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「ウルトラシーリーズ」全体を怪獣路線に導いたエポックメイキング的な作品。

ウルトラq 宇宙からの贈りもの1.jpg ウルトラq 宇宙からの贈りもの4.jpg
火星怪獣ナメゴン 佐原健二(万城目淳)/桜井浩子(江戸川由利子)/江川宇礼雄(一ノ谷博士)

ウルトラq 宇宙からの贈りもの12.jpg 半年前に打ち上げた火星ロケットのカプセルが、ある日地球へ送り返されて来た。カプセルは火星の地表に衝突し、木っ端微塵に散ったはずなのにと、人々はガク然となった。しかも、カプセルの中には、ウズラの卵大の金色の丸い玉が二つまぎれ込んでいたのだ。学者たちは、火星人が人類の宇宙開発の成功を祝福して、贈り物をよこしたに違いないと楽観した。ところが宇宙開発局の金庫から三千万円とともに、保管されていた金色の丸い玉が盗まれてから、しばらくして大蔵島の洞窟の中に恐ろしい怪物が出たという報せが入った。淳、由利子、そして、一平の三人は、さっそくその島へ飛んだ。その洞窟の中にはギャングが倒れており、三千万円の札束が散らばっていた。だが、金色の丸い玉はどこにも見当たらなかった。その時、一匹の怪物が洞窟を突き破って出現した。金色の丸い玉は、なんと火星怪獣の卵だったのである。となると、もう一個の卵は一体どこへ?それは由利子の胸にペンダントに姿を変えて、ぶら下っていたのだ―。(「ウルトラQ・あらすじ集」より)

 「ウルトラQ」は'66(昭和41)年1月から7月まで27回にわたって放映されましたが、この第3話「宇宙からの贈りもの」は、円谷一監督、金城哲夫脚本で、1966年1月16日放送。「ウルトラQ」は'64年(昭和39)から'65(昭和40)年の間にシリーズ全話撮影を終えてから放送がスタートしていますが、この「宇宙からの贈りもの」は制作№は5で、実際に撮影されたのは'64年10月下旬~11月中旬になります(因みに制作№4の「あけてくれ!」(監督:円谷一、脚本:小山内美江子)は、シリーズの放送終了後の'67年12月14日に放送された)。

ウルトラq 宇宙からの贈りもの03.jpg 登場するナメクジに似た姿の怪獣ナメゴン(劇中では単に「火星怪獣」と呼称している)は、島で万城目(佐原健二)を追い詰めるも誤って海に転落、海水によって全身が溶けてしまったことで塩分に弱いと判明するという流れ。そのため、終盤、一平(西條康彦)によって由利子(桜井浩子)のペンダントに姿を変えていたもう1個の卵が孵化してナメゴンが再び現れ、一ノ谷博士(江川宇礼雄)の邸宅の庭を徘徊するも、近くの海に落っこちるだろうみたいな楽観的予測をするナレーションで終わっていて、本当に大丈夫なのかなと。

ウルトラq 宇宙からの贈りもの3.jpg このようにストーリーは間尺の関係か尻切れトンボですが、ナメゴンがよく出来ていたので○です。移動ギミックは映画「モスラ対ゴジラ」('64年/東宝)、「三大怪獣地球最大の決戦」('64年/東宝)の幼虫モスラのもの(ミニチュア自走用の車両を内蔵して自走)を流用し、湿気を出すために撮影のたびに霧吹きで水を表皮に吹き付けていたそうです(因みに、卵が膨らむシーンは風船で表現された)。

 最初期に制作されたこの第3話はTBSでの検討用素材としても用いられ、ナメゴンが好評であったため「ウルトラQ」シーリーズの作品全体が怪獣路線になったとされているそうで、「ウルトラQ」の企画時のタイトルが「アンバランス」だったことからも窺えるように、後の「怪奇大作戦」('68年~'69年)みたいな怪奇路線でいくこちとも当初は選択肢としてあったようです。その意味では、「ウルトラシーリーズ」全体を怪獣路線に導いたエポックメイキング的と言うか決定的な作品と言えなくもないかと思います(小山内美江子脚本の「あけてくれ!」がシリーズ放送期間内に放映されなかった一因にもなっている)。

ナメゴン 少年マガジン.jpg 因みに、'66(昭和41)年1月の「ウルトラQ」放送開始直前に刊行された「少年マガジン」の'65(昭和40)年第53号(12月26日号)で「『ウルトラQ』の怪獣たち特集」というのをやっていて、そこにナメゴンも出てきて、走行中のパトカーを襲って大暴れする絵が描かれていましたが、そうしたシーンは本編にはありませんでした。結構いい加減(笑)。

 ウルトラq 宇宙からの贈りもの2.jpgウルトラQ(第3話)/宇宙からの贈りもの tazaki.jpg「ウルトラQ(第3話)/宇宙からの贈りもの」●制作年:1964年●監督:円谷一●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:金城哲夫●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/西條康彦/桜井浩子/江川宇礼雄/田島義文/加藤春哉/佐藤功一/岡部正/池田生二/田崎潤/(ノンクレジット)金城哲夫/(ナレーター)石坂浩二●放送:1966/01●放送局:TBS(評価:★★★☆)
田崎潤(宇宙開発局・坂本長官)


●「ウルトラQ」(全27話)制作順ラインアップ
放送回/制作順/脚本No./放送日(1966年)/サブタイトル/登場怪獣・宇宙人/脚本/特技監督/監督/視聴率
4/1/1/1966年1月23日/マンモスフラワー/巨大植物ジュラン/金城哲夫・梶田興治/川上景司/梶田興治 35.8%
22/2/2/5月29日/変身/変身人間 巨人・巨蝶モルフォ蝶/北沢杏子(原案:金城哲夫)/川上景司/梶田興治 26.9%
25/3/3/6月19日/悪魔ッ子/悪魔ッ子リリー/北沢杏子(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 31.5%
3/5/5/1月16日/宇宙からの贈りもの/火星怪獣ナメゴン/金城哲夫/川上景司/円谷一 34.2%
12/6/7/3月20日/鳥を見た/古代怪鳥ラルゲユウス/山田正弘/川上景司/中川晴之助 32.6%
2/7/11/1月9日/五郎とゴロー/巨大猿ゴロー/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 33.4%
17/8/9/4月24日/1/8計画/1/8人間/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 31.7%
27/9/4/7月3日/206便消滅す/四次元怪獣トドラ/山浦弘靖・金城哲夫(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 35.2%
8/10/10/2月20日/甘い蜜の恐怖/モグラ怪獣モングラー/金城哲夫/川上景司/梶田興治 38.5%
6/11/8/2月6日/育てよ!カメ/大ガメ ガメロン・万蛇怪獣怪竜、乙姫/山田正弘/小泉一/中川晴之助 31.2%
1/12/12/1966年1月2日/ゴメスを倒せ!/古代怪獣ゴメス・原始怪鳥リトラ/千束北男/小泉一/円谷一 32.2%
9/13/13/2月27日/クモ男爵/大グモ タランチュラ/金城哲夫/小泉一/円谷一 32.4%
5/14/15/1月30日/ペギラが来た!/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 34.8%
14/15/16/4月3日/東京氷河期/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
11/16/17/3月13日/バルンガ/風船怪獣バルンガ/虎見邦男/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
13/17/27/3月27日/ガラダマ/隕石怪獣ガラモン/金城哲夫/的場徹/円谷一 35.7%
26/18/19/6月26日/燃えろ栄光/深海生物ピーター/千束北男/的場徹/満田かずほ 30.8%
21/19/18/5月22日/宇宙指令M774/キール星人・ルパーツ星人・宇宙エイ ボスタング/上原正三/的場徹/満田かずほ 30.9%
15/20/21/4月10日/カネゴンの繭/コイン怪獣カネゴン・カネゴン(両親)/山田正弘/的場徹/中川晴之助 28.5%
18/21/24/5月1日/虹の卵/地底怪獣パゴス/山田正弘/有川貞昌/飯島敏宏 28.9%
19/22/23/5月8日/2020年の挑戦/誘拐怪人ケムール人/金城哲夫・千束北男/有川貞昌/飯島敏宏 28.6%
23/23/14/6月5日/南海の怒り/大ダコ スダール/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 30.1%
20/24/26/5月15日/海底原人ラゴン/海底原人ラゴン・海底原人ラゴン(子)/山浦弘靖・大伴昌司・野長瀬三摩地/的場徹/野長瀬三摩地 34.0%
24/25/22/6月12日/ゴーガの像/貝獣ゴーガ/上原正三/的場徹/野長瀬三摩地 27.0%
16/26/28/4月17日/ガラモンの逆襲/隕石怪獣ガラモン・宇宙怪人セミ人間/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 31.2%
7/27/20/2月13日/SOS富士山/岩石怪獣ゴルゴス/金城哲夫・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.5%
10/28/25/3月6日/地底超特急西へ/人工生命Ⅿ1号/山浦弘靖・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.6%

(制作№4.)
28/4/6/1967年12月14日/あけてくれ!/異次元列車/小山内美江子/川上景司/円谷一 19.9%

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「ウルトラQ」の記念すべき第1話は二大怪獣の激突。
ゴメスを倒せ!3.jpg
DVD ウルトラQ VOL.1」古代怪獣ゴメス VS. 原始怪鳥リトラ
ゴメスを倒せ!6.jpg トンネル工事をするうちに反対側からのトンネルに行きあたった一作業員(大村千吉)が、突然「怪物を見た!」と叫び、狂気のようになった。洞窟の中には長さ1メートル半ぐらいの楕円形の塊が発見された。作業員たちは奇怪な物体に当惑し、すぐ調査を依頼することにした。しかし工事現場からの通報で現場にかけつけた学者たちにも皆目判らない物体だった。淳(佐原健二)、由利子(桜井浩子)、一平(西條康彦)の三人も取材に、現場にやって来ていた。困惑する人々、そのうちジロー(村岡順二)という科学好きな少年が「あれは古代のもので、たしかに、これと同じものをどこかで見た」といい出した。記憶をたどったジローが、70キロ離れたところの洞仙寺附近で見たというので、洞窟に入った淳と由利子を残して一平たちはジローとともに洞仙寺へ急いだ。寺の和尚(森野五郎)が見せてくれた一枚の絵、それはリトラとゴメスが闘っているものだった。この絵は裏山にある洞窟の中から発見したものだという。これによって例の物体がリトラのサナギであり、作業員の「ゴメスを倒せ!0.jpgみたという怪物はゴメスに間違いないことを知った一平たちは、淳たちのことを心配してすぐに引返した。その頃、洞窟に入った淳と由利子は、ゴメスに遭遇し、襲撃されていた。ゴメスが冬眠状態から生きかえったのだ。このゴメスを倒すには、宿的リトラに頼むほかはない。だが、リトラはさなぎから脱皮する気配も見せない。そうしているうちにも、淳たちの身に危険が迫るのだった―。(「ウルトラQ・あらすじ集」より)

ゴメスを倒せ!1.jpg '66(昭和41)年1月から7月まで27回にわたって放映された「ウルトラQ」の記念すべき第1話で、'66年1月2日放送。制作時期は'65(昭和40)年2月~3月で、制作No.12。放映に際して第1回にもってきたのは、リトラという二大怪獣の激突があり、派手さがあると見たのではないでしょうか。因みに「ウルトラQ」は'64年から'65年の間にシリーズ全話撮影を終えてから放送がスタートしています(これが「ウルトラマン」('66 年7月~'67年4月)になると、怪獣の作製が放送に追いつかなくなり、そのため高視聴率のまま番組終了となった)。

●「ウルトラQ」(全27話)放映ラインアップ
放送回/制作順/脚本No./放送日(1966年)/サブタイトル/登場怪獣・宇宙人/脚本/特技監督/監督/視聴率
1/12/12/1966年1月2日/ゴメスを倒せ!/古代怪獣ゴメス・原始怪鳥リトラ/千束北男/小泉一/円谷一 32.2%
2/7/11/1月9日/五郎とゴロー/巨大猿ゴロー/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 33.4%
3/5/5/1月16日/宇宙からの贈りもの/火星怪獣ナメゴン/金城哲夫/川上景司/円谷一 34.2%
4/1/1/1月23日/マンモスフラワー/巨大植物ジュラン/金城哲夫・梶田興治/川上景司/梶田興治 35.8%
5/14/15/1月30日/ペギラが来た!/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 34.8%
6/11/8/2月6日/育てよ!カメ/大ガメ ガメロン・万蛇怪獣怪竜、乙姫/山田正弘/小泉一/中川晴之助 31.2%
7/27/20/2月13日/SOS富士山/岩石怪獣ゴルゴス/金城哲夫・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.5%
8/10/10/2月20日/甘い蜜の恐怖/モグラ怪獣モングラー/金城哲夫/川上景司/梶田興治 38.5%
9/13/13/2月27日/クモ男爵/大グモ タランチュラ/金城哲夫/小泉一/円谷一 32.4%
10/28/25/3月6日/地底超特急西へ/人工生命Ⅿ1号/山浦弘靖・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.6%
11/16/17/3月13日/バルンガ/風船怪獣バルンガ/虎見邦男/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
12/6/7/3月20日/鳥を見た/古代怪鳥ラルゲユウス/山田正弘/川上景司/中川晴之助 32.6%
13/17/27/3月27日/ガラダマ/隕石怪獣ガラモン/金城哲夫/的場徹/円谷一 35.7%
14/15/16/4月3日/東京氷河期/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
15/20/21/4月10日/カネゴンの繭/コイン怪獣カネゴン・カネゴン(両親)/山田正弘/的場徹/中川晴之助 28.5%
16/26/28/4月17日/ガラモンの逆襲/隕石怪獣ガラモン・宇宙怪人セミ人間/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 31.2%
17/8/9/4月24日/1/8計画/1/8人間/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 31.7%
18/21/24/5月1日/虹の卵/地底怪獣パゴス/山田正弘/有川貞昌/飯島敏宏 28.9%
19/22/23/5月8日/2020年の挑戦/誘拐怪人ケムール人/金城哲夫・千束北男/有川貞昌/飯島敏宏 28.6%
20/24/26/5月15日/海底原人ラゴン/海底原人ラゴン・海底原人ラゴン(子)/山浦弘靖・大伴昌司・野長瀬三摩地/的場徹/野長瀬三摩地 34.0%
21/19/18/5月22日/宇宙指令M774/キール星人・ルパーツ星人・宇宙エイ ボスタング/上原正三/的場徹/満田かずほ 30.9%
22/2/2/5月29日/変身/変身人間 巨人・巨蝶モルフォ蝶/北沢杏子(原案:金城哲夫)/川上景司/梶田興治 26.9%
23/23/14/6月5日/南海の怒り/大ダコ スダール/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 30.1%
24/25/22/6月12日/ゴーガの像/貝獣ゴーガ/上原正三/的場徹/野長瀬三摩地 27.0%
25/3/3/6月19日/悪魔ッ子/悪魔ッ子リリー/北沢杏子(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 31.5%
26/18/19/6月26日/燃えろ栄光/深海生物ピーター/千束北男/的場徹/満田かずほ 30.8%
27/9/4/7月3日/206便消滅す/四次元怪獣トドラ/山浦弘靖・金城哲夫(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 35.2%

「ゴメスを倒せ!}0.jpg 因みに、ゴメスは身長が10メートルという設定で、ゴメスの着ぐるみは「モスラ対ゴジラ」('64年/東宝)で制作されたゴジラを流用、リトラは「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年/東宝)での操演用のラドンを使用し作られたたそうです。

 ゴメスは10メートルとそう大きくはないですが、両手の爪はビルや山を壊す威力があり、尻尾はダムを破壊できる力があるとのこと。古代の肉食性哺乳類で、牛を一度30頭食べる"大食い"で、長い間地中で眠っていたところを地殻変動で覚醒し、奥多摩の工事現場に現れたということのようです。

 リトラは身長5メートル、鳥類と爬虫類の中間的な古代生物で、大トカゲなどを捕食するが人間は食べないという変わった習性であり、大昔にゴメスと対決したことがあるらしく、そのことが金峯山洞仙寺の古文書に残っていたということのようです(古文書といっても、遡る年代の桁数が異なるようにも思うが(笑))。

「ゴメスを倒せ!」少年.jpg 怪獣オタク(?)のジロー少年が大活躍で、仕舞いにはリトアに「シトロネラアシッド(強力溶解液)を使うんだ!早く!」と指示している! 自分の弱点であるシトロネラ酸を喰らったゴメスは暴れ狂ったのち横転して息絶え、リトラの勝利に喜ぶジローだが、その直後、リトラも命を落とし、ゴメスの亡骸に覆いかぶさる―つまり、シトロネラアシッドはリトア自身の命を削る最後の武器でもあったということで、まあ、リトアだけ生き残っても、現代に餌となる大トカゲもいないわけで、このあたりはうまく出来ているという感じでしょうか。

「ゴメスを倒せ!」横.jpg でも、この頃の怪獣はそう大きくはないとは言え、二頭も一度に斃れたら、映画「大怪獣のあとしまつ」('22年/東映・東宝)ではないですが、"あとしまつ"たいへんだろうなあ。

「ウルトラQ(第1話)/ゴメスを倒せ!」●制作年:1965年●監督:円谷一●監修:円谷英二●脚本:千束北男●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:小泉一●出演:佐原健二/西條康彦/桜井浩子/田島義文/富田仲次郎/山本廉/大林千吉/森野五郎/村岡順二/関田裕/山田圭介/勝本圭一郎/(ナレーター)石坂浩二●放送:1966/01/02●放送局:TBS(評価:★★★☆)

【3180】 樋口 真嗣 「シン・ウルトラマン」(2022/05 東宝)
「シン・ウルトラマン」ゴメス.jpg

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ウルトラマンに登場した最強の相手の1つメフィラス星人(単なる怪しいオッさんのようなキャラにも思えるが)。
「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」00.jpg「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」図3.jpg
悪質宇宙人メフィラス星人/誘拐怪人ケムール人(二代目)/凶悪宇宙人ザラブ星人(二代目)/宇宙忍者バルタン星人(三代目)/[下]巨大フジ隊員

「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」01.jpg0巨大フジ隊員.jpg 航空ショーの見学に来たハヤタ・フジ・フジ隊員の弟サトル(川田勝明)。メフィラス星人が突如現れ、人間代表としてフジ・アキコ隊員の弟であるサトルを誘拐。地球を売り渡す承諾の言葉を要求し、あの手この手でサトルを拷問する。しかし、交渉は決裂し、業を煮やしたメフィラスはサトルを閉じ込め、フジ隊員を巨大化させて街中で暴れさせる。さらに、ケムール人、バルタン星人、ザラブ星人を突如都心に出現させ、自らの力を人類に見せつける。サトルと共に円盤に閉じ込められていたハヤタ隊員は事態を見て変身しようとするも、メフィラスに動きを止められてしまう。しかし、メフィラスの宇宙船が爆発し、その衝撃でベーターカプセルのスイッチが入り何とか変身、ウルトラマンはメフィラス星人と激しい戦いを繰り広げるが―。

「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」02.jpg 「ウルトラマン」の第33話で、'66年7月24日放映。監督は鈴木俊継、脚本は金城哲夫。メフィラス星人初登場の巻ですが(後に「ウルトラマンタロウ」(73年)、「ウルトラマンメビウス」('07年)などにも登場)、「悪質宇宙人メフィラス星人」という呼称も凄いけれども、「誘拐怪人ケムール人(二代目)」「凶悪宇宙人ザラブ星人(二代目)」「宇宙忍者バルタン星人(三代目)」を配下に置いているというのがまた凄く、相当の実力者?(知能指数1万以上、ウルトラマンと同等以上の能力を持つと言われ、様々な超能力を発揮し、反重力光線やテレポート能力を有する。科学捜査隊のフジ・アキコ隊員を巨大化させて暴れせた)。

「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」03.jpg ウルトラマンとの戦いでは、両手から放つ光線でウルトラマンの技を防ぎ、肉弾戦でも互角。このようにタフでありながらも知能は高く、暴力を嫌う紳士を自称しており、力づくによる地球制服ではなく、人間の心に挑戦して説得による地球制服を「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」04.jpg図ろうとします。しかし、その交渉相手にサトル少年を選び、「永遠の命を与える」「星の王子にする」などの甘言や、拷問によって「あなたに地球をあげます」と言わせようと画策しているところが可笑しいです(この「地球あげます」が禁じられた言葉ということのようだ)。

結局、その後ウルトラマンと戦いを繰り広げるも、「地球人の心に敗北した」ことを認め、いつか再び地球制服に挑戦することを宣言して去っていきます。ラストは以下のような感じ...。

 「よそう......、宇宙人同士戦ってもしようがない」
  私が欲しいのは地球の心だった。
  だが、私は負けた。子供にすら負けてしまった。
  しかし、私は諦めたわけではない。
  いつか私に地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ。
  必ず来るぞ! はっはっはっ!」

「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」10.jpg 高知能指数の宇宙人と言うより、子どもをたぶらかそうとするどこかの単なる怪しいオッさんのようなキャラにも思えますが、初代ウルトラマンに登場した最強の相手の1つと言え、地球侵略を企みながら、ウルトラマンに倒されることなく生き延びた稀有な存在でした。

DVD ウルトラマン VOL.9
「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」 196702.jpg「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉」●制作年:1967年●監督:鈴木俊継●脚本:金城哲夫●特殊技術:高野宏一●音楽:宮内国郎●時間:30分●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/津沢彰秀/(ゲスト出演)伊藤久哉/川田勝明/中島春雄/岩本弘司/(声)加藤精三(ノンクレジット)/(スーツアクター)古谷敏/扇幸二/中島春雄/渡辺白洋児(ナレーター)石坂浩二●放送局:TBS●放送日:1967/02/26)●放送局:TBS●最初に観た場所(再見):TOHOシネマズ上野(スクリーン5)(22-07-12)(評価:★★★☆)●併映:「シン・ウルトラマン」(樋口真嗣)
【3180】 樋口 真嗣 「シン・ウルトラマン」(2022/05 東宝) メフィラス星人
シン・ウルトラマン_poster04 - コピー.jpg シン・ウルトラマン 02.jpg 

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強烈な印象を残したバルタン星人の初登場回。移民問題を想起させるような内容。

『ウルトラマン』Episode 2.jpg「ウルトラQ第5話ペギラが来た!t.jpg 「ウルトラマン(2話)/侵略者を撃て」b.gif.jpg 「ウルトラマン(2話)/侵略者を撃て」bb.gif.jpg
ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラマン』Episode 2「侵略者を撃て」Blu-ray&DVD」」 宇宙忍者バルタン星人

「ウルトラマン(2話)/侵略者を撃て」8.gif 東京上空に強力な電波を発する飛行物体が出現するが、御殿山の科学センター付近で突如信号が途絶える。科学特捜隊のアラシ隊員(石井伊吉)が現場へ急行すると、そこで発見したのは何かの力によって全く動かなくなった科学センターの職員たちであった。そしてアラシ隊員も、待ち伏せていたバルタン星人が放つ光線によって仮死状態にさせられてしまう。対話を試みた科学特捜隊は、バルタン星人らが宇宙旅行中に母星を失い宇宙船の修理のために立ち寄ったという事実を聞かされる。そして彼らは地球が自分たちの住み良い惑星だと確認し、総移住を強行しようとする。その人口の数なんと"20億3000万"―。

 「ウルトラマン」の第2話で、'66年7月24日放映(制作№は1)。監督は飯島敏宏、脚本は千束北男(飯島敏宏の脚本家としてのペンネーム)。セミに似た顔とザリガニのような大きいハサミ状の両手を持ち、高度な知能を備えた直立二足歩行の異星人―バルタン星人が強烈な印象を残した初登場回。

 バルタン星人が地球を訪れた当初の目的は侵略ではなく、故障した宇宙船の修理のためだったようで、自分たちの故郷であるバルタン星が発狂した科学者の行った核実験で壊滅したため、たまたま宇宙船で旅行中だった20億3,000万人のバルタン星人が故郷を失って難民となり、身体をバクテリア大にまで縮小して放浪の旅を続けて、やがて発見した地球で宇宙船を修理しようと飛来し、現地を気に入ったということのようです。

 因みに、バルタン星人の名前の由来は、「母星が兵器開発競争によって滅んだため、移住先を求めて地球にやってきた」という設定を、ヨーロッパの火薬庫といわれて紛争の絶えなかったバルカン半島に重ねているとされているそうです(地球人が地球の地名から名付けたということか)。

「ウルトラマン(2話)/侵略者を撃て」9 (1).jpg このバルタン星人の来訪はまさに移民問題を想起させるような内容になっていて、「地球に移住することにした」と宣言するバルタン星人に対しハヤタ隊員は「人類の民俗や風習に馴染み、法律を守るなら良いだろう」と答えます。勝手に承諾してしまっていいのかなというのはありますが、ハヤタ隊員=ウルトラマン=神ですからいいのでしょう(笑)。

 しかし、結局バルタン星人は力で人類を制圧しようとしウルトラマンによって撃退されてしまいます。しかしながら、視聴者に残した印象が強烈だったのか、「ウルトラマン(第16話)/科特隊宇宙へ」で二代目バルタン星人が登場、ウルトラマンによって壊滅的な被害を受けたが何とか生き延びた一部のバルタン星人たちが、太陽系に存在すると言われているR惑星に漂着し、地球侵略との機会を窺っていたという設定でした。さらに、「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉へ」で三代目バルタン星人が登場、その後も数多くのウルトラシリーズに登場しています。

「「ウルトラマン(第2話)/侵略者を撃て」.jpg

「ウルトラマン(2話)/侵略者を撃て」f.gif.jpg「ウルトラマン(第2話)/侵略者を撃て」●制作年:1966年●監督:飯島敏宏●脚本:千束北男(飯島敏宏)●特殊技術:的場徹●音楽:宮内国郎●時間:30分●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/津沢彰秀/(ゲスト出演)藤田進/飯田覚三/幸田宗丸/緒方燐作/(スーツアクター)古谷敏/佐藤武志/(ナレーター)石坂浩二●放送局:TBS●放送日:1966/07/24(評価:★★★☆)●放送局:TBS(評価:★★★☆)
藤田進(防衛隊幕僚長)

ウルトラマン 1966.jpg「ウルトラマン」title.jpg桜井浩子.jpg「ウルトラマン」●演出:円谷一ほか●監修:円谷英二●制作:円谷特技プロダクション●脚本:金城哲夫ほか●音楽:宮内国郎●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/平田昭彦/津沢彰秀●放映:1966/07~1967/04(全39回)●放送局:TBS

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ミクロ化して少女(松坂慶子)の体内で怪獣と闘うセブン。「ミクロの決死圏」への挑戦。

31話 悪魔の住む花 t3.jpg
「ウルトラセブン(第31話)/悪魔の住む花」細菌怪獣ダリー 松坂慶子(当時15歳)

31話 悪魔の住む花 t1.jpg31話 悪魔の住む花.jpg 花畑を楽しむ3人の女学生。そのうちの一人香織(松坂慶子)が見たこともないような花びらをじっくり観察しているうちに、気を失ってしまう。香織は特殊な血液型で、同じ血液型のアマギ隊員(古谷敏)が協力。何の病気かは不明で、異常に血小板が減っているとのこと。その夜、看護師は香織が病室にいないのに気づき、みんなで探すことに。アマギが地下室で香織を見つけたかと思うと、殴られて気絶してしまう。地下には輸血用の血液が保管されていて、アマギの首には香織に血を吸われたらしき跡が残されていた。香織の持っていた花びらのようなものは宇宙細菌ダリーで、血液を吸う細菌だった。しかし、現代の医学では香織を治す方法がない。見張っていたにもかかわらず、再び香織は病室から姿を消してしまう―。

 「ウルトラセブン」の第31話で、'68年5月5日放映。監督は鈴木俊継、脚本は上原正三。

 ダンは香織を救うため、ウルトラセブンに変身してミクロ化して香織の体内に入り、細菌怪獣ダリーを倒すことを決意しますが、人間の体内はセブンにとって危険な未知の世界であるものの、香織を救う方法は他になかったということのようです。
  
「ミクロの決死圏」('66年/米)
ミクロの決死圏.jpg このダン=ウルトラセブンの決心は、このシリーズが「ミクロ」の世界に初めて挑戦したことと重なってます。意識したのは本作の2年前に公開されたリチャード・フライシャー監督の「ミクロの決死圏」('66年/米)であり、そのことは、細菌怪獣の「ダリー」という名が、「ミクロの決死圏」が日本で紹介される際「サルバドール・ダリが美術を担当」と記述されることが多かったことに由来しているようです(実際にはサルバドール・ダリはこの映画には関係していない)。円谷プロの「ミクロの決死圏」への挑戦ともとれるかと思います。

松坂慶子 ウルトラセブン1.jpg あと、当時15歳の松坂慶子が香織役で出ているのも見どころかもしれません。古谷敏が演じるアマギ隊員は香織のことを好きになったみたいですが、確かにこの頃の松坂慶子は美少女です。

 ストーリー的にはたいしたことなく、メリーゴーランドに香織とアマギ隊員が仲良く乗っているシーンで、一体誰がメリーゴーランドを動かしたのか分からないし、細菌怪獣の「ダリー」も、細菌怪獣と呼ぶにしては完全にダニのような節足動物の姿をしているし(「ダニー」の間違いかと思った(笑))、といった突っ込みどころは多いのですが、「ミクロの決死圏」に挑戦していることを買い、さらに松坂慶子の貴重映像?との合わせ技で一応○としました。

「ウルトラセブン(第31話)/悪魔の住む花」●制作年:1968年●監督:鈴木俊継●脚本:上原正三●音楽:冬木透●特殊技術:的場徹●時間:30分●出演:森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中山昭二/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/松坂慶子/伊藤実●放送局:TBS●放送日:1968/05/05(評価:★★★☆)

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米ソ冷戦を色濃く反映させたエピソード。「ウルトラQ/ペギラが来た!」にも出ていた田村奈巳。
26話「超兵器R1号」t.jpg 26話「超兵器R1号」t2.jpg 26話「超兵器R1号」last.jpg
「ウルトラセブン(第26話)/超兵器R1号」再生怪獣ギエロン星獣 森次浩司/佐原健二/田村奈巳

26話「超兵器R1号」10.jpg 地球防衛軍はタケナカ参謀(佐原健二)のもと瀬川博士(向井淳一郎)と前野律子博士(田村奈巳)で新型水爆8000個分の威力を持つ惑星攻撃用超兵器R1号を完成させる。ダン(森次浩司)は兵器の開発には反対で、実験の中止を希望している。兵器をテストするために、前野博士は生物がいないと見られるギエロン星を選ぶ。実験は成功し、ギエロン星は爆破されてしまう。悲しい面持ちで見ていたダンは宇宙パトロールへ出発する。その頃、基地に宇宙観測艇から、ギエロン星から攻撃を受けたと連絡が入る。ギエロン星の怪物が地球に向かっていて、ホーク1号に乗ったダンとフルハシ(石井伊吉)が現場へ。基地では博士達が話し合っていて、ギエロン星には生物がいて、R1号の攻撃で変異したらしいと言っている。ホーク3号が地球に降り立ったギエロン星人にミサイルを発射し、爆死したかのように見えたのだが―。

 「ウルトラセブン」の第26話で、'68年3月31日放映。監督は鈴木俊継、脚本は若槻文三。

 地球人が打ち上げた超兵器を宇宙で実験し、それは何事もなく成功したように思えたプロジェクトには大きな欠陥があり、その星には生物が生息しており、結果的に復讐の使者「ギエロン星獣」が地球に飛来することになったということです。

 これは当時の米ソ冷戦を色濃く反映しているのは間違いなく、超兵器R1号は核爆弾の象徴でしょう。金星に似た生物の住めないような星でR1号の事件をしたら、そこには星人がいたという(ギエロン星人がギエロン星獣になったということか)、ちょうど核実験をやったらそこに漁船がいたという、1946年のアメリカによる戦後の最初の核実験(初回は原子爆弾実験)と「第五福竜丸」の悲劇をも想起させるものとなっています。

26話「超兵器R1号」6.jpg ウルトラホーク3号に搭載した新型ミサイルによる攻撃でギエロン星獣の体はバラバラになり、全ては終わったかと思いきや、夜になるとバラバラになっていた体が集結してギエロン星獣は復活(だから「再生怪獣」)、放射能をまき散らしながらより強靭になっていて、ウルトラホーク1号、3号からのミサイル攻撃も効果は無く、星獣はウルトラセブンセブンのアイスラッガーさえも跳ね返してしまいます(それでも、セブンは星獣の片翼をもぎとり、手に持ったアイスラッガーで喉元を斬ってなんとか星獣を倒す。結構、原始的)。

