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「ER」の記念すべき第1話。単なる人物紹介でなく、エピソードとの絡め方が見事。

er season1.jpgER 緊急救命室2.jpg「ER緊急救命室」s1.jpg
ER 緊急救命室 I 〈ファースト・シーズン〉 セット1 [DVD]

アンソニー・エドワーズ(マーク・グリーン)
「ER緊急救命室」2.jpg マーク・グリーン(アンソニー・エドワーズ)は、シカゴ近郊クック郡のカウンティ総合病院のER(緊急救命室)チーフレジデントで腕利き内科医。病気やケガ、事故により昼夜問わず患者が搬送され、仮眠もろくに取れず、今日も看護師が目覚まし時計のように夜勤の彼を起こしに来る。その彼は今、私立病院から好条件で誘いを受け、ERを続けるかどうか迷っていた。そんな折帰宅したばかりの看護師長キャロル・ハザウェイ(ジュリアナ・マルグリース)が自殺未遂を起こしてERに担ぎこまれる―。

ノア・ワイリー(ジョン・カーター)
「ER緊急救命室」4.jpg「ER 緊急救命室 1」ka-ta- .jpg "カーター君"が初赴任する「ER」の記念すべき第1話はパイロット版として作られたもので(原題は"24 HOURS") 、本国放映が1994年9月19日、日本初放映が1996マイケル・クライトン.bmp年4月1日(NHK‐BS2)。決して広くはない診療室で撮影しなくてはならず、ステディカムが威力を発揮しています(第1話の撮影は廃院となった病院をスタジオ代わりに撮影しており、それ以降はスタジオにセットを再現して撮影した)。このパイロット版を含む最初の3話は、製作総指揮を務めたマイケル・クライトン(1942-2008/66歳没)自身が脚本を書いています。マイケル・クライトンはハーバード・メディカルスクール(ハーバード大学医学大学院)の出身です。

 朝から工事現場の事故の多くの負傷者が担ぎ込まれ、遺族への死亡宣告、研修に来た女子学生の対応、色仕掛けをしてくる患者、小指のさかむけだけを治療にくる老婦人、車の中で突然産気づいた女性...etc.グリーン先生をはじめ皆がそれらの対応で超多忙です(ステディカムでの撮影が効いていて、ERの日常の慌ただしさが伝わってくる)。

ジュリアナ・マルグリース(キャロル・ハザウェイ)
ER緊急救命室」キャロル.jpg そして、極めつけは、スタッフからの信頼が厚い看護師長(翻訳は婦長)のキャロル・ハザウェイの何の前触れもない自殺未遂。かつてERの小児科医のダグラス・ロス(ジョージ・クルーニー)と付き合っていたが破局し、今は整形外科医と婚約中だったはずだが...。心配そうにキャロルを見守るダグ。この二人の関係はシーズン1の幾つかある重要なストーリーの1つになっていきます。因みに、ダグ・ロスはハンサムなモテ男でプレイボーイ。この第1話ではロス先生は二日酔いでヨレヨレ状態での初登場となるのですが、児童虐待していると疑われる母親に対して心底怒りをぶつける熱血漢でもあります。

「ER緊急救命室」3.jpg 一方、医学部3年の研修生ジョン・カーター(ノア・ワイリー)は今日がER勤務の初日。外科レジデント2年目のピーター・ベントン(エリク・ラ・サル)のもとで、これからさまざまな指導を受けることになりますが、まず、点滴をやるのが初めてということにベントンも呆れ、さらに、ナイフで刺された患者の血を見て気分が悪くなる始末です。
エリク・ラ・サル(ピーター・ベントン)

「ER緊急救命室」5.jpg 自らの不甲斐なさすっかりしょげているところを(このシーンはOPで「ER」op.jpg使われることになる)、優しく励ますグリーン先生。ただ励ますだけなく、「医者には2種類ある。自分の感情を切り捨てるタイプと感情を切り捨てれないタイプだ」「何かあると後者は、治療する側の自分が病気になってしまいそうになる」と、医者の心得まで説いてます。しかしながら、そのグリーン先生もその後、離婚問題で悩まされることになります(司法試験の勉強中の妻との行き違いは、すでにこの第1話で示唆されている)。

 そのカーターを指導する立場のベントン先生は、動脈瘤の患者が危険な状態になり、担当医が誰も手が空かず、レer ベントン.jpgジデントの自分には資格がないのに手術を強行「ER」モーゲンスタン部長.jpg、患者の危機を救い、駆けつけたモーゲンスタン部長(ウィリアム・H・メイシー)から最初は「下手な獣医並み」と貶されるも、最後にはその臨機応変の判断を褒められガッツポーズ(このシーンもOPで使われることになる)。患者の命を救うことを第一信条とするとともに、自信家で上昇志向が強いその性格がすでに表されています。

シェリー・ストリングフィールド(スーザン・ルイス)/シリ・アップルビー(ダリア・ウェイド)
「ER」000.jpg 内科・外科レジデント二年目のスーザン・ルイス(シェリー・ストリングフィールド)は、仕事が忙しく最近、恋人と別れたが、グリーン先生とは相性が良く何でも話せる間柄。性格はサバサバしており、ハッキリものを言うタイプですが、今日「ER」ミゲル・フェラー.jpgはガンの疑いが濃厚な患者(ミゲル・フェラー)から逆に告知を求められるような状況に直面し、これはさすがにキツイ、患者も医者も(その後、米国でも日本でも、告知は医師の「裁量の範囲」から「義務」へという流れになっている)。ルイス先生はその後、問題ある姉に悩まされることになります。

 120分枠とは言え、CMを除くと100分くらいでしょうか。その中に多くのエピソードを並行的に盛り込み(気がつけばすべて24時間のうちに起きたことなのだが)、主要登場人物のキャラクター、置かれている状況、互いの関係を見事に描き出していると思います(単なる人物紹介でなく、ちゃんとエピソードと絡めているのがスゴイ)。

 シリーズ展開では、プロデューサーとして「ザ・ホワイトハウス」と同じジョン・ウェルズが参加していることもあり、アフリカのコンゴにおける貧困や紛争などを描いたり、米国における麻薬や銃問題などを提起していたりします。緊迫した場面の合間にコミカルなエピソードを挿むのも「ザ・ホワイトハウス「と共通しているし、シーズン1の第1話で主要な登場人物のアウトラインを描き切ってしまうのも同じです。因みに「ザ・ホワイトハウス」はシーズン1の第1話が最も面白かったですが、「ER」は、面白さがずっと続くところがすごかったと思います。

