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休刊最終号の1つ前の号。いろいろあったが「再々創刊」された!

「映画秘宝」2204.jpg 映画秘宝 2024年 03 月号.jpg 「ブリット」1968.jpg 「ブリット」10.jpg
映画秘宝 2022年4月号 [雑誌]』(双葉社)『映画秘宝 2024年3月号 [雑誌] 』(秘宝新社)「ブリット」スティーブ・マックイーン
 月刊「映画秘宝」が、約2年の休刊期間を経て昨年['23年]12月、新たに設立された「合同会社秘宝新社」が雑誌の権利を取得し、今年['24]年1月19日発売の3月号から、月刊誌として約2年ぶりに「再々創刊」されています。

映画秘宝 エド・ウッドとサイテー映画の世界』['95年/洋泉社]『映画宝島 発進準備イチかバチか号』['90年/JICC出版局]
「映画秘宝」創刊.jpg「映画宝島」1990.jpg町山智浩.jpg 雑誌「映画秘宝」のあらましを辿ると、1995年に洋泉社で創刊、初代編集者は、今は映画評家として知られる町山智浩氏で、JICC(ジック)出版局(現・宝島社)に早稲田の学生バイトからそのまま入社した後に洋泉社に出向し、そこで「映画秘宝」の流れにつながる「映画宝島」('90年創刊)シリーズを企画しています。1996年に町山氏が退職し、田野辺尚人氏が2代目編集長として刊行を継続、田野辺氏は1993年に思潮社の編集者から洋泉社に転じた人です(このように洋泉社は宝島社との人的交流があったこともあり、1998年に宝島社の子会社となった)。

 「映画秘宝」は、当初「不定期刊」だったのが、1999年5月にA4版の「隔月刊」映画雑誌としてリニューアル、2009年から「月刊」化されています。2020年2月1日付で洋泉社が宝島社に吸収合併され解散するのに伴い、宝島社では継続発行せず、2020年3月号をもって休刊となり、その後、休刊時の編集長だった岩田和明氏が新たに発足させた「合同会社オフィス秘宝」が「映画秘宝」の商標権を取得、岩田氏が編集長として同社による編集、双葉社が発行する形で同年4月発売の6月号より復刊、ただし、それも、岩田氏の「恫喝DM問題」などを経て、2022年3月発売の5月号で、双葉社の刊行物としては休刊しています(休刊時の「合同会社オフィス秘宝」代表は田野辺氏、相談役は町山氏)。

「映画秘宝」2204.jpg「映画秘宝」22042.jpg 本誌2022年4月号は、その双葉社刊の最終号の1つ前の号となり、(表紙は'22年公開の「THE BATMAN-ザ・バットマン-」だが)特集名「映画猛者101人が選ぶ、2022年オールタイム映画ベストテン!」として、巻頭に町山智浩氏と平山夢明氏の「映画秘宝オールタイム・ベストテンを語る」という対談があり、メインで「深堀り!マイ・ベスト・オールターム映画」という特集を組んでいます。ここでは、「モダン・アメリカン・カルト映画マイ・ベスト」「日本のカルト映画マイベスト」「ヨーロッパのカルト映画ベストテン」といった感じで30ジャンルに渡って、それぞれのジャンルにこだわりを持つ評論家や識者などが選評しています。いきなりカルト映画がきて、その後に西部劇とか時代劇とやくざ映画とかがくるのが、この雑誌らしいかもしれません。


「ブリット」映画秘宝.jpg「ブリット」00.jpg 「モダン・アメリカン・カルト映画マイ・ベスト」で「パルプフィクション」などをベスト10に挙げていた町山智浩氏が、「カーチェイス映画オールタイムベスト10」で、ピーター・イェーツ監督の「ブリット」('68年)を挙げています。

「ブリット」040.jpg「ブリット」01.jpgブリット ロバート・ヴォーン.jpg サンフランシスコ市警察本部捜査課のブリット警部補(スティーブ・マックイーン)は、チャルマース上院議員(ロバート・ヴォーン)から裁判の重要証言者の保護を命じられる。その証言者とは、ジョー・ロスというマフィア組員。ロスは組の金を横領し、ヒットマンから狙われたために、司法取引によってマフィアを潰す証人となることで身の安全を図ったのだ。しかし、証人は何者かに、殺されもう一人の刑事も重傷を負ってしまう。ブリットは、証人が生きている、という偽の情報を流し、殺し屋を誘き寄せる作戦に出るが―。

 「ブリット」は、スティーブ・マックイーンが1968年式フォードムスタング・マッハワンで殺し屋の車を追ってサンフランシスコの旧坂を爆走して、ハリウッド映画にカーチェイス革命を起こしたとしています。この映画はジャクリーン・ビセットなども出てたりしますが、プロット的にも良かったのではないでしょうか。個人的にはカーチェイスは確かにすごいですが、改めて観ると、アクションだけの映画でなかったことに気づかされます(カーチェイスは「当時としては」革命的だったということだろう)。


「バニシングポイント」2.jpg それと、町山氏は「バニシング・ポイント」('71[「バニシングポイント」.jpg年)も挙げていますが、こちらの方がクルマ主体かも。1971年製「白」のダッチ・チャージャー(「ブリット」でカーチェイスの相手となった悪役がこれの1968年式「黒」に乗っていた)を陸送でコロラドからサンフランシスコに出来るだけ早く届ける賭けをした元レーサーのコワルスキー(ハリー・ニューマン)の話で、町山氏は「哲学映画」としています。個人的にはずっと観れないでいたのが、昨年['23年]4Kデジタルリマスター版を劇場で見ることが出来ました。
  