 ギエロン星獣の最期も含め、作品全体にどんよりとした空気が流れる作品ですが、実験を積極的に進めていた前野律子博士らが最後自らの考えを改めることが救いでしょうか。核軍縮へのメッセージと言えますが、子供向け番組でそうした平和に向けたメッセージをかなり強く打ち出している点が特徴的であり、それはシリーズ全体についても言えることかもしれません。

26話「超兵器R1号」田村.jpg5話)/ペギラが来た!図3.jpg 前野律子博士を演じた田村奈巳(1942年生まれ)は、「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」('66年)で南極基地越冬隊員・久原羊子役、「ウルトラマン(第35話)怪獣墓場」('67年)で月ロケットセンター所員役でも出ており、近年は露出が減りましたが、岡本喜八監督の「助太刀屋助六」('01年/東宝)に1カット出ていました。

「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」田村奈巳(南極基地越冬隊員・久原羊子)
「ぺギラが来た」田村奈巳.jpg 「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」('66年1月30日放送)は―
 南極観測隊を乗せた観測船が、夏季というのに吹雪におそわれ、外気氷点下100度の寒冷に見舞われて立往生する。先に派遣されて行方不明になった野村隊員のメモによると、同じ様な寒波におそわれた直後何かを見つけて外へ出たらしく「またきたペギラ」と文章を結んでいた。ペギラとは何か? 万城目淳(佐原健二)は野村のメモをたよりに、ペギラを調査するために、みんなが寝静まった時に出かけようとした。だが、女性隊員、久原羊子(田村奈巳)がその時同じように忍んで来た。彼女は野村隊員の許婚者で、彼の消息を調べたくて観測隊に同行したのだ。次の瞬間、突然、強風と「ぺギラが来た」3.jpgともに雪上車が空中に舞い上がり、無気味なうなり声が辺りにひびきわたった。そこへ、表へ出でいた伊東隊員(伊吹徹)が、氷づけになったように転がり込んで来て、「怪物を見た」「クレパスで野村隊員をみつけた」と虚ろに叫んだ。淳はすぐにそのクレパスに向かうと、そこへペンギン状の化物が白い息をはきながら現われた―。

「ぺギラが来た」ct.jpg 個人的感想は、まず単なる一パイロットに過ぎない万城目がなぜ行方不明の南極観測隊員の捜索をしなくてはいけないのか、その辺りが引っ掛かったのと、その後のストーリー展開ものったりしていて、南極のセットだけで費用をかけすたのか、未知の生物に襲撃されて南極基地がパニックになるということにもならず、イマイチでした(カラー版で今観ると、田村奈巳の美貌が数少ない見どころの1つか)。ただし、このペギラは、同じウルトラQの第14話「東京氷河期」で再登場し、こちらの方はまずまずでした。

「超兵器r1号」.jpg0超兵器R1号.jpg「ウルトラセブン(第26話)/超兵器R1号」●制作年:1968年●監督:鈴木俊継●脚本:金城哲夫●音楽:冬木透●特殊技術:的場徹●時間:30分●出演:森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中山昭二/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/佐原健二/田村奈巳/向井淳一郎●放送局:TBS●放送日:1968/03/31(評価:★★★☆)

  
「ウルトラQ(第5話)/ペギラが来た!」●制作年:1965年●監督:野長瀬三摩地●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:山田正「ぺギラが来た」mt.jpg「ぺギラが来た」ものくろ.jpg弘●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/田村奈己(田村奈巳)/松本克平/森山周一郎/伊吹徹/黒木順/石島房太郎/岡豊/今井和雄/石坂浩二(ナレーター)●放送日:1966/01/30●放送局:TBS(評価:★★★)
「ペギラが来た」21.jpg  

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政治的メッセージがあるとも取れるし特に無いとも取れる。それくらいがいい。

ウルトラセブン dvd11.jpg ノンマルトの使者 t.jpg ウルトラセブン 42 ノンマルトの使者 01.jpg ウルトラセブン 42 ノンマルトの使者 02「.jpg
DVD ウルトラセブン Vol.11」(「第42話/ノンマルトの使者」所収)/地球原人ノンマルト/蛸怪獣ガイロス
菱見百合子(友里アンヌ)
ノンマルトの使者002.jpgウルトラセブン 42 ノンマルトの使者 06.jpg 海岸で休んでいたアンヌ(菱見百合子)の元へ男の子がやって来て、シーホース号の海底開発を今すぐ止めさせないと、大変なことになると予告する。ダン(森次浩司)がアンヌのところへ戻って来ると、沖に見えるシーホース号が炎を上げて燃え始めた。連絡を受けた基地からハイドランジャーが発進して探索すると、海底基地は爆破され近くで潜水艦のようなものを目撃する。アンヌは男の子の顔を覚えていたので、近くの小学校で男の子を探すが、全員違っていた。地球防衛軍ではマナベ参謀(宮川洋一)が子供の声でかかってきた電話を録音してあり、みんなに聞かせ始めると、海底はノンマルトのものだと言っていた。ダンはノンマルトはもともと地球人のことだが、人間とは別の生き物がいるのかと、ノンマルトの正体を考える.。アンヌは事件を予告してきた男の子が海辺の岩の上に座っているのを見つける―。

 「ウルトラセブン」の第42話で、'68年7月21日放映。監督は満田穧(かずほ)、脚本は金城哲夫。

ノンマルトの使者01.jpgノンマルトの使者00.jpg ダン(ウルトラセブン)の故郷M78星雲では地球人のことをノンマルトと呼んでいるが、少年の言うノンマルトとはいったい何者なのか? アンヌが少年を見つけ出し、ノンマルトとは何なのかということを尋ねると、それに対する少年の答は「本当の地球人さ ずっとずっと大昔 人間より前に地球に住んでいたんだ でも人間から海に追いやられてしまったのさ 人間は今では自分たちが地球人だと思ってるけど本当は侵略者なんだ」という驚くべきものだった―。

 う~ん。人類の誕生以前に別の地球人(海底人)が居たという凄いSF仕立て。しかも、その海底人の存在を伝えた少年は、実は2年前にこの海で亡くなっていたというオチなので、「ウルトラセブン」の後番組の「怪奇大作戦」('68年~'69年)の雰囲気も漂っている印象を受けます。

ノンマルトの使者 アンヌ.jpgノンマルトの使者d.jpgノンマルトの使者r.jpg 一方で、冒頭、ダンとアンヌは海水浴に来ていて、アンヌは首まで砂に埋まり、ダンは海で魚を仕留めてくるという、絵にかいたようなレジャーモード(アンヌの水着姿も見ることができるし)。ラストでも二人して波打ち際を走り、日活青春映画のワンシーンみたいだったりします。

 先住民vs.侵略者である地球人という構図とも解釈でき、沖縄出身の金城哲夫の政治的メッセージが込められているとの見方もあるようですが、アンヌ隊員役のひし美ゆり子氏が「先住民vs.侵略者である地球人という構図は後付けではないか」と言っているし、満田穧(かずほ)監督も「沖縄人としての思いを込めて書いたのではないか?」という質問に対し、「全くそうは思わない」と答えています。

 個人的には、そうとも取れるし、と言ってそう取らなければならないというほどの押しつけがましさも無いという印象で、そういうところがこの作品の良さなのかもしれません(結構、このシリーズ、そういうのが多かったりする)。

ノンマルトの使者99.jpgノンマルトの使者001.jpg「ウルトラセブン(第42話)/ノンマルトの使者」●制作年:1968年●監督:満田穧(かずほ)●脚本:金城哲夫●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中山昭二/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/二瓶正也/宮川洋一/天草四郎●放送局:TBS●放送日:1968/07/21(評価:★★★☆)

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名前は「モロボシ・ダンとでもしておきましょう」(笑)。今観直してみても熱狂が甦る。

ウルトラセブン vol1.jpgウルトラセブン 姿なき挑戦者 2.jpg ウルトラセブン 第1話 19670.jpg
DVD ウルトラセブン Vol.1」(「第1話/姿なき挑戦者」所収)宇宙狩人(ハンター)クール星人/カプセル怪獣ウインダム
ウルトラセブン 姿なき挑戦者t.jpgウルトラセブン 姿なき挑戦者 d.jpg 頻繁に発生する人間蒸発事件を宇宙人の仕業と断定した地球防衛軍は、精鋭チーム"ウルトラ警備隊"に出動を要請する。早速、捜査を開始したフルハシ隊員(石井伊吉(毒蝮三太夫)とソガ隊員(阿知波信介)の前に突如現れ、警告を発する謎の風来坊。彼はモロボシ・ダン(森次浩司)と名乗り、宇宙人を迎撃するために有効な作戦を提案した。果たして、彼の正体は?

 '67(昭和42)年10 月から'68(昭和43)年9月まで、TBS系列で毎週日曜19:00 - 19:30に全49話が放送された「ウルトラセブン」の内の第1話であり、'67年10月1日放映。監督は円谷一、脚本は金城哲夫です。

ウルトラセブン 姿なき挑戦者6.jpg 途中、「地球防衛軍」の秘密基地が紹介され、キリヤマ隊長(中山昭二)率いる「ウルトラ警備隊」が、ヤマオカ長官(藤田進)、タケナカ参謀(佐原健二)、ヤナガワ参謀(平田昭彦)らの「地球防衛軍」の指示のもと出動する部隊であることが分かるほか、キリヤマ隊長、ソガ隊員、フルハシ隊員、アマギ隊員(古谷敏)、友里アンヌ隊員(菱見百合子)の年齢、隊歴、出身地、特技といったプロフィール紹介があります。

 そんな彼らの前に突然現れたどこの誰か分からない風来坊、隊員に名前を訊かれて「そう、モロボシ・ダンとでもしておきましょう」とまるで椿三十郎みたいなやり取りをした彼でしたが、人間蒸発事件を起こしている「クール星人」への対応についてアンヌ隊員が「ねぇ、あなた何か名案はないの?」と訊かれ(プロが素人に教えを乞うかなというのはあるが、)円盤に特殊噴霧器で色をつけるという提案が採用されて、その貢献から、ラストではヤマオカ長官に改めてウルトラ警備隊の新メンバーということで紹介されています(身上調査はやったのか?)。

「ウルトラセブン(第1話)/姿なき挑戦者」図3.jpg この回で早速、ウルトラセブン=モロボシ・ダンが所有する、小さなカプセルに入った怪獣(カプセル怪獣)の一種「ウィンダム」が登場。ウルトラセブンがクール星人と闘う前に、彼らの宇宙船と前哨戦のような闘いを繰り広げ、やられそうになるとモロボシ・ダンにカプセルに呼び戻されますが、これが「ポケットモンスター」の元ネタになったとされているようです。

「ウルトラセブン(第1話)/姿なき挑戦者」図.jpg そして、この回における敵の「クール星人」は、資料によると身長2メートル、体重75キログラムと小さいのですが、肥大化した脳と退化した四肢が特徴的な彼らは進化の最終形態にあり、知能指数は何と5万とのこと(「ウルトラマン(第33話)/禁じられた言葉へ」に登場する「メフィラス星人」が知能指数1万かそれ以上とされているから、それよりさらに上で、ウルトラシリーズ最高だったということになる)。進化しきった代償に無精子症及び不妊症となり、精力旺盛な地球人(笑)を研究材料に選び、地球にやってきた彼らは各地で人間を捕らえ標本にし研究してきたとのこ「ウルトラセブン(第1話)/姿なき挑戦者」t.jpgと。そして、捕らえた地球人を人質に地球防衛軍に全面降伏を迫るも拒否され、直接攻撃に移行、目に見えない宇「ウルトラセブン(第1話)/姿なき挑戦者.jpg宙船からの攻撃で京浜工業地帯を壊滅状態にしてしまうという流れ。でも最後は、宇宙船に入り込まれたウルトラセブンに破れ死亡、宇宙船も爆破されます(このあたりは宇宙での戦い)。

 因みに、この回では隊員たちはウルトラセブンのことを特に名前では呼ばず、第2話で「ワイアール星人」と戦うウルトラセブンにアンヌ隊員が投げかけた「ウルトラセブン、がんばって!」という言葉が初出だそうです。呼称の由来は、「ウルトラ警備隊」7番目の戦士と認められたからとのことで(6番目はモロボシ・ダン)、本編ではカットされたが、シナリオにそれとわかるシーンがあったそうな。

 でも、「ウルトラマン」('66年7月~'67年4月)が円谷特技プロ側で制作が次第に追いつかなくなり、やむなく放送打ち切りを余儀なくされるといった事態に陥った中で、間に低予算番組「キャプテンウルトラ」('67年4月~9月)(これはこれで国産初の本格スペースオペラ作品であるのだが)を挟んで、準備万端で臨んだだけに、まずまずのスタートが切れたのではないでしょうか。観直してみても、子供時代の熱狂が甦ってきます。

●「ウルトラセブン」(全49話)放映ラインアップ
NO./日付/タイトル/登場怪獣・宇宙人等/脚本/監督/特殊技術・特撮監督
1/1967/10/1/姿なき挑戦者/クール星人・ウインダム/金城哲夫/円谷一/高野宏一
2/10/8/緑の恐怖/ワイアール星人/金城哲夫/野長瀬三摩地/高野宏一
3/10/15/湖の秘密/ピット星人・エレキングミクラス/金城哲夫/野長瀬三摩地/高野宏一
4/10/22/マックス号応答せよ/ゴドラ星人/金城哲夫・山田正弘/満田禾斉/有川貞昌
5/10/29/消された時間/ビラ星人/管野昭彦/円谷一/高野宏一
6/11/5/ダークゾーン/ペガッサ星人/若槻文三/満田禾斉/有川貞昌
7/11/12/宇宙囚人303/キュラソ星人/金城哲夫/鈴木俊継/的場徹
8/11/19/狙われた街/メトロン星人/金城哲夫/実相寺昭雄/大木淳
9/11/26/アンドロイド0指令/チブル星人・アンドロイド/上原正三/満田禾斉/的場徹
10/12/3/怪しい隣人/イカルス星人/若槻文三/鈴木俊継/的場徹
11/12/10/魔の山へ飛べ/ワイルド星人・ナース/金城哲夫/満田禾斉/的場徹
12/12/17/遊星より愛をこめて/スペル星人/佐々木守/実相寺昭雄/大木淳
13/12/24/V3から来た男/アイロス星人/市川森一/鈴木俊継/高野宏一
14/1968/1/7/ウルトラ警備隊西へ 前編/ペダン星人・キングジョー/金城哲夫/満田禾斉/高野宏一
15/1/14/ウルトラ警備隊西へ 後編/ペダン星人・キングジョー/金城哲夫/満田禾斉/高野宏一
16/1/21/闇に光る目/アンノン/藤川桂介/鈴木俊継/高野宏一
17/1/28/地底GO!GO!GO!/ユートム/上原正三/円谷一/大木淳
18/2/4/空間X脱出/ベル星人・グモンガ/金城哲夫/円谷一/大木淳
19/2/11/プロジェクト・ブルー/バド星人/南川竜/野長瀬三摩地/的場徹
20/2/18/地震源Xを倒せ/シャプレー星人・ギラドラス/若槻文三/野長瀬三摩地/的場徹
21/2/25/海底基地を追え/アイアンロックス/赤井鬼介/鈴木俊継/大木淳
22/3/3/人間牧場/ブラコ星人/山浦弘靖/鈴木俊継/大木淳
23/3/10/明日を捜せ/シャドー星人・ガブラ/南川竜・上原正三/野長瀬三摩地/的場徹
24/3/17/北へ還れ!/カナン星人・ウインダム/市川森一/満田禾斉/高野宏一
25/3/24/零下140度の対決/ポール星人・ガンダー・ミクラス/金城哲夫/満田禾斉/高野宏一
26/3/31/超兵器R1号/ギエロン星獣/若槻文三/鈴木俊継/的場徹
27/4/7/サイボーグ作戦/ボーグ星人/藤川桂介/鈴木俊継/的場徹
28/4/14/700キロを突っ走れ!/キル星人・恐竜戦車/上原正三/満田禾斉/高野宏一
29/4/21/ひとりぼっちの地球人/プロテ星人/市川森一/満田禾斉/高野宏一
30/4/28/栄光は誰のために/プラチク星人/藤川桂介/鈴木俊継/的場徹
31/5/5/悪魔の住む花/ダリー/上原正三/鈴木俊継/的場徹
32/5/12/必殺の0.1秒/ペガ星人/山浦弘靖/野長瀬三摩地/高野宏一
33/5/19/散歩する惑星/リッガー・アギラ/山田正弘・上原正三/野長瀬三摩地/高野宏一
34/5/26/侵略する死者たち/シャドウマン/上原正三/円谷一/高野宏一
35/6/2/蒸発都市/ダンカン/金城哲夫/円谷一/高野宏一
36/6/9/月世界の戦慄/ザンパ星人・ペテロ/市川森一/鈴木俊継/高野宏一
37/6/16/盗まれたウルトラ・アイ/マゼラン星人/市川森一/鈴木俊継/高野宏一
38/6/23/勇気ある戦い/クレージーゴン/佐々木守/飯島敏宏/高野宏一
39/6/30/セブン暗殺計画[前編]/ガッツ星人・アロン・ウインダム/藤川桂介/飯島敏宏/高野宏一
40/7/7/セブン暗殺計画[後編]/ガッツ星人/藤川桂介/飯島敏宏/高野宏一
41/7/14/水中からの挑戦/テペト星人・テペト/若槻文三/満田禾斉/高野宏一
42/7/21/ノンマルトの使者/ノンマルト・ガイロス/金城哲夫/満田禾斉/高野宏一
43/7/28/第4惑星の悪夢/第4惑星人/川崎高・上原正三/実相寺昭雄/高野宏一
44/8/4/円盤が来た/ペロリンガ星人/川崎高・上原正三/実相寺昭雄/高野宏一
45/8/11/恐怖の超猿人/ゴーロン星人・ゴリー/上原正三・市川森一/鈴木俊継/大木淳
46/8/18/ダン対セブンの決闘/サロメ星人・ニセ・ウルトラセブン・アギラ/上原正三・市川森一/鈴木俊継/大木淳
47/8/25/あなたはだあれ?/フック星人/上原正三/安藤達己/的場徹
48/9/1/史上最大の侵略 前編/ゴース星人・バンドン/金城哲夫/満田禾斉/高野宏一
49/9/8/史上最大の侵略 後編/ゴース星人・バンドン/金城哲夫/満田禾斉/高野宏一


ウルトラセブン 姿なき挑戦者 d2.jpg「ウルトラセブン(第1話)/姿なき挑戦者」●制作年:1967年●監督:円谷一●脚本:金城哲夫●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:中山昭二/森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/佐原健二/宮川洋一/藤田進/平田昭彦/佐原健二●放送局:TBS●放送日:1967/10/01(評価:★★★☆)

ダンとアンヌとウルトラセブン: ~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』(森次晃嗣(ダン)とひし美ゆり子(アンヌ)はじめての対談集)
森次晃嗣ひし美ゆり子対談.jpg
      
菱見百合子.jpgウルトラセブン2.jpgウルトラセブン 1967.jpg「ウルトラセブン」●演出:円谷一ほか●監修:円谷英二●制作:円谷特技プロダクション●脚本:金城哲夫ほか●音楽:冬木透●出演:中山昭二/森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/藤田進/佐原健二/宮川洋一/平田昭彦●放映:1967/10~1968/09(全49回)●放送局:TBS
ウルトラ警備隊:アマギ隊員(古谷敏)/モロボシ・ダン隊員(森次浩司)/友里アンヌ隊員(菱見百合子)/ソガ隊員(阿知波信介)/フルハシ隊員(石井伊吉)/キリヤマ隊長(中山昭二)
ウルトラ警備隊0.jpgウルトラセブン04.jpg地球防衛軍:タケナカ参謀(佐原健二)/ヤマオカ長官(藤田進)/ヤナガワ参謀(平田昭彦

   
  

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「ウルトラマン」だけでなくウルトラシリーズ全体での最高視聴率(42.8%)を記録。

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【Amazon.co.jp限定】ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラマン』Episode 37「小さな英雄」 Blu-ray&DVD(L判ビジュアルシート4枚セット付)」科学特捜隊 & 友好珍獣ピグモン(再生)/ウルトラマン VS.酋長怪獣ジェロニモン

/小さな英雄10.jpg ある日、銀座のデパートにピグモンが出現し、科学特捜隊に保護される。ピグモンの言葉を解析したところ、怪獣の酋長ジェロニモンが60匹以上の怪獣を復活させ、科学特捜隊とウルトラマンに復讐するという。直ちに迎撃に出動する科学特捜隊だが、イデ隊員(二瓶正也)の様子がおかしい―。

 '66(昭和41)年7月から'67(昭和42)年4月まで、TBS系列で毎週日曜19:00 - 19:30に全39話が放送された「ウルトラマン」の内のこの「小さな英雄」は第37話で、'67年3月18日放映。監督は満田穧(かずほ)、脚本は金城哲夫。

 この第37話「小さな英雄」の視聴率は42.8%で、後の「ウルトラセブン」の最高視聴率を記録した第2話「緑の恐怖」の33.8%を大きく上回り、先行した「ウルトラQ」で最高視聴率を記録した第8話「甘い蜜の恐怖」。の38.5%をも上回っています。因みに、平均視聴率も「ウルトラマン」がトップで36.8%、「ウルトラQ」が 32.4%、「ウルトラセブン」が26.5%であり、今思えばどれもスゴイ数字ですが、その中でもこの頃がピークだったかもしれません。

「ウルトラマン(第37話)/小さな英雄」1tou.jpg 酋長怪獣ジェロニモンは、ジェロニモがモチーフであることは明らか(今の時代だと検閲でアウトか)。ただし、対白人抵抗戦「アパッチ戦争」に身を投じた実際の戦士ジェロニモ(1829-1909)は、本作のように部族の酋長と誤解されている例も多いですが、実際は酋長でも部族の「指導者」でもなく、シャーマンだったそうです。しかしながら、怪獣ジェロニモンに死んだ怪獣を甦らせる能力を付与していることから、その辺りは事前に調べて、シャーマンとしての呪術能力を持たせたのかもしれません。

「ウルトラマン(第37話)/小さな英雄」2tou.jpg お陰で、科学特捜隊がピグモンに案内された場所に行ってみれば(怪獣に案内してもらっているというのが可笑しいが、それ以前に、ピグモンの言葉を解するためにイルカの言葉を研究している博士に協力してもらったというのも可笑しい)、そこでは第25話「怪彗星ツイフォン」の彗星怪獣ドラコと第22話「地上破壊工作」の地底怪獣テレスドンが"再生"されていて(当初の予定はゴモラとレッドキングを"再生"させる予定だだったが、着ぐるみの都合でドラコとテレスドンという微妙な取り合わせ(笑)になったようだ)、ピグモンが現れたのも"再生"の結果でしたが、ドラコとテレスドンの二頭が暴れた後に、"元締め"のジェロニモンが登場すします(何と鳥の羽根が武器!)。

 科学特捜隊のイデ隊員(二瓶正也)は、前回取り上げた第23話「故郷は地球」で元は人間だった怪獣ジャミラと闘うことに悩んでいましたが、今回は、自分たちがどれだけ怪獣と闘っても、最後はウルトラマンが敵を倒すのだと、自分の仕事について悩んでいます。そんな彼の研究室にコーヒーを差し入れて励ますのが、前の時はフジ・アキ子隊員(桜井浩子)でしたが、今度はハヤタ隊員(黒部進)。実はそのハヤタ隊員がウルトラマンなのだけれどね。

 このイデ隊員が悩む回は人気が高いようで、CS放送の「ファミリー劇場」が樋口真嗣監督の「シン・ウルトラマン」('22年/東宝)の公開に併せてテレビ版を放映するため、「ファンが選ぶ10エピソード」を募ったところ、アンケートで第1位となったのが第23話「故郷は地球」で、第2位がこの第37話「小さな英雄」でした。怪獣が複数"復活"登場するというのもありますが、ジャミラが身を挺して闘うのが健気で、死ぬところが切ないのが、上位に来る要因でしょう。

「ウルトラマン(/小さな英雄」.png 最高視聴率を記録したのは、春休み中の放送だったとかも関係した?(放送曜日は日曜なのだが)。哀切感と懐かしさ、先に述べたようなイルカ語などの突っ込みどころと、いろいろな意味で、ランキング上位にくるのは分かる気がします。

「ウルトラマン(第37話)/小さな英雄」●制作年:1967年●監督:満田穧(かずほ)●脚本:金城哲夫●特殊技術:有川貞昌●音楽:宮内国郎●時間:30分●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/(ゲスト出演)浅野進治郎/(スーツアクター)古谷敏/荒垣輝雄/清野幸弘/松島映一/小宅雅裕/(ナレーター)浦野光●放送局:TBS●放送日:1967/03/26(評価:★★★☆)●放送局:TBS(評価:★★★☆)

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ファンの間で"神回"と呼ばれる回。イデ隊員(故・二瓶正也)に焦点が当てられていた。

「故郷は地球」dvd1.jpg.gif.jpg 「故郷は地球」03.jpg 棲星怪獣ジャミラ

「故郷は地球」01.jpg.gif.jpg 国際平和会議に参加予定の各国の代表者が乗った飛行機や船ばかりを狙った、謎の爆破が頻発する。科学特捜隊はこの問題を解決するべく、パリ本部のアラン隊員(ピエール・ピロッツ)と一緒に捜査に乗り出す。そして、飛行機「故郷は地球」02.jpgや船を破壊をしていたのは「見えない円盤」であることがわかる。科学特捜隊はイデ隊員(二瓶正也)が開発したスペクトルα線、β線、γ線でこれを破壊。見えない円盤の中から出てきた怪獣を見て、アラン隊員はそ「故郷は地球」ジャミラ.jpgの正体を確信する。この怪獣はかつて有人衛星に乗っていた宇宙飛行士のジャミラ。つまり元人間だった。米ソの宇宙開発競争が盛んだった時代、ジャミラの乗った有人衛星は遭難して惑星に不時着し、その失敗を隠すために祖国はジャミラを見捨てた。過酷な宇宙環境に耐えるうちに怪獣になったジャミラ。その恨みを晴らすために、ジャミラは各国の代表者が集まる国際平和会議を狙ったのだった。祖国に見捨てられて怪獣になってしまったという悲しい過去を持つ怪獣ジャミラ。国際平和会議の会場に向けて周りを焼き尽くしながら進むジャミラに、ウルトラマンが立ち向かう―。
 
 '66(昭和41)年7月から'67(昭和42)年4月まで、TBS系列で毎週日曜19:00 - 19:30に全39話が放送された「ウルトラマン」の内のこの「故郷は地球」は第23話で、'66年12月18日放映。監督は実相寺昭雄、脚本は佐々木守。

 樋口真嗣監督の「シン・ウルトラマン」(22年/東宝)が今月[5月]公開されたところですが、CS放送の「ファミリー劇場」がそれに併せてテレビ版を放映するため、「ファンが選ぶ10エピソード」を募ったところ、アンケートで第1位となったのがこのエピソードでした(実相寺昭雄監督と脚本・佐々木守。このタッグの作品はほかにも第34話「空の贈り物」が第6位に、第35話「怪獣墓場」が第7位にランクインしている)。
 第1位 第23話「故郷は地球」
 第2位 第37話「小さな英雄」
 第3位 第2話「侵略者を撃て」
 第4位 第33話「禁じられた言葉」
 第5位 第39話「さらばウルトラマン」
 第6位 第34話「空の贈り物」
 第7位 第35話「怪獣墓場」
 第8位 第18話「遊星から来た兄弟」
 第9位 第28話「人間標本5・6」
 第10位 第1話「ウルトラ作戦第一号」

 このエピソードは、これまで行われたアンケートでも常に上位にくる所謂"神回"と呼ばれるもので、やはりジャミラが元は人間だったといことが観ている側のシンパシーを掻き立てるのでしょう。実際、かつてソ連などは、成功した宇宙飛行だけ公表し、失敗したものは隠ぺいしたのではないかとの噂もあったから、その辺りの"疑い"がモチーフになっているのは間違いないと考えられます(テレシコワなどソ連の宇宙飛行士の写真がカットバック的に挿入されている)。

「故郷は地球」井出・アキコ.jpg このエピソードの中「故郷は地球」二瓶.jpg.gif.jpgでは、昨年['21年]亡くなった二瓶正也(1940-2021/80歳没)が演じるイデ隊員に焦点が当てられていますが(武器開発担当でありながら、ジャミラが元人間と知って、ジャミラを倒すことを拒否する。これを咎めるのが石井伊吉(毒蝮三太夫)のアラシ隊員)、観直してみると、イデ隊員のそうした苦悩が描かれる一方で、桜井浩子演じるアキ子隊員に叱られたじたじになったり、逆に、兵器の開発中にアキ子隊員にコーヒーを差し入れて貰いちょっといい雰囲気になったする場面もあったのだなあと改めて思いました(イデ隊員、研究室ではスーツ姿だった)。

「故郷は地球」22避難.jpg.gif 結局、姿を現したジャミラは農村を焼き払って人々は逃げまくるわけですが、「ウルトラマン」でこうしたゴジラ映画のような住民の避難シーンが大々的に描かれるには珍しいとのこと(みんな泥棒みたいな唐草模様の風呂敷を背負っているのが可笑しい。柱時計を抱えている人も)。ジャミラがソ連に現れないで、どうして日本に現れたかというと、日本で国際平和会議が開かれようとしてたからということで説明はつくか。

「故郷は地球」3競技場難.jpg.gif.jpg 国際平和会議の会場として国代々木競技場第一体育館前でロケしていて、ジャミラが出てくるシーンではそれをミニチュアで再現しているのは立派。この頃って、前の東京オリンピックが終わってまだ2年しか経っていなかったのだなあ。国際的なものを象徴するとしたら、やはり東京オリンピック関係の施設ということになったのでしょう。

「故郷は地球」4ジャミラjpg.jpg 突っ込みどころも多いですが、やはりウルトラマンのスーツアクターの古谷敏も演じていて切なさを感じたというジャミラの最期の哀れさがいちばん効いているでしょうか(水に弱いとは!)。樋口真嗣監督も、「人類を守るとうことが命を奪うということになるという問題にちゃんと向き合っている」と評価しています。
      
「故郷は地球」5.jpg「ウルトラマン(第23話)/「故郷は地球」●制作年:1966年●監督:実相寺昭雄●脚本:佐々木守●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/(ゲスト出演)ピエール・ピロッ)/(スーツアクター)古谷敏/(ナレーター)浦野光●放送局:TBS●放送日:1968/09/08(評価:★★★☆)●放送局:TBS●放送日:1966/12/10(評価:★★★☆)

ウルトラマン 1966.jpg「ウルトラマン」title.jpg桜井浩子.jpg「ウルトラマン」●演出:円谷一ほか●監修:円谷英二●制作:円谷特技プロダクション●脚本:金城哲夫ほか●音楽:宮内国郎●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/平田昭彦/津沢彰秀●放映:1966/07~1967/04(全39回)●放送局:TBS

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どの回も楽しく突っ込めるが、この回は"偽黒星"の黒子(ホクロ)か。

まぼろし探偵 第4巻 [DVD]5_.jpgまぼろし探偵 DVD-BOX2.jpgまぼろし探偵 Blu-ray.jpg『朝を呼ぶ口笛』.jpg
まぼろし探偵 第4巻 [DVD]」['07年]「まぼろし探偵 DVD-BOX」['09年]「まぼろし探偵 Blu-ray 【甦るヒーローライブラリー 第39集】」['21年]「<あの頃映画> 朝を呼ぶ口笛 [DVD]
まぼろし探偵 t.jpgまぼろし探偵 1.jpg 日の丸新聞社の記者・黒星十郎(花咲一平)はある日自分のことを「兄貴」と呼ぶやくざ風の青年と出会う。その事を聞いた当の"兄貴"である黒猫五郎(花咲一平、二役)はまぼろし探偵 2.jpg黒星本人に成り済まして彼の給料を前借りしたりする。図に乗った"偽黒星"は、吉野博士(カワベキミオ)からロケットの書類を奪って外国に売るという計画を立てる。しかし、その頃には、少年記者・富士進(加藤弘)に偽物の存在が見抜かれていた。ままぼろし探偵 進君.jpgまぼろし探偵 3.jpgまぼろし探偵 吉永.jpgぼろし探偵(加藤弘、二役)は本物の黒星に確実なアリバイを作ってやるため、富士警部(大平透)に黒星を明日まで警視庁で預かって欲しいと要請する。富士警部は、大塚刑事(鈴木志郎)に命じて、黒星に逮捕状を出す。ロケットの書類を奪い取った偽黒星は、吉野博士を殴って気絶させ、一緒にいた娘の吉野さくら(吉永小百合)を誘拐するが―。

「まぼろし探偵」桑田次郎 昭和33年9月 少年画報
まぼろし探偵.jpgまぼろし探偵 4.jpg 「まぼろし探偵」は1959(昭和34)年4月1日から1960(昭和35)年3月27日にかけて、全52回にわたり水曜18:15-18:45に放送されたもので(第28回から日曜の朝に変更)、原作は、1957年に『少年画報』に連載された桑田次郎(桑田二郎、1935-2020/85歳没)の漫画です(原作では「日の丸新聞社」は「少画新聞」)。また、当まぼろし探偵 コミック.jpg時14歳(中学2年生)だった吉永小百合の「赤胴鈴之助」に続くテレビ出演番組としても知られています(同じく子役時代の藤田弓子の出演している)。以前は3分の1くらいしかDVD化されていませんでしたが、その後、'07年に現存するうちの計49話を収録したがDVD化が発売され、昨年['21年]さらに50話収録の Blu-ray版(オリジナルも第24話以降は前編・後編となって、それをつなげているため全39集)が発売されています(当時はもちろんモノクロだが、最近では、彩色加工版もある)。

まぼろし探偵ま.jpg この第17話「犯人黒星十郎?」は、第1話「謎の怪電波」(武田信玄の子孫の復讐劇?)、第8話「れい迷教?」(当時流行りの新興宗教批判?)などと並んで面白いとされているエピソードですが、この回に限らず、同じKRT(現TBS)で前年スタートの「月光仮面」よりは全体的に洗練されてきているのではないでしょうか。この回で言えば、黒星記者に成りすましたチンピラのやることが、給料を前借り、かつ丼の注文、紳士服や靴、テレビの購入といったやたら生活染みたものであったりとか、依然、突っ込みどころは多いのですが、それはそれでまた別に意味での愉しみと言えるでしょう。

まぼろし探偵 新聞社.jpgまぼろし探偵 大平.jpg まぼろし探偵は第1話の時から世間に周知の存在であり、富士登警部(第1話から途中まで天草四郎、途中から大平透に交代)も全幅の信頼を置いていますが(まぼろ探偵に言われて黒星記者をほとんど人権蹂躙的に逮捕してしまうくらい(笑))、そのくせ"まぼろし探偵"の正体がさっきまで目の前にいた自分の息子・進少年であることに気がつきません(主題歌の2番に「親に心配かけまいと、あっという間の早変わり」とある)。

まぼろし探偵 吉永小百合 .jpgまぼろし探偵 まぼろし号.jpg 因みに、漫画で描かれるまぼろし探偵はバイクを操りますが、テレビ版は〈まぼろし号〉というフェアレディをベースにしたクルマが愛車で、これは探偵役の加藤弘がバイクに乗れなかったために用意されたとする説がありますが、加藤弘はまぼろし号の運転も無免許で行っていたと証言しています(バイクに乗ったスチール写真もあり、DVDカバーなどに使われまぼろし探偵じ.jpgている)。結構、撮影現場って道交法の遵守とかに関してはいい加減だったのかも(この他、飛行シーンはジェット機で、これはミニチュア特撮を駆使している。特撮は、「楢山節考」('58年/松竹)などに携わった矢島信男(1928-2019/91歳没)が、ちょうどこのこの頃は松竹から東映へ移籍する時期にあたり、松竹には内緒でアルバイトで担当、松竹から注意を受けたという)。

まぼろし探偵4枚y.jpg 吉野博士の娘、進のガールフレンドのさくら役という設定の吉永小百合は、テレビ番組放映中に人気が出て忙しくなったのか、最初の頃は進と一緒に事件について考えたりしていたのに、この頃にはスタート時ほど出ずっぱりではなく、この回にしても、中盤以降で父親の吉野博士と一緒に出てきて、あっという間に誘拐されてしまいます。誘拐グループが彼女を担ぎ上げて「わっしょい、わっしょい」と大声を出して運び(祭かいな)、すぐさま、まぼろし探偵に見つかってしまう。しかし、最後、まぼろし探偵も(博士から授かった電波ピストルを持っているのだが)徒手空拳の取っ組み合い。まあ、これは「月光仮面」も、宇宙人である「ナショナルキッド」でさえ最後はそうでしたが。それにしても少年の割には強い!

