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事実をアムンゼン・スコット隊の物語のようにドラマチックに改変した原作と映画。

八甲田山  1.jpg八甲田山 1977.jpg八甲田山  2.jpg 八甲田山 dvd.jpg
Hakkodasan (1977)   「八甲田山 完全版 [DVD]

八甲田山 大滝秀治.jpg八甲田山1s.jpg 日露戦争開戦目前の1901(明治34)年10月、軍部はロシア軍と戦うためには雪と寒さに慣れておく必要があると判断、弘前の第4旅団司令部で行われた「日露戦争に備えての雪中行軍作戦会議」に、弘前第8師団より第4旅団長・友田少将(島田正吾)、参謀長・中林大佐(大滝秀治)、「弘前第31連隊」より連隊長・児島大佐(丹波哲郎)、第1大隊長・門間少佐(藤岡琢也)、徳島大尉(高倉健)、「青森第5連隊」よ八甲田山2a96e.jpg八甲田山 高倉2.jpgり津村中佐(小林桂樹)、木宮少佐(神山繁)、神田大尉(北大路欣也)、第2大隊長・山田少佐(三國連太郎)らがそれぞれ出席して、耐寒訓練として冬の八甲田山を軍行する計画を立て、神田大尉率いる「青森第5連隊」と徳島大尉率いる「弘前第31連隊」の参加が決まる。双方は青森と弘前から出発、八甲田山ですれ違うという進行が大筋だった。翌年1月20日、徳島率いる弘前0八甲田山80.jpg第31連隊は、雪に馴れている27名の編成部隊で弘前を出発し、一方の神田大尉も小数精鋭部隊の編成を申し出たが、大隊長・山田少佐に拒否され210名という大部隊で青森を出発した。神田の青森第5連隊の実権は大隊長・山田少佐に移っており、神田の用意した案内人を山田が断ってしまう。神田の部隊は低気圧に襲われ、磁石が用をなさなくなり、ホワイトアウトの中に方向を失い、次第に隊列は乱れ、狂死する者0八甲田山12.jpgさえ出始める。一方徳島の部隊は、案内人(秋吉久美子)を先頭に風のリズムに合わせ、八甲田山に向って快調に進む。出発してから1週間後、徳島隊は八甲田に入って神田大尉の従卒の遺体を発見、神田の青森第5連隊の遭難は疑う余地はなかった。そして徳島は、吹雪の中で永遠の眠りにつく神田と再会。青森第5連隊の生存者は山田少佐以下12名。徳島の弘前第31連隊は全員生還。山田少佐はその後に拳銃自殺する―。

0八甲田山 高倉.jpg 1977年公開の森谷司郎監督、橋本忍脚本、高倉健・北大路欣也主演作品で、原作は新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』('71年/新潮社)。原作は、1902(明治35)年)1月、陸軍第8師団の「青森歩兵第5連隊」が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍訓練で参加者210名中199名が死亡した事件に材を得ていますが、「弘前歩兵第31連隊」の雪中行軍訓練と時期は重なるものの、お互いに相手の計画を知らなかったということで、これを徳島・神田両大尉が同時に行軍指揮の命令を受け、事前に両隊が八甲田山で出会うことを示し合わてスタートしたように描き、更に、強行スケジュールを立てて先を急いだ神田・青森隊と、自然の驚異への畏怖からそれに逆らわず慎重に行動した徳島・弘前隊を対比的に描くことで、ちょうど南極点一番乗りを目指して片や偉業達成、片や全滅したアムンゼン隊とスコット隊の物語のようにドラマチックにしたのは、新田次郎の作家としての力量の為せる技でしょう。

八甲田山 1977  三國s.jpg 従って、事実としては、映画のように高倉健が演じた徳島大尉(モデルは福島泰蔵大尉)と北大路欣也が演じた神田大尉(モデルは神成文吉大尉)が出発前に出会って語らったこともなく、また、映画では三國連太郎演じる山田少佐(モデルは山口鋠少佐)の我田引水の判断や行動が遭難事故の誘因となったように描かれていますが、実際には山口少佐の遭難事故に与えた影響は判明していないそうです(部下の犠牲で生き残ったことへの自責の念から病院で拳銃自殺するというのも新田次郎の創作)。

0八甲田山es.jpg 一方の、徳島大尉は理想のリーダーのように描かれていますが、実際には福島隊も地元の案内人との関係は良くなかったらしく、高倉健の徳島大尉が秋吉久美子演じる(軽々と雪山を登って行く部分はスタント?)案内人に感謝の意を表して部下らに捧げ銃を命じるのは完全に映画のオリジナルで、新田次郎原作においてすら、小銭を渡して冷たくあしらったことになっています(映画では、三國連太郎演じる山田少佐が「金目当てか?」と案内人を追い返したのと対照的な行動として描かれている。感動的な場面ではある)。

八甲田山i.jpg しかしながら、事実がどうだったかはともかく、映画は映画としてみれば面白く、少なくとも長尺の割には、途中飽きることはありませんでした。原作の方は企業研修や大学において、リスクマネジメントやリーダー論などの経営学のケーススタディに用いられることがあるようですが、当然事前に読ませておくということでしょう。映画も(その後の討論を含め1日がかりの研修ならともかく)勤務時間中に見せるのは約2時間40分の長さはきついかもしれません。

八甲田山 北大路欣也.jpg そもそも、原作にしても映画にしても、明治陸軍という特殊な組織の中での話であって、これを現代のビジネス社会に当て嵌めて考えたり応用したりするには無理があるという見方もあるようですが、確かにそうした面もあるかもしれないし(「北大路欣也演じる神田大尉が上官の無茶な命令に逆らえないのはフォロワーシップの欠如だ」と言うのは簡単だが、当時の陸軍においては上官命令には絶対服従だっただろう)、一方、高倉健演じる徳島大尉はあまりに理想的に描かれ過ぎている感じもします。しかしながら、個々のリーダーシップと言うより組織論的な観点から見ると、命令系統の混乱が青森隊を混迷状況に陥れたわけで、マネジメントにおける「命令統一の原則」が守られなかった場合どうなるかということと呼応しており、参考になる部分はあるかもしれません。

0八甲田山 1977   8.jpg 今日まで続く"山岳映画"の流れの嚆矢にもなったとされる作品ですが(一応これ以前にも「銀嶺の果て」('47年)や「黒い画集 ある遭難」('61年)といった作品はあるが)、この作品のロケは大変だったろうなあと思います。撮影隊が本当に遭難しそうになったという逸話があるというのは頷けますが、今だったらかなりの部分をCGでカバーしてしまうだろうから、そう考えると全てフィルムで撮っているというのは映像的に貴重かも。但し、カメラマンの木村大作は吹雪の中で照明が殆ど使えなかったことが不満だったとのことで、確かに白い雪の中で登場人物の顔が黒く潰れてしまっているというのは多く見られました。おそらくこれはデジタルリマスター版になってもそう改善されないものなのでしょう。