ジョージ・クルーニー(ダグラス・ロス)
「ER緊急救命室」ロス.jpg「ER緊急救命室」7.jpgER緊急救命室(第1話)/甘い誘い(120分枠)」●原題:ER:24 HOURS (a.k.a. THE LONGEST DAY (1))(Season 1、Episode 1)●制作年:1994年●制作国:アメリカ●本国上映:1994/09/19●監督:ロッド・ホルコム●脚本:マイケル・クライトン●出演:アンソニー・エドワーズ/ジョージ・クルーニー/シェリー・ストリングフィールド/ノア・ワイリー/ジュリアナ・マルグリース/エリク・ラ・サル/クリスティーン・ハーノス/ウィリアム・H・メイシー/(ゲスト出演)シリ・アップルビー/ミゲル・フェラー●日本放映:1996/04●放映局:NHK‐BS2(評価:★★★★☆)

「ER緊急救命室」6.jpg「ER」00.jpg「ER 緊急救命室」ER (NBC 1994~2009) ○日本での放映チャネル:NHK-BS2(1996~2011)/スーパー!ドラマTV

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'94年公開の個人的ラスト・アクション・ヒーロー・ムービー「トゥルーライズ」「スピード」。

『映画イヤーブック 1995』.JPGスピードdvd1.jpg トゥルーライズ dvd2.jpg TRUE LIES movie.jpg
映画イヤーブック〈1995〉 (現代教養文庫)』「スピード [DVD]」「トゥルーライズ [DVD]

 1994年劇場公開の全作品(洋画304本、邦画161本、計465本)にデータと解説を付して収録、ビデオ・ムービー、未公開ビデオのデータなども網羅しているほか、『映画イヤーブック』としては5冊目になるということで、全5冊の総索引も付きました。

 本書での最高評価になる「四つ星」作品は、「トゥルー・ロマンス」「シンドラーのリスト」「さらば、わが愛 覇王別姫」「ピアノ・レッスン」「青い凧」「ギルバート・グレイブ」「パルプ・フィクション」「ショート・カッツ」「スピード」の9作品、一方邦画は、「トカレフ」(阪本順治監督)、「全身小説家」(原一男監督)、「棒の哀しみ」(神代辰巳監督)、「忠臣蔵外伝・四谷怪談」(深作欣二監督)の4作品。

 '94年の映画館入場者数は1億2299万人で、それまでの史上最低だったそうで、前年の「ジュラシック・パーク」のような大ヒット作が無かったということもあるようですが、この頃には平成不況による停滞感が定着して、多くの人が、わざわざ映画館まで行かなくともビデオで観ればいいいという感覚になっていたのではないかなあ。

スピードdvd.jpg ハリウッド映画のアクション系で、「ダイ・ハード」('88年)、「氷の微笑」('92年)のカメラマンだったヤン・デ・ボン(「トータル・リコール」「氷の微笑」のポール・バーホーベン監督と同じくオランダ人)の初監督作品「スピード」('94年)が気を吐きました。

「スピード」('94年).jpg 時速を80キロ以下に落とすと爆発する爆弾を仕掛けたバスの疾走が迫力満点のノンストップアクションで、バスが街中を車をはじき飛ばしながら爆走したり、キアヌ・リーブスが爆弾を解除するために高速で走るバスの下にもぐりこむシーン、或いは、地下鉄の車両が工事現場を破壊しながら地上に突き抜けるシーンなどは実写中心であるため見応えはありました。

スピード01.jpg 脚本を書いたグレアム・ヨストは、 アンドレイ・コンチャロフスキー監督の「暴走機関車」('86年/米)の原「スピード」ホッパー2.jpg案である黒澤明のオリジナル脚本を読んで着想を得たと述懐していますが、その脚本もまずまずではないでしょうか。但し、脚本を含めてよく出来ていた「ダイ・ハード」と比べるのと、トータルではやや落ちるか。キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック共に頑張っているけれど、爆弾魔のデニス・ホッパー(1936-2010)は、クイズ好きのオタクみたいで、それほど凄味がないような....。デニス・ホッパーということで、期待し過ぎてしまったのかもしれませんが(結局、大掛かりなアクションで見せる映画だった。元々の狙いも概ねそうだとは思うが)。

speed 2s.jpgスピード2  05.jpg ということで、個人的にはヤン・デ・ボン監督には次に期待、というところだったのですが、その続編「スピード2」('97年/米)であっさりコケてしまった感じでした(既に同年の「ツイスター」('97年/米)を観れば、この監督の力量の限度は窺い知れたのだが。因みに、竜巻パニックスピード2 dvd.jpg映画「ツィスター」はアメリカではそこそこヒットしたらしく、アメリカ人にとって竜巻は身近な恐怖なのでしょう(日本にもこうした映画のファンは多いらしく、Amazon.comのレビュー評価などもそう悪くないようだが、個人的には、竜巻をあまりに擬人化し過ぎているように思えた)。「スピード2」は舞台を大型客船に移したことで、看板の〈スピード〉感は無くなり、サンドラ・ブロック演じるヒロインは残りましたがキアヌ・リーブスは出演しておらず、代わりにジェイソン・パトリックが出演していましたが地味で、敵役のウィレム・デフォーの方がむしろ頑張ってはいましたが、それでもデニス・ホッパーに比べるとやはり格下感は否めなかったでしょうか。話の展開にも〈スピード〉感は感じられなかった...(いずれにせよ、キアヌ・リーブスとデニス・ホッパーがいないというのはロスト感が大きい)。
スピード2 [DVD]

トゥルーライズ dvd.jpg 「スピード」の「四つ星」評価に対し、本書で星3つの評価となっている「ターミネーター」シリーズのジェームズ・キャメロンが監督した「トゥルーライズ」('94年)の方が、ユーモアの要素があって個人的な評価はやや上になります。

トゥルーライズ1.jpg アガサ・クリスティの「おしどり探偵」シリーズの現代アクション版みたいで、アーノルド・シュワルツェネッガーはコメディも充分にこなすし、スタント無しのジェイミー・リー・カーティスも良かったです(アクションでもそれ以外でも身体を張った演技をしていたなあ)。