まぼろし探偵 宗教.jpg 花咲一平のシーリーズ唯一の一人二役の作品で、この人の演技、観ていて楽しいです。黒星十郎のキャラクターは、後の「ウルトラQ」の戸川一平(西條康彦)に引き継がれているのではないでしょうか。黒星はよく敵方に捕まって縛られている印象があり(第8話「れい迷教?」もそうだった)、進も敵方に捕まったりしていますが(第13話「金塊輸送車」など)、さくらが敵方につかまって縛られたというイメージは浮かびません。実際のところどうだったのでしょう。
第8話「れい迷教?」

まぼろし探偵 北tpy.jpg どの回も楽しく突っ込めますが、この回の最大の突っ込みどころは、花咲一平が演じる黒星十郎が、"偽黒星"の時は右頬にマジックでつけたような大きな黒子(ホクロ)がある点ではないでしょうか。観ていて今本物が出ているのか偽物が出ているのか分かりやすくしたのでしょうが、この黒子のことを誰も気づかないというのが、進行上の"お約束"ということなのでしょう。普通だったら「黒星さん、顔にマジックがついてますよ」って誰か言うだろうけれどね(笑)。

「朝を呼ぶ口笛」1.jpg「朝を呼ぶ口笛」2.jpg 因みに、吉永小百合はラジオのデビュー作がラジオ東京(現・TBSラジオ)の「赤胴鈴之助」('57年1月-'59年2月)であるのに対し、テレビのデビュー作がこの「まぼろし探偵」('59年4月-'60年3月)だと思っていたという人がいましたが、テレビのデビュー作もKRテレビ版の「赤胴鈴之助」('57年10月-'59年3月)です。一方、映画デビューは、「まぼろし探偵」の放映が始まる前月の'59年3月に公開の松竹映画「朝を呼ぶ口笛」でした。これは新聞配達を続けながら、夜間高校へ進学することを目指している中学生の少年が、母親が病気入院したところに父親の手術が重なって、両親と幼「朝を呼ぶ口笛」4.jpgい弟妹がいる家計を支えるために、学校も新聞配達も辞めて町工場で働くことにし、夢が消え落ち込んではいたところ、新聞販売店の仲間たちの力添えや配達先の少女の励ましに支えられ、再び以前の生活に戻ることができたというもの。その主人公の少年を励ます少女役が吉永小百合で、少年は少女に淡い想いを抱くも、最後、少女は父親の転勤で大阪に行くことになるという、言わば"ボーイ・ミーツ・ガール"&"別れ"というストーリーですが、この少年を演じていたのが「まぼろし探偵」こと富士進役の加藤弘でした。映画の方では、当時14歳の吉永小百合の方が加藤弘より大人びて見え、加藤弘の方は吉永小百合に励まされる役どころということもあってか、子供っぽく見えるので、加藤弘は「まぼろし探偵」で大変身を遂げたように思いました。

まぼろし探偵 藤田.jpg藤田弓子.jpg「まぼろし探偵(第17話)/犯人黒星十郎?」●制作年:1959年●監督:近藤竜太郎●企画:神山雄二●脚本:柳川創造●原作:桑田次郎(桑田二郎)●音楽:大塚一男●出演:加藤弘/吉永小百合/大平透/利根はる恵/花咲一平/カワベキミオ/藤田弓子●放送局:KRT(現TBS)●放送日:1959/07/22(評価:★★★☆)

藤田弓子(日の丸新聞社の給仕・みち子)当時13歳
     
●「まぼろし探偵」(全52話)放映ラインアップ(関東圏)
01 まぼろし探偵カラー版 「二人のまぼろし探偵」.jpg1959- 4- 1 水 18:15-18:45 謎の怪電
02 1959- 4- 8 水 18:15-18:45 時限爆弾
03 1959- 4- 15 水 18:15-18:45 透明人間の恐怖
04 1959- 4- 22 水 18:15-18:45 狙われた408列車
05 1959- 4- 29 水 18:15-18:45 二人のまぼろし探偵
06 1959- 5- 6 水 18:15-18:45 オリオン王国の秘密
07 1959- 5- 13 水 18:15-18:45 海王星から来た少年
08 「まぼろし探偵」編集長.jpg1959- 5- 20 水 18:15-18:45 れい迷教?
09 1959- 5- 27 水 18:15-18:45 進君危うし
10 1959- 6- 3 水 18:15-18:45 山火編集長おそわる
11 1959- 6- 10 水 18:15-18:45 怪人黒マント
12 1959- 6- 17 水 18:15-18:45 日本から逃がすな
13 1959- 6- 24 水 18:15-18:45 金塊輸送車
14 1959- 7- 1 水 18:15-18:45 怪盗紅バラ男爵
15 1959- 7- 8 水 18:15-18:45 青銅の仮面
16 1959- 7- 15 水 18:15-18:45 消えた花売娘
17 1959- 7- 22 水 18:15-18:45 犯人黒星十郎?
18 1959- 7- 29 水 18:15-18:45 ニセ札団
19 「まぼろし探偵」暗殺団.jpg1959- 8- 5 水 18:15-18:45 ゆうれい島
20 1959- 8- 12 水 18:15-18:45 白狐の挑戦
21 1959- 8- 19 水 18:15-18:45 暗殺団を倒せ
22 1959- 8- 26 水 18:15-18:45 海底魔人
23 1959- 9- 2 水 18:15-18-45 まだら蜘蛛の復讐・前篇
24 1959- 9- 9 水 18:15-18-45 まだら蜘蛛の復讐・後篇
25 1959- 9- 16 水 18:15-18:45 ウランの秘密・前篇
26 1959- 9- 23 水 18:15-18:45 ウランの秘密・後篇
27 1959- 9- 30 水 18:15-18:45 Xマン?・前篇
28 1959-10- 11 日 9:00- 9:30 Xマン?・後篇
29 1959-10- 18 日 9:00- 9:30 ダイヤの秘密・前篇
30 1959-10- 25 日 9:00- 9:30 ダイヤの秘密・後篇
31 1959-11- 1 日 9:00- 9:30 クラーク東郷・前篇
32 「まぼろし探偵」七色真珠.jpg1959-11- 8 日 9:00- 9:30 クラーク東郷・後篇
33 1959-11- 15 日 9:00- 9:30 ミイラ武者の復讐・前篇
34 1959-11- 22 日 9:00- 9:30 ミイラ武者の復讐・後篇
35 1959-11- 29 日 9:00- 9:30 七色真珠・前篇
36 1959-12- 6 日 9:00- 9:30 七色真珠・後篇
37 1959-12- 13 日 9:00- 9:30 国際密輸団・前篇
38 1959-12- 20 日 9:00- 9:30 国際密輸団・後篇
39 1959-12- 27 日 9:00- 9:30 謎の仮面博士・前篇
40 1960- 1- 3 日 9:30-10:00 謎の仮面博士・後篇
41 1960- 1- 10 日 9:00- 9:30 スパイ?・前篇
42 1960- 1- 17 日 9:00- 9:30 スパイ?・後篇
「まぼろし探偵」妖鬼.jpg43 1960- 1- 24 日 9:00- 9:30 謎のジョーカー・前篇
44 1960- 1- 31 日 9:00- 9:30 謎のジョーカー・後篇
45 1960- 2- 7 日 9:00- 9:30 妖鬼現わる・前篇
46 1960- 2- 14 日 9:00- 9:30 妖鬼現わる・後篇
47 1960- 2- 21 日 9:00- 9:30 黒星故郷へ帰る・前篇
48 1960- 2- 28 日 9:00- 9:30 黒星故郷へ帰る・後篇
49 1960- 3- 6 日 9:00- 9:30 仙人沼のせむし男・前篇
50 1960- 3- 13 日 9:00- 9:30 仙人沼のせむし男・後篇
51 1960- 3- 20 日 9:00- 9:30 邪魔者は倒せ・前篇
52 1960- 3- 27 日 9:00- 9:30 邪魔者は倒せ・後篇


まぼろし探偵   吉永小百合.jpgまぼろし探偵 1シーン.jpg「ぼろし探偵」●演出:近藤龍太郎●制作:近藤栽/松村あきお●脚本:柳川創造●音楽:大塚一男/渡辺浦人/渡辺岳夫●特撮:矢島信男(ノンクレジット)●原作:桑田次郎●出演:加藤弘/天草四郎/吉永小百合/大平透/利根はる恵/花咲一平/カワベキミオ/大宮敏/藤田弓子/ウィリアム・ロス●放映:1959/04~1960/03(全52回)●放送局:KRT(現TBS)

「朝を呼ぶ口笛」3.jpg「朝を呼ぶ口笛」●制作年:1959年●監督:生駒千里●製作:桑田良太郎●脚本:光畑碩郎●撮影:篠村荘三郎●音楽:鏑木創●原作:吉田稔「新聞配達」(全国中小学生綴り方コンクール文部大臣賞受賞)●時間:62分●出演:加藤弘/織田政雄/井川邦子/鳥居博也/羽江マリ/田村高廣/瞳麗子/山内明/殿山泰司/沢村貞子/吉永小百合/田村保/吉野憲司/田中晋二/真塩洋一/土紀洋兒/井上正彦/人見修/後藤泰子/村上記代/秩父晴子●公開:1959/03●配給:松竹(評価:★★★☆)
「朝を呼ぶ口笛」v.jpg

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やや"ベタ"か。役者「佐々木功」が味わえるのがメリット(しかも主役)。

DVD恐怖劇場アンバランスVol.6.jpg1(第13話)/蜘蛛の女 t.png 1(第13話)/蜘蛛の女 さ2.jpg 1(第13話)/蜘蛛の女 ささ1.png
DVD恐怖劇場アンバランスVol.6」第11話「吸血鬼の絶叫」 第12話「墓場から呪いの手」 第13話「蜘蛛の女」所収 佐々木功(森辰也)
1(第13話)/蜘蛛の女 佐々木1.png1(第13話)/蜘蛛の女51.jpg カメラマン青年・森辰也(佐々木功)は、元金貸業の女社長・加原連子(八代万智子)と彼女のマンションに暮らすヒモだが、真木ミチ(真里アンヌ)という恋人も1(第13話)/蜘蛛の女まり1.pngいたりし、一方で、個展を開きたいと考え、連子に金を出してもらったりもしている。しかしその金を、ヤクザまがいの山西成光(今井健二)に因縁をつけられて巻き上げれてしまう。山西は実は連子の会社の元社員だった。連子から「あなたは私のペットなのよ」と言われ、激高した辰也は、連子を絞め殺してしまう。遺体を車で山中に運び、木に縛りつけ、ガソリンをかけて燃やしてしまうが、その時、連子が目をゆっくり開けこちらを見つめた気がした。マンショ1(第13話)/蜘蛛の女 31.pngンに戻って大金の入ったトランクを見つけ喜ぶ辰也。そんな辰也の前に、連子の妹と称する松美(集三枝子)という女が現れる。一方、辰(第13話)/蜘蛛の女 011.png也が連子を殺害したことに気がついた山西は、またしても佐々木功を強請ろうとするが、辰也はその山西を撲殺する。ところが、その現場を松美に見られ、今度は松美から「あなたは私のペットよ」と言われたため、咄嗟に松美も絞め殺してしまう。そして、トランクの金を元(第13話)/蜘蛛の女31.png手に門馬支配人(大泉滉)の画廊で個展を開くが、会場を飾るはずのミチのヌード写真が全て、連子、山西、松美の死体の写真にすり替わっていた。そのミチは女郎蜘蛛の群れに殺され、そして辰也も―。

 「恐怖劇場アンバランス」の第13話(最終話)で、井田探(もとむ)監督(1922-2012)、滝沢真里脚本。「制作No.4」で、これも第12話同じく'69年に制作された、シリーズ当初のホラー路線に沿ったものとなっています(制作No.8以降は原作付きのサスペンスに路線変更している)。

佐々木功 in「乾いた花」('64年)
乾いた花 佐々木功.jpg この「蜘蛛の女」は傑作と推す人は多いですが、個人的にはちょっと"ベタ"過ぎる印象でしょうか。役者としての佐々木功(現ささきいさお)がじっくり味わえるのが最大のメリットで(篠田三郎監督、浅丘ルリ子主演「乾いた花」('64年/松竹)などで脇役として出てはいるが)、熱演していると思います。ただ、主人公・辰也が半ば被害妄想状態の中、どんどん人を殺していくので、話としては逆にあまり怖くなかったです。最初の殺人の遺体処理で、辰也はなぜ遺体を木に縛る必要があるのかとか、連子は有り金を全部"箪笥預金"ならぬ"トランク預金"していたのかとか(誰かに見せ金する必要あった?)、突っ込みどころが多すぎるというのもあります。

佐々木功.jpg「ささきいさお.jpg 佐々木功は、役者としての「佐々木功」とアニメソング歌手としての「ささきいさお」と芸名を使い分けていましたが、結局「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などアニメソングで多くのヒット曲を持つことの方であまりに有名になってしまい、芸名を「ささきいさお」に表記統一してしまいます。元々は俳優であり、シルヴェスター・スタローンなどの吹き替えで声優としても知られています。
     
八代万智子 in「恐怖劇場アンバランス(第13話)/蜘蛛の女」('69年)
八代万智子 (1).jpg1マグマ大使.png1(第13話)/蜘蛛の女11.png 辰也をペット扱いするまさに「蜘蛛女」連子役の八代万智子(1939年生まれ)は、「マグマ大使」('66年)にマモル(江木俊夫)の母親役で出八代万智子2.jpgていましたが(父親役は岡田眞澄)、「プレイガール」('69年-'76年)でもレギュラーでした(演技の幅が広いが、この作品では完全に悪女系の女性を演じている)。この人は結婚を機に芸能界を引退しています。連子の「妹」松美役の集三枝子(1949年生まれ)は、この後、東集三枝子 z.jpg映映画で大信田礼子主演の「ずべ公番長」シリーズの準レギュラーになりましたが、'73年くらいと若いうちに引退したようです。

集三枝子 in「ずべ公番長 東京流れ者」('70年)

真理アンヌ in「ウルトラマン(第32話)果てしなき逆襲」('67年)   
科学特捜隊インド支部・パティ隊1.jpg真理アンヌ2.jpg真理アンヌ3.jpg 真理アンヌ(1948年生まれ。父親がインド人で母親が日本人)は、「ウルトラマン(第32話)果てしなき逆襲」('67年)に科学特捜隊インド支部・パティ隊員役で出ています。因みに、「ウルトラセブン」で菱見百合子が演じた「友里アンヌ隊員」の役名は、第1期ウルトラシリーズを企画した金城哲夫(1938-1976/37歳没)が真理アンヌのファンだったことからその名になったとのことです(この人は吉本興業所属の現役)。

大泉滉
3大泉滉1.png1(第13話)/蜘蛛の女 d.png この「蜘蛛の女」の場合、結局、主要登場人物は皆(悪人ばかりだったけれど)死んでしまったわけだなあ(大泉滉は何ともないけれど、善人でも悪人でもないから(笑))。第12話「墓場から呪いの手」に続いて主人公が殺害した女性の"妹"が出てくるわけですが、今回の「松美」は自分で鏡に向かって鏡は無い方がいいと言い(鏡に映った松美は連子の姿になる)、「私が連子だとは(辰也は)まだ気がつかない(第13話)/蜘蛛の女  211.pngとまで言っているので(つまり、単なる辰也の思い過ごしではないということ。視聴者向け解説?)、妹と言うより連子の化身なのでしょう(最後には"生身"の連子自身が出てくるし)。
    
(第13話)/蜘蛛の女」  .jpg「恐怖劇場アンバランス(第13話)/蜘蛛の女」●制作年: 1969年(制作№4)●監督:井田探(もとむ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:滝沢真里●音楽:冨田勲●出演:八代万智子/集三枝子/真理アンヌ/今井健二/滝川早苗/山口勲/相良孝子/高品格/大泉滉/若水ヤエ子/佐々木功/青島幸男(解説)●放送:1973/04/02●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)

   

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ホラー調に"原点回帰"したのではなく、元々は「制作№1」だった。山本耕一が熱演。

DVD恐怖劇場アンバランスVol.6.jpg 1墓場から呪いの手 tyle.jpg  (第12話)/墓場から呪いの手31.png
DVD恐怖劇場アンバランスVol.6」山本耕一(桑田哲也)/牧紀子(月村久美)

1墓場から呪いの手図11.png マンションの一室で夜中に男が浴室へ女性の死体を引きずり、バラバラに解体しようとしている。男はバラバラにした死体を油紙に包んで車で運びへ、川や下水、山中に投棄する。その男・桑田哲也(山本耕一)は、会社の経理課長で、自分が帳簿操作の不正をしたのを知っている女性・月村久美(牧紀子)に、口封じのためだけに結婚を匂わせていたが、久美は桑田を愛していたので、それを承知の上で桑田と付き合っていた。ところが桑田がその(第12話)/墓場から呪いの手61.png夜別れ話を切り出したため、久美は会社に何もかもバラすと言い、そこで桑田は凶行に及んだのだった。久美の遺体の始末は上手くいったかに見えたが、翌日から桑田の身の回りに、遺体の断片が現れるなど、奇妙な出来事が起こり始める。警察が桑田の家にやって来る。何者かが桑田の部屋から警察に電話したのだった。桑田は久美の妹・のり子(松本留美)を疑い、彼女に会(第12話)/墓場から呪いの手41.pngいに行くと、姉がアパートに帰ってないことを心配して桑田のところへ行こうと思っていたという。深夜アベックが久美の遺体の一部が入った包みを見つけ、久美の手はアベックを襲って男を殺す。車には久美の指紋が残されていて、警察にのり子が呼ばれた。中川刑事(入川保則)とのり子は行方不明の久美の消息を掴むため、交際相手の桑田の部屋に行くが、桑田は何かに激しく脅えていた。桑田が寝ていると久美の手が這ってきて、気づいた桑田は驚いてそれを窓へ投げ捨てる。久美の手はバラバラになった自分の躰を集め始めていた。桑田はのり子を殺すつもりで、久美のことで話したいことがあると電話で呼び出すが―。

(第12話)/墓場から呪いの手51.png 「恐怖劇場アンバランス」の第12話で、満田穧(みつた・かずほ)監督、若槻文三脚本。ここに来て、これまで続いたサスペンス調から「恐怖劇場」の名に相応しいホラー調に一気に戻って"原点回帰"した印象ですが、実は、放送された全13話の内、制作順でいくとこの作品が「制作№1」で、'69年制作です。従って、元々はこのシリーズは、こうしたホラー路線で行こうとしていたのだということが分ります。それが、制作No.8以降は原作付きのサスペンスに路線変更しています(放映順は制作順と異なる)。
    
 放映順に観てくといきなりホラー調に戻ったこともあって、オーソドックスとも言えるものの(シリーズの中でも傑作と推す人も多い)、個人的にはやや"ベタ"な印象を受けてしまいましたが、この「墓場から呪いの手」の見所は、主人公の桑田を演じた山本耕(1935年生ま(第12話)/墓場から呪いの手 山本1.png山本耕一さん.jpgれ)の"役者ぶり"でしょうか(熱演!)。「アフタヌーンショー」(テレビ朝日)でリポーターを務め、川崎敬三との「そうなんですよ、川崎さん」の名文句が有名となって、そちらの印象が強くて、また、役者としても「主役」で出ているものは少ないのではないかと思います(山本耕一は早稲田大学文学部卒。そう言えば、役者としてデビューしてレポーターに転じた阿部祐二も早稲田大学政治経済学部卒だなあ)。
山本耕一/2018年
牧紀子/松本留美
(第12話)/墓場から呪いの手   1.png(第12話)/墓場から呪いの手 妹1.png 女優陣も、久美を演じた牧紀子(1940年生まれ)は、多くのドラマに出ていますが、同じ年に「怪奇大作戦(第18話)/死者がささやく」('69年/TBS)での田原澄子役などもありました。この人は、亡くなっていますが没年不詳のようです。久美の妹・のり子役の松本留美(1949年生まれ)もテレビドラマに多数出演していて、こちらは、近年も反町隆史主演の「リーガル・ハート〜いのちの再建弁護士〜」('19年/テレビ東京)にレギュラーキャストとして出演するなど現役です。

 因みに、バラバラにされた被害者が幽霊となって復讐するのではなく、躰の一部である手だけが復讐するというのは、大佛次郎(1897-1973)が1929(昭和4)年、雑誌「改造」に発表した短編で、1930(昭和5)年、『怪談その他』(天人社)の1編として刊行された「手首」というのがあり、この短編は2010年にテレビ東京で現代に翻案されて映像化され、「女のサスペンス名作選」最終回(2010年9月29日)の「残された手首」として放送されていますが、あらすじは下記の通りです。

「残された手首」平田満.jpg 村山清(平田満)、美津子(岡江久美子)夫妻は、千葉県の郊外に念願の一戸建てを買い引っ越してきた。引越当日の深夜、2階寝室で寝ていた清の片腕に、突然女の手首がとりついた。夢だと思ったが、女の手首がとりついた左腕がだるくなってきた。クラシック音楽のトランペットの音色を聞いただけで、左腕が激しく痛みだしたり、3歳の甥が清の左腕に手首がぶらさがっていると恐がったり、美津子までノイローゼになりそうだった。ある日美津子は、この辺りで昔から開業している医者に、自分達が住んでいる場所の歴史を聞き出した。それによると、戦前は日本陸軍の兵営が近くにあり、ちょうど美津子達の家がある所に島倉という大尉の一家が住んでいた。島倉大尉(井上純一)と政略結婚をさせられた綾子(中島はるみ)という女性と、彼女に恋心をいだいた大尉の弟・康次郎に腹を立てた大尉が、軍刀で綾子の手首を切り落としたのだった―。
 実は、大佛次郎の短編そのものがモーパッサンも短編(「手」という同趣の怪綺譚がある)から想を得たのではないかと推測しています。何れにせよ、このパターンの話はかなり古くから東西にあるのかもしれません。

牧紀子
牧紀子2.jpg31(第12話)/墓場から呪いの手図.jpg「恐怖劇場アンバランス(第12話)/墓場から呪いの手」●制作年: 1969年(制作№1)●監督:満田穧(みつた・かずほ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:若槻文三●音楽:冨田勲●出演:山本耕一/松本留美/牧紀子/藤あきみ/渚健二/上田忠好/村上不二夫/内藤綱男/依田英助/川村依久子/和久井節緒/溝呂木但/磯野のり子/小林千枝子/矢野宏/田辺和佳子/入川保則●放送:1973/03/26●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)

「恐怖劇場アンバランス」制作№順
制作No. 話数 サブタイトル ☆原作 脚本/監督
1 第12話 墓場から呪いの手 若槻文三/満田穧
2 第11話 吸血鬼の絶叫 若槻文三/鈴木英夫
3 第9話 死体置場(モルグ)の殺人者 山浦弘靖/長谷部安春
4 第13話 蜘蛛の女 滝沢真里/井田 探
5 第5話 死骸(しかばね)を呼ぶ女 山崎忠昭/神代辰己
6 第4話 仮面の墓場 市川森一/山際永三
7 第2話 死を予告する女 小山内美江/藤田敏八
8 第8話 猫は知っていた ☆仁木悦子 満田穧/満田穧
9 第3話 殺しのゲーム ☆西村京太郎 若槻文三/長谷部安春
10 第1話 木乃伊(ミイラ)の恋 ☆円地文子 田中陽造/鈴木清順
11 第6話 地方紙を買う女 ☆松本清張 小山内美江子/森川時久
12 第7話 夜が明けたら ☆山田風太郎 滝沢真理/黒木和雄
13 第10話 サラリーマンの勲章 ☆樹下太郎 上原正三/満田穧

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ホラーでもなければ殺人事件も無いこの作品が「怖い」と言われるのはなぜか。

DVD恐怖劇場アンバランスVol.5.jpg図2サラリーマンの勲章t.png サラリーマンの勲章1.jpg サラリーマンの勲章ド.jpg
DVD恐怖劇場アンバランスVol.5」梅津栄(犬飼市郎)/冨士眞奈美(宇多子)
梅津栄/中丸忠雄
サラリーマンの勲章2.png 企業の営業部に勤務するサラリーマンの犬飼市郎(梅津栄)(39歳)は、真面目だが出世欲は無く、平社員であってもマイペースで生きていくのがよいと、課長昇進を断り続けてきた。しかし、営業部長の高井(中丸忠雄)の強引な手配で、課長昇進が決まってしまサラリーマンの勲章3.pngう。犬飼はプレッシャーから心身のバランスを崩し、夜も寝つけず、絶対に穴をあけてはならない早朝会議に遅刻してしまう。いったんは会社に着いたものの、階段で会った営業部員の八木(二瓶正也)に、「あれ、課長、朝の会議は大丈夫なんですか?」と言われて、そのまま逃げ出してしまう。初めての競馬に行き、さらにストリップ劇場、トルコ風呂と、彼の逃避行は続く。会社では、課長に昇進したばかりの犬飼が蒸発したということで大騒ぎで、出世こそがササラリーマンの勲章4.pngサラリーマンの勲章5.pngラリーマンの勲章だと思ってる役員や幹部たちは、犬飼の妻(津島恵子)が犬飼は「出世より自分の時間が欲しい」と言っていたという、その犬養の心情が全く理解できない。犬飼は、昇進祝いに同僚と行ったバーへ足を運び、その時気になったホステスの宇多子(冨士眞奈美)に心情を吐露、宇多子が得意とする秋田音頭で盛り上がると、そのまま彼女のアパートでへ。宇多子の夫が籍を入れたま失踪したと聞いた犬飼は、偽装自殺をして自身の戸籍を抹消し、宇多子の夫に成り代わって生きてゆサラリーマンの勲章61.pngくことを思いつき、宇多子もサラリーマンの勲章  11.png乗り気になるが、実行に移そうと思った矢先に、置き忘れた手帖から足がついて、同僚に踏み込まれる。いったんは自宅に戻った犬飼だったが、改めて「偽装自殺」計画を実行に移し、再度宇多子の元へ。ところが、失踪したはずだった宇多子の夫(向井精七)が戻ってきていて、痛めつけられ追い出される。独りきりとなり、世間では「自殺した」ことになっている犬飼は―。

サラリーマンの勲章 (1964年) (ポケット文春).jpg 「恐怖劇場アンバランス」の第10話で、'70年制作、'73年放映。監督は満田穧(みつた・かずほ)。原作は、樹下太郎(1921-2000)の「消失計画」(『サラリーマンの勲章』('64年/ポケット文春)所収)です。この「恐怖劇場アンバランス」シリーズは、制作No.8以降、オリジナル脚本のホラー路線から、原作ありのサスペンス路線に"路線変更"しており、この「サラリーマンの勲章」は、制作順としては放映されたものの中で一番最後(制作№13)になりますが、当初の「ホラー劇場」的なシリーズの内容から最も"遠くに来た"という感じでしょうか(「ウルトラシリーズ」の二瓶正也などが出演していることで、円谷プロ制作だった思い出すくらい)。ところが、人によっては、幽霊も出てこなければ殺人事件も起きないこの作品が「一番怖い」という人もいて、人によって受け止め方が違ってくる点が、このシリーズの一つの面白いところかもしれません。

 原作『サラリーマンの勲章』は、「文藝春秋漫画讀本」('63(昭和38)年6月号~'64(昭和39)年1月号)に発表された8話から成る連作で、直木賞候補となり、その時期はちょうど原作者がミステリ作家からサラリーマン小説作家への転身を遂げつつあった時期になります。この一連の作品の第1話が「消失計画」ですが、時代はまさに高度経済成長期で、サラリーマンは出世を目指すのが当たり前であり、昇進をしたいと思わない犬飼のことを会社の役員や幹部が理解できないというのは、今観ると戯画的ですが、当時としてはもっと自然に受け止められたのかもしれません(連作の中でも犬飼は変わり者としての位置づけではないか。この連作にも所謂"出世物語"が多く含まれている)。

 梅津栄.jpgそうした"マイノリティ"の犬飼に着眼してドラマ化したところが面白いと思いますが(犬飼を演じた梅津栄(1928-2016/享年88)はこの作品が唯一の主演作だそうだ)、令和の今の時代は「課長になりたくない」というサラリーマンが3、4割いるとも言われているので、先見の明があったと言えるかもしれません。ただし、当時としても、ドロップアウトしてみたいという潜在的な欲求は多くの人の心の底にあったのではないでしょうか。「人間蒸発」と言う言葉が流行った時サラリーマンの勲章8.png期でもあり、多くの小説や映画、ドラマでモチーフとして用いられ、実際、当時は事件としても日常茶飯にあったと思います。この作品の中でも、津島恵子(1926-2012/享年86)演じる犬飼の妻が子供にパパは出張中だと言いくるめようとして、逆に「蒸発しちゃったんじゃないの」と言われてしまいます。でも、この奥さん、ラストで「自殺した」夫の遺影を前に、「私は夫が死んだとは思えないわ。あの人は今もどこかで自分らしく生きているんじゃないかしら」と言っていて、結構夫のことを理解している人だなあと(ちゃんと夫がお金を残してくれているというのもあるかもしれないが)。

