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死の間際を悲劇的・皮肉的に描く短篇集。結末1行の意外性が見事。

『いのちの半ばに』.jpgアンブローズ・ビアス いのちの半ばに.jpg ビアス短篇集.jpg ふくろうの河.jpg Ambrose Bierce.jpg
いのちの半ばに (岩波文庫)』『ビアス短篇集』/ロベール・アンリコ監督 「ふくろうの河」Ambrose Bierce
アウルクリーク橋の出来事/豹の眼.jpgアウルクリーク橋の出来事/豹の眼 (光文社古典新訳文庫) 』(2011)
 1891年刊行のアメリカの作家アンブローズ・ビアス Ambrose Gwinnett Bierce (1842‐1914?)の短篇集『いのちの半ばに』(In the Midst of Life)から7篇を収めています(『いのちの半ばに』 '55年/岩波文庫)。ビアスはエドガー・アラン・ポーの後継者とも言われた作家で(没年が不詳なのは、1913年の年末に知友に宛てた手紙を最後に失踪したため)、本書にあるのは、〈死の間際〉にある人間の極限や神秘をミステリアスに、或いはその過程や結末を悲劇的または皮肉的に描いたものが殆どです。

 1890年に発表され、翌年刊行の『いのちの半ばに』に収められた「アウル・クリーク橋の一事件」は、まさに今死刑を執行されようとする男が体験したことの話で、これは一般に「メリーゴーランド現象現象」「走馬燈現象」「パノラマ視現象」などの名で呼ばれているものでしょうか。

ふくろうの河1.jpgふくろうの河2.jpg 原作もいいけれど、「冒険者たち」の監督ロベール・アンリコによる本作の映画化作品「ふくろうの河」(La Rivière du Hibou/'61年/仏)も良くて、逃走する主人公の息づかいが聞こえる緊張感に、モノクロならではの瑞々しさが加わった傑作短篇映画となっています。
"An Occurence at Owl Creek Bridge ( La rivière du hibou)"(1961)/The Twilight Zone - Season 5 Episode 22 #142(1964)
淀川長治.jpgふくろうの河3.jpg  セリフも音楽もほとんど無く、アテネフランセで英字幕版でも観ましたが、充分堪能することができました(1962年カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞(短編部門)、1963年アカデミー賞短編実写賞受賞作。あの淀川長治氏のお薦め作品でもあった)。昨年('06年)、日本語字幕版DVDがリリースされましたが、表題作(第3部「ふくろうの河」)は米TVシリーズ「トワイライトゾーン」の最終第5シーズンの一話として1964年に放映されています。リメイクではなく、ロベール・アンリコの作品をそのまま放映していて、これはテレビ番組としての予算が底をついてきたためのようです(テレビ版としてのIMDbスコアは8.5と高いが、「トワイライトゾーン」としては本邦では放映されなかった)。

Alfred Hitchcock Presents - Season 5 Episode 13 #166 "An Occurrence at Owl Creek Bridge"(1959)
An Occurrence at Owl Creek Bridge 1.jpgAn Occurrence at Owl Creek Bridge 2.jpgAn Occurrence at Owl Creek Bridge James Coburn.jpg また、この原作は、ロベール・アンリコの短篇映画に先行しAlfred Hitchcock Presents Seasons 1-7.jpgて、米CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で、1959年に「メリー・ポピンズ」('64年)のロバート・スティーブンソン監督により映像化されています(第146話「橋上の絞首刑」(ヒッチコック劇場の「話数」は本邦のものを採用))。ロナルド・ハワード主演で、ジェームス・コバーンなども共演していて多少翻案していて、主人公が無言であるロベール・アンリコ版に対して主人公が会話したりしていますが、ショッキングな結末は同じです(コレ、変えようがない)。IMDbスコアは7.3

 「アウル・クリーク橋の一事件」もそうですが、結末の一文で読者を唸らせる意外性にエンタテインメントとしての完成度の高さを感じ、「生死不明の男」「人間と蛇」「ふさがれた窓」などは本当にその一文(1行)で決まりという感じです。「生死不明の男」のタイム・パラドックスもいいけれど、特に、「ふさがれた窓」のラスト一文は、強くぞっとするイメージを湧かせるものでした。

芥川龍之介.bmp  ビアスを日本に紹介したのは、彼を短篇小説の名手と絶賛していた芥川龍之介だったそうですが、『侏儒の言葉』などには『悪魔の辞典』のア乱歩の選んだベスト・ホラー.jpg短篇小説講義.jpgフォリズムの影響も見られるし、ビアス作品全体に漂うアイロニカルな死のムードも、彼には結構身近に感じられ(?)惹かれたのではないかと思います。

 その他にも、筒井康隆氏が『短篇小説講義』('90年/岩波新書)の中で「アウル・クリーク橋の一事件」を取り上げているし、『乱歩の選んだベスト・ホラー』('00年/ちくま文庫)という本では「ふさがれた窓」が紹介されています。