八甲田山_n.jpg八甲田山(映画) 加藤嘉 .jpg
徳島大尉(第一大隊第二中隊長):高倉健
神田大尉(第二大隊第五中隊長):北大路欣也
山田少佐(第二大隊長):三國連太郎
村山伍長(第五中隊第二小隊):緒形拳
田茂木野村の作右衛門:加藤嘉
「八甲田山」欣也.jpg
八甲田山 特別愛蔵版 高倉健 主演 DVD2枚組」(2014年)
八甲田山 特別愛蔵版.jpg八甲田山03.jpg「八甲田山」●制作年:1977年●監督:森谷司郎●製作:橋本忍/野村芳太郎/田中友幸●脚本:橋本忍●撮影:木村大作●音楽:芥川也寸志●時間:169分●出演:高倉健/北大路欣也/島田正吾/三國連太郎/丹波哲郎/藤岡琢也/加山雄三/小林桂樹/神山繁/森田健作/下絛アトム/大滝秀治/前田吟/東野英心/緒方拳/加賀まり子秋吉久美子八甲田山 加賀まりこ.jpg八甲田山 akiyosi.jpg山谷初男/丹古母鬼馬二/菅井きん/加藤嘉/田崎潤/栗原小巻/金尾哲夫/玉川伊佐男/江角英明/樋浦勉/浜田晃/加藤健一/江幡連/高山浩平/安永憲司/佐久間宏則/大竹まこと/新克利/山西道宏/船橋三郎●公開:1977/06●配給:東宝(評価:★★★☆)
加山雄三(大隊本部・倉田大尉)/前田吟(第三十一連隊・斉藤伍長)/森田健作(第五連隊・三上少尉)/秋吉久美子(案内人さわ)
「八甲田山」加山前田森田秋吉.jpg

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森田作品は出来にムラあり(?)。80年代前半の松田優作と秋吉久美子がいい。

家族ゲーム(ポスター).jpg 家族ゲーム.jpg   森田 芳光 「それから」.jpg  の・ようなもの.jpg   ウィークエンド・シャッフル.png
「家族ゲーム」チラシ/「家族ゲーム [DVD]」「それから [DVD]」 「の・ようなもの [DVD]」「映画パンフレット 「ウィークエンド・シャッフル」監督 中村幻児 出演 秋吉久美子/泉しげる/風間舞子/池波志乃/秋川リサ/渡辺えり子

家族ゲーム1.jpg「家族ゲーム」2.jpg「家族ゲーム」1.jpg 森田芳光(1950-2011)監督・脚本の「家族ゲーム」('83年/ATG)は、家族が食卓に横一列に並んで食事するシーンなど凝ったカットの多い作品でしたが、個人的には、川沿いの団地へ松田優作(1949‐1989/享年40)が演じる家庭教師が小舟に乗って赴く冒頭シーンと、教え子が無事に志望校に合格した後の家族全員の食事の席で、その家庭教師が食卓をぐちゃぐちゃにしてしまうラストが印象的でした。
Kazoku gêmu (1983)
Kazoku gêmu (1983) .jpg 冒頭シーンはアクション映画のパロディ(?)。ラストはかなり唐突な気もしましたが、おそらく家族が一緒に後かたずけをすることを余儀なくされ、その結果初めて家族が一体となる―という、ある意味、カタストロフィではなくハッピーエンドと見るべきなのかもしれません。全体を通して、松田優作のぼそぼそっと小声で早口で話す演技は、映画の家庭教師の特異なキャラクターとよくマッチしていたように思います(第57回「キネマ旬報ベスト・テン」第1位作。第5回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作。森田芳光監督は、その演出・脚色に対して「芸術選奨新人賞」を受賞)。

探偵物語 松田優作.jpg 松田優作は、翻訳家でハードボイルド作家でもある小鷹信光(1936-2015)の原案によるNTV系ドラマ「探偵物語」や、作家赤川次郎薬師丸ひろ子のために書き下ろした小説探偵物語 パンフレット.jpg探偵物語.jpgが原作である根岸吉太郎監督の映画「探偵物語」('83年/角川春樹事務所)で見せたような、コミカルな面のある軽めのキャラクターがハマっていたように思い、また彼自身、自然体でそうした役柄を演じているように感じました。

 映画「探偵物語」('83年)予告/音楽:加藤和彦(主題歌:薬師丸ひろ子)
探偵物語 松田優作 薬師丸ひろ子11.pngtantei-thumb-240x131-8361.jpg 「探偵物語」はTV版に比べて映画の方のストーリーはイマイチで(TV版「探偵物語」とは全く別物の話。先にも述べたように、テレビは小鷹信光が原案者、映画は赤川次郎原作なので違って当然だが)、恋愛ドラマ的要素が入る分、薬師丸ひろ子の演技力不足が痛く、澤井信一郎監督の 「Wの悲劇」('84年/角川春樹事務所)より前の彼女の演技は素人並Wの悲劇.jpgみではなかったでしょうか。「セーラー服と機関銃」('82年/角川春樹事務所)では相米慎二(1948-2001)監督の魔術的演出に救われていましたが、「探偵物語」では、岸田今日子のような演技達者を起用して脇を固めようとしてはいるものの、そんな演技未熟の薬師丸ひろ子を相手に演技している松田優作の苦闘ぶりが目につきました。玉川大学文学部就学のため一時芸能活動を休止していた薬師丸ひろ子の復帰第一弾を角川事務所が企画した作品であり、あくまでも薬師丸ひろ子が主人公の探偵(ごっこ)物語であって、脇だけ固めても主役があまりに未熟では...。それでも映画はヒットし、ラストの新東京国際空港での松田優作と薬師丸ひろ子の"身長差30センチ"キスシーンは当時話題となったのは、彼女がアイドルとしていかに人気があったかということでしょう。松田優作に関して言えば、TV版の方がハードボイルド・ヒーローでありながらずっこけたような面があるという点で、より"優作らしい"演技だったと言えるかも。

Wの悲劇 薬師丸 三田.jpg 薬師丸ひろ子が舞台女優を目指す劇団員を演じた「Wの悲劇」は、夏樹静子(1938- 2016)の原作は劇中劇として用いられているだけで、ストーリーは別物です("原作者"の夏樹静子氏は、劇場にこの作品を観に行って初めてそのことを知り、唖然としたという)。劇団の演出家蜷川幸雄.jpg役で蜷川幸雄(1935-2016)が出演し、実際に劇中劇の演出も担当しています。三田佳子がベテランらしい渋い演技を見せ(日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞)、薬師丸ひろ子もそれに触発されwの悲劇 高木美保.jpg演技開眼したのか、そう悪くない演技でした(高木美保の映画デビュー作でもあり、主人公を陥れようとする敵役だった)。夏樹静子の原作は、その後、テレビドラマとしてそれそれアレンジされながら繰り返し作られることとなります('83年TBS(秋吉久美子主演)、'86年フジテレビ(高峰三枝子主演)、'01年テレビ東京(名取裕子主演)、'10年TBS(菅野美穂主演)、'12年テレビ朝日(武井咲主演))。