 一方の犬飼は、前半ではすごく小心者のように描かれていますが(遅刻確実で通勤電車内で焦りまくるのは、誰だってどこか身につまされるが)、逃避行に入ってからは、トルコ嬢に自らのサラリーマン人生を「レールの上を猪突猛進ってやつ?」とからかわれても、「もう脱線したよ」と自虐的ユーモアで応えるなど精神的に開き直り、気になっていたホステス宇多子にアタックし、一度は失敗しながらも最後には自己消失計画をやり遂げるなど、行動的にもなっているように思います。

サラリーマンの勲章91.png 当面の生活資金もあるし、ラストは、当初の望み通り、朝の喫茶店で一人静かに(いや、秋田音頭を口ずさみながら)コーヒーを飲むシーンで終わっています。でも、予め決めていたこととは言え、家族も会社の人間とも関係を絶ち、さらには、惚れた宇多子とも一緒になれなかったので、孤独感が漂っているようにも思えます。つまり、自由との引き換えに孤独になってしまったと...。この作品が"怖い"としたらそのあたりではないかと思います。

サラリーマンの勲章ード.jpg 犬飼は意外と強い人間で、それでもやっていけるかもしれないけれども、自分はどうだろうと考えると、まあ、フィクション世界、空想世界だけの話にしておこう―ということになるのではないでしょうか。でも、犬飼のように、ちょっとしたことを契機に自らドロップアウトすることが自分にだってあるかもしれない―高い所を怖がる人は、誤って「落ちる」のが怖いのではなく、自ら「飛び降りてしまう」ことが怖いのだと言われるように―そうした思いを駆り立てるところが、このドラマの怖さではないかと思います。

津島恵子 in「魔像」(1952)
魔像  1952.jpg1(第10話)/サラリーマンの勲章図.png「恐怖劇場アンバランス(第10話)/サラリーマンの勲章」●制作年: 1970年(制作№13)●監督:満田穧(かずほ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:上原 正三●音楽:冨田勲●原作:樹下太郎「消失計画」●出演:梅津栄/冨士真奈美/中丸忠雄/南広/神田隆/二瓶正也/横山リエ/向井精七/鶴賀二郎/中村上治/香忍/伊東潤一/広田直美/伊藤静江/野島ひとみ/津島恵子●放送:1973/03/12●放送局:フジテレビ(評価:★★★

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「●か行の日本映画の監督」の インデックッスへ(黒木 和雄)「●西村 晃 出演作品」の インデックッスへ「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ

夜は明けそうにないなあ。時代の雰囲気が横溢している作品。

恐怖劇場アンバランス4 dvd.jpg1「夜が明けたら」ti.png 図17話「夜が明けたら」2.png 祭りの準備.jpg
DVD恐怖劇場アンバランス Vol.4」西村晃(服部) 黒木和雄監督「祭りの準備」('75年/ATG)

図17話「夜が明けたら」1.png 初老の仕立て屋・服部康吉(西村晃)は、娘・笛子(夏珠美)と一緒に新宿へ買い物に出掛けた際に、チンピラ三人組が娘にちょかいをかけてきたため、たまたま持参していた洋服の仕立て鋏で男たちを刺してしまう。これが過剰防衛に当たるとされ、懲役一年の実刑判決が下されるが、チンピラたちは罪に問われなかった。その後、服部は模範囚だったことから半年で釈放され、事件を担当した老刑事・八坂(花沢徳衛)が気になって服部の営む仕立て屋を訪ねると、服部はいたが娘は結婚したとのことだった。実は八坂が服部を訪ねたのは、事件の際のチンピラ三人が服部に小銭をせびっていて、服部はそれに対し、断るどころか進んで金を渡して図17話「夜が明けたら」3.png図17話「夜が明けたら」4.pngいるということを聞きつけたからだった。チンピラたちは依然あちこちでゆすりたかりのような7話「夜が明けたら」af1.pngことを繰り返していて、一方、服部の娘が結婚したというのは嘘で、実は家出していたのだった。八坂は横須賀のゴーゴークラブで踊る笛子を探し出し、会ってみると、酒は飲むはタバコはふかすはの変わりようだった。一方、ある晩、公園でチンピラ三人がまたしてもカップルを脅迫しようと企んでいたが、今回は八坂らが張り込んでいて、彼らを取り押さえた。と、そこにいたのは―。

夜よりほかに聴くものもなし1.1.jpg 「恐怖劇場アンバランス」の第7話(制作№12)で、'70年制作、'73年放映。原作は、山田風太郎の「黒幕」(『夜よりほかに聴くものもなし』('62年/東都書房、後に現代教養文庫、広済堂文庫、光文社文庫、角川文庫)所収)です。監督はこの5年後に「祭りの準備」('75年/ATG)を撮る黒木和雄、脚本は滝沢真理。文庫表題作「夜よりほかに聴くものもなし」は10話から成る短編の連作で、犯行のさまざまな「動機」にフォーカスしていて、ベテラン刑事の八坂が「それでも...俺は手錠をかけねばならん」と犯罪者のやりきれない事情に理解を示しながらも、犯人に手錠をかけて終わるというのがパターンになっています。

『夜よりほかに聴くものもなし』('62年/東都書房)
図17話「夜が明けたら」51.png
 主人公の動機の意外性がミソの連作ですが、この「夜が明けたら」の主人公の動機は、ほとんどの人は予想がつかないくらい屈折していたように思います。ラストの西村晃演じる服部の、哀愁を帯びながらも、ちょっと不気味でちょっとコミカルな様は、「死んでいる」と言うより「壊れている」という印象でした。「夜が明けたら」というタイトルと違って、夜はいつまでも開けそうにないなあと思ってしまいました。

図17話「夜が明けたら」asa1.png7話「夜が明けたら」kon.png 尤も、この「夜が明けたら」というのは、劇中、クラブで浅川マキ(1942-2010/享年67)が歌っている彼女の曲の名であり、1969年7月にシングルレコード発売されています(CDの音質に対して本人は懐疑的であったため、存命中はその意向により作品の大部分が廃盤状態だった)。笛子(夏珠美)が朗読している『冠婚葬祭入門』(カッパ・ブックス)は塩月弥栄子(1918-2015/享年96)の1970年のベストセラーです(カッパ・ブックスで単巻で発行部数300万部を超えた唯一の本)。場面の変わり目で映し7話「夜が明けたら」b.png出される建設中の高層ビルは「京王プラザホテル」です(1971年6月開業時は、霞が関ビルを抜き日本で最も高い超高層ビルであった)。冒7話「夜が明けたら」konka.png頭、新宿の街で笛子がチンピラにちょっかいを掛けられ、服部が歩道橋に駆け付ける場面は、複数の望遠レンズでも撮っていることから、一発勝負の" ゲリラ撮影"だったと思われます(1960年代中盤にソニーがポータブル・ビデオカメラを開発し、それが普及して、ゲリラ撮影が世界的に流行った)。このように、1960年代が終わり1970年に入ったばかりという時代の雰囲気が横溢している作品でした。

図17話「夜が明けたら」b.png7話「夜が明けたら」natsu1.png 笛子を演じた夏珠美(当時22歳)は映画「月光仮面」('58年)などの子役出身で、それが10年後には梅宮辰夫(1938-2019/享年81)主演の「不良番長」シリーズ('68-'72年)のレギュラーになるわけですが(一応ヒロイン役)、ここでは、お嬢さんっぽいビフォアーと、あばずれっぽいアフターを演じ分けていました。

図17話「夜が明けたら」keio.png この「恐怖劇場アンバランス」シリーズは、制作No.8以降、オリジナル脚本のホラー路線から、原作ありのサスペンス路線に"路線変更"していて、この「夜が明けたら」のラストの意外性も、原作に負うところが大きいのだろうとは思います。でも、映像化することで、時代の背景などが垣間見れて、それは映像的にも貴重であるし、原作を時代のシズル感をもって改めて味わうことが出来るように思いました。


恐怖劇場アンバランス/夜が明けたら .jpg1(第7話)/夜が明けたら図.png「恐怖劇場アンバランス(第7話)/夜が明けたら」●制作年: 1970年(制作№12)●監督:黒木和雄●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:滝沢真理●音楽:冨田勲●原作:山田風太郎「黒幕」●出演:西村晃/山本燐一/夏珠美/根岸一正/矢野間啓治/吉田潔/山本一栄/木下桂子/栗田幸子/福光洋子/新田喜美江/三田登喜子/浅川マキ/花沢徳衛●放送:1973/02/19●放送局:フジテレビ(評価:★夏珠美、谷隼人.jpg★★☆)

夏珠美 in「不良番長 練鑑ブルース」(1969)

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良かったけれども、原作は超えられない。ラストの言い争いは不要だった。

DVD恐怖劇場アンバランス Vol.345_.jpg(第6話)/地方紙を買う女title.png (第6話)/地方紙を買う女1.jpg (第6話)/地方紙を買う女 夏.png
DVD恐怖劇場アンバランス Vol.3」井川比佐志(杉本隆治)/夏圭子(潮田芳子)
井川比佐志/吉野よし子 at ホテルニューオータニ
(第6話)/地方紙を買う女2.png 地方紙・甲信新聞社に「杉本隆治の連載小説を読みたいので定期購読したい」との手紙が東京から届く。当の小説家・杉本隆治(井川比佐志)は気を良くするが、1カ月後につまらないから購読をやめたいとの手紙が届く。腑に落ちない杉本は、手紙の差出人(第6話)/地方紙を買う女3 1.jpgを申し込んだ日から止めた日までの1カ月間の記事をチェックすると、東京から来たカップルの心中事件が目を引く。杉本は芳子がホステスとして勤めるキャバレーに自ら行き、芳子(夏圭子)に会って「僕の小説のどこが面白かった?」とカマを掛けるが答えは曖昧で、芳子が自分の小説を読んでいないと確信する。今度は芳子が杉本の周辺を調べ始め、杉本のマンションのベランダで杉本に好意を持っている甲信新聞の女性編集員・ふじ子(吉野よし子)の姿を確認する。杉本の方も芳子に、新作のアイディアができたとして偽装心中の話をしれカマを掛け、彼女の反応を見る。ある日、芳子は杉本とふじ子をハイキングに誘い、ふじ子は芳子の手作り弁当を口にしようとするが―。

『顔・白い闇』.JPG白い闇 (1957年) (角川小説新書).jpg 松本清張の中編小説「地方紙を買う女」が原作。「地方紙を買う女」は、「小説新潮」1957年4月号に掲載され、1957年8月に短編集『白い闇』収録の1編として、角川書店(角川小説新書)より刊行されています(1959年『顔・白い闇』として文庫化)。若杉光夫監督の「危険な女」('59年/日活)は、この作品が原作で、主演は渡辺美佐子、芦田伸介でした。また2016年までに、本作品も含め9度テレビドラマ化されていて、それらは以下の通りになります(因みに、上には上があり、松本清張原作の「一年半待て」は2016年まで12回ドラマ化されている)。  
顔・白い闇 (角川文庫)』(顔/張込み/声/地方紙を買う女/白い闇)『白い闇 (1957年) (角川小説新書)』(白い闇/一年半待て/地方紙を買う女/共犯者/声)

 ・1957年「地方紙を買う女」(NHK)大森義夫・藤野節子・千秋みつる
 ・1960年「地方紙を買う女~松本清張シリーズ・黒い断層」(KR)堀雄二・池内淳子・杉裕之
 ・1962年「地方紙を買う女~松本清張シリーズ・黒の組曲」(NHK)筑紫あけみ・野々村潔
 ・1966年「地方紙を買う女」(KTV)岡田茉莉子・高松英郎・戸浦六宏
 ・1973年「恐怖劇場アンバランス(第6話)地方紙を買う女」(CX)夏圭子・井川比佐志・山本圭
 ・1981年「地方紙を買う女 昇仙峡囮心中」(ANB)安奈淳・田村高廣・室田日出男
地方紙を買う女.jpg ・1987年「地方紙を買う女」(CX)小柳ルミ子・篠田三郎・露口茂
 ・2007年「地方紙を買う女」(NTV)内田有紀・高嶋政伸・秋野暢子
 ・2016年「地方紙を買う女~作家・杉本隆治の推理」(ANB)田村正和・広末涼子・水川あさみ

松本清張ドラマスペシャル・地方紙を買う女2.jpg 原作が文庫で50ページほどで、かつては30分ドラマ枠で放送されることが多かったのが、80年代以降、「2時間ドラマ」枠で放送されるのが定番化しています。直近の2016年のテレビ朝日版(田村正和・広末涼子)では舞台を金沢に移したりもしています(2020年のNHK「黒い画集~証言~」も舞台を東京から金沢に変えている。金沢と言えば「ゼロの焦点」なのだが)。それに限らず、2時間ドラマになってからの作品は改変が多く、2時間もたせるために原作にいろいろ足している印象を受けます。

(第6話)/地方紙を買う女5.png そうした中、「恐怖劇場アンバランス」の一話として'70 年に作られ(制作№11)、第6話として'73年に放映されたこの「地方紙を買う女」は(「恐怖劇場アンバランス」は'69年7月から'70年3月にかけて制作されながら、放映が延びていた。シリーズごと3年間お蔵入りしていたことになる)、正味45分、コンパクトに纏まっていてほぼ原作通りであり、下手に足し算するよりも、よく作品の雰囲気を伝えているように思います。監督はフジテレビのディレクターだった森川時久で、当時このシーリーズを演出した鈴木清順、藤田敏八、神代辰巳、黒木和雄といった人たちがまださほど実績が無かったのに対し、森川時久は人気ドラマ「若者たち」を手掛け、その劇場版で'66年に映画監督デビューも果たしていました。

(第6話)/地方紙を買う女 6.png 小説家・杉本を演じた井川比佐志の演技もいいし、謎の女・芳子の夏圭子(当時26歳)も良かったです。ただ、原作と全く同じに作られているかというと、原作では山本圭が演じるトップ屋が出てきません(芳子の身許調査は杉本が探偵社に依頼して行う)。したがって、ラストの井川比佐志と山本圭の論争(言い争い)もありません。この部分が、小山内美江子による脚本の見せどころだったのかもしれませんが、個人的には蛇足だったように思います(他にも細部でも原作との違いはある。例えば、芳子の夫は刑務所にいて今度刑期を終えるのではなく、満州に抑留されていて帰還することになったなど。これは、時代背景を原作から10年以上ずらしているため)。また、原作では、杉本は芳子のことを「芳ベイ」と呼ぶようになるまでに親密の情を抱いていますが(そこが主人公の辛さ)、ドラマでは杉本から見て「容疑者」としてのイメージの方が凌駕しているように思います。

(第6話)/地方紙を買う女71.png シーリーズの中でもよく出来ている方だと思いますが、その良さは原作に依るところ大であり、ドラマ版は"蛇足"もあったりして、これもまた、原作を超えるまではいってないと思います。原作のスゴイ点は、主に芳子の視点及び心理描写で話が進んでいくことで、普通はこのスタイルだと「倒叙法」になりますがそうなっておらず、それでいて推理小説として成り立っていることです(ドラマは冒頭に犯行シーンがあり「倒叙法」になり切っている)。この手法は、行き過ぎた"叙述トリック"になる恐れもありますが、本作ではそうなっていないどころか、芳子と杉本の心理的な探り合いを際立たせています。これもまた松本清張の"社会派推理小説"群の一環を成す作品ですが、技術的な面でも優れていると思います。

松本清張 「夜盗伝奇」.jpg 因みに、作中で杉本隆治が新聞に連載している『野盗伝奇』は、松本清張の実際の作品であり、西日本スポーツなどブロック紙系の新聞に連載され1957年11月に光風社より刊行(後に角川文庫で文庫化)されていて、「地方紙を買う女」を「小説新潮」に連載していた時期と重なり、このあたりに清張に茶目っ気が窺えます。


『野盗伝奇』(改版版)
光風社・1964(昭和39)年9月発刊

 

夏圭子 in「不良番長 練鑑ブルース」(1969)
夏圭子 in「不良番長 練鑑ブルース」.jpg1(第6話)/地方紙を買う女図.png「恐怖劇場アンバランス(第6話)/地方紙を買う女」●制作年: 1970年(制作№11)●監督:森川時久●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:小山内美江子●音楽:冨田勲●原作:松本清張「地方紙を買う女」 ●出演:井川比佐志/夏圭子/山本圭/吉野よし子/中村美代子/中島葵/横森久/可知靖之/飯沼慧/金井進二/早川純一/大林丈史/松谷量子/前川哲男/青島幸男(解説)●放送:1973/01/29●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)

地方紙を買う女3.jpg松本清張全集 (36) 地方紙を買う女.jpg松本清張全集 (36) 地方紙を買う女 短篇2』(秀頼走路/明治金沢事件/喪失/調略/箱根心中/ひとりの武将/増上寺刃傷/背広服の変死者/疑惑/五十四万石の嘘/顔/途上/九十九里浜/いびき/声/共犯者/武将不信/陰謀将軍/佐渡流人行/賞/地方紙を買う女/鬼畜/一年半待て/甲府在番/捜査圏外の条件/カルネアデスの舟板/白い闇)

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「●橋爪 功 出演作品」の インデックッスへ 「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「●「朝日賞」受賞者作」の インデックッスへ(唐 十郎)

唐十郎の怪演が印象的。この作品自体を〈唐十郎演出〉作とみてもいいのでは。

DVD恐怖劇場アンバランス Vol.2.jpgtitle仮面の墓場.jpg (第4話)/仮面の墓場」 1 .png (第4話)/仮面の墓場  kara1.png
DVD恐怖劇場アンバランス Vol.2」緑魔子(ヨーコ)/唐十郎(犬尾)
橋爪功(山口)/唐十郎(犬尾)
kamenno1.png 前衛劇団「からしだね」は落ち目の劇団であり、此度もちゃんとした劇場ではなく、潰れた映画館を借りての公演だが、演出家の犬尾(唐十郎)は今回の公演作「眼」を大成功させ、起死回生を図るつもりでいる。しかし、その思いが強すぎて過激な演出を思いつき、悪霊役を演じる白浜(三谷昇)に、二階席から滑車を使ってステージへ降りてくる演技を命じる。喘息持ちの白浜が気乗りしないままやってみて、1回目のテストは成功、しかし、照明係のジュン(星紀一)に押されての2回目に、バランスを崩して落下死してしまう。犬尾は、団員の山口(橋爪功)やヨーコ(緑魔子)仮面の墓場91.pngらを"共犯者"に巻き込んで、ボイラーでその遺体燃やしてしまう。ところがボイラー内から叫び声が上がり、白浜はまだ生きていたようだ。その後、団員らが白浜を見たという話があり、犬尾も彼の咳声を聞く。犬尾は「邪魔する気か」とわめき、ボイラーの扉を開け、焼けた骸骨を奥に押し込む。悪霊役はヨーコがやることになり、ヨーコの役は犬尾に憧れて田舎から出てきた少女・西野ツル(小仮面の墓場.jpg野千春)がやることに。一方、稽古中に白浜の幻影を見た山口は、もうやってられないと出ていく。「邪魔をする奴は殺してやる」と言う犬尾に怖れを抱いたヨーコは逃げようとするが、犬尾に追い詰められ刺殺される。犬尾はその遺体もまたボイラーに。ツルがボイラーでヨーコの遺体を見つけたと言っても、「夢なんだよ」と。そこへスポットライトが当たり、夢と現実の区別がつかなくなった犬尾は、今度はツルを絞め殺す。そして、何も知らず様子を見に着たマネージャーの坂井(早川保)の前で狂気の一人芝居を演じ始め、舞台の上からスクリーン上の少年時代の海岸に彷徨い出て―。
  
唐 十郎 朝日賞.jpg仮面の墓場111.png 「恐怖劇場アンバランス」の第4話(制作№6)で、監督は山際永三、脚本は市川森一。そして、60・70年代に時代の最先端を走った状況劇場を率いていた唐十郎が、リアルタイムで"落ち目の劇団"の演出家を演じています。冒頭に、子供時代の犬尾が海岸で拾った義眼を見知らぬ女の子に持っていかれる回想シーンがあり、それが犬尾がいま演出している芝居のモチーフになっていたり、彼がツルの中にその女の子の面影を見たり、ツル=女の子を殺して、舞台から海岸に彷徨い出るラストに(最後は消えた?)繋がっているようですが、そうしたもやっとしたモチーフ(市川森一創案?)よりも、どんどん壊れていく男・犬尾を演じた唐十郎の生身のインパクトの方が相対的には強かったです。ただ、アイデンティティ・クライシスはこの当時からの唐十郎のテーマでもありました。
唐十郎 2012(平成24)年度・第83回「朝日賞」授賞式
唐十郎/橋爪功/緑魔子
(第4話)/仮面の墓場」  .jpg

仮面の墓場5.png仮面の墓場 h.png図61.png その他にも、'63年に日本公開されたイングマール・ベルイマンの「第七の封印」風の悪魔のお面(映画では"死神"。「月光仮面」にもこの手のお面を付けた敵役は出てくるが)を終始つけたまま演技している三谷昇、「最近テレビにも出始めた役者」という設定に当時は重なったのではないかと思われる橋爪功、いかにもこの話の60年代的な雰囲気に馴染む緑魔子など、周辺や細部にも見どころ緑魔子4.jpg橋爪功2.jpg三谷昇.jpgは多いのですが、唐十郎の怪演が大方のところを持っていってしまったという印象でしょうか。終盤、展開が加速的にシュールなっていく感じをよく体現していました。第2話「死を予告する女」の蜷川幸雄と同じく、他人に演出を施す人間は自らも演技達者なのだなあと思わされます(まあ、唐十郎の場合、自身も舞台に立っていたが)。

 唐十郎は幼年期に育った御殿場で、母親から「富士山の地底奥深くに地底人が住んでおり、地上侵略のため夕方辺りが薄暗くなると富士五湖から這い上がってきて侵略に来る」という作り話を吹き込まれ、子どもの時には信じていたそうで、その体験が後の作風に影響を与え、駅のコインロッカーの一部に異次元へと繋がるドアがあるとといった、義眼仮面の墓場.jpg初期戯曲にみられるモチーフの源泉になっているとのこと。この作品も、山際永三監督、市川森一脚本ではありますが、、個人的には、この作品自体を〈唐十郎演出〉作とみてもいいように思いました(ラストの一人芝居は本人の即興だったとか)。個人的評価は、義眼のモチーフについていけなかったものの、レア度を加味して星3つ半としました(「義眼」の意味については、テレビドラマデータベース「恐怖劇場アンバランス(第4回)仮面の墓場」にある白井隆二氏執筆「忘れていた映像の楽しさ」(「放送文化」(日本放送出版協会刊)1973年3月号)より引用)に詳しい)。

1(第4話)/仮面の墓場図.png仮面の墓場00.jpg「恐怖劇場アンバランス(第4話)/仮面の墓場」●制作年: 1969年(制作№6)●監督:山際永三●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:市川森一●音楽:冨田勲●出演:唐十郎×蜷川幸雄.jpg唐十郎/早川保/三谷昇/星紀一/小野千春/高野浩幸/天野照子/鶴ひろみ/橋爪功/緑魔子/青島幸男(解説)●放送:1973/01/29●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)

蜷川幸雄×唐十郎(2013)

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衝撃のどんでん返し。相手は「ゲーム」が始まる前に仕掛けていたわけか。

DVD恐怖劇場アンバランス Vol.2.jpg3殺しのゲーム title.jpg 1殺しのゲーム 岡田1.png
DVD恐怖劇場アンバランス Vol.2」「殺しのゲーム」岡田英次(岡田)

(第3話)/殺しのゲーム .jpg ある病院で、何者かが夜中に侵入してカルテが荒らされる異変があった。翌日、岡田正男(岡田英次)はその病院に来ていた。胃が変で、急激に痩せ、医者は胃潰瘍だと言うが...。病院の看護婦・明子(春川ますみ)から話があると言われ、岡田は彼女に会う。明子は昨日、病院に侵入したのが岡田ではないかと聞き、岡田が否定すると、実は岡田はガンであると打ち明ける。本当のことを告げた方が良いと思ったと。岡田は帰途、自分はじき死ぬのだとヤケになり、階段にしゃがんで涙していると、若い女が「おじさん、あたしと遊ぼうよ」と声を掛け、岡田を連れ出す。女は連れの若い男(石橋蓮司)と一緒に踊るが、岡田はそんな気になれない。家への帰途、今度は見知らぬ男に声を掛けられ、男は名刺を差し、鈴木正助(田中春男)と名乗る。鈴木は岡田の全てを知っていると言う。名前、年齢、勤務先はもちろん、妻が2年前に事故で亡くなっていることも、子供が無いことも、岡田が胃ガンで余命1年の命であることも。彼はあなたの死の恐怖を和らげてあげるという。実は、鈴木も肺ガンで岡田より長くは生きられないらしい。鈴木は岡田に、先が短いがん患者同士互いを殺し合う「ゲーム」をしようと誘う。お互いがいつ自分を殺すのか、どうやって相手を殺そうかと考えている間は死の恐怖から逃れられると。殺人者になるのは死刑が怖いからで、お互い余命1年程度の身な第03話 「殺しのゲーム」図4.pngら死刑も怖くないと話す。岡田は、自分は仕事に打ち込むとして、この申し出を断ろうする。岡田が病院へ行くと医者が岡田の兄が心配して弟の病状を聞きに来たというが、岡田には兄はいない。明子は代休で何も知らなかったが、医者は岡田の兄と名乗る人物は岡田の妻が亡くなったことも知っていたと話す。ある日、岡田が常務(増田順司)から静養を言い渡される。岡田の兄を語った人物が、会社に岡田が胃ガンであることを知らせたのだ、岡田は、打ち込もうと思った仕事もなくなり落胆する。マンションの前まで来ると、明子が待っていて、岡田と一緒に住み、ここから病院へ通うと言う。二人の同居生活が始まるが、明子は岡田の面倒を看てくれて、暫くは平穏な日々が続き、岡田は、同居しているうちに、明子に恋心を抱き始める。そんな折、鈴木の脅しが始まり、岡田は、次々と命を狙われるような出来事に遭遇するようになる―。

第03話 「殺しのゲーム」図5.png 「恐怖劇場アンバランス」の第3話(制作№9)で、監督は、第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」(制作№3)に続いて長谷部安春(放映順である「話数」と制作№がちょうど逆)。原作は西村京太郎の「殺しのゲーム」(『完全殺人』(角川文庫)所収)。西村京太郎と言うより、シリーズ第7話「夜が明けたら」の原作者・山田風太郎に作風が近いのではないかと思ったりしましたが、ラストはまさにミステリー作家ならではの衝撃のどんでん返しでした。

 事態が把握できるまでちょっと時間がかかったけれど、結局、鈴木が岡田について話したこと、また最後に自身について話したことは、岡田・鈴木それぞれの置かれている状況において、事実とはちょうど逆だったのだなあと。しかも、鈴木は、「ゲーム」が始まる前から、もう仕掛けをスタートしていたのだなあと。リアリティ面でどうかというのはありますが、プロットは秀逸だと思いました。結局、岡田を脅したのは鈴木だけれど、彼は最初と最後に登場するのと、あと、岡田の兄のふりをして病院に行ったり会社に行っただけで、不自然な出来事のほとんどの実行犯は......と、後でいろいろ考えていくと、結構怖いかも(最後に話したことの中に一部事実もあったわけだ)。

(第3話)/殺しのゲーム図4.png このシリーズの他のエピソードにもありますが、当時、本人へのガン告知が義務化されていなかったという前提条件のもとに成り立っている話ではあり、かつてはドラマなどで、ガンと知らされていない本人の前で無理して明るく振る舞うも、やがて泣き出して本人に知れるというのが"定番"としてあったりしました。ただ、今の時代には当てはまらない状況設定であることを割り引いても、これはこれで面白かったように思います。

 岡田英次は、増村保造監督の 「女体(じょたい)」('69年/大映)の時もそうでしたが、こうした鬱屈した役が合っているように見えました。鈴木を演じた田中春男も良石橋蓮司 第3話)/殺しのゲーム3.pngかったし、ぽっちゃり系の春川ますみもでいかにも包容感ありそうな感じでいいです。時代を反映していると思ったのは、石橋蓮司が演じる若い男が、岡田にチキンレースっぽい賭けを仕掛けて、結局、恋人と共にクルマごと海に落ちてしまう石橋 蓮司3.jpg場面で、いわば"時代の虚無感"を象徴しているでしょうか。作品的には"賭けの敗者"という位置づけで、ラストと対比させているのかもしれません。石橋蓮司は、「あらかじめ失われた恋人たちよ」('71年/ATG)の時よりかなり若く見え、髪の毛がふさふさであることにも、60年代末・70年代初期を感じました(笑)。

春川ますみ(明子)/田中春男(鈴木)
春川ますみ71.png 田中春男81.png

1(第3話)/殺しのゲーム図.png「恐怖劇場アンバランス(第3話)/殺しのゲーム」●制作年: 1970年(制作№9)●監督:長谷部安春●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:若槻文三●音楽:冨田勲●原作:西村京太郎「殺しのゲーム」●出演:岡田英次/石橋蓮司/米岡雅子/田中春男/増田順司/松本染升/小川幾太郎/和田啓/山岡勢津子/小沢美知子/永谷悟一/春川ますみ/青島幸男(解説)●放送:1973/01/22●放送局:フジテレビ(評価:★★★★)

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藤田敏八監督、小山内美江子脚本。蜷川幸雄が主役として頑張っていた「死を予告する女」。
恐怖劇場アンバランス 第02話 「死を予告する女」1.jpg 2話 「死を予告する女」蜷川.jpg 1話「木乃伊の恋」title.jpg 1話「木乃伊の恋」6.jpg
DVD恐怖劇場アンバランス Vol.1」「死を予告する女」蜷川幸雄(坂巻)/「木乃伊の恋」大和屋竺(定助)
恐怖劇場アンバランス vol1.jpg
 「恐怖劇場アンバランス」から。

第2話「死を予告する女」(制作№7) 
2話「死を予告する女」01.png 作詞家の坂巻(蜷川幸雄)には内縁関係の和恵(藤田佳子)と娘がいるが、籍も入れず、和恵が妊娠した際も、産みたければ勝手に産めばいいが自分は知らないとしていた。和恵には下積み時代に世話になったが、だからといって縛られたくはなかったのだ。その娘が危篤になり、和恵は坂巻に電話するが、坂巻は作曲家の久保(財津一郎)やプロデューサーの西田(名古屋章)らとレコーディング中でそれどころではない。帰宅時に乗ったタクシーで、運転手が、蛇が飼育箱ごと行方不明になったというニュースの話をする。坂巻が自宅マンションに帰ると、ドアの下の隙間に蛇のようなものが見え、ドアを開けるとドアチェーンが落ちていた。 部屋に入ってシャワーを浴びようとすると、鏡を通2話「死を予告する女」3.jpgして見知らぬ黒衣の女(楠侑子)がソファにいることに気づく。女は「あなたは明日の夜、12時13分にお亡くなりになります」と坂巻の死を予告する。坂巻は部屋を飛び出し、むしゃくしゃした気持ちのまま行きつけのクラブへ行くと、ママ(荒砂ゆき)が迎えてくれた。ふと気づくと、奥のテーブルに先ほど部屋にいた女が座って坂巻を見ている。それ以降、坂巻は女につきまとわれる。和恵に嫌がらせかと問い詰めるが、彼女は覚えがないと言う。道路沿いで女に出会った際に、彼が押し倒して車に轢かれたはずの女が忽然と消えたのを目の当たりにして彼の怯えは頂点に達し、久保に相談する。久保や西田も彼の異変に気づいて心配し、女が予告した時間まで二人とも坂巻の自宅で一緒にいることにする―。

蜷川幸雄.jpg 「恐怖劇場アンバランス」の第2話(制作№7)で、の藤田敏八(「八月の濡れた砂」('71年))監督、小山内美江子(「3年B組金八先生」)脚本ですが、2016年に亡くなった演出家の蜷川幸雄が主演であり、そちらの方での注目度が高いと思われます。この人は70年代には結構テレビドラマに俳優として出ていましたが、主演作品を今こうして観られるのは貴重かもしれません。'73年放映ですが、実際の制作は'69年で(シーリーごと3年余り"お蔵入り"になっていた)、 その年は蜷川幸雄が「真情あふるる軽薄さ」('69年)で演出家としてのスタートを切った年でもあります。

2005(平成17)年・第53回「菊池寛賞」授賞式
蜷川幸雄 菊池寛賞.jpg 「厳しい演出で知られた蜷川幸雄が、自身若い頃には実際どのような演技をしていたのか」的な気持ちで観てしまいましたが、財津一郎、名古屋章といった芸達者と互して主役を張るだけの演技をしていたように思います。強迫神経症的な状況に追い込まれる主人公を、意外とクセ無くリアルに演じていたと思います。太地喜和子 1.jpgただし、日経新聞の『私の履歴書』によると、俳優でありながら演出家として頭角を表しつつあったある日、出演していた時代劇「水戸黄門」を見た太地喜和子から、俳優としての演技にダメ出しされたことをきっかけに演出家一本に絞ることにしたそうで('73年から'79年にかけて「水戸黄門」に7回単発出演している)、太地喜和子が「白い巨塔」('78~'79年)に出ていた頃の話かと思われます。