トゥルーライズ jlカーチス.jpg カーチェイスの場面で実際に橋を爆破したというのもスゴいですが、一方で、シュワちゃんがゴールデン・ゲート・ブリッジにしがみつくシーンやハリヤー・ジェット機上でのテロリストとの"生身"のバトルシーンなど、デジタル合成のSFXをふんだんに使っています。

 アクション・シーンをCGで撮るというのは「バットマン リターンズ」('92年)あたりがハシリだそうですが、米国の俳優協会ではその頃から、役者自身がアクションを演じる場面が無くなってしまうということで問題視され始めていたようです。「バットマン リターンズ」の中には、一旦CGで撮ったものを、俳優協会からの要請で俳優やスタントマンを使ったものに撮り直した場面があります(高い所から飛び降りたバットマンが地面に着地するシーンなど)。

トゥルーライズ2.jpg 「トゥルーライズ」ではそのほかに、ハリヤー・ジェット機の熱で空気が揺らぐシーンなどにもデジタル・ドメイン社が開発したCGが初めて使われていて、この技術は「アポロ13」('95年)のロケット発射シーンなどにも使われました(ジェームズ・キャメロンはデジタル・ドメイン社の初代共同経営者)。

 シュワルツェネッガーは、この作品の前年にジョン・マクティアナン監督の「ラスト・アクション・ヒーロー」('93年)を製作総指揮しており(主演もシュワルツェネッガー)、もう生身の肉体を使ってのアクションは終わりだなという意識はこの頃からあったのではないでしょうか。その前の作品が、それこそCGで描かれる敵と戦う「ターミネーター2」('91年)だったし(これもジェームズ・キャメロン監督)。

 個人的には、'94年の「トゥルーライズ」が(すでにCGがいっぱい使われてはいるけれども)自分の中での"ラスト・アクション・ヒーロー"ムービーという印象ですが、同じく'94年の「スピード」も、キアヌ・リーブスの次のヒット作「マトリックス」('99年)がアクションシーンをCG主体で構成していたことを考えると、キアヌ・リーブス的に言えばこれもまた"ラスト・アクション・ヒーロー"ムービーだったと言えるように思います。
 
SPEED-1994 -On set / Keanu Reeves|Sandra Bullock
SPEED 1994.jpgスピード02.jpg「スピード」●原題:SPEED●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督:「スピード」ホッパー.jpgヤン・デ・ボン●製作:マーク・ゴードン●脚本:ランダル・マコーミック/ジェフ・ナサンソン●撮影:アンジェイ・バートコウィアク●音楽:マーク・マンシーナ/ビリー・アイドル●時間:115分●出演:キアヌ・リーブス/デニス・ホッパサンドラ・ブロック/ジョー・モートン/ジェフ・ダニエルズ/アラン・ラック●日本公開:1994/12●配給:20世紀フォックス映画●最初に観た場所:有楽町・日本劇場(94-12-17)(評価:★★★☆)

speed 2es.jpgスピード2 01.jpg「スピード2」●原題:SPEED:CRUISE CONTROL●制作年:1997年●制作国:アメリカ●監督:ヤン・デ・ボン●製作:マーク・ゴードン●脚本:グレアム・ヨスト●撮影:ジャック・N・グリーン●音楽:マーク・マンシーナ●時間:121分●出演:サンドラ・ブロック/ジェイソン・パトリック/ウィレム・デフォー/テムエラ・モリソン/ブライアン・マッカーディー/グレン・プラマー/コリーン・キャンプ/ロイス・チャイルズ/マイケル・G・ハガーティー/ボー・スヴェンソン/フランシス・ギナン/ジェレミー・ホッツ●日本公開:1997/08●配給:20世紀フォックス映画(評価:★★☆)

ツイスター.jpgツイスタード.jpg「ツイスター」●原題:TWISTER●制作年:1996年●制作国:アメリカ●監督:ヤン・デ・ボン●製作:キャスリーン・ケネディ/イアン・ブライス/マイケル・クライトン●脚本:マイケル・クライトン/アン・マリー・マーティン●撮影:ジャック・N・グリーン●音楽:マーク・マンシーナ●時間:113分●出演:ヘレン・ハント/ビル・パクストン/ケイリー・エルウィス/ジェイミー・ガーツ/ロイス・スミス/アラン・ラック/フィリップ・シーモア・ホフマン/トッド・フィールド/ジョーイ・スロトニック/ジェレミー・デイビス/スコット・トマソン/ウェンデル・ジョセファー/ショーン・ウォーレン/ザック・グルニエ/ラスティ・シュウィマー●日本公開:1996/07●配給:UIP(評価:★★)
ツイスター [DVD]

「トゥルーライズ」.jpgトゥルーライズ01.jpg「トゥルーライズ」●原題:TRUE LIES●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ジェームズ・キャメロン●製作:ジェームズ・キャメロン/ステファニー・オースティン●オリジナル脚本:クロード・ジディ/シモン・ミシェル/ディディエ・カミンカ●撮影:ラッセル・カーペンター●音楽:ブラッド・フィーデル●時間:144分●出演:アーノルド・シュワルツェネッガー/ジェイミー・リー・カーティス/トム・アーノルド/ビル・パクストン/ティア・カレル/アート・マリックトゥルーライズ  ティア・カレル.jpgトゥルーライズ チャールトン・ヘストン.jpg/エリザ・ドゥシュク/グラント・ヘスロヴ/チャールトン・ヘストン●日本公開:1994/09●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:有楽町・日本劇場(94-09-25)(評価:★★★★)
アーノルド・シュワルツェネッガー/ティア・カレル
チャールトン・ヘストン

ラスト・アクション・ヒーローs.jpgラスト・アクション・ヒーロー  vhs.jpg「ラスト・アクション・ヒーロー」●原題:LAST ACTION HERO●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・マクティアナン●製作:スティーヴ・ロス/ジョン・マクティアナン●脚本:デヴィッド・アーノット/シェーン・ブラック●撮影ディーン・セムラー●音楽:マイケル・ケイメン●時間:131分●出演:アーノルド・シュワルツェネッガー/オースティン・オブライエン/チャールズ・ダンス/ロバート・プロスキー/トム・ヌーナン/フランク・マクレー/アンソニー・クイン/ブリジット・ウィルソン/F・マーリー・エイブラハム/マーセデス・ルール/アート・カーニー/イアン・マッケラン/プロフェッサー・トオル・タナカ/ジョーン・プロウライト/ノア・エメリッヒ●日本公開:1993/08●配給:コロンビア映画(評価:★★★)