「ブリット」●原題:BULLITT●制作年: 1968年●制作国:アメリカ●監督:ピーター・イェーツ●製作:フィリップ・ダ「ブリット」000.jpgントーニ●脚本:アラン・R・トラストマン/ハリー・クライナー●撮影:ウィリアム・A・フレイカー●音楽:ラロ・シフリン●原作:ロバート・L・フィッシュ●時間:113分●出演:スティーブ・マックイー「ブリット」ビセット.jpgブリット ロバート・デュバル.jpgン/ジャクリーン・ビセット/ロバート・ヴォーン/ドン・ゴード/ロバート・デュヴァル/サイモン・オークランド/ノーマン・フェル/ジョーグ・スタンフォード・ブラウン●日本公開:1968/12●配給:ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ●最初に観た場所:池袋・文芸坐(80-07-16)●2回目:Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下(23-10-02)(評価:★★★★)●併映:1回目「華麗なる賭け」(ノーマン・ジュイソン)
ジャクリーン・ビセット ブリット.jpg
 
ワーナー・ブラザース創立100周年記念上映「35ミリで蘇る ワーナーフィルムコレクション」selected by ル・シネマ(2023)
ワーナーフィルムコレクション.jpg

 
「バニシング・ポイント」●原題:VANISHING POINT●制作年:1971年「バニシング・ポイント」00.jpg●制作国:アメリカ●「バニシング・ポイント」シネマート.png監督:リチャード・C・サラフィアン●製作:ノーマン・スペンサー●脚本:ギレルモ・ケイン(ギリェルモ・カブレラ=インファンテ)●撮影:ジョン・A・アロンゾ●時間:105分●出演:バリー・ニューマン/クリーヴォン・リトル/リー・ウィーバー/カール・スウェンソン/ディーン・ジャガー/スティーブン・ダーデン/ポール・コスロ/ボブ・ドナー/ティモシー・スコット/ギルダ・テクスター/アンソニー・ジェームズ/アーサー・マレット/ビクトリア・メドリン/シャーロット・ランプリング(イギリス公開版のみ)●日本公開:1971/07●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:シネマート新宿(スクリーン1)(23-04-04)((評価:★★★★)

シネマート新宿

 
 
 
 「日本の怪獣映画のベストテン」で切通理作氏(1964年生まれ)が、「ゴジラ」('54年)を第5位とし、その上に第4位で「モスラ」('61年)がきていて、さらに上に第2位で「モスラ対ゴジラ」('61年)がきているというのが分かる気がしました(「ゴジラ」の5位は、白黒作品のため70年代にあまりテレビ放映されず、やっと観たのが小学4年だったことに起因すると)。一方、「ゴジラ対へドラ」('71年)を第6位にしていますが、小2の時初めて観たゴジラ映画がこの作品だったとのこと。幼少期にリアルタイムで観たものの方が相対的に記憶に残るというのはあるなあと思いました。

ゴジラ ポスター.jpgゴジラ.jpg「ゴジラ」●制作年:1954年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚本:村田武雄/本多猪四郎●撮影:玉井正夫●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二ほか●原作:香山滋●時間:97分●出演:宝田明/河内桃子/平田昭彦/志村喬/堺左千夫/村上冬樹/山本廉/榊田敬二/鈴木豊明 /馬野都留子/菅井きん/笈川武夫/林幹/恩田清二郎/高堂国典/小川虎之助/手塚克巳/橘正晃/帯一郎/中島春雄/川合玉江/東静子/岡部正/鴨田清/今泉康/橘正晃/帯一郎●公開:1954/11●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿名画座ミラノ (83-08-06)●2回目:TOHOシネマズ 日比谷 (24-07-17)(評価:★★★☆→★★★★(再見し評価変更))●併映:「怪獣大戦争」(本多猪四郎)

「モスラ.jpgモスラ.jpg「モスラ」●制作年:1961年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚色:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:古関裕而●特殊技術:円谷英二●イメージボード:小松崎茂●原作:中村真一郎/福永武彦/堀田善衛「発光妖精とモスラ」●時間:101分●出演:フランキー堺/小泉博/香川京子/ジェリー伊藤/ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)/上原謙/志村喬/平田昭彦/佐原健二/河津清三郎/小杉義男/高木弘/田島義文/山本廉/加藤春哉/三島耕/中村哲/広瀬正一/桜井巨郎/堤康久●公開:1961/07●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿シアターアプル (83-09-04)(評価:★★★☆)●併映:「三大怪獣 地球最大の決戦」(本多猪四郎)   

モスラ対ゴジラ.jpgモスラ対ゴジラ1964.jpg「モスラ対ゴジラ」●制作年:1964年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚色:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二●時間:89分●出演:宝田明/星由里子/小泉博>/ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)/藤木悠/田島義文/佐原健二/谷晃/木村千吉/中山豊/田武謙三/藤田進/八代美紀/小杉義男/田崎潤/沢村いき雄/佐田豊/山本廉/佐田豊/野村浩三/堤康久/津田光男/大友伸/大村千吉/岩本弘司/丘照美/大前亘●公開:1964/04●配給:東宝(評価:★★★☆)

「へドラ.jpg「ゴジラ対ヘドラ」1971p.jpg「ゴジラ対ヘドラ」●制作年:1971年●監督:坂野義光(水中撮影も兼任)●製作:田中友幸●脚本:馬淵薫/坂野義光●撮影:真野田陽一●音楽:眞鍋理一郎(主題歌:「かえせ! 太陽を」麻里圭子 with ハニー・ナイツ&ムーンドロップス)●特殊技術:中野昭慶●美術:井上泰幸(1922-2012)●時間:85分●出演:山内明/柴本俊夫(柴俊夫)/川瀬裕之/麻里圭子/木村俊恵/吉田義夫/中山剣吾(ヘドラ)/中島春雄/●公開:1971/07●配給:東宝●最初に観た場所(再見):神保町シアター(22-08-18)(評価:★★★☆)

