:★★★)

「007 死ぬのは奴らだ」●原題:LIVE AND LET DIE●制




ミッドサマー地区で中年女性アグネス・グレイ(デニーズ・アレクサンダー)が何者かに殺された。アグネスは不治の病に冒されており、「とてつもない過ちを犯したのでそれを正したい」と漏らし、意外なほどの大金を動物保護団体に寄付していた。一方、ハロルド・ウィンスタンリー(バーナード・ヘプトン)が舞台監督を務めるコーストン・アマチュア劇団による舞台劇「アマデウス」の初日が近づいていたが、バーナビー(ジョン・ネトルズ)の妻ジョイス(ジェーン・ワイマーク)も端役で出演する、サリエリ役で主演する会計士のエスリン(ニコラス・ラ・ブレボスト)はアグネスのいとこで唯一の親族だった。
キティ(Debra Stephenson)/ローザ(Sarah Badel)
エスリンの妻キティ(デブラ・スティーブンソン)は(舞台ではモーツァルトの恋人役)は不倫をしており、そのことを同じ劇団員のエスリンの元妻のローザ(サラ・バデル)がエスリンに示唆したことで、エスリンはローザに離婚話を切り出す。人々の愛憎が錯綜する中で初日の幕は上がるが、クライマックスでエスリンは、何者かによってテープが剥がされた剃刀で喉を切ってしまい死亡。バーナビーの調べで劇団員兼大道具係デービッド(イアン・フィッツギボン)の父で大道具係のコリン(ジェフリー・ハッチングス)が「自分が殺した」と自供するが、それは息子を庇ってのことで息子も無実が明らかになり、となると、アグネスとエスリンを殺した真犯人は別にいることになる―。
アマチュア劇団を舞台にした演出家と俳優の確執をモチーフにした作品ですが、ちゃんと原作者の著作がある作品で、しかも、今回は珍しく原作者本人が脚本を担当しているにしては、第1話「謎のアナベラ」、第2話「血ぬられた秀作」と比べると、人間関係の入り組み具合もさほどではなく、プロットも単純で、分かりやすけれど物足りないと言うか、ミステリとしてはややランク落ちの印象を受けます。
プロットは物足りないけれども、今回も怪しい人物、奇妙な人々には事欠きません。エスリンの妻の不倫相手は、ゲイの書店主アベリーの本屋で働いていた"ゲイ友"の書店員ティムだったんだなあ(舞台では2人は舞台美術係と照明係)。ハロルドのお手伝い(舞台では進行係兼小道具係)デアドレ・ティブス(ジャニーン・ダヴィツキー)が、ハロルドが劇の評判を聞くよう彼女に頼んだのに、彼女は事件のことを記者たちに話したくて仕方がない様子がおかしいです(でも、これが"マトモな感覚"なんだろなあ)。
トロイ巡査部長(ダニエル・ケイシー)が初めて警部の娘カリー(ローラ・ハワード)に出会って一目惚れするのはこの回だったんだなあと。彼女は、役者の卵ニコラス(エド・ウォーターズ)の方と仲良くなってしまいましたが、このプロの役者を目指している青年も書店員。バーナビーも、舞台美術の手伝いで書割の絵をかいているし、今回は、関係者ほぼ全員が劇団員であるか何らかの形で舞台に関係しているという中で事件が起きるというのが、最大のミソと言えるのでしょう。
しかし、「アマデウス」とはねえ。田舎のアマチュア劇団にしては随分難しそうな演目を選んだものだと思いますが、わざとそうした設定にしたのでしょう。原作は、サリエリが喉を搔き切る場面で"血糊"を見せるかどうかを演出家らが議論している場面から始まり、シェークスピア劇をはじめ演劇に関する薀蓄がてんこ盛りです。
映画の方は、アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門を獲得した作品で、双葉十三郎(1910-2009/享年99)の『
個人的にも大作であるとは思いましたが、モーツァルト像がややデフォルメされ過ぎている印象もありました。アカデミー賞の「主演男優賞」には、"ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト"を演じたトム・ハルスと、"サリエリ"を演じたF・マーリー・エイブラハムの両方がノミネートされましたが、F・マーリー・エイブラハムが受賞したのは順当と言えるかと思います(F・マーリー・エイブラハムはゴールデングローブ賞「主演男優賞」(ドラマ部門)、
「アマデウス」●原




口やかましい妻との生活に心底嫌気がさした著名な写真家ポール・ガレスコ(ディック・バン・ダイク)は、誘拐事件を偽装して妻フランセス(アントワネット・バウアー)を殺害し、以前から手なずけていた前科者のダシュラー(ドン・ゴードン)を廃車置き場に呼び出し、椅子に縛り付けた妻を写した写真と脅迫状に指紋を付けさせた後に彼を射殺、自分の足も撃ち抜き、身代金の受け渡しの際に犯人に撃たれたように装った―。
シリーズ第27話。犯人のポールは「この世からお前が消えてくれれば良いのと何度も願った」ほど、妻のフランシスを憎んでいたとのことで、元々のシナリオには、コロンボの聞き込みに対し、写真集出版社の社長が、「もともとポールは財産を彼女に半分渡していたんだが、数年前、彼は神経衰弱になってね、フランシスはそれを利用して裁判所に彼の管理能力の喪失を訴え、財産のすべてを自分の管理下に置いてしまったんだ。それにナイーブな彼には、フランシスと争うだけのガッツはない」とのセリフがあったそうです。
ナルホドね。助手のローナ(ジョアンナ・キャメロン)の美脚の魅力に駆られて犯行を決意したのかな。でも、かなり冷徹というか、完全犯罪に近い線、いっていたように思います。それが、コロンボに纏わりつかれているうちに、だんだん表情が曇ってくる...。
犯人役のディック・バン・ダイクは、「メリー・ポピンズ」('64年)よりも、主役だった「チキ・チキ・バン・バン」('68年、原作は007シリーズで知られるイアン・フレミングが唯一著した童話)の方が、学校の課外授業でリアルタイムで観たということもあって印象に残っています(当時、主題歌のソノシートを買って「チュリ・バンバン」とか英語で歌っていた。山本リンダのカバー・ヴァージョンもあったなあ)。
コロンボが救済所のシスター(ジョイス・バン・パタン、第39話「黄金のバックル」では犯人役を演じる)にホームレスと間違えられたり、たまたまポールの第二の犯行現場に居合わせた「貧乏は恥にあらず」とのたまう浮浪紳士トーマス(ヴィット・スコッティ、またまた登場。第19話「別れのワイン」のレストランの支配人役、第20話「野望の果て」でテーラーの主人役、第24話「白鳥の歌」の葬儀屋に続いて、今度はとうとう"職無し"に)との遣り取りがあったりと、鮮やかな結末だけでなく、その外の部分も楽しめます。
「刑事コロンボ(第27話)/逆転の構図」●原題:NEGATIVE REACTION●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督:アルフ・ケリン●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:ピーター・S・フィッシャー●音楽:バーナード・セイガル●時間:95分●出演:ピーター・フォーク/ディック・バン・ダイク/アントワネット・バウアー/ジョイス・バン・パタン/マイケル・ストロング/ドン・ゴードン/ジョアンナ・キャメロン/ヴィット・スコッティ●日本公開:1975/12●放送:NHK(評価:★★★★) 

「チキ・チキ・バン・バン」●原題:CHITTY CHITTY BANG BANG制作年:1968年●制作国:イギリス●監督:






個人的には、映画「白雪姫」を観て、これがディズニーの最初の「長編カラー」アニメーションですが、1937年の作品だと思うとやはりスゴイなあと。白雪姫や継母である后の登場する場面は実際に俳優を使って撮影し、その動作を分解して絵を描くという手法はこの頃からやっていたわけです。因みに、7人の小人は、原作ではゴブリン(ドラクエのキャラにもある小鬼風悪魔)であるのに対し、ディズニーによって、サンタクロースのイメージに変えられたとのことです。
原作では、王子が初めて白雪姫に合った時、姫は死んでいたため、本書では、王子はネクロフィリア(死体に性的興奮を感じる異常性欲)であるとしています(半分冗談を込めてか?)。ディズニー版では王子を最初から登場させることで純愛物語に変えていますが、原作の基調にあるのは、白雪姫の后に対する復讐物語であり(結婚式で、継母=魔女は真っ赤に焼けた鋼鉄の靴を履かされて、死ぬまで踊り続けさせられた)、ヒロインが自分の婚礼の席で、自分を苛め続けてきた義姉妹の両眼を潰して復讐する「シンデレラ」の原作「灰かぶり姫」にも通じるものがあります。
むしろ、本書にも紹介されている、シガーニー・ウィーヴァーが継母の后を演じたTV実写版「スノーホワイト」('97年)が比較的オリジナルに忠実に作られている分だけ、よりホラー仕立てであり、'99年の年末の深夜にテレビで何気なく見て、そのダークさについつい引き込まれて最後まで観てしまいました。これ、継母が完全に主人公っぽい。ホラー風だがそんなに怖くなく、但し、雰囲気的には完全に大人向きか(昨年('12年)テレビ東京「午後のロードショー」で再放映された)。
本書の最後に取り上げられている「美女と野獣」は、個人的には90年代のディズニー・アニメの頂点を成している作品だと思うのですが、原作では、ヒロインであるベルは妬み深い二人の姉に苛められていて、グリムの「灰かぶり姫」のような状況だったみたいです。ディズニー・アニメでは、この姉たちは出てこず、代わりに、強引にベルに言い寄るガストンなる自信過剰のマッチョ男が出てきますが、これは、グリムのオリジナルには全く無いディズニー独自のキャラクター。
本書によれば、オリジナルは、ベルの成長物語であるのに対し、ディズニー版ではベースト(野獣)の成長物語になっているとのことで、「美女と野獣」ではなく「野獣と美女」であると。そう考えれば、「悔い改めたセクシスト」であるビスーストと対比させるための「悔い改めざるセクシスト」ガストンという配置は、確かにぴったり嵌る気もしました。
'05年にディズニーのアイズナー会長は経営責任をとって退任し、'06年にはディズニーとの交渉不調からディズニーへのピクサー作品提供を打ち切るかに思われていたスティーブ・ジョブズが一転してピクサーをディズニーに売却し、同社はディズニーの完全子会社となり、ジョブズはディズニーの筆頭株主に。「トイ・ストーリー」などを監督したピクサーのジョン・ラセターは、ディズニーに請われ、ピクサーとディズニー・アニメーション・スタジオの両方のチーフ・クリエイティブ・オフィサーを兼任することに。'06年にピクサー制作の「カーズ」('06年)を監督するなどしながらも、「ルイスと未来泥棒」('07年)などの以降のディズニー・アニメの制作総指揮にあたっています(ディズニー作品も3D化が進むと、ディズニー・アニメのピクサー・アニメ化が進むのではないかなあ)。
「白雪姫」●原題:SNOW WHITE AND THE SEVEN DWARFS●制作年:1937年●制作国:アメリカ●監督:デイヴィッド・ハンド●製作:ウォルト・ディズニー●脚本:テッド・シアーズ/オットー・イングランダー/ アール・ハード/ドロシー・アン・ブランク/ リチャード・クリードン/メリル・デ・マリス/ディック・リカード/ウェッブ・スミス●撮影:ボブ・ブロートン●音楽:フランク・チャーチル/レイ・ハーライン/ポール・J・スミス●原作:グリム兄弟●時間:83分●声の出演:アドリアナ・カセロッティハリー・ストックウェル/ルシール・ラ・バーン/ロイ・アトウェル/ピント・コルヴィグ/ビリー・ギルバート/スコッティ・マットロー/オーティス・ハーラン/エディ・コリンズ●日本公開:1950/09●配給:RKO(評価:★★★★)
「スノーホワイト(グリム・ブラザーズ スノーホワイト)」
●原題:SNOW WHITE: A TALE OF TERROR(THE GRIMM BROTHERS' SNOW WHITE)●制作年:1997年●制作国:アメリカ●監督:マイケル・コーン●製作:トム・エンゲルマン●脚本:トム・スゾロッシ/デボラ・セラズ●撮影:マイク・サウソン●音楽:ジョン・オットマン●原作:グリム兄弟●時間:100分●出演:シガーニー・ウィーヴァー/サム・ニール/モニカ・キーナ/ギル・ベローズ/デヴィッド・コンラッド/ジョアンナ・ロス/タリン・デイヴィス/ブライアン・プリングル●日本公開:1997/10●配給:ギャガ=ヒューマックス(評価:★★★)
「美女と野獣」●原題:BEAUTY AND THE BEAST●制作年:1991年●制作国:アメリカ●監督:ゲーリー・トゥルースデイル/カーク・ワイズ●製作:ドン・ハーン●脚本:リンダ・ウールヴァートン●撮影:ディーン・カンディ●音楽:アラン・メンケン●原作:ジャンヌ・マリー・ルプランス・ド・ボーモン●時間:84分●声の出演:ペイジ・オハラ/ロビー・ベンソン/リチャード・ホワイト/レックス・エヴァーハート/ジェリー・オーバック/アンジェラ・ランズベリー/デイヴィッド・オグデン・スティアーズ●日本公開:1992/09●配給:ブエナ・ビスタ(評価:★★★★)





ポスターに関して言えば、60年代よりも前のものの方がいいものが多いような印象を受けました。個人的には、「キング・コング」('33年)のポスターが見開き4ページにわたり紹介されているのが嬉しく、「『美女と野獣』をフロイト的に改作」したものとの解説にもナルホドと思いました。映画の方は、最近のリメイクのようにすぐにコングが出てくるのではなく、結構ドラマ部分で引っ張っていて、コングが出てくるまでにかなり時間がかかったけれど、これはこれで良かったのでは。当のコングは、ストップ・アニメーションでの動きはぎこちないものであるにも関わらず、観ている不思議と慣れてきて、ティラノサウルスっぽい「暴君竜」との死闘はまるでプロレスを観ているよう(コマ撮りでよくここまでやるなあ)。比較的自然にコングに感情移入してしまいましたが、意外とこの時のコングは小さかったかも...現代的感覚から見るとそう迫力は感じられません。但し、当時は興業的に大成功を収め(ポスターも数多く作られたが、本書によれば、実際の映画の中での
コングの姿を忠実に描いたのは1点[左上]のみとのこと)、その年の内に「コングの復讐」('33年)が作られ(原題は「SON OF KONG(コングの息子)」)公開されました。 「コングの復讐」('33年)[上]
因みに、アメリカやイギリスでは「怪獣映画」よりも「恐竜映画」の方が主に作られたようですが、日本のように着ぐるみではなく、模型を使って1コマ1コマ撮影していく方式で、ハル・ローチ監督、ヴィクター・マチュア、キャロル・ランディス主演の「紀元前百万年」('40年)ではトカゲやワニに作り物の角やヒレをつけて撮る所謂「トカゲ特撮」なんていう方法も用いられましたが、何れにしても動きの不自然さは目立ちます。そもそも恐竜と人類が同じ時代にいるという状況自体が進化の歴史からみてあり得ない話なのですが...。
この作品のリメイク作品が「恐竜100万年」('66年)で、"全身整形美女"などと言われたラクエル・ウェルチが主演でしたが(100万年前なのに
ラクェル・ウェルチがバッチリ完璧にハリウッド風のメイキャップをしているのはある種"お約束ごと"か)、やはりここでも模型を使っています。結果的に、ラクエル・ウェルチの今風のメイキャップでありながらも、何となくノスタルジックな印象を受けて、すごく昔の映画のように見えてしまいます(CGの出始めの頃の映画とも言え、なかなか微妙な味わいのある作品?)。

それが、その10年後の、ジョン・ギラーミン監督のリメイク版「キングコング」('76年)(こちらは邦題タイトル表記に中黒が無い)では、キング・コングの全身像が出てくる殆どのシーンは、リック・ベイカーという特殊メイクアーティストが自らスーツアクターとなって体当たり演技したものであったとのことで、ここにきてアメリカも、「ゴジラ」('54年)以来の日本の怪獣映画の伝統である"着ぐるみ方式"を採り入れたことになります(別資料によれば、実物大のロボット・コング(20メートル)も作られたが、腕や顔の向きを変える程度しか動かせず、結局映画では、コングがイベント会場で檻を破るワンシーンしか使われなかったという)。
「

代では「遊星よりの物体X」('51年)や「大アマゾンの半魚人」('54年)などのポスターがあるのが楽しく、50年代では日本の「ゴジラ」('54年)のポスターもあれば、「
「キャット・ピープル」はポール・シュレイダー監督、ナスターシャ・キンスキー主演で同タイトル「キャット・ピープル」('81年)としてリメイクされ(オリジナルは日本では長らく劇場未公開だったが1988年にようやく劇場公開が実現したため、多くの人がリメイク版を先に観たことと思う)、「遊星よりの物体X」は、ジョン・カーペンター監督によりカート・ラッセル主演で「遊星からの物体X」('82年)としてリメイクされています。
前者「キャット・ピープル」は、オリジナルでは、猫顔のシモーヌ・シモンが男性とキスするだけで黒豹に変身してしまう主人公を演じていますが、ストッキングを脱ぐシーンとか入浴シーン、プールでの水着シーンなどは当時としてはかなりエロチックな方だったのだろうなあと。実際に黒豹になる
場面は夢の中で暗示されているのみで、それが主人公の妄想であることを示唆しているのに対し、リメイク版では、ナスターシャ・キンスキーが男性と交わると実際に黒豹に変身します。ナスターシャ・キンスキーの猫女(豹女?)はハマリ役で、後日
「あの映画では肌を露出する場面が多すぎた」と述懐している通りの内容でもありますが、むしろ構成がイマイチのため、ストーリーがだらだらしている上に分かりにくいのが難点でしょうか。ナスターシャ・キンスキー自身は、「テス」('79年)で"演技開眼"した後の作品であるため、「肌を出し過ぎた」発言に至っているのではないでしょうか。「テス」は、19世紀のイギリスの片田舎を舞台に2人の男の間で揺れ動きながらも愛を貫く女性を描いた、文豪トマス・ハーディの文芸大作をロマン・ポランスキーが忠実に映画化した作品で、ナスターシャ・キンスキーの演技が冴え短く感じた3時間でした(ナスターシャ・キンスキーはこの作品でゴールデングローブ賞新人女優賞を受賞)。一方、「テス」に出る前年にナスターシャ・キンスキーは、スイスの全寮制寄宿学校を舞台に、そこにやって来たアメリカ人少女という
設定の青春ラブ・コメディ「レッスンC」('78年)に出演していて、そこでは結構「しっかり肌を出して」いたように思います。「レッスンC」は音楽は



「キング・コング」('33年)のリメイク、ジョン・ギラーミン監督の「キングコング」('76年)は、オリジナルは、ヒロイン(フェイ・レイ)に一方的に恋したコングが、ヒロインをさらってエンパイアステートビルによじ登り、コングの手の中フェイ・レイは恐怖のあまりただただ絶叫するばかりでしたが(このため、フェイ・レイ"絶叫女優"などと呼ばれた)、
リメイク版のヒロイン(ジェシカ・ラング)は最初こそコングを恐れるものの、途中からコングを慈しむかのように心情が変化し、世界貿易センタービルの屋上でヘリからの銃撃を受けるコングに対して「私といれば狙われないから」と言うまでになるなど、コングといわば"男女間的コミュにケーション"をするようになっています(そうしたセリフ自体は観客に向けての解説か?)。但し、「美女と野獣」のモチーフが、それ自体は「キング・コング」の"正統的"なモチーフであるにしてもここまで前面に出てしまうと、もう怪獣映画ではなくなってしまっている印象も。個人的には懐かしい映画であり、
興業的にもアメリカでも日本でも大ヒットしましたが、後に観直してみると、そうしたこともあってイマイチの作品のように思われました。ジェシカ・ラングも「郵便配達は二度ベルを鳴らす」('81年)で一皮むける前の演技であるし...2005年にナオミ・ワッツ主演の再リメイク作品が作られましたが、ナオミ・ワッツもジェシカ・ラング同様、以降の作品において"演技派女優"への転身を遂げています。
(●2017年に32歳のジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督による「キングコング:髑髏島の巨神」('17年/米)が作られた。シリーズのスピンオフにあたる作品とのことだが、主役はあくまでキングコング。1973年の未知の島髑髏島が
舞台で、一応、コングが島の守り神であったり、主人公の女性を救ったりと、オリジナルのコングに回帰している(一方で、随所にフランシス・フォード・コッポラ監督の「
込められているようだ)。ヴォート=ロバーツ監督自らが来日して行われた本作のプレゼンテーションに参加した
「

「キング・コング」●原題:KING KONG●制作年:1933年●制作国:アメリカ●監督:メリアン・C・クーパー/アーネスト・B・シェードサ
ック●製作:マーセル・デルガド●脚本:ジェームス・クリールマン/ルース・ローズ●撮影:エドワード・リンドン/バーノン・L・ウォーカー●音楽:マックス・スタイナー●時間:100分●出演:フェイ・レイ/ロバート・アームストロング/ブルース・キャボット/フランク・ライチャー/サム・ハーディー/ノーブル・ジョンソン●日本公開:1933/09●配給:ユニヴァーサル映画●最初に観た場所:池袋・文芸座ル・ピリエ(84-06-30)(評価:★★★☆)●併映:「紀元前百万年」(ハル・ローチ&ジュニア)


「恐竜100万年」●原
題:ONE MILLION YEARS B.C.●制作年:1966年●制作国:イギリス・アメリカ●監督:ドン・チャフィ●製作:マイケル・カレラス●脚本:ミッケル・ノバック/ジョージ・ベイカー/ジョセフ・フリッカート●撮影:ウィルキー・クーパー●音楽:マリオ・ナシンベーネ●時間:105分●出演:ラクエル・ウェルチ/ジョン・リチャードソン/パーシー・ハーバート/ロバート・ブラウン/マルティーヌ=ベズウィック/ジェーン・ウラドン●日本公開:1967/02●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:杉本保男氏邸 (81-02-06) (評価:★★★) Raquel Welch age71

「禁断の惑星」●原題:FORBIDDEN EARTH●制作年:1956年●制作国:アメリカ●監督:フレッド・マクラウド・ウィルコックス●製作:ニコラス・ネイファック●脚本:シリル・ヒューム●撮影:ジョージ・J・フォルシー●音楽:ルイス・アンド・ベベ・バロン●原作:アーヴィング・ブロック/アレン・アドラー「運命の惑星」●時間:98分●出演:ウォルター・ピジョン/アン・フランシス/レスリー・ニールセン/ウォーレン・スティーヴンス/ジャック・ケリー/リチャード・アンダーソン/アール・ホリマン/ジョージ・ウォレス●日本公開:1956/09●配給:MGM●最初に観た場所:新宿・名画座ミラノ(87-04-29)(評価:★★★☆)
「宇宙水爆戦」●原題:THIS ISLAND EARTH●制作年:1955年●制作国:アメリカ●監督:ジョセフ・ニューマン●製作:ウィリアム・アランド●脚本:フランクリン・コーエン/エドワード・G・オキャラハン●撮影:クリフォード・スタイン/デビッド・S・ホスリー●音楽:ジョセフ・ガ―シェンソン●原作:レイモンド・F・ジョーンズ●時間:86分●出演:フェイス・ドマーグ/レックス・リーズン/ジェフ・モロー/ラッセル・ジョンソン/ランス・フラー●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ●日本公開:1955/12)●最初に観た場所:新宿・名画座ミラノ(87-05-17)(評価:★★★☆)


ズビー●撮影:ジョン・ベイリー●音楽:ジョルジ
オ・モロダー(主題歌:








「キングコング」●原題:KING KONG●制作年:1976年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ギラーミン●製作:ディノ・デ・ラウレンティス●脚本:ロレンツォ・センプル・ジュニア●撮影:リチャード・H・クライン●音楽:ジョン・バリー●時間:134分●出演:ジェフ・ブリッジス/ジェシカ・ラング/チャールズ・グローディン/ジャック・オハローラン /ジョン・ランドルフ/ルネ・オーベルジョノワ/ジュリアス・ハリス/ジョン・ローン/ジョン・エイガー/コービン・バーンセン/エド・ローター ●日本公開:1976/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:新宿プラザ劇場(77-01-04)(評価:★★★)![郵便配達は二度ベルを鳴らす [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E9%83%B5%E4%BE%BF%E9%85%8D%E9%81%94%E3%81%AF%E4%BA%8C%E5%BA%A6%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%92%E9%B3%B4%E3%82%89%E3%81%99%20%5BDVD%5D.jpg)