1死を予告する女1.png ラスト近くで、坂巻の妻・和恵(藤田佳子)が、黒衣の女(楠侑子)と似たような雰囲気で坂巻・久保・西田ら3人の前に現れニンマリするところが、一つ読み解きのヒントかと思いますが、坂巻だけでなく久保(財津一郎)や西田(名古屋章)もそうした不思議な経験をするため、「全部が主人公の坂巻の妄想でした」では説明しきれない造作2話 「死を予告する女」楠侑子.jpg2話「死を予告する女」.jpgになっていて、これはこのシリーズの一つの特徴かもしれません。
楠侑子(黒衣の女)/藤田佳子(和恵)

山手教会地下「ジァン・ジァン」
山手教会地下「ジァン・ジァン」.jpg別役実.jpg 黒衣の女を演じた楠侑子は1933年生まれで撮影時36歳でした(劇作家の別役実(1937-2020)の妻で、渋谷の山手教会地下「ジァン・ジァン」で毎年男優一人を招いて別役作品を上演し続けていた。イラストレーターのべつやくれいは娘)。当時、名古屋章(1930年生まれ)よりは若かったですが、財津一郎(1934年生まれ)、蜷川幸雄(1935年生まれ)よりは年上でした。
蜷川幸雄(売れっ子の作家の酒巻)/楠侑子(謎の女:「あなたは明日の夜12時13分にお亡くなりになります」)
(第2話)/死を予告する女」.jpg

2話)/死を予告する女」 蜷川1.jpgゴーガの像1.pngゴーガの像図1.png また、坂巻の行きつけのクラブのママを演じた荒砂ゆき(1939年生まれ)は、谷崎潤一郎原作、神代辰巳監督・脚本の「鍵」('74年)に主演で出ますが、「ウルトラQ(第24話)/ゴーガの像」('66年)に「田原久子」の旧芸名で、アリーン(リャン・ミン)役でも出ていて、ああ、そう言えばこの「恐怖劇場アンバランス」も円谷プロだったかと改めて思ったりした次第です。

荒砂ゆき(クラブのママ)
荒砂ゆき in「ウルトラQ(第24話)/ゴーガの像」(1966)/映画「鍵」(1974)原作:谷崎潤一郎、監督:神代辰巳
「ゴーガの像」1荒砂.jpg 「ゴーガの像」3荒砂.jpg 2荒砂ゆき.jpg 3荒砂ゆき.jpg


第1話「木乃伊(ミイラ)の恋」(制作№10) 
1話「木乃伊の恋」11.jpg 山城の国の村里。一軒家の地面の下から鉦(かね)の音が聞こえる。家の百姓・正次(川津祐介)が掘り起こすと、そこに1話「木乃伊の恋」2.jpgは数百年前に入定した僧のミイラが手だけを動かして鉦を叩いている。復活したミイラは次第に生気を取り戻し、定助(大和屋竺)として村人と暮らすようになるが、生前の過度の禁欲の反動からか、老婆にちょっかいを出し、知恵遅れの後家と交わり、金色の「お仏様」を産み落とす。最初は畏怖の念を抱いてた村人たちも、すぐに彼を「入定の定助」とバカにするようになり、その振る舞いに呆れた挙句―。

 「恐怖劇場アンバランス」の第1話として放映されたものですが、制作№は「10」であり、第2話より3つ後です。このシリーズ、おおよそ3年のお蔵入り期間を経て放映された13話のうち、制作No.7まではオリジナル脚本のホラー路線だったのが、制作No.8以降は原作つきのサスペンスに路線変更しています。

1話「木乃伊の恋」09.jpg この「木乃伊の恋」は、円地文子が江戸の古典「春雨物語」に材を得た「二世の縁 拾遺」(『妖・花食い姥』(講談社学芸文庫)所収)を原作とし、鈴木清順が監督しています。上田秋成の「春雨物語」は、村上春樹の『騎士団長殺し』のモチーフと1話「木乃伊の恋」10.jpgしても使われていますが、円地文子版及びこの映像化作品では、先に挙げた「春雨物語」の江戸時代の話を挟んで、「笙子」を主人公とする現代の話があって、国文学者の布川(浜村純)から「春雨物語」は実話だと聞かされた笙子(渡辺美佐子)は戦時中に夫が亡くなった工場跡を訪れ、そこで死んだはずの夫と再会し雨の中で愛し合うが、その間に、つい先ほど病床にありながら彼女に言い寄った布川が、今しがた急逝したことを駆けつけた女中から知らされる―。

1話「木乃伊の恋」5.jpg こうして見ると確かにサスペンスと言えばサスペンスですが、「春雨物語」の部分がぶっ飛んでいて、(それがいいとい人もいるかもしれないが)個人的にはややついていけなかったです。鈴木清順が映画「殺しの烙印」('67年/日活)を撮って、当時の日活社長から「わからない映画を作るな」と干されて映画撮影が出来なかった頃の作品で、後の清順作品に見られる映像的な美意識はあまり感じられず、ミイラにしても「お仏様」にしてもただただ気持ち悪かったです。このシリーズ13話のうち、どの系統にも属さない異色作であり、なぜこれを第1話にもってきたのか、その意図がよく分かりませんでした。

川津祐介(正次・江戸時代の百姓)/大和屋竺(定助・数百年前に入定しミイラとして甦った僧))/渡辺美佐子(笙子・病床の師から「春雨物語」の口語訳を引き受けた)
(第1話)/木乃伊(ミイラ)の恋」.jpg

蜷川幸雄(謎の女に自らの死を予告される売れっ子の作家の酒巻)
(第2話)/死を予告する女 2.png2話「死を予告する女」4.jpg「恐怖劇場アンバランス(第2話)/死を予告する女」●制作年:1969年(制作№7)●監督:藤唐十郎×蜷川幸雄.jpg田敏八●監修:円谷英●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:小山内美江子●音楽:冨田勲●出演:蜷川幸雄/財津一郎/名古屋章/藤田佳子/荒砂ゆき/中原成男/小林寛/田中賎男/中ことみ/福田えみこ/福光洋子/楠侑子/青島幸男(解説)●放送:1973/01/15●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)   蜷川幸雄×唐十郎(2013)   
(第2話)/死を予告する女 .jpg

(第1話)/木乃伊(ミイラ)の恋 .jpg       
恐怖劇場アンバランス/ミイラの恋1.jpg1話「木乃伊の恋」4.jpg「恐怖劇場アンバランス(第1話)/木乃伊(ミイラ)の恋」●制作年:1970年(制作№10)●監督:鈴木清順●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:田中陽木乃伊(ミイラ)の恋  9.jpg造●音楽:冨田勲●原作:円地文子「二世の縁 拾遺」●出演:渡辺美佐子/浜村純/大和屋竺/加藤真知子/田中筆子/瀧那保代/昔々亭桃太郎/早(第1話)/木乃伊(ミイラ)の恋」51.png川研吉/白田和男/中原淑子/中原成男/相生千恵子/関陽子/市来まさみ/恒吉雄一/羽鳥靖子/川津祐介/青島幸男(解説)●放送:1973/01/08●放送局:フジテレビ(評価:★★★)

渡辺美佐子
      
恐怖劇場アンバランス Blu-ray BOX」(2016年リリース)
恐怖劇場アンバランス 1973.jpg
「恐怖劇場アンバランス」●監督:鈴木清順/藤田敏八/長谷部安春/山際永三/神代辰巳/森川時久/黒木和雄/満田かずほ/鈴木英夫/井田探●監修:円谷英二●特撮:佐川和夫●制作年:1969年8月~1970年4月●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:田中陽造/小山内美江子/若槻文三/市川森一/山崎忠昭/滝沢真里/満田かずほ(禾+斉)/山浦弘靖/上原正三●音楽:冨田勲●解説:青島幸男●放映:1973/01~04(全13回)●放送局:フジテレビ

「恐怖劇場アンバランス」(全13話)放映ラインアップ
話数 制作No. サブタイトル ☆原作 脚本/監督
第1話 10 木乃伊(ミイラ)の恋 ☆円地文子 田中陽造/鈴木清順
第2話 7 死を予告する女 小山内美江/藤田敏八
第3話 9 殺しのゲーム ☆西村京太郎 若槻文三/長谷部安春
第4話 6 仮面の墓場 市川森一/山際永三
第5話 5 死骸(しかばね)を呼ぶ女 山崎忠昭/神代辰己
第6話 11 地方紙を買う女 ☆松本清張 小山内美江子/森川時久
第7話 12 夜が明けたら ☆山田風太郎 滝沢真理/黒木和雄
第8話 8 猫は知っていた ☆仁木悦子 満田穧(かずほ)/満田穧
第9話 3 死体置場(モルグ)の殺人者 山浦弘靖/長谷部安春
第10話 13 サラリーマンの勲章 ☆樹下太郎 上原正三/満田穧
第11話 2 吸血鬼の絶叫 若槻文三/鈴木英夫
第12話 1 墓場から呪いの手 若槻文三/満田穧
第13話 4 蜘蛛の女 滝沢真里/井田 探

制作№順
制作No. 話数 サブタイトル ☆原作 脚本/監督
1 第12話 墓場から呪いの手 若槻文三/満田穧
2 第11話 吸血鬼の絶叫 若槻文三/鈴木英夫
3 第9話 死体置場(モルグ)の殺人者 山浦弘靖/長谷部安春
4 第13話 蜘蛛の女 滝沢真里/井田 探
5 第5話 死骸(しかばね)を呼ぶ女 山崎忠昭/神代辰己
6 第4話 仮面の墓場 市川森一/山際永三
7 第2話 死を予告する女 小山内美江/藤田敏八
8 第8話 猫は知っていた ☆仁木悦子 満田穧/満田穧
9 第3話 殺しのゲーム ☆西村京太郎 若槻文三/長谷部安春
10 第1話 木乃伊(ミイラ)の恋 ☆円地文子 田中陽造/鈴木清順
11 第6話 地方紙を買う女 ☆松本清張 小山内美江子/森川時久
12 第7話 夜が明けたら ☆山田風太郎 滝沢真理/黒木和雄
13 第10話 サラリーマンの勲章 ☆樹下太郎 上原正三/満田穧

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雪女の正体とは? 相変わらずのユル~イ終わり方だが、これが最終回。

26話)ゆきおんな1.jpg k26_14.jpg 26話)ゆきおんな0.jpg
第26話「ゆきおんな」
26話)ゆきおんな21.jpg さおり(小橋玲子)の友人・秋子(松木路子)のもとに、那須のホテルへの差出人不明の招待状が届く。彼女はその招待に応じてホテルに26話)ゆきおんな31.jpg行き、SRIのメンバーがホテルのスタッフに変装するなどしてのガードのもと、さおりと共にホテルに泊まることに。彼女たちの部屋には謎めいた雪女の絵が飾られていた。26話)ゆきおんな41.png秋子は、今回の招待は死んだはずの自分の父からのものではないかと考える。 そして彼女の周りに謎の男達がうろつき始める。やがて銃を持った男が捕らえられ、警察の取り調べで、15年前のダイヤ盗難事件の犯人の一味であ<ることが分かる。彼女の父はそのグループの首謀者だったのだ。部屋の雪女の絵から地図を入手した彼女は、地図に書かれた場所に行ってダイヤを手に入れるが、一味が彼女を追って来る。雪降る中、ダイヤをばらまき助けを求めながら荒野を逃げる彼女。 突如、地平の彼方に巨大な雪女の顔が現れる―。

飯島敏宏.jpg 第26話で、制作№も26で、26話中5本メガホンを取った飯島敏宏(1932年生まれ)監督作。那須高原のホテルにメンバー揃ってのロケで、番組も高視聴率で予算も潤沢なのだろうなあと思ったら、ホテルとのタイアップだったため、変な(?)ショーのシーンとかホテルの全景を入れるたk26_08.jpgk26_01那須ロイヤルホテル.jpgk26_28ダンサー(那須ロイヤルダンスチーム).jpgめに大雪の中、夏タイヤの赤いスポーツカーで無理矢理坂道を登るシーンを撮った、とか予算にも恵まれず大変だったそうです。そして、結局これがシリーズ最終作になりました。タイトルはモロに「怪奇」ですが、内容は娘と父母の愛情物語の色合いが濃かったです。

 しかし、母親が雪女に雪女になって現れるというのもスゴイね。ラスト、ヒロインの秋子が「雪女が私を守ってくれたんだ、私のおかあさんよ」と感激に打ち震え、的矢所長(原保美)も、「秋子さんを守ってくれたのは雪女だ。君とそっくりなおかあさんだったんだ」と。

26話)ゆきおんな61.jpg なぜ、彼女のことを母親を知らない的矢が「君とそっくりなおかあさん」と言うのかと思ったら、すぐ後で三沢(勝呂誉)が、牧(岸田森)や野村(松山省二)と野原に散らばったダイヤを探しながら、「ある時の気象条件によって自分自身の影が雪のスクリーンに映し出されることがある」と説明しています(雪女役も松木路子だったということ26話)ゆきおんな5.jpgか)。「雪女の現象っていうのはだいたいそんなようなもんだ」とまで言われてしまうとエエーッと言いたくなりますが、「しかし、現在は広い原っぱにばら撒かれたダイヤモンドを探すことの方がはるk26_59.jpgかに難しい」って、どういう文脈になっているのか(笑)。視聴者に深く突っ込まれないようにするため? ダイヤが見つかる可能性に比べれば、雪女現象の方が簡単に起こり得ると言いたい?

 広い荒野で3人でダイヤを探し出すのは「難しい」と言うより「絶対無理」だし、そう思ってるのか思ってないのか、全然本気で探している風でもなく極めていい加減な感じで、このユル~イ終わり方も「怪奇大作戦」の1つの特徴と言えば特徴ですが、全然最終回らしくはなく、「また来週」といった感じでした。

 ここまでの視聴率は平均22.2%と当時としても悪くない数字だと思いますが、わずか2クールで終わってしまったのは、スポンサーの武田薬品の要求水準が高かったのと、世間全体に「妖怪」ブームが「スポ根」ブームにとって代わられる兆しが見られたことが原因らしいです。ただ、この「打ち切り」にも近い番組終了によって円谷プロは受注が途絶え、リストラを断行せざるを得なくなり、ウルトラマンの生みの親の一人、金城哲夫なども円谷プロを去ることになります。

松木路子.jpg井上秋子、雪女(2役)(松木路子).jpg 因みに、このエピソードでヒロインの秋子(雪女と二役)を演じた松木路子(1946年生まれ)は、デビュー当時は聖みち子の芸名で活動していましたが、1968年に当時の本名である松木路子に改名、26歳の時にテレビドラマ監督の永野靖忠と結婚し、1974年引退後2児をもうけますが、この間、70年に主演したライオン奥様劇場「罪人形」が高視聴率をマーク、70年代には「昼帯(ひるおび)の女王」と呼ばれるほど昼ドラマなどで活躍しています。さらに、夫・永野の病死(肝臓がん)により今度は「経済のため」和服デザインの仕事をし、2013年アメリカ人の大学教員と国際結婚、帰国後は1998年に着物デザイナーとしてデビューし、女優業も再開して、最近では料理教室の運営やコラム執筆も手掛けるというマルチぶりを見せています。

小松方正(秋子の父・角田彦次郎)
k26_16.jpgk26_46雪女.jpg「怪奇大作戦(第26話)/ゆきおんな」●制作年:1969年(制作№26)●監督:飯島敏宏●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:藤川桂介●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/小松方正/松木路子/阿部希郎/稲吉靖/宮浩之/上西弘次/大木史郎/山口雅生/小松方正岡﨑夏子●放送:1969/03/09●放送局:TBS(評価:★★★☆)

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大人のラブストーリー。「怪奇大作戦」らしくないと思わせておいて、最後に「らしさ」も。

25話)/京都買います 01.jpg 25話)/京都買います06.png 25話 京都買います121.jpg
第25話「京都買います」 勝呂誉(下)  岸田森/斉藤チヤ子
25話 京都買います t2.jpg25話)/京都買います022.jpg 京都の寺で仏像が消失する事件が連続発生する。牧は考古学の権威・藤森教授を大学に訪ねるが、そこに助手として働いていた須藤美弥子(斉藤チヤ子)が彼の目にとまる。その夜、美弥子は盛り場で「京都を売って下さい」というビラを若者に配っていた。牧が彼女に話を訊くと、美弥子は仏像の美しさを分からない人々から京の都を買いたいのだと言う。25話)/京都買います03.jpg牧は京都を愛する彼女の話を聞き、次第に二人の距離は近くなる。一方、仏像消失事件は更に続出、その現場には常に美弥子らしき人物が訪れていたという。事件との関連を感じながらも、牧は彼女に惹かれていく。そんな中、SRIでは物質電送の原理を解明し、現場から発信装置を発見する。苦悩しつつ美弥子を尾行する牧。やがてある寺で、彼女が発信装置を取り付ける現場を目撃する―。

25話)/京都買います 13.png 監督は第23話「呪いの壷」と同じく実相寺昭雄で、「呪いの壷」の制作№が16でこの「京都買います」が17なので、出張ロケで2作続けて撮ったのでしょう。但し、やっつけ仕事で作っ印象は全くなく、むしろシリーズの中でも最高傑作との誉れ高いエピソードとなっています。

 美弥子(名前がミヤコ!)が夜出かけるのが当時の所謂ゴーゴー喫茶で、古都の街並みと"現代"風俗を多比的に映し出しているところなどは、美弥子の「京都買います」の意図が発展し変化する京都に何の思いも感じない人々への憤りからきていることからすると、背景の描き方としてもメッセージ性があって旨いと思います(ゴーゴー喫茶も今はレトロではあるが)。

25話)/京都買います11.jpg25話 京都買いますes.jpg カドミウム光線により仏像を物質転送させるというのが、怪奇モノとは言え随分粗っぽいようにも思いますが、観ていくうちにいつの間にか牧と美弥子の"恋愛モノ"になっていき、そんなことはどうでもよくなって、古都を背景とした、しっとりとした大人のラブストーリーとして楽しめます(放送当時の評価は低かったようだが、後に再評価されるようになった)。

東福寺・通天橋
25話)/京都買います04.png 因みに、場面ごと違った寺や同じ寺でも別の場所でロケしていて、出てくる寺は、①金戒光明寺・長安院(美弥子を追う牧)、②平等院・鳳凰堂(堂の前に座る美弥子)、③金戒光明寺・三門(語らう牧と美弥子)、④萬福寺・天王殿(現場検証するSRIメンバーら)、⑤東福寺・通天橋(共に歩く牧と美弥子)、⑥金戒光明寺・阿弥陀堂(美弥子を見張る牧)、⑦慈照寺・観音殿[銀閣](庭園を歩く牧)、⑧化野念仏寺・西院の河原(石仏群の中を歩く牧)、⑨常寂光寺・仁王門(萱葺き屋根の門を歩く牧)、⑩二尊院・栄子内親王墓(石灯篭の間でたたずむ牧)、⑪光悦寺・参道(門をくぐり石畳をステップする牧)、⑫祇王寺(ラストの尼寺)と、ざっとみてもこれだけある凝り様!!

25話)/京都買います07.jpg 最終的には牧の捜査によって教授の犯行が暴かれ、美弥子も当事者(と言うより共犯だけどなぜか逮捕されていない)であるため二人の恋は悲恋に終わり、牧が訪ねた尼寺で美弥子は出家して正蓮尼という尼さんになっているわけですが、牧が立ち去ろうとして正蓮尼こと美弥子を振り返ると、彼女はなんと仏像になっていた―。

 傑作だけれど「怪奇大作戦」らしくないなあと思わせておいて、最後にきっちり「らしさ」を見せるとともに、正蓮尼は実在したのか、実は美弥子は逮捕されていて、牧が見たのは美弥子が彼女の今の気持ちを牧に伝えるために牧の前に現出せしめた幻だったのではないかとか、いろいろ思いを巡らされる深みのある終わり方となっています。シリーズ№1エピソードに挙げるファンが多いのも頷けます。

斉藤チヤ子(須藤美弥子)
25話)/京都買います miyako1.png25話 京都買います11.jpg「怪奇大作戦(第25話)/京都買います」●制作年:1969年(制作№17)●監督:実相寺昭雄●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:山浦弘靖●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/斉藤チヤ子/岩田直二/佐藤祐爾●放送:1969/03/02●放送局:フTBS(評価:★★★★)
斉藤チヤ子「愛のバルコニー」(1962)
斉藤チヤ子2.jpg

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後味悪い結末はこのシーリーズらしい(笑)。「欠番」(放送禁止)になったのはなぜか。

23話)/呪いの壷 9.jpg 24話)/狂鬼人間 ki3.jpg 24話)/狂鬼人間 ki.png
第24話「狂鬼人間」姫ゆり子(美川冴子)
24話)/狂鬼人間3.png24話)/狂鬼人間2.jpg SRIは殺人を犯した犯人が心神喪失で無罪となり精神病院に送られるものの、じき恢復して退院してしまうといという事態を目の当たりにする。そして、一連のことの背後にある女性がいることを突き止める。その女性・美川冴子(姫ゆり子)には、家族が精神異常者に惨殺されるが、刑法第39条第1項「心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス」(当時)が適用され、犯人は精神鑑定で無罪になったという過去がある。実は、科学者である冴子が復讐のため、法律を逆利用した「狂わせ屋」を開業していたのだ。それは冴子が開発した特殊な機械により、人間を一時的に精神異常に仕立て上げ、その間に殺人を犯させることで無罪にするというものだった―。

424話)/狂鬼人間.jpg 1969(昭和44)年2月23日の放映後、1984(昭和59)年に岡山放送で再放映されたのを最後に再放送されておらず、1984年のビデオ化、1991年にはLDも発売されたものの発売と同時に回収され、1995年のLD-BOX所収を最後に(当LD-BOXは発売前に回収された)、その後ソフト化もされていない作品です。

24話)/狂鬼人間5.jpg 監督は満田穧(かずほ)で「『怪奇大作戦』での監督作品はこの作のみ(後継番組の「恐怖劇場アンバランス」(フジテレビ)では複数作監督している)、脚本は山浦弘靖。牧史郎(女性科学者の罠に嵌って一時的に狂気に陥り、仲間を撃ち殺そうとする!)役の岸田森はこの脚本に惚れ込み、港区瑞聖寺の境内に当時あった自宅を撮影場所として提供したとのことです。

24話)/狂鬼人間10.jpg24話)/狂鬼人間6.jpg しかしながら、この回は実質「欠番」(放送禁止)になってしまったわけで、その理由は公式には発表されていませんが、このことを扱った本などでは、「精神異常者の描写に問題があるため」「差別用語が頻発するため」といった推測がなされています。個人的には、いつものように事件を振り返るエピローグで、3第24話)/狂鬼人間.jpg原保美演じる的矢所長が「ニッポンのように精神異常者が野放しにされている国はないよ」と言い放ち、「政府はもっと考えてくれなきゃねえ」とまで言ってしまっているのが、後でこれはまずいということになったのではないかと思います。自粛したのか外からの圧力があったのか、圧力があったとすればどのレベルからの圧力かはわかりませんが。

 出演者たちの狂気の演技は悪くなく、後味悪い結末もこのシーリーズらしくて(笑)、出来としてはまずまずでしたが、シリーズで唯一「欠番」になって伝説化したことが、この作品の最大の特徴と言えるかもしれません。

姫ゆり子(美川冴子)
24話)/狂鬼人間9.jpg424話)/狂鬼人間2.jpg「怪奇大作戦(第24話)/狂鬼人間」●制作年:1969年(制作№25)●監督:満田穧(かずほ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:山浦弘靖●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/姫ゆり子/笹岡勝治/和田良子/大村千吉/水野小夜子/代田英介/入江正徳/杉田紘助/林よし子/山田圭介/新裕子●放送:1969/02/23●放送局:TBS(評価:★★★☆)

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シリーズの中でも圧巻の特撮・妙顕寺炎上シーン。

23話)/呪いの壷   t.jpg 呪いの壷 怪奇大作戦ド.jpg 呪いの壷 怪奇大作戦.jpg
第23話「呪いの壷」花ノ本寿(日野統三)/松川純子(市井信子)
23話)/呪いの壷 12.jpg 京都で、老人が縁側で骨董の壺をのぞき込んだところ、目が焼かれ絶命するという奇怪な事件が発生し、その後も古い壷を買った人物が次々に謎の死を遂げる。京都府警の依頼を受け、町田警部と共に府警の鑑識を訪れたSRIのメンバーは、壷を売った店の店員の日野統三と23話)/呪いの壷 2.pngいう青年に目をつける。統三はある陶芸家の息子で、その陶芸家は店からの要望に応えて壷を作り、その壷は数百年前の値打ち物として店に並べられるのだった。統三は病に侵されていたが、そうでなければ父の後を継ぎ父と同じ贋作者となるはずだった。 父の作品にその名を冠することができない贋作者の息子として悔しさを秘め、統三はとある山中から謎の土を持ち帰る。SRIはその土を調べるが、それは光に刺激されて有害なリュート線を放射するものだった―。

23話)/呪いの壷 3.png 監督はTBS社員だった頃の実相寺昭雄、脚本は石堂淑朗。話23話)/呪いの壷 41.pngとしては不本意のまま贋作を売らざるを得なかった若者の復讐劇といったところですが、ラストでSRIに犯行を覚られ、追い詰められてとった行動が、寺1つ燃やして焼身自殺(リュート線自殺でもある)するというものでした。犯人である主人公には彼のことを心配する恋人もいたりして、ちょっと哀しい結末でした。

23話)/呪いの壷 5.jpg この寺を燃やすシーンが凄かったです。京都・妙顕寺を燃やしているのですが、燃え方があまりにリアルで、放映時には本当に火事になったと思われ、電話が殺到したとか。実際はもちろん本物の妙顕寺ではなく6分の1の模型(通常1/20サイズで作られるミニチュアを1/6サイズで作った)を燃やしているのですが、極めて精23話)/呪いの壷 901.jpg緻に作られていたため、視聴者から本物と思われたみたいです(実在の門と焼け落ちるミニチュアの伽藍を合成したりしている)。

 「光に当たると有害なリュート線を発する土」ってどう説明つけるのかなと思ったら、土を掘り出していたのは、旧陸軍の秘密研究所があったところだったという...。「戦争のたびに科学が進歩する、か」と所長の的矢が呟いてそれ以上の解明はしないところが「怪奇大作戦」らしいです(笑)。でも、シリーズの中でも圧巻の特撮・妙顕寺炎上シーンがあるので、星4つとしました。

実相寺昭雄1.jpg「怪奇大作戦(第23話)/呪石堂淑朗.jpgいの壺」●制作年:1969年(制作№16)●監督:実相寺昭雄●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:石堂淑朗●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/花ノ本寿/北村英三/浮田左武郎/松川純子/北原将光/西山辰夫●放送:1969/02/16●放送局:TBS(評価:★★★★)

実相寺昭雄1石堂淑朗.jpg石堂淑朗(1932-2011)
実相寺昭雄(1937-2006)

 
 
 
 
 
石堂淑朗の脚本作品(映画・TV番組)
映画
太陽の墓場』(1960年)
日本の夜と霧』(1960年)
『丹下左膳 乾雲坤竜の巻』(1962年)
『天草四郎時貞 』(1962年)
『非行少女』(1963年)
『水で書かれた物語』(1965年)
『ちんころ海女っこ』(1965年)
『女のみづうみ』(1966年)
『樹氷のよろめき』(1968年)
『無常』(1970年)
『曼陀羅』(1971年)
『哥』(1972年)
『性教育ママ』(1973年)
『任侠外伝 玄海灘』(1976年)
『暗室』(1983年)
『南極物語』(1983年)
『ジャズ大名』(1986年)
『黒い雨』(1989年)
『眠れる美女』(1995年)
『いのちの海-Closed Ward-』(2001年)

TV番組
『おかあさん』(1962年、TBS)
『三匹の侍』(1963年、フジテレビ)
『マグマ大使』(1966年、フジテレビ)
『文五捕物絵図 』(1967年、NHK)
『われら弁護士』(1968年、日本テレビ)
『風』(1968年、TBS)
『怪奇大作戦 』(1968年、TBS)
『飢餓海峡』(1968年、NHK)
銀河ドラマ 『ゼロの焦点』(1971年、NHK)
『帰ってきたウルトラマン』(1971年、TBS)
『刑事くん』第1部(1971年、TBS)
『天皇の世紀』(1971年、TBS)
『シルバー仮面』(1971年、TBS)
銀河ドラマ『霧の旗』(1972年、NHK)
『ウルトラマンA』(1972年、TBS)
銀河テレビ小説 『楡家の人びと』(1972年、NHK)
『必殺仕掛人』(1972年、朝日放送)
『赤ひげ』(1972年、NHK)
『経験』(1974年、東海テレビ)
『ウルトラマンタロウ』(1973年、TBS)
『子連れ狼』(1973年、日本テレビ)
『追跡』(1973年、フジテレビ)
『刑事くん』第3部(1973年、TBS)
『もしも...... 』(1973年、東海テレビ)
『日本沈没 』(1973年、TBS)
『ウルトラマンレオ』(1974年、TBS)
『ザ・ボディガード』(1974年、テレビ朝日)
『天下堂々 』(1974年、NHK)
『怪奇ロマン 君待てども』(1974年、東海テレビ)
『刑事くん』第4部(1974年、TBS)
銀河テレビ小説『夜の王様』(1975年、NHK)
『ザ★ゴリラ7』(1975年、テレビ朝日)
銀河テレビ小説『崖』(1975年、NHK)
『冒険』(1975年、東海テレビ)
『幼年時代』(1976年、NHK)
銀河テレビ小説『霧の中の少女』(1976年、NHK)
連続テレビ小説 『火の国に』(1976年、NHK)
『暗い落日』(1977年、NHK)
『祭ばやしが聞こえる』(1977年、日本テレビ)
土曜ドラマ 『松本清張シリーズ・棲息分布』(1977年、NHK)
『愛人』(1978年、フジテレビ)
『飢餓海峡』(1978年、フジテレビ)
『混声の森』(1978年、TBS)
銀河テレビ小説『わかれ道』(1978年、東海テレビ)
少年ドラマシリーズ 『七瀬ふたたび』(1979年、NHK)
『家路~ママ・ドント・クライ』(1979年、TBS)
『ウルトラマン80』(1980年、TBS)
『同心暁蘭之介』(1981年、フジテレビ)
火曜サスペンス劇場 『愛の報酬』(1983年、日本テレビ)
ザ・サスペンス 『悪霊の午後』(1983年、TBS)
『復讐するは我にあり』(1984年、TBS)
火曜サスペンス劇場『水の迷路』(1984年、日本テレビ)
火曜サスペンス劇場『描かれた女』(1985年、日本テレビ)
水曜ドラマスペシャル 『欲ばり家の人々』(1986年、TBS)
『それぞれの旅立ち』(1988年、TBS)
『ヒロシマ 原爆投下までの4か月』(1996年、NHK)

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コンピュータ社会批判(第20話)とクルマ社会批判(第22話)だが、片や原理不明、片や犯人不明(笑)。
20)/殺人回路_15.jpg  22話)/果てしなき暴走_title.jpg 怪奇大作戦(第22話)/果てしなき暴走ロード.jpg
第20話「殺人回路」キャシー・ホーラン      第22話「果てしなき暴走」
(下)平田昭彦/宇佐美淳也
20話)/殺人回路_01.jpg 的矢(原保美)に大学時代の親友・伊藤(神田隆)から電話がかかってくる。 彼の会社では前社長が急死して今の社長(宇佐美淳也)が就任したばかりだが、その社長室にある絵とそっくりの女神ダイアナ(キャシー・ホーラン)が歩き回っていたというのだ。 的矢は牧(岸田森)と共に20話)/殺人回路_06.jpg夜に会社に忍び込むと、絵からダイアナが抜け出しドアをすり抜けて出て行ってしまう。 後を追う二人。ダイアナは一人残っていたプログラマの岡(杉裕之)に矢を向ける。彼は新社長の命令で殺人プログラムを制御していたのだった。彼は的矢たちと共に逃げる際にプログラムを止め忘れ、安全だと思われたエレベータ内で二人が見ている前でダイアナの矢に射抜かれる。その後、的矢と牧が調査にあたっている最中にも、ダイアナが抜けだし、第二の殺人が目前で行われるが阻止出来なかった。二番目の殺人の犠牲者は社長で、実はこれは、今度専務から新社長になった社長の息子(平田昭彦)の仕業だったのだ―(第20話「殺人回路」)。