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多才な人だったマイケル・クライトン。年下の女性上司からの強烈な「逆セクハラ」を描いた「ディスクロージャー」。
ディスクロージャー.jpg デミ・ムーア DISCLOSURE.bmp ディスクロージャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV).jpgディスクロージャー〈下〉 (ハヤカワ文庫NV).jpg  「大列車強盗」3.jpg
ディスクロージャー [DVD]」 マイケル・ダグラス、デミ・ムーア/マイケル・クライトン『ディスクロージャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)』『ディスクロージャー〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)』/マイケル・クライトン原作・脚本・監督「大列車強盗」('78年/米)ショーン・コネリー/レスリー=アン・ダウン
DISCLOSURE 2.jpg「ディスクロージャー」.jpg ハイテク企業に勤めるトム・サンダース(マイケル・ダグラス)は、自分に内定していた副社長ポストに、社の創設者ボブ・ガーヴィン(ドナルド・サザーランド)が目をかけてきた野心溢れる女性メレディス(デミ・ムーア)が就任したことを知らされ唖然とする。彼女はかつてのトムの恋人だったのだ。そしてトムは就任したばかりの彼女に部屋に呼び出されて誘惑され、その誘いに負けそうになるも、かろうじて踏み止まり部屋を出る。しかし今度は、彼女から部屋でレイプをされそうになったと訴えられる―。

DISCLOSURE 1994 1.jpgDisclosure 1994.bmp 「レインマン」('88年)のバリー・レヴィンソン監督作で、原作は今月('08年11月)亡くなったマイケル・クライトン.jpgイケル・クライトン(Michael Crichton、1942‐2008/享年66)です。この人の著作で最初に映画化され『ディスクロージャー』単行本.jpgたのが『アンドロメダ病原体』('69年)であり、『ジュラシック・パーク』('90年)などのバイオ・サスペンスや、ハーバード・メディカルスクールの出身でもあるだけに、TVドラマ「ER」のようなメディカル系に強かった印象があります(1994年にはテレビ(「ER」)、映画(「ジュラシック・パーク」)、書籍(『ディスクロージャー』)で同時に1位となる3冠を成し遂げた)。ただし、その著作には『大列車強盗』('75年)などのミステリもあれば、『ライジング・サン』('92年)のようなビジネスドラマ(ビジネス・サスペンス)もあり、何でもござれといった多才さというか、守備範囲の広さを感じさせ、まだバリバリの現役であっただけに、66歳でのガン死は、壮絶な戦死といった印象も受けます。

『ディスクロージャー』単行本
   
 この作品もビジネスドラマ(ビジネス・サスペンス)であり、年下の女性上司による「逆セクハラ」を扱っていますが、日本では「セクシャル・ハラスメント」が「新語・流行語大賞」の"新語"部門金賞に選ばれたのが'89年です(この段階ではまだ"新モノ"扱いか)。男女雇用機会均等法に「性的嫌がらせへの配慮」が盛り込まれたのが8年後の'97年改正に於いてであり、「男性への性的嫌がらせ」も配慮の対象となったのが更に10年後の'07年4月ですから、この作品の原作が1993年に発表され'94年に映画化されたことを思うと、向こうは随分と先を行っていたなあと。但し、米国では、原著発表時点で既に「テーマが古い」との批評もあったとのこと...。

音楽:エンニオ・モリコーネ

 セクハラ事件を契機に主人公は、野望渦巻く企業のパワーゲームに巻き込まれていきますが、映画におけるマイケル・ダグラスは、「ウォール街」('87年)で若僧チャ-リー・シーンを翻弄するやり手の投資銀行家ゲッコー氏のイメージよりも、「危険な情事」('87年)で不倫相手のグレン・クローズに翻弄される弁護士のイメージに近いかも。

ドナルド・サザーランド ディスクロージャー .jpg 映画としては凡作になってしまったと思いますが、マイケル・クライトンへの追悼と、「ライジング・サン」よりはまだ映画らしい映画になっているということで本作品を取り上げました。DISCLOSURE film.gif上司デミ・ムーアの誘いを断った主人公に対する上司の仕打ちの1つに、会社のサーバーへのアクセス権を奪ってしまうというのがあって、そのことで主人公は仕事が完全にストップしてしまいパニックに陥るというのが当時としてはすごく"現代風"の恐怖だなあと思われ、印象的に残りました。

大列車強盗 (1976年)1.jpg「大列車強盗」1.jpg「大列車強盗」図11.jpg マイケル・クライトン原作のその他の映画化作品では、マイケル・クライトン自身の脚本・監督で、ショーン・コネリーが主演した「大列車強盗」('78年/米).jpg「大列車強盗」('78年/米)が面白かったです。ヴィクトリア朝時代のイギリスで実際に起きた事件を基に、怪盗とその仲間たちが厳重管理で列車輸送している莫大な金塊の強奪に挑むさまを描いた犯罪サスペンスで、ストーリーはいいし(1975年に出版された原作『大列車強大列車強盗 (1976年).jpg大列車強盗 (ハヤカワ文庫.jpg盗』('76年/早川書房、'81年/早川書房)は、今回取り上げた『ディスクロージャー』よりはっきり言って面白い)、怪盗ピアースを演じるショーン・コネリーをはじめ役者もいいです。ショーン・コネリー(当時48歳)は、桁の低い陸橋が何本も接近してくる中、それをよけながら疾走する列車の屋根を這い進んで行くというアクションをスタントなしでこなしています。
大列車強盗 (ハヤカワ文庫 NV 256)
大列車強盗 (1976年) (Hayakawa novels)