ブ・ラフェルソン●脚本:デヴィッド・マメット●撮影:スヴェン・ニクヴィスト●音楽:マイケル・スモール●原作:ジェイムズ・M・ケイン「郵便配達は二度ベルを鳴らす」●時間:123分●出演:ジャック・ニコルソン/ジェシカ・ラング/ジョン・コリコス/マイケル・ラーナー/ジョン・P・ライアン/ アンジェリカ・ヒューストン/ウィリアム・トレイラー●日本公開:1981/12●配給:日本ヘラルド●最初に観た場所:三鷹オスカー (82-08-07)●2回目:自由ヶ丘・自由劇場 (84-09-15)(評価★★★★)●併映:(1回目)「白いドレスの女」(ローレンス・カスダン(原作:ジェイムズ・M・ケイン))●併映:(2回目)「ヘカテ」(ダニエル・シュミット)


「キングコング:髑髏島の巨神」●原題:KONG:SKULL ISLAND●制作年:2017年●制作国:アメリカ●監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ●脚本:ダン・ギルロイ/マックス・ボレンスタイン/デレク・コノリー●原案:ジョン・ゲイティンズ/ダン・ギルロイ●製作:トーマス・タル/ジョン・ジャシュー/アレックス・ガルシア/メアリー・ペアレント●撮影:ラリー・フォン●音楽:ヘンリー・ジャックマン●時間:118分●出演:トム・ヒドルストン/
サミュエル・L・ジャクソン/ジョン・グッドマン/ブリー・ラーソン/ジン・ティエン/トビー・ケベル/ジョン・オーティス/コーリー・ホーキンズ/ジェイソン・ミッチェル/シェー・ウィガム/トーマス・マン/テリー・ノタリー/ジョン・C・ライリー●日本公開:2017/03●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:OSシネマズ ミント神戸 (17-03-29)(評価★★☆)

OSシネマズ ミント神戸 神戸三宮・ミント神戸(正式名称「神戸新聞会館」。阪神・淡路大震災で全壊した旧・神戸新聞会館跡地に2006年10月完成)9F~12F。全8スクリーン総座席数1,631席。







同著者による『図説 モンスター―映画の空想生物たち』('01年/河出書房新社)に続くシリーズ第2段で、草創期(サイレント時代~1930年代)、繁栄と低迷(1940~1950年代)、復興と世代交代(1960年代以降)という流れで、各時代の名作を紹介、製作にまつわる裏話やエピソードなども交え解説しています。
でみると、戦前はボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシ(上右)をホラー・スターに育てたユニヴァーサル、戦後はピーター・カッシングとクリストファー・リー(右上)をホラー・キングに育てたハマー・プロが中心なっています。

現代のホラー映画をすっかり観慣れてしまうと、ジェームズ・ホエール(1889-1957)監督、ボリス・カーロフ主演の「フランケンシュタイン(FRANKENSTEIN)」('31年/米)に出てくる怪物も、漫画「怪物くん」のフランケンのようにどこか可愛いかったりもし、湖のほとりで少女と触れ合うシーンは、ビクトル・セリエ監督の「ミツバチのささやき」('73年/スペイン)でも、主人公の少年が観る映画の1シーンで使われました。


製作した、ケネス・ブラナー監督の「フランケンシュタイン」('94年/英・日・米)などもありましたが、

フランケンシュタインのパロディ映画では、メル・ブルックス(1926- )監督の「
マン(せむし男)やピーター・ボイル(怪物)など、脇役がいいです。オリジナルの「フランケンシュタインの花嫁」にも出てくる山小屋に住む盲目の老人役はジーン・ハックマン、ラストに小さくクレジットされていました。

ヘルツォーク/キンスキー版は、「ドラキュラ伯爵」に戻しながらも設定はムルナウ版を踏襲。全体として透明感のある映像で、ペストで住民が死滅した村の描写などは絶妙でしたが、それら以上に、クラウス・キンスキーの怪演ぶり、「キモさ」が際立っていた印象です(彼に噛まれる女性役は美貌のイザベル・アジャーニ。トリュフォーの「アデルの恋の物語」('75年/仏)で知られるフランスの人気女優だが、この作品でドイツ語で話しているのは、父親がアルジェリア人であるのに対し、母親はドイツ人であるため。「ノスフェラトゥ」の前年作のウォルター・ヒル監督のアクション映画「ザ・ドライバー」('78年/米)でみせたように英語も堪能)。
ドラキュラのパロディでは(クリストファー・リーが「エアポート'77/バミューダからの脱出」('77年/米)で土左衛門姿で出てきた際に見せていた苦悶の表情も、ドラキュラのパロディと言えばパロディだったけれど)、たまたま「ノスフェラトゥ」と同じ年に作られたもので、本書にも紹介されている「ドラキュラ都へ行く」('79年/米、原題:Love at First Bite)というジョージ・ハミルトンが製作総指揮し、主演もした作品もありました(ジョージ・ハミルトンはこの作品で「
ョージ・ハミルトンは「刑事コロンボ」の第31話「5時30分の目撃者」('75年)で犯人の精神分析医役を演じていた二枚目俳優で、ハリウッド社交界でもプレイボーイで鳴らした彼らしく、愛人が絡むエピソードですが、計画殺人ではなく衝動殺人になっているのがややプロット的には弱点だったでしょうか。ハミルトンは、「刑事コロンボ」の新シリーズ(通算第57話)「犯罪警報」('91年)でも人気テレビ番組のホストである犯人役を演じていました。
「フランケンシュタイン」●原題:FRANKENSTEIN●制作年:1931年●制作国:アメリカ●監督:ジェイムズ・ホエール●製作:カール・レームル・Jr●脚本:ギャレット・フォート/ロバート・フローリー/フランシス・エドワード・ファラゴー●撮影:アーサー・エジソン●音楽:バーンハルド・カウン●原作:メアリー・シェリー
●時間:71分●出演:コリン・クライヴ/ボリス・カーロフ/メイ・クラーク/
エドワード・ヴァン・スローン/ドワイト・フライ/ジョン・ポールズ/フレデリック・カー/ライオネル・ベルモア●日本公開:1932/04●配給:ユニヴァーサル映画●最初に観た場所:渋谷ユーロ・スペース (84-07-21)(評価:★★★☆)●併映:「フランケンシュタインの花嫁」(ジェイムズ・ホエール)
「フランケンシュタインの花嫁」●原題:BRIDE OF FRANKENSTEIN●制作年:1935年●制
作国:アメリカ●監督:ジェイムズ・ホエール●製作:カール・レームル・Jr●脚本:ギャレット・フォート/ロバート・フローリー/フランシス・エドワード・ファラゴー●撮影:ジョン・J・メスコール●音楽:フランツ・ワックスマン●時間:75分●出演:ボリス・カーロフ/エルザ・ランチェスター/コリン・クライヴ/アーネスト・セシガー●日本公開:1935/07●配給:ユニヴァーサル映画●最初に観た場所:渋谷ユーロ・スペース (84-07-21)(評価:★★★★)●併映:「フランケンシュタイン」(ジェイムズ・ホエール)
「フランケンシュタイン」●原題:FRANKENSTEIN●制作年:1994年●制作国:イギリス・日本・アメリカ●監督:ケネス・ブラナー●製作:



「ノスフェラトゥ」●原題:NOSTERTU. PHANTOM DER NACHT(英:NOSFERATU THE VAMPYRE))●制作年:1979年●制作国:西ドイツ●監督・脚本・製作:ヴェルナー・ヘルツォーク●撮影:イェルク・シュミット=ライトヴァ![ノスフェラトゥ(1978)[A4判].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%88%E3%82%A5%281978%29%EF%BC%BB%EF%BC%A1%EF%BC%94%E5%88%A4%EF%BC%BD.jpg)


「ドラキュラ都へ行く」●原
題:LOVE AT FIRST BITE●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:スタン・ドラゴッティ●製作・脚本:ロバート・カウフマン●撮影:エドワード・ロッソン●音楽チャールズ・バーンスタイン●時間:96分●出演:ジョージ・ハミルトン/スーザン・セント・ジェームズ/ディック・ショーン/アート・ジョンソン/リチャード・ベンジャミン/シャーマン・ヘムズリー●日本公開:1979/12●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:日比谷・みゆき座(79-12-15)(評価:★★★)
「刑事コロンボ(第31話)/5時30分の目撃者」●原題:A DEADLY STATE OF MIND●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:ハーベイ・ハート●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:ピーター・S・フィッシャー●ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー●音楽:バーナード・セイガル●時間:73分●出演:ピーター・フォーク/ジョージ・ハミルトン/レスリー・ウォーレン/スティーブン・エリオット/カレン・マックホン/ブルース・カービー/ライアン・マクドナルド/ジャック・マニング/フレッド・ドレイパー/ウィリアム・ウィンターソウル/ヴァンス・デイヴィス/レッドモンド・グリーソン/グローリー・カウフマン●日本公開:1976/12●放送:NHK(評価:★★★☆) 「

'90年公開の洋画で先ず個人的に良かったのは、スパイク・リー監督の「ドゥ・ザ・ライト・シング」('89年/米)で、ブルックリンの黒人街でピザ屋を営むイタリア系父子と店員のムーキーやその周辺の黒人たちの暑い夏の1日を、毒々しい色彩感覚とラップのリズムにのせて描いたものですが、まだメジャーになる前のスパイク・リー監督自身がピザ屋の店員のムーキー役で主演しており、作品の根柢には人種差別問題があるのですが、予定調和に終わらない結末にスパイク・リーの鋭さが窺えました。ダニー・アイエロは「ゴッドファーザーPart II」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」にもちょこっと出ていた俳優ですが、この作品で1989年・
続いて良かったのがブルース・ベレスフォード監督の「ドライビング Miss デイジー」('89年/米)で、90年度アカデミー賞優秀作品賞・主演女優賞などの最多4部
門に輝いた秀作(ジェシカ・タンディは歴代最高齢(80歳)でのアカデミー主演女優賞受賞)。1948年のアトランタを舞台に70歳過ぎのユダヤ人の元教師(ジェシカ・タンディ)と黒人運転手(モーガン・フリーマン)の交流を描いたもので、ラストの老人ホームでの二人の再会シーンは感動的。こうした"感動ストーリー"仕立てを好まない人もいますが、個人的には入れ込んでしまいました。dジェシカ・タンディの名演もさることながら、この頃のモーガン・フリーマンもいいです(本書評価★★★★/個人的評価★★★★☆)。
モーガン・フリーマンが映画俳優として知られるようになったのは50歳の時、ジェリー・シャッツバーグ監督の「NYストリート・スマート」('87年/米)でアカデミー助演男優賞にノミネートされてからで、この「ドライビング Miss デイジー」でアカデミー主演演男
優賞にノミネートされたのは52歳の時。さらにフランク・ダラボン監督の「ショーシャンクの空に」('94年/米)でティム・ロビンスと共に主役レッドを演じて最高の評価を得、前作に続いてアカデミー主演演男優賞にノミネートされますが受賞はならず、その10年後に、クリント・イーストウッドが監督した「
デミー助演男優賞受賞を受賞し、4回目のノミネートでアカデミー俳優となります。(●2023年10月9日、「ショーシャンクの空に」を「TOHOシネマズ錦糸町オリナス」にて「午前十時の映画祭13」で4K版にて再鑑賞(劇評で観るのは初)。モーガン・フリーマンの堂々たる演技が、レッドを単なる"観察者"ではなくより強い存在していることを再認識した。一方で、アカデミー賞を獲れなかった理由も、主人公と異なりレッドが"行動者"ではなく"観察者"に留まっているという役柄設定のせいもあったのではないかと思った。原作は スティーヴン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』。壁に貼られた女優のポスターリタ・ヘイワース、マリリン・モンロー、ラクエル・ウェルチと変わっていくのが時の流れを表していた。2023年時点で、
・ザ・ライト・シング」を取り上げ、「この映画には真実がある」と訴えています(キム・ベイシンガーも「ドライビング Miss デイジー」が良くないとは言っていない。しかしながら、この頃からアカデミーのある種"偏向"を見抜いていたとも言える)。
マーティン・スコセッシ監督の「グッドフェローズ」('90年/米)は、実在の人物をモデルにギャングたちの生き様を描いた作品で、ヴェネツィア国際映画祭「銀獅子賞」受賞作。ロバート・デ・ニーロが口封じのために仲間を次々と殺していく様子や、ジョー・ペシがギャングの幹部に呼ばれて昇格かと思い出向いたところ、逆に殺されてしまうところなどオソロシイ。「グッドフェローズ」って、反語的意味合いを含んでいるわけね(本書評価★★★★/個人的評価★★★★)。
「トータル・リコール」('90年/米)は、フィリップ・K・ディック(1928-1982/享年53)の短編SF小説「記憶倍
ります」をポール・バーホーベンが監督したもので、シュワルツェネッガー演じる主人公の偽(ニセ)の妻役に、後に同じくポール・バーホーベン監督の「氷の微笑」('92年/米)に主演するシャロン・ストーンが出ていました。優れたSF映画に贈られる「サターンSF映画賞」の第17回受賞作。この作品、最近リメイクされています(本書評価★★★★/個人的評価★★★☆)。
因みに、ポール・バーホーベン監督は「ロボコップ」('87年/米)で米映画界に進出して成功を収めたオランダ人です。「ロボコップ」は、殉職した警官の遺体を利用したサイボーグ警官が活躍するバイオレンスSFアクション映画で低予算で作られながらもヒットし、「ロボコップ2」「ロボコップ3」やテレビドラマシリーズも作られました(2014年にリメイクされた)。サイボーグ警官を演じたのはピーター・ウェラーでしたが、アーノルド・シュワルツェネッガーも候補だったと
か。犯罪多発都市としてデトロイト市を舞台としていますが、デトロイトは当時から既に自動車産業の衰退で荒廃していたため、ロケのほとんどはダラスで行われたそうです。暴力シーンも多いですが、一方で、ピーター・ウェラーの演じる哀愁を帯びた主人公と、そのロボット歩き(ピーター・ウェラーしかできなかったので彼がスタントも演じた)はなかなかのものでした。ラストで、悪人がオム二社(ロボコップを造った会社)の会長を人質にして逃走を図りますが、悪人はオムニ社の役人で、ロボコップに内蔵されていた「オムニ社役員には危害を加えない」というプログラムがあって手を出せないでいたところ、会長が悪人に「お前はクビだ!」と叫んだことでプログラムの規定が消滅し、ロボコップは悪人を射殺するという、そうしたコミカルな面もありました(これも「サターンSF映画賞」の受賞作)。







「ショーシャンクの空に」●原題:THE SHAWSHANK REDEMPTION●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督・脚本:フランク・ダラボン●製作:ニキ・マーヴィン●撮影:ロジャー・ディーキンス●音楽:トーマス・ニューマン●原作:スティーヴン・キング「刑務所のリタ・ヘイワース」●時間:142分●出演:ティム・ロビンス/モーガン・フリーマン/ボブ・ガントン/ウィリアム・サドラー/クランシー・ブラウン/ギル・ベローズ/ジェームズ・ホイットモア●日本公開:1995/06●配給:松竹富士(評価:★★★★)「
「グッドフェローズ」●原題:GOODFELLAS●制作年:1990年●制作国:アメリカ●監督:マーティン・スコセッシ●製作:アーウィン・ウィンクラー●脚本:ニコラス・ピレッジ/マーティン・スコセッシ●撮影:ミヒャエル・バルハウス●時間:145分●出演:レイ・リオッタ/ロバート・デ・ニーロ/ジョー・ペシ/ロレイン・ブラッコ/ポール・ソルヴィノフランク・シベロ/


ティン/シャロン・ストーン/ロニー・コックス/マイケル・アイアンサイド/マーシャル・ベル/メル・ジョンソン・Jr/ ロイ・ブロックスミス/レイ・ベイカー/マイケル・チャンピオン/デビッド・ネル●日本公開:1990/06●配給:東宝東和(評価:★★★☆)
「ロボコップ」●原題:RoboCop●制作年:1987年●制作国:アメリカ●監督:ポール・バーホーベン●製作:アーン・L・シュミット●脚本:エドワード・ニューマイヤー/マイケル・マイナー●撮影:ヨスト・ヴァカーノ/ソル・ネグリン●音楽:ベイジル・ポールドゥリス●時間:103分●出演:ピーター・ウェラー/ナンシー・アレン/ロニー・コックス/カートウッド・スミス/ダン・オハーリー/ミゲル・フェラー/ロバート・ドクィ/フェルトン・ペリー/レイ・ワイズ/ポール・マクレーン●日本公開:1988/02●配給:ワーナー・ブラザース映画(評価:★★★★)








ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)は軍の元狙撃手で、アフリカでの任務で観測手の友人を失い、今で退役して山中で犬と暮らしているが、そんな彼にある依頼が来て、それは、何者かが大統領の狙撃暗殺を企てているので、その実行プランを見抜いて欲しいというもの。愛国心から引き受けた彼は、フィラデルフィアで狙撃が行われると確信、大統領演説の当日に現場で監視にあたるが、いきなりアドバイザーの制服警官に撃たれ、その間に狙撃が行われて弾は大統領を外れてエチオピア大司教の命を奪う。負傷しながらも何とかその場を離れたスワガーは、自分が罠にはめられたことに気付き、そこから彼の復讐が始まる―。
つい最近になって観てみたら、やっぱり違う! 原作の、ちょうど『
じたマット・デイモンが原作より線が細く見えたのと似た印象を持ちました'(この二人、よく似ている)。
スワガーが今は亡き親友の恋人サラ(ケイト・マーラ、「
カタルシス効果に重きを置いたと思われますが、やや安直に結末だけ修正したような感じもし、原作スト―リーだけでは観客を惹きつけ切れないという自信の無さか。"悪い奴ら"である大佐と上院議員を演じるのが「リーサル・ウェポン」('87年)のダニー・グローヴァーやコメディ作品にも出演の多いネッド・ビーティで、両者とも気のいいオッサンに見えてしまうのも難かも。





「ザ・シューター/極大射程」●原題:SHOOTER●制作年:2006年●制作国:アメリカ●監督:アントワーン・フークア●製作:ロレンツォ・ディボナヴェンチュラ/リック・キドニー●脚本:ジョナサン・レムキン●撮影:ピーター・メンジース・Jr●音楽:マーク・マンシーナ●原作:スティーヴン・ハンター「極大射程」●時間:124分●出演:マーク・ウォールバーグ/マイケル・ペーニャ/ダニー・グローヴァー/ケイト・マーラ/イライアス・コティーズ/ローナ・ミトラ/ネッド・ビーティ/ラデ・シェルベッジア/ジャスティン・ルイス/テイト・ドノヴァン/レイン・ギャリソン/ブライアン・マーキンソン/アラン・C・ピーターソン●日本公開:2007/06●配給:UIP(評価:★★☆)
2010年ゴールデングローブ賞 作品賞(ドラマ部門)受賞作。
全世界で5億人以上のユーザーが登録しているFacebookの創業にまつわる物語で、一躍時代の寵児となったザッカーバーグは、若くして億万長者へと成り上がっていくのですが、この映画によれば、Facebookの前身が、ザッカーバーグがガールフレンドのエリカ(ルーニー・マーラ、「
鎖されると、やはり女の子との出会いを目的としたハーバード大生専用のコミュニティサイト「ハーバード・コネクション」の制作に協力して、そこからヒントを得て、「ザ・フェイスブック」が誕生し、それがエドゥアルドの所属する大学一のファイナル・クラブである「フェニックス」の人脈を利用して瞬く間に広まっていったという―真偽のほどはともかく、その過程が興味深かったです。
結局、ザッカーバーグは、「ハーバード・コネクション」の創設者ウィンクルボス兄弟と、彼が共同設立した会社のCEOとなったエドゥアルド(ショーン・パーカーを巡って2人の意見が対立し、結局彼はザッカーバーグに設立会社の重役を降ろされてしまう)の両者から訴えられていて、映画は、ザッカーバーグが抱える2つの訴訟場面を現在とし、過去を時系列で顧みる形で物語が展開されていくため、必ずしもハッピーエンドとは言えない現在が予め観客に提示されている「成功物語」ということになります。
IT業界の裏側を覗き見ると言うより、Facebookがどのようにして生まれたか自体に関心があって観ましたましたが、意外だったのは、最初は極端にオタクっぽく見えたザッカーバーグ(この人、アスペルガー症候群?)が、後半になると随所で経営者才覚を発揮する点で、ビル・ゲイツなどもこのプロセスを経てきているのだろうけれど、前半及び裁判シーンでザッカーバーグの"KY(空気読めない)ぶり"がやや強調され過ぎている感じもしました(映画として面白くするため?)。
えば、Facebookを作った理由が"女の子にモテたいから"ってなってたけど、僕と彼女はFacebookを作る前から付き合っているし、別れたこともないんだよ(実際にザッカーバーグは'12年5月、このハーバード時代の同窓生である東洋系の彼女と結婚式を挙げた)。ただ、映画を観た多くのFacebookユーザーから"感激しました!"という反応があった。この映画を観て、コンピューターの分野に進むことを決意する人が出てきたり、そういう影響を与えたことは最高に凄いと思う。その部分だけはね」とコメントしており、割合マトモな談話ではないかなあ(元々はマトモな人物なのか、それとも財界人になって社会的協調性を身につけたのか?)。


「ソーシャル・ネットワーク」●原題:THE SOCIAL NETWORK●制作年:2010年●制作国:アメリカ●監督:デヴィッド・フィンチャー●製作:スコット・ルーディン/マイケル・デ・ルカ/シーアン・チャフィン●脚本:アーロン・ソーキン●撮影:ジェフ・クローネンウェス●音楽:トレント・レズナー/アッティカス・ロス●原作:ベン・メズリック「facebook」●時間:121分●出演:ジェシー・アイゼンバーグ/アンドリュー・ガーフィールド/ジャスティン・ティンバーレイク/ブレンダ・ソング/ラシダ・ジョーンズ/ジョゼフ・マゼロ/マックス・ミンゲラ/ルーニー・マーラ/アーミー・ハマー/ダグラス・アーバンスキ/ダコタ・ジョンソン/トレヴァー・ライト/ウォレス・ランガム●日本公開:2011/01●配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(評価:★★★)




プロシア占領下の北仏ルーアンからの脱出行を図る馬車に乗り合わせたのは、互いに見知らぬブルジョア階級の夫婦3組、修道女2人、民主主義者の男1人、そして「脂肪の塊」と綽名される娼婦が1人―。大雪で移動に時間を要し、腹が減った彼らは、娼婦が自分の弁当を一同に快く分け与えたおかげで飢えを凌ぐことが出来、一旦は、普段は軽蔑している彼女に親和的態度を見せる。しかし途中の町宿で、占領者であるプロシアの士官が娼婦との関係が持てるまでは彼らの出発を許可しないと言っていると知ると、愛国心ゆえ嫌がる娼婦を無理矢理説き伏せ,士官の相手をさせようとする。そして再び出発の時、皆のために泣く泣く士官の相手をした娼婦を迎えた彼らの態度は、汚れた女を見るように冷たく、娼婦は憤慨し悲嘆にくれる―。
1880年にギ・ド・モーパッサン(1850-1893)が30歳で発表した彼の出世作であり、馬車に乗り合わせた少数の人々が繰り広げるシンプルな出来事の中に、社会的偏見と人間のエゴイズムを凝縮させた、風刺文学の傑作と言えます(皮肉屋モーパッサンの面目躍如といった感じか)。
普仏戦争(1870‐71)の戦時下という状況設定ですが、そう言えば五木寛之氏のエッセイにも、五木氏自らが子供の頃に朝鮮で体験した、(占領側に女性を人身御供として差し出すという)同じようなエピソードがありました。但し、この作品のブルジョワ達が、ある種、閉ざされたグループ内での"ノリ"で行動しているように見える点は、わざわざ戦争や階級差別を持ちださなくとも、現代の学校のいじめ問題などにも通じるところがあって、怖いように思えました。