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再度の「犯人」役ジャック・キャシディ、ロバート・ヴォーン、再演出までしたマクグーハン。

魔術師の幻想 vhs.jpg 刑事コロンボ/魔術師の幻想 dvd.jpg  さらば提督 vhs.jpg 
特選「刑事コロンボ」完全版 魔術師の幻想【日本語吹替版】 [VHS]」「特選 刑事コロンボ 完全版「さらば提督」【日本語吹替版】 [VHS]」ジャック・キャシディ

刑事コロンボ/魔術師の幻想01.jpg刑事コロンボ/魔術師の幻想 title.jpg 魔術師サンティーニ(ジャック・キャシディ)は、ジェローム(ネヘミア・パーソフ)が経営するクラブで「水槽の幻想」という脱出魔術を披露して人気を集めていたが、彼の本名はステファン・ミューラーで第二次大戦中はナチスの親衛隊員だった―彼はその過去を知るジェロームに収入の50%を巻き上げられており、サンティーニが今後は5%しか払うつもりはないとジェロームに伝えると、逆にジェロームに過去の秘密を公表すると脅される。クラブでの「水槽の幻想」マジックでサンティーニは箱の中に入れられ更に水槽に沈められてしまうが、その間の10分を利用してサンティーニは移民局宛の密告の手紙をタイプ中のジェロームを殺害、手紙を持ち出し、何食わぬ顔で舞台に戻って"魔術"を完成させる―。

魔術師の幻想03.jpg刑事コロンボ/魔術師の幻想03.png 「魔術師の幻想(Now You See Him)」(第36話)は第5シーズン第5話。ジャック・キャシディは、第1シーズンのスティーブン・スピルバーグ演出の「構想の死角」(第3話)の"書かない作家"フランクリン役、第3シーズン「第三の終章」(第22話)の出版社経営者グリーンリーフ役に続く3度目の登場で、本当に犯人役がサマになる役者であり、本作の本国での放映から10ヵ月後の1976年12月に自宅の火事で亡くなったのが惜しまれます。

刑事コロンボ/魔術師の幻想 02.png サンティーニという名は希代の魔術師フーディーニのもじりか。脱出マジックの裏側を見せてくれ、「悪の温室」(第11話)の熱血刑事ウィルソン(ボブ・ディシー)の再登場、手品はしょぼいがプロポーションで見せるサンティーニの娘サラ(シンシア・シスク)など配役面でも楽しいけれど、タイプライターのリボンが決定的証拠になるというのがちょっと時代を感じさせるかな(ジャック・キャシディの演技で星半個オマケ)。

The Best Columbo Episodes

刑事コロンボ/さらば提督 title.jpg 世間から「提督」と呼ばれているヨット造船会社所有者オーティス・スワンソン(ジョン・デナー)、今は娘のジョアナ(ダイアン・ベイカー)の夫チャーリー・クレイ(ロバート・ヴォーン)が社長になって経営実権を握っているが、チャーリーの儲け主義が気に入らず密かに会社を売ってしまおうと考えていたところを自邸で殺害され、その後始末をするチャーリーは、提督の服を着込みヨットで夜の海に出て死体を捨てると、潜水服に着替えて泳いで戻ってくる―。

刑事コロンボ/さらば提督01.png 続く第5シーズン第6話(日本ではこちらの方が先に放映された)「さらば提督(Last Salute To Commodore)」(第37話)は、当初、本作を以って「刑事コロンボ」シリーズは終了の予定であったため、そのことを考慮してか、カメラワークにおいてコロンボのアップなどが矢鱈多く、特に前半部分はコロンボが絡むギャグ・シーンが満載―と思ったら、いきなり中盤で、ロバート・ヴォーン演じるチャーリー・クレイに対して「あんたが犯人だ」的なことを早々と宣言してしまうという変則パターン。

刑事コロンボ/さらば提督02.png  チャーリー・クレイが「提督」の遺体を処理したのは、言わば、思い込みからくる"勘違い"によるもので、「カリフォルニア州では夫婦の財産は共有制」ということと、「相続人が被相続人を殺害した場合は相続権を失う」ということが関係しているわけね。妻が「殺人者」ではまずいわけで、別に、実は妻を愛していたということではなく、これはこれで金目当てだったわけか。
 
刑事コロンボ/さらば提督03.png ロバート・ヴォーンは「歌声の消えた海」(第29話)に続く「犯人」役としての再登場で(「海」「船」絡みが続くね)、ところがそのチャーリーがやがてあっさり殺されてしまい(そっか、提督の殺害場面がなくていきなり遺体が出てくるシーンが、視聴者をミスリードさせる"叙述トリック"だったわけか、と)、中盤以降は"フーダニット(Who done it?)"の展開になっていて、ラストはコロンボが関係者全員を集めてエルキュール・ポアロの如く謎解きをやるという、これまた変則パターン。

刑事コロンボ/さらば提督04.png 保守的な「刑事コロンボ」ファンには絶対受け入れがたい"掟破り"の作品だと思いますが、ラストの提督の時計の音を関係者全員に聞かせての犯人の炙り出しがややタルくてポアロほどの精緻さに欠くものの、全体としては、個人的にはまあまあ面白かったです(この方法論についても疑念を挟む人は多いと思うが)。

 演出はパトリック・マクグーハン(1928-2009)で、ここまで「祝砲の挽歌」(第28話)、「仮面の男」(第34話)に犯人役で出演済みで、「仮面の男」では演出も手掛けており、これが演出2作目、アイルランド系ではないのに<マック>を名乗る若手刑事の登場とか、遊んでるなあ(マクグーハン自身はアイルランド系)。