「ライジング・サン1.jpg「ライジング・サン3.jpg 「大列車強盗」と同じショーン・コネリー主演でフィリップ・カウフマンが監督した「ライジング・サン」('93年/米)は、ロサンゼルスに進出した日本企業のビルで殺人事件が発生し、ショーン・コネリー演じる刑事ジョン・コナーが捜査を進めるうち、文化の違いという壁にぶち当たるという、コネリーが製作総指揮と主演を兼ねたサスペンス・アクション。ネタバレになりますが、偽造ディスクを解明した女性がコナー刑事の愛人だったというオチは、裏ストーリーを暗示させるものの、あまりに説明不足。日本人の社員が黒服にサングラスだったり、日本語の使い方がヘンテコリンで笑わせます(もっと以前よりは良くはなっているが、この時点でまだ日本文化の認識の違いが窺えるのは仕方のないことか)。因みに、武満徹が劇中音楽を担当し、そのキャリアの中で唯一の外国映画音楽作品となりました。

「コンゴ」1.jpg「コンゴ」3.jpg あともう1本、フランク・マーシャル監督の「コンゴ」('95年)というのもありました。映画的展開の狭い「ライジング・サン」や「ディスクロージャー」の失敗を反省材料にしたのか、今度は旧作('80年発表)ながら派手な見せ場のある『失われた黄金都市』を映画化したもので、アフリカ奥地で、レーザー通信の核となるダイヤモンドの鉱脈を調べていたトラヴィコム社の先発隊が全滅し、手掛かりは通信画面に映し出された"灰色の猿人"らしきものだけだった...というもの。この監督はあまり上手くない(本業は映画プロデューサー。妻のキャスリーン・ケネディと共に、多くのスピルバーグ作品を手がけている)。観終わって時間が無駄だったと思いましたが(一緒に観た人間と「もう今後(こんご)は観ない」と冗談を言い合った)、amazonのレビューでは高い評価を得ているみたいで、自分たちだけ違う映画を観たのかなあ(笑)。


ディスクロージャー マイケル・ダグラス.jpg「ディスクロージャー」●原題:DISCLOSURE●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督:バリー・レヴィンソン●製作:バリー・レヴィンソン/マイケル・クライトン●脚本:ポール・アタナシオ●音楽:エンニオ・モリコーネ●撮影:アンソニー・ピアース=ロバーツ●原作:マイケル・クライトン●時間:128分●出演:マイケル・ダグラス/デミ・ムードナルド・サザーランド/キャロライン・グッドオール/デニス・ミラー/ロマ・マフィア/ドナルド・サザーランド ディスクロージャー.jpgニコラス・サドラー/ローズマリー・フォーサイス/ディラン・ベイカー/ジャクリーン・キム/ドナル・ローグ/アラン・リッチ/ スージー・プラクソン●日本公開:1995/02●配給:ワーナー・ブラザース (評価★★★)

ドナルド・サザーランド
      
   
     
ドナルド・サザーランド/ショーン・コネリー
「大列車強盗」2.jpg「大列車強盗」4.jpg「大列車強盗」●原題:THE GREAT TRAIN ROBBERY/THE FIRST GREAT TRAIN ROBBER●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督・脚本:マイケル・クライトン●製作:ジョン・フォアマン●撮影:ジェフリー・アンスワース●音楽:ジェリー・ゴールドスミス●原作:マイケル・クライトン●時間:111分●出演:ショーン・コネリー/ドナルド・サザーランド/レスリー=アン・ダウン/アラン・ウェッブ/ロバート・ラング/マイケル・エルフィック/パメラ・セイラム/ガブリエル・ロイド/ジェームズ・コシンズ/ブライアン・グローヴァー/マルコム・テリス/ウェイン・スリープ●日本公開:1979/11●配給: ユナイト映画(評価★★★★)

「ライジング・サン」2.jpg「ライジング・サン」4.jpg「ライジング・サン」●原題:RISING SUN●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:フィリップ・カウフマン●製作:ピーター・カウフマン●脚本:マイケル・クライトン/フィリップ・カウフマン/マイケル・バックス●撮影:マイケル・チャップマン●音楽:武満徹●原作:マイケル・クライトン●時間:125分●出演:ショーン・コネリー/ウェズリー・スナイプス/ハーヴェイ・カイテル/ケイリー=ヒロユキ・タガワ/ケヴィン・アンダーソン/マコ/レイ・ワイズ/スタン・イーギー/ティア・カレル/タジャナ・パティッツ/ヴィング・レイムス/スティーヴ・ブシェミ/サム・ロイド●日本公開:1993/11●配給:20世紀フォックス(評価★★★)
ウェズリー・スナイプス/ショーン・コネリー/ハーヴェイ・カイテル
「ライジング・さん」.gif

「コンゴ」2.jpg「コンゴ」●原題:CONGO●制作年:1995年●制作国:アメリカ●監督:フランク・マーシャル●製作:キャスリーン・ケネディ/サム・マーサー●脚本:ジョン・パト「コンゴ」4.jpgリック・シャンリー●撮影:アレン・ダヴィオー●音楽:ジェリー・ゴールドスミス●原作:マイケル・クライトン●時間:109分●出演:ショーン・コネリー/ウェズリー・スナイプス/ハーヴェイ・カイテル/ケイリー=ヒロユキ・タガワ/ケヴィン・アンダーソン/マコ/レイ・ワイズ/スタン・イーギー/ティア・カレル/タジャナ・パティッツ/ヴィング・レイムス/スティーヴ・ブシェミ/サム・ロイド●日本公開:1995/10●配給:UIP(評価★★)
  
 【1994年単行本〔早川書房〕/1995年文庫化[ハヤカワ文庫NV(上・下)]】

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前半部分はサスペンス。映画には無いジリジリさせる小出し感が良かった。

ジュラシック・パーク (上).jpgジュラシック・パーク (下).jpgジュラシック・パーク 上.jpg ジュラシック・パーク下.jpg ジュラシック・パーク.jpg  激突!.jpg 『激突!』(1971) 1.jpg 激突1.jpg
『ジュラシック・パーク (上・下)』['96年]『ジュラシック・パーク〈上〉〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)』 「ジュラシック・パーク [DVD]」/「激突!スペシャル・エディション [DVD]

ジュラシック・パーク 上下.jpgmichael crichton jurassic park.jpg 1990年に発表されたマイクル・クライトン(Michael Crichton、1942-2008)の『ジュラシック・パーク』(Jurassic Park)は、映画('93年)で見るより先に原作を読みましたが、原作の方が面白かったと思います。