この作品は、旧ソ連(
モーパッサンの「脂肪の塊」を川口松太郎(1899-1985)が翻案したもので、西南戦争のさなか、町を出るため名士を乗せた馬車には酌婦の山田五十鈴演じるお雪や原駒子演じるおきんたちも乗り合わせていたが、身分の卑しい彼女らと同席することを士族一家や豪商夫婦は嫌がり「けがらわしいから馬車から降りろ」となじる、そんな折、悪路のために馬車は転倒・大破して立ち往生、一行は身動きとれなくなって官軍により全員足止めを喰らい、そこでお雪が宥和策として官軍将校への人身御供的な立場に―とこの辺りまでは原作に近いですが、ここ
からなんと、官軍の将校・朝倉晋吾(夏川大二郎)とお雪は惚れ合ってしまい、一方、お雪の代わりに自ら"人身御供"を申し出たおきんは女のメンツを潰された形に
なり、朝倉を憎みながらも実は彼女もまた朝倉に恋心を抱くという、恋愛・三角関係ドラマになっています。川口松太郎は第1回「直木賞」受賞作家ですが、「愛染かつら」の川口松太郎だから恋愛メロドラマになってしまうのでしょうか(因みに川口松太郎と溝口健二とは小学校時代の同級生で、川口松太郎は溝口監督の「雨月物語」('53年/大映)の脚本なども書いている)。
因みに、ジョン・フォード監督の「駅馬車」('39年/米)は、、1937年発表のアーネスト・ヘイコックスの短編小説「ローズバーグ行き駅馬車」(ハヤカワ文庫『駅馬車』/井上一夫訳)ですが、後にジョン・フォード監督は「この映画の発想源はギ・ド・モーパッサンの小説『脂肪の塊』だ」と語っています(主役のジョン・ウェインは当時ほとんど無名だった)。映画「駅馬車」の大まかなあらすじは、トント発ニューメキシコ州のローズバーグ行駅馬車に様々な身分の乗客が乗り合わせ、その中には婦人会から追い出された娼婦ダラス(クレア・トレヴァー)もいて他の乗客から蔑視される一方、途中から、父と兄を殺され敵討ちのため脱獄したリンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)が乗車し、駅馬車は最初の停車場に到着、ジェロ
ニモがアパッチ族を率いて襲撃に来ると言う情報があったため護衛の騎兵隊の到着を待つものの、騎兵隊は一向に姿を見せず、このままま進むかトントに戻るか乗客の間で合議した結果、このまま目的地ローズバーグへ進むこととなって、ローズバーグ近くまで襲撃に遭わずに来て、これで無事到着出来ると安堵した矢先、アパッチ族が放った一本の矢が乗客の胸に突き刺さる―というもの。以降、有名なアクションシーンが展開され、さらにリンゴ・キッドの敵討ちの話へと続きますが(このリンゴ・キッドにはジョニー・リンゴというモデルになった実在の人物がいて、3人の無法者に兄を殺され、たった3発の銃弾で兄の敵を討ったという逸話がある)、映画の前半から中盤部分は駅馬車の車内で展開される、差し詰め「移動舞台劇」といった感じでしょうか。その点で確かに「脂肪の塊」と似ています。
小説「脂肪の塊」での乗り合わせた乗客は、ワイン問屋を経営する夫妻、工場経営者の上流階級夫妻、伯爵とその夫人、二人の修道女と民主党員、それに娼婦エリザベート・ルーセの合わせて10人、一方の映画「駅馬車」の乗客は、当初、娼婦ダラスのほかに騎兵隊夫人、保安官、飲んだくれの医師、酒商人、賭博
屋の計6人で、途中、銀行の金を横領した銀行家が加わり、最後にリンゴ・キッドが乗り込むので合わせて8人ということになります。「脂肪の塊」より2人少ないですが、「脂肪の塊」の方は夫婦連れなども含まれていることから「6組10人」とも言え、「脂肪の塊」では、当時のフランスを象徴する階級を乗り合わさせ、「駅馬車」では当時のアメリカ西部を象徴する代表的な層を乗り合わさせていると言われていますが、「脂肪の塊」の方がブルジョア層の中で娼婦が孤立する図式が強いでしょうか。「駅馬車」は、淀川長治がユナイテッド・アーティスツ日本支社の宣伝部勤務になって最初に担当した作品であり、「駅馬車」という邦題を考えたのも淀川長治
です(右の広告のデザインも淀川長治)。雑誌「キネマ旬報」発表の「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編」で、1999年(キネ旬創刊80周年記念)第7位、2009年(キネ旬創刊90周年記念)第10位と高ランクを維持して日本でも評価されている一方、米国では、70年代ぐらいから騎兵隊 vs.インディアン的な映画はインディアン軽視だとされ制作されなくなり、この「駅馬車」もインディアンに対する差別的な描写があるとして上映・放送は難しくなっているそうです(傑作だけれどもポリティカル・コレクトネス上の問題があるということか)。
山田五十鈴(当時18歳)

「マリアのお雪」●制作年:1935年●監督:溝口健二●脚色:高島達之助●撮影:三木稔●音楽:高木孝一●原作:川口松太郎「乗合馬車」(原案:モーパッサン「脂肪の塊」)●時間:80分●出演:山田五十鈴/原駒子/夏川大二郎/中野英治/歌川絹枝/大泉慶治/根岸東一郎/滝沢静子/小泉嘉輔/鳥居正/芝田新/梅村蓉子●公開:1935/05●配給:松竹キネマ(評価:★★★)
「駅馬車」●原題:STAGECOACH●制作年:1939年●制作国:アメリカ●監督・製作:ジョン・フォード●脚本:ダドリー・ニコルズ●撮影:バート・グレノン/レイ・ビンガー●音楽:ボリス・モロース●原作:アーネスト・ヘイコックス「ローズバーグ行き駅馬車」●時間:99分●出演:ジョン・ウェイン/クレア・トレヴァー/トーマス・ミッチェル/ジョージ・バンクロフト/アンディ・ディバイン/ルイーズ・プラッ/ジョン・キャラダイン/ドナルド・ミーク/バートン・チャーチル/トム・タイラー/ティム・ホルト●日本公開:1940/06●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:高田馬場パール座(82-12-28)(評価★★★★)●併映:「
【1938年文庫化・1957年改版[岩波文庫(『脂肪の塊』(水野亮:訳)]/1951年再文庫化[新潮文庫(『脂肪の塊・テリエ館』(青柳瑞穂:訳))]/1954年再文庫化[角川文庫(『脂肪の塊―他二編』(丸山熊雄:訳))]/1955年再文庫化[河出文庫(『脂肪の塊』( 田辺貞之助:訳))]/1971年再文庫化[講談社文庫(『脂肪の塊・テリエ館』(新庄嘉章:訳))]/2004年再文庫化[岩波文庫(『脂肪のかたまり』(高山 鉄男:訳)]/2016年再文庫化[光文社古典新訳文庫(『脂肪の塊/ロンドリ姉妹―モーパッサン傑作選』(太田浩一:訳)]】


主人公のセシルは、寡(やもめ)の父レーモンとコート・ダジュールの別荘で17歳の夏を過ごしていたが、その別荘に亡き母の友人のアンヌがやって来る。セシルも最初は聡明で美しいアンヌを慕うが、アンヌが父と結婚する気配を見せ始め、母親然としてセシルに勉強のことやボーイフレンドとのことを厳しく言い始めると、父との気楽な生活が続かなくなり、父をアンヌに取られるのではないかという懸念から、彼女はアンヌに反感を抱くようになる。やがて彼女は父とアンヌの再婚を阻止する計画を思いつく―。
サスペンスフルであるとも言えるストーリーは、オットー・プレミンジャー監督の「天使の顔」(' 52年/仏)と似ているという話がありますが、そのオットー・プレミンジャー監督によって1957年にアメリカ映画化されています。
映画では、恋多き父親をデイヴィッド・ニーヴン(戦争映画などとは違ったいい味出している。1983年に筋萎縮性側索硬化症で亡くなった)、前の愛人をミレーヌ・ドモンジョ(右写真:アメリカ映画にはこれが初出演)、新しい恋人をデボラ・カー(物語の結末上、個人的には、1982年にコート・ダジュールで自動車事故死したグレイス・ケリーと何となくダブる)が演じていますが、う~ん、役者は皆いいのですが、何となく原作
の雰囲気と違うような...(フランソワ・トリュフォーは、「映画がサガンを裏切っているかどうかなんて問題じゃない。プレミンジャーやセバーグにサガンが値するかどうかが問題なのだ」として、一方的に映画の方の肩を持っているが)。
サガン自身はその後も佳作を産み出すものの、セレブとのパーティ三昧、生死を彷徨うスポーツカー事故、ドラッグ所持での有罪判決、ミッテラン元大統領との親密な交際、晩年の貧困の原因となったギャンブル等々、むしろゴシップ・メーカーとして目立った存在でした。










「サガン―悲しみよこんにちは」(2008)




胸部外科医のメイフィールド(レナード・ニモイ)は、上司のハイデマン博士(ウィル・ギア)との心臓移植の拒絶反応を抑える新技術の共同研究の成果を、他の研究グループが発表する前に先手を打って発表すべきだと考えていたが、ハイデマン博士はもっと治験が必要だとして発表を認めない。そんな折、博士が心臓の病に倒れ、博士の主治医でもあるメイフィールドが手術をすることになるが、手術を補佐した看護婦のシャロン(アン・フランシス)は、メイフィールドが縫合糸に何か細工をしたことに気づく。真面目な彼女は自分の疑問を確認しようとするが、その最中にメイフィールドに殺されてしまう―。
「刑事コロンボ」第15話で、レナード・ニモイの冷静な犯人役が際立っている作品。むしろ、コロンボの方がメイフィールドのデスクを叩いて激昂するという珍しい場面(台詞上は「ハイデマン博士の面倒をよくみることだ。もし死んだら、当然われわれは検死解剖を要求する。そして、単なる心臓発作による死亡なのか、糸のためなのかを確認するからな」―言葉使いも荒い)があったりするので、ますますメイフィールドの冷静さが浮き彫りにされるわけですが、この「冷静さ」がコロンボによる事件解決の伏線になっていたわけだなあ(実はコロンボの「激昂」そのものも、メイフィールドを窮地に追い詰め、彼に次の行動を起こさせてボロを出させるための演技だったわけだが)。
犯人だとは分かっているけれど、証拠が出ない―それが最後の最後で閃いた、土壇場の逆転劇であるとするならば、その直前にコロンボがメイフィールドに対し表向きは負けを認めて一旦引き下がったのは、まだ逆転の可能性はあるという思いを裡に秘めた演技半分、悔しいという本音半分だったのでしょうか。とにかく、それぐらい手強い相手だったということなのでしょう。それにしても、ミスター・スポックことレナード・ニモイ、昔からああいう独特のマスクだったんだなあ。
但し、TV版「宇宙大作戦/スタートレック」は1966年から1969年に全米で放映されており、このコロンボ出演('73年)の前のこと(従って、彼が「コロンボ」に出演していた時には既に「レナード・ニモイ=スポック博士」のイメージが浸透していたことになる)、TV版が映画「スタートレック」になったのが'79年で、その後、「スタートレックⅥ」まで作られましたが(新シリーズを含めると2009年までに11作映画化されている)、「Ⅲ・Ⅳ」をレナード・ニモイ、「Ⅴ」をカーク船長ことウィリアム・シャトナーが監督しています。
因みに、宇宙艦エンタープライズ号のカーク船長役のウィリアム・シャトナーも、'76年に「刑事コロンボ」の第38話「ルーサン警部の犯罪」に犯人役で出演しています(第63話「4時02分の銃声」でも再び犯人役を演じている)。
その「ルーサン警部の犯罪」は、本物の警部が犯罪を犯すわけではなく、テレビの人気ミステリ・シリーズで名警部役を演じている俳優が犯人であるという、あたかも「刑事コロンボ」を意識したかのような背景で、ウィリアム・シャトナー演じるところの犯人が「ルーサン警部」の立場からコロンボと一緒に事件の謎を解いていくという凝った設定ですが、事件そのものは余りに状況証拠が多すぎて、コロンボにとってはあまり難事件とは言えなかったかも。
最後に決め手となる物的証拠も、犯人の指紋の拭き忘れという凡ミスに拠るもので、強いて言えば、犯人が殺人を犯した自分自身とルーサン警部という架空のキャラクターとの区別がつかなくなっている(?)のが、
犯罪心理面での見所でしょうか。そうしたことも含め、レナード・ニモイの冷静な犯人像に比べると、ウィリアム・シャトナーのこのエピソードにおける犯人像はかなり弱々しく思えました(それにしても、ウィリアム・シャトナー、若いなあ)。
個人的には、「スタートレック」シリーズを劇場で観たのは「Ⅲ」くらいまでかなあ(「Ⅲ」では初代「宇宙大作戦」の原作者(生みの親)ジーン・ロッデンベリーが原作者としてクレジットされている)。「新スタートレック」 「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」といったTV版も一部ビデオで観たので、もう、どれがどれだか分らなくなってしまいましたが、作品の出来不出来はともかく、やはり最初に観た「Ⅰ」が印象に残りました(「ヴィジャー」って何かと思ったらそういうことだったのか、という衝撃があった)。
いずれにせよ、このTVシリーズと映画化作品が全米で絶大な人気を得たのは事実で、トレッキーまたはトレッカーと呼ばれる熱心なファンがアメリカのみならず世界中の宇宙関連事業関係者にも多いと言われています。そうした現象を逆手に取ってパロディ化したディーン・パリソット監督、ティム・アレン主演の「ギャラクシー・クエスト」('99年/米)というのもありました。20年前TVシリーズ「ギャラクシー・クエスト」で宇宙の英雄である「エンタープライズ号」ならぬ「プロテクター号」乗組員を演じて
人気を博すも、今は売れずにファンへのサイン会
やイベントを糧にして生活を送っていた俳優たちが、他の星の宇宙人の侵略に苦しむ中「ギャラクシー・クエスト」の電波を自星で受信し、架空のドラマだとは思わずに歴史ドキュメンタリーと信じて助けを求めてきた宇宙人たちによって実際の宇宙戦争に巻き込まれるという二重構造に、「スタートレック」のパロディを絡ませた三重構造の形を取っていて、なんだかオリジナルより面白かったような...。今思えば、当時「エイリアン4」('97年)までの出
演を終えたシガニー・ウィーバー(「
因みに、「溶ける糸」でメイフィールドに殺されてしまう優しく真面目な看護婦役のアン・フランシス(1930-2011)は、ロープウェイでのラストシーンが印象的な「刑事コロンボ」シリーズ第8話「
は、「
アン・フランシス&レスリー・ニールセン 「禁断の惑星」(1956)
「刑事コロンボ(第15話)/溶ける糸」●原題:A STITCH IN CRIME●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:ハイ・アヴァバック●製作:ディーン・ハーグローヴ●脚本:シャール・ヘンドリックス●ストーリー監修:ジャクソン・ギリス●時間:73分●出演:ピーター・フォーク/レナード・ニモイ/ウィル・ギア/アン・フランシス/ニナ・タルボット/ジャレッド・マーティ/ヴィクター・ミラン/アニタ・コルシオ●日本公開:1973/10●放送:NHK-UHF(評価:★★★★)

「スタートレック」●原題:STAR TRECK●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:ロバート・ワイズ●製作:ジーン・ロッデンベリー●脚本:ハロルド・リヴィングストン/レナード・ニモイ●撮影:リチャード・H・クライン
アン/ウォルター・ ケーニッグ/ジョージ・タケイ/パーシス・カンバータ/スティーブン・コリンズ/メイジェル・バレット/ニシェル・ニコラス●日本公開:1980/07●配給:パラマウント映画=CIC●最初に観た場所:渋谷パンテオン(80-07-14)●2回目:大井ロマン(85-02-09)(評価:★★★☆)●併映(2回目):「スター・トレック2 カーンの逆襲」(ニコラス・メイヤー)/「スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!」(レナード・ニモイ) 

「スタートレックII カーンの逆襲」●原題:STAR TREAK 2 THE WRATHOF KHAN●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:ニコラス・メイヤー●製作:ロバート・サリン●脚本:ジャック・B・ソワーズ/ニコラス・メイヤー●撮影:ゲイン・レシャー●音楽:ジェームズ・ホーナー●時間:113分/117分(ディレクターズ・カット版)●出演:ウィリアム・シャトナー/レナード・ニモイ/デフォレスト・ケ
リー/ジェームズ・ドゥーアン/ニシェル・ニコルズン/ジョージ・タケイ/ウォルター・ケーニッグ/ビビ・ベッシュ/メリット・バトリック/カースティ・アレイ/ポール・ウィンフィールド/リカルド・モンタルバン/ジャドスン・スコット/ジョン・ウィンストン●日本公開:1983/02●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:大井ロマン(85-02-09)(評価:★★★)●併映:「スター・トレック」(ロバート・ワイズ)/「スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!」(レナード・ニモイ)

「スタートレックⅢ ミスター・スポックを探せ!」●原題:STAR TREAK 3 THE SEARCH FOR SPOCK●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督:レナード・ニモイ●製作:ロバート・サリン●脚本:ジャック・B・ソワーズ/ニコラス・メイヤー●撮影:チャールズ・コレル●音楽:ジェームズ・ホーナー●原作:ジーン・ロッデンベリー●時間:105分●出演:ウィリアム・シャトナー/レナード・ニモイ/デフォレスト・ケリー/ジェームズ・ドゥーアン/ニシェル・ニコルズン/ジョージ・タケイ/ウォルター・ケーニッグ/メリット・バトリック/ロビン・カーティス/クリストファー・ロイド/マーク・レナード/デイム・ジュデ
ィス・アンダーソン/キャシー・シリフ/ロバート・フックス/フィリップ・R・アレン/ジェームズ・B・シッキング/ジョン・ラロケット/ティーヴン・リスカ/ポール・ソレンセン/フィル・モリス/ミゲル・フェラー●日本公開:1984/06●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:大井ロマン(85-02-09)(評価:★★★)●併映:「スター・トレック」(ロバート・ワイズ)/「スター・トレック2 カーンの逆襲」(ニコラス・メイヤー)



「ギャラクシー・クエスト」●原題:GALAXY QUEST●制作年:1999年●制作国:アメリカ●監督:ディーン・パリソット●製作:マーク・ジョンソン/チャールズ・ニューワース●脚本:デビッド・ハワード/ロバート・ゴードン●撮影:イェジー・ジェリンスキー●音楽:デヴィッド・ニューマン●時間:102分●出演:ティム・アレン/シガニー・ウィーバー/アラン・リックマン/トニー・シャルーブ/サム・ロックウェル/ダリル・ミッチェル/エンリコ・コラントーニ/パトリック・ブリーン/ミッシー・パイル/ジャスティン・ロング/ロビン・サックス/ジェド・リース/ジェレミー・ハワード/ケイトリン・カラム/ジョナサン・フェイヤー●日本公開:2000/01●配給:ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ(評価:★★★★)




世界も、外套と同様にきらきら輝いたものに見えてきたのだった。ところがその矢先―。
「外套」の方は、本国で何度か映画化されていて、「小犬を連れた貴婦人」('59年/ソ連)に俳優として出演していたアレクセイ・バターロフ(1928年生まれ)監督の作品('60年/ソ連)を観ましたが、原作に沿ってきっちり作られていて、作品全体としては悪くない出来だと思いました。但し、一方で、バシマチキン(アカーキイ)の人物造型はやや"戯画的"に描かれ過ぎていてるようにも思いました(一番劇画チックなのは、彼が幽霊になってからだが)。
まあ、原作がそもそも"戯画的"な性格を持っているというのはあるのですが、ペーソスより滑稽と怪奇の方が勝ち過ぎている気もしました。主演のロラン・ブイコフの演技の評価は高
いですが、「名演技」であることには違いないですが、個人的印象としては「怪演」であるとも言えるように思います。ベタなウェット感を拭い去ることによって、最終的には逆にペーソスを引き出そうというのが狙いだったのかもしれませんが。

この作品はまた、「
ユーリー・ノルシュテインは「
「鼻」の方は、「禿山の一夜」「展覧会の絵」で知られるアニメーション界の巨人アレクサンドル・アレクセイエフ(Alexandre Alexeieff、1901-1982)が短編アニメ映画化していて(「鼻」(1963))、この人の作品はピンスクリーンという手法で知られています(これまた、ボードに立てた「25万本の針」を出したり引っ込めたりして光を当てながら1コマ1コマ撮っていくという、気の遠くなるような時間のかかかる技法)。このアレクセイエフの「鼻」もウェブで視聴可能、音楽のみでセリフは無く、最後はややブラックなオチになっています。

「鼻」(アニメ版)●原題:Le Nez (The Nose)●制作年:1963年●制作国:フランス●監督:アレクサンドル・アレクセイエフ●共同監督:クレア・パーカー●原作:ニコライ・ゴーゴリ「鼻」●時間:11分●DVD発売:2006/03●発売元:ジェネオン エンタテインメント(評価:★★★★)








夫が肺癌で死んだのは、長年の喫煙が原因だとして、タバコ会社を相手どって未亡人が訴訟を起すが、結果次第では同様の訴訟が続発する可能性もあり、原告・被告双方の陪審コンサルタントによる各陪審員へのアプローチが開始される。そうした中、選任手続きを巧みにすり抜け、陪審団に入り込んだ青年がいた―
トライアルは日本における刑事事件の公判に近いものですが、米国では刑事事件・民事事件共通の手続きであり、陪審トライアルだけでなく、陪審無しの裁判官によるトライアルもあり、そもそも刑事・民事ともそこに進む前に司法取引がなされたり和解が成立したりすることが多いため、トライアルにまでいく裁判は少ないとのこと―従って、陪審制(陪審トライアル)の下で行われる事件は実は全体のほんの一部に限られているということですが、映画邦題にこの言葉を選んだのは、リーガル・サスペンスの邦訳タイトルに似たものが多く、とは言え、原題の"The Runaway Jury"(「暴走した陪審員」と「楽勝の陪審員」の二重の意味?)を邦題にしても、日本人にはぴんと来にくいためでしょうか(映画が公開された時、原作がグリシャムとは気付かなかった自分としては「陪審評決」のままでも良かったと思う。「トライアル」でもぴんと来にくいことには変わりない)。
映画化作品は(タバコ訴訟ではなく、銃乱射事件の被害者が銃器製造会社を訴えるという設定に改変されている)、陪審員に潜り込んだ男にジョン・キューザック、陪審コンサルにジーン・ハックマン、正義を貫こうとする原告側弁護士にダスティン・ホフマンという取り合わせで、映
画だと三者の細かい遣り取りはどうしても端折りがちにならざるを得ず、むしろ陪審員のプロファイリングに際してFBI顔負けのハイテク機器をも駆使するジーン・ハックマンのやり手ぶりが強調されていたように思います。
ダスティン・ホフマンはやや脇に回った感がありますが、ジーン・ハックマンとはお互いの無名時代に、ホフマン夫妻がハックマン夫妻のアパートに転がり込み居候していた時期があったという古い友人同士で、この作品が初共演。一旦クランクアップした後に、そのことに思い当たったゲイリー・フレダー監督が2人を再度召喚し、裁判所のトイレで2人が本音でやり合うシーンを撮ったとのことですが、2人がサシで言葉を交わすのはこの場面しかなく、迫力ある2人の衝突はまさに"共演"と言うより"競演"、レイチェル・ワイズ、ジョアンナ・ゴーイングといった個性派美女も出演している作品ですが、やはりこの二大俳優の激突シーンの迫力が一番印象に残りました(この場面、原作には無いわけだが)。
「ニューオーリンズ・トライアル」●原題:THE RUNAWAY JURY●制作年:2003年●制作国:アメリカ●監督:ゲイリー・フレダー●製作:ゲイリー・フレダー/クリストファー・マンキウィッツ/アーノン・ミルチャン/スティーヴン・ブラウン●脚本:ブライアン・コッペルマン/デヴィッド・レヴィーン/マシュー・チャップマン/リック・クリーヴランド●撮影:ロバート・エルスウィット●音楽:クリストファー・ヤング●原作:ジョン・グリシャム「陪審評決」●時間:128分●出演:ジョン・キューザック/ジーン・ハックマン/ダスティン・ホフマン/レイチェル・ワイズ/ブルース・デイヴィソン/ジェレミー・ピヴェン/ブルース・マッギル/ジョアンナ・ゴーイング/ヘンリー・ジャンクル/ニック・サーシー/セリア・ウェストン/ディラン・マクダーモット●日本公開:2004/01●配給:東宝東和)(評価:★★★☆)