刑事コロンボ/さらば提督05.jpg その他、コロンボのアシスタント、クレイマー刑事(ブルース・カービー)が4度目の登場で今回が一番出番が多く、さらに、ウィルフリッド・ハイド=ホワイト.jpg「ロンドンの傘」(第13話)で執事タナーを演じたウィルフリッド・ハイド=ホワイト(右写真)が弁護士役で、「毒のある花」(第18話)でマーチソン博士役を、「5時30分の目撃者」(第31話)で"目撃者"のモリス氏役を演じたフレッド・ドレイパーが被害者の甥役で、「白鳥の歌」(第24話)で調査官パングボーン氏を演じたジョン・デナーが「提督」役でといった具合に、3人のゲストスターも再登場で、「お別れ同窓会」的様相。

 それなりに本国での評価も高かったのか、この作品でピーター・フォークは、当シリーズ3度目のエミー賞ドラマ部門主演男優賞を受賞しています(それとも、シリーズが終わることを見込んでの餞別的な受賞だったのか)。作中で葉巻を止めるようにカミさんに言われているけれどつい無意識に吸ってしまい、最後は開き直って「まだまだやるよ」といって一人で海へボートを漕ぎ出していくシーンには、いろいろな示唆が込められているように思いましたが、結局、この作品がシリーズの最終作とはならず、旧シリーズだでけでも、この後2シーズン8作が作られています。

魔術師の幻想00.jpg「刑事コロンボ(第36話)/魔術師の幻想」●原題:NOW YOU SEE HIM●制作年:1976年●制作国:アメリカ●監督:ハーベイ・ハート●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:マイケル・スローン●音楽:バーナード・セイガル●時間:92分●出演:ピーター・フォーク/ジャック・キャシディ/ネヘミア・パーソフ/ボブ・ディシー/ロバート・ロジア/シンシア・シスク/パトリック・カリントン/ロバート・ギボンズ/ヴィクター・イザイ/マイク・ラリー●日本公開:1977/12●放送:NHK(評価:★★★☆)

刑事コロンボ/さらば提督06.jpg「刑事コロンボ(第37話)/さらば提督」●原題:LAST SALUTE TO THE COMMODORE●制作年:1976年●制作国:アメリカ●監督:パトリック・マクグーハン●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:ジャクソン・ギリス●音楽:デバーナード・セイガル●時間:93分●出演:ピーター・フォーク/ロバート・ヴォーン/ダイアン・ベイカー/フレッド・ドレイパー/ウィルフリッド・ハイド=ホワイト/ジョン・デナー/デニス・デュガン/ブルース・カービー/スジョシュア・ブライアント/スーザン・フォスター●日本公開:1977/10●放送:NHK(評価:★★★☆)

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逆トリックに乗った犯人に疑問が残るが、船旅というシチュエーションは楽しめた。

歌声の消えた海 vhs.jpg 刑事コロンボ 歌声の消えた海 ヴォーン.jpg アドベンチャー・ファミリー 01.jpg スーパーマンIII 電子の要塞 [Blu-ray].jpg
特選 刑事コロンボ 完全版「歌声の消えた海」【日本語吹替版】 [VHS]」Robert Vaughn「アドベンチャー・ファミリー [DVD]」「スーパーマンIII 電子の要塞 [Blu-ray]

刑事コロンボ 歌声の消えた海 title.jpg メキシコ・アカプルコへ向かう豪華客船で、中古車ディーラーのヘイドン・ダンジガー(ロバート・ヴォーン)は、不倫関係にあり、不倫をネタに恐喝されていた、船専属のショー歌手ロザンナ(プーピー・ボッカー)を殺害、ロザンナに言い寄っていPoupée Bocar.jpgDean Stockwell.jpgたピアニスト、ロイド(ディーン・ストックウェル)に容疑がかかるよう工作を行う。船長は、たまたま缶詰の懸賞に当選し、夫婦で観光で船に乗り込んでいたコロンボを呼び出し、非公式に捜査を依頼することにする―(結局、"カミさん"は映像上一度も出てこないのだが..)。
Poupée Bocar(プーピー・ボッカー)/ Dean Stockwell(ディーン・ストックウェル)

刑事コロンボ 歌声の消えた海 02.jpg 第29話であり、テレビシリーズ「0011/ナポレオン・ソロ」のロバート・ヴォーン演じる犯人は、第24話「白鳥の歌」のジョニー・キャッシュが演じたカントリー&ウェスタン歌手、第25話「権力の墓穴」のリチャード・カイリーが演じたロス市警次長、第27話の「逆転の構図」のディック・バン・ダイクが演じた写真家に続く、「恐妻家」乃至「資産家の奥さんの尻に敷かれている旦那」といったところですが、こっちはこれまでの彼らのように奥さんを殺すのではなく、愛人の方を殺してしまいます。
刑事コロンボ 歌声の消えた海 01.jpg
 犯行現場となった船に最初からコロンボが乗り合わせていたというところからいつもと違って楽しく、大体このシリーズ、あまり定型パターンを外れると意外と面白くなくなるのですが(特に新シリーズにそういうのが多い)、この作品は船内のシチューションや小道具などが上手く謎解きに活かされていて楽しめました(コロンボがいつものよれよれのコートで登場するのは、出航の直前に職場から船に駆け付けたことが冒頭に示唆されている)。

刑事コロンボ 歌声の消えた海3.jpg 撮影には随分費用がかかっているのではないかなあと思いましたが、実際にメキシコのマサトラン経由でアカプルコに向かうクルーズ(出港地はサンフランシスコ)を利用して行なわれ、エキストラは本当の乗船客だったそうです。

 ロバート・ヴォーンの落ち着いた犯行ぶりは様になっていて、一方のコロンボは、船酔いに遭いながらも捜査のためvあちこち走り回っている感じで、船に鑑識係がいるでもなく、指紋、硝煙反応のチェックなども自分でやっている―しかし、意外と犯人は証拠を残していて、最後はコロンボの方が鼻歌を歌いつつ...。

