【3233】 ◎ ロッド・ホルコム (脚本:マイケル・クライトン) 「ER緊急救命室(第1話)/甘い誘い(120分枠)」 (94年/米) (1996/04 NHK-BS2) ★★★★☆

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「ER」の記念すべき第1話。単なる人物紹介でなく、エピソードとの絡め方が見事。

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ER 緊急救命室 I 〈ファースト・シーズン〉 セット1 [DVD]

アンソニー・エドワーズ(マーク・グリーン)
「ER緊急救命室」2.jpg マーク・グリーン(アンソニー・エドワーズ)は、シカゴ近郊クック郡のカウンティ総合病院のER(緊急救命室)チーフレジデントで腕利き内科医。病気やケガ、事故により昼夜問わず患者が搬送され、仮眠もろくに取れず、今日も看護師が目覚まし時計のように夜勤の彼を起こしに来る。その彼は今、私立病院から好条件で誘いを受け、ERを続けるかどうか迷っていた。そんな折帰宅したばかりの看護師長キャロル・ハザウェイ(ジュリアナ・マルグリース)が自殺未遂を起こしてERに担ぎこまれる―。

ノア・ワイリー(ジョン・カーター)
「ER緊急救命室」4.jpg「ER 緊急救命室 1」ka-ta- .jpg "カーター君"が初赴任する「ER」の記念すべき第1話はパイロット版として作られたもので(原題は"24 HOURS") 、本国放映が1994年9月19日、日本初放映が1996マイケル・クライトン.bmp年4月1日(NHK‐BS2)。決して広くはない診療室で撮影しなくてはならず、ステディカムが威力を発揮しています(第1話の撮影は廃院となった病院をスタジオ代わりに撮影しており、それ以降はスタジオにセットを再現して撮影した)。このパイロット版を含む最初の3話は、製作総指揮を務めたマイケル・クライトン(1942-2008/66歳没)自身が脚本を書いています。マイケル・クライトンはハーバード・メディカルスクール(ハーバード大学医学大学院)の出身です。

 朝から工事現場の事故の多くの負傷者が担ぎ込まれ、遺族への死亡宣告、研修に来た女子学生の対応、色仕掛けをしてくる患者、小指のさかむけだけを治療にくる老婦人、車の中で突然産気づいた女性...etc.グリーン先生をはじめ皆がそれらの対応で超多忙です(ステディカムでの撮影が効いていて、ERの日常の慌ただしさが伝わってくる)。

ジュリアナ・マルグリース(キャロル・ハザウェイ)
ER緊急救命室」キャロル.jpg そして、極めつけは、スタッフからの信頼が厚い看護師長(翻訳は婦長)のキャロル・ハザウェイの何の前触れもない自殺未遂。かつてERの小児科医のダグラス・ロス(ジョージ・クルーニー)と付き合っていたが破局し、今は整形外科医と婚約中だったはずだが...。心配そうにキャロルを見守るダグ。この二人の関係はシーズン1の幾つかある重要なストーリーの1つになっていきます。因みに、ダグ・ロスはハンサムなモテ男でプレイボーイ。この第1話ではロス先生は二日酔いでヨレヨレ状態での初登場となるのですが、児童虐待していると疑われる母親に対して心底怒りをぶつける熱血漢でもあります。

「ER緊急救命室」3.jpg 一方、医学部3年の研修生ジョン・カーター(ノア・ワイリー)は今日がER勤務の初日。外科レジデント2年目のピーター・ベントン(エリク・ラ・サル)のもとで、これからさまざまな指導を受けることになりますが、まず、点滴をやるのが初めてということにベントンも呆れ、さらに、ナイフで刺された患者の血を見て気分が悪くなる始末です。
エリク・ラ・サル(ピーター・ベントン)