牛追いの旅の途中で逗留した墓場の町トゥームストーンで、牛を盗まれ末弟を殺されたワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)ら兄弟は、犯人を捜すべく町に留まり保安官職を引き受けるが、町には賭博師ドク・ホリディ(ヴィクター・マチュア)がいた。ワイアットは根っからの悪人ではないドクに一目置き、友情を抱く。やがてドクを追って東部からクレメンタイン(リンダ・ダーネル)という女性が来て、ワイアットは密かに恋心を抱くも彼女のドクへの想いを知り、その希望を叶えるためにも酒浸りのドクに酒を控えるよう忠告するが、は自らが病気であることを悟るドク、彼女につれない態度をとる―。
「荒野の決闘」は1946年のジョン・フォード作品ですが、ヘンリー・フォンダの映画と言ってもいいかも(そもそも、ジョン・フォードがジョン・ウェインを使わずヘンリー・フォンダを起用している点が興味深い)。もの静かながらも正義感と責任感を裡に秘め、武骨ながらも時にユーモアも見せるヘンリー・フォンダ独特のワイアット・アープ像が印象的でした。
この作品の他にも「OK牧場の決斗」('57年/ジョン・スタージェス監督、バート・ランカスター、カーク・ダグラス主演)をはじめ何度か映画の素材になっており、90年代に入っても「
「荒野の決闘」では、ワイアット・アープとドグ・ホリディは酒場で出会って意気投合し、ドク・ホリディに惚れていた酒場の女が銃で撃たれる事件が起きて、ドクがその時に彼女の手術をしたために、彼が元医者であることが初めて皆に知れるというようになっていますが、「OK牧場の決斗」「トゥームストーン」「ワイアット・アープ」では2人は以前から親友だったことになっています。
和田誠氏は『
「OK牧場の決斗」も西部劇の傑作には違いなく、アクション味やカタルシスの度合いは「荒野の決闘」より上かも知れませんが、個人的には「荒野の決闘」の静かな雰囲気の方が好きかなあ(モノクロームの味わいもある)。
"娯楽作品"vs."文芸作品"という感じで、比較するのに
無理があるかも知れませんが、ワイアット・アープ像は、保安官然とした「OK牧場の決斗」のバ―ト・ランカスターよりも、じわっと人間味が出ている「荒野の決闘」のヘンリー・フォンダの方
が上、ドグ・ホリディは誰が演じても受ける"映画向き"のキャラクターという気はしますが、これもヴィクター・マチュアの存在感が、カーク・ダグラス(これも、この作品でのバ―ト・ランカスターと比べると悪くはないが)を上回っているように思います(但し、先に挙げた和田誠氏の『お楽しみはこれからだ―映画の名セリフ』によると、この「荒野の決闘」でのヴィクター・マチュアの一般的評価はあまり高くないようだ)。
「荒野の決闘」のテーマ曲「いとしのクレメンタイン」は、歌詞に"a miner, forty-niner"とあるように、ゴールドラッシュ時代を回顧したアメリカ民謡で、"Clementine"は亡くなった恋人(抗夫の娘)の名、日本では探検・登山家の西堀栄三郎が作詞した「雪山讃歌」として知られています。
ジョン・スタージェス監督自身は「OK牧場の決斗」の内容に不満であったと言われ、この10年後、「OK牧場の決斗」の後日譚をより史実に近い形で描いた「墓石と決闘(Hour of the Gun)」('67年)を撮っていますが、配役はワイアット・アープがジェームズ・ガーナー、ドク・ホリデイがジェイソン・ロバーズに変わっています(OK牧場での決斗シーンから映画が始まるので、正続で描かれ方を比べてみるのもいい)。

「荒野の決闘(いとしのクレメンタイン)」●原題:MY DARLING CLEMENTINE●制作年:1946年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・フォード●製作:サミュエル・G・エンゲル●脚本:サミュエル・G・エンゲル/ウィンストン・ミラー●撮影:ジョー・マクドナルド●音楽:シリル・モックリッジ/アルフレッド・ニューマン●原作:サム・ヘルマン/スチュアート・N・レイク●時間:97分●


「OK牧場の決斗」●原題:GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL●制作年:1957年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・スタージェス●製作:ハル・B・ウォリス●脚本:レオン・ウーリス●撮影:チャールズ・ラング・Jr●音楽:ディミトリ・ティオムキン●原案:ジョージ・スカリン●時間:122分●出演:バート・ランカスター/カーク・ダグラス/ロンダ・フレミング/ライル・ベトガー/ジョン・アイアランド/ジョー・ヴァン・フリート/リー・ヴァン・クリーフ/アール・ホリマン/デニス・ホッパー/ケネス・トビー/デフォレスト・ケリ
ジャック・イーラム/ブライアン・ハットン/フランク・フェイレン/マーティン・ミルナー/オリーヴ・ケリー/テッド・デ・コルシア●日本公開:1957/07●配給:パラマウント映画(評価:★★★☆)



60年代アメリカン・ニューシネマの代表的な作品と言えば、'67年の「俺たちに明日はない」「

名画座で初めて観た時には、既に公開から10年を経ており、それまでにリヴァイバル上映もされていて、おおよその展開を知ってはいましたが、それでも「死のバレエ」と言われるラスト・シーンを観た際の衝撃は大きく、併映の「真夜中のカーボーイ」(これもいい作品)を観終わった後で、また最初から見直しました(その後も何度かリヴァイバル・ロードショーなどで観た)。
デヴィッド・ニューマンとロバート・ベントンの脚本に共感したウォーレン・ベイティが製作者として関わっていますが、当初は製作に専念する予定だったそうで、一方、彼の姉であるシャーリー・マクレーンが強くボニーの役を願っていたのが、ウォーレン・ベイティがクライド役に決定したためマクレーンは役から降り(脚本の原案では、クライドはバイセクシャルとして扱われていて、これが映画化が難航する原因となったが、映画化のために改変された脚本でもクライドの"不能"がモチーフとして使われているため、何れにせよ、実姉であるマクレーンは降りざるを得なかった)、その結果フェイ・ダナウェイに白羽の矢が立ったとのこと。フェイ・ダナウェイはこの作品で一躍知名度を上げました。
ジョージ・ロイ・ヒル(George Roy Hill、1922 -2002)監督の「明日に向って撃て!」(Butch Cassidy and the Sundance Kid)も思い出深い作品であり、「俺たちに明日はない」の約半年前に観たため、自分の中ではある意味、"ニューシネマ"というとこちらの作品になるという面もあります。
「俺たちに明日はない」と同様に実在の人物をベースとしたギャング・ストーリーであり、アメリカン・ニューシネマに特徴的な悲劇的結末を迎えますが、多分この作品で最も印象に残るのは、バート・バカラックの「雨にぬれても」が流れる中、ポール・ニューマン(Paul Newman、1925 - 2008)がキャサリン・ロスを自転車に乗せて走るシーンではないかと思われ、イメージとしては「俺たちに明日はない」より明るいというか、ソフィストケートされて
いる印象を受けます。
しかも、いきなりロバート・レッドフォードに白羽の矢が立ったわけではなく、最初はマーロン・ブランド(Marlon Brando、1924-2004)がポール・ニューマンの共演者としてサンダンス役をやることになっていたのが、キング牧師の暗殺事件にショックを受けた(本当に?)マーロン・ブランドが役を断った結果、ロバート・レッドフォードに初の大役が回ってきたというから、世の中わからないものです。もし、マックイーンとポール・ニューマンの組み合わせだったとすれば、或いはポール・ニューマンとマーロン・ブランドの組み合わせだったら、これも違った雰囲気の作品になっていたように思います。当初予定配役の変更により、結果として、「俺たちに明日はない」はフェイ・ダナウェイを、「明日に向って撃て!」はロバート・レッドフォードを、それぞれスターダムに押し上げた作品になったわけだなあと。
同じくジョージ・ロイ・ヒルが監督し、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが共演した「スティング」('73年/米)も、「明日に向って撃て!」での両者の共演があってこそ成り立った作品と言えるかもしれません。1936年のシカゴを舞台に詐欺で日銭を稼
ぐ1人の若者(ロバート・レッドフォード)が、親同然の師匠(ロバート・アール・ジョーンズ)を殺害したギャング(ロバート・ショウ)に復讐するために伝説的な賭博師(ポール・ニューマン)と協力し、得意のイカサマで相手組織を徐々に追い詰めていく様を描いたコメディで、信用詐欺(コン・ゲーム)を扱った作品の中では代表的な映画です。(2024年に池袋・新文芸坐で再鑑賞。ある意味、プロ詐欺師を扱った「お仕事ムービー」であり、「ゴンドーフ」といった名前は20世紀初期に実在した詐欺師たちの名前に因んでいて、犯罪映画に分類されることもあるようだ。ダナ・エルカー演じるFBI捜査官ポークが実は詐欺仲間ヒッキーが演じる偽物とわかっていても、ラストではチャールズ・ダーニング演じるスナイダー警部補同様、視聴者までも騙されそうになるのではないか。経年劣化しにくい作品だと改めて思った。)
「俺たちに明日はない」●原題:BONNIE AND CLYDE●制作年:1967年●制作国:アメリカ●監督:アーサー・ペン●製作:ウォーレン・ベイティ●脚本:デヴィッド・ニューマン/ロバート・ベントン/ロバート・タウン●撮影:バーネット・ガフィ●音楽:チャールズ・ストラウス●時間:122分●出演:ウォーレン・ベイティ/フェイ・ダナウェイ/ジーン・ハックマン/マイケル・J・ポラード
2017年第89回アカデミー賞作品賞プレゼンター/フェイ・ダナウェイ(76歳)・ウォーレン・ベイティ(79際)



「明日に向って撃て!」●原題:BUTCH CASSIDY AND THESUNDANCE KID●制作年:1969年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・ロイ・ヒル●製作:ジョン・フォアマン●脚本:ウィリアム・ゴールドマン●撮影:コンラッド・L・ホール●音楽:バート・バカラック●時間:110分●出演:ポール・ニューマン/ロバート・レッドフォード/キャサリン・ロス/ストローザー・マーティン/ジェフ・コーリー/ジョージ・ファース/クロリス・リーチマン/ドネリー・ローズ/ケネス
「スティング」●原題:THE STING●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・ロイ・ヒル●製作:リチャード・D・ザナック/トニー・ビル/マイケル・フィリップス/ジュリア・フィリップス●脚本:デヴィッド・S・ウォード●撮影:ロバート・サーティース●音楽:スコット・ジョプリン(主題歌「ジ・エンターテイナー」)/マーヴィン・ハムリッシュ●時間:129分●出演:ポール・ニューマン/ロバ
ート・レッドフォード/ロバート・ショウ/チャールズ・ダーニング/ハロルド・グールド/レイ・ウォルストン/ジョン・ヘファナン/アイリーン・ブレナン/ジャック・キーホー/ダナ・エルカー/ロバート・アール・ジョーンズ/ディミトラ・アーリス●日本公開:1974/06●配給:CIC●最初に観た場所:有楽シネマ(77-12-13)●2回目:渋谷東急(79-03-03)●3回目:八重洲スター(79-11-02)●4回目:池袋・新文芸坐(24-05-19)(評価:★★★★)●併映(1回目):「エアポート'77 バミューダからの脱出」(ジェリー・ジェイムスン)●併映(3回目):「追憶」(シドニー・ポラック)





有楽シネマ (1955年11月14日オープン、1994年12月休館、1995年6月16日~シネマ有楽町(成人映画上映館)、1996年~銀座シネ・ラ・セット、159席) 2004(平成16)年1月31日閉館 跡地に建設のイトシアプラザ内に2007年10月シネカノン有楽町2丁目オープン、2009年12月4日ヒューマントラストシネマ有楽町に改称





農民が地主の横暴に苦し
められた19世紀末のアイルランド、農夫ジョセフ(トム・クルーズ)の父も、厳しい地代の取立ての混乱で事故死する。更に地主の配下に家を焼かれ、怒ったジョセフは地主を射殺しようと地主邸に向かうが失敗、銃の暴発のため負傷し、復
讐相手の邸で介抱を受けるという間抜けな結果となる。そこには、放火の張本人で地主令嬢と結婚を図るスティーブン(トーマス・ギブソン)がいて、ジョセフは彼を襲うも再度失敗し、彼と決闘させられることに。そこへ、実はスティーブンのお高くとまった性格が嫌いで、堅苦しい生活を捨てアメリカ行きを望む地主令嬢のシャノン(ニコール・キッドマン)が現れ、ジョセフを攫うように連れ去り、二人のアメリカ行きの旅が始まる―。
アイルランド系移民の苦労を描いたロン・ハワード監督の'92年作品で、トム・クルーズとニコール・キッドマンが仲良かった頃、と言うか、結婚したての頃の作品ですが、映画の中に出てくる「オクラホマ・ランドラッシュ」というのが印象深かったです。
1889年4月22日の正午を境にオクラホマへの白人の入植が認められた。同年同月日には15ドルの入植手続き料を支払った人々がオクラホマとの境界に集まり、正午を告げる号砲が鳴ると一斉にオクラホマへと乗り込んでいった。彼らは一人当たり160エーカー(65ヘクタール)の土地を手に入れることができた――これは、新大陸のフロンティア時代の入植者に土地を無料で配るというもので、移民たちが白線に並んで「用意ドン!」で駆けっこして、ここからここまでは自分の土地だと主張した範囲の土地が与えられるというスゴイものなのですが(当然、そこで醜い争いも生じる)、お嬢さんだが気が強いシャノンと、自分の土地を得るにはこの方法しかないと考えるジョセフは、このレースに参加する―。
ロン・ハワードにはアイルランド人の血が流れていて、祖先にはこのオクラホマのランド・ラッシュに実際に参加した人もいたとのことで、随分前からこの映画の構想は練っていたそうです。ニコール・キッドマンをヒロインに想定していたところに、トム・クルーズが出演の名乗りを上げたそうですが、ロン・ハワードは当時二人が交際していることを知らなかったそうです。因みに、トム・クルーズ自身にもアイルランド人の血が流れています。
2人ともいい演技をしています。特に、上流意識を持ち、気位が高いながらも、ボディガード代わりに連れてきたトム・クルーズに内心では惹かれていくニコール・キッドマンの演技がいい(トム・クルーズはこの映画の随所で、状況の急な変化に振り回される、三枚目的な味を出している)。
移民たちが駆けっこして奪い合っている土地は、元々は北米原住民のものであるはずという批判的な見方も出来ますが、この映画が日本でも本国でもあまりヒットしなかったことを思うと、もう少し注目されても良かったのでないかと。ロン・ハワードは両親とも俳優だったので、子役の頃から多くのテレビドラマや映画に出演していましたが(「

一方のトム・クルーズは、それ以前に「トップガン」('86年)で一躍世界的なスターになっていたわけで、日本でもこの映画は大ヒットしました。まあ、米海軍が協力を惜しまない "USネイビィのリクルート戦略"の一環のような映画でした。「
ヴァル・キルマー、メグ・ライアン、ティム・ロビンスら若手俳優の出世作としても知られ、「ER 緊急救命室」の"グリーン先生"ことアンソニー・エドワーズがトム・クルーズの同僚パイロット役で出てましたが、出ていた記憶が薄いのはまだ髪の毛が濃かったせいでしょうか。ともかく、トム・クルーズ人気を一気に高めた作品であって、その分だけ相対的に他の俳優の影が薄い? 後になって、あの人も出ていた、この人も出ていたと言われる映画です(当時まだ皆さほど名が知れてなかったということもあるが)。
トム・クルーズの当時の人気はすさまじく、その勢いで「トップガン」と同年にマーティン・スコセッシ監督の「ハスラー2」('86年)に出演、翌々年にはロジャー・ドナルドソン監督の「カクテル」('88年)、バリー・レヴィンソン監督の「
ューマンに初のアカデミー主演男優賞をもたらし、ダスティン・ホフマンと共演した「レインマン」は第61回アカデミー賞と第46回ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)、さらに第39回ベルリン国際映画祭においてそれぞれ作品賞を受賞しました。一方、トム・クルーズのスマイルと、フレアバーテンディングによるカクテル作りの派手なパフォーマンスでヒットを博した「カクテル」は、(一応"原作"はあるようだが)完全なトム・クルーズ・ファンのためのアイドル映画でした。これ、ビデオパーティで観た(90-04-01)のですが(自分で選んではいない)、当時の日本のバブリーな雰囲気にマッチしていた面もあったかも。

ケリー・マクギリスは1982年に映画デビューしていますが、彼女を一躍有名にしたのは、ハリソン・フォードと共演し、アーミッシュの女性を演じた「刑事ジョン・ブック 目撃者」('85年)でしょう(これも知人宅でのビデオパーティで観た(89-05-03))。ハリソン・フォード演じる警察の不正を知ったために警察に追われること
になった刑事が主人公で、警察を舞台にした犯罪サスペンスかと思ったら、そのジョン・ブック刑事が匿われたアーミッシュの村の暮らしぶり(と言うより、アーミッシュの人々の考え方)が描かれていて、ある種カルチャーショック映画のようになっていました。ハリソン・フォードはアカデミー主演男優賞にノミネートされましたが、来日した時に、今まで出演した中で一番印象に残っている作品として、この「刑事ジョン・ブック 目撃者」を挙げていました。この作品でのハリソン・フォードの演技の延長上に、後の「
ました。女性がアレクサンドル・ゴドゥノフ演じる許嫁候補(?)と仮に結婚したとしても、ずっとジョン・ブックのことを思い続けるのでしょう(「シェーン」にも同じことが言えるが、旦那または許
嫁は"立場ない"なあ)。それにしてもケリー・マクギリス、最初の主演作がハリソン・フォードの相手役で、次がトム・クルーズの相手役であったわけで、当時の圧倒的な美貌のせいもあってか、キャリアの最初の方がとりわけ華々しかったです。
(●2022年にジョセフ・コジンスキー監督による「トップガン マーヴェリック」('22年/米)が公開され
た。「トップガン」から36年ぶりの続編で、トム・クルーズが前回同様マーヴェリック役を演じ、米海軍パイロットのエリート養成学校、通称"トップガン"に教官として戻ってくることになるも、結局、自らチームを率いて敵地へウラン濃縮施設撃破のために飛ぶことになるというもの。トム・クルーズは60歳で頑張っているなあという感じで、映画もヒットしているようだ。日本でも世代を問わず絶賛する声が多い。ただ、前作と異なり、映画評論家までが褒めていたりするのには違和感を感じる。俳優のミッキー・ロークが、トム・クルーズが「トップガン マーヴェリック」で米国
で興行収入1位になったことについてどう思うかとの質問に、「あいつは35年間あんな同じ役を演じてるんだ。尊敬に値しないね」と言っており、そちらの方がまともなマトモな見方とも言える。ヒロイン役はジェニファー・コネリー(51歳)。ケリー・マクギリスは、自分のところには出演オファーが無かったと言っている(笑)。気になったのはストーリーで、教官が部下を救い、今度は部下が教官を救うという話は美しいが、敵地に不時着して、"たまたま近くあった"敵の戦闘機を強奪して帰還するというのはあまりに話が出来過ぎているように思った。かつて、クリント・イーストウッドが監督・主演した「ファイヤーフォックス」('82年)で、イーストウ

ッド演じる元米空軍パイロットがNATOの秘密ミッションでソ連に潜入し、最新鋭戦闘機「MiG-31 ファイヤーフォックス」を盗み出すという映画があったが、あれは最初から周到な計画のもとに敵地に潜入しているわけであって、しかも、
当時の〈東西冷戦〉状況を背景としているとはいえ戦闘機自体はパイロットの意志を感知してオートマチックに敵を攻撃する機能を搭載しているといった半ばSF仕立てでもあった(この機能は実際に研究されているが、まだ実現していない)。苦心惨憺の末に敵戦闘機に辿り着いたイーストウッドとの比較でみると、トム・クルーズの、不時着した付近にたまたま敵の戦闘機があったというのは、あまりにご都合主義的な話だったように思う。
「トップガン マーヴェリック」には、トム・クルーズが前作と同じ"マーヴェリック"役で出ているほかに、ヴァル・キルマーが前作と同じ"アイスマン"役で出ていて、個人的には「
「遥かなる大地へ」●原題:FAR AND AWAY●制作年:1992年●制作国:アメリカ●監督:ロン・ハワード●製作:ブライアン・グレイザー/ロン・ハワード●脚本:ボブ・ドルマン●撮影:ミカエル・サロモン●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:140分●出演:トム・クルーズ/ニコール・キッドマン/トーマス・ギブソン/バーバラ・バブコック/シリル・キューザック/ロバート・プロスキー/コルム・ミーニー/アイリーン・ポロック/ミシェル・ジョンソン/ダグラス・ジリソン/ウェイン・グレイス/バリー・マクガヴァン●日本公開:1992/07●配給:ユニヴァーサル映画=UIP(評価:★★★☆)
「トップガン」●原題:TOP GUN●制作年:1986年●制作国:アメリカ●監督:トニー・スコット●製作:ドン・シンプソン/ジェリー・ブラッカイマー●脚本:ジム・キャッシュ/ジャック・エップス・Jr●撮影:ジェフリー・キンボール●音楽:ハロルド・ファルターメイヤー/ジョルジオ・モロダー●時間:110分●出演:トム・クルーズ/ケリー・マクギリス/ヴァル・キルマー/アンソニー・エドワーズ/トム・スケリット/マイケル・ アイアンサイド/ジョン・ストックウェル/リック・ロソビ


「カクテル」●原題:COCKTALEN●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:ロジャー・ドナルドソン●製作:テッド・フィールド/ロバート・W・コート●脚本:ヘイウッド・グールド●撮影:ディーン・セムラー●音楽:ピーター・ロビンソン(主題歌:ザ・ビーチ・ボーイズ「ココモ」)●原作:ヘイウッド・グールド●時間:104分●出演:トム・クルーズ/ブライアン・ブラウン/エリザベス・シュー/ケリー・リンチ●日本公開:1989/03●配給:ワーナー・ブラザース(評価:★★★)

「刑事ジョン・ブック 目撃者」●原題:WITNESS●制作年:1985年●制作国:アメリカ●監督:ピーター・ウィアー●製作:エドワード・S・フェルドマン●脚本:ウィリアム・ケリー/アール・W・ウォレス●撮影:ジョン・シール●音楽:モーリス・ジャール●時間:113分●出演:ハリソン・フォード/ケリー・マクギリス/ルーカス・ハース/ジョセフ・ソマー/ダニー・グローヴァー/ヤン・ルーベス/アレクサンドル・ゴドゥノフ/パティ・ルポーン/ブレント・ジェニングス/アンガス・マッキネス/フレデリック・ロルフ/ヴィゴ・モーテンセン●日本公開:1985/06●配給:UIP(評価:★★★☆)
「トップガン マーヴェリック」●原題:TOP GUN: MAVERICK●制作年:2022年●制作国:アメリカ●監督:ジョセフ
・コシンスキー●製作:ジェリー・ブラッカイマー/トム・クルーズ/クリストファー・マッカリ
ー/デヴィッド・エリソン●脚本:アーレン・クルーガー/エリック・ウォーレン・シンガー/クリストファー・マッカリー●撮影:クラウディオ・ミランダ●音楽:ハロルド・フォルターメイヤー/レディー・ガガ/ハンス・ジマー●時間:131分●出演:トム・クルーズ/マイルズ・テラー/ジェニファー・コネリー/ジョン・ハム/グレン・パウエル/ルイス・プルマン/エド・ハリス/ヴァル・キルマー●日本公開:2022/05●配給:東和ピクチャーズ●最初に観た場所:TOHOシネマズ上野(スクリーン2)(22-07-12)(評価:★★☆)