 犯行に使われた使い捨てのゴム手袋さえ見つかればロイドを挙げることが出来るとダンジガーに意図的に漏らして、コロンボの方から犯人の次の行動を促す典型的な逆トリックですが、ゴム手袋の在庫数をコロンボが確認していたことをダンジガーも聞いていたはずではないかと、その一点のみが疑問として引っ掛かりました。

TROUBLED WATERS 1975 01.jpgTROUBLED WATERS 1975 02.jpg 患者として寝ていたはずのダンジガーに後ろをすり抜けられてしまう看護婦メリッサ役のスーザン・ダマンテは、この作品では脇役ですが、この頃、スチュワート・ラフィル監督の「アドベンチャー・ファミリー」('75年)にロバート・ローガンと共に主人公の夫婦役で出演していて、人柄の良さそうな典型的な70年代美女でした。
Susan Damante(スーザン・ダマンテ)
アドベンチャー・ファミリー 1.jpgアドベンチャー・ファミリー 2.jpg ロスの大都会からロッキーの山奥へ移住した家族を描いた「アドベンチャー・ファミリー」は実話がヒントになっているそうですが、佳作ではあるものの、ロッキーでの自給自足生活は、"グリズリー"の襲来などもあって大変そうだなあと(娘の健康を考えての移住なのに、万一子供が羆に襲われたりしたら元も子もない)。クマに襲われたところを家族が助けたクマに救われるという、今思うとちょっと作り話っぽかったかな。

倉本聰.bmp 因みに、脚本家の倉本聰氏は、テレビドラマ「北の国から」の脚本を書く際に制作サイドから、この「アドベンチャー・ファミリー」のようにしてくれと言われたそうです(あと一つ、参考にしてくれと言われたのが映画「キタキツネ物語」だった)(倉本聰『獨白 2011年3月』フラノ・クリエイティブ・シンジケート、2011年)。

0011ナポレオン・ソロ.jpg 一方、知的な悪役が似合うロバート・ヴォーンは、「荒野の七人」('60年)の時からお馴染みですが、グッと人気が出たのはアメリカNBC系列で1964年から1968年まで4シーズンにわたり放送されたTVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」からではないでしょうか。ロバート・ヴォーン演じるナポレオン・ソロとデヴィッド・マッカラム演じるイリヤ・クリヤキンのコンビが活躍するスパイもので、日本では、1966年から1970年まで、日本テレビ系列で放送されました(当初モノクロで、途中からカラーになった。最近またAXNミステリーで再放映されたりしている)。

スーパーマンⅢ/電子の要塞 dvd2.jpgスーパーマンⅢ/電子の要塞 4.jpgRobert Vaughn superman3.jpg ロバート・ヴォーンはその後も渋い脇役や悪役として活躍し、80年代では個人的には「スーパーマンⅢ/電子の要塞」('83年/米)に出ていたのが印象に残っています。リチャード・プライヤー演じる"小物"のワルを背後から操る"大物"のワルといった役どころ。クリストファー・リーヴ演じるスーパーマンをスーパー・コンピュータで打ちのめそうとするコンピュータ会社の悪徳社長の役ですが、現場に送り込まれるのはいつもリチャード・プライヤーで、作品全体のトーンもコメディ調。リチャード・プライヤーって、日本ではマイナーだけど、アメリカではかなり有名なコメディアンだったんだなあ(2005年没)。この作品は、ロバート・ヴォーン自身にとっても、その後の相次ぐコメディ映画出演への転機となった作品でした。因みに、テレビシリーズ「スーパーマン」(1952‐1958年)は日本では1956年からTBSで放映が開始され、最高視聴率74.2%を記録したそうな。スゴイ数字!

華麗なるペテン師たち2.jpg華麗なるペテン師たち01.jpg 「荒野の七人」のメンバー"7人"の中でも、2013年時点で存命しているのはロバート・ヴォーンだけという状況であり、しかも、イギリスのTVドラマシリーズ「華麗なるペテン師たち」で今もバリバリに頑張っている...。AXNでシーズン3をやっているのを見ましたが(本国放映は2010年)、ドラマで見る限り、この人、きびきびしていて、78歳(1932年生まれ)にしてはホント若いなあ(2016年11月11日、急性白血病のため逝去。満83歳。これで「荒野の七人」にガンマン役で出演した7人の男優全員がこの世を去ったことになった)

Bernard Fox(バーナード・フォックス)
刑事コロンボ(第29話)/歌声の消えた海 .jpgBernard Fox.jpg「刑事コロンボ(第29話)/歌声の消えた海」●原題:TROUBLED WATERS●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:ベン・ギャザラ●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:ウィリアム・ドリスキル●音楽:ディック・デ・ベネディクティス●時間:95分●出演:ピーター・フォーク/ロバート・ヴォーン/ジェーン・グリア/ディーン・ストックウェル/バーナード・フォックス/ロバート・ダグラス/パトリック・マクニー/プーピー・ボッカー/スーザン・ダマンテ/ピーター・マローニー●日本公開:1976/01●放送:NHK(評価:★★★★)
The Adventures of the Wilderness Family (1975)
The Adventures of the Wilderness Family (1975).jpg
「アドベンチャー・ファミリー」●原題:THE ADVENTURES OF THE WILDERNESS FAMILY●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督・脚本:スチュワート・ラフィアドベンチャー・ファミリー 02.jpgル●製作:アーサー・R・ダブス●撮影:ジェラルド・アルカン●音楽:ジーン・カウアー/ダグラス・M・ラッキー●原作:アーサアドベンチャー・ファミリー sanntora.jpgー・R・ダブス●時間:99分●出演:ロバート・ローガン/スーザン・ダマンテ/ホリー・ホルムズ/ハム・ラーセン/ジョージ・"バック"・フラワー/スーザン・ダマンテ・ショウ●日本公開:1977/02●配給:東宝東和●最初に観た場所:中野武蔵野館 (78-01-12)(評価:★★★☆)●併映:「ベンジーの愛」(ジョー・キャンプ)
     「アドベンチャー・ファミリー [EPレコード 7inch]」サントラ盤カバー   
「ぴあ」1978年1月号
ぴあ 中野武蔵野館.jpg
 