20話)/殺人回路_14.jpg 脚本は市川森一と福田純(「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」('66年/東宝)の監督)の共作となっていますが、実際には市川森一の脚本を福田純が大幅に改稿したもので、後に市川森一は「非常に不本意だった」とコメントしています。元々は父親と息子の近親憎悪がテーマだったらしいですが、福田純がそれを企業サスペンスものへ原型をとどめないぐらいまで改稿しています。ただ、コンピュータの反逆は「2001年宇宙の旅」的モチーフであり、なかなかのもの。また、コンピュータ計算で各種データと確率を出し、それに基づく経営方針や人事を設定するというのは、IBMの「ワトソン」による経営分析や、最近の所謂「AI人事」などで俄かに現実味を帯びており、その意味でたいへん先駆的であると言えます。(このエピソードでは、コンピュータ経営は一見効率の良さそうだが、人間がコンピュータを使うのではなくて、逆に支配されてしまうと愚行が行われるという批判的立場だが、その点でも示唆的と言える)。

20話)/殺人回路_18.jpg 惜しむらくは、ダイアナって結局ホログラムみたいなものであるわけですが、ホログラムに人が殺せるのかという点がひっかかるところです。最初の宇佐美淳也演じる社長の死は、もともと社長は心臓が悪かったということで心臓麻痺で説明できるにしても、杉裕之演じる若いプログラマが「ホログラムの矢」に斃れたことの方は、どういう原理なのか説明つかないと思われ、もやっとした印象が残ってしまいます。まあ、こうした終わり方は、このエピソードに限ったことではなく、次に取り上げる第22話の「果てしなき暴走」などは、犯人が分からず仕舞いのまま終わっていますが...。


22話)/果てしなき暴走ロード.jpg 深夜の第三京浜高速道で、自動車3台が暴走する三重衝突事故が起きる。22話)/果てしなき暴走_33.jpg捜査中の三沢は「トータス」号をヒッピー(久里みのる)のカップルに奪われるが、彼らも、やはり事故を起こす。さらに、三沢(勝呂誉)が同乗した野村(松山省二)のクルマも、運転中に野村が人が変わったようになり暴走、事故になりかける。どうやら、女優・眉村エミ(久万里由香)を乗せた赤いスポーツカーが通ると、排気ガスを浴びた後続の車が次々と事故を起こして怪奇大作戦(第22話)/果てしなき暴走 61.jpg22話)/果てしなき暴走_09 hippi-.jpgいるようだ。野村が運転するクルマも偶然それに遭遇し、排気ガスを浴びたのだった。捜査の結果、疑わしい人物は比較的簡単に特定出来たのだが―(第22話「果てしなき暴走」)。

22話)/果てしなき暴走_371.jpg いやー、ホントに迷宮入りのまま終わってしまいました。SRIは、事故を引き起こしていたのは赤いスポーツカーのエンジンオイルに仕込まれた神経ガスだとその「原理」までは突き止めたのですが、被疑者に「俺じゃねぇ...頼まれたんだ...」と言い残されて死なれてしまうし。脚本の市川森一によると、「自分たちがよしと思っているものが凶器になる」という逆の発想で執筆したのことで、ラストについては、「これは犯人が捕まらない話というより、今の車社会全体が犯人だという風に、それを誰かに押22話)/果てしなき暴走_36.jpgしつけるのは文明批評にならないと思ったんです。車社会全体への警告にするには、犯人を拡散して〈あなたも〉犯人の一人だと言った方がいいと思ってわざとそうしたんです」と、語っています(ハンドルを握る限りは誰でも加害者になり得るということか)。

22話)/果てしなき暴走_07.jpg 犯人不明のまま終わるのでフラストレーションは残りますが、時代の雰囲気は出ていたでしょうか。劇中に牧(岸田森)の「東京は半径50キロのところに200万台近くがひしめきあってんだ。それがいっぺに暴走したら怖いだろうね」「交通事故なら50秒に1件、犠牲者は38秒に1人」といったセリフがありますが(後者は「38分」の言い間違えだろう、因みに第9話「散歩する首」に野村のセリフとして「39分に1人死亡、41秒に1人負傷者だ」というのがある)、当時は第1次交通戦争の真っただ中で、1970年の交通事故死者が1万6765人(沖縄を除く)で過去最悪となっています(因みに2019年の交通事故死者数は過去(1948年以降)最少の3215人)。「迷宮入り」にも訳があるということで、一応「○」にしました。

20話)/殺人回路_title.jpg20話)/殺人回路_211.jpg「怪奇大作戦(第20話)/殺人回路」●制作年:1969年(制作№22)●監督:福田純●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:市川森一/福田純●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/平田昭彦/宇佐美淳也/神田隆/キャシー・ホーラン/杉裕之●放送:1969/01/26●放送局:TBS(評価:★★★☆)
        
キャシー・ホーラン in「あの頃映画 「吸血鬼ゴケミドロ」 [DVD]」('68年/松竹)/「あの頃映画 「昆虫大戦争」 [DVD]」('68年/松竹)
『吸血鬼ゴケミドロ』.jpg 吸血鬼ゴケミドロ1.jpg  『昆虫大戦争』.jpg 昆虫大戦争1.jpeg 

22話)/果てしなき暴走_x1080.jpg怪奇大作戦(第22話)/果てしなき暴走5.jpg「怪奇大作戦(第22話)/果てしなき暴走」●制作年:1969年(制作№24)●監督: 鈴木俊継●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:市川森一●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/万里由香/久里みのる/近藤宏/椎谷健二/五條真紀/柳家せん一/中島恵美子●放送:1969/02/09●放送局:TBS(評価:★★★☆)

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突っ込みどころはあるけれど、格差社会の問題を扱った先駆と取れなくもない。

16話)/かまいたち.jpg 16話)/かまいたち2.jpg 怪奇大作戦(第16話)/かまいたちド.jpg
第16話「かまいたち」
16話)/かまいたち3.jpg 住宅街で夜間に一人で歩いていたらしい女性のバラバラ惨殺死体が発見されるが、町田警部(小林昭二)と牧(岸田森)で怨恨説と流し説で意見が分かれる。警察は切断面から日本刀による犯行と推定。悲鳴を聞いた者がいないことから、どこか別の場所で殺害されて、ここに遺棄されたと考え16話)/かまいたち4.jpgた。それに対し牧は、流しの犯行であり、第二、第三の事件も起こり得ると助言するが、警察は聞き流す。そして、同じ現場で第二のバラバラ殺人が起きるが、的矢(原保美)には、現場の状況と死体の状態から「かまいたち」のような現象が起こったとしか思えなかった。そこで、現場近くの工場で働く、集団就職で地方から出てきた一人の青年(加藤修)が容疑者に浮かぶが、あくまでも牧の直観によるもので、野村(松山省二)の目には彼は犯人には見えなかった―。

16話)/かまいたち5.jpg 監督は長野卓で、脚本は上原正三。牧の推理もかなり直感頼みでしたが、最後、SRIが勝負を賭けたのが、SRI紅一点のさおり(小橋玲子)を囮りにして犯人をおびき出すことだったとは! 彼女が犯人に殺られてしまったかと思って、野村などは滅茶苦茶興奮して、彼女への想いが迸っていましたが(笑)、事前に作戦のネタを知らされてなかったのかなあ。まあ、身内も勘違いするぐらい精巧なダミーだったと言いたいのでしょう(その割には、どう見てもぎこぎこと動くマネキンにしか見えなかったが)。

16話)/かまいたち6.jpg 結局、捕まった犯人は取り調べに対して黙秘を続け、自分の世界に閉じこもってしまい、犯行動機は明かされないまま終わってしまいます。しかるに、それまでの流れで、この犯人は優秀だったけれど経済的に恵まれなくて、集団就職で東京へ出てきてブルーカラーとして働いている(だが通信教育で勉強は続けている)、そうした境遇から、職場でも寡黙で、かつての仲間と一緒の時も打ち解けず、常に鬱屈とした何かを抱えている―といったその背景が見えてくるように思います。そうして見ると、彼の黙秘には、かなり重いものがあるように思いました(因みに、この年の10月-11月に「永山則夫連続射殺事件」が起きており、それをモデルにしたのではないかとも言われている)。

怪奇大作戦(第16話)/かまいたち last.jpg ただ、彼が優秀なのは分かりますが、「真空状態を人工的に作り出す」と言っても、屋外でどうやってそれをやったのでしょうか。SRIが検証したというのはあくまで実験装置の中での検証で、外での検証ってやっていないわけで、この辺りの"緩さ"は相変わらずだなあ16話)/かまいたち7.png(笑)。でも、そうした突っ込みどころはあるけれど、今で言うところの格差社会の問題を扱った先駆と取れなくもないエピソードでした。
  
「怪奇大作戦(第16話)/かまいたち」●制作年:1968年(制作№18)●監督:長野卓(たかし)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:上原正三●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/加藤修/浅野進治郎/池田駿介/若山真樹/波多野克典/寺田柾/星重則/外波山文明/松尾文人/藤代裕士/中島恵美子/亀島笙子/右田洋子●放送:1968/12/29●放送局:TBS(評価:★★★☆)

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「怪奇を暴け~」と謳っているが、決して全部を「暴く」ことはしないSRI(笑)。

9)/散歩する首1.jpg 9)/散歩する首2.jpg 9)/散歩する首5.jpg
第9話「散歩する首」
9)/散歩する首4.jpg 場所は美登利峠(架空の地名か)。夜になると散歩する首が出没し、驚いたドライバーが次々と事故を起こす。しかし警視庁では、単なる交通事故としか見てない。今朝世田谷で発見された変死体も交通事故死という判断だという。その死体の解剖結果から、血液中にジキタリスという植物の猛毒成分が発見された。実は、強い強心作用を持つジキタリスとを使って死人を生き返らせるという妄想と執念に憑りつかれた一人の科学者により、交通事故の犠牲者を検体にして死体を蘇生させる為の異様な人体実験が行われていたのだった。調査に来た牧(岸田森)は、現場に居合わせた峰村(鶴賀二郎)と以前に出会ったことがあるのを思い出し、事件解明の手掛かりを掴もうとする―。  

鶴賀二郎
9)/散歩する首6.jpg 監督は「点と線」('58年)の小林恒夫で、脚本は若槻文三。バイク相乗で(プラッシー飲んで)出発したはいいが山中で道に迷った若い男女、男・守(笠達也)のクルマに乗ったものの、山中に向かうことに彼の殺意を感じ、助けを求めるその若い男女を敢えてクルマに乗り込ませる女・律子(都築克子)―といった具合に、結構ドラマ的に凝った展開で、本間文子演じる薄気味悪い婆さんも雰囲気を盛り上げます(笑)。しかも起きている現象は謎だらけで、どうやって説明をつけるのかなと思ったら、結局、死体を蘇生させるのは可能だという自らの学説の正しさを証明するためにせっせと死体を集める、典型的なマッドサイエンティストが犯人で、動機は、過去に自分をクビにした研究所の所長を見返してやりたかったためのようです。
本間文子(1911-2009)
9)/散歩する首7.jpg プロセスはとても面白くて、最後まで一気に見せるし、マッドサイエンティストも単なるマッドではなく、リベンジファクターを有していました。しかしながら、観終わってみると、何だか分かったような分からなかったような点もある気もしました。まず、犯人は鏡のトリックを使いつつ、自分も女性に変装してが美女のマスクを被り、生首役を演じていたということでしょうか。それにしては、最初の方の、人魂のようにゆらゆら舞う生首はリアルで、どちらのトリックでも実現不可能のように思いました。「散歩する首」というのは気の利いたタイトルですが、肝心のその部分のトリック説明がなかったように思います。

9)/散歩する首8.jpg それと、峰村が捕まって連行されるときに、律子の遺体が起き上がり、ウソ泣き男の守(別れたかった女が事故死してくれて内心は嬉しいのだが)を指さし、それを見て峰村は「勝った!勝ったぞ!大崎に勝ったぞ!今度こそ、大崎を土下座させてやるんだ!」と喜びますが(要するに自分の実験が成功して死者が甦ったと思ったわけだ)、笑いながら峰村が連行された後、ナレーションで「律子の死体の硬直の状態、冷却の状態、死斑の状態は、死後約10時間、つまり彼女の肉体は転落事故の起きた前夜の8時に、やはり死亡していたのである。人間の生と死の間には、人間の知恵では解き得ない何かがある。何かが...」と入ります。

都築克子
9)/散歩する首9.jpg 死後硬直で説明しているわけでもないし、どうなっているのかなあと思ったら、SRIにおける恒例のエピローグで、所長の的矢(原保美)が「死んだ肉体の中から、殺されるという女の恐怖だけが蘇ったんだろうかねぇ〜」って。その後、野村(松山省二)が首のトリックがわからないと言うので、的矢所長はさおり(小橋玲子)を使ってトリックを証明してみせるけれど(これも「散歩する首」というところまで説明しきれていないが)、そっちの方は説明しておいて、死体が起き上がったことはもうそれ以上は話題にはしていません。でも、この辺りが「怪奇大作戦」っぽいと言えばそう言えます。「怪奇を暴け~」と謳ってますが、決して全部を「暴く」ことはしないのです。

「プラッシー」とのタイアップ?/「アリナミン」とのタイアップ?
9話)/散歩する首3.jpg 9話)/散歩する首1 1.jpg

09話 「散歩する首」.jpg「怪奇大作戦(第9話)/散歩する首」●制作年:1968年(制作№9)●監督:小林恒夫●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:若槻文三●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/鶴賀二/都築克子/笠達也/本間文子/中井啓輔/糸博/園田裕久/維田修二/伊藤慶子●放送:1968/11/10●放送局:TBS(評価:★★★☆)

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公安トップの移動手段は「丸ノ内線」専用車両! 珍品的色合いが濃いが、映像的には貴重か。
007は二度死ぬ チラシ.jpgYOU ONLY LIVE TWICE 基地.jpg YOU ONLY LIVE TWICE images.jpg
007は二度死ぬ [DVD]」  [下]丹波哲郎/若林映子/ショーン・コネリー

You Only Live Twice 3.jpg アメリカとソ連の宇宙船が謎の飛行物体に捉えられるという事件が起こり、米ソ間が一触即発の状態になるものの、英国の情報機関である MI6はその宇宙船が日本周辺から飛び立っているという情報を掴み、その真偽を確かめるために、ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)が日本に派遣されることになる。ボンドは敵の目を欺くため、英国の植民地の香港の売春宿で、情報部により用意された現地の女性リン(ツァイ・チン)の手引きによって、寝室になだれ込んだ殺し屋にマシンガンで銃撃され死んだことに。その後ビクトリア・ハーバー内にYOU ONLY LIVE TWICE 05.jpg停泊するイギリス海軍の巡洋艦上で水葬され、その遺体を回収したイギリス海軍の潜水艦で隠密裏に日本へ。日本上陸後は、蔵前国技館で謎の女アキ(若林映(あき)子)と会い、彼女を通じて日本の公YOU ONLY LIVE TWICE 06.jpg安のトップ・タイガー田中(丹波哲郎)に会うが、在日オーストラリア人の捜査協力者のヘンダーソンは直後に殺されてしまう。その殺し屋は大里化学工業の本社から送られた者だと知ったボンドは、化学薬品を取り扱うビジネスマンを装って大里化学工業の東京本社に赴き、大里社長とその秘書ヘルガ・ブラント(カリン・ドール)と接触する―。 (右:サンヨー・テレビ「日本」の梱包)

『007号は二度死ぬ』早川書房.jpgYOU ONLY LIVE TWICE 08.jpg 事件の背後にはスペクターの影があり、ボンドはタイガー田中の助けを得てスペクターの秘密基地に潜入、宿敵ブロフェルド(「大脱走」('63年)、「刑事コロンボ/別れのワイン」('73年)のドナルド・プレザンス)と対決するというシリーズの第5作。原作はイアン・フレミングによるシリーズ第11作で(ハヤカワ・ポケット・ミステリの邦訳タイトルは『007号は二度死ぬ』)、脚本は、イアン・フレミングと親交のあったロアルド・ダール(ティム・バートン監督「チャーリーとチョコレート工場」 ('05年/米)として映画化された『チョコレート工場の秘密』の作者)であり、「女性を3人出し、最初の女はボンドの味方で敵方に殺され、2番目の女は敵の手先でこれも殺され、3番目の女は殺されず映画の終わりにボンドがものにするように」というのがプロデューサーの指示だったそうですが、ほぼその通りに作られています。 
You Only Live Twice.jpgMie Hama as Kissy Suzuki in "You Only Live Twice"(1967)
Mie Hama as Kissy Suzuki in  最初は日本に潜入したボンドをリードする公安エージェントの女性役が浜美枝で、ボンドが地方に行って出会う海女のキッシー鈴木の役が若林映子だったそうで、この配役は「キングコング対ゴジラ」('62年/東宝)を観て浜を知ったスタッフからの若林映子と併せての指名だったとのことです(若林映子は個人的akiko_wakabayashi若林映子_n.bmpには「宇宙大怪獣ドゴラ」('64年/東宝)などでリアルタイムで見た。浜美枝と若林映子は「国際秘密警察鍵の鍵」('65年/東宝)でも共演している)。ところが浜美枝の語学力ではボンドをリードする公安エージェント役が務まらない「太陽の中の対決」pg.jpgということで、若林映子がエージェント(アキという役名になった)を演じ、浜美枝の方がキッシー鈴木役になったとのこと。但し、海女役になった浜美枝は、ロケ地に来て潜れないということが判明し、ショーン・コネリーに同伴していた妻のダイアン・シレント(彼女は子供の頃から泳ぎが得意で潜水も長時間できた)が、映画でYou Only Live Twice akiko wakabayashi.jpg若林映子3.jpgキッシーが潜るシーンはスタントするなどしたとのことで、撮影に際しては結構ドタバタだった面もあったようです。
Akiko Wakabayashi in James Bond film You Only Live Twice (1967)
ニューオータニ(Osato Chemical & Engineering Co., LTD.(大里化学工業)になっている。)
 都内並びに日本の各所でロケを行っているという007は二度死ぬ ニューオータニ.jpg点では、昭和40年代前半の日本の風景を映し出していて貴重かも。都内では、旧蔵前国技館、銀座四丁目交差点、ホテルニューオータニなどで、地方では富士スピードウェイ、神戸港、 姫路城、鹿児島県坊津町などでロケをしています。日本的なものを都会と地方、現代と伝統の両面からピックアップしている意欲は買えますが、一方で、姫路城で手裏剣で塀を傷つけたりするなどのトラブルも生じさせています。

007は二度死ぬ87.jpg オープニングの影絵は浮世絵のイメージ? イアン・フレミングは親日家ではあったものの、日本文化に対する外国人特有の偏見や誤解もあり、あまりに奇異な見方であると思われる部分は丹波哲郎が撮影陣に進言して直させたりもしたようですが、ボンドと若林演じるアキや丹波演じるタイガーなど日本の公安との橋渡し役が横綱・佐田の山(!)だったり、タイガーの移動手段が地下鉄「丸ノ内線」の深夜の007は二度死ぬ 丸ノ内線.jpg専用車両(!)だったり(中野坂上駅でロケ。タイガーのオフィスは地下鉄の駅の「地下」にある。公安は顔を知られてはならず、そのため下手に地上を歩けないからというその理由がこじつけ気味)、さらに公安所属の特殊部隊が全員忍者装束(!)で日本刀を背負っていたりと、ち007は二度死ぬ nihon.jpgょっYOU ONLY LIVE TWICE 丹波.jpgと飛躍し過ぎていて、さすがの丹波哲郎でも口を挟みにくかった部分もあったのか(まあ、いいかみたいな感じもあったのか)、結果として「!」連続の珍品で、ボンドが日本人に変装することなども含「007は二度死ぬ」 (67年/米)2.jpgめ、現実味という観点からするとどうかなあと思わざるを得ません(非現実性はロアルド・ダールらしく、また007らしくもあるのだが。因みに丹波哲郎は、英語が不得手な浜美枝の降板を要請する英国側スタッフに対し、ここまできたらそれは難しいと交渉するくらいの英語力はあったが、発音は日本語訛りであったため、作中での本人の英語の台詞は吹き替えられている)。

 ロケット遭難事故の黒幕は米ソ何れでもなければどこか、日本にはそんな技術はあるとは思えない、と英国情報部は最初から日本に対し"上から目線"ですが、冒頭の宇宙船の特撮シーンは円谷プロでもあれくらいは出来たかもしれません。

 個人的に不満な点は(プロデューサーの指示とは言え)ずっと頑張っていたアキをあっさり死なせてしまった点でしょうか。ややあっけ無さ過ぎた印象を受けました。アキは江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」と同じトリックで寝ている間に殺され、その間ボンドも寝ていたというのはどうもねえ(女性を守り切れていない)と言いたくなります(近作「007 スカイフォール」('12年)でもボンドガールをあっさり死なせているが)。

YOU ONLY LIVE TWICE 朝日グラフ.jpg まあ、かなりの部分を日本で撮影しているということで、映像的価値並びに珍品的価値(?)を加味して星半個オマケといったところでしょうか。アジア人が最初にボンド・ガ007 ミシェル・ヨー.jpgールになった作品であり、この次にアジア人ボンド・ガールが誕生したのは「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」('97年)のミシェル・ヨーで、その間何と30年もあったわけだし、やっぱり若林映子、浜美枝の起用は今振り返っても画期的だったと言えるのだろうなあ。

若林映子 サルノ王女.jpg 若林映子は、「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年/東宝)にもセルジナ公国のサルノ王女役で出ていましたが(サルノ王女の本名はマアス・ドオリナ・サルノ(まあ素通りなさるの!)。正体は5000年前、キングギドラによって滅ぼされた金星文明から地球に脱出してきた金星人の末裔の一人)、「007は二度死ぬ」の前年にTV番組の「ウルトラQ(第9話)/クモ男爵」('66年/TBS)にゲスト出演したりもしています。ストーリーは―、

桜井浩子/若林映(あき)子 in 「ウルトラQ/クモ男爵」('66年/TBS)
クモ屋敷で不安げな二人の美女(若林映子・桜井浩子).jpg ホテルのパーティに招かれた6人の男女客たちが、霧深い夜道を車を連ねて帰路に着く途中、竹原(鶴賀二郎)が誤って沼に落ちる。助けようとしたクモ男爵 若林1.jpg一平(西條康彦)も深みにはまり、後続車の万城目淳(佐原健二)と江戸川由利子(桜井浩子)、葉山(滝田裕介)と今日子(若林映子)が辛じて救出。霧が深くこれ以上車で先へ進めないので、淳たちはずぶ濡れの北原と一平をかかえて途方に暮れるが、沼の向う側に灯のついた洋館を発見、そちらに向かう。洋館の中は何十年も放置され荒れていたが、階上の方へ淳が行ってみると、そこで巨大なクモに突然襲われる。驚いて階投を転がり降りた淳は、九十年前いたという蜘蛛男爵の館みたいだと言う。その頃、地下のワイン倉庫にいっていた葉山は、例の巨大なクモに襲われ傷つく。淳たちは、はじめてここがまさに蜘蛛男爵の館であることに気づき、館から逃げ出そうとするが―。

クモ男 洋館.jpg 洋館は、コラムニストの泉麻人氏も言っていましたが、アルフレッド・ヒッチコックの映画「レベッカ」('40年/米)に出てくる邸宅みたいな雰クモ男爵カラー .jpg囲気があって良かったですが、男爵の死んだ娘がクモになり、娘の死を悲しんだ男爵自身もクモになっていまったという話はやや強引か(まあ、「ウルトラQ」は"強引"なスト-リーが多いのだが)。この回の視聴率は35.7%と(「ウルトラQ伝説」等による)シリーズ全27話の中では上位にくる数字を出しています。このシリーズ、総天然色版でDVDが出ているので、それでもう一度作品を鑑賞するとともに、若林映子や桜井浩子のファッションを見直してみるのもいいかも。

第9話「クモ男爵」.jpgウルトラQ.jpgクモ男爵 title.jpg「ウルトラQ(第9話)/クモ男爵」●制作年:1965年●監督:円谷一●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション●脚本:金城哲夫●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:小泉一●出演:佐原健二/西條ウルトラQ クモ男爵 000.jpgウルトラQ クモ男爵 001.jpg康彦/桜井浩子/若林映子/滝田裕介/鶴賀二郎/永井柳太郎/岩本弘司/石坂浩二(ナレーター)●放送:1966/02/17●放送局:TBS(評価:★★★)      

007 wa nido shinu (1967)
007 wa nido shinu (1967) .jpg「007は二度死ぬ」●原題:YOU ONLY LIVE TWICE●制作年:1967年●監督:ルイス・ギルバート●製007は二度死ぬ 若林映子.jpg作:ハリー・サルツマン/アルバート・R・ブロッコリ●脚本:ロアルド・ダール●撮影:フレディ・ヤング●音楽:ジョン・バリー●主題歌:You Only Live Twice(唄:ナンシー・シナトラ)「007は二度死ぬ」●2.jpg「007は二度死ぬ」●.jpgKissy-Suzuki2-600x400.jpg●原作:イアン・フレミング●時間:117分●出演:ショーン・コネリー丹波哲郎若林映子浜美枝/ドナルド・プレザンス/島田テル/カリン・ドール/チャールズ・グレイ/ツァイ・チン/ロイス・マクスウェル/デスモンド・リュウェリン/バーナード・リー●公開:1967/06●配給:ユナイテッド・アーティスツ (評価:★★★☆)


「007は二度死ぬ」 松崎真(ノンクレジット)/松岡きっこ(ノンクレジット)
007は2度死ぬ 松崎真.jpg007は2度死ぬ matuoka.jpg


松岡きっこ .jpg                                    
「007は二度死ぬ」 若林映子/ショーン・コネリー/カリン・ドール/ドナルド・プレザンス/浜 美枝
o0420021311847920120.jpgYOU ONLY LIVE TWICE last.jpg                                                                                                                                                                               
ホテルニューオータニ東京のエントランス
ホテルニューオータニ.jpgホテルニューオータニ東京 のエントランス - コピー.jpg
                                                                
キングコング対ゴジラ pos.jpg「キングコング対ゴジラ」('62年/東宝) 若林映子/浜 美枝(共演:高島忠夫) 
若林映子 浜美枝  キングコング対ゴジラ 2.jpg 若林映子 浜美枝  キングコング対ゴジラ.jpg

若林映子 in「宇宙大怪獣ドゴラ」('64年/東宝)/「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年/東宝)with 夏木陽介
若林映子 宇宙大怪獣ドゴラ .jpg 若林「三大怪獣 地球最大の決戦」61 - .jpg 若林映子%E3%80%80サルノ王女.jpg

「国際秘密警察鍵の鍵」('65年/東宝) 若林映子/浜 美枝(共演:三橋達也)
国際秘密警察 鍵の鍵1.jpg 国際秘密警察 鍵の鍵0.jpg 国際秘密警察鍵の鍵(浜美枝・若林映子).jpg 国際秘密警察鍵の鍵(浜美枝・若林映子)1.jpg

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今は突っ込み所の多さで楽しめるが、当時は50%の高視聴率。特撮に進化が見られる。

ナショナルキッド 1.jpgナショナルキッド vhs.jpg
「ナショナルキッド 第1部 インカ族の来襲」VHS 
ナショナルキッド インカ金星人.jpg 「ナショナルキッド」は、1960(昭和35)年8月から翌年4月まで日本教育テレビ(NET、現テレビ朝日)系で、毎週木曜日の18:15 - 18:45に放送されたナショナルキッド.jpg東映製作の実写番組で、第1部:「インカ族の来襲」(全13回)、第2部:「海底魔王ネルコン」(全9回)、第3部:「地底魔城」(全8回)、第4部:「謎の宇宙少年」(全9回)の全39回が放映され、この第1部:「インカ族の来襲」は'60年8月4日から10月27日まで放送されました。「月光仮面」などと同じく、TV版が先で、漫画はTVでのヒットを受けての漫画化です(「まぼろし探偵」は漫画が先)。
漫画「ナショナルキッド」一峰大二(原作:喜瀬川 実)昭和36年5月 ぼくら付録

ナショナルキッド02.jpg ヒーローが普段はそのことを隠して普通人として暮らしているのは、先行のTV番組「月光仮面」('58-'59年)、「まぼろし探偵」('59-'60年)(共にKRT(現TBS))などと同様ですが、月光仮面、まぼろし探偵が日常においては探偵であるのに対し、ナショナルキッドは、物故した世界的権威の科学者・旗博士の孫で、宇宙研究所所長を務めている青年・旗竜作が普段の姿という設定。しかし、実の正体は「3万光年彼方のアンドロメダからやってきたスーパーヒーロー」となっています(ここが、月光仮面、まぼろし探偵があくまでも"人間"であることとの大きな違い)。

ナショナルキッド 4.jpg 第1部の「インカ族の来襲」は、「地球人の無謀な核使用を止めさせるため」として、金星からインカ人が飛来、地球人を全滅させるために暗躍を始める―といった導入で始まりますが、ナショナルキッドは(どういう経緯か、既に第1回から"正義の味方"として大人にも子供にも認知済み)、金星どころか、3万光年彼方のアンドロメダ銀河からやってきたわけです。どこでそれが"旗博士の孫"という血縁関係になるのかよく分かりませんが、とにかく次元を超越する能力を持つということで、「3万光年の旅」に関してはあっという間だったのかも(但し、アンドロメダ銀河は実際には地球から約240万光年の距離に位置し、この辺りはややいい加減)。

 旗竜作が不意に現れた敵を追って草陰に飛び込んだかと思ったら、次の瞬間にはナショナルキッドに変身しているのも"光速技"でしょうか。いつも着替えを持ち歩いているのかと考えるのは"地球人"の野暮な発想なのでしょう。それでも、むしろ地球人としての服の方が"着替え"なのだろうかとか、つい色々考えてしまいます("光速"でズボンを脱ぐナショナルキッド?)。それぐらい、ウルトラマンやウルトラセブンに比べて身近に感じられる"宇宙人"です。

ナショナルキッド 2.jpg こちらが宇宙人ならば相手の金星インカ人も宇宙人であり(そうと言われないと宇宙人に見えない。「俺たちひょうきん族」のデビルマンのモデルか?)、金星インカ人が突然姿を消したり"壁抜け"したりすれば、ナショナルキッドも突然現れ"壁抜け"もこなす―これだけスゴイ能力を持っているのに、互いの格闘シーンは東映時代劇の殺陣みたいで、しかも「刀」ならぬ徒手空拳、「手刀」で相手と戦っているというのが微笑ましいです。互いに銃や火器も使いますが、相手に対する決定打にはならず、やはり毎回、後のナショナル劇場「水戸黄門」('69-'11年)に受け継がれたのではないかと思われるような大立ち回りになります。しかし、1話完結ではないので、金星インカ人たちは「今日は負けた、覚えとれ」と言って去っていく―「覚えとれ」という捨て台詞が、親日、親日本語の度合いの深さを物語っています。普通、宇宙人は使わないよ、こんな台詞―といった具合に、今は「突っ込み所」の多さで楽しめますが、当時は日本中の子供が観ていて視聴率は50%強、あの「鉄腕アトム」を抜いたそうです。

ナショナルキッド 小鳩・志村.jpgナショナルキッド 志村.jpg ナショナルキッドこと旗竜作を演じたのは小嶋一郎(第1、第2部)と巽秀太郎(第3、第4部)で、旗青年の助手・小畑尚子(通称チャコ)を志村妙子(当時16歳)が演じていますが、すでに堂々たる演技ぶりです。その前の「新・七色仮面」の最後の方に出ていた時は、本名の「太地喜和子」でクレジットされていましたが、ここでは太地喜和子ではなく「志村妙子」になっています。

「ナショナルキッド」18.jpg太地喜和子.jpg この「志村妙子」演じる尚子(チャコ)は、その演技力が買われたのか、自ら敵地に潜入したりするような積極的な役回りが次第に多くなり、第2部:「海底魔王ネルコン」(全9回)の第5話「尚子の死刑台」(通算第18話)では、潜入した先で敵に捕らえられ、電気のこぎりで頭から躰を真っ二つに切断されそうになる危機に見舞われたりしています。

志村妙子(太地喜和子)in「「ナショナルキッド」第2部:「海底魔王ネルコン」第5話 「尚子の死刑台」

阿久津克子(山田博士の娘)・本間千代子(水野博士の娘・良子)・野川美子(金星インカ人アウラ)
ナショナルキッド 阿久津・本間.jpgナショナルキッド アウラ.jpg「ナショナルキッド」アウラ.jpg この第1回には、本間千代子(当時15歳)が金星インカ人に洗脳される山田博士の娘役で出ているほか、女優陣では旗青年に力を貸す科学者・水野博士の娘・良子(よしこ)役で阿久津克子(当時19歳)が最初から出ており、更に回が進むと、インカ金星人の隊長アウラ役で野川美子もタイツ姿で出てきます。