時をかける少女 1983 併映.jpg 因みに、「探偵物語」と「Wの悲劇」の併映作品はそれぞれ「時をかける少女」('83年/角川春樹事務時をかける少女 1983 2.jpg所)、「天国にいちばん近い島」('84年/角川春樹事務所)でした。共に大林宣彦監督、原田知世主演で、「時をかける少女」は、原作は筒井康隆が学習研究社の「中三コース」1965(昭和40)年11月号にて連載開始し、「高一コース」1966(昭和41)年5月号まで全7回掲載したものであり、原田知世の映画デビュー作でした。 筒井康隆「時をかける少女」長尾みのる.jpg配役発表の時点では原田知世は当時圧倒的人気を誇っていた薬師丸ひろ子「時をかける少女」図1.jpgのアテ馬的存在でしたが、「時をかける少女」一作で薬師丸ひろ子と共に角川映画の二枚看板の一つになっていきます。「時をかける少女」は筒井康隆の原作の舞台を尾道に移して、大林監督の「尾道三部作」(他の2作は「転校生」「さびしんぼう」)の第2作目という位置づけになっていますが、後に「SFジュブナイルの最高傑作」とまで言われるようになった原作に対し、原田知世の可憐さだけでもっている感じの映画になってしまった印象がなくもない作品でした。

「時をかける少女」主題歌作詞・作曲:松任谷由実/筒井康隆『時をかける少女』('72年/鶴書房盛光社・SFベストセラーズ)カバー:長尾みのる/挿絵:谷俊彦/解説:福島正実

大林宣彦 転校生8.jpg「転校生」vhs.jpg 「尾道三部作」の中でいちばんの秀作と思われる「転校生」('82年/松竹)に比べるとやや落ちるでしょうか。「転校生」は、原作は山中恒(この人も「高一コース」とかにちょっとエッチな青春小説を連載していた)の『おれがあいおれがあいつであいつがおれで.jpgつであいつがおれで』で、旺文社の「小6時代」に1979年4月号から1980年3月号まで連載されたもの。男の子と女の子が0転校生 1982.jpg神社の階段から転げ落ち、そのはずみで心と身体が入れ替わってしまう話ですが、二人が入れ替わるまでをモノ田中小実昌 .jpgクロで、入れ替わってからはカラーで描き分け、また8ミリ映像も効果的に挿入しながら、古き良き町・尾道を魅力的に活写していました。この作品にはまだ、自主制作映画のようなテイストがあったなあ。第4回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作(田中小実昌(1925-2000)が「喜劇映画ベスト10」に選んでいたことがある)。
山中 恒『おれがあいつであいつがおれで (旺文社創作児童文学)』['80年/旺文社]

 「転校生」は公開当時はそれほど注目されませんでしたが、「時をかける少女」の方は、角川の「探偵物語」との抱き合わせでの宣伝活動もあってヒットし、角川では'97年に白黒映画でリメイク作品が作られましたが個人的には未見、'06年には細田守監督によるアニメ映画も作られました。細田守監督のアニメ「時をかける少女」は、原作の出来事から約20年後を舞台に、原作の主人公であった芳山和子の姪である紺野真琴が主人公として繰り広げる青春ドラマになっています(原作:筒井康隆となっているが中身は別物と言っていい)。筒井康隆は「新しく付け加えられたシチュエーションというのは、突っ込もうと思えばいくらでも突っ込める」としながらも、「本当の意味での二代目」とコメントしています。また、富野由悠季は「演出が優れており、実写より上手くまとまっている」としながらも、「高校生しか出てこないのでただの風俗映画に見える、キャラクターが活かしき時をかける少女 (2006).jpg時をかける少女 2006 2.jpgれていない」としていますが、(昨年['08年]7月にCXで2度目のテレビ放映されたのを観た)個人的感想は筒井氏の前者と富野氏の後者に近いでしょうか。主人公たちの「告白したい!」という台詞が「SEXしたい!」と自分には聞こえるとまで富野由悠季は言い切りましたが、鋭い指摘だと思います('10年に更にそのアニメの実写版のリメイクが作られている(主演はアニメ版の主人公の声を務めた仲里依紗)。'16年に日本テレビでテレビドラマ化された「時をかける少女」はまたオリジナルに戻っている(主演は黒島結菜)。テレビドラマ化はこれが5回目になる)
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天国にいちばん近い島 Wの悲劇s.jpg天国に一番近い島 2.jpg 「Wの悲劇」の併映作品だった「天国にいちばん近い島」は、個人的にはイマイチもの足りない映画でしたがこれもヒットし、舞台となったニューカレドニアに初森村桂.jpgめてリゾート・ホテルが建ったとか(バブルの頃で、日本人観光客がわっと押しかけた)。原作者・森村桂(1940-2004)が行った頃はリゾート・ホテルなど無かったようです。舞台は美しいけれど、バブルは崩壊したし、原作者が自殺したということもあって、今となってはちょっと侘しいイメージもつきまとってしまいます(森村桂の自殺の原因はうつ病とされている)。

それから 松田優作/小林薫.jpg 「家族ゲーム」の後、松田優作が森田芳光監督と再び組んだ「それから」('85年/東映)は、評論家の評価は高かったですが(松田優作は、「家族ゲーム」「探偵物語」の前年、鈴木清順監督の「陽炎座」('81年/日本ヘラルド映画)で文芸作品デビューを果たし、既に高い評価を得ていた)、個人的にはミスキャストだったように思え(何だか肩に力入り過ぎ)、松田優作や小林薫のロボットのような独特のエロキューションもちょっと違和感が感じられたし、作品自体も漱石の原作のイメージ(勝手に自分が抱いているイメージだが)とやや食い違ったものになってしまったような気がします。
「それから」松田優作/小林薫

「の・ようなもの」(1981 ヘラルド).jpgの・ようなもの1.jpg 森田芳光監督には、「の・ようなもの」('81年/N.E.W.S.コーポレーション)というある若手の落語家の日常と恋を描いた劇場用映画デビュー作があり、映画のつくりそのものはやや荒削りな面もありましたが、落語家の世界の描写に関しては丹念な取材の跡がみてとれ(森田監督は日大落研出身)、落語家志望の青年に扮する伊藤克信のとぼけた個性もいいし、彼が通うソープ嬢エリザベス役の秋吉久美子も"軽め"のしっとりした演技で好演しています(第3回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作)。

愛と平成の色男/.jpg愛と平成の色男.png 愛と平成の色男/バカヤロー2.jpg「愛と平成の色男/バカヤロー!2 幸せになりたい。」
財前直見 写真集「とってもいいよ!」.jpg武田久美子 1989 .bmp 結局、森田芳光という監督の演出力はよくわかりません。監督の力量なのか役者のお陰なのか...。「愛と平成の色男」('89年/松竹)などは、ストーリーもどうしょうもないし(石田純一にぴったりとも言えるが)、役者もみんな下手くそなのに、結果として、当時はグラビアアイドルで、役者としては殆ど新人に近かった鈴木保奈美、財前直美、鈴木京香、武田久美子の4人を女優としていっぺんに発掘したことになっているし...映画初出演だった鈴木京香などは、この映画の出演を機にNHKの朝の連ドラに抜擢されています。
とってもいいよ!―財前直見写真集』(1988/11)/『マイディア ステファニー―武田久美子写真集』(1989/09)
鈴木保奈美/鈴木京香
鈴木保奈美.jpg鈴木京香2.jpg 鈴木保奈美はカネボウのCMモデル、財前直美は東亜国内航空の沖縄キャンペーンガール、鈴木京香はカネボウの水着キャンペーンガール出身。少女モデルから歌手になった武田久美子は中学生時代の1981年11月、東大駒場祭「第2回東大生が選ぶアイドルコンテスト'81」に自身で応募し、総数1263人の中で優勝、「東大生が選んだアイドル」として一時人気を博し、後に「逆噴射家族」('84年/Aシャッフル 1983.jpgTG)を撮る石井聰亙監督の34分の短編映画「シャッフル」('81年/ATG)にヒロインとして映画初出演(製作は'81年12月、一般劇場公開は'83年秋)したりしたものの、やがてマイナーに(「シャッフル」は大友克洋の短編漫画「RUN」の映画化で、自分を裏切った女を殺したチンピラと、彼を追う刑事の話で、日本版43才でもなぜ武田久美子でいられるのか.jpg「タクシードライバー」とも言われたが、個人的にはよくわからなくてイマイチ)。それが、昭和が終わったこの年に刊行された"貝殻ビキニ"の写真集が売れに売れて人気復活。この頃は、CMもグラビアも撮影と言えば3泊4日でハワイでというのが当たり前のバブル期でした。時の流れを感じますが、武田久美子だけ今もって肉体派路線を継続中? 「シャッフル [DVD]
43才でもなぜ武田久美子でいられるのか: 美ホルモンをアップして更年期を迎え撃つ』['11年]