0011ナポレオン・ソロ2.jpg0011ナポレオン・ソロ4.jpg0011ナポレオン・ソロ3.jpg「0011ナポレオン・ソロ」 The Man from U.N.C.L.E. (NBC 1964~1968) ○日本での放映チャネル:日本テレビ(1966-1970)/AXNミステリー
0011ナポレオン・ソロ(The Man From U.N.C.L.E )」(CD)  

スーパーマンIII 電子の要塞 [DVD]
スーパーマンⅢ/電子の要塞 dvd.jpgスーパーマンⅢ/電子の要塞5.jpg「スーパーマンⅢ/電子の要塞」●原題:SUPERMANⅢ●制作年:1983年●制作国:アメリカ●監督リチャード・レスター●製作:ピエール・スペングラー●脚本:デイヴィッド・ニューマン/レスリー・ニューマン ●撮影:ロバート・ペインター ●音楽:ケン・ソーン●時間:123分●出演: クリストファー・リーヴ/リチャード・プライアー/アネット・オトゥール/マーゴット・キダー/ジャッキー・クーパー/マーク・マクルーア/ロバート・ヴォーン/アニー・ロス/パメラ・スティーヴンソン/ギャヴァン・オハーリヒー●日本公開:1983/07●配給:ワーナー・ブラザーズ●最東京劇場(1940年).jpg銀座 東劇.jpg銀座・東劇2.jpg東劇 劇場内.jpg初に観た場所:銀座・東劇 (83-07-24)(評価:★★★) 
銀座・東劇 1930年4月、歌舞伎などの演劇の劇場として「東京劇場」オープン(左写真1940年「民族の祭典」公開時)。1950年ロードショー館として再オープン。1972(昭和47)年12月、老朽化につき閉館。1975(昭和50)年7月4日、東劇ビル落成。東劇開場。

華麗なるペテン師たち3.jpg「華麗なるペテン師たち」 Hustle (BBC 2004~2012) ○日本での放映チャネル:NHK‐BS2(2006-)/AXN
Hustle (BBC).jpg

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チャールズ・ブロンソンやジェームズ・コバーンの演じたバイプレーヤー的な役柄も良かった。

荒野の七人 チラシ.jpg荒野の七人07.jpg1「荒野の七人」.jpg 荒野の七人 dvd.jpg
「荒野の七人」チラシ・パンフレット(1976年版)/「荒野の七人 [DVD]

 ジョン・スタージェス監督の1960年作品で、黒澤明監督の「七人の侍」('54年/東宝)を翻案した作品であることは知られていますが、「七人の侍」がなかなかロードにかからず、名画座にも降りてこないIMG_1889.JPG時期があったので、個人的には、まだ見ぬ「七人の侍」への期待を高める契機となった作品です(エルマー・バーンスタインのテーマ曲も良かった)。

 ユル・ブリンナーが黒澤監督の「七人の侍」にすっかり惚れこみ、翻訳映画化権を買い取ったのが事の始まりだそうですが、「七人の侍」を観た後で再見すると、大まかなあらすじや登場人物の設定・台詞などを「七人の侍」へのオマージュを込めて再現しているのが窺荒野の七人 輸入版ポスター.jpgえ(黒澤監督はこの作品を観て、スタージェス監督に日本刀を贈ったとの逸話がある)、一方で、「七人の侍」の「七人」と、「荒野の七人」の「七人」を無理に重ねることはしていないのが分かりました。例えば、クリス(ユル・ブリンナー)は勘兵衛(志村喬)がモデルであるにしても多少キャラクターは異なるし、ビン(スティーブ・マックイーン)は五郎兵衛(稲葉義男)と七郎次(加東大介)の、チコ(ホルスト・ブッフホルツ)は勝四郎(木村功)と菊千代(三船敏郎)の、オレイリー(チャールズ・ブロンソンは平八(千秋実)と菊千代の、それぞれ"混合型"のキャラクターになっているそうですが、そう言われてもピンとこないようなキャラクターもいます(ビンには"菊千代"も入っているのではないか)。リー(ロバート・ヴォーン)やハリ―(ブラッド・デクスター)のようにオリジナルに無いキャラクターが造られている一方で、ナイフの名手ブリット(ジェームズ・コバーン)のように、久蔵(宮口精二)がモデルであることが比較的わかり易いものもあります(因みに、久蔵のモデルは宮本武蔵だそうな)。

『荒野の七人』(1960).jpg『荒野の七人』(1960)0.jpg 映画公開時の出演俳優らの知名度は、ユル・ブリンナーが断トツで、ホルスト・ブッフホルツがそれに続くものだったそうですが、同じくジョン・スタージェスが監督し、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンが共演した「大脱走」('63年)でスティーブ・マックイーンがIMG_1895.JPG先ず一気に抜け出て、チャールズ・ブロンソンが「さらば友よ」('68年)などで、ジェームズ・コバーンが「電撃フリント」シリーズなどで、それぞれ後に続いたという感じでしょうか(「荒野の七人」のパンフレットやチラシは、途中からスティーブ・マックィーンがメインまたは筆頭格のレイアウトになった)。