二子東急 1957年9月30日 開館(「二子玉川園」(1985年3月閉園)そば) 1991(平成3)年1月15日閉館 





ミス・マープルの住むセント・メアリ・ミード村にある邸宅ゴシントン・ホールに、往年の大女優マリーナ・グレッグが夫ジェースン・ラッドと共に引っ越して来て、その邸宅で盛大なパーティが開かれるが、その最中に招待客の1人で地元の女性ヘザー・パドコックが変死し、死因はカクテルに入っていた薬物によるものだったことが判明する―。
やがて、何らかの秘密を握るジェースンの秘書エラ・ジーリンスキーが毒殺され、第3の殺人事件も起きますが、ストーリーそのものはシンプル(作品が永く印象に残る1つの要因だと思う)、但し、妊娠中の女性が水疱瘡に感染すると胎児に危険を及ぼすという知識はあった方がいいかも。
ガイ・ハミルトン監督によって映画化された「クリスタル殺人事件」('80年/英)は、ミス・マープル役がアンジェラ・ランズベリー(これが契機となったのか、後にテレビドラマ「ジェシカおばさんの事件簿」('84年~'96年)で"ジェシカおばさん"ことミステリー作家ジェシカ・フレッチャーを演じることに)。マリーナがエリザベス・テーラー(1932年生まれ)、秘書のエラがジェラルディン・チャップリン、夫ジェースンがロック・ハドソンと豪華顔ぶれですが、やや原作とは違っているという
感じも。原作ではそれほど重きを置かれていない映画女優ローラ・ブルースターをキム・ノヴァク(1933年生まれ)が演じることで、マリーナとローラの確執を前面に出しています。ロンドン警視庁のクラドック警部役がエドワード・フォックスだったり、マリーナが出ている映画の中でちらっと出てくる相手役がピアース・ブロスナン(ノンクレジット)だったりと、役者を観る楽しみはありますが、出演料に費用がかかり過ぎたのか舞台はやや地味で(『
・ハミルトン監督の次回作「
導入部では、例のミス・マープルと近所のおばさんや小間使いとの間の世間話なども織り込まれていて、最初はいつもフツーのおばあさんにしか見えないミス・マープルですが、事件が進展していくと一転して鋭い洞察をみせ、相当早くに犯人の目星をつけてしまったみたいで、後は、残った疑問点を整理していくという感じでしょうか(最大の疑問点は犯行動機、これが事件の謎を解くカギになる)。原作と同じようにエンディングで余韻を残していて、この点でも原作に忠実でした。
テレビ版でもこれまで何人かの女優がミス・マープルを演じていますが、BBCが最初にシリーズ化した際にマ―プルを演じたジョーン・ヒクソン(Joan Hickson、1906‐1998)は好きなタイプで、生前のクリスティ本人から「年を経た暁には、ミス・マープルを演じて欲しい」と言われたという逸話があるそうです(この「鏡は横にひび割れて」は、シリーズ全12話の最後の作品で、ジョーン・ヒクソンはこの時85歳くらいかと思われるが、非常にしっかりしている)。
この「鏡は横にひび割れて」には、同じテレビシリーズの「


「クリスタル殺人事件」●原題:The Mirror Crack'd●制作年:1980年●制作国:イギリス●監督:ガイ・ハミルトン●製作:ジョン・ブラボーン/リチャード・グッドウィン●脚本:ジョナサン・ヘイルズ/バリー・サンドラー●撮影:クリストファー・チャリス●音楽:ジョン・キャメロン●原作:アガサ・クリスティ「鏡は横にひび割れて」●時間:105分●出演:アンジェラ・ランズベリー/エリザベス・テイラー/ロック・ハドソン/ジェラルディン・チャップリン/トニー・カーティス/エドワード・フォックス/キム・ノヴァク/チャールズ・グレイ/ピーター・ウッドソープ/ナイジェル・ストック/ピアース・ブロスナン(ノンクレジット)●日本公開:1981/07●配給:東宝東和●(評価★★★)
「ミス・マープル(第12話)/鏡は横にひび割れて」●原題:The Mirror Crac'd from Side to Side●制作年:1992年●制作国:イギリス●監督:ノーマン・ストーン●製作:ジョージ・ガラッシオ●脚本:T・R・ボーウェン●撮影:ジョン・ウォーカー●原作:アガサ・クリスティ●時間:日本放映版93分(完全版204分)●出演:ジョーン・ヒクソン(マープル)/クレア・ブルーム(マリーナ・グレッグ)/バリー・ニューマン(ジェイソン・ラッド)/グエン・ワトフォード(ドリー・バントリー)/ジョン・キャッスル(ダーモット・クラドック警部)/コンスタンチン・グレゴリー(アードウィック・フェン)/グリニス・バーバー(ローラ・ブルースター)/エリザベス・ガーヴィー(エラ・ザイリンスキー) /デヴィッド・ホロヴィッチ(スラック警視)/イアン・ブリンブル(レイク巡査部長) ●日本公開:1997/03/19 (テレビ東京)(評価:★★★★) 






著者独自の「星」による採点は上の方が厳しくて、100点満点換算すると100点に該当する作品は無く、最高は90点で「天井桟敷の人々」('45年)と「ザッツ・エンタテインメント」('74年)の2作か(但し、個人的には、「天井桟敷の人々」は、一般的な「ミュージカル映画」というイメージからはやや外れているようにも思う)。











アメリカの作曲家コール・ポーターの伝記作品。著者の言う通り、「ポーターの佳曲の数々を聴かせ唄と踊りの総天然色場面を楽しませる」のが目的みたいな作品(曰く「その限りにおいては楽しい」と)。


ならない」という「赤い靴」の伝説があるそうだが、「赤い靴」と言えばアンデルセンが先に思い浮かぶ(一応、そこから材を得ているとのこと)。.jpg)

24時間の休暇をもらった3人の水兵がニューヨークを舞台に繰り広げるミュージカル。3人が埠頭に降り立って最初に歌うのは「ニューヨーク、ニューヨーク」。振付もジーン・ケリーが担当した。著者はヴェラ=エレンの踊りが良かったと。
「踊る大紐育」●原題:ON THE TOWN●制作年:1949年●制作国:アメリカ●監督:スタンリー・ドーネン●製作:アーサー・フリード●脚本:ベティ・カムデン/アドルフ・グリーン●撮影:ハロルド・ロッソン●音楽:レナード・バーンスタイン●原作:ベティ・カムデン/アドルフ・グリーン●時間:98分●出演:ジーン・ケリー/フランク・シナトラ/ジュールス・マンシン/アン・ミラー/ジュールス・マンシュイン/ベティ・ギャレット/ヴェラ・エレン●日本公開:1951/08●配給:セントラル●最初に観た場所:テアトル新宿(85-09-23)
⑧「巴里のアメリカ人」 ('51年/米)著者 ☆☆☆☆★(85点)自分 ★★★★(80点)


「巴里のアメリカ人」●原題:AN AMERICAN IN PARIS●制作年:1951年●制作国:アメリカ●監督:ヴィンセント・ミネリ●製作:アーサー・フリード●脚本:アラン・ジェイ・ラーナー●撮影:アルフレッド・
ギルクス●音楽:ジョージ・ガーシュイン●時間:113分●出演:ジーン・ケリー/レスリー・キャロン/オスカー・レヴァント/ジョルジュ・ゲタリー/ユージン・ボーデン/ニナ・フォック●日本公開:1952/05●配給:MGM日本支社●最初に観た場所:高田馬場パール座(78-05-27)●併映:「シェルブールの雨傘」(ジャック・ドゥミ)


![バンド・ワゴン 特別版 [DVD].jpg](/book-movie/archives/バンド・ワゴン 特別版 [DVD].jpg)
落ち目のスター、フレッド・アステアの再起物語で、「イースター・パレード」以上にショー・ビズもの色合いが強い作品だが、コメディタッチで明るい。ストーリーは予定調和だが、本書によれば、ミッキー・スピレーンの探偵小説のパロディが織り込まれているとのことで、そうしたことも含め、通好みの作品かも。但し、アステアとシド・チャリシーの踊りだけでも十分楽しめる。シド・チャリシーの踊りも、レスリー・キャロンと双璧と言っていぐらいスゴイ。
「バンド・ワゴン」●原題:THE BANDO WAGON●制作年:1953年●制作国:アメリカ●監督:ヴィンセント・ミネリ●製作:アーサー・フリード●脚本:ベティ・コムデン/アドルフ・グリーン●撮影:ハリー・ジャクソン●音楽:アドルフ・ドイッチ/コンラッド・サリンジャー●時間:112分●出演:フレッド・アステア/シド・チャリシー/オスカー・レヴァント/ナネット・ファブレー●日本公開:1953/12●配給:MGM●最初に観た場所:テアトル新宿(85-10-19)

著者曰く「すばらしいファション・ミュージカル」であり、オードリー・ヘプバーンの魅力がたっぷり味わえると(原題の「ファニー・フェイス」はもちろんヘップバーンのことを指す)。
衣装はジバンシー、音楽はガーシュウィンで、音楽と併せて、女性であればファッションも楽しめるのは確か。
ちょっと「マイ・フェア・レディ」に似た話で、「マイ・フェア・レディ」が吹替えなのに対し、こっちはオードリー・ヘプバーン本人の肉声の歌が聴ける。それにしても、一旦引退したこともあるはずのアステアが元気で、とても57才とは思えない。結局、更に20余年、「ザッツ・エンタテインメント」('74年)まで活躍したから、ある意味"超人"的。「タワーリング・インフェルノ」 ('74年)ではその演技が高評価を受け、アカデミー助演男優賞にノミネートされた。
「パリの恋人」●原題:FUNNY FACE●制作年:1956年●制作国:アメリカ●監督:ス
タンリー・ドーネン●製作:アーサー・フリード●脚本:レナード・ガーシェ●撮影:レイ・ジューン●音楽:ジョージ・ガーシュウィン/アドルフ・ドイッチ●時間:103分●出演:オードリー・ヘプバーン/フレッド・アステア/ケイ・トンプスン/ミシェル・オークレール●日本公開:1957/02●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:高田馬場ACTミニシアター(85-11-03)●併映:「リリー・マルレーン」(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)
⑪「南太平洋」('58年/米)著者 ☆☆☆★(65点)自分 ★★★☆(70点)
れる自然が満喫できる島だった)。著者は「戦時色濃厚な」作品であるため、あまり好きになれないようだが、それを言うなら、著者が高得点をつけている「シェルブールの雨傘」などは、フランス側の視点でしか描かれていないとも言えるのでは。超エスニック、大規模ロケ映画で、空も海も恐ろしいくらい青い(カラーフィルターのせいか? フィルターの色が濃すぎて技術的に失敗しているとみる人もいるようだ)。トロピカル・ナンバーの定番になった主題歌「バリ・ハイ」や「魅惑の宵」などの歌曲もいい。



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テキサスに本拠を置くアメリカ最大の石油会社のエリート社員マッキンタイヤ(ピーター・リガート)は、石油コンツェルンの会長(バート・ランカスター)から石油コンビナートの土地買収を命じられて、スコットランドの漁村へ派遣されるが、地元住民の反対に合うかと思われた土地買収は、村人の方が「金が入るなら」と意外と積極的で、ところがいよいよ契約という段階で、ベン(フルトン・マッケイ)という入江の小屋に住む老人が所有地を手放すことに強く抵抗していることが判り、交渉が難航し始める―.
一応はビジネスドラマみたいな体裁で話は進みますが、まさかラストがこうなるとは―。エリート社員マッキンタイヤの趣味は天体観測で、石油コンツェルン会長からは土地買収の交渉状況と併せてスコットランドの星空の模様を電話で知らせることも命じられていたのですが、そしたら、偶然に大流星群を発見することになり、会長はそれを見るため現地へ飛びますが、その前にベン老人との交渉を片付けてしまおうと彼の小屋に寄ることになります。
英国風ユーモア、スコットランド美しい自然と純朴な人々、心地良い音楽―振り返ればどれもが旨く調和していて、しかも最後に観る側を満たされた気分にしてくれる作品だったと思うのですが、ロードの際もロード終了後も一部でしか評判にならなかったのは、ビジネスドラマなのか、ある種のメルヘンなのか、規定の仕様が無かったという面があるためではないでしょうか(誰をターゲットに告知してよいのかが難しい)。今ならば、「エコロジー映画」ということでドーンと打ち出せるのだろうけれども...。そうした意味では、ちょっと世に出るのが早過ぎた作品です。


間:112分●出演:バート・ランカスター/ピーター・リガート/デニス・ローソン/ピータ
ー・キャパルディ/フルトン・マッケイ/ジェニー・シーグローヴ/ノーマン・チャンサー/クリス・ロジツキー●日本公開:1986/04●配給:ヘラルド・エース●最初に観た場所:大井武蔵野館 (87-11-03)(評価:★★★★☆)●併映:注目すべき人々との出会い」(ピーター・ブルック)
大井武蔵野館 閉館日(1999(平成11)年1月31日)



裕福な家庭の出ではあるがユダヤの血をひくために差別と偏見を受け、走ることによって栄光を獲て真のイギリス人になろうとするハロルド・エイブラハムスと、スコットランド人宣教師の家に生まれ、自身も神のために走る宣教師であるエリック・リデルという、1924年のパリ・オリンピックで祖国イギリスに金メダルをもたらした2人の陸上短距離ランナーの友情を描く―。
米アカデミー賞と英国アカデミー賞の両方で作品賞を受賞した作品(トロント国際映画祭の最高賞である「観客賞」、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞「作品賞」、ゴールデングローブ賞外国映画賞、ロンドン映画批評家協会賞「作品賞」なども受賞)。ヴァンゲリス・O・パパサナシュー(最近は"ヴァンゲリス"としか表記しないがギリシャ人)作曲の「タイトルズ(Chariots of Fire)」が陸上競技の美しい映像にマッチして耳にも心地良く、スポ根・ライバル物でもイギリス人が撮るとこんなに優雅なものになるのかと。
実在の2人の陸上選手がモデルになっているそうですが、映画公開当時は、70年代から80年代にかけて活躍したイギリスの陸上選手スティーブ・オベットとセバスチャン・コーをすぐに想起しました。'80年のモスクワ五輪でオベットはコーの得意とする800mで、コーはオベットの得意とする1500mでそれぞれ金メダルを獲っていますが(コーは4年後のロス五輪でも金)、2種目でメダルをわけ合った点も似ているし、コーが優等生タイプでオベットがコーの敵役と見られていた点も似ています。
オリンピックの100m競技が日曜日に行われることになっていたのを、リデルが"安息日"であるためとして出場を拒否し、代わりに走ったエイブラハムスが出場し金メダルを獲得したというのは史実であり、このことは、より近年の話ですが、三段跳びの'00年シドニー五輪の金メダリストで、現世界記録保持者であるジョナサン・エドワーズ(彼も敬虔なクリスチャンだが)が、'91年の世界陸上東京大会で、競技日が日曜日だったため「神の定めた安息日に競技を行うことはできない」として欠場したことを想起させます(その後、彼は考えを変えたが)。アメリカの陸上選手は黒人ばかり。一方イギリスは、陸上スポーツの世界にも、こうしたエスタブリッシュな伝統が受け継がれているのだなあと。








「イノセント」は1976年のイタリア・フランス合作映画で、ルキノ・ヴィスコンティ(1906‐1976)の最後の監督作品(公開されたのは没後)。
「イノセント」は、19世紀ローマの貴族男性(ジャンカルロ・ジャンニーニ)が主人公で、その彼が妻と愛人の間で揺れ動く様が描かれているのですが、〈妻〉が「青い体験」(Malizia、'73年/伊)、「続・青い体験」(Peccato veniale、'74年/伊)のラウラ・アントネッリで、〈愛
人〉が「おもいでの夏」(Summer of '42、'71年/米)のジェニファー・オニールなので、初めて見に行った時は、この2人を老ヴィスコンティがどう撮ったのかという興味もありました。貴族男性が愛人のもとへ行く際、妻に「君は昔から可愛い妹だった」などと言い訳して、それを妻ラウラ・アントネッリが許すというそれぞれのお気楽ぶりと従順ぶりにやや呆れるものの、最後になってみれば、実は女
性の心と肉体は男が思っているほど単純なものではなかったということか。
ラウラ・アントネッリ(あの「青い体験」の...)が妻でいながら、浮気などするなんて何というトンデモナイ奴かと思わせる部分も無きにしもあらずですが、浮気相手はジェニファー・オニール(あの「おもいでの夏」の...)だし...。
ジャンカルロ・ジャンニーニが演じる貴族は、自分の気持ちに純粋に従い過ぎるのかも。何となく憎めないキャラクターです(ジャンカルロ・ジャンニーニは、リナ・ウェルトミューラー監督の「流されて...」('75年/伊)の日本公開('78年)の時だったかに来日して舞台で挨拶していたが、意外と小柄だった印象がある)。結局、妻ラウラ・アントネッリの方も、義弟から紹介された作家に惚れられて自身も浮気に走り、そのことで夫は今さらのように自身の妻への愛着を再認識する―。
でもやはり気持ちはふらふらしていて、最後には作家の子を身籠った妻からの反撃を食い、愛人にも逃げられ、(自業自得とも言えるが)かなり惨めなことに...という、没落過程にある貴族層に個人のデカダン指向を重ね合わせたような、ヴィスコンティらしい結末へと繋がっていきます。
冒頭の「赤」を基調とした絢爛たる舞踏会シーンから映像美で魅せ、話の筋を追っていけば"貴族モノ"とは言え結構俗っぽい展開なのに、それでいて、ラウラ・アントネッリやジェニファー・オニールが、ヴィスコンティ映画の登場人物として"貴族然"として見えるのは、やはりヴィスコンティの演出のなせる業でしょうか(大河ドラマに出る女優が皆同じように見えるのとは似て非なるものか)。
精神的かつ性的に抑圧されることで更にその魅力を強めていくラウラ・アントネ
ッリが、(期待に反することなく?)充分エロチックに描かれていました(この〈妻〉の役は〈夫〉に勝るとも劣らず人物造形的にかなり複雑なキャラクターのように思える)。この映画の撮影の時ヴィスコンティは既に車椅子での演出でしたが、う〜ん、70歳、死期を悟りながらも、随分こってりした作品を作っていたんだなあと思わされます(そこがまたいい)。
因みに、ラウラ・アントネッリは貴族や上流階級の役での出演作がこの他にも幾つかあって、「イノセント」の一作前のジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ監督の1920年代のローマの社交界を舞台にした「悦楽の闇」('75年/伊・仏)では、裕福な貴族バニャスコ(テレンス・スタンプ)の愛人マノエラ役で出ています。バニャスコには他にも愛
人がいて、愛想をつかしたマノエラは彼の元を去りますが、バニャスコは、15歳の時にある男に処女を奪われて以来、男性不信になっていたというマノエラ
の話から、その男がいとこのミケーレ(マルチェロ・マストロヤンニ)であることを偶然り、ミケーレに嫉妬心を抱きます。彼は一計を案じ、ミケーレにマノエラを近づ
け苦しみを与えようとしたところ、ミケーレはいまだにマノエラを愛しており、マノエラの心も動いたため、バニャスコはますます苦しみ、最期は自殺に追い込まれるというもの。もとはと言えば男が悪いのですが、女はバニャスコ、ミケーレ以外にもミケーレ・プラチド(監督としても活躍)演じる男とも繋がりがあって、実
は彼女のほうこそ男を滅ぼすファム・ファータルだったということになるかと
思います。キャストは豪勢だし、ラウラ・アントネッリの衣裳も絢爛なのですが、ストーリーがごちゃごちゃしていて、単なる恋愛泥沼劇にになってる印象も受けました。ラウラ・アントネッリも頑張って演技してるし、テレンス・スタンプは意外と役が合っていましたが、やはり、役者を集めるだけではダメなのだろなあ。

「イノセント」●原題:L'INNOCENTE●制作年:1976年●制作国:イタリア・フランス●監督:ルキノ・ヴィスコンティ●製作:ジョヴァンニ・ベルトルッチ●脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ/エンリコ・メディオーリ/ルキノ・ヴィスコンティ●撮影:パスクァリーノ・デ・サンティス●音楽:フランコ・マンニーノ●原作:ガブリエレ・ダヌンツィオ「罪なき者」●時間:129分●出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ/ラウラ・アントネッリ/ジェニファー・オニール/マッシモ・ジロッティ/ディディエ・オードパン/マルク・ポレル/リーナ・モレッリ/マリー・デュボア/ディディエ・オードバン●日本公開:1979/03●最初に観た場所:池袋文





●製作:シルヴィオ・クレメンテッリ●脚本:オッタヴィオ・ジェンマ/アレッサンドロ・パレンゾ/サルヴァトーレ・サンペリ●撮影:ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:フレッド・ボンガスト●時間:
98分●出演:ラウラ・アントネッリ(Laura Antonelli)/アレッサンドロ・モモ/テューリ・フェッロ/アンジェラ・ルース/ピノ・カルーソ/ティナ・オーモン/ジャン・ルイギ・チリッジ●日本公開:1974/10●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:三鷹オスカー(80-04-05) (評価★★★★)●併映:「続・青い体験」(サルヴァトーレ・サンペリ)/「新・青い体験」(ベドロ・マソ)


「

「続・青い体験」●原題:PECCATO VENIALE●制作年:1974年●制作国:イタリア●監督:サルヴァトーレ・サンペリ●製作:シルヴィオ・クレメンテッリ●脚本:オッタヴィオ・ジェンマ/アレッサンドロ・パレンゾ●撮影:トニーノ・デリ・コリ●音楽:フレ
ッド・ボンガスト●時間:98分●出演:ラウラ・アントネッリ/アレッサンドロ・モモ/オラツィオ・オルランド/リッラ・ブリグノン/モニカ・ゲリトーレ/リノ・バンフィ●日本公開:1975/08●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:三鷹オスカー(80-04-05) (評価★★★☆)●併映:「青い体験」(サルヴァトーレ・サンペリ)/「新・青い体験」(ベドロ・マソ)
「悦楽の闇」●原題:THE DIVINE NYMPH●制作年:1975年●制作国:イタリア・フランス●監督:ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ●製作:ルイジ・スカチーニ/マリオ・フェッラーリ●脚本:ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ/アルフィオ・ヴァルダルニーニ●撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ●音楽:C・A・ビク
シオ●原作:ルチアーノ・ズッコリ●時間:130分●出演:ラウラ・アントネッリ/テレンス・スタンプ/マルチェロ・マストロヤンニ/ミケーレ・プラチド/エットレ・マンニ/デュリオ・デル・プレート/マリナ・ベルティ/ドリス・デュランティ/カルロ・タンベルラーニ/ティナ・オーモン●日本公開:1987/06●配給:ケイブルホーグ=大映●最初に観た場所:渋谷・パルコスペース3(87-06-06)(評価★★★)




楽:


もしも、美味しいものを食べられるだけ食べて、食
べられなくなってもとにかく食べ続け、最期は食べ過ぎによる自殺死を遂げる人がいたとしたら、その所為はかなり狂気に近いと言わざるを得ないだろうが、この映画に登場する4人の男たちはそれをやってのける―。
「最後の晩餐」はパリの郊外の邸宅に、料理家ウーゴ(ウーゴ・トニャッツィ(伊))、国際線パイロット・マルチェロ(マルチェロ・マストロヤンニ(伊))、裁判官フィリップ(フィリップ・ノワレ(仏))、俳優ミシェル(ミシェル・ピッコリ(仏))の4人の食通仲間が集い、贅沢を極めた料理を食べ続け、ついでに性欲もフルに満たしながらの饗宴(狂宴?)を繰り広げ、1人ずつ順番に、最後は4人とも、目的通り"食べ過ぎ"により死んでいくというもの。この映画はイタリア・フランス合作映画で、主演の4人も伊・仏混成となっていますが、監督はイタリアの奇才マルコ・フェレーリ(1928 ‐1997)です(カンヌ国際映画祭「FIPRESCI賞(国際映画批評家連盟賞)」受賞作)。
そう言えば、同じイタリア人監督フェデリコ・フェリーニの「サテリコン」('70年/伊)にも、ローマ貴族の酒池肉林の宴を描いたシーンがあり、スケールの大きさでは「サテリコン」の方が上だったかもしれません。但しこの「最後の饗宴」は、男4人の酒池肉林の如き宴の(この作品の場合「肉」には色欲の意味も加わるか)、その部分のみを延々と追って1本の作品として撮り切っていて、そうした意味では他に類を見ないものと言え、何れにせよ、日本人の発想からは作られないだろうと思われる作品です。