室田日出男(航空管制官)/八名信夫(インカ金星人)
ナショナルキッド  室田.jpgナショナルキッド 八名信夫.jpg 男優陣では、室田日出男が航空管制官役でチョイ役出演、八名信夫.jpg八名信夫がインカ金星人の一人に扮しています。八名信夫は、東映フライヤーズ(現:日本ハム)に投手として入団したものの故障で現役を引退して役者に転じた人で、入団した球団の親会社が東映だったのが縁だったのではないかと思われます。

ナショナルキッド フルキャスト.jpg その他にも意外な俳優が出ていたりするようですが、クレジットに名前が殆ど出てこないので知りようがなく、そのことがマニアックなファンの間では探索ネタとなっているようです。

 個人的には、第1回から見られる戦闘機の飛行シーンなどの特撮は、テレビ番組としてはかなり水準が高いように思いました。その年の4月に創設されたばかりだった自衛隊の「ブルーインパルス」のアクロバット飛行の映像を組み入れたりもしているところは、局は異なりますが、「月光仮面」の戦車の走行シーンで、自衛隊の観閲式を映像に撮って織り交ぜたのと同じだなあと思ったけれど、特撮シーンと組み合わせつつ自然に見せている点に技術進化が窺えます。

ナショナルキッド03.jpg '14年現在DVD化されておらず(最初の頃は無かったけれど、途中から「明る~いナショナ~ル」のCMソングが入るようになったのが逆に仇になったのか?)、VHSで観ましたが、衛星放送「東映チャンネル」などでたまに放映されているようです(レア度で星半分オマケ)。

「ナショナルキッド(第1部:「インカ族の来襲」第1話)/謎の円盤来襲」●制作年:1960年●監督:赤坂長義●企画:佐藤正道/野坂和馬●脚本:谷井敬●撮影: 大島国正●音楽:深沢康雄●特撮監督:小池淳●原作:貴瀬川実●出演:小嶋一郎/志村妙子(太地喜和子)/斎藤紫香/阿久津克子/山口勇/宮下安夫/本間千代子/室田日出男●放送局:日本教育テレビ(NET、現テレビ朝日)●放送日:1960/08/04(評価:★★★☆)

ナショナルキッド 「インカ族の来襲」.jpg●「ナショナルキッド」(全4部・39話)放映ラインアップ
第1部:「インカ族の来襲」(1960/08/04~1960/10/27放送、全13回)
「ナショナルキッド」1話ラ.jpg 第1回 謎の円盤来襲
 第2回 ダブルZの恐怖
 第3回 大都会の戦慄
 第4回 恐怖の頭脳改造
 第5回 アヴィカの復讐
 第6回 危うしナショナルキッド
 第7回 ウラトン石の怪火
 第8回 スカウの恐るべき来襲
 第9回 一日だけの休日
 第10回 ベタルニヤSを探せ
 第11回 火焔銃α
 第12回 円盤総攻撃
 第13回 宇宙大戦争
         
第2部:「海底魔王ネルコン」(1960/11/03~1960/12/29放送、全9回)
 第1回 深海観測艇バチスカーフの遭難
ナショナルキッド 「海底魔王ネルコン」.jpg 第2回 怪魚シーラカンスの謎
「第5回 尚子の死刑台.jpg 第3回 真田博士の正体
 第4回 大臣襲撃計画
 第5回 尚子の死刑台
 第6回 旗竜作の危機
 第7回 太平洋標流記
 第8回 呪いの幽霊船
 第9回 海底火山大爆発

第3部:「地底魔城」(1961/01/05~1961/02/23放送、全8回)
 地底魔城 第1回
 地底魔城 第2回
 地底魔城 第3回
 地底魔城 第4回
 地底魔城 第5回
 地底魔城 第6回
 地底魔城 第7回
 地底魔城 第8回

第4部:「謎の宇宙少年」(1961/03/02~1961/04/27放送、全9回)
 謎の宇宙少年 第1回
 謎の宇宙少年 第2回
 謎の宇宙少年 第3回
 謎の宇宙少年 第4回
 謎の宇宙少年 第5回
 謎の宇宙少年 第6回
 謎の宇宙少年 第7回
 謎の宇宙少年 第8回
 謎の宇宙少年 第9回

ナショナルキッド1.jpgナショナルキッド2.jpg「ナショナルキッド」●監督:赤坂長義/小池淳/渡辺成男●脚本:谷井敬/宮川一郎●音楽:深沢康雄●原作:喜瀬川実/海野十三●出演:小嶋一郎/巽ナショナルキッド 出演者.png秀太郎/志村妙子(太地喜和子)/斎藤紫香/福島卓/木村英世/清水徹/岡田みどり/原一夫/亀井明/河合絃司/岩上瑛/山口勇/本間千代子/八名信夫/室田日出男/林宏●放ナショナルキッド  .jpg映:1960/08~1961/04(全39回)●放送局:日本教育テレビ(現テレビ朝日)

「ナショナルキッド」監督・小池淳(じゅん)氏インタビュー「ナショナルキッドうら話」
聞き手:池田憲章氏(フリーライター、編集者、プロデューサー)/花島優子氏

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平均視聴率40%、最高視聴率67.8%。低予算で作られた初期作品のテンポの緩さにレトロ感。

月光仮面 連続テレビ映画.jpg 月光仮面 vhs.jpg 月光仮面 バラダイ王国の秘宝編 dvd.jpg 月光仮面 DVD-BOX3 第2部 バラダイ王国の秘宝.jpg 月光仮面 DVD-BOX3 第2部 バラダイ王国の秘宝-後篇.jpg 
月光仮面 [VHS]」['99年](第二部 バラダイ王国の秘宝篇(全21話)第1話 姿なき殺人/第三部 マンモス・コング篇(全11話)第11話 悪は滅びる/第五部 その復讐に手を出すな篇(全14話) 第14話 天の裁きを収録「月光仮面 バラダイ王国の秘宝編 Disc1 [DVD] TVG-001」['06年]「月光仮面 DVD-BOX2 第2部 バラダイ王国の秘宝-前篇-」「月光仮面 DVD-BOX3 第2部 バラダイ王国の秘宝-後篇-」['08年] 

月光仮面 バラダイ王国の秘宝.jpg 滅亡したバラダイ王国の巨億の財宝の在り処を示す3つの「黄金の鍵」を得るため、王国に敵対したサタン一族の末裔「サタンの爪」が日本在住のアフナリカ・シャバナン殿下宅に押し入って殿下を殺害し、その1つを奪う。鍵の1つは既に「サタンの爪」が持っており、残る1つの在り処も知っているらしい。新聞でも事件は報じられたが、殿下の死は臥せられる。事件現場にいたお手伝いは、サタンの爪を見た恐怖から寝込んでしまい入院、祝探偵事務所の祝十郞(大瀬康一)らは警察と共に彼女から殿下がアルバムを大事にしていたと聞き出し、そのアルバムを調べてみると写真が1枚ない。そこにお手伝いの悲鳴が聞こえ、看護婦が「患者さんが大変です」と駆け込んでくる。祝らが慌てて病室に戻った時にはお手伝いは既に毒殺されていて、看護婦の姿は無かった―。

月光仮面.jpg 「月光仮面」は、KRT(現TBS)と宣弘社が制作し、1958(昭和33)年2月24日から1959(昭和34)7月5日まで放送されたテレビ冒険活劇で、第1部:「どくろ仮面篇」(71話)、第2部:「バラダイ王国の秘宝」(11話)、第3部:「マンモス・コング」(11話)、第4部:「幽霊党の逆襲」(13 話)、第5部:「その復讐に手を出すな」(14話)の全130話から成ります。第1部が放映回数が多く、そのは後減っているのは、第1部は「月金のベルト」で午後6時から10分番組として放映されていたものが第2部から日曜の午後6時からの30分番組となったためです(第3部の途中から午後7時のゴールデン・タイムにスライド)。劇画化もされましたが、あくまでTVの方が先です。
劇画「月光仮面」楠 高治(原作:川内康範)昭和35年7月 少年クラブ

月光仮面 祝十郎.jpg 原作は川内康範(1920-2008/享年88)、月光仮面(配役テロップの出演者のところで"月光仮面 ...?"と出る)の普段の姿である私立探偵・祝十郎は大瀬康一が演じ、その他に、祝探偵事務所の助手・袋五郎八、カボ子を谷幹一、久里千春(資料では日輪マコだが番組クレジットでは久里千春)らが演じています(シーズンによって配役が若干変動した)。

月光仮面  .jpg阿久悠2jpg.jpg 元々、前番組のスポンサーだった武田薬品が番組提供を降りるという話があり、広告代理店である宣弘社(現・電通アドギア)にとっては武田薬品の意向如何によらずその枠は"マストバイ"の状況となり、急遽プロダクションを設立し、番組制作にも乗り出したという経緯で(宣弘社は作詞家・阿久悠(1937-2007/享年70)が1959年の新卒入社から7年間コピーライターとして在籍した会社であり、「月光仮面」を製作していることが志望理由の1つだった)、結局、武田薬品は提供を継続したものの、製作費は超低予算に抑えられました。

月光仮面 大瀬康一.jpg 26歳の若手・船床定男(1932-1972/享年40)の監督への抜擢もそのためで、大瀬康一も当時は大部屋俳優。しかし、蓋を開ければ大人気番組となり、平均視聴率は40%、最高視聴率は67.8%(東京地区)を記録し、当初1クール(3ヵ月)で終わる予定が1年半続くことになりました。高視聴率は続いて「放送時間になると銭湯から子供たちの姿が消える」とまでも言われましたが、月光仮面のマネをして高所から飛び降りて怪我をする子供が相次いだために打ち切られたとのことです(一部では死者も出たとの話も)。大瀬康一は3年後に「隠密剣士」の主役に起用されます。

月光仮面 登場.jpg この第2部の最初あたりは、まだ低予算の影響が残っていて、室内シーンは宣弘社の社長の自宅を使ったりしたそうで、野外シーンもどこかの空き地で撮影したりしている感じで、月光仮面がコンクリート塀の脇から、それまでかくれんぼでもしていたかのように登場するといった緩いテンポ感です。これが第3部の「マンモス・コング」になるとテンポアップし、"身長15メートル"のコングが登場する関係からミニチュアを使った特殊撮影なども行われています(それでも、コングに対する自衛隊の出撃場面などは、自衛隊の観閲式や訓練に便乗して撮影するなどしたという。スタッフには節約癖が身についてしまっていた?)。作品の質としては後の方(第3部以降)がより洗練されているけれど、この第2部あたりのまったり感も悪くないと思います。

サタンの爪.jpg 「サタンの爪」(左写真)の容貌どくろ仮面.jpgは、とにかく顔がデカイという印象で、その上、第1部の「どくろ仮面」(右写真)とあまり変わり映えがしないのが可笑しいです。更に、その「サタンの爪」の名の由来である"爪"は、手袋に"付け爪"を張り付けただけのものに過ぎず、ここまでくると微笑ましい(?)。この「サタンの爪」は、殿下を襲う前に「黄金の鍵」の背景事情を視聴者に丁寧に説明してくれるし、月光仮面と出くわすごとに、お互いに相手を倒す機会であるのに、「いずれ決着をつける時が来るであろう」み川内康範.jpgたいな感じで先延ばししている―でも、これで、視聴者は「次回も観なくては」ということになっていったのだろなあ。川内康範って人は意外と長けたストーリーテラーだったのかもしれません。

川内康範 作詞家、脚本家、作家。(1920-2008/享年88)

 事件の推移を八卦見占いするカボ子にその「占い」の結果をマジで訊く五郎八、勝手に報道規制を敷いてしまう祝十郎(警察のコンサルタント的立場だからいいのか)、逃げた看護婦を(明らかに殺人犯なのに)誰も追わない警察、雨あられのように飛んでくる銃弾がかすりもしない月光仮面―と突っ込みどころ満載です(この"緩さ"にレトロ感が感じられて星半分オマケ)。

 こうなるとフィルムの保存状況が悪くて当初は映像ソフト化が難しいとされていた第1部「どくろ仮面篇」(デジタルリマスターの技術が進んでDVD化された)も観てみたくなりますが、第1部第1話「月光仮面現わる」はマスター・ネガが破棄されてしまって「幻の第1話」となっているとのこと。月光仮面:「バラダイ王国の秘宝」.jpgCSチャンネル「ファミリー劇場」でシリーズが再放映された際に、他話月光仮面第2部 バラダイ王国の秘宝.jpgからのカットや挿絵を組み合わせて、第1話を再現制作し(制作会社は東北新社)、吹き替えは大瀬康一が実際にアフレコを担当しましたが、53年の年月差は大きすぎるように思われ、「幻」は幻のままでいいような気もします。

「月光仮面(第2部:「バラダイ王国の秘宝」第1話)/姿なき殺人」●制作年:1958年●監督:船床定男●企画:小林利雄●脚本:川内康範●音楽:小川寛興●出演:大瀬康一/谷幹一/日吉よしやす/千葉隆三/久里千春/山田のり子/玉島精二/小川純/赤尾関三蔵/オレンジ河野●放送局:KRT(現TBS)●放送日:1958/05/25(評価:★★★☆)
月光仮面第2部 バラダイ王国の秘宝(3枚組) [DVD]」(2016/04)

月光仮面1.jpg月光仮面2.jpg「月光仮面」●演出:船床定男●制作:西村俊一●脚本:川内康範●音楽:小川寛興●原作:川内康範●出演:大瀬康一/谷幹一/布地由紀江/千葉隆三/高塔正康/日吉としやす/山田のり子/武藤英司/大塚周夫/十朱三郎/オレンヂ河野/小川純/高塔正康/久野四郎/河野有紀/小栗一也/高木新平●放映:1958/02~1959/07(全130回)●放送局:KRT(現TBS)

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「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「●日本のTVドラマ (~80年代)」の インデックッスへ(「怪奇大作戦」「恐怖劇場アンバランス」)「●山本 直純 音楽作品」の インデックッスへ(「怪奇大作戦」)「●冨田 勲 音楽作品」の インデックッスへ(「恐怖劇場アンバランス」)

老人問題を早期に取り上げたと言うより、そのレトリックにおいて佳作の「青い血の女」。

青い血の女 dvd.jpg青い血の女 title.jpg青い血の女3.jpg 第9話 死体置場(モルグ)の殺人者.jpg
DVD 怪奇大作戦 Vol.2」(第6話「吸血地獄」/第7話「青い血の女」/第8話「光る通り魔」/第9話「散歩する首」)「DVD恐怖劇場アンバランスVol.5」(第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」/第10話「サラリーマンの勲章」)
岸田森(牧)/小橋玲子(小川)/原保美(的矢)/松山省二(野村)/勝呂誉(三沢)
怪奇大作戦0.jpg 三沢(勝呂誉)は久しぶりに会った友人・鬼島明(山中紘)の家でくつろいでいたが、家の前で偶然見かけた鬼島の父・竹彦(浜村純)の話をした際の鬼島夫妻の様子から、鬼島と竹彦の間に確執があることが窺えた。急にテレビの映りが変になったところで話にキリをつけ、三沢は鬼島の誘いで一泊することに。その夜、三沢は就寝中に何者に襲われ、手に傷を負う。同じ頃、帰宅途中のサラリーマンが刃物で殺害され、三沢は手の傷から事件の容疑者となってしまう。証拠不十分で釈放された三沢だが、その帰り道にまたも何者かに襲われる。三沢の事件を知った鬼島は一人暮らしの父の家を訪ねるが、竹彦は会おうともせず、一人"子供部屋"に戻り、ベビーベッドに横たわる何かに向かって話しかけるのだった。翌晩、竹彦の家を見張っていた三沢は、酒に酔った竹彦をタクシーで家まで送り届けた女性に会うが、女性を自分の車内に残して竹彦を自宅に送る間に、女性は何者かに襲われ、三沢は自宅に逃げ帰った彼女の後を追うが、女性の部屋に着くと女は既に息絶えていた。三沢はまたも容疑者にされるが、これも証拠不十分で釈放に。自分が襲われた晩に鬼島宅でテレビ画像が乱れたことを警察の町田警部(小林昭二)に告げ、それが警察の今回の事件の聞き込みと一致したことから、犯行時にテレビ画面を乱すほどの強力な電波が出ていることが判明、調べてみると、その電波の発信源は竹彦の家だった―。

「怪奇大作戦」 岸田森(1939-1982)・勝呂誉
怪奇大作戦.jpg怪奇大作戦 suti-ru.jpg 「怪奇大作戦」は円谷プロダクションが制作し、TBS系で1968(昭和43)年9月から1969(昭和44)年3月まで毎週日曜日19:00-19:30に全26話が放送された、SRI(科学捜査研究所)の活躍を描いた特撮テレビドラマ。2007年にNHKデジタル衛星ハイビジョンで「怪奇大作戦 セカンドファイル」(全3回)、2013年にNHK-BS2で「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」(全4回)としてリメイク放映されて、この間BS-2などでオリジナルの再放映もされています。オリジナルは最初の方、回が浅い間はやや方向性がバラバラだったような感じでしたが、この第7話「青い血の女」辺りになると、大体定まってきたかなという感じでした。

青い血の女 1.jpg サラリーマン、三沢、女性を襲ったのは《殺人人形》で、早くから画面に登場しますが、これは完全に機械仕掛けのからくり人形。その殺人人形を操っているのは誰なのか。ラストで警察が竹彦の部屋に踏み込む際に、竹彦は、ここには4歳の女の子がいるだけだと拒みますが、そこで彼らが見たものは―。

青い血の女2.jpg う~ん。竹彦は、自分を見捨てていく子どもたちの代わりに《女の子》を作って(高額の特許料で生活しているようだから発明家なのだろう)これを偏愛していたけれど、その《女の子》が老人である竹彦に代わって老人を見捨てる者を襲っているうちに"彼女"も自我を持つようになるとともに成熟し、竹彦から自由になりたいと考え、「あたしも老人を捨てて独立するの。だから、あたしも殺さなきゃ...」ということで"自殺"することになるわけか。なかなか凝ったレトリックだったなと思います。

青い血の女 sri.jpg 「青い血の女」というタイトルから成熟した女性が出てくると思われがちですが、結局"自我を持った人形"だったわけで(老人の少女愛、人形愛というのは川端康成っぽい?)、但し、自殺して「血を流した」という意味においては半ば"人間"であり、しかしながら「血が青かった」という意味では"人間"ではなかったという、こうしたレトリックにおいても、シリーズの中では佳作とされるべきものではないかと思います。

 「孤立する老人」の問題を早期に取り上げたことによっても傑作エピソードとされていますが、エピローグで三沢、的矢(原保美)、牧(岸田森)、野村(松山省二)、さおり(小橋玲子)といったSRI(科学捜査研究所)の面々がそうした"世評風に"事件を振り返っている一方で、この「怪奇」を科学的にどう説明するかということについては「科学捜査研究所」であるのに誰も追及しないとうのが違和感ありますが、「怪奇」を暴かず、「怪奇」は「怪奇」のままにしておくというのが、この辺りで確立されたこのシリーズの「方向性」だったと言えるかと思います。
        
恐怖劇場アンバランス title2.jpg死体置場(モルグ)の殺人者.jpg この「青い血の女」は大井武蔵野館で観ましたが、併映作品の1つに「恐怖劇場アンバランス(第9話)死体置場(モルグ)の殺人者」('73年/フジテレビ、長谷部安春監督)がありました。「恐怖劇場アンバランス」は円谷プロが「怪奇大作戦」に続いて制作した本格オムニバスホラーの1時間ドラマで、「ウルトラQ」の企画時のタイトルだった「ア恐怖劇場アンバランス title.jpgンバランス」を冠しており、「怪奇大作戦」のSRIのようなレギュラーメンバーがおらず「ウルトラQ」のようなスタイルで、内容的には「怪奇大作戦」にも増して大人向けの色合いが濃くなっています。内容が過激で、台本の段階かそれ以前でストップし放映されなかったものが幾つかあり、おおよそ3年のお蔵入り期間を経て放映された13話のうち、制作No.7まではオリジナル脚本によるホラー路線で、制作No.8以降は原作付きのサスペンスに路線変更しています(放映順は制作順と異なる)。その原作者というのが、円地文子、西村京太郎、松本清張、山田風太郎、仁木悦子、樹下太郎といった錚々たるメンバーで、監督も、まだ巨匠扱いされる以前の鈴木清順、藤田敏八、神代辰巳、黒木和雄あたりだったりします。また、作り手として知られる人たち(大和屋竺、蜷川幸雄、唐十郎)が主演俳優として出演しているのも、今観ればレア感があります。

1死体置場(モルグ)の殺人者1.png21死体置場(モルグ)の殺人者.png この第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」(制作No.3)のあらすじは―
 雨の降る夜道、医大助教授の水上(久富惟靖)は、インターン生の愛人・小野寺涼子(西尾三枝子)を乗せた車を運転中、誤って村田(向精七)をはね殺してしまう。教授への昇進を控え、さらには将来の医学部長を目指す水上は、事実をもみ消すため死体を大学へ運び、死体保存用のホルマリンのプールへと沈める。愛人と一緒だっため、大学の医学部長の娘である妻(中原早苗)にもそのことを隠すが、村田はゾンビとなって水上の前に現れる―
i死体置場(モルグ)の殺人者s.jpg第9話 死体置場(モルグ)の殺人者1.jpg というもので、背景が「白い巨塔」('66年/大映)みたいで、水上と涼子(演じるのは元「プレーガール」メンバーの西尾三枝子)のベッドシーンもあったりして、完全に大人向けになっています。ゾンビなった村田が脱がされた背広をまた着直しているし(結局、水上の妄想か。但し、ゾンビ村田は涼子の前にも現れるし、更には自宅にも)、包帯ぐるぐる巻きになって家に帰ったのに、村田の妻が「あなたどうしたの?」程度にしか驚かないし(これは人が死ぬ前に近しい者の前に現れるという超常現象か)、野坂昭如(特別出演)演じる、水上の教授昇進祝いに水上宅に来ていた友人「第9話 死体置場(モルグ)の殺人者 0.jpg坂野」が、唐突に死体が甦る話をし始める(しかもセリフ棒読み)違和感など、突っ込みどこ第9話 死体置場の殺人者 野坂.jpgろは多いですが、怪奇モノ(怪談×モダンホラー)としてはオーソドックスだったでしょうか、いや、オーソドックスと言うより"ベタ"と言うべきか。あくまで今観て思うことで、リアルタイムで見ていた頃は結構怖がって観ていたかもしれません(そのことを加味して、星半分オマケ)。

西尾三枝子(涼子)/野坂昭如(坂野)

西尾三枝子(1947年生まれ)映画「砂の上の植物」(1964)/「サインはV」(1970)/「プレイガール」(1970-74)
西尾三枝子 砂の上の植物群9 - コピー.png 西尾三枝子 サインはv.jpg プレイガール nisiuo.jpg
 
 
怪奇大作戦2 [VHS].jpg大井武蔵野館.jpg「怪奇大作戦(第7話)/青い血の女」●制作年:1968年●監督:鈴木俊継●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:若槻文三●特技:高野宏一●音楽監督:山本直純●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/原保美/岸田森/松山省二/小橋玲子/小林昭二/山中紘/浜村純●放送:1968/10/27●放送局:TBS●最初に観た場所(再見):大井武蔵野館(83-03-24)(評価:★★★☆)●併映:「恐怖劇場アンバランス(第9話)死体置場(モルグ)の殺人者」(長谷部安春)/「ウルトラQ/東京氷河期」(野長瀬三摩地)/「怪奇大作戦/死神の子守歌」(実相寺昭雄)
 
怪奇大作戦2 [VHS]
      
1  死体置場(モルグ)の殺人者.png「恐怖劇場アンバランス(第9話)/死体置場(モルグ)の殺人者」●制作第9話 死体置場(モルグ)の殺人者111.jpg年:1969年(制作№3)●監督:長谷部安春●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクシ小野寺涼子を演じた西尾三枝子.jpgョン/フジテレビ●脚本:山浦弘靖●音楽:冨田勲●出演:久富惟靖/西尾三枝子/向精七/渥美国泰/柳川慶子/高杉哲平/熊倉重之/鈴木勇作/小池泰光/酒井郷博/宮島邦継/斉藤リカ/倉石和第9話)/死体置場(モルグ)の殺人者」n.jpg旺/野坂昭如(特別出演)/中原早苗/高橋幸雄●放送:1973/03/05●放送局:フジテレビ●最初に観た場所(再見):大井武蔵野館(83-03-24)(評価:★★★☆)●併映:「怪奇大作戦(第7話)/青い血の女」(鈴木俊継)/「ウルトラQ/東京氷河期」(野長瀬三摩地)/「怪奇大作戦/死神の子守歌」(実相寺昭雄)
 
野坂昭如[右](特別出演) 
 
 
 
 
怪奇大作戦 sri.jpg怪奇大作戦 TITLE.jpg「怪奇大作戦」●演出:飯島敏宏/円谷一/実相寺昭雄/ 鈴木俊継/小林恒夫/安藤達己/長野卓/仲木繁夫/福田純/満田かずほ●制作:円谷英二●脚本:上原正三/金城哲夫/佐々木守/若槻文三/市川森一/福田純/高橋辰雄/藤川桂介/田辺虎男/石堂淑朗/山浦弘靖●音楽監督:山本怪奇大作戦 .jpg直純(主題歌「恐怖の町」作詞:金城哲夫/作曲:山本直純/歌:サニー・トーンズ)●出演:勝呂誉(三沢)/岸田森(牧)/原保美(的小川さおり(小橋玲子).jpg矢)/松山省二(野村)/小橋玲子(小川)/小林昭二(町田)●放映:1968/09~1969/03(全26回)●放送局:TBS

小橋玲子(小川さおり役)

怪奇大作戦 DVD-BOX 上巻【DVD】

「怪奇大作戦」(全26話)放映ラインアップ
放送日 話数 制作 No. サブタイトル 脚本 監督 特殊技術
1968年
9月15日 1 3 壁ぬけ男 上原正三 飯島敏宏 的場徹
9月22日 2 1 人喰い蛾 金城哲夫 円谷一 的場徹
9月29日 3 2 白い顔 金城哲夫/上原正三 飯島敏宏 的場徹
10月6日 4 4 恐怖の電話 佐々木守 実相寺昭雄 大木淳
10月13日 5 5 死神の子守唄 佐々木守
10月20日 6 6 吸血地獄 金城哲夫 円谷一 的場徹
10月27日 7 8 青い血の女 若槻文三 鈴木俊継 高野宏一
11月3日 8 7 光る通り魔 上原正三/市川森一 円谷一 的場徹
11月10日 9 9 散歩する首 若槻文三 小林恒夫 大木淳
11月17日 10 11 死を呼ぶ電波 福田純 長野卓 的場徹
11月24日 11 10 ジャガーの眼は赤い 高橋辰雄 小林恒夫 大木淳
12月1日 12 13 霧の童話 上原正三 飯島敏宏 的場徹
12月8日 13 12 氷の死刑台 若槻文三 安藤達己 高野宏一
12月15日 14 14 オヤスミナサイ 藤川桂介 飯島敏宏 的場徹
12月22日 15 15 24年目の復讐 上原正三 鈴木俊継 大木淳
12月29日 16 16 かまいたち 長野卓 高野宏一
1969年
1月5日 17 17 幻の死神 田辺虎男 仲木繁夫 的場徹
1月12日 18 18 死者がささやく 若槻文三 的場徹
1月19日 19 19 こうもり男 上原正三 安藤達己 大木淳
1月26日 20 20 殺人回路 市川森一/福田純 福田純 佐川和夫
2月2日 21 22 美女と花粉 石堂淑朗 長野卓 的場徹
2月9日 22 21 果てしなき暴走 市川森一 鈴木俊継 佐川和夫
2月16日 23 24 呪いの壺 石堂淑朗 実相寺昭雄 大木淳
2月23日 24 23 狂鬼人間 山浦弘靖 満田かずほ 的場徹
3月2日 25 25 京都買います 佐々木守 実相寺昭雄 大木淳
3月9日 26 26 ゆきおんな 藤川桂介 飯島敏宏 佐川和夫

円谷プロダクション 『円谷プロ全怪獣図鑑』 (2013/06 小学館)
円谷プロダクション監修 円谷プロ全怪獣図鑑0.jpg

恐怖劇場アンバランス Blu-ray BOX」(2016年リリース)
恐怖劇場アンバランス 1973.jpg
「恐怖劇場アンバランス」●監督:鈴木清順/藤田敏八/長谷部安春/山際永三/神代辰巳/森川時久/黒木和雄/満田かずほ/鈴木英夫/井田探●監修:円谷英二●特撮:佐川和夫●制作年:1969年8月~1970年4月●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:田中陽造/小山内美江子/若槻文三/市川森一/山崎忠昭/滝沢真里/満田かずほ(禾+斉)/山浦弘靖/上原正三●音楽:冨田勲●解説:青島幸男●放映:1973/01~04(全13回)●放送局:フジテレビ

「恐怖劇場アンバランス」(全13話)放映ラインアップ
話数 制作No. サブタイトル ☆原作 脚本/監督
第1話 10 木乃伊(ミイラ)の恋 ☆円地文子 田中陽造/鈴木清順
第2話 7 死を予告する女 小山内美江/藤田敏八
第3話 9 殺しのゲーム ☆西村京太郎 若槻文三/長谷部安春
第4話 6 仮面の墓場 市川森一/山際永三
第5話 5 死骸(しかばね)を呼ぶ女 山崎忠昭/神代辰己
第6話 11 地方紙を買う女 ☆松本清張 小山内美江子/森川時久
第7話 12 夜が明けたら ☆山田風太郎 滝沢真理/黒木和雄
第8話 8 猫は知っていた ☆仁木悦子 満田穧(かずほ)/満田穧
第9話 3 死体置場(モルグ)の殺人者 山浦弘靖/長谷部安春
第10話 13 サラリーマンの勲章 ☆樹下太郎 上原正三/満田穧
第11話 2 吸血鬼の絶叫 若槻文三/鈴木英夫
第12話 1 墓場から呪いの手 若槻文三/満田穧
第13話 4 蜘蛛の女 滝沢真里/井田 探

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懐かしいね。網羅度重視、怪獣中心の、"永久保存版"という趣旨にそぐった作り。

円谷プロ全怪獣図鑑 01.png
1円谷プロ全怪獣図鑑.png
円谷プロ全怪獣図鑑』(28.2 x 22.4 x 4 cm)(2013/06 小学館)

ウルトラセブン13 - コピー.JPG 今月['13年4月]円谷プロが創立50周年を迎えるのを記念しての刊行で、「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」といったウルトラシリーズに限らず、「ミラーマン」「快獣ブースカ」などの特撮作品にも登場した2,500体以上もの怪獣や宇宙人を紹介しています。

 それにしてもスゴイ数だなあと思わされます。約400頁ある本ですが(重量1.6㎏!)、怪獣の数が多すぎて、「図鑑」と言うより殆ど「カタログ」状態。見ているだけで楽しいけれど、一つ一つの解説の字数は自ずと制限され、一般のファンはともかくマニアにはどうなんだろうかと思われましたが、概ね好評のよう。やはり、全て網羅し切っているという点で、資料的価値も高いということになるのかもしれません。

 ウルトラシリーズにしても、「ウルトラQ」('66年)から「NEOウルトラQ」('13年)まで全てリアルタイムで追っかけてきた人ってそういないだろうなあ。自分が見始めたところから遡って全てを辿ってみようという"気骨ある(?)人"には格好の一冊。

 「ウルトラQ」なら「ウルトラQ」で、その中での"登場順"(エピソード順)に怪獣が配置されています。但し、「同じ作品に2度登場する怪獣は、同個体であってもその都度紹介する」と編集方針にあるように、「ペギラ」のように"再襲来"した怪獣は2度出てきます。

 因みに、手塚治虫は、虫プロの「鉄腕アトム」に続くTVアニメ第2弾「W3(ワンダースリー)」がフジテレビで常時20%台を維持する好視聴率をマークしていた際に、裏番組としてTBSで「ウルトラQ」が始まることを知り、番組や局のスタッフは楽観していたものの、円谷プロの技術の高さをよく知っていた手塚は、自分の番組の前途を危惧したとのこと。実際「ウルトラQ」が始まるとすぐに「W3」の視聴率は急落した―(手塚プロダクション『手塚治虫劇場―手塚治虫のアニメーションフィルモグラフィー[第2版]』('97年)より)。

ウルトラセブン ソノシート.jpg 「ウルトラQ」もさることながら、個人的には、やはり「ウルトラマン」('66~'67年)「ウルトラセブン」('67~'68年)辺りが懐かしく、とりわけ「ウルトラセブン」はシリーズを通しても質量ともピークであったように思います(主題歌のレコードだったかソノシートだったかを買ったなあ)。