 因みに、「愛と平成の色男」と併映の「バカヤロー!2 幸せになりたい。」('89年/松竹)は、森田監督の製作総指揮・脚本による4人の若手監督によるオムニバスで、岩松了監督(第3話)のチェッカーズの藤井郁弥が、山のようなレコードを抱え、CD全盛の世に取り残された男に扮する「新しさについていけない」と、成田裕介バカヤロー2 幸せになりたい 新しさについていけない.jpgバカヤロー2 幸せになりたい 女だけがトシとるなんて.jpg監督(第4話)の山田邦子が再就職に苦戦するハイミスに扮した「女だけがトシとるなんて」が良かったように思います。あとの2話は、本田昌広監督(第1話)の小バカヤロー2 幸せになりたい 小林.jpg林稔侍が家族のためにとったニューカレドニア旅行のチケットを会社から顧客に回すように言われた旅行代店社員を演じた「パパの立場もわかれ」と、堤真一が深夜のバカヤロー!2 堤.jpgコンビニでバイトしてお客の扱いで頭を悩ますうちに妄想ノイローゼになっていく男を演じた鈴木元監督(第二話)の「こわいお客様がイヤだ」(堤真一にとっては初主演映画。他に爆笑問題の太田光・田中裕二が映画初出演、太田光は後に「バカヤロー!4」('91年)の第1話を監督している)でした。

ウィークエンド・シャッフル 秋吉久美子.jpgウィークエンド・シャッフル(1982) ぴあ.gif 秋吉久美子は柳町光男監督の「さらば愛しき大地」('82年/プロダクション群狼)のような重い作品でその演技力を見せつける一方、ピンク映画出身の中村幻児監督の「ウィークエンド・シャッフル」('82年/幻児プロ=らんだむはうす)では、「の・ようなもの」以上に軽いノリで演じています。強盗(泉谷しげる)が主婦らに児童誘拐犯と間違えられ、さらに主婦(秋吉久美子)の偽夫の役回りを演じさせられるというハチャメチャなストーリーの原作は筒井康隆で、秋吉久美子、池波志乃、秋川リサら女ウィークエンド・シャッフル 秋吉久美子 泉谷しげる.jpgウィークエンド・シャッフル スチール.jpg優陣が惜しげもなく脱いでいますが、スラップスティク・コメディ調であるためにベタベタした現実感がなく、さらっと乾いた感じの作品に仕上がっています(ただ、原作のシュールな雰囲気までは出し切れていないか)。秋吉久美子って「70年代」というイメージのある女優ですが、80年代の作品を観ても、演技の幅が広かったなあと改めて思わされます。
「ウィークエンド・シャッフル」('82年/幻児プロ=らんだむはうす)(秋吉久美子/泉谷しげる) 
「ウィークエンド・シャッフル」9.jpg「ウィークエンド・シャッフル」T.jpg
 

「家族ゲーム」12.jpg「家族ゲーム」●制作年:1983年●監督・脚本:森田芳光●製作:佐々木志郎/岡田裕/佐々木史朗●撮影:前田米造●原作:本間洋平「家族ゲーム」●時間:106分●出演:松田優作伊丹十三/由紀さおり/宮川一朗太/辻田順一/松金よね子/岡本かおり/鶴田忍/戸川純/白川和子/佐々木志郎/伊藤克信/加藤善博/土井浩一郎/植村拓也/前川麻子/渡辺知美/松野真由子/中森いづみ/佐藤真弓/小川隆宏●公開:1983/06●配吉祥寺パーキングプラザ.jpgテアトル吉祥寺.jpg吉祥寺ピカデリー.jpg給:ATG●最初に観た場所:テアトル吉祥寺 (84-02-11)(評価:★★★★☆)●併映:「転校生」(大林宣彦)
テアトル吉祥寺 (1999年〜吉祥寺ピカデリー) 1979年、吉祥寺パーキングプラザ(右写真・現)地下1階にオープン。2000(平成12)年5月22日閉館

探偵物語38.jpg探偵物語 松田優作 dvd.jpg「探偵物語」(TVドラマ)●演出:村川透/西村潔/澤田幸弘/長谷部安春/加藤彰/小澤啓一/小池要之助●制作:伊藤亮爾/紫垣達郎/山口剛●脚本:丸山昇一/那須真知子/佐治乾/柏原寛司/宮田雪●音楽:鈴木清司●原案:小鷹信光●出演:松田優作/成田探偵物語 松田優作2.jpg探偵物語 倍賞美津子.jpg三樹夫/山西道広/竹田かほり/ナンシー・チェニー/平田弘美/橘雪子/重松収/倍賞美津子/佐藤蛾次郎/中島ゆたか/片桐竜次/草薙幸二郎/清水宏/広京子/川村京子/三原玲奈/真辺了子/戸浦六宏/熊谷美由紀(松田美由紀)●放映:1979/09~1980/04(全27回)●放送局:日本テレビ

左から竹田かほり、倍賞美津子、松田優作、ナンシー・チェニー

探偵物語 熊谷美由紀.jpg
第1話「聖女が街にやって来た」 松田優作/熊谷美由紀(松田美由紀)

岸田今日子/秋川リサ
探偵物語 .jpg探偵物語 松田優作 薬師丸ひろ子ru1.jpg探偵物語 長谷沼君江/岸田今日子1.jpg秋川リサ2.jpg 「探偵物語」●制作年:1983年●監督:根岸吉太郎●製作:角川春樹●脚本:鎌田敏夫●撮影:「探偵物語」岸田.jpg仙元誠三●音楽:加藤和彦(主題歌:薬師丸ひろ子)●原作:赤川次郎●時間:106分●出演:薬師丸ひろ子/松田優作/秋川リサ/岸田今日子/北詰友樹/坂上味和/藤田進/中村晃子/鹿内孝/荒井注/蟹江敬三/財津一郎/三谷昇/林家木久蔵/ストロング金剛/山西道広/清水昭博/榎木兵衛/加藤善博/草薙良一/清水宏●公開:1983/07●配給:角川春樹事務所●最初に観た場所:東急名画座 (83-07-17)(評価:★★☆)●併映:「時をかける少女」(大林宣甦れ!東急名画座3.jpg甦れ!東急名画座1.jpg東急文化会館.jpg東急名画座 1.jpg彦) 東急名画座 (東急文化会館6F、1956年12月1日オープン、1986年〜渋谷東急2) 2003(平成15)年6月30日閉館
 