 まず、原作はかなりSF小説っぽく、例えばカオス理論の話が数学者によって詳しく述べられていますが、映画では「蝶のはばたき効果」(北京で蝶がはばたくとニューヨークで嵐が起きるというやつ)程度の話ぐらいしか出てきません。しかしそれよりも映画を見てエッと思ったのは、原作のサスペンス・タッチが、映画ではかなりそぎ落とされてしまっていることです。

 特に前半部分、浜辺で遊んでいた子どもの失踪など、不審な出来事が断続的に続き(この部分は映画化を想定してか、非常に映像的に書かれている感じがした)、「何かあるな」と読者に思わせるものの、事実の全体が読者にもなかなか見えてこない"ジリジリ感"と言うか"小出し感"のようなものが、いやがおうにもサスペンス気分を盛り上げます。

「激突!」パンフレット/チラシ
激突 パンフレット.jpg激突!チラシ.jpg『激突!』(1971) 2.jpg スティーヴン・スピルバーグが監督するということで、大いに期待していたのですが...。

スティーブン・スピルバーグ5Q.jpg スピルバーグ監督には、TV版の「刑事コロンボ(第3話)/構想の死角」 ('71年)や、これも元々テレビ映画として作られた「激突!」('72年、原題はDuel=決闘)という初期作品があります。原作・脚本ともSF・ホラー作家のリチャード・マシスン(1926-2013)であり、監督はオーディションで選考され、スピルバーグは応募者の1人であり、プレゼンにおいて「刑事コロンボ/構想の死角」で自己アピールしたそうです。

激突.jpg激突!-17.jpg 「激突!」は、デニス・ウィーヴァー(TVシリーズ「警部マクロード」(1970-77、日本放映1974(テレビ朝日)、1975-77(NHK)に主演)が演じる一般ドラーバーが、ハイウェイで前方の大型トラックに対してパッシングをしただけで、その大型トラックにずっと追い回されるという極めて単純なストーリーにも関わらず、追ってくる運転手の顔が最後まで見えないため、トッラクが人格を持っているように見えるのが非常に怖かったのです。

JAWS/ジョーズ1.bmpJAWS/ジョーズ2.bmpJAWS/ジョーズ3.bmp 「激突!」における対象がなかなか見えてこない恐怖(不安)は、「JAWS/ジョーズ」('75年)でも効果的に生かされていたように思います。

JAWS/ジョーズ5.bmpJAWS/ジョーズ4.bmp 「ジョーズ」は人間ドラマとしてもよく出来ているように思いました。但し、ピーター・ベンチュリー(1946-2006)の原作自体はたいしたことはないと思われ、この作家の映画「ザ・ディープ」('77年)の原作『ザ・ディープ』も読みましたが、通俗作家であるという印象を受けました(英語で読んだのだが多分にポルノグラフィ調。だから英語で読めたかもしれないが)。

ザ・ディープ1977★★.jpg その『ザ・ディープ』はピーター・イェーツ監督(「ジョンとメリー」('69年))、ロバート・ショウ(「007 ロシアより愛をこめて」('63年)、「ジョーズ」('75年))、ジャクリーン・ビセット(「大空港」('70年)、「料理長殿、ご用心」('78年))主演で1977年に映画化されましたが、本国でそこそこヒットしたので日本でも大作扱いで公開されたけれども、本邦ではあまり奮わなかったように思います。今観るならば基本的にB級映画として愉しむことになるのでは(お宝探し映画なので元からB級映画だったと言えなくもないが)。ジャクリーン・ビセットのファンにはいい映画なのだろうなあ。実際、ファンの間ではリバイバルブームになっているようです。
ジャクリーン・ビセット in「ザ・ディープ」('77年)

ザ・ビースト~巨大イカの逆襲~【日本語吹替版】 [VHS]
ザ・ビースト~巨大イカの逆襲.jpgビースト/巨大イカの大逆襲10.jpg さらに、ピーター・ベンチュリー原作の映像化作品では、「ビースト」('96年/米)という4時間(実質180分)のTVムービーがあり、それを113分にした短縮版が1996年に「ビースト/巨大イカの大逆襲」というタイトルで日曜洋画劇場で放映され、さらに1999年に「ザ・ビースト/巨大イカの逆襲」というタイトルでビデオ化されましたが、タイトルから分かるようにイカが人間を襲う生き物パニック映画です(淀川長治は「タコのギャング映画(タコが襲ってくる映画)はあったんですねぇ(「テンタクルズ」('77年/伊・米)のことか)、でもイカは初めてなんですね」と言っていたが、セシル・B・デミルが製作・監督、日本でも公開された「絶海の嵐」('42年/米)には全長18mの大イカが登場したりするなどしている(因みクラーケン2.pngクラーケン.jpgに、北欧に伝わる「海の怪物」クラーケンの基になった生き物は大ダコ説とダイオウイカ説が有力なようだ)。おそらくメインにイカを据えたのは初めてということだろう。淀川長治も「イカが主役になったのは初めて」と言い換えている)。「ジョーズ」におけるサメをイカに置き換えたような感じですが、短縮版を観てもかったるい印象でした。そもそも、「母イカ」が人間に捕らえられた「子イカ」を助けに来る(死骸を取り返しに来る)という、頭足類であるイカに人間並みの母性愛を設定したところに無理がありました。

 こうしてみると、スピルバーグは必ずしも作家の力量や作品のレベルを買って原作を選んでいるわけではなく、スピルバーグにとって原作はあくまで着想のきっかけであって、そこから自分なりのイメージを膨らませ、監督のオリジナル作品にしていくタイプなのかも。しかも、そのことによって原作を大きく超えることがあるという点において、ヒッチコックや黒澤明とレベル的には拮抗しているのかもしれません(「ジョーズ」は原作を超えているが、「ジュラシック・パーク」は原作の絶妙な"小出し感"が減殺されてしまっているように思った)。

未知との遭遇4.bmp「未知との遭遇」(1977年)3.jpg 更に、"小出し感"ということで言えば、「未知との遭遇」('77年)などはその最たるもので、最後フタを開けてみれば、大掛かりな割には他愛も無い結末という気もしなくもありませんが、やはり、途中の"引っ張り方"は巧みだなあと(因みに、この映画でUFOとコンタクト出来る人を"選民"のように描いているが、それがスピルバーグがユダヤ系であることと結びつくのかどうかは自分には分からない)。 