「最後の晩餐」●原題:LA GRANDE BOUFFE●制作年:1973年●制作国:イタ
リア・フランス●監督・脚本:マルコ・フェレーリ●製作:ヴァンサン・マル/ジャン=ピエール・ラッサム●撮影:マリオ・ヴルピアーニ●音楽:フィリップ・サルド●時間:130分●出演:マルチェロ・マストロヤンニ/ウーゴ・トニャッツィ/フィリップ・ノワレ/ミシェル・ピッコリ/アンドレア・フェレオル●日本公開:1974/11●最初に観た場所:大塚名画座 (78-11-07) (評価★★★★☆)●併映:「糧なき土地」(ルイス・ブニュエル)/「
「ありきたりな狂気の物語」●原題:STORIE DI ORDINRIA FOLLIA(TALES OF ORDINALY MADNESS)●1981年●制作国:イタリア・フランス●監督:マルコ・フェレーリ●製作:ジャクリーヌ・フェレーリ●脚本:マルコ・フェレーリ/
リップ・サルド●原作:チャールズ・ブコウスキー「ありきたりな狂気の物語」●時間:107分●出演:ベン・ギャザラ/オルネラ・ムーティ/タニヤ・ロペール/スーザン・ティレル/ロイ・ブロックスミス/カティア・バーガー●日本公開:1984/10●配給:イタリア会館●最初に観た場所:銀座文化1 (84-10-05) (評価★★★☆)
「未来は女のものである」●原題:IL FUTUPO E DONNA●1984年●制作国:イタリア・フランス・西ド
イツ●監督:マルコ・フェレーリ●脚本:マルコ・フェレーリ/ダーチャ・マライーニ/ピエラ・デッリ・エスポスティ●撮影:トニーノ・デリ・コリ●音楽:カルロ・サヴィーナ●時間:100分●出演:オルネラ・ムーティ/ハンナ・シグラ/ニエル・アレストラップ●日本公開:1986/03●配給:ヘラルド・エース●最初に観た場所:新宿シネマスクウェア東急 (86-03-22) (評価★★★)




コミックであるせいか、読んでいる間ずっとクリスティの原作『オリエント急行の殺人』でなく、シドニー・ルメット監督の映画「オリエント急行殺人事件」('74年/
英・米)の方が頭に浮かんでいました(原作を読んだ時はあまり雪のシーンをイメージしなかった?)。アルバート・フィニー(1936-2019)がポワロを演じたほか(アカデミー主演男優賞にノミネートされたが、彼のポアロ役はこの一作きりで、以後、アガサ・クリスティ原作の映画化は「
ルグッド、ショーン・コネリー(かつらを外して出
演し始めた最も最初の頃の作品ではないか)、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ウェンディ・ヒラー、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、マイケル・ヨーク、ジャクリーン・ビセット、ジャン=ピエール・カッセル等々が出演したオールスターキャスト映画でしたが、神経質で少しエキセントリックなところがある中年のスウェーデン人宣教師を演じたイングリッド・バーグマンが印象的でした(実はそのキャラクター自体が"演技"だった!)。イングリッド・バーグマンは事件の中心人物的な公爵夫人役を打診されたけれども、この地味な宣教師役を強く希望したそうで、その演技でアカデミー助演女優賞を獲得しています。
(●2017年にケネス・ブラナー監督・主演のリメイク作品「オリエント急行殺人事件」('17年/米)が作られた。Amazon.comのレビューなどを見ても評価が割れているが、本国でも賛否両論だったようだ。映画批評集サイトのRotten Tomatoesのサイト側によ
る批評家の見解の要約は「映画史の古典となった1974年版に何一つ新しいものを付け足せていないとしても、スタイリッシュなセットとオールスターキャストのお陰で、『オリエント急行殺人事件』は脱線せずに済んでいる」となっている。個人的感想も概ね
そんな感じだが、セットは悪くないけれど、列車が雪中を行くシーンなどにCGを使った分、新作の方が軽い感じがした。旧作にも原作にもないポワロのアクションシーンなどもあったりしたが、最も異なるのは終盤であり、ポワロが事件にどう片を付けるか悩む部分が強調されていて、ラストの謎解きもダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を模した構図の中でケネス・ブラナーの演劇的な芝居が続く重いものとなっている。旧作は、監督である
シドニー・ルメットが、「スフレのような陽気な映画」を目指したとのことで、ポワロの事件解決後、ラストにカーテンコールの意味合いで、乗客たちがワインで乾杯を行うシーンを入れたりしているので、今回のケネス・ブラナー版、その部分は敢えて反対方向を目指したのかもしれない。ただ、もやっとした終わり方でややケネス・ブラナー監督の意図がやや伝わりにくいものだった気もする。)
「オリエント急行殺人事件」●原題:MURDER ON THE ORIENT EXPRESS●制作年:1974年●制作国:イギリス・アメリカ●監督:シドニー・ルメット●製作:ジョン・ブラボーン/リチャード・グッドウィン●脚本:ポール・デーン●撮影:ジェフリー・アンスワース●音楽:リチャード・ロドニー・ベネット●原作:アガサ・ク
リスティ「オリエント急行の殺人」●時間:128分●出演:アルバート・フィニー/リチャード・ウィドマーク/アンソニー・パーキンス/ジョン・ギールグッド/ショーン・コネ
リー/ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ウェンディ・ヒラー/ローレン・バコール/イングリッド・バーグマン/マイケル・ヨーク/ジャクリーン・ビセット/ジャン=ピエール・カッセル/レイチェル・ロバーツ/コリン・ブレイクリー/デニス・クイリー/ジョージ・クールリス/マーティン・バルサム●日本公開:1975/05●配給:パラマウント=CIC(評価:★★★☆)






「オリエント急行殺人事件」●原題:MURDER ON THE ORIENT EXPRESS●制作年:2017年●制作国:アメリカ●監督:ケネス・ブラナー●製作:リドリー・スコット/マーク・ゴードン/サイモン・キンバーグ/ケネス・ブラナー/ジュディ・ホフランド/マイケル・シェイファー●脚本:マイケル・グリーン●撮影:ハリス・ザンバーラウコス●音楽:リパトリック・ドイル●原作:アガサ・クリスティ「オリエント急行の殺人」●時間:114分●出演:ケネス・ブラナー/ペネロペ・クルス/ウィレム・デフォー/ジュディ・デンチ/ジョニー・デップ/ジョシュ・ギャッド/デレク・ジャコビ/レスリー・オドム・Jr
/ミシェル・ファイファー/デイジー・リドリー/トム・ベイトマン/オリヴィア・コールマン/ルーシー・ボイントン/マーワン・ケンザリ/マヌエル・ガルシア=ルルフォ/セルゲイ・ポルーニン/ミランダ・レーゾン●日本公開:2017/12●配給:20世紀フォックス(評価:★★★)






スタインベックはこの作品でその名を知られるようなり、2年後に発表した、旱魃と耕作機械によって土地を奪われた農民たちのカリフォルニアへの旅を描いた『怒りの葡萄』('39年)でピューリツァー賞を受賞しますが、「二十日鼠と人間」「怒りの葡萄」の両方とも映画化されており、「二十日鼠と人間」は'39年と'92年に映画化されていますが、ゲイリー・シニーズが監督・主演した「

ジェームズ・ディーンがその演技への評価を確立したとされるエリア・カザン監督の「エデンの東」('55年)も、スタインベックの『エデンの東』('50年)がベースになっているのですが、原作が南北戦争から第1次世界大戦までの60年間の2つの家族の3代にわたる歴史を綴った4巻56章から成る膨大な物語であるのに対し、映画の中で描かれているのは最後のほんの一時期のみで1家族2世代の話に圧縮されており、実質的には、父に好かれたいがそれが叶わないケイレブ(キャル)・トラスク (ジェームズ・ディーン)の苦悩の物語となっています。「エデンの東」の原作は読んでいませんが、スタインベックは後期作品ほど大味の嫌いがあるらしく(エリア・カザンの翻案は当然の選択だったのだろう)、そうした意味では『二十日鼠と人間』は、スタインベックに「文学の神様」が宿った時期の作品であると言えるかと思います。

「怒りの葡萄」●原題:THE GRAPES OF WRATH●制作年:1940年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・フォード●製作:ダリル・F・ザナック●脚本:ナナリー・ジョンソン●撮影:グレッグ・トーランド●音楽:アルフレッド・ニューマン●原作:ジョン・スタインベック●時間:128分●出演:ヘンリー・フォンダ/ジェーン・ダーウェル/ジョン・キャラダイン/チャーリー・グレイプウィン/ドリス・ボードン/ラッセル・シンプソン/メエ・マーシュ/ウォード・ボンド●日本公開:1963/01●配給:昭映フィルム●最初に観た場所:吉祥寺ジャヴ50(84-07-14)(評価:★★★★) 

「エデンの東」●原題:EAST OF EDEN●制作年:1955年●制作国:アメリカ●監督・製作:エリア・カザン●脚本:ポール・オスボーン●撮影:テッド・マッコード●音楽:レナード・ローゼンマン●原作:ジョン・スタインベック●時間:115分●出演:ジェームズ・ディーン/ジュリー・ハリス/レイモンド・マッセイ/バール・アイヴス/リチャード・ダヴァロス/ジュー・ヴェン・フリート/
アルバート・デッカー/ロイス・スミス/バール・アイヴス●日本公開:1955/10●配給:ワーナ
ー・ブラザース●最初に観た場所:池袋文芸坐(79-02-18)●2回目:テアトル吉祥寺(82-09-23)(評価:★★★★)●併映(1回目):「理由なき反抗」(ニコラス・レイ)●併映(2回目):「ウェストサイド物語」(ロバート・ワイズ)
【1952年文庫化[三笠文庫(大門一男:訳)]/1953年文庫化[新潮文庫(大門一男:訳)]/1955年文庫化[河出文庫(石川信夫:訳)]/1960年文庫化[角川文庫(杉木喬:訳)]/1970年文庫化[旺文社文庫(繁尾久:訳)]/1994年再文庫化[新潮文庫(『ハツカネズミと人間』(大浦暁生;訳)]】


サーカス小屋の小人のハンス(ハリー・アールズ)は、空中ブランコ乗りのクレオパトラ(オルガ・バクラノヴァ)に夢中だが、彼女は気の
ある振りをして彼を弄んでいるだけであった。ところがある日、ハンスが莫大な遺産を相続したことがわかると、今度は、強欲な彼女は怪力男ヘラクレス(ヘンリー・ヴィクター)と謀ってハンスを騙して結婚し、彼を殺して財産を奪おうと毒を盛る。しかし、ハンスの仲間達がそれを見破り、ハンスは仲間達と共に2人への復讐に立ち上がる―。
フリーク(畸形)のオンパレードで、シャム双生児、ガリガリの「生きる屍」男、髭女、半陰陽(ふたなり)、鳥のような顔をした男、小頭症の姉妹、下半身のない男、手足がない男...etc.と次から次へと出てきて、この作品はアートシアター新宿(ジュク)の定番プログラムだったのですが、近所の花園神社の大酉祭の見世物小屋の(ここで"牛女"と"蛇女"なるものを見たことがあるが)レベルどころではない凄さ。ロードにはかからない作品だと思っていましたが、'05年に渋谷シネマライズ(ライズX)で単館ながら上映されました(30年ぶりのロード上映とのこと)。

デヴィッド・リンチの「エレファント・マン」('80年/英)を観た時も、最後は大いに感動しました。しかし、「エレファント・マン」は見方によっては、ヒューマニズムを装いながらもその裏側で、人々の怖いもの見たさの俗物心理を暴いてみせているような感じもあり、何となくスッキリしない...。
この作品「フリークス」の監督であるトッド・ブラウニング(1880‐1962)は、映画の世界に入る前はサーカス小屋の呼び込みをしていたそうですが、この作品では徹底して畸形を擁護しています。そして、畸形たちが結束して立ち上がった結果、ヘラクレスが畸形たちに殺されるばかりでなく、クレオパトラに至っては、不具にされて「ガチョウ女」として見世物小屋に売られてしまうというエンディングをもってきています。
ここまでやるかという感じもしなくもないですが、クリス・ウェイラスの「ザ・フライ2 二世誕生」('89年/米)で、ハエ男の遺伝子を引く主人公を「実験標本」として育てていた研究所長が、主人公の復讐に遭い、最後に主人公がハエ男から人間の姿に戻るのと引き換えに所長は醜い生き物に姿を変えられてしまうという結末が、この作品のエンディングとちょっと似ているなあと思いました。
「ザ・フライ2」のラストも、因果応報と言えば因果応報なのですが、所長は這うことしか出来ず喋ることも出来ない(ある意味ハエ男より悲惨な)ドロドロの化物となり、研究所の中でコンクリートの檻の中で生かされ続けるという、ちょっと現代モノとしてはあり得ない非人道的結末設定のように思われ、あっさり殺されていた方が映画としての後味を損ねずに済んだのではないかという気がしました。
「フリ-クス 神の子ら (怪物団)」●原題:FREAKS●制作年:1932年●制作国:アメリカ●監督・製作:トッド・ブラウニング●製作:MGMスタ
初に観た場所:アートシアター新宿 (84-08-01)●2回目:六本木・俳優座シネマテン(96-08-23) (評価★★★)●併映(1回目):「ピンク・フラミンゴ」(ジョン・ウォーターズ)

●脚本:ミック・ギャリス/ジム・ウィート、ケン・ウィート/フランク・ダラボン●撮影:ロビン・ヴィジョン●音楽:クリストファー・ヤング●時間:105分●出演:エリック・ストルツ/ダフネ・ズニーガ/リー・リチャードソン/ジョン・ゲッツ/フランク・C・ターナー/アン・マリー・リー/ゲイリー・チョーク/サフロン・ヘンダーソン●日本公開:1989/05●配給:20世紀フォックス(評価:★★)


アメリカ南北戦争を舞台にした機関車追跡劇。キートンが機関士を務める蒸気機関車の名が「将軍(General)」。愛する機関車を北軍に奪われ、彼は別の機関車で追走するが、その奪われた機関車には彼の恋人も乗っていた―。
キートン・プロにおけるキートン監督・主演作の【第27作】(長編第8作)。キートン黄金期の代表作で、日本初公開時のタイトルは「キートン将軍」で、後に「キートンの大列車強盗」となり、70年代のリバイバル上映時に「キートンの大列車追跡」という邦題になっていますが、その方が内容に沿ったタイトルと言
えるかも(80年代の渋谷ユーロスペースでの自主上映では「キートンの大列車強盗」のタイトルを使用し、最近のフィルムセンターでの上映は「キートン将軍」、シネマヴェーラ渋谷での上映では「キートンの大列車強盗」を使用している)。
これは、カナダ観光局がキートンを招聘して作った作品で、ロンドンにいたキートンがふとした思いつきでカナダに渡り(泳いで!)、偶々休息をとったトロッコ(カナディアン・ナショナル鉄道の「CN」のロゴ入り)が動き出して、結局それに乗って風光明媚なカナダの各地を旅するという、いわば「レイルロード・ムービー」。背景的に登場する人はいるものの、出演者は実質、終始
トロッコに乗りカナダ各地を駆け抜ける(その間トロッコに乗ったまま、料理したり洗濯したり鳥撃ちしたり編み物したりする)キートンのみで、カラー作品ではあるもののセリフ無しという無声映画のスタイルを踏襲しています。「大列車強盗」と同趣の、つまり"レール・テクニック"を前面に押し出したものとなっており、高齢となったキートンが自らアクションっぽいこともやっていれば、随所でしっかり笑いもとっています。人生に浮き沈みのあったキートンが、晩年にこうした原点回帰的な作品を撮っているというのは嬉しいことであり、それがドラマなどでなく、純粋にテクニカルな要素を前面に出した、スピード感溢れる乾いたコメディになっている点が尚のこと良いです。爆笑コメディと言うより、キートンが次々と繰り出す懐かしいギャグやクスッと笑える妙技を(サイレント時代と同じく笑わないが、"無表情"ではなく表情豊かになっている点に注目)、カナダの美しい風景と共に楽しめる作品で、キートンを招聘したカナダ観光局にも一票を投じたく思います。


「キートンの大列車強盗 (キートン将軍、キートンの大列車追跡)」●原題:THE GENERAL●制作年:1926年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/クライド・ブラックマン●製作:ジョセフ・M・シェンク●撮影:デヴラクス・ジェニングス/バート・ヘインズ●音楽:コンラッド・エルファース●時間:106分●出演:バスター・キートン/マリオン・マック/グレン・キャベンダー/チャールズ・スミス●日本公開:1926/12●配給:東和●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース(84-01-21)●2回目:池袋文芸座ル・ピリエ(86-02-01)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「キートンのカレッジ・ライフ(大学生)」(バスター・キートン)/「キートンの線路工夫」(ジェラルド・ポタートン)●併映(2回目):「我輩はカモである」(マルクス兄弟)
「キートンの線路工夫」●原題:THE RAILRODDER●制作年:1965年●制作国:カナダ●監督・脚本:ジェラルド・パッタートン●製作:ジュリアン・ビッグス/ナショナル・フィルム・ボード・オブ・カナダ作品●撮影:ロバート・ハンブル●音楽:エルドン・ラスバーン●時間:25分●出演:バスター・キートン●日本公開:1980/02●配給:有楽シネマ●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース(84-01-21)(評価:★★★☆)●併映:「キートンの大列車強盗 (将軍)」(バスター・キートン)/「キートンのカレッジ・ライフ(大学生)」(バスター・キートン)
「キートン・ライズ・アゲイン」●原題:BUSTER KEATON RIDES AGAIN●制作年:1965年●制作国:カナダ●監督・撮影:ジョン・スポットン●製作:ジュリアン・ビッグス/ナショナル・フィルム・ボード・オブ・カナダ作品●時間:61分●出演:バスター・キートン/エレノア・キートン/ジェラルド・ポタートン●日本公開:1980/02●配給:有楽シネマ●最初に観た場所:アートシアター新宿 (84-05-27)(評価:★★★☆)●併映:「キートンの文化生活一週間」(バースター・キートン)/「デブ君の浜遊び」(ロスコー・アーバックル)/「デブ君の自動車屋」(ロスコー・アーバックル)






川端康成や横光利一ら、当時「新感覚派」と呼ばれた若い才人たちが脚本に参加して生みだした実験的無声映画。主人公の元船乗りの男は、かつて自分のせいで妻を追い詰めて狂人にしてしまったことに対する自責の念から、今は妻の入院する精神病院の小間使いをしているのだが、そこに玉の輿の結婚話を控えた娘がやって来て、母親が狂人であるために結婚できないと言う。小間使いは妻を精神病院から逃がそうとするが失敗する―。
というのが話の前段部なのですが、冒頭からいきなり踊り狂う女性の断片的なモンタージュが入り、無声映画なのに
字幕も無く、しかも、主人公の空想の場面と現実の場面が錯綜するので、筋自体はわかりにくく、「ACTミニシアター」のスタッフの解説がなければ何のことやらという感じ(このミニシアターでは、黒澤明の「羅生門」上映時
にも、ドナルド・リチーによる読み解きをスタッフが解説してくれた)。主人公の小間使いは宝くじで一等賞が当たった空想し、また、娘の結婚式を空想する。そして、最後に患者たちがオタフクなどのお面をつけることを空想する―(これは、主人公の空想だと思うのだが、よく分からない...。公開時には徳川無声などが弁士としてついて、この辺りの解説をしたらしい。それって別録りされていないのかなあ)。
精神病院という限定された状況設定は、ピーター・ブルック監督の「マラー/サド」('67年/英)とちょっと似ているなあと思いました(正式邦題は「マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺」という長いもの。原題もギネスに世界最長大映画タイトルとして登録されている)。
「マラー/サド」の舞台は19世紀はじめのフランスの精神病院で、ここでは治療の一環として演劇がプログラムに採り入れられており、そこへ収監されていたサド侯爵(1740-1814)が、フランス革命で活躍し後に暗殺されたマラーのドラマを患者達を使って演出するというもの(マルキ・ド・サド自身はナポレオン体制下で筆禍を招き、死ぬまでシャラントン精神病院に監禁されていたという説もあるが、実際には持病の皮膚病が悪化し、自宅に籠って一日中入浴して療養するような生活をする中でに政敵一派に暗殺されたようだ。暗殺後、現場で画家ジャック=ルイ・ダヴィッドが有名な「マラーの死」を描いている)。
檻に入れられた患者たちが、看守により度々中断させられながらも演じる劇は、異様な雰囲気と張り詰めた緊張感に覆われていますが、物語劇というより前衛劇に近い印象を個人的には受けました。
その劇を檻の外から観る観客がいて、劇中劇の様相を呈していますが、演じているのは皆役者だったんだなあ(半分ぐらい、本当の患者が混ざっているのかと一瞬思ったが、そんなわけないか)。
マラーを暗殺する女性シャルロット・コルデーを演じているのはグレンダ・ジャクソンであるし、その他患者らを演じているのは殆どが英国王立シェークスピア劇団のメンバーです。
グレンダ・ジャクソンは1936年煉瓦職人の家庭に生まれ、ロンドンの王立演劇学校で学んだ彼女は、この「マラー/サド」の演技で注目され、ケン・ラッセル監督の「恋する女たち」('69年/英)で米アカデミー主演女優賞受賞、ジョン・シュレシンジャー監督の「日曜日は別れの時」('71年/英・米)で英国アカデミー賞主演女優賞受賞、メルヴィン・フランク監督の「ウィークエンド・ラブ」('73年/英)で再度米アカデミー主演女優賞受賞と目覚ましい躍進を遂げます。
「恋する女たち」はアラン・ベイツとオリヴァー・リードが裸でレスリングするシーンが話題になりましたが(メジャー映画で男性のフルヌードが初めて披露された場面とされている)、原作者のD・H・ロレンスはオスカー・ワイルドなどと並んでゲイの作家としても知られています。その場面が強烈で、他の部分の印象が弱くなってしまいましたが(笑)、
グレンダ・ジャクソンがしっかりした演技
で映画を締めていたのでしょう。ただ、本邦では'90年にVHSビデオが発売されて以来ソフト化されていないので確認できません。'92年に政界入りのため女優を引退し、労働党から庶民院議員選挙に立候補して当選、ブレア内閣で'97年から'99年まで運輸政務次官を務めています。(●2015年以降、主にロンドン、ニューヨークの舞台で俳優活動を復活、映画「2度目のはなればなれ」('23年/英)で同じく2度のオスカー受賞経験を持つ英国俳優マイケル・ケイン(1933年生まれ)と共演、2023年6月15日、病気療養中に死去した(87歳没)。)


「マラー/サド(マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントレ精神病院の患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺)」●原題:MARAT/SADE(The Persecution and Assassination of Jean-paul Marat as Performed by the Inmates of the Asylum of Charenton Under the Direction of the Marquis De Sade)●制作

「恋する女たち」●原題:WOMEN IN LOVE●制作年:1969年●制作国:イギリス●監督:ケン・ラッセル●製作・脚本:ラリー・クレイマー●撮影:ビリー・ウィリアムズ●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:Ⅾ・H・ロレ
ンス『恋する女たち』●時間:131分●出演:アラン・ベイツ/オリヴァー・リード/グレンダ・ジャクソン/ジェニー・リンデン/ エレノア・ブロン/ヴラデク・シェイバル/ アラン・ウェッブ/キャサリン・ウィルマー/フィービー・ニコルズ/シャロン・ガーニー/クリストファー・ゲイブル●日本公開:1970/05●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:池袋・文芸坐(78-01-20)(評価:★★★?)●併映:「トミー」(ケン・ラッセル)





1974年に発表されたアメリカの人気ハードボイルド作家、エルモア・レナード Elmore Leonard(1925‐) のベストセラー作品で原題は"52 Pickup"。
『五万二千ドルの罠』は、映画化された作品('86年、邦題 「デス・ポイント/非情の罠」)を、B級映画専門の準ロード館歌舞伎町シネマ2で観ましたが、かなり原作に忠実に作られているように思いました。 ![ゲット・ショーティ [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%20%5BDVD%5D.jpg)


「デス・ポイント/非情の罠」●原題:52 PICK-UP●制作年:1986年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・フランケンハイマー●音楽:ゲイリー・チャン●原作:エルモア・レナード「五万二千
ドルの罠」●時間:112分●出演:ロイ・シャイダー/アン=マーグレット/クラレンス・ウィリアムズ3世/ジョン・グローヴァー/ロバート・トレボア/ケリー・プレスト/ダグ・マクルーア/ヴァニティ/ロニー・チャップマン●日本公開:1987/12●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:歌舞伎町シネマ2 (88-01-30)(評価★★★)●併映:「第27囚人戦車部隊」(ゴードン・ヘスラー)
歌舞伎町シネマ1・歌舞伎町シネマ2 1985年、コマ劇場左(グランドオヲデオンビル隣り)「新宿ジョイパックビル」(現「ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町」)2Fにオープン→1995年7月~新宿ジョイシネマ3・新宿ジョイシネマ4。1997(平成9)年頃閉館。

