【1962】 △ ノーマン・ストーン 「ミス・マープル(第11話)/魔術の殺人」 (91年/英) (1997/03 テレビ東京) ★★★

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概ね原作に忠実だが、元が暗い話だからなあ。

ミス・マープル 魔術の殺人 dvd.jpg ミス・マープル/魔術の殺人 1991 dvd.jpg 魔術の殺人 01.jpg 魔術の殺人 ハヤカワ文庫.bmp
ミス・マープル 第9巻 魔術の殺人 [DVD]」「ミス・マープル[完全版]VOL.10 [DVD]

魔術の殺人 00.jpg ミス・マープル(ジョーン・ヒクソン)は女学校時代の友人ルース・ヴァン・ライドック夫人(フェイス・ブルーク)から、ルイス・セラコールド(ジョス・エイクランド)に嫁いだ妹キャロライン(キャリー)・ルイーズ(ジーン・シモンズ)のことが心配なので様子を見に行ってくれるよう頼まれる。ルイスは自邸の敷地内で私営の少年更正施設を運営している。ルイスの秘書のエドガー(ニート・スウェッテンハム)が駅にマープルを迎えに来るが、キャリーの養女ジーナ・ハッド(ホリー・エアド)がマープルを車に乗せて屋敷へ。ジーナは、アメリカ人のウォルター(トッド・ボイス)と結婚しており、キャリーの二番目の夫の次男スティーヴン・レスタリック(ジェイ・ヴィリアーズ)が、施設内で少年同士の喧嘩が起きた際に及び腰で止めようとしなかったのを、ウォルターが止めさせる。エドガーは孤THEY DO IT WITH MIRRORS 01.jpg児で、自分は正当に評価されていないと思い込んでおり、自分の本当の父親はチャーチルだとマープルに真面目に言う。キャリーの最初の夫(故人)の連れ子で、ガルブランドセン財団の管理者であるクリスチャン・ガルブランドセン(ジョン・ボット)が急に屋敷を訪れ、ルイスと何やら話し合っている。ある晩、ルースが持参した女学校時代の16mmフィルムの映写会にエドガーが銃を持って乱入、ルイスとエドガーが書斎に籠ってルイスが書斎で宥めている間に銃声がし、映写会に顔を見せず別の部屋でタイプを打っていたクリスチャンが射殺体で発見される。ロンドン警察からスラック警部(ディヴィッド・ホロヴィッツ)やレイク警部補(イアン・ブリンブル)が乗り込んでくる。映写会の日に帰省したスティーヴンの兄アレックス・レスタリック(クリストファー・ヴィリアーズ)は、弟スティーヴンと共にジーナに気があり、二人ともウォルターの前で平気でジーナに言い寄る。施設の少年が事件当夜何かを目撃したと言う話をスティーヴンから聞いたアレックスは、刑事のふりをして少年から話を聞こうとするが―。

魔術の殺人 hpm2.jpg魔術の殺人 クリスティー文庫.jpg BBC版ジョーン・ヒクソン(Joan Hickson、1906‐1998)主演のミス・マープルシリーズ全12話の内の第11話(本国放映は1991年)で、原作はアガサ・クリスティ(1890‐1976)の、1952年に発表されたミス・マープルシリーズの長編第5作They Do It with Mirrors (米 Murder with Mirrors)。

 このジョーン・ヒクソン主演のテレビシリーズ、概ね原作に忠実ですが、第11話ともなると若干遊びの要素も入れた方がいいと思ったのか、スラック警部が密かに素人手品に凝っていたりし(タイトルの「魔術」に懸けたのか)、一方で、原作にあるルイスの祖母の話(夫殺しの罪で絞首刑になった)などといった暗すぎる話はほぼ割愛されています。ジュリア・マッケンジー主演のグラナダ版('09年)はその逆を突いたのかどうかわかりませんが、この部分を前面に出しています(結果的にどろっとした感じに)。
 
Joan Hickson THEY DO IT WITH MIRRORS 1991.jpg 犯行が行われた際のフィルム上映会も原作には無く、但し、グラナダ版ではルイスが施設内でやる予定の演劇の練習発表会になっていて、ルイスが何とインディアンの酋長の恰好で出てくるので、まだこちらのジョーン・ヒクソン版の改変は穏やかな方だったか。

 犯人の末路は原作と同じですが、原作ではジーナからマープルへの手紙の中で後日譚として語られるのに対し、この映像化作品では、マープルが犯人を突き止めた直後の出来事として描かれており、まあこの辺りは、映像化するならば流れでこうなるのかなあと。

 ヒロインであるジーナの演じられ方が原作のイメージと違ったのと(快活と言うよりあばずれ。好きになれない)、ジーナとウォルターの後日譚が欠落していることもあって(この部分がこの作品の救いとなるはずなのだが)、個人的評価は星3つ(元が暗い話だからなあ)。

スラック警部2.jpg スラック警部がミス・マープルに一言だけあなたに言いたいことがあると言って、何を言うのかと思ったら、ぎこちなく「ありがとう」と。そうか、スラック警部の「手柄」になっているのかと思いつつも、このシーンは悪くなかったです(続く、シリーズ最終話となった第12話「鏡は横にひび割れて」でスラック警部は「警視」に昇進している)。

Miss Marple   They Do It With Mirrors.jpg「ミス・マープル(第11話)/魔術の殺人」●原題:THEY DO IT WITH MIRRORS●制作年:1991年●制作国:イギリス●本国放映:1991/12/29●演出:ノーマン・ストーン●脚本:T・R・ボーウェン●時間:日本放映版93分(完全版204分)●出演:ジョーン・ヒクソン/ジーン・シモンズ/フェイス・ブルーク/ホリー・エアド/ジェイ・ヴィリアーズ/ニート・スウェッテンハム/ジェイ・ヴィリアーズ/ジョン・ボット/クリストファー・ヴィリアーズ/デビッド・ホロビッチ/イアン・ブリンブル/ギリアン・バージ●日本放映:1997/03/14●放映局:テレビ東京(評価:★★★)

Miss Marple :They Do It With Mirrors
  

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