 
 
Wの悲劇 [DVD].jpg「Wの悲劇」●制作年:1984年●監督:澤井信一郎●製作:角川春樹●脚本:荒井晴彦/澤井信一郎●撮影:仙元誠三●音楽:久石譲(主題歌:薬師丸ひろ子)●原作:夏樹静子●時間:108分●出演:薬師丸ひろ子/三田佳高木美保 Wの悲劇.jpg子/世良公則/三田村邦彦/仲谷昇/高木美保/蜷川幸雄/清水浩治/内田稔/草薙二郎/南美江/絵沢萠子/藤原釜足/香野百合子/志方亜紀子/幸日野道夫/西田健/堀越大史/渕野俊太/渡瀬ゆき●公開:1984/12●配給:東映/角川春樹事務所●最初に観た場所:新宿武蔵野館 (85-01-15)(評価:★★★★)●併映:「天国にいちばん近い島」(大林宣彦)
新宿武蔵野館(2019(令和元)年5月)
新宿武蔵野館42.JPG新宿 武蔵野館(1936年).jpg旧・新宿武蔵野館 (1920年武蔵野館オープン、1928年に現在の「新宿武蔵野館」の地に新築移転(モノクロ写真:新宿 武蔵野館(1936年))。1968年、武蔵野ビルを改装し7階に「新宿武蔵野館」として再オープン。1994年には同一ビルの3階にミニシアターとして「シネマ・カリテ(中黒あり)1・2・3」がオープン。2002年「新宿武蔵野館」を「新宿武蔵野館1」に改称し、同時に「シネマ・カリテ1・2・3」を「新宿武蔵野館2・3・4」に改称。2003(平成15)年9月30日「新宿武蔵野館1」閉館。それに伴い3階の「新宿武蔵野館2・3・4」を「新宿武蔵野館1・2・3」に改称し4館体制から3館体制となる。(2012年12月22日、武蔵野興業により新宿NOWAビル地下1階に2スクリーンの「シネマカリテ」がオープン)

岸部一徳 in「時をかける少女」
「時をかける少女」岸部2.jpg時をかける少女 原田c47.jpg「時をかける少女」●制作年:1983年●監督:大林宣彦●製作:角川春樹●脚本:剣持亘●撮影:前田米造●音楽:松任谷正隆(主題歌:原田知世(作詞・作曲:松任谷由実))●原作:筒井康隆●時間:104分●出演:原田時をかける少女 dvd.jpg時をかける少女 1983 3.jpg東急名画座 1.jpg知世/高柳良一/尾美としのり/津田ゆかり/岸部一徳/根岸季衣/内藤誠/入江若葉/高林陽一/きたむらあきこ/上原謙/入江たか子●公開:1983/07●配給:東映●最初に観た場所:東急名画座 (83-07-17)(評価:★★★)●併映:「探偵物語」(根岸吉太郎)
時をかける少女 [DVD]」入江たか子 /上原謙
「時をかける少女」上原・入0.jpg「時をかける少女」上原・入江.jpg


転校生 [DVD]
転校生 1982 .jpg転校生 1982ド.jpg転校生 1982 01.jpg「転校生」●制作年:1982年●監督:大林宣彦●製作:森岡道夫/大林恭子/多賀祥介●脚本:剣持亘●撮影:阪本善尚●原作:山中恒「おれがあいつであいつがおれで」●時間:112分●出演:尾美としのり/小林聡美/佐藤允/樹木希林/宍戸錠/入江若葉/中川勝彦/井上浩一/岩本宗規/大転校生 1982 02.jpg山大介/斎藤孝弘/柿崎澄子/山中康仁/林優枝/早乙女朋子/秋田真貴/石橋小大林宣彦 転校生ド.jpg百合/伊藤美穂子/加藤春哉/鴨志田和夫/鶴田忍/人見きよし/志穂美悦子●公開:1982/04●配給:松竹●最初に観た場所:大井武蔵野舘 (83-07-17)●2回目:テアトル吉祥寺 (84-02-11)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「の・ようなもの」(森田芳光)/「ウィークエンド・シャッフル」(中村幻児)●併映(2回目):「家族ゲーム」(森田芳光)

「転校生」志穂美悦子/小林聡美
 
時をかける少女 文庫.jpg時をかける少女2006 1.jpg「時をかける少女(アニメ)」●制作年:2006年●監督:細田守●製作:渡邊隆史/齋藤優一郎●脚本:奥寺佐渡子●音楽:吉田潔●原作:筒井康隆●時間:98分●声の出演:仲里依紗/石田卓也/板倉光隆/原沙知絵/谷村美月/垣内彩未/関戸優希子●公開:2006/07●配給:角川ヘラルド映画(評価:★★☆)
        
天国に一番近い島 lp.jpg天国に一番近い島 dvd.jpg「天国にいちばん近い島」●制作年:1984年●監督:大林宣彦●製作:角川春樹●脚本:剣持亘●撮影:阪本善尚●音楽:朝川朋之(主題歌:原田知世)●原作:森村桂●時間:102分●出演:原田知世/高柳良一/朝川朋之/赤座美代子/泉谷しげる/高橋幸宏/小林稔侍/小河麻衣子/入江若葉/室田日出男/高橋幸宏/松尾嘉代/乙羽信子●公開:1984/12●配給:東映●最初に観た場所:新宿武蔵野館 (85-01-15)(評価:★★☆)●併映:「Wの悲劇」(澤井信一郎) 「天国にいちばん近い島 デジタル・リマスター版 [DVD]
高橋幸宏(1952-2023/70歳没)in「天国にいちばん近い島」(1984)/坂本龍一(1952-2023/71歳没)in「戦場のメリークリスマス」(1983)/細野晴臣(1947- )in「居酒屋兆治」(1983)
天国にいちばん近い島 高橋幸宏.jpg戦場のメリークリスマス 6.jpg居酒屋兆冶 細野.jpg


藤谷美和子 それから.jpgそれから 笠智衆.jpegそれから.jpg「それから」●制作年:1985年●監督:森田芳光●製作:黒沢満/藤峰貞利樹●脚本:筒井ともみ●撮影:前田米造●音楽:梅林茂●原作:夏目漱石●時間:130分●出演:松田優作藤谷美和子/小林薫/笠智衆/中村嘉葎雄/草笛光子/風間杜夫/美保純/イッ「それから」1985年.jpgセー尾形/森尾由美/羽賀研二/それから 笠智衆.jpg川上麻衣子/遠藤京子/泉じゅん/一の宮あつ子/小林勝彦/佐原健二/加藤和夫/水島弘/小林トシエ/佐藤恒治/伊藤洋三郎●公開:1985/07●配給:東映●最初に観た場所:新宿ミラノ座 (85-11-17)(評価:★★☆)
 