E.T..jpg 「未知との遭遇」の"小出し感"は「E.T.」('82年)にも引き継がれていたように思います。E.T.がまず兄妹の妹に認知され、次に兄に、そして友人達に、更に家族にその存在を認知され、最後は国家が出向いて...と段階を踏んでいました。脚本のメリッサ・マティソンはハリソン・フォードの恋人で、「レイダース」のロケで知り合ったスピルバーグ監督から原案を話され、感動して脚本を引き受けたそうです。本作品のテーマはスピルバーグ自らが経験した「両親の離婚」であり、SFは表面的な要素に過ぎないと監督自身が述べています(こうなってくると、「未知との遭遇」もユダヤ系としての彼の出自と関係してくるのか?)。

「ジュラシック・パーク」(93年).jpg このマイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』の原作を読んで、この"小出し感"は、スピルバーグが映画化するのに相応しい作品だと思いました。ところが、実際に映画化された「ジュラシック・パーク」('93年)を観てみると、原作と違ってあまりにもあっさりと恐竜たちにお目にかかれたため拍子抜けしました。

JURASSIC PARK.jpg CG(コンピュータ・グラフィックス)の魅力に抗しきれなかったスピルバーグ、監督の意向を受け容れざるを得なかったマイケル・クライトンといったところでしょうか(マイケル・クライトンも脚本に参加しているのだが)。これではサスペンス気分も何もあったものではないと...。「E.T.」の方がまだ、着ぐるみなどを使って"手作り感"があって、それが良かったのではないかなあ。

 登場人物は映画とほぼ同じでも、キャラクターの描き方が異なっていたり(映画化に際して単純な善玉悪玉に振り分けられてしまった?)、映画でカットされた原作の挿話(翼竜の飼育ドームのことなど)が、映画続編の「ロストワールド」('97年)「ジュラシック・パークⅢ」('01年)に分散して挿入されていたりもし、その分本書は、映画を既に見た人にも楽しめる内容だと思います。

Er.jpgER 緊急救命室.jpgマイケル・クライトン2.jpg マイクル・クライトン自身は、小説だけでなく、直接映画などの脚本や監督も手掛けていて、映画では「大列車強盗」('79年/米)などの監督・脚本作品があり、また、テレビドラマシリーズ「ER緊急救命室」の脚本、製作総指揮に携わったことでも知られています(彼自身ハーバード・メディカルスクールの出身)。

 「ER緊急救命室」は個人的にはファーストシーズンから観続けているかなり好きなドラマなのですが、カメラーワークに特徴のあるドラマでもあります。この小説(『ジュラシック・パーク』)も映画作品のノベライゼーションではなくあくまでも小説なのですが、非常に視覚的に描かれていて、場面転換なども映画のカット割りと似たものを感じ、このまま脚本として使えそうな気がしました(でも、実際には映画はその通りにはなってはいないことからすると、スピルバーグは自分自身の"監督"オリジナルにこだわったとみるべきか?)。

michael crichton jurassic park2.jpg「ジュラシック・パーク」●原題:JURASSIC PARK●制作年:1993年●制ジュラシックパーク  s.jpg作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●脚本:マイケル・クライトンほか●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:マイケル・クライトン●時間:127分●出演:サム・ニール/ローラ・ダーン/ジェフ・ゴールドブラム/リチャード・アッテンボロー/ウェイン・ナイト/マーティン・フェレロ/サミュエル・L・ジャクソン/ボブ・ペック/アリアナ・リチャーズ/ジョゼフ・マゼロ●日本公開:1993/07●配給:UNI(ユニバーサル・ピクチャーズ)●最初に観た場所:有楽町・日本劇場 (93-09-12) (評価★★★)

激突1.jpg激突!ポスター.jpg「激突!」●原題:DUEL●制作年:1971年●制作国:アメリカ●監督:ス「激突!」7.jpgティーヴン・スピルバーグ●製作:ジョージ・エクスタイン●脚本:リチャード マシスン●撮影:ジャック・A・マータ ●音楽:ビリー・ゴールデンバーグ/●原作:リチャード マシスン●時間:90分●出演:デニス・ウィーヴァー警部マクロードes.jpgジャクリーン・スコット/デヴィッド・マン/キャリー・ロフティン/アレクサンダー・ロックウッド/警部マクロード.jpgエディ・ファイアストーン/ルシル・ベンソン●日本公開:1973/01●配給:CIC (評価★★★☆) 

「警部マクロード」McCloud (NBC 1970~1977) ○日本での放映チャネル:テレビ朝日(1974)/NHK(1975~1977)

 
ジョーズ.jpgJaws - Movie.jpg「JAWS/ジョーズ」●原題:JAWS●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:デイヴィッド・ブラウン/リチャード・D・ザナック●脚本:JAWS/ジョーズes.jpgピーター・ベンチュリー/カール・ゴッドリーブ●撮影:ビル・バトラー●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:ピーター・ベンチュリー●時間:124分●出演:ロイ・シャイダー/ロバート・ショウ/リチャード・ドレイファス/カール・ゴットリーブ/マーレイ・ハミルトン/ジェフリー・クレイマー/スーザン・バックリーニ/ジョナサン・フィレイ/クリス・レベロ/ジェイ・メロ●日本公開:1975/12●配給:CIC●最初に観た場新宿ローヤル 地図.jpg新宿ローヤル.jpg新宿ローヤル劇場 88年11月閉館 .jpg所:新宿ローヤル(82-12-28) (評価★★★★)

新宿ローヤル劇場(丸井新宿店裏手)1955年「サンニュース」オープン、1956年11月~ローヤル劇場、1988年11月28日閉館[モノクロ写真:高野進 『想い出の映画館』('04年/冬青社)/カラー写真:「フォト蔵」より]