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A J Quinnell 

クィネルの作品は『燃える男』のような元傭兵クリーシーが主人公として活躍する「クリーシーシリーズ」と(『燃える男』は'04年に「マイ・ボディガード」としてトニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン主演で映画化された)、『メッカを撃て』のような"独立系"の話がありますが、これは独立系なので単独で楽しめ、出来もいいと思いました(個人的には、1987年に発表された『ヴァチカンからの暗殺者』 In the Name of the Fatherなど"独立系"の話の方が、この人の作品は面白いと思う)。





クィネルは長年覆面作家で通してイタリア・シチリア島の南に位置するマルタ共和国の小島であるゴゾ島(マルタ島自体が淡路島ほどの小さな島国なのだが、ゴゾ島はその中のさらなる島)に住んでいましたが、その地で日本人の青年に「あなた、クィネルさんでしょ?」と言われて観念して覆面を脱いだとか(世界中どこへでも行く日本人!)。タンザニア生まれで、イギリスで教育を受け、作家になる前は世界を駆け回るビジネスマンだったというその経歴が初めて世に知られたのは1999年のこと。『ヴァチカンからの暗殺者』が発表年である1978年に翻訳されていることから、既に日本での人気も定着していたかに思えますが(その年の「週刊文春ミステリーベスト10」の3位にランクインしている)、その頃から数えても更に20年余り「覆面作家」で通していたわけかあ。
その後、日本にも講演に来ていますが、すごくシャイな人で、講演では滅茶苦茶緊張していたそうです(前述の日本人の青年に正体を見破られた話はこの時にした。その日本人青年も講演会場に来ていたというから、事実に近い話なのだろう)。残念ながら2005年に亡くなっていますが、旅行会社が「クイネル追悼ツアー」を企画していました。




ンナー」('82年/米)や笙野頼子氏の『タイムスリップ・コンビナート』('94年/文藝春秋)(これ、芥川賞作
品の中ではかなり異色ではないか)などがあったりして、"系譜"と言えるかどうかは別として、「コンビナート」的な「構造美」に惹かれる部分は意外と多くの人が持っていて、ただそれが、無機的であるとか、大気汚染とイメージリンクしてしまうとかで、隠蔽されてきた面もあるかもしれません。
また、映画「ブレードランナー」に関して言えば、'82年の公開時は大ヒット作「E.T.」の陰に隠れて興業成績は全く振るわなかったのが(本国でも「
「ブレードランナー」という映画の妙というか、観客に視覚的に強いインパクトを与えた部分の一つは(個人的にはまさにそうだったのだが)、未来都市にもダウンタウンがあり、ネオン塔や
筆字体の看板などがあって、そこに様々な人種が入り乱れて生活したり商売したりしている"生活感"、"人々の蠢(うごめ)き感"みたいなものがあった点ではなかったかと思います(80年代にシンガポールで見た高層ビルの谷間の屋台群を思い出した。シンガポールまで行かなくとも、新大久保のコリアン街でも似たような雰囲気は味わえるが)。
映画「ブレードランナー」より


「ブレードランナー」は日本で公開当時、あまり話題にならなかったし、本国でも、今振り返れば与えられるべきであったとも思われる「サターンSF賞」を、候補には上がったものの獲ってはいません(同年公開の「E.T.」('82年)に持っていかれた)。ただし、レプリカトの男女を演じたルトガー・ハウアーとダリル・ハンナは、共に当時まだあまり知られていませんでしたが、ルトガー・ハウアーの方はロバート・ラドラ
ムの『オスターマンの週末』の映画化作品、サム・ペキンパー監督の「バイオレント・サタデー」('83年)(家の中での米ソ戦といった感じ)に主人公のテレビキャスターのジョン・タナー役に起用され、ダリル・ハンナの方もロン・ハワード監督の「スプラッシュ」('84年)(ロン・ハワード監督の初期のメルヘン系作品の1つと言える)でトム・ハンクス演じる主人公(トム・ハンクスにとっても事実上の初主演作)の相手役のヒロインの人魚役を演じるなど、その後の俳優人生の弾みとなりました。




「バイオレント・サタデー」●原題:THE OSTERMAN WEEKEND●制作年:1983年●制作国:アメリカ●監督:サム・ペキンパー●製作:ピーター・S・デイヴィス/ウィリアム・N・パンザー●脚本:アラン・シャープ●撮影:ジョン・コキロン●音楽:ラロ・シフリン●原作:ロバート・ラドラム●時間:102分●出演:ルトガー・ハウアー/ジョン・ハート/デニス・ホッパー/バート・
ランカスター/クレイグ・T・ネルソン/メグ・フォスター/クリス・サランドン/ヘレン・シェイヴァー/キャシー・イエーツ/サンディ・マクピーク/クリストファー・スター/マーシャル・ホー/ジャン・トリスカ/ハンスフォード・ロウ●日本公開:1984/06●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:新宿ローヤル(87-06-28)(評価:★★★)●併映:「目撃者」(ピーター・イェイツ)
「スプラッシュ」●原題:SPLASH●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督:ロン・ハワード●製作:ブライアン・グレイザー●脚本:ローウェル・ガンツ/ババルー・マンデル/ブルース・ジェイ・フリードマン●撮影:ドン・ピーターマン●音楽:リー・ホールドリッジ●時間:111分●出演:トム・ハンクス/ダリル・ハンナ/ユージン・レヴィ/ジョン・キャンディ/ドディ・グッドマン/シェッキー・グリーン/リチャード・B・シャル/ハワード・モリス/ボビー・ディ・シッコ/トニー・ディ・ベネデット/デヴィッド・ネル/ジェフ・ドーセット/ジョー・グリファシ/ランス・ハワード●日本公開:1984/09●配給:東宝東和●最初に観た場所:二子東急(87-06-28)(評価:★★★)








本書は"トリック"というテーマには限定せず、ロス疑惑事件の三浦和義"疑惑人"逮捕('85年9月)前後の過熱報道など様々なケースを取り上げていますが、多くの報道陣の目の前で殺人が為された豊田商事事件(永野会長刺殺事件)('85年6月-何だか、事件が続いた時期だった)について、現場に居合わせたカメラマンの、夢中でシャッターだけ切り、急に身の危険を感じて逃げるべきかその場に居るべきか、という考えが一瞬頭の中をよぎったものの、後は冷静さを失い、結局自らはどうすることも出来なかったという証言を載せているのが関心を引きました。
何だか現代社会の疎外を象徴する殺伐とした「お話」だと思っていたら、秋葉原通り魔事件が今月('08年6月8日)に起き、その際に居合わせた群集の一部が、一斉に"ケータイ"カメラを現場に向けているという光景が見られ、「現実」のこととしておぞましく感じられました。そんな中、ある30代の男性が、倒れた被害者を救助すべく、素手で口に手をこじ入れ気道確保をしたうえで、他の通行人と協力して心臓マッサージや人工呼吸を試み、到着した救急隊に被害者を引き渡したが、この人は写真が趣味で、当日も首からカメラをぶら下げていたにも関わらず、「目の前に倒れている人を救助したい一心」で、事件の写真は1枚も撮らなかった―という記事が読売新聞にあり、多少救われたような気持ちになりました。
「カプリコン・1」●原題:CAPRICORN ONE●制作年:1977年●制作国:アメリカ/イギリス●監督・脚本・原作:ピーター・ハイアムズ●製作:ポール・N・ラザルス3世●音楽:ジェリー・ゴールドスミス●出演:エリオット・グールド/ジェームズ・ブローリン/ブレンダ・バッカロ/サム・ウォーターストーン/O・J・シンプソン/ハル・ホルブルック/カレン・ブラック/テリー・サバラス●時間:124分●日本公開:1977/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:池袋文芸坐 (78-12-13) (評価:★★★)●併映「ネットワーク」(シドニー・ルメット)

"Wargames" [1983]

「ウォー・ゲーム」●原題:WAR GAMES●制作年:1983年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・バダム●製作総指揮:レオナード・ゴールドバーグ●製作:ハロルド・シュナイダー●脚本:ウォルター・F・パークス/ローレンス・ ラスカー●音楽:アーサー・B・ルービンスタイン ●時間:114分●出演:マシュー・ブロデリック/ダブニー・コールマン/ジョン・ウッド●日本公開:1983/12●配給:MGM/UA●最初に観た場所:テアトル新宿 (84-09-16) (評価:★★★)●併映:「大逆転」(ジョン・ランディス)





















「デス・トラップ 死の罠」の原作は「死の接吻」「ローズマリーの赤ちゃん」のアイラ・レビンが書いたブロードウェイの大ヒット舞台劇。落ち目の劇作家(マイケル・ケイン)の許に、かつてのシナリオライター講座の生徒クリフ(クリストファー・リーヴ)が書いた台本「デストラップ」が届けられ、作家は、金持ちの妻マイラ(ダイアン・キャノン)に「この劇は
傑作だ」と話し、盗作のアイデアと青年の殺害を仄めかし、青年が郊外の自宅を訪れる際に殺害の機会を狙う―(要するに自分の作品にしてしまおうと考えた)。ドンデン返しの連続は最後まで飽きさせないもので、「スーパーマン」のクリストファー・リーブが演じる劇作家志望のホモ青年も良かったです(この人、意外と演技派俳優だった)。
クリストファー・リーブ/マイケル・ケイン![映画「ディーバ].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%80%8C%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%90%5D.jpg)
「ディーバ」は、ジャン=ジャック・ベネックス監督の長編第1作で、オペラを愛する18歳の郵便配達夫が、レコードを出さないオペラ歌手のコンサートを密かに録音したことから殺人事件に巻き込まれるというもので、1981年12月にユニフランス・フィルム主催の映画祭「新しいフランス映画を見るフェスティバル」での上映5作品中の1本目として初日にThe Space (Hanae Mori ビル5F)で上映されるも、その時はすぐには日本配給には結びきませんでした。しかし、'81年シカゴ国際映画祭シルヴァー・ヒューゴー賞を受賞し、'82年セザール賞で最優秀新人監督作品賞(ジャン=ジャック・ベネックス)のほかに、撮影賞(フィリップ・ルースロ)、



「私が密かに愛した映画」で「パワー・プレイ」を推した橋本治氏が、「すっごく面白いんだけど、これを見たっていう人間に会ったことがない」とコメントしてますが、見ましたよ。
ヨーロッパのある国でテログループによる大臣の誘拐殺人事件が起き、大統領がテロの一掃するために秘密警察を使ってテロリスト殲滅を実行に移すもののそのやり方が過酷で(名脇役ドナルド・プレザンスが秘密警察の署長役で不気味な存在感を放っている)、反発した軍部の一部が戦車部隊の隊長ゼラー(ピーター・オトゥール)を引き入れクーデターを起こします。クーデターは成功しますが、宮殿の大統領室にいたのは...。「漁夫の利」っていうやつか。最後、ピーター・オトゥールがこちらに向かってにやりと笑うのが印象的でした。
「第三の男」●原題:THE THIRD MAN●制作年:194





「恐怖の報酬」●原題:LE SALAIRE DELA PEUR●制作年:1953年●制作国:フランス●監督・脚本:アンリ・ジョルジュ・クルーゾー●撮影:アルマン・ティラール●音楽:ジョルジュ・オーリック●原作:ジョルジュ・アルノー●時間:131分●出演:イヴ・モンタン/シャルル・ヴァネル/ヴェラ・クルーゾー/フォルコ・ルリ/ウィリアム・タッブス/ダリオ・モレノ/ジョー・デスト●日本公開:1954/07●配給:東和●最初に観た場所:新宿アートビレッジ (79-02-10) (評価:★★★★)●併映:「死刑台のエレベーター」(ルイ・マル)
「ポスター[左](

「太陽がいっぱい」●原題:PLEIN SOLEIL●制作年:1960年●制作国:フランス●監督:ルネ・クレマン●製作:ロベール・アキム/レイモン・アキム●脚本:ポール・ジェゴフ/ルネ・クレマン●撮影:アンリ・ドカエ●音楽:ニーノ・ロータ●原作:パトリシア・ハイスミス 「才能あ

「白いドレスの女」●原題:BODY HEAT●制
作年:1981年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ローレンス・カスダン●製作:フレッド・T・ガロ●撮影:リチャード・H・クライン●音楽:ジョン・バリー●原作:ジェイムズ・M・ケイン 「殺人保険」●時間:113分●出演:ウィリアム・ハート/
キャスリーン・ターナー/リチャード・クレンナ/テッド・ダンソン/ミッキー・ローク/J・A・プレストン/ラナ・サウンダース/キム・ジマー●日本公開:1982/02●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:三鷹オスカー (82-08-07) ●2回目:飯田橋ギンレイホール(86-12-13)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(ボブ・ラフェルソン)





「パルプ・フィクション」●原題:PULP FICTION●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督・脚本:クエンティン・タランティーノ●製作:ローレンス・ベンダー
マン●時間:155分●出演:ジョン・トラヴォルタ/サミュエル・L・ジャクソン/ユマ・サーマン/ハーヴェイ・カイテル/アマンダ・プラマー/ティム・ロス/クリストファー・ウォーケン/ビング・ライムス/ブルース・ウィリス/エリック・ストルツ/ロザンナ・アークエット/マリア・デ・メディロス/ビング・ライムス●日本公開:1994/09●配給:松竹富士 (評価:★★★★)
ハーヴェイ・カイテル(掃除屋"ザ・ウルフ")
「デス・トラップ 死の罠」●原題:DEATHTRAP●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ルメット●製作:バート・ハリス●脚本:ジェイ・プレッソン・アレン●撮影:アンジェイ・バートコウィアク●音楽:ジョニー・マンデル●原作:アイラ・レヴィン●時間:117分●出演
:マイケル・ケイン/クリストファー・リーヴ/ダイアン・キャノン/アイリーン・ワース/ヘンリー・ジョーンズ/ジョー・シルヴァー●日本公開:1983/09●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:テアトル吉祥寺 (86-02-15) (評価:★★★☆)●併映「殺しのドレス」(ブライアン・デ・パルマ)
「ディーバ」●原題:DIVA●制作年:1981年●制作国:フランス●監督:ジャン=

「パワー・プレイ 参謀たちの夜」●原題:POWER PLAY OPERATION OVERTHROW●制作年:1978年●制作国:イギリス/カナダ●監督:マーティン・バーク●製作:クリストファー・ダルトン●撮影:オウサマ・ラーウィ●音楽:ケン・ソーン●時間:110分●出演:ピーター・オトゥール/デヴィッド・ヘミングス/バリー・モース/ドナルド・プレザンス/ジョン・グラニック/チャック・シャマタ/アルバータ・ワトソン、/マーセラ・セイント・アマント/オーガスト・シェレンバーグ●日本公開:1979/11●配給:ワールド映画●最初に観







今年('08年)2月に「

ピーター・ボイルは、「
ス監督、ジーン・ワイルダー主演(脚本も務めた)の「ヤング・フランケンシュタイン」でボイルが演じたのは、何とボリス・カーロフ顔負けのフランケンシュタイン(この映画の奇妙な執事、ギョロ目のマーティ・フェルドマンの怪演も印象的)。ボイルは、「X‐ファイル」にもゲスト出演していましたが、この人も最近亡くなった...。
目の老人役は、ラストに小さくクレジットされているだけで大概の人は気づかないのですがジーン・ハックマンであるという遊びもありました。



"おでこのジョン"ことジョン・カザールは「狼たちの午後」での鬱々とした演技が良く(アル・パチーノが上手いのはさすがだが、この映画でのチャールズ・ダーニングもいい)、「
年)に起用された際に、彼がガン宣告を受けたため出演させることを渋った製作側に対し、降板に反対するロバート・デ・ニーロらに口説かれ、治療を受けながら演じたという、その「ディア・ハンター」が彼の遺作となりました(無名時代に共演したメリル・ストリープと婚約中だった)。

フランク・ピアソン●撮影:ジヴィクター・J・ケンパー●時間:125分●出演:アル・パチーノ/ジョン・カザール/チャールズ・ダーニング/クリス・サランドン/キャロル・ケイン/ランス・ヘンリクセン/ジェームズ・ブロデリック/ペニー・アレン/サリー・ボイヤー●日本公開:1976/03●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:池袋文芸坐 (77-12-14) (評価:★★★★)●併映:「セルピコ」(シドニー・ルメット)









「アメリカン・グラフィティ」●原題:AMERICAN GRAFFITI●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:ジョー
ジ・ルーカス●製作:
「ワイルドバンチ」●原題:THE WILD BUNCH●制作年:1969年●制作国:アメリカ●監督:サム・ペキンパー●製作:フィル・フェルドマン●脚本:ウォロン・グリーン/サム・ペキンパー/ロイ・N・シックナー●撮影:ルシアン・バラード●音楽:ジェリー・フィールディング●時間:110分●出演:アーネスト・ボーグナイン/ローバート・ライアン/ウォーレン・オーツ/エドモンド・オブライエン/ベン・ジョンソン/ジェイミー・サンチェス/エミリオ・フェルナンデス/ストローザー・マーティン/L・Q・ジョーンズ/アルバート・デッカー/ボー・ホプキンス●日本公開:1969/08●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:池袋文芸坐 (88-03-13) (評価:★★★★)●併映:「リオ・ブラボー」(ハワード・ホークス)

挙げていくとキリがありませんが、脇役から主役級になった人、TVドラマで活躍している人もいるし、映画からテレビに移って役柄のイメージが変わった人もいます。


一応「昭和」とタイトルにありますが、1908(明治41)年公開のジョルジュ・メリエスの「月世界探検(月世界旅行)」('02年/仏)から取り上げていて(これ、8mmフィルムで観たことがあるが、"大掛かりな学芸会"みたいな作品だった。同じくジョルジュ・メリエスによって10年後に撮られた「極地制服」('12年/仏)も、飛行船で北極に行ったら、そこには恐ろしい雪の巨人が待ち構えていた(笑)といった感じのチープな話だった。10年であまり進歩がない?)、日本で公開された外国映画をスチールで紹介する「全史」となっています。10年単位で均等に作品を取り上げているため、20世紀初期の多くの無声映画が紹介されているなど、類書に比べ相対的に古典的作品が詳しく紹介されていることになっています。
オールド・ムービーについて知る手引きとして楽しませてもらい、今も手元に置いていますが、「1枚のスチールは10の解説よりも雄弁」という思いを強く抱かされます。
「風と共に去りぬ」●原題:GONE WITH THE WIND●制作年:1939年●制作国:アメリカ●監督:ビクター・フレミング●製作:デヴィッド・O・セルズニック●脚本:シドニー・ハワード●撮影:アーネスト・ホーラー/レイ・レナハン●音楽:マックス・スタイナー●原作:マーガレット・ミッチェル●時間:231分●出演:ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲーブル/レスリー・ハワード/オリヴィア・デ・ハヴィランド/トーマス・ミッチェル/バーバラ・オニール/ハティ・マクダニエル/イヴリン・キース/アン・ラザフォード/ハリー・ダベンボート/ローラ・ホープ・クルーズ/キャロル・ナイ/オナ・マンスン/カミー・キング●日本公開:1952/09●配給:MGM日本支社●最初に観た場所:池袋文芸坐(78-06-03)(評価:★★★★) 

「月世界旅行」(げつせかいりょこう)●原題:THE TRIP TO THE MOON(Le Voyage dans la Lune)●制作年:1902年●制作国:フランス●監督・製作・脚本:ジョルジュ・メリエス●原作:ジュール・ヴェルヌ/H・G・ウェルズ●時間:14分●出演:ジョルジュ・メリエス/ブリュエット・ベルノン/ ジュアンヌ・ダルシー/ヴィクター・アンドレ/アンリ・デラヌー●日本公開:1905/08●配給:MGM日本支社●最初に観た場所:杉本保男氏邸(81-01-31)(評価:★★★☆)
「極地征服」●原題:A LA CONQETE DU POLE●制作年:1912年●制作国:フランス●監督・脚本:ジョルジュ・メリエス●製作:ジョルジュ・メリエス●原作:ジュール・ヴェルヌ(『ハテラス船長の冒険』より)●時間:14分●出演:ジョルジュ・メリエス/フェルナンド・アルバニー●日本公開:1905/08●配給:MGM日本支社●最初に観た場所:杉本保男氏邸(81-01-31)(評価:★★★☆)




いますが、まさにジェームズ・ブリッジス監督の映画「ペーパーチェイス」('73年/米)の世界です(原作('70年)はジョン・ジェイ・オズボーン・ジュニアが自らの体験を綴った同名小説、主演は「ジョニーは戦場へ行った」のティモシー・ボトムズと、後にTV番組「地上最強の美女バイオニック・ジェミー」の主役となるリンゼイ・ワグナー)。
「ペーパーチェイス」●原題:THE PAPER CHASE●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ジェームズ・ブリッジス●製作:ロバート・C・トン
プソン/ロドニック・ポール●撮影:ゴードン・ウィリス●音楽:ジョン・ウィリアムス●時間:118分●出演:ティモシー・ボトムズ/リンゼイ・ワグナー/ジョン・ハウスマン/グラハム・ベケル/エドワード・ハーマン/ボブ・リディアード/クレイグ・リチャード・ネルソン/ジェームズ・ノートン/レジーナ・バフ●日本公開:1974/03●配給:20世紀フォックス(評価:★★★☆)
阿川尚之(あがわ・なおゆき)







こうした"情"の部分をストレートに表現することをできるだけ避けていたのが作者の特質だったのではないだろうか? 映画自体は悪くは無いけれど(むしろ傑作の部類だと個人的にも思うが)、原作の方がより男っぽい重厚感があります。 