の・ようなもの3.gifの・ようなもの2.jpg「の・ようなもの」●制作年:1981年●監督・脚本:森田芳光●製作:鈴木光●撮影:渡部眞●音楽:塩村宰●原作:本間洋平●時間:103分●出演:秋吉久美子/伊藤克信/尾藤イサオ/でんでん/小林まさひろ/大野貴保/麻生えりか/五十嵐知子/風間かおる/直井理奈/入船亭扇橋/内海好江/鷲尾真知子/吉沢由起/小宮久美子/三遊亭大井武蔵野館・大井ロマン.jpg大井武蔵野館 地図.jpg楽太郎/芹沢博文/加藤治子/春風亭柳朝/黒木まや●公開:1981/09●配給:N.E.W.S.コーポレーション=日本へラルド映画●最初に観た場所:大井武蔵野館 (83-03-13)(評価:★★★☆)●併映:「転校生」(大林宣彦)/「ウィークエンド・シャッフル」(中村幻児)
大井武蔵野館・大井ロマン(1985年8月/佐藤 宗睦 氏)
大井武蔵野館(閉館日)(1999年1月/ぼうすの小部屋・おでかけ写真展より)
大井武蔵野館 閉館日2.jpg
大井武蔵野館2.jpg大井武蔵野館.jpg大井武蔵野館 1999(平成11)年1月31日閉館。
                                              
                         
 
                                                                                                   
鈴木保奈美/財前直見/武田久美子/鈴木京香
鈴木保奈美.jpg財前直美.jpg武田久美子.jpg鈴木京香.jpg「愛と平成の色男」●制作年:1989年●監督・脚本:森田芳光●製作:鈴木光●撮影:仙元誠三●音楽:野力奏一●時間:96分●出演:石田純一/鈴木保奈美/財前直見/武田久美子/鈴木京香/久保京子/桂三木助/佐藤恒治●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★☆)●併映:「バカヤロー!2」(本田昌広/鈴木元/岩松了/成田裕介、製作総指揮・脚本:森田芳光)
渋谷松竹1.jpg渋谷松竹sibuyatoei1.jpg渋谷東映・松竹・全線座shibuya.jpg渋谷松竹 1938年、前身の松竹系「東京映画劇場」オープン。1990(平成2)年9月16日、隣接の「渋谷東映」と共に閉館 (1985年道玄坂「ザ・プライム」6Fにオープンしていた渋谷松竹セントラル(2003年~「渋谷ピカデリー」)が後継館となる(2009(平成21)年1月30日「渋谷ピカデリー」閉館))(⑦渋谷東映/⑨渋谷松竹/⑬全線座(1977年閉館))


p映画シャッフル.jpg91syahhuru.jpg「シャッフル」●制作年:1981年大井武蔵野館・大井ロマン2.jpg●監督・脚本:石井聰亙(石井岳龍)●製作:秋田光彦●撮影:笠松則通●音楽:ヒカシュー●原作:大友克洋●時間:34分●出演:中島陽典/森達也/室井滋/武田久美子●公開:1981/12(1983)●配給:ATG●最初に観た場所:大井ロマン(89-07-15)(評価:★★☆)●併映:「レッドゾーン」(神有介)

第2話「こわいお客様がイヤだ」堤真一/第3話「新しさについていけない」竹中直人
バカヤロー2 幸せになりたい こわいお客様がイヤだ.jpgバカヤロー2 幸せになりたい 竹中.jpg「バカヤロー!2 幸せになりたい。」●制作年:1989年●製「バカヤロー!2 幸せになりたい。」2.jpg作総指揮・脚本:森田芳光●監督:本田昌広(第1話「パパの立場もわかれ」)/鈴木元(第2話「こわいお客様がイヤだ」)/岩松了(第3話「新しさについて「バカヤロー!2 幸せになりたい。」.jpgいけない」)/成田裕介(第4話「女だけがトシとるなんて」)●製作:鈴木光●撮影:栢原直樹/浜田毅●音楽:土方隆行●時間:98分●出演:(第1話)小林稔侍/風吹ジュン/高橋祐子/橋爪功/(第2話堤真一/金子美香/イッセー尾形/太田光/田中裕二/金田明夫/島崎俊郎/銀粉蝶/ベンガル/宮田早苗(第3話)藤井郁弥/荻野目慶子/尾「バカヤロー2」橋本2.jpg美としのり/柄本明/佐藤恒治/竹中直人/広岡由「バカヤロー2」柄本.jpg里子/(第4話)山田邦子/香坂みゆき/辻村真人/水野久美/加藤善博/桜金造●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★★★)●併映:「愛と平成の色男」(森田芳光)

第1話「パパの立場もわかれ」小林稔侍(旅行代理店社員・岡田良介(パパ))/橋爪功(部長・笠松好司)

第3話「新しさについていけない」柄本明(電器屋・寄貝やすし)

池波志乃/秋川リサ/渡辺えり子/泉谷しげる
「ウィークエンド・シャッフル」スチール.jpgウィークエンド・シャッフル ビデオカバー.jpg「ウィークエンド・シャッフル」●制作年:1982年●監督:中村幻児●製作:渡辺正憲●脚本:中村幻児/吉本昌弘●撮影:鈴木史郎●音楽:山下洋輔(主題歌:ジューシィ・フルーツ)●原作:筒井康隆「ウィークエンド・シャッフル」●時間:104分●出演:秋吉久美子/伊大井武蔵野館 閉館日.jpg大井武蔵野館.jpg武雅刀/泉谷しげる/池波志乃/渡辺えり子/秋川リサ/新井康弘/村上不二夫/尾口康生/永井英里/野上正義/芦川誠/春風亭小朝/美保純●公開:1982/10●配給:幻児プロ=らんだむはうす●最初に観た場所:大井武蔵野館 (83-03-13)(評価:★★★)●併映:「転校生」(大林宣彦)/「の・ようなもの」(森田芳光) 大井武蔵野館 閉館日(1999(平成11)年1月31日)


さらば愛しき大地3.jpgさらば愛しき大地 poster.jpg「さらば愛しき大地」●制作年:1982年●監督:柳町光男●製作:柳町光男/池田哲也/池田道彦●脚本:柳町光男/中上健次●撮影:田村正毅●音楽:横田年昭●時間:120分●出演:根津甚八/秋吉久美子/矢吹二朗/山口美也子/蟹江敬三/松山政路/奥村公延/草薙幸二郎/小林稔侍/中島葵/白川和子/佐々木すみ江/岡本麗/志方亜紀子/日高シネマスクエアとうきゅうMILANO2L.jpgシネマスクエアとうきゆう.jpgシネマスクウエアとうきゅう 内部.jpg澄子●公開:1982/04●配給:プロダクション群狼●最初に観た場所:シネマスクウェア東急(82-07-10)(評価:★★★★☆)
シネマスクエアとうきゅう 1981年12月、歌舞伎町「東急ミラノビル」3Fにオープン。2014年12月31日閉館。

《読書MEMO》
筒井康隆『時をかける少女』
『時をかける少女 (ジュニアSF)』(1967年3月20日/鶴書房盛光社)(時をかける少女/悪夢の真相/果てしなき多元宇宙)/『時をかける少女 (SFベストセラーズ)』(1972年/鶴書房盛光社)/『時をかける少女』(1976年/角川文庫)
『時をかける少女』図2.jpg 時をかける少女 (SFベストセラーズ).jpg  時をかける少女 (角川文庫).jpg
『時をかける少女 (SFベストセラーズ)』奥付・目次(併録:「悪夢の真相」)
時をかける少女 目次2.jpg.png.jpg