ウルトラセブン  最終回.jpg 「ウルトラセブン」の最終回、密かにダン(森次浩司)を想うアンヌ隊員(菱見百合子)に対し、ダンは僕は人間じゃなくてM78星雲から来たウルトラセブンなんだと告白、「びっくりしただろう」と言うと、アンヌが「ううん、人間であろうと宇宙人であろうとダンはダンに変わりない」と言い、最後の戦いを終えたらM78星雲に帰らなければと言うダンことウルトラセブンに「行かないで」と言ってすがろうとしていたのが、今思えばスゴイなあと思いました(ダンはそれを突き放してウルトラセブンに変身する)。
       
松坂慶子 ウルトラセブン1.jpg悪魔の住む花2.jpg 中高年向け週刊誌などで時折組まれる「懐かしのヒーロー」特集などによくあるように、どういった俳優が科学特捜隊やウルトラ警備隊のメンバーを演じたとかはなく、ハヤタ隊員、モロボシ・ダン隊員、フジ・アキコ隊員、アンヌ隊員いった役名のみの記載となっています。松坂慶子など後に有名になる女優が子役時代やアイドルとして売り出し中の頃に宇宙人役や宇宙人に操られる人間役で結構出演していたりもするのですが、そうした場合も悪魔の住む花1.jpg松坂慶子 ウルトラセブン.jpg同様に本書の中においては役名のみで表記され、あくまでも「怪獣」「宇宙人」を中心に据えた作りになっている点などは、(そのことで物足りなさを感じる中高年もいるかもしれないが)本来の"永久保存版"という趣旨にそぐった作りとなっているように思いました。

松坂慶子 in 「ウルトラセブン」第31話「悪魔の住む花」(1968)ミクロ怪獣ダリーに寄生された少女・カオリ(香織)役
          


ウルトラマン 1966.jpg「ウルトラマン」title.jpg桜井浩子.jpg「ウルトラマン」●演出:円谷一ほか●監修:円谷英二●制作:円谷特技プロダクション●脚本:金城哲夫ほか●音楽:宮内国郎●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/平田昭彦/津沢彰秀●放映:1966/07~1967/04(全39回)●放送局:TBS
平田昭彦(科学センター所長・岩本博士)
「ウルトラマン」岩本博士.jpg

菱見百合子.jpgウルトラセブン2.jpgウルトラセブン 1967.jpg「ウルトラセブン」●演出:円谷一ほか●監修:円谷英二●制作:円谷特技プロダクション●脚本:金城哲夫ほか●音楽:冬木透●出演:中山昭二/森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/藤田進/佐原健二/宮川洋一/平田昭彦●放映:1967/10~1968/09(全49回)●放送局:TBS
ウルトラ警備隊:アマギ隊員(古谷敏)/モロボシ・ダン隊員(森次浩司)/友里アンヌ隊員(菱見百合子)/ソガ隊員(阿知波信介)/フルハシ隊員(石井伊吉)/キリヤマ隊長(中山昭二)
ウルトラ警備隊0.jpgウルトラセブン04.jpg地球防衛軍:タケナカ参謀(佐原健二)/ヤマオカ長官(藤田進)/ヤナガワ参謀(平田昭彦
              
 
ウルトラセブン最終回01.jpgウルトラセブン最終回02.jpgウルトラセブン最終回1.jpgウルトラセブン最終回1.5.jpgウルトラセブン最終回2.jpgウルトラセブン最終回4.jpg「ウルトラセブン(第49話)/史上最大の侵略(後編)」●制作年:1968年●監督:満田かずほ(穧)●脚本:金城哲夫●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:山昭二/森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿「ウルトラセブン」双頭怪獣パンドン.jpg知波信介/南廣/佐原健二/宮川洋一/藤田進●放送局:TBS●放送日:1968/09/08(評価:★★★☆)
「ウルトラセブン(第49話)/史上最大の侵略」幽霊怪人ゴース星人(左下)/双頭怪獣パンドン(右)
0ウルトラセブン幽霊怪人ゴース星人.jpg 「ウルトラセブン」最終回#2 衝撃の告白
最終回 "史上最大の侵略(後編)" ダン(森次浩司)はアンヌ(菱見百合子)に自らの正体を告白し­、双頭怪獣パンドンとの最後の戦いに挑む。(BGM:シューマンピアノ協奏曲イ短調作品54第一楽章)

5ウルトラセブン Vol.12 [DVD].jpg「ウルトラセブン」49 藤田.jpg(第49話)藤田 進(地球防衛軍・ヤマオカ長官)
ウルトラセブン Vol.12 [DVD]」46話〜49話を収録

「●TVドラマ①50年代・60年代制作ドラマ」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【3156】 飯島 敏宏 「ウルトラマン (第2話)/侵略者を撃て
「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「●日本のTVドラマ (~80年代)」の インデックッスへ(「ウルトラQ」)

"ペギラ"再登場"でシリーズ中でも高い視聴率(36.8%)。次の氷河期が来る頃、人類は?
東京氷河期 vhs カバー.jpg
ウルトラQオープニング.jpg 東京氷河期2.jpg 東京氷河期1.jpg
「東京氷河期」VHSカバー   「東京氷河期」(第14話)冷凍怪獣ペギラ

1東京氷河期.png1東京氷河期2.png 毎日新報の女性カメラマン江戸川由利子(桜井浩子)は、出稼ぎに出て戻らない父を探して上京した少年・治男(佐藤秀明)に会い、それを記事にしようと社に戻るが、真夏の東京を突然冷気が襲い、氷が張り吹雪になるという異変が発生していたため、関デスク(田島義文)に南極探検の経験者に会って原因を探るよう命じられる。ペギラ11.jpg由利子が星川航空のパイロット万城目淳(佐原健二)に相談すると、以前に南極で遭遇した怪獣"ペギラ"の仕業ではないかと言う。社では、南極の原子炉の暴発で氷が溶け、寒波と共に北上したのが原因だと一蹴されるが、その時急に上空が黒雲におおわれ、その中からペギラが現われて東京は大混乱に。ペギラを退治するには、南極のコケから採れるペギミンHが要るため、淳が飛行機で入手に向うが、機内に潜んでいた男(有馬昌彦)が、自分がペギミンHを取りに行くと言い張る。彼はかつての零戦の名パイロットで、実は治男の父親だった―(「ウルトラQ・あらすじ集」より抜粋)。

カネゴン.jpgガラモン.jpg '66(昭和41)年1月から7月まで27回にわたって放映された「ウルトラQ」の内、この「東京氷河期」は第14話で、第13話が"ガラモン"の「ガラダマ」、第15話が「カネゴンの繭」と、この辺りのラインアップはなかなかのもの。"ガラモン"も"ペギラ"もシリーズで2度登場しますが、「ガラダマ」と「東京氷河期」は共に視聴率36.8%と、シリーズの中で最高数字を記録しています(同人誌「空想特撮シリーズ ウルトラQ調査報告書」によると、近年になってヤマダ マサミ 著『ウルトラQ伝説』('98年/アスキー刊)等に掲載された視聴率にいくつかの間違いが確認され、「東京氷河期」の36.8%は、第11話の「バルンガ」と並んで、第8話「甘い蜜の恐怖」の38.5%に次ぐ第2位だだったとのこと)

全日空羽田沖墜落事故.jpg 「東京氷河期」(制作No.15)は、同年1月に放映された第5話「ペギラが来た!」(制作No.14)と間を置かず2月に放映する当初予定だったのが、2月4日に「全日空羽田沖墜落事故」(犠牲者133名は単独機としては当時世界最大の事故)が起き、冒頭に羽田上空で 航空機が墜落炎上する場面があったために4月3日に放映延期になっています('66年はこの後も航空機事故が相次いだ年だったのだが)。

ペギラ.jpg "ペンギン怪獣"が空を飛ぶというのは柔軟な発想というか、むしろペギラのずんぐりした体型からみてかなり強引ですが(口から冷気を吹き出すことの方がもっと強引か?)、温暖化した南極から北極へ移動する途中で飛行機を攻撃し、羽田空港をパニックに陥れ、ついでに東京の街を氷河期状態にしてしまうわけです。

 「原子炉の暴発」というのは当時の米ソ冷戦を背景としており、一方、「東京に氷河期が来る」というのは、一見荒唐無稽なようにも思えますが、「1万年に一度、地球には異常な低温の年が廻ってくると言われている」という前フリは、一応科学的根拠に基づいているのではないでしょうか。

ペギラ「東京氷河期」(第14話)

 学者によれば、実際に現在の地球は"氷河期"にあり、但し、氷河期には「氷期」と、氷期と氷期の間にあたる「間氷期」があって、今は4番目の「間氷期」であるとのこと(安部公房に『第四間氷期』という作品がある)。

 あと1万年もすれば「氷期」が訪れると予測され、更に、その時の大気中の二酸化炭素による温室効果バランスの状態によっては、更なる「気候のジャンプ」が生じて「全球凍結」が起き、地球全体が"スノーボール化"するかもしれないという説があり、これまでも6億年前と22億年前にそうしたことが起きたとことが解っているそうです(川上紳一『全地球凍結』('03年/集英社新書)、田近英一『凍った地球―スノーボールアースと生命進化の物語』('09年/新潮選書)など)。次の氷河期が来る頃、人類はどうしているのだろうか。

マンモスフラワー ウルトラq t.jpg 因みに、このシリーズの第1話は、古代怪獣ゴメスが登場する「ゴメスを倒せ!」でしたが、制作No.の1番は第4話「マンモスフラワー」でした(実際に撮影されたのは'64(昭和39)年9月27日~11月中旬)。そのあらすじは―。

マンモスフラワー ウルトラq 11.jpg ある日の朝、突然、東京のビル街の中心地に変動が起き、アスファルトに亀裂が入り、ビルは傾き、皇居の濠には直径が一メートルもある植物の根が出現する。地下街では、壁を破って巨大なつたが伸びて来て、人間の血を吸おうとする。やがて、ビルを突き破り、局大な植物の芽が頭をもたげ、ゆっくりと巨大なつぼみが開きはじめる―。(「ウルトラQ・あらすじ集」より抜粋)。

桜井浩子 ウルトラQ.jpg ビデオソフトのジャケットなどでよく使われているのは、この「マンモスフラワー」のスチールで、左の写真を例に挙げれば、万城目淳(佐原健二)、戸川一平(西條康彦)、江戸川由利子(桜井浩子)の3人の主要登場人物が皇居のお濠に植物怪獣を認めた場面になります。登場怪獣がいきなり「植物」で、ビルの上に大きな花を咲かせるというのがなかなか味があっていいのですが、番組の初回としてはインパクトが弱いと思われたのか、第4話での放送になっています。ただし、この回で、万城目淳の職業が小さな航空会社のパイロットであり、自称「SF作家」であって、戸川一平がその助手で、江戸川由利子が毎日新報のカメラマンであることが分かるようになっているので、本来ならやはり第1話だったのだろなあと思います。
「総天然色ウルトラQ」 2011年8月26日発売
(桜井浩子/佐原健二/西條康彦 in 第4話「マンモスフラワー」)

江戸川由利子.jpg桜井浩子.jpg 毎日新報(「毎日新聞」と最後の一字しか違わなのはTBSだから)の女性カメラマン・江戸川由利子役でレギュラー出演していた桜井浩子は、後番組として'66年7月から始まった「ウルトラマン」で、科学特捜隊の「フジ・アキコ隊員」役で出演することとなりました('67年4月まで放映)。この「紅一点」を引き継いだのが、「キャプテンウルトラ」('67年)で城野ゆきが演じた「アカネ隊員」、「ウルトラセブン」('67年~'68年)で菱見百合子が演じた「友里アンヌ隊員」ということなります。

ウルトラQ 一の谷博士.jpg また、「一の谷博士」役で出ている江川宇禮雄は、本名は江川ウレオ、ウィリー・メ彼岸花江川宇禮雄i.jpg0港の日本娘  江川.jpgラー(1902-1970/享年68)であり、1902(明治35)年にドイツ極東艦隊海軍病院薬局長として来日したドイツ人と河内出身の日本女性の間に次男として生まれています(両親は離婚し、父は長男を連れてドイツに帰国)。清水宏監督の「港の日本娘」('33年)や小津安二郎監督の「東京の女」('33年)、「彼岸花」('58年)などにも出ていました。因みに、「ウルトラシリーズ」出演者では、「ウルトラマン」('66年~'67年)のイデ隊員役の二瓶正也(1940-2021/80歳没)も、ドイツ人を実父に持つハーフです。


ウルトラQ(第14話)/東京氷河期.jpg●大井武蔵野館.jpg「ウルトラQ(第14話)/東京氷河期」●制作年:1965年●監督:野長瀬三摩地●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:山田正弘●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/西條康彦/桜井浩子/有馬昌彦/田島義文/佐藤秀明/野本礼三/杉裕之/伊藤実/清野弘幸/岡部正/石坂浩二(ナレーター)●放送:1966/04●放送局:TBS●最初に観た場所(再見):大井武蔵野館(83-03-24)(評価:★★★☆)●併映:「恐怖劇場アンバランス(第9話)死体置場(モルグ)の殺人者」(長谷部安春)/「怪奇大作戦/青い血の女」(鈴木俊継)/「怪奇大作戦/死神の子守歌」(実相寺昭雄) "ウルトラQ45周年上映会"チラシ「銀座シネパトス」2011年1月2日

14話)/東京氷河期.jpgULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラQ』Episode 14 東京氷河期.jpg

ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラQ』Episode 14 東京氷河期 Blu-ray&DVD」2019年6月19日リリース

『ULTRAMAN ARCHIVES』Premium Theater第3弾 ウルトラQ「東京氷河期」上映会&スペシャルトーク 2019年6月15日

「シン・ウルトラマン」2・3.jpg
【3180】 樋口 真嗣 「シン・ウルトラマン」(2022/05 東宝)

マンモス・フラワー ウルトラq.jpgマンモスフラワー.jpg「ウルトラQ(第4話)/マンモスフラワー」●制作年:1964年●監督:梶田興治●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:金城哲夫/梶田興治●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/西條康彦/桜井浩子/江川宇礼雄/高田稔/堺左千夫/中山豊/雨宮貞子/向井淳一郎/津田光男/丘照美/岡豊/井上大助/坂本晴哉/石坂浩二(ナレーター)●放送:1966/01●放送局:TBS(評価:★★★☆)

 
ウルトラQ.jpg江川宇礼雄 (エガワ・ウレオ).jpg「ウルトラQ」●演出:円谷一/梶田興治/野長瀬三摩地/中川晴之助/飯島敏宏ほか●制作:円谷英二●脚本:千束北男/金城哲夫/山田正弘ほか●音楽:宮内国郎●出演:佐原健二/桜井浩子/西條康彦/江川宇礼雄/田島義文/加藤春哉/岡部正/石坂浩二(ナレーター)●放映:1966/01~07(全27回)●放送局:TBS

江川宇礼雄(エガワ・ウレオ)「ウルトラQ」(3・4・8・12・13・22・25・27・28話)「一の谷博士」


DVDジャケット(「第4話・マンモスフラワー」より)

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共演の男優・女優を追悼。シェイクスピアを下敷きにした見所多い(?)作品「禁断の惑星」。

禁断の惑星 dvd.jpg 禁断の惑星 英語ポスター.jpg 禁断の惑星 ポスター.jpg 昆虫型ミュータントがアダムス博士を襲う.jpg
禁断の惑星 [DVD]」「禁断の惑星」輸入版ポスター/日本版ポスター 「宇宙水爆戦 -HDリマスター版- [DVD]

禁断の惑星 ポスター(東宝).jpg 宇宙移民が行われている2200年代、アダムス機長(レスリー・ニールセン)が率いる宇宙船は、20年前に移住して消息を絶った移民団の捜索のために、惑星第4アルテアへ着陸するが、アルテア移民団の生き残りは、モービアス博士(ウォルター・ピジョン)と、アルテアで誕生した彼の娘アルティラ(アン・フランシス)の2人と、博士が作った万能ロボット・ロビーだけだった。博士によれば、アルテアにはかつて高度に進化し、発達した科学を創り上げた先住民族が存在したが、原因不明の滅亡を遂げ、そして移民団も正体不明の怪物に襲われて自分達以外は死んでしまったという―。

アン・フランシス_3.jpgForbidden Planet2.jpgForbidden Planet.jpg アダムス機長を演じたレスリー・ニールセンが昨年('10年)11月に亡くなった(享年84)のに続いて、アルティラを演じたアン・フランシスも今年('11年)1月に亡くなり(享年80)、寂しい限りです。TV番組「ハニーにおまかせ」('56年~)の私立探偵役のアン・フランシスも、「裸の銃(ガン)を持つ男」('86年)のレスリー・ニールセンも、この映画では2人とも20代でしょうか。この作品を観ると、永遠に2人とも若いままでいるような錯覚に陥ります。

禁断の惑星 名画座ミラノ2.jpg 「禁断の惑星」がシェイクスピアの「テンペスト」を下敷きにしていることはよく知られていて、最初に劇場(名画座ミラノ、すでに「名画座料金」ではなくなっていた)で観た時も、同時期の作品「宇宙水爆戦」('55年)などに比べてよく出来ているように思いました。

宇宙水爆戦1.jpg 「宇宙水爆戦」の方は結構キッチュ趣味と言えるかも。惑星間戦争で絶滅の危機にある星の異星人の科学者が、地球の科学者に協力を依頼するが、実はその星の指導者は地球を支配して移り住むことを企んでいた―というストーリーですが、最後、事件が一見落着したかと思ったら、宇宙船内に潜んでいた宇宙昆虫人間みたいなミュータントに襲われそうになるという―このとってつけたように出現するミュータントがポスターなどではメインになっていて、それだけストーリーは印象に残らないといことでしょうか。ストーリー的にも怪物キャラクター的にも、当時流行ったSFパルプマガジンの影響を強く受けているようです(そのこともキッチュ感に繋がる要因か。でもこのキッチュ感こそが、この作品の根強い人気の秘密かも)。

宇宙家族ロビンソン3.jpg 一方、「禁断の惑星」に出てくる有名キャラクターは万能ロボット「ロビー」で、これを参照したのが60年代に作られたテレビ番組「宇宙家族ロビンソン」に出てくるロボット(愛称:フライデー)だったりし、先駆的な要素も結構あったわけです(「宇宙家族ロビンソン」には外にも「宇宙水爆戦」も参考にしている箇所が幾つかある)。

刑事コロンボ 愛情の計算2.png刑事コロンボ 愛情の計算.jpg 因みに、このロボットは、「刑事コロンボ」の第23話「愛情の計算」('74年)にも"ゲスト出演"してロビーとフライデー.jpgおり(下半身の造りが二本脚から台座型に変わっている)、人工知能研所の所長である犯人のアリバイ作りに一役買っていますが、ロボットのキー・ボードを叩く手つきの大雑把さを見ると、ちょっと所長の代役をさせるには無理な感じも。

ロビー(「禁断の惑星」)とフライデー(「宇宙家族ロビンソン」)のおもちゃ

 事件の鍵を握る天才少年の名は、スティーブン・スペルバーグで、これは勿論、コロンボ・シリーズ第3話「構想の死角」を撮ったスピルバーグ監督の名前をもじったもの。息子を庇う親心を利用して犯人を自白に追い込むというのは、後のフェイ・ダナウェイが犯人役を演じた第62話「恋におちたコロンボ」('93年)でもFaye Dunaway & Peter Falk.jpg恋におちたコロンボ2.jpg(こちらは娘を庇ってだが)使われましたが、真犯人ではないと分かっていながら拘束するのはいかがなものでしょうか(「恋におちたコロンボ」の脚本はピーター・フォーク自身が手掛けている)。但し、フェイ・ダナウェイの演技力はさすが。70年代のシリーズ作に比べ見劣りがする90年代のシリーズ作(特に後期作品)の中では、ひときわ映える名犯人役と言っていいのではないでしょうか。
Faye Dunaway & Peter Falk

アン・フランシス「死の方程式」「溶ける糸
死の方程式 アン・フランシス.jpg溶ける糸3 アン・フランシス.jpg 因みに「刑事コロンボ」シリーズに出たのはロボットだけではなく、アン・フランシスも「刑事コロンボ」の第8話「死の方程式」('72年)にロディ・マクドウォール(「猿の惑星」)演じる犯人の秘書兼愛人役で、第15話「溶ける糸」('73年)にレナード・ニモイ(「スタートレック」)演じる犯人に殺されてしまう看護婦役で出ているし、レスリー・ニールセンも、第7話の「もう一つの鍵」で、犯人である広告会社役員役のスーザン・クラークの恋人役で、第34話「仮面の男」('75年)で、元同僚のスパイに殺害される被害者役仮面の男2.jpg刑事コロンボ 仮面の男2.jpgで出ています。

レスリー・ニールセン 「仮面の男

 レスリー・ニールセンはこの頃もまだ二枚目俳優で(コメディ初出演は「フライング・ハイ」('80年))、「禁断の惑星」や「刑事コロンボ」の演技と「裸の銃(ガン)を持つ男」('88年)の演技を比べてみるのも一興でしょうか。コメディ俳優としてブレイクするきっかけとなった「裸の銃を持つ男」ではエリザベス女王裸の銃(ガン)を持つ男(1988).jpgをはじめフセイン大統領、ホメイニなど様々な人物をコケにし、「裸の銃を持つ男PART2 1/2」('88年)では当時のアメリカ大統領裸の銃(ガン)を持つ男2.jpgジョージ・ブッシュをコケにしています。「裸の銃を持つ男PART33 1/3 最後の侮辱」('94年)までプリシラ・プレスリー、ジョージ・ケネディ、O・J・シンプソンという共演トリオは変わらず和気藹々といった雰囲気でしたが、O・J・シO・J・シンプソンs.jpgンプソンは'94年に発生した元妻の殺害事件(「O・J・シンプソン事件」)の被疑者となってしまいました(刑事裁判で殺人を否定する無罪判決となったが、民事裁判では殺人を認定する判決が下った)。


Forbidden Planet3.jpg 「禁断の惑星」という作品は、ストーリーも凝っているように思われ、「テンペスト」をなぞるだけでなく、「イドの怪物」という精神分析的な味付けがされていて、ファーザー・コンプレックスがモチーフになっているように、フロイディズムの影響も濃く滲んでいます。
 また、ロボット・ロビーが博士に怪物の攻撃を止めるよう命じられても出来ないのは、アイザック・アシモフの「ロボット3原則」が下敷きになっているわけですが、この「ロボット3原則」は「ロボコップ」('87年/米)のラストなどにも援用されていたなあ。

 「禁断の惑星」も、時代ものSFパルプマガジンをそのまま映像化したような雰囲気はあるものの、それでいて結構おシャレな、レトロ・モダン感満載の"未来"像が楽しめるし、アン・フランシスがパルプマガジンの表紙そのままに超ミニで歩き回るし、この作品が実質的には映画デビュー作であるアダムス機長を演じたレスリー・ニールセンは、多分大多数の日本人がイメージしキャプテンウルトラ222.jpgている彼の演技とは全く異なる演技をしているし(昔の怪獣映画の宝田明や夏木陽介の感じ、乃至は、背景も含めると「キャプテンウルトラ」('67年)の中田博久の方がより近いか)、いろいろと見所が多い作品です(「なぜウチの中にビオトープがあるのか?」とか、突っ込み所も含めて)。

キャプテンウルトラ ハック2.jpg 尚「キャプテンウルトラ」にも、「宇宙警察パトロール隊」と共に「宇宙船シュピーゲル号」(なぜか「鏡」を意味するドイツの有名週刊誌の名前)に乗り込み、バンデル星人や怪獣たちと戦い続ける万能ロボット「ハック」が登場しますが、こちらは「ゴジラ」以来の日本の"伝統"か(この番組の制作城野ゆき.jpg会社は東映)、着ぐるみっぽいロボットでした。このシリーズは、脚本が番組放送に追いつかなくなった「ウルトラマン」と、その後継番組として構想されていた「ウルトラセブン」との間の所謂「つなぎシリーズ」だったので、書割りのような背景からも察せられる通り、番組制作予算は限られていたようです。その後ウルトラ・シリーズでお決まりとなる"紅一点"の女性隊員は、ここでは「アカネ隊員」ですが、「ウルトラマン」で桜井浩子が演じた「フジ・アキコ隊員」、「ウルトラセブン」で菱見百合子が演じた「アンヌ隊員」と並んで、この「キャプテンウルトラ」で城野ゆきが演じた「アカネ隊員」も、今も第9話「怪生物バンデルエッグあらわる」.jpgって人気があるようです。いわばフジ・アキコ隊員の後輩格、アンヌ隊員の先輩格になりますが、アカネ隊員は紅一点と言うより"準主役"と言った方がいいかも。アカネ隊員は番組の最初から準主役級でいたわけでなく、レギュラーメンバーだった「キケロ星人ジョー」(演じていたのは無名時代の小林稔侍)が子供たちに不人気で12回までで降板(キケロ星に帰郷したことにされてしまった)、それと入れ替わるようにして(重なっている時期がある)レギュラーメンバーとして準主役となったものです。このアカネ隊員、もともと変装を得意とし、一度だけコスプレっぽい服を着ていたことがありましたが(第9話「怪生物バンデルエッグあらわる」)、あれは一体なんだったのか(「禁断の惑星」のアン・フランシスを意識したのか)。
 

禁断の惑星 11 アンフランシス.jpg SFパルプマガジン風ファッション

禁断の惑星 21 アン・ニールセン.jpg 万能ロボット・ロビー登場

禁断の惑星 20 アン.jpg なぜウチの中にビオトープがあるのか?

禁断の惑星 04 アン・レスリー.jpg アン・フランシス/レスリー・ニールセン
Forbidden Planet(1956)
Forbidden Planet(1956).jpg
「禁断の惑星」●原題:FORBIDDEN EARTH●制作年:1956年●制作国:アメリカ●監督:フレッド・マクラウド・ウィルコックス●製作:ニコラス・ネイファック●脚本:シリル・ヒューム●撮影:ジョージ・J・フォルシー●音楽:ルイス・アンド・ベベ・バロン●原作:アーヴィング・ブロック/アレン・アドラー「運命の惑星」●時間:98しねまみらの.jpgシネマミラノ.jpg分●出演:ウォルター・ピジョン/アン・フランシスレスリー・ニールセン/ウォーレン・スティーヴンス/ジャック・ケリー/リチャード・アンダーソン/アール・ホリマン/ジョージ・ウォレス/ボブ・ディックス●日本公開:1956/09●配給:MGM●最初に観た場所:新宿・名画座ミラノ(87-04-29)(評価:★★★☆)
名画座ミラノ 1971年11月30日、歌舞伎町「東急ミラノビル」4Fに「名画座ミラノ」オープン、→1987年10月26日~封切館「シネマミラノ」、2006年6月1日~「新宿ミラノ3」(209席) 2014(平成26)年12月31日閉館。
新宿東急ミラノビル4館(シネマミラノ・ミラノ座・新宿東急・シネマスクエアとうきゅう)2005年8月
新宿ミラノ会館4館 20051.08.jpg

宇宙水爆戦 dvd.jpg「宇宙水爆戦」.bmp「宇宙水爆戦」●原題:THIS ISLAND EARTH●制作年:1955年●制作国:アメリカ●監督:ジョセフ・ニューマン●製作:ウィリアム・アランド●脚本:フランクリン・コーエン/エドワード・G・オキャラハン●撮影:クリフォード・スタイン/デビッド・S・ホスリー●音楽:ジョセフ・ガ―シェンソン●原作: レイモンド・F・ジョーンズ●時間:86分●出演:フェイス・ドマーグ/レックス・リーズン/ジェフ・モロー/ラッセル・ジョンソン/ランス・フラー●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ●日本公開:1955/12)●最初に観た場所:新宿・名画座ミラノ(87-05-17)(評価:★★★☆)宇宙水爆戦 -HDリマスター版- [DVD]」 

宇宙家族ロビンソン dvd.jpg宇宙家族ロビンソン l.jpg宇宙家族ロビンソンの一コマ.jpg「宇宙家族ロビンソン」Lost in Space (CBS 1965~68) ○日本での放映チャネル:TBS(1966~68)
(全3シーズン。第1シーズンはモノクロ、第2シーズンからカラー)

宇宙家族ロビンソン ファースト・シーズン DVDコレクターズ・ボックス 通常版」 
  
刑事コロンボ 愛情の計算 vhs.bmp「刑事コロンボ/愛情の計算」●原題:MIND OVER MAYHEM●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督:アルフ・ケリン●脚本:スティーブン・ボッコ/ディーン・ハーグローブ/ローランド・キビー刑事コロンボ 愛情の計算3.bmp●原案:ロバート・スペクト●音楽:ディック・デ・ベネディクティス●時間:74分●出演:ピーター・フォーク/ホセ・ファーラー/ロバート・ウォーカー/ジェシカ・ウォルター/リュー・エヤーズ/リー・H・モンゴメリー/アーサー・バタニデス/ジョン・ザレンバ/ウィリアム・ブライアント/ルー・ワグナー/バート・ホランド●日本公開:1974/08●放送:NHK総合(評価:★★★)特選 刑事コロンボ 完全版「愛情の計算」【日本語吹替版】 [VHS]

恋におちたコロンボ1.jpg「新・刑事コロンボ/恋におちたコ恋におちたコロンボ dvdブック.jpgロンボ」●原題:IT'S ALL IN THE GAME●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:ビンセント・マクビーティ●製作:クリストファー・セイター●脚本:ピーター・フォーク●音楽:ディック・デ・ベネディクティス●時間:74分●出演:ピーター・フォーク/フェイ・ダナウェイ/アルマンド・プッチ/クローディア・クリスチャン/ジョン・フィネガン/ビル・メイシー/シェリー・モリソン/ブルース・E・モロー/ジョニー・ガーデラ/ダグ・シーマン/ダニエル・T・トレント/トム・ヘンシェル日本公開:1999/05●放送:NTV(評価:★★★☆)
新刑事コロンボDVDコレクション 17号 (恋におちたコロンボ) [分冊百科] (DVD付)

裸の銃(ガン)を持つ男 dvd.jpg裸の銃(ガン)を持つ男 1.jpg「裸の銃(ガン)を持つ男」●原題:THE NAKED GUN:FROM THE FILES OF POLICE SQUAD!●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:デヴィッド・ザッカー●製作:ロバート・K・ウェイス●脚本:ジェリー・ザッカー/ジム・エイブラハムズ/デヴィッド・ザッカー/パット・プロフト●撮影:ロバート・スティーヴンス●音楽:アイラ・ニューボーン●時間:85分●出演:レスリー・ニールセン/プリシラ・プレスリー/ジョージ・ケネディ/O・J・シンプソン/リカルド・モンタルバン/ナンシー・マルシャン●配給:UIP映画配給●日本公開:1989/04(評価:★★★☆)
裸の銃(ガン)を持つ男 [DVD]

「キャプテンウルトラ」中田.jpgキャプテンウルトラ.jpg「キャプテンウルトラ」●演出:佐藤肇/田口勝彦/加島昭/竹本弘一/山田稔/富田義治ほか●制作:平山亨/植田泰治●脚本:大津皓一/高久進/長田紀生/井口達/伊上勝ほか●音楽:冨田勲●出演:中田博久/城野ゆき小林稔侍/伊沢一郎/安中滋/相馬剛三/都健二/田川恒夫●放映:1967/04~09(全24回)●放送局:TBS 「キャプテンウルトラ Vol.2 [DVD]

(第9話怪生物バンデルエッグあらわる .jpgキャプテンウルトラ」第9話42.jpg「キャプテンウルトラ(第9話)/怪生物バンデルエッグあらわる」●制作年:1967年●監督:加島昭●脚本:鈴木良武/伊東恒久●音楽:冨田勲●時間:92 分●出演:中田博久(第9話)怪生物バンデルエッグあらわる kobayasi.jpg小林稔侍城野ゆき/伊沢一郎/安中滋/佐川二郎/桐島好夫/川田信一/(以下、非レギュラー)八名信夫/三重街恒二/大槻憲/木内博之/比良元高●放送局:TBS●放送日:1967/06/11(評価:★★★)

中田博久(キャプテンウルトラ=本郷武彦)/城野ゆき(アカネ隊員)第9話「怪生物バンデルエッグあらわる」
キャプテンウルトラ」9.jpg キャプテンウルトラ」第9話61PQCFU.jpg
「キャプテンウルトラ」第1話「バンデル星人襲来す」 
」第1話「バンデル星人襲来す」.jpg

キャプテンウルトラ 第1話 「バンデル星人襲来す」.jpg 城野ゆき(アカネ隊員)1_500.jpg アカネ隊員cp.jpg 城野ゆき(アカネ隊員)
小林稔侍(キケロ星人ジョー)[当時26歳]/「シュピーゲル号」プラモデル
キャプテンウルトラ 小林稔侍.jpg シュピーゲル号.jpg

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