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面白かった。リーダーシップ本としても読まれた。"実話"は強い。
『マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ文庫 NF 387)』['13年] 「マネーボール [AmazonDVDコレクション]」ブラッド・ピット
勝つためには一流の選手を集める、そのためには資金が必要、というのが、球界の常識。その常識を覆したのが1997年に35歳でオークランド・アスレチックスのGMに就任したビリー・ビーンです。彼は「無名の実力派」を「格安」で手に入れて、4年連続でプレーオフに進出するという見事な勝ちっぷりを見せます。この貧乏メジャーリーグチームが一体どのようにして目覚しい実績を勝ち取ったのか?ドラフトやトレードでの絶妙な駆け引き、まったく新しいデータ活用法と戦術、さらにアスレチックスという新天地で見違えるように才能を開花させる選手たちの様子が詳しく描かれています。
面白かったです。かつて将来を嘱望されながら夢破れてグラウンドを去った元大リーガーが、1990年代末、資金不足から戦力が低下し、成績も沈滞していたオークランド・アスレチックスに新任GMとして着任、統計データを駆使した野球界の常識を覆す手法で球団を改革、チームを強豪へと変えるという流れは、ノンフィクションですが、極めて物語的に読めます。ビジネスパーソンには、組織改革とそのためのリーダーシップの本としてもよく読まれたようです。
この物語の主人公ビリー・ビーンは、「生まれながらのスポーツの天才」のような青年で、容姿端麗なだけでなく勉強も優秀でスポーツ万能。欠点らしい欠点がないと言われ、大学からもスカウトからも申し出が殺到していたそうです。子供の頃から「負け知らず」だった彼は、大リーグ入りして初めて周囲の人間に「負け」ることがあることを意識し、精神的葛藤に苦しむことにないますが、そこからGMとして自らのキャリアを切り開きます。彼は、「データ」をもとに選手の真価を見極め、「出塁率」「四球率」を上げるよう選手を育てて試合を行い、チームの勝率をぐんぐん伸ばしていきました。その華々しい成果は、キャリア面での逆転劇にもなっています。
ビリー・ビーン
ベネット・ミラー監督、ブラッド・ピット主演で「マネーボール」('11年/米)として映画化されましたが、組織改革を行うリーダー像が上手く描かれていたのではないでしょうか。2002年の、アメリカンリーグ史上初の20連勝を達成できるかできないかという試合がスポーツドラマ的なクライマックスになっていますが、これは原作にあるように、実際にそうした状況があったのです。11点差から同点にされましたが、サヨナラ勝ちしています、ノンフィクションで、こうした山場があるのは強いと思います。
ブラッド・ピット/ジョナ・ヒル
ビリー・ビーンの補佐役でイェール大学卒業となっているピーター・ブランドのモデルは、ポール・デポデスタでありハーバード大卒だそうで、映画化にであまりに自分とは異なる外見の俳優ジョナ・ヒルがキャスティングされ、"データおたく"のようなキャラの描かれ方をされたのに納得できず、実名の使用を拒否したそうです(まあ、冴えなさそうなデータおたくという設定の方が映画的には面白いと言える。本人に会ってみたら意外といい男だったというのではダメなのか)。ポール・デポデスタはアスレチックスではGM補佐としてビリー・ビーンを5年間支えた後、2004年にはロサンゼルス・ドジャースのGMに就任し、積極的にトレードを敢行しながら9年ぶりの地区優勝を果たしています。
ポール・デポデスタ
いずれにせよ、映画の面白さは原作に拠るところが大きいですが、原作も映画も星4つ(★★★★)評価にしました。
「マネーボール」●原題:MONEYBALL●制作年: 2011年●制作国:アメリカ●監督:ベネット・ミラー●製作:マイケル・デ・ルカ/レイチェル・ホロヴィッツ●撮影:ウォーリー・フィスター●音楽:マイケル・ダナ●時間:133分●出演:ブラッド・ピット/ジョナ・ヒル/フィリップ・シーモア・ホフマン/ロビン・ライト/クリス・プラット/スティーヴン・ビショップ/リード・ダイアモンド/ブレント・ジェニングス/タミー・ブランチャード/ジャック・マクギー/ヴィト・ルギニス/ニック・サーシー/グレン・モーシャワー/ケイシー・ボンド/ニック・ポラッツォ/ケリス・ドーシー/アーリス・ハワード/ロイス・クレイトン/スパイク・ジョーンズ●日本公開:2011/11●配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(評価:★★★★)
【2203】 ○ ジャック・コヴァート/トッド・サッターステン (庭田よう子:訳) 『アメリカCEOのベストビジネス書100』 (2009/11 講談社)