筒井康隆『ウィークエンド・シャッフル』
『「ウィークエンド・シャッフル」』単行本.jpg『「ウィークエンド・シャッフル」』講談社文庫.jpg『「ウィークエンド・シャッフル」』角川.jpgウィークエンド・シャッフル (1974年9月24日)』(装幀:下田一貴)(佇むひと/如菩薩団/「蝶」の硫黄島/ジャップ鳥/旗色不鮮明/弁天さま/モダン・シュニッツラー/その情報は暗号/生きている脳/碧い底/犬の町/さなぎ/ウィークエンド・シャッフル)/『ウィークエンド シャッフル (講談社文庫) 』/『ウィークエンド・シャッフル (角川文庫)』(カバーイラスト:山藤 章二


田中小実昌 .jpg田中小実昌(作家・翻訳家,1925-2000)の推す喜劇映画ベスト10(『大アンケートによる日本映画ベスト150』('89年/文春文庫ビジュアル版))
○丹下左膳餘話 百萬兩の壺('35年、山中貞雄)
○赤西蠣太('36年、伊丹万作)
大林宣彦 転校生ロード.jpg○エノケンのちゃっきり金太('37年、山本嘉次郎)
○暢気眼鏡('40年、島耕二)
○カルメン故郷に帰る('51年、木下恵介)
○満員電車('57年、市川昆)
○幕末太陽傳('57年、川島雄三)
転校生('82年、大林宣彦)
○お葬式('84年、伊丹十三)
○怪盗ルビイ('88年、和田誠)


●【文化庁メディア芸術祭アニメ部門シンポジウム】
リメーク映画の金字塔「時をかける少女」が大賞受賞
細田守監督が富野由悠季監督と公開"辛口"トーク
富野由悠季:細田守.jpg富野「僕が細田監督の『時かけ』の嫌な点は、現代の高校生を安易に描いているんじゃないのかと。主人公たちの『告白したい!』という台詞が『SEXしたい!』と僕には聞こえるんです。ただの風俗映画になっているんじゃないかという危うさを感じるんです。アニメという実写映画以上に記号的なものを使って、映画的構造の中で単に風俗映画にしてしまうのはもったいないぞと。作品としてスタイリッシュな分、若者たちが無批判で受け入れてしまう可能性があるわけです。ウラジミール・ナブコフの小説を原作にした『ロリータ』('62)や文化革命を背景にした『小さな中国のお針子』(2002)といった素晴らしい作品があります。映画をつくる人間は、これぐらいの社会的視野を持っていて欲しいんです。その点、奥寺さん脚本の『時かけ』は高校生しか出てこないのが不満なんです。せっかく叔母さんという面白いキャラクターがいるのに、活かしきれてなくもったいない。もっと社会性があってよかったと思います。演出力が優れているだけに残念です」

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フォークナーか? 中上健次か? と思いきや、エンタテインメントだった。構築力は凄い。

シンセミア 上.jpg シンセミア下.jpg 阿部和重.png 八月の光.jpg  さらば愛しき大地ポスター.jpg さらば愛しき大地21.jpg
シンセミア(上)(下)』['03年/朝日新聞社] 阿部和重 氏/フォークナー 『八月の光 (新潮文庫)』/中上健次・柳町光男脚本 「さらば愛しき大地」秋吉久美子/根津甚八

 2004(平成16)年・第58回「毎日出版文化賞」(文学・芸術部門)及び第15回「伊藤整文学賞」受賞作。

 山形県・神(じん)町のあるパン屋の戦後史から話は始まり、2000年の夏にこの小さな田舎町で、高校教師の自殺、幽霊スポットでの交通事故死、老人の失踪といった事件が立て続けに起きるとともに、それまで町を牛耳ってきた有力者たちのパワーバランスに変化が起き、一方そうした有力者の息子たちをはじめ町のゴロツキ連中たちは盗聴・盗撮活動に精を出し、町は次なる犯罪の温床を育んでいく―。

 町の有力者とのしがらみを断ち切れないパン屋の主人と、ゴロツキ連中たちとのしがらみを断ち切れないその息子の共々の失墜を、地縁・血縁で繋がった多くの登場人物とともにロバート・アルトマンの群像劇の如く(例えば映画「ナッシュビル」('75年)は24人の"主人公"がいた)描いていますが、出てくる人間がどれもこれもろくでもない奴ばかりで、結局、暗い過去を持つこの町こそが主人公なのではないかと思わせます。

 そうした意味では、作中にもその名があるフォークナーの『八月の光』を思い起こさせますが、フォークナーは架空の町を舞台に小説を書いたのに対し、「神町」は作者の故郷で、作者の実家はパン屋だし、中山正とかいう人もロリコン警察官なのかどうか知らないけれど実在するらしく、よくここまで書けるなあという感じです。むしろ、閉塞した田舎町で麻薬に溺れてダメになっていく登場人物などは、中上健次が初めて映画脚本に参画した「さらば愛しき大地」('82年)を想起させました。

「さらば愛しき大地」ポスター&パンフレット
さらば愛しき大地 poster.jpg 「さらば愛しき大地」は、茨城県の鹿島地方という田舎を舞台に、高度成長期における巨大開発により工業化・都市化が進む中、農家の長男でありながら時代の波に乗れず破滅していく男を描いたもので、農家の長男(根津甚八)が農業を嫌って鹿島開発に関わる砂利トラックの運転手をやっているのですが、事故で2人の息子を亡くしてから人生の歯車が狂いだす―。

さらば愛しき大地ges1.jpg 女房(山口美也子)ともうまくゆかなくなり、家を出て馴染みの店の女(秋吉久美子)と同棲をし、いつしか覚醒剤にも手を出すようになってしまい、荒む一方の生活の中、遂に同棲の女を包丁で刺し殺してしまうというもので、覚醒剤に溺れて破滅していく男と、献身的に男に尽くしながら最後にその男に刺されてしまう女を、根津甚八・秋吉久美子が凄絶に演じたものでした(田園シーンのカメラは、小川プロの田村正毅。「ニッポン国古屋敷村」('82年)でもそうだったが、田圃を撮らせたら天下一の職人)。

「さらば愛しき大地」根津甚八・蟹江敬三/秋吉久美子
さらば愛しき大地s1.jpgさらば愛しき大地es1.jpg 「さらば愛しき大地」においては、そうした鬱々とした男女の営みや事件もまるで風景の一部でもあ「さらば愛しき大地」蟹江・根津.jpgるかのように時間は淡々と流れていきますが、『シンセミア』における様々な出来事に関する記述もまた叙述的であり、文学作品としては大岡昇平『事件』などに近いのかなあとも思いました(中山巡査のロリコンぶりだけがやけに思い入れたっぷりなのはなぜ?)。

 しかし、最後に読者のカタルシス願望を満たすかのようなカタストロフィが用意されていて、ああ、これって「文学」というより「ノワール」で、要するにエンタテインメントだったんだなと納得(「さらば愛しき大地」も「ノワール」であると言えるし、最後はカタストロフィで終わるが、こんなハチャメチャな終わり方ではない。その点では、映画の方が"文学的")。

 ただし、小説全体の構築力は凄いと思いました。凡庸とは言い難いものがあります。 文庫版には人物相関図と年表が付いているそうですが、何かマニアックな気色悪ささえ感じました。