1「荒野の七人」b.pngチャールズ・ブロンソン .jpg この作品でチャールズ・ブロンソンやジェームズ・コバーンの演じたバイプレーヤー的な役柄も良かったように思い、チャールズ・ブロンソンは村の子供に慕われる優しいオジさんという感じで(オレイリーの最期はややコミカルに描かれている。この人、日本では「マンダム」のコマーシャルでお馴染みになった)、一方のジェームズ・コバーンは撃たれた後もナイフを投げて...こちらは渋い死に方でした(「ラーク」のコマーシャル においてもナイフ投げたりしていたなあ)。「電撃フリント」シリーズのほか、ダシール・ハメット原コバーン 荒野の七人.jpgコバーン「ラーク」 .jpg作のTVドラマ「The Dain Curse」(CBS 1978)に出たり、ロバート・アルトマン監督の「ザ・プレイヤー」('92年/米)にも本人役でカメオ出演していました。

荒野の七人」.jpg スティーブ・マックイーンが'80年に癌で50歳で亡くなり(アスベスト吸引による中皮腫説がある)、ユル・ブリンナーも'85年に肺癌で65歳で亡くなった後、'02年から'03年にかけての僅か1年の間に、ジェームズ・コバーン(心筋梗塞)、ブラッド・デクスター(肺ロバート・ヴォーン 荒野の七人.jpg気腫)、ホルスト・ブッフホルツ(肺炎)、チャールズ・ブロンソン(肺炎)と「七人」のうち4人が相次ロバート・ボーン    .jpgいで亡くなったのが寂しかったです。現時点[2011年2月時点]で存命しているのはロバート・ヴォーンのみになってしまっています(ロバート・ヴォーンは2016年11月11日急性白血病のため逝去。これで「荒野の七人」にガンマン役で出演した7人の男優全員がこの世を去ったことになった)


荒野の七人」ps.jpg「荒野の七人」002.jpg「荒野の七人」●原題:THE MAGNIFICENT SEVEN●制作年:1960年●制作国:アメリカ●監督・製作:ジョン・スタージェス●脚本:ウイリアム・ロバーツ●撮影:チャールズ・ラング●音楽:エルマー・バーンスタイン●原作:黒澤明/橋本忍/小国英雄(映画「七人の侍」)●時間:128分●出演:ユル・ブリンナー/スティーブ・マックイーン/チャールズ・ブロンソン/ロバート・ヴォーン/ジェームズ・コバーン/ホルスト・ブッフホルツ/ブラッド・デクスター/イーライ・ウォラック/ウラジミール・ソコロフ/ジョン・アロンゾ/ロゼンダ・モンテロス/ヨルグ・マルティネス・デ・ホヨス/リコ・アラニス●日本ジョン・スタージェス(John Sturges).jpg中野武蔵野ホール.jpg公開:1961/05●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:中野武蔵野館(78-01-19)(評価:★★★★)●併映「ビッグ・アメリカン」(ジョン・スタージェス)  中野武蔵野ホール
ジョン・スタージェス(John Sturges)
新宿ミラノ座 荒野の七人.jpg「荒野の七人」(1961年)公開中の新宿ミラノ座

「荒野の七人」(1961年).jpg

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多くの人が犠牲となった原因を浮き彫りに。2つの"The Tower"を思い出した。
World trade centers attack Here is a diagram showing where the planes hit and the times of impact and collapse.gif
9.11 生死を分けた102分.jpg9.11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言.jpg 『9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言』 ['05年]
 ニューヨークタイムズの記者が、2001年に起きた世界貿易センター(WTC)の9.11事件後、生存者・遺族へのインタビューや警察・消防の交信記録、電話記録などより、その実態を詳細にドキュメントしたもので、"102分"とは、WTC北タワーに旅客機が突入してからビルが2棟とも崩壊するまでの時間を指していますが、その間の北タワー、南タワーの中の状況を、時間を追って再現しています。

 380ページの中に352人もの人物が登場するので混乱しますが(内、126人は犠牲者となった。つまり、犠牲者の行動は、残りの生存者の目撃談によって記されていることになる)、米国の書評でも、この混乱こそ事件のリアリティを伝えている(?)と評されているとのこと。

 WTCは、大型旅客機が衝突しても倒れないように設計されたとかで、確かに、旅客機が「鉛筆で金網を突き破る」形になったのは設計者の思惑通りだったのですが、その他建築構造や耐火性の面で大きな問題があったとのこと(建材の耐火試験をしてなかった)、それなのに、人々がその安全性を過信していたことが、犠牲者の数を増やした大きな要因であったことがわかります。

航空機の衝突で炎上する世界貿易センタービル.jpg 旅客機衝突50分後にやっと南タワーに救出に入った多くの消防隊員たちは、その時点で、旅客機が衝突した階より下にいた6千人の民間人はもう殆ど避難し終えていたわけで、本書にあるように、上層階に取り残された600人を助けにいくつもりだったのでしょうか(ただし内200人は、旅客機衝突時に即死したと思われる)。ビルはゆうにあと1時間くらいは熱に耐えると考えて、助けるべき民間人が既にいない階で休息をとっている間に、あっという間にビル崩壊に遭ってしまった―というのが彼らの悲劇の経緯のようです。

航空機の衝突で炎上する世界貿易センタービル

崩壊した世界貿易センタービル.jpg 一方、北タワーに入った消防隊員たちには、南タワーが崩壊したことも、警察ヘリからの北タワーが傾いてきたという連絡も伝わらず(元来、警察と消防が没交渉だった)、そのことでより多くが犠牲になった―。

 亡くなった消防隊員を英雄視した筆頭はジュリアーニ市長ですが、本書を読み、個人的には、こうした人災的問題が取り沙汰されるのを回避するため、その問題から一般の目を逸らすためのパーフォーマンス的要素もあったように思えてきました。