ザ・ディープ [DVD].jpgthe deep 1977.jpg「ザ・ディープ」●原題:THE DEEP●制作年:1977年●制作国:アメリカ●監督:ピーター・イェーツ●製作:ピーター・グーバー●脚本:ピーター・ベンチリー/トレイシー・キーナン・ウィン●撮影:クリストファー・チャリス●音楽:ジョン・バリー(主題歌:ドナ・サマー「Down Deep Inside」)●原作:ピーター・ベンチュリー●時間:123分●出演:ロバート・ショウ/ジャクリーン・ビセット/ニック・ノルティ/ルイス・ゴセット・ジュニアイーライ・ウォラック/ロバート・テシア/ディック・アンソニー・ウィリアムズ●日本公開:1977/07●配給: コロムビア映画(評価★★☆)
ザ・ディープ [DVD]

ザ・ビースト 完全版 [DVD]
ザ・ビースト 完全版 [DVD].jpg「ザ・ビースト/巨大イカの逆襲(ビースト/巨大イカの大逆襲)」●原題:THE BEAST●制作年:1996年●制作国:アメリカ●監督:ジェフ・ブレックナー●製作:タナ・ニュージェント●脚本:ジェフ・ブレックナー/J・B・ホビースト/巨大イカの大逆襲l2.jpgワイト/クレイグ・D・リード●撮影:ジェフ・バートン●音楽:ドン・デイヴィス●原作:ピーター・ベンチュリー「ビースト」●時間:133分●出演:ウィリアム・ピーターセン/ラリー・ドレイク/カレン・サイラス/チャールズ・マーティン・スミス/ロナルド・ガットマン/ミッシー・クライダー/スターリング・メイサー・Jr/デニス・アーント/ブルース・アレキサンダー/アンジー・ミリケン/マーレイ・バートレット●テレビ映画:1996/12 テレビ朝日(評価★★☆)

Close Encounters.jpg未知との遭遇-特別編.jpgClose Encounters of the Third Kind (1977).jpg「未知との遭遇 〈特別編〉」●原題:THE SPECIAL EDITION CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND●制作年:1980年 (オリジナル1977年)●制作国:アメリカ●監督・脚本:スティーヴン・スピルバーグ●製作:ジュリア・フィリップス/マイケル・フィリップス●撮影:ヴィルモス・ジグモンド●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:133分●出演:リチャード・ドレイファス/フランソワ・トリュフォー/テリー・ガー/メリンダ・ディロン/ボブ・バラバン/ケイリー・ガフィー/ランス・ヘンリクセン/ケイリー・ガフィー/ジャスティン・ドレイファス/新宿ミラノ座内2.jpg新宿ミラノ座 1959.jpgメリル・コナリー/J・パトリック・マクナマラ/ウォーレン・J・ケマーリング/ジョージ・ディセンツォ/メアリー・ギャフリー/ロバーツ・ブロッサム●日本公開:1980/10 (オリジナル1978/02)●配給:コロムビア映画●最初に観た場所:新宿ミラノ座(81-02-16) (評価★★★)  [上写真:「新宿ミラノ座」オープン当初 (1959年)]
ミラノ座 1983年.jpg新宿ミラノ.jpg新宿ミラノ座 内部.jpg新宿ミラノ座 1956年12月、歌舞伎町「東急文化会館(後に「東急ミラノビル」)」1Fにオープン(1,288席)、2006年6月1日~「新宿ミラノ1」(1,064席) 2014(平成26)年12月31日閉館。 (閉館時、都内最大席数の劇場だったが、閉館により「TOHOシネマズ日劇・スクリーン1」(948席)が都内最大席数に)

新宿東急ミラノビル4館(シネマミラノ・ミラノ座・新宿東急・シネマスクエアとうきゅう)2005年8月
新宿ミラノ会館4館 20051.08.jpg

poster for 'E.T. the Extra-Terrestrial' by Dan McCarthy     「E.T. スペシャル・エディション [DVD]
dan-mccarthy-ET-poster.jpgE.T.dvd.jpg「E.T.」●原題:E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:スティーヴン・スピルバーグ/キャスリーン・ケネディ●脚本:メリッサ・マシスン●撮影:アレン・ダヴィオー●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:115分(20周年記念特別版120分)●出演:ヘンリー・トーマス/ドリュー・バリモア/ピーター・コヨーテ/ディー・ウォレス/ロバート・マクノートン/ケイ・シー・マーテル/ショーン・フライ/トム・ハウエル●日本公開:1982/12●配給:ユニヴァーサル=CIC ●最初に観た場所:池袋東急(82-12-04)●2回池袋東急が62年の歴史に幕!.jpg3池袋東急.png「池袋東急」(明治通り沿い).jpg目:渋谷パンテオン (82-12-18) (評価★★★★)
池袋東急 1949年9月「池袋東洋映画劇」としてオープン。1988(昭和63)年4月、明治通り沿いビッグカメラ本店隣り「池袋とうきゅうビル」7Fに再オープン。2011(平成23)年12月25日閉館。
「池袋東急が62年の歴史に幕!12/25で閉館へ」(「池袋ブログ」2011/12/13)

ER 緊急救命室2.jpger season1.jpg「ER 緊急救命室」ER (NBC 1994~2009) ○日本での放映チャネル:NHK-BS2(1996~2011)/スーパー!ドラマTV

 【1993年文庫化[ハヤカワ文庫NV(上・下)]】

《読書MEMO》
70年代前半の主要パニック映画の個人的評価
・「大空港」('71年/米)ジョージ・シートン監督(原作:アーサー・ヘイリー)★★★☆
・「激突!」('71年/米)スティーヴン・スピルバーグ(原作:リチャード・マシスン)★★★☆
・「ポセイドン・アドベンチャー」('72年/米)ロナルド・ニーム監督(原作:ポール・ギャリコ)★★★☆
・「タワーリング・インフェルノ」('74年/米)ジョン・ギラーミン監督(原作:リチャード・M・スターン)★★★☆
・「JAWS/ジョーズ」('75年/米)スティーヴン・スピルバーグ監督(原作:ピーター・ベンチュリー)★★★★

マイケル・クライトン.bmpマイケル・クライトン(1942-2008/66歳没)『アンドロメダ病原体』『大列車強盗』『ジュラシック・パーク』『ディスクロージャー

ピーター・ベンチュリー.jpgピーター・ベンチュリー(1940-2006/65歳没)『ジョーズ』『ザ・ディープ』『アイランド 』『ビースト

リチャード・マシスン.jpgリチャード マシスン(1926-2013/87歳没)『吸血鬼(アイ・アム・レジェンド)』『激突!


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