「ER緊急救命室」5.jpg 自らの不甲斐なさすっかりしょげているところを(このシーンはOPで「ER」op.jpg使われることになる)、優しく励ますグリーン先生。ただ励ますだけなく、「医者には2種類ある。自分の感情を切り捨てるタイプと感情を切り捨てれないタイプだ」「何かあると後者は、治療する側の自分が病気になってしまいそうになる」と、医者の心得まで説いてます。しかしながら、そのグリーン先生もその後、離婚問題で悩まされることになります(司法試験の勉強中の妻との行き違いは、すでにこの第1話で示唆されている)。

 そのカーターを指導する立場のベントン先生は、動脈瘤の患者が危険な状態になり、担当医が誰も手が空かず、レer ベントン.jpgジデントの自分には資格がないのに手術を強行「ER」モーゲンスタン部長.jpg、患者の危機を救い、駆けつけたモーゲンスタン部長(ウィリアム・H・メイシー)から最初は「下手な獣医並み」と貶されるも、最後にはその臨機応変の判断を褒められガッツポーズ(このシーンもOPで使われることになる)。患者の命を救うことを第一信条とするとともに、自信家で上昇志向が強いその性格がすでに表されています。

シェリー・ストリングフィールド(スーザン・ルイス)/シリ・アップルビー(ダリア・ウェイド)
「ER」000.jpg 内科・外科レジデント二年目のスーザン・ルイス(シェリー・ストリングフィールド)は、仕事が忙しく最近、恋人と別れたが、グリーン先生とは相性が良く何でも話せる間柄。性格はサバサバしており、ハッキリものを言うタイプですが、今日「ER」ミゲル・フェラー.jpgはガンの疑いが濃厚な患者(ミゲル・フェラー)から逆に告知を求められるような状況に直面し、これはさすがにキツイ、患者も医者も(その後、米国でも日本でも、告知は医師の「裁量の範囲」から「義務」へという流れになっている)。ルイス先生はその後、問題ある姉に悩まされることになります。

 120分枠とは言え、CMを除くと100分くらいでしょうか。その中に多くのエピソードを並行的に盛り込み(気がつけばすべて24時間のうちに起きたことなのだが)、主要登場人物のキャラクター、置かれている状況、互いの関係を見事に描き出していると思います(単なる人物紹介でなく、ちゃんとエピソードと絡めているのがスゴイ)。

 シリーズ展開では、プロデューサーとして「ザ・ホワイトハウス」と同じジョン・ウェルズが参加していることもあり、アフリカのコンゴにおける貧困や紛争などを描いたり、米国における麻薬や銃問題などを提起していたりします。緊迫した場面の合間にコミカルなエピソードを挿むのも「ザ・ホワイトハウス「と共通しているし、シーズン1の第1話で主要な登場人物のアウトラインを描き切ってしまうのも同じです。因みに「ザ・ホワイトハウス」はシーズン1の第1話が最も面白かったですが、「ER」は、面白さがずっと続くところがすごかったと思います。

ジョージ・クルーニー(ダグラス・ロス)
「ER緊急救命室」ロス.jpg「ER緊急救命室」7.jpgER緊急救命室(第1話)/甘い誘い(120分枠)」●原題:ER:24 HOURS (a.k.a. THE LONGEST DAY (1))(Season 1、Episode 1)●制作年:1994年●制作国:アメリカ●本国上映:1994/09/19●監督:ロッド・ホルコム●脚本:マイケル・クライトン●出演:アンソニー・エドワーズ/ジョージ・クルーニー/シェリー・ストリングフィールド/ノア・ワイリー/ジュリアナ・マルグリース/エリク・ラ・サル/クリスティーン・ハーノス/ウィリアム・H・メイシー/(ゲスト出演)シリ・アップルビー/ミゲル・フェラー●日本放映:1996/04●放映局:NHK‐BS2(評価:★★★★☆)

「ER緊急救命室」6.jpg「ER」00.jpg「ER 緊急救命室」ER (NBC 1994~2009) ○日本での放映チャネル:NHK-BS2(1996~2011)/スーパー!ドラマTV

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