先に映画の脚本として書かれたものを、後にセリフなどを書き加えて小説化したものと後で知って納得しましたが、結果的にはこれはやはり映画の方が面白く(映画の評価★★★★)、ロープウェイを使った映画では№1ではないかと思います("ロープウェイを使った映画"なんてそう矢鱈あるものではないが)。
「ナバロンの要塞」●原題:THE GUNS OF NAVARONE●制作年:1961年●制作国:アメリカ●監督:J・リー・トンプソン●音楽:デミトリー・ティオムキン●原作:アリステア・マクリーン「ナヴァロンの要塞」●時間:157分●出演:グレゴリー・ペック/デビッド・ニーヴン/アンソニー・クイン/スタンリー・ベイカー/アンソニー・クエイル/イレーネ・パパス/ジア・スカラ/ジェームズ・ダーレン/ブライアン・フォーブス/リチャード・ハリス●日本公開:1961/08●配給:コロムビア映画 (評価★★★★)
「荒鷲の要塞」●原題:WHERE EAGLE DARE●制作年:1968年●制作国:イギリス・アメリカ●監
督:ブライアン・G・ハットン●音楽:ロン・グッドウィン●原作:アリステア・マクリーン「荒鷲の要塞」●時間:155分●出演:リチャード・バートン/クリント・イーストウッド/メアリー・ユーア/イングリッド・ピット/マイケル・ホーダーン/パトリック・ワイマーク/ロバート・ ビーティ/アントン・ディフリング/ダーレン・ネスビット/ファーディ・メイン●日本公開:1968/12●配給:MGM (評価★★★★)
『ナヴァロンの要塞』...【1966年単行本〔早川書房(『ナバロンの要塞』)〕・新書版〔ハヤカワ・ポケット・ミステリ〕/1971年単行本[
『荒鷲の要塞』...【1968年単行本[
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文学賞を受賞した脚本家ハロルド・ピンターの脚色であり、現代の役者が19世紀を舞台とした『フランス軍中尉の女』という小説の映画化作品を撮影する間、小説と同じような事態が役者達の間で進行するという入れ子構造になっていることからもわかるように(そのため個人的にはやや入り込みにくかった)、映画はほぼハロルド・ピンターのオリジナル作品になっているとも言え、映画は映画として見るべきでしょう。
『コレクター』の方のストーリーは、蝶の採集が趣味の孤独な若い銀行員の男が、賭博で大金を得たのを機に仕事をやめて田舎に一軒家を買い、自分が崇拝的な思慕を寄せていた美術大学に通う女性を誘拐し、地下室にに監禁する―というもの。
しかし、性的略奪が彼の目的でないことを知った女性が彼に抱いたのは「哀れみ」の感情で、彼女の日記からそのことを知った男はかえって混乱する―。
文芸・社会評論家の長山靖生氏は、この作品の主人公について「宮崎勤事件」との類似性を指摘し、共に「女性の正しいつかまえ方」を知らず、実犯行に及んだことで、正しくは"コレクター"とは言えないと書いてましたが、確かにビデオや蝶の「収集」はともかく、この主人公に関して言えば女性はまだ1人しか"集めて"いないわけです。しかし、作品のラストを読めば...。
映画化作品の方も、男が監禁女性を標本のように愛でるのは同じですが、彼女に対する感情がより恋愛感情に近いものとして描かれていて、結婚が目的となっているような感じがして、ちょっと原作と違うのではと...。
因みに、冒頭に挙げた「フランス軍中尉の女」('81年)のメリル・ストリープは、前述の通りこの作品でゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞しましたが、アカデミー賞の主演女優賞はノミネート止まりで、翌年の「ソフィーの選択」('82年)で主演女優賞を、2年連続となるゴールデングローブ賞主演女優賞と併せて受賞しました(ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞、
アラン・J・パクラの「ソフィーの選択」('82年)は、昨年['06年]亡くなったウィリアム・スタイロン(1925-2006)が1979年に発表しベストセラーとなった小説が原作です。駆け出し作家のスティンゴ( ピーター・マクニコル )が、ソフィー(メリル・ストリープ)というポーランド人女性と知り合うのですが、彼女には誰にも語ることの出来ない恐るべき過去があり、それは、彼女の人生を大きく左右する選択であった...という話で、ネ
タバレになりますが、自分の幼い娘と息子のどちらを生きながらえさせるか選択しろとドイツ将校に求められるシーンが壮絶でした。この作品でメリル・ストリープは役作りのためにロシア語訛りのポーランド語、ドイツ語及びポーランド語訛りのある英語を自在に操るなど、作品の背景や役柄に応じてアメリカ各地域のイントネーションを巧みに使い分けており、そのため「訛りの女王」と呼ばれてその才能は高く評価されることになります。「
「コレクター」●原題:THE COLLECTOR●制作年:1965年●制作国:イギリス・アメリカ●監督:ウィリアム・ワイラー●製作:ジョン・コーン/ジャド・キンバーグ●脚本:スタンリー・マン/ジョン・コーン/テリー・サザーン●撮影:ロバート・サーティース/ロバート・クラスカー●音楽:モーリス・ジャール●原作:ジョン・ファウルズ●時間:119分●出演:テレンス・スタンプ/サマンサ・エッガー/モナ・ウォッシュボーン/モーリス・ダリモア●日本公開:1965/08●配給:コロムビア映画(評価:★★★☆)
「フランス軍中尉の女」●原題:THE FRENCH LIEUTENANT'S WOMAN●制作年:1981年●制作国:イギリス●監督:カレル・ライス●製作:レオン・クロア ●脚本:ハロルド・ピンター●撮影:フレディ・フランシス●音楽:カール・デイヴィス●原作:ジョン・ファウルズ●時間:123分●出演:メリル・ストリープ/ジェレミー・アイアンズ/レオ・マッカーン/リンジー・バクスター/ヒルトン・マクレー●日本公開:1982/02●配給:ユナイテッド・アーチスツ●最初に観た場所:六本木・俳優座シネマテン(82-05-06)●2回目:三鷹文化(82-11-06)(評価:★★☆)●併映(2回目):「情事」(ミケランジェロ・アントニオーニ)
「ソフィーの選択」●原題:SOPHIE'S CHOICE●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督・脚本:アラン・J・パクラ●製作:キース・バリッシュ/アラン・J・パクラ●撮影:ネストール・アルメンドロス●音楽:マーヴィン・ハムリッシュ●原作:ウィリアム・スタイロン●時間:150分●出演:メリル・ストリープ/ケヴィン・クライン/ピーター・マクニコル/リタ・カリン/スティーヴン・D・ニューマン/グレタ・ターケン/ジョシュ・モステル/ロビン・バートレット/ギュンター・マリア・ハルマー/(ナレーター)ジョセフ・ソマー●日
テレンス・スタンプ(英・俳優)
「スーパーマン」●原題:SUPERMAN●制作年:1978年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:リチャード・ドナー●製作:ピエール・スペングラー●脚本:マリオ・プーゾ/デイヴィッド・ニューマン/レスリー・ニューマン/ロバート・ベントン/トム・マンキウィッツー●撮影:ジェフリー・アンスワース●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:144分(劇場公開版)/152分(ディレクターズ・カット版)●出演:クリストファー・リーヴ/マーゴット・キダー/マーロン・ブランド/ジーン・ハックマン/ネッド・ビーティ/ヴァレリー・ペリン/
マーク・マクルーア/ジャッキー・クーパー/グレン・フォード/フィリス・サクスター/スザンナ・ヨーク/トレヴァー・ハワード/マリア・シェル/テレンス・スタンプ/サラ・ダグラス/ジャック・オハローラン/ジェフ・イースト/ハリー・アンドリュース/ダイアン・シェリー/ウェストン・ギャビン/ラリー・ハグマン/ポール・テュルペ/ジョージ・ハリス2世●日本公開:1979/06●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:池袋・文芸坐 (82-12-29)(評価:★★★)●併映:「スーパーマンⅡ」(リチャード・レスター)
「スーパーマンⅡ/冒険篇」●原題:SUPERMANⅡ●制作年:1980年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:リチャード・レスター●製作:ピエール・スペングラー●脚本:マリオ・プーゾ/デイヴィッド・ニューマン/レスリー・ニューマン/トム・マンキウィッツー●撮影:ジェフリー・アンスワース●音楽:ケン・ソーン(テーマ曲:ジョン・ウィリアムズ)●時間:127分●出演:クリストファー・リーヴ/マーゴット・キダー/ジーン・ハックマン/ネッド・ビーティ/テレンス・スタンプ/ヴァレリー・ペリン/スザンナ・ヨーク/
ジャッキー・クーパー/マーク・マクルーア/サラ・ダグラス/ジャック・オハローラン/E・G・マーシャル/クリフトン・ジェームズ●日本公開:1981/06●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:池袋・文芸坐 (82-12-29)(評価:★★★)●併映:「スーパーマン」(リチャード・ドナー)



'90年にシドニー・ポラック製作、アラン・J・パクラ監督で映画化され、検察官を演じたハリソン・フォードは、女性に助けられるちょっと情けない男って感じで、「インディ・ジョーンズ」シリーズからのイメージ・チェンジ作にもなりました。既に「
作品以降、「
多くなるハリソン・フォードですが、この作品ではラウル・ジュリアほか女優陣の方が元気がいいです。
'91年には『推定無罪』の続編とも言える『立証責任』(The Burden of Proof,1990)がTV映画化(ミニ・シリーズ)されていて(日本でも'93年にビデオ販売された)、『推定無罪』の主人公ラスティ・サビッチの弁護をつとめた弁護士サンディ・スターンが原作でも映画でも前作からのスピンオフの形をとって主人公になっています。シカゴへの2日間の出張からスターンが帰宅すると妻のクララがガレージの車の中で自殺していて、31年間も連れ添った愛妻がなぜ自殺したのか、さっぱり理由がわからないスターンは、妻宛の病院からの請求書を手がかりにクララの死の真相を探り始めるというもの。おそらく原作は面白いのだろうけれど、ドラマは162分の長尺ながらもやや物足りなかったでしょうか。主人公スターンは56歳で、演じたのはヘクター・エリゾンド(「
「推定無罪」●原題:PRESUMED INNOCENT●制作年:1990年●制作国:アメリカ●製作:
「立証責任」●原題:THE BURDEN OF PROOF●制作年:1991年●制作国:アメリカ●監督:マイク・ローブ●製作:ジョン・ペリン・フリン●脚本:ジョン・ゲイ●撮影:キース・ヴァン・オーストラム●音楽:クレイグ・セイファン●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作: スコット・トゥロー「立証責任」●時間:162分●出演:ヘクター・エリゾンド/ブライアン・デネヒー/メル・ハリス/エイドリアン・バーボー/ステファニー・パワーズ/アン・ボビー/ヴィクトリア・プリンシパル/ゲイル・ストリックランド/ジェフリー・タンバー/コンチータ・トメイ●VHS日本発売:1993/04●販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ (評価★★★) 「




この作品は「ザ・ファーム/法律事務所」('93年/米)としてシドニー・ポラック監督、トム・クルーズ主演で映画化され、グリシャム作品は『ペリカン文書』(The Pelican Brief '92年発表)、『依頼人』(The Client '93年発表)、そして処女作の『評決のとき』(A Time to Kill '89年発表)も映画になりました。
アラン・J・パクラ監督の「ペリカン文書」('93年/米)は、ジュリア・ロバーツ演じる法学部の学生とデンゼル・ワシントン演じるワシントン・ヘラルド紙の敏腕記者という取り合わせでありながら、今一つ、印象が弱かったような感じもしました(この作品はデンゼル・ワシントンの出世作の1つとなるが、以来、デンゼル・ワシントンが出てくると、もう予定調和が見えてしまうような...)。
ジョエル・シュマッカー監督の「依頼人」('94年/米)の方は、スーザン・サランドンが夫の裏切りにより家族を失うという傷を抱えた中年女性弁護士役で、自分が1ドルで依頼人を引き受けた子供を守るため、トミー・リー・ジョーンズ演じる野心家の検事ロイ・フォルトリッグと対決するもので、女性弁護士のアルコール中毒からの再起という点では、バリー・リード原作でポール・ニューマンが同じくアル中からの復活を遂げる弁護士を演じた「
これも、2時間に収めるために原作を相当改変していますが、芸達者スーザン・サランドンの演技が効いていて、「

「ザ・ファーム/法律事務所」●原題:THE FIRM●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ポラック●製作:シドニー・ポラック/ジョン・デイヴィス/スコット・ルーディン●脚本:デヴィッド・レイフィール/ロバート・タウン●撮影:ジョン・シール●音楽:デーブ・グルーシン●原作: ジョン・グリシャム 「法律事務所」●時間:155分●出演:トム・クルーズ/ジーン・ハックマン/エド・ハリス/ジーン・トリプルホーン/ジョン・ビール/ウィルフォード・ブリム




「ペリカン文書」●原題:THE PELICAN BRIEF●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督・脚本:アラン・J・パクラ●製作:ピーター・ヤン・ブルッジ/アラン・J・パクラ●撮影:スティーヴン・ゴールドブラット●音楽:ジェームズ・ホーナー●原作:ジョン・グリシャム●時間:141分●出演:ジュリア・ロバーツ/デンゼル・ワシントン/サム・シェパード/ジョン・ハード/トニー・ゴールドウィン/ジョン・リスゴー/ヒューム・クローニン●日本公開:1994/04●配給:ワーナー・ブラザーズ(評価★★☆)








1885年の原著発表のフランスの作家エミール・ゾラ(Emile Zola、1840‐1902)による作品で、彼の膨大な小説群「ルーゴン・マッカール双書」の中では『居酒屋』(1877年発表)、『ナナ』(1879年発表)と並ぶ代表作。

「居酒屋」でマリア・シェルが演じた洗濯女ジェルヴェーズは、一度は夫に逃げられた女性ですが、今度は真面目な屋根職人と結婚します。しかし、その亭主である男はある日屋根から落ちて大ケガをし、彼はやがて酒びたりになる―、それでも彼女はダメ亭主にもめげず懸命に働き、なんとか自分の店を持つものの、更に重なる不運があって、やがて自身が酒に溺れ破滅するという、きつい話(マリア・シェルはこの作品の演技により1956年・第17回「
(●2025年にゾラの原作『居酒屋』を読んだ。傑作である。ここまで主人公をイジメるかというぐらいで、映画以上に凄かった。映画はまだ温(ぬる)い。20巻シリーズの「ルーゴン・マッカール双書」の第7巻で、1877年2月単行本刊行(1876年に新聞に連載が開始)、1885年発表の「ルーゴン・マッカール双書」の第13巻に当たる『ジェルミナール』よりさらに暗い(笑)。連載が始まるや非難囂囂(ごうごう)で連載が中断されることもあったが、本が出ると大ベストセラーになったそうだ。ゾラの作品でこれしか読まないと、ゾラが自然主義の作家であることは認識させられるが、あまりペシミスティックであるため、後に彼が空想的社会主義に向かっていくことを予測するのは不可能だと思った。)


1941年にアカデミー作品賞を受賞した作品がありましたが、そこには影の部分もあれば(悲惨な炭鉱事故の場面)、また光の部分もあり(家族愛がテーマだとも言える)、ノスタルジーにより美化された部分もありました(全体が当時少年だった語り手の想い出として設定されている。モーリーン・オハラって、昔のアメリカ映画にみる典型的な美人だなあ)。


「居酒屋」●原題:GERVAISE●制作年:1956年●制作国:フランス●監督・:ルネ・クレマン●製作:アニー・ドルフマン●脚本:ジャン・オーランシュ/ピエール・ポスト●撮影:ロベール・ジュイヤール●音楽:ジョルジュ・オーリック
「わが谷は緑なりき」●原題:HOW GREEN WAS MY VALLEY●制作年:1941年●制作国:アメリカ●監督:ジ
ョン・フォード●製作:ダリル・F・ザナック●脚本:フィリップ・ダン●撮影:アーサー・ミラー●音楽:アルフレッド・ニューマン●原作:リチャード・レウェリン(How Green Was My Valley)●時間:118分●出演:ウォルター・ピジョン/モーリーン・オハラ/ドナルド・クリスプ/アンナ・リー/ロディ・マクドウォール●日本公開:1950/12●配給:セントラル●最初に観た場所:吉祥寺ジャヴ50 (84-06-30)●2回目:自由が丘劇場 (85-02-17) (評価:★★★★)●併映(2回目)「いとしのクレメンタイン 荒野の決闘」(ジョン・フォード)







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/エミール・カレヴィッチ/ヴラデク・シェイバル/ヤン・エングレルト●日本公開:1958/01(1979/12(リバイバル))●配給:東映洋画●最初に観た場所:新宿アートビレッジ (79-04-10) (評価:★★★★☆) ●併映:「灰とダイヤモンド」(アンジェイ・ワイダ)「地下水道」の一場面/「
「灰とダイヤモンド」(1958)
【1954年文庫化・1994年改版[岩波文庫(上・中・下)]/1994年再文庫化[中公文庫(上・下)]】.jpg)




因みに、個人的にこれまでに接した「四十七士」モノ(忠臣蔵)のパロディで、一番ぶっ飛んじゃっていると思ったのは、小説ではなく外国映画で、「ベルリン忠臣蔵」('85年/西独)というもの。
体は、実は日本で柔道の修行したドイツ人で(なんだ、留学生みたいなものか。マスクをつけていても、見れば日本人でないことはすぐわかってしまうのだが)、最後には、日本からやってきた忍者と戦います(かなり強引な展開)。
監督はすごく日本贔屓の人だそうですが、ストーリーも衣装も殺陣もメチャクチャなのに(しかも時折ヘン何な日本語が出てくる)、監督自身は大真面目、本気でヒーロー物を撮っているつもりみたいで、そのギャップで笑えるという珍品。





読んでいて初めのうちは、目玉を剃刀で切るシーンで有名なルイス・ブニュエル監督の「アンダルシアの犬」('28年/仏)と同じ狙いかと思いました(選考委員の池澤夏樹氏も「なにしろ痛そうな話なので、ちょっとひるんだ」と言っている)。.jpg)
「アンダルシアの犬」は、ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリの共同脚本からなるシュールレアリズムの世界を端的に描いた実験映画ですが、女性が目を切られるシーンの他にも掌を蟻が食い破るシーンや子供が人間の手首を転がしているシーンなどショッキングな場面が続き(目を切るシーンはブニュエルの見た夢が、掌を食い破る蟻のシーンはダリの夢がもとになっているらしい)、ストーリーや表現自体に意味があるかと言えば、意味があるとも思えず(シュールレアリズムってそんなものかも)、むしろ、たかがスクリーンに映し出されているに過ぎないものに、人間の心理
がどこまで感応するかを試しているような作品に思えました(イングマール・ベルイマン監督の「
「アンダルシアの犬」●原題:UN CHIEN ANDALOU●制作年:1928年●制作国:フランス●監督・製作:ルイス・ブニュエル●脚本:ルイス・ブニュエル/サルバドール・ダリ●時間:17分●出演:ピエール・バチェフ/シモーヌ・マルイヌ/ルイス・ブニュエル/サルバドール・ダリ●公開(パリ):1929/06●最初に観た場所:アートビレッジ新宿 (79-03-02)●2回目:カトル・ド・シネマ上映会 (81-05-23)●3回目:カトル・ド・シネマ上映会 (81-09-05) (評価:★★★?)●併映:(1回目)「詩人の血」(ジャン・コクトー)/「忘れられた人々」(ルイス・ブニュエル)/(2回目):「去年マリエンバートで」(アラン・ㇾネ)/(3回目):「ワン・プラス・ワン」(ジャン=リュック・ゴダール)」
監督:蜷川幸雄
生きている実感もなく、あてもなく渋谷をふらつく19歳のルイ。ある日の訪れたクラブで赤毛のモヒカン、眉と唇にピアス、背中に龍の刺青、蛇のようなスプリット・タンを持つ「アマ」と出会い人生が一変する。アマの刺青とスプリット・タンに興味を持ったルイは、シバと呼ばれる男が施術を行なっている怪しげな店を訪ね、舌にピアスを開けた。その時感じた痛み、ピアスを拡張していく過程に恍惚を感じるルイは次第に人体改造へとのめり込んでいくことになる。「女の方が痛みに強い」「粘膜に穴を開けると失神する奴がいる」という店長のシバも全身に刺青、顔中にピアスという特異な風貌の彫り師で、自らを他人が苦しむ顔に興奮するサディストだと語った。舌にピアスを開けて数日後、ルイとルイの友人は夜道で暴力団風の男に絡まれる。それに激昂したアマは相手の男に激しく暴力を振るい、男から二本の歯を奪い取って「愛の証」だと言ってルイに手渡す。アマやシバと出会う中でルイは自身にも刺青を刻みたいという思いが強くなり、シバに依頼して背中一面に龍と麒麟の絡み合うデザインの刺青を彫ることを決めた。画竜点睛の諺に従って、「キリンと龍が飛んでいかないように」という願いを込め、ルイはシバに二匹の瞳を入れないでおいて欲しいと頼む。刺青の代償としてシバはルイに体を求め、二人は刺青を入れていくたびに体を重ねるようになる―。





村上春樹氏が自らのサイトフォーラムで「全日本『カラマーゾフの兄弟』読了クラブ」(後にバー「スメルジャコフ」と改称)なるものを立ち上げ、読了者に〈会員番号〉を発行しますと宣言すると若い人のレスポンスが結構たくさんあって、そういうのを見ると結構読まれているのかなあという気もします(寄せられた感想が『海辺のカフカ』などの感想文と同じトーンなのがちょっと面白かった)。[右:ロシア語版ペーパーバックス]
映画や芝居でも観ましたが、イワン・プィリエフ(Ivan Pyryev)監督の「カラマーゾフの兄弟」('68年)は堂々たる本場モノで、4時間近い上映時間の長さを感じさせないものでした。
プィリエフの「


オルギー・タラトルキン(当時新人)のラスコーリニコもタチアナ・ベドーワのソーニャも良かったように思います(ソーニャはマルメラードフ老人の前妻の子で、家計を助けるために躰を売っているのだが、どう見ても娼婦には見えない。それだけに痛々しさはある)。
ドゥーニャ(ヴィクトリア・フョードロワ)に執拗に迫るスビドリガイロフ(エフィム・コベリヤン)のぎらついた感じも生々しく、最後にドゥーニャが涙を流しながらスビドリガイロフに拳銃を向ける場面はややメロドラマ調ですが(この2人の話のウェイトが2部構成の第2部のかなりを占め、原作より比重が重い)、これもまあヴィクトリア・フョードロワの美しさで許してしまおうかという感じ。

「カラマーゾフの兄弟」●原題:THE BRATYA KARAMAZOVY●制作年:1968年●制作国:ソ連●監督:イワン・プィリエフ●撮影:セルゲイ・ウルセフスキー●原作:: フェードル・M・ドストエフスキー●時間:227分●出演:ミハエル・ウリャーノフ/リオネラ・プイリエフ/マルク・プルードキン/ワレンチン・ニクーリン/スベトラーナ・コルコーシコ ●日本公開:1969/07●配給:東和●最初に観た場所:池袋文芸坐(79-11-21) (評価★★★★☆)
「復活」●原題:VOSKRESENIE(Resurrection)●制作年:1961年●制作国:ソ連●監督:ミハイル・シヴァイツェル●撮影:エラ・サベリエフ/セルゲイ・ポルヤノフ●音楽:G・スビリドフ●原作:レフ・トルストイ●時間:208分●出演:タマーラ・ショーミナ/エフゲニー・マトベェフ/パウエル・マッサリスキー/ヴィ・クラコフ●日本公開:1965/03●配給:ATG●最初に観た場所:池袋文芸坐(86-04-20) (評価★★★)●併映:「アンア・カレーニナ」(アレクサンドル・ザルヒ) 「
「アンナ・カレーニナ」●原題:ANNA KARENINA●制作年:1967年●制作国:ソ連●監督・脚本:アレクサンドル・ザルヒ●撮影:レオニード・カラーシニコフ●音楽:ロジオン・シチェドリン/モスクワ室内オーケストラ●原作:レフ・トルストイ●時間:144分●出演:タチアナ・サモイロワ/ワシリー・ラノボイ/ニコライ・グリツェンコ/アナスタシア・ヴェルチンスカヤ/イヤ・サーヴィナ●日本公開:1968/05●配給:東和●最初に観た場所:池袋文芸坐(86-04-20) (評価★★★)●併映:「復活」(ミハイル・シヴァイツェル)「
ー●撮影:ヴァチェスラフ・シュムスキー●音楽:ミハイル・ジフ ●原作:フョードル・ドストエフスキー●時間:219分●出演:ゲオル![罪と罰 [DVD] 2.jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E7%BD%AA%E3%81%A8%E7%BD%B0%20%5BDVD%5D%202.jpg)




ても、'88年11月のジョージ・ブッシュ大統領就任から'91年1月の湾岸戦争突入までの話ですが、同年3月の停戦協定の2ヵ月後には本国出版されていて、短期間に(しかも戦争中に)よくこれだけの証言をまとめたなあと驚かされます。
戦争に対して様々な考えを持った司令官たちの、彼らの会話や心理を再現する構成になっていて、小説のように面白く読めてしまいますが、大統領制とは言え、戦争がごく少数の人間の考えで実施に移されることも思い知らされ、その意味ではゾッとします。
また、本書で主戦派として描かれているスコウクロフトは、イラク戦争ではパウエルと協調し、息子の方のジョージ・ブッシュ(父親と同じ名前)の強硬姿勢にブレーキをかける立場に回っています。しかし、息子ブッシュは、パウエルの後任として自身が国務長官に指名したコンドリーザ・ライスの"攻撃的現実主義"になびいた―。最初から戦争するつもりでタカ派の彼女を登用したともとれますが...。
因みに、映画「大統領の陰謀」('76年/米)は、以前にテレビで観たのを最近またBS放送で再見したのですが(カール・バーンスタイン役のダスティン・ホフマンもボブ・ウッドワード役のロバート・レッドフォードも若い!)、複雑なウォーターゲート事件の全体像をかなり端折って、事件が明るみになる端緒となった共和党工作員の民主党本部への不法侵入の部分だけを取り上げており、侵入した5人組の工作員は誰かということと、それが分らないと事件を記事として公表できず、そのうち新聞社への政治的圧力も強まってきて、取材のために残された時間は限られているがあと1人がわからない―という、その辺りの葛藤、鬩ぎ合いの1点に絞って作られているように思いました。それなりに面白く、再度見入ってしまったこの作品の監督は、後に「推定無罪」などを撮るアラン・J・パクラで、やはりこの監督は、政治系ではなく、この頃からサスペンス系だと。「ディープ・スロート」という2人の記者に情報提供した人物が、後に実在かつ生存中の政府高官だと分った、その上で観るとまた興味深いです。
ジェイソン・ロバーズin「大統領の陰謀」[ワシントン・ポスト紙編集主幹ベン・ブラッドリー](1976年