さらば愛しき大地 ド.jpgさらば愛しき大地  0.jpg「さらば愛しき大地」●制作年:1982年●監督:柳町光男●製作:柳町光男/池田哲也/池田道彦●脚本:柳町光男/中上健次●撮影:田村正毅●音楽:横田年昭●時間:120分●出演:根津甚八/秋吉久美子/矢吹二朗/山口美也子/蟹江敬三/松山政路/奥村公延/草薙幸二郎/小林稔侍/中島葵/白川和子/佐々木すみ江/岡本麗/志方亜紀子/日高澄子●公開:1982/04●配給:プロダクション群狼●最初に観た場所:シネマスクウエアとうきゅう(82-07-10)●2回目:自由が丘・自由劇場(85-06-08)(評価:★★★★☆)●併映(2回目):「(ゴッド・スピード・ユー! ブラック・エンペラー」(柳町光男)
「さらば愛しき大地」。61.jpg

シネマスクエアとうきゅうMILANO2L.jpgシネマスクエアとうきゆう.jpgシネマスクウエアとうきゅう 内部.jpgシネマスクエアとうきゅう 1981年12月、歌舞伎町「東急ミラノビル」3Fにオープン。2014年12月31日閉館。

【2006年文庫化[朝日文庫(全4巻)]】

《読書MEMO》
●『観ずに死ねるか!傑作絶望シネマ88
』 (2015/06 鉄人社)
さらば愛しき大地 7892.JPG

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読後の感動はあった。モデルはモデル、小説は小説として読むべきか。

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『不毛地帯』 新潮文庫[旧版](全4巻)   映画「不毛地帯」('76年/東宝) 仲代達矢・丹波哲郎

不毛地帯 映画.jpg 『白い巨塔』('65年/新潮社)、『華麗なる一族』(73年/新潮社)が、それぞれ映画も含め力作だったのに対し、この『不毛地帯』の仲代達矢主演の"映画"の方は、配役は豪華だけれど個人的には今ひとつでした(テレビで観たため、平幹二朗主演のテレビ版と記憶がごっちゃになっている)。そもそも、181分という長尺でありながらも、原作の4分の1程度しか扱っておらず、原作が連載中であった事もありますが次期戦闘機決定をめぐる攻防部分だけを映像化したと言ってもよく、結果として壱岐正という主人公の生き方に深みが出てこない...。

不毛地帯ー.png「仲代達矢 不毛地帯.jpg ただし"原作"だけでみると、自分が最初に読んだ当時の読後の感動はこれが一番で、もともと映画に納まり切らない部分が多すぎたか? それと、こうした複雑な話が映画化された時によくありがちな傾向で、愛憎劇中心になってしまった感じもしました。

 この原作の方は、以前は商社マンを目指す人はみなこぞって読んで、そして感動したという話も聞きます。しかし今改めて読むと、作品に描かれる総合商社の体質は今も変わらないのかもしれませんが、産業構造の変化などで商社の仕事自体はずいぶん変わっているのではないかという気がします(その点、一番変わっていないのは『白い巨塔』で描かれた大学附属病院かもしれない)。

 国の二次防主力戦闘機の受注をめぐって、交渉相手の防衛庁の部長に戦時中の命の恩人である元陸軍中佐・壱岐正をぶつけるという商社の戦略が凄いと思いましたが、戦後60年以上を経た今現在、こうした"命の恩人"みたいな関係がどれだけあるのか、またそれがビジネスで成り立つかと考えると、かなり特異な状況を描いているようにも思えました。

 そうしたこともあり、良くも悪くも、モデルとされている瀬島龍三氏のイメージとどうしても切り離せません。
 小説の主人公はラストの身の引き方は美しいが、瀬島氏は商社マンとして一線を退いた後も中曽根内閣の臨調委員として政治"参謀"ぶりを発揮し(結局こういう「ひとかどの人物」は在野にいても声がかかる?)、90歳を超えてなお中曽根氏の個人的ブレーンの1人となっている...。

 著者は「これは架空の物語である。実在する人物、出来事と類似していても偶然に過ぎない」と言っています。
 『白い巨塔』と並ぶ著者の代表作であり傑作であることには違いなく、モデルはモデル、小説は小説として読むべきなのかも知れません(同一作者の後の作品『沈まぬ太陽』では、同一モデルであるはずのこの人物の描き方が、「国士」から単なる「策士」へと変化している)。

瀬島龍三(せじま・りゅうぞう)
瀬島龍三.jpg伊藤忠商事元会長。富山県松沢村(現小矢部市)出身。1938年12月陸軍大学校卒、大本営陸軍参謀として太平洋戦争を中枢部で指揮をとる。満州で終戦を迎えたが、旧ソ連軍の捕虜となり、11年間シベリアに抑留され、1956年に帰国。1958年、伊藤忠に入社し、主に航空機畑を歩いた。1968年専務に就き、いすゞ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を仲介。戦前、戦中、戦後を通じて政、財界の参謀としての道を歩んだ。(2007年9月4日死去/享年95)

不毛地帯 映画.jpg不毛地帯 丹波哲郎2.jpg「不毛地帯」●制作年:1976年●監督:山本薩夫●製作:佐藤一郎/市川喜一/宮古とく子●脚本:山田信夫●音楽:佐藤勝●原作:山崎豊子●時間:181分●出演:仲代達矢/丹波哲郎/山形勲/神山繁/滝田裕介/山口崇/日下武史/仲谷昇/山本圭/北大路欣也/小沢栄太郎/田宮二郎/久米明/大滝秀治/高橋悦史/井川比佐志/中谷一郎/八千草薫/秋吉久美子/藤村志保/志村喬/高城淳一/秋本羊介/岩崎信忠/石浜朗/内田朝雄/小松方正/加藤嘉/中津川衛/辻萬長/高杉哲平/杉田俊也/神田隆/永井智不毛地帯 dvd.jpg不毛地帯相関図.jpg不毛地帯久松経済企画庁長官  1.jpg雄/嵯峨善兵/伊沢一郎/青木義朗/アンドリュー・ヒューズ/デヴィット・シャピロ/●劇場公開:1976/08●配給:東宝(評価★★★) 
不毛地帯 [DVD]
不毛地帯 金脈図.jpg丹波哲郎(防衛庁・川又空将補)/加藤嘉(防衛庁・原田空幕長)/大滝秀治(経済企画庁長官・久松清蔵)
川又空将補 - 丹波哲郎.jpg 原田空幕長 - 加藤嘉.jpg 久松経済企画庁長官 - 大滝秀治.jpg
小沢栄太郎(貝塚官房長)
不毛地帯b-b014d3c5e38d.jpg「不毛地帯」 小沢栄太郎.jpg 
    
山形勲(近鉄商事社長・大門一三――壱岐をスカウトする)
山形勲 不毛地帯.jpg不毛地帯 山形.jpg

秋吉久美子(壱岐直子)
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 【1983年文庫化[新潮文庫(全4巻)]・2009年改訂[新潮文庫(全5巻)]】

不毛地帯〔'76年/東宝〕監督:山本薩夫/製作:佐藤一郎/脚本:山田信夫/出演:仲代達矢/丹波哲郎/山形勲
不毛地帯 映画.jpg

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