La rivière du hibou(1962 Short Film) 「ふくろうの河」(La Rivière du Hibou)仏版DVD
ふくろうの河 (1961).jpgLa rivière du hibou(1962 Short Film).jpg「ふくろうの河」仏.jpg「ふくろうの河」●原題:LA RIVIERE DU HIBOU/AN OCCURRENCE AT OWL CREEK BRIDGE●制作年:1961年●制作国:フランス●監督・脚本:ロベールTwilight Zone episode review -- 5.22 -- An Occurrence at Owl Creek Bridge.jpg・アンリコ●撮影:ジャン・ボフェティ●音楽:アンリ・ラノエ●原作:アンブローズ・ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」●時間:95分(第3部「ふくろうの河」23分)●出演:ロジェ・ジャッケAn Occurrence at Owl Creek Bridge_0.jpgAN OCCURRENCE AT OWL CREEK BRIDGE  009.jpg/アン・コネリー/サミー・フレイ●日本公開:1963/09●配給:東和●最初に観た場所:ACTミニシアター (84-02-05)●併映:「カビリアの夜」(フェデリコ・フェリーニ)/「フェリーニの監督ノート」(フェデリコ・フェリーニ)/「(チャップリンの)ノックアウト」(チャールズ・アヴェリー)/「聖メリーの鐘」(レオ・マッケリー)/「お熱いのがお好き」(ビリー・ワイルダー)《「トワイライト・ゾーン/ふくろう河(S 5 E 22 #142)」)●放映国:アメリカ●米国放映:1964/2/28)》(評価:★★★★)

An Occurrence at Owl Creek Bridge
An Occurrence at Owl Creek BridgeAL.jpgAlfred Hitchcock Presents An Occurrence at Owl Creek Bridge.jpg「ヒッチコック劇場(第146話)/橋上の絞首刑(S 5 E 13 #166)」●原題:Alfred Hitchcock Presents - AN OCCURRENCE AT OWL CREEK BRIDGE●制作Alfred Hitchcock Presents (S 5 E 13-#166) An Occurrence At Owl Creek Bridge図1.png年:1959年●制作国:アメリカ●本国放映:1959/12/20●監督:ロバート・スティーブンソン(Robert Stevenson)●脚本:ハロルド・スワントン(Harold Swanton)●原作:アンブローズ・ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」●時間:30分●出演:ロナルド・ハワード(Ronald Howard)/ケネス・トビー(Kenneth Tobey)/ジェームス・コバーン(James Coburn)/ファノ・フェルナンデス (Juano Hernández)/ダグラス・ケネディ(Douglas Kennedy)/アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★☆)
ジェームス・コバーン(北軍の軍曹。斥候として主人公をおびき出した後に捕らえ、首に縄をかける)
An Occurrence At Owl Creek Bridge.gif 「アウルクリーク橋」jこばーん.jpg

○ヒッチコック劇場 (TV Series) An Occurrence at Owl Creek Bridge (1959) IMDb: User Reviews
It's very odd that both "The Twilight Zone" and "Alfred Hitchcock Presents" made an episode based on this story!
This is probably the most unusual episode of "Alfred Hitchcock Presents" because it's based on a story by Ambrose Bierce...as is a short French film (which won the Oscar for Best Short Subject) AND an episode of "The Twilight Zone". And, incidentally, "The Twilight Zone" episode actually IS an edited version of the French short! Wow...three stories by the same name and all based on the same story over a five year period. Of the three, this "Alfred Hitchcock Presents" story was the first.

The story is set during the US Civil War. A Confederate (Ronald Howard) is trying to blow up a strategic bridge but is captured. He's sentenced to hang but the rope apparently breaks and he falls into the river....and spends the rest of the episode on the run.

There sure wasn't any suspense for me, as I'd seen the other two versions of the story. Hopefully, when you see it, it will be the for the first time.

This version is a bit different. While the basic story is the same, the French/"Twilight Zone" version has almost no dialog at all, which made it easy to splice apart and air on US TV in 1964. But in this first version, there's a lot of dialog...plenty. Now comparing them is not easy for me, as I saw the other two episodes about a decade ago. As for the Hitchcock version, it was very well made and has a VERY dark and jarring ending. Well worth seeing.

By the way, a couple guys to look for in this one is a very young James Coburn as well as the terrific and sadly forgotten character actor, Juano Hernandez.

トワイライトゾーン.jpgThe Twilight Zone oo.jpgThe Twilight Zoneド.jpg「トワイライトゾーン (ミステリーゾーン)」The Twilight Zone (CBS 1959~64) ○日本での放映チャネル:日本テレビ(1960)/TBS(1961~67)/AXN

Alfred Hitchcock Presents.jpgヒッチコック劇場00.jpgヒッチコック劇場01.jpgヒッチコック劇場_0.jpg「ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (CBS 1955.10.2~62.7.3)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1957~63)
Alfred Hitchcock Presents 

 【1955年文庫化[岩波文庫(西川正身:訳)〕/1987年文庫化[創元推理文庫(中村能三:訳『生のさなかにも』〈26篇収録〉)〕/2000年再文庫化[岩波文庫(大津栄一郎:訳『ビアス短篇集』〈15篇収録〉)〕/2011年再文庫化[光文社古典新訳文庫(小川高義:訳『アウルクリーク橋の出来事/豹の眼』】

《読書MEMO》
『いのちの半ばに』その他6編の収録作品
「空飛ぶ騎手」北軍兵卒ドルーズは偵察の場所で日頃の父の教えを忠実に守り馬上の敵に向け銃を発射したのだが...。
「生死不明の男」建物から敵を偵察していた兵卒が偶然にも敵の砲弾が命中し倒壊により内部に閉じ込められる...。
「哲人パーカー・アダスン」悟りの境地に達し夜明けに待つ死刑を恐れぬ捕虜のだったが、予定が変わったとたん...。
「人間と蛇」蛇について書かれた記述を迷信と馬鹿にしていた男たが、暗示が人間に与える力により皮肉の結末を...。
「ふさわしい環境」怪奇小説作家が友人に夜の古屋敷で自作を読むことを依頼した奇妙な実験は恐るべきは結末に...。
「ふさがれた窓」昔森の中の小屋に住んでいたマーロック老人が愛する妻を亡くした後に不審死を遂げた謎の真相は...。

岩波文庫 新旧・収録作品対比
Aビアス 短篇集.jpg

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