崩壊した世界貿易センタービル

 事件後、消防隊員ばかり英雄視されましたが、ビル内の多くの民間人が率先して避難・救出活動にあたり、生存者の多くはそれにより命を落とさずに済んだことがわかります。

 それでも、北タワーの上層階では、避難通路が見つけられなかった千人ぐらいが取り残され犠牲となった―、そもそも、110階建てのビルに6階建てのビルと同じ数しか非常階段が無かったというから、いかにオフィススペースを広くとるために(経済合理性を優先したために)安全を蔑ろにしたかが知れようというものです。


 本書を読んで、2つの"The Tower"を思い出しました。

The Tower SP.gifタワー ケース.jpg 1つは、ビル経営シミュレーションゲームの「The Tower」(当初は「Tower」というPCゲームで、パソコン購入時にオマケで付いてきたりもした。現在はゲームボーイ用ソフト)で、WTCではないが収入を得るために賃貸スペースばかり作っていると、初めは儲かるけれどもだんだん建物のあちこちに不具合が出てくるというものでした(最上階に大聖堂を建てた経験もあることからくる慢心から、オートモードにして外出して戻ってみると、空き室だらけなっていた...)。今思うと、たいへん教訓的だったと言えるかも。 

タワーリング・インフェルノ3.jpgtowering.gif もう1つは、"The Tower"というリチャード・マーティン・スターンが'73年に発表した小説で(邦訳タイトル『そびえたつ地獄』('75年/ハヤカワ・ノヴェルズ))、これを映画化したのがジョン・ギラーミン(1925-2015)監督の「タワーリング・インフェルノ」('74年/米)ですが、映画ではスティ―ブ・マックィーンが演じた消防隊長が、ポール・ニューマン演じるビル設計者に、いつか高層ビル火災で多くの死者が出ると警告していました。

タワーリング・インフェルノ クレジット.png この作品はスティーブ・マックイーンとポール・ニューマンの初共演ということで(実際にはポール・ニューマン主演の「傷だらけの栄光」('56年)にスティーブ・マックイーンがノンクレジットでチンピラ役で出ているそうだ)、公開時にマックイーン、ニューマンのどちらがクレジットタイトルの最初に出てくるかが注目されたりもしましたが(結局、二人の名前を同時に出した上で、マックイーンの名を左に、ニューマンの名を右の一段上に据えて対等性を強調)、映画の中で2人が会話するのはこのラストのほかは殆どなく、映画全体としては豪華俳優陣による「グランド・ホテル」形式の作品と言えるものでした。スペクタクル・シーンを(ケチらず)ふんだんに織り込んでいることもあって、70年代中双葉十三郎.jpg盤期の「パニック映画ブーム」の中では最高傑作とも評されています。映画評論家の双葉十三郎(1910-2009)氏も『外国映画ぼくの500本』('03年/中公新書)の中で☆☆☆☆★(85点)という高い評価をしており、70年代作品で双葉十三郎氏がこれ以上乃至これと同等の評点を付けている作品は他に5本しかありません。

 因みに、映画の中での「グラスタワー」ビルは138階建て。そのモデルの1つとなったと思われるこの「世界貿易センター(WTC)」ビルは110階建て二棟で、映画公開の前年('73年)に完成して、当時世界一の高さを誇りましたが(屋根部分の高さ417m(最頂部:528m))、翌年に完成した同じく110階建てのシカゴの「シアーズ・タワー」(現ウィリス・タワー)に抜かれています(シアーズ・タワーは屋根部分の高さ442m(アンテナ含:527m))。

タワーリング・インフェルノ dvd.jpg『タワーリング・インフェルノ』(1974) 2.jpg「タワーリング・インフェルノ」●原題:THE TOWERING INFERNO●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ギラーミン●製作:アーウィン・アレン●脚色:スターリタワーリング・インフェルノ 9.jpgング・シリファント●撮影:フレッド・J・コーネカンプ●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:リチャード・マーティン・スターン「ザ・タワー」●時間:115分●出演:スティーブ・マックイーンタワーリング・インフェルノ キャスト.jpg/ポール・ニューマン/ウィリアム・ホールデン/フェイ・ダナウェイ/フレッド・アステア/スーザン・ブレークリー/リチャード・チェンバレン/ジェニファー・ジョーンズ/O・J・シンプソン /ロバート・ヴォーン/ロバート・ワグナー/スーザン・フラネリー/シーラ・アレン/ノーマン・バートン/ジャック・コリンズ●日本公開:1975/06●配給:ワーナー・ブラザース映画)(評価:★★★☆)
タワーリング・インフェルノ [DVD]


《読書MEMO》
●70年代前半の主要パニック映画個人的評価
・「大空港」('71年/米)ジョージ・シートン監督(原作:アーサー・ヘイリー)★★★☆
・「激突!」('71年/米)スティーヴン・スピルバーグ(原作:リチャード・マシスン)★★★☆
・「ポセイドン・アドベンチャー」('72年/米)ロナルド・ニーム監督(原作:ポール・ギャリコ)★★★☆
・「タワーリング・インフェルノ」('74年/米)ジョン・ギラーミン監督(原作:リチャード・M・スターン)★★★☆
・「JAWS/ジョーズ」('75年/米)スティーヴン・スピルバーグ監督(原作:ピーター・ベンチュリー)★★★★

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ストーリー部分をうまく整理。結構ドラマチックな話も含まれているものだと...。

聖書物語.JPGマンガ 聖書物語.jpg    十戒09.jpg  十戒2.gif
マンガ聖書物語 (旧約篇)』 講談社+α文庫 〔'98年〕  「十戒 [DVD]

 自分も含め一般に日本人は、聖書の内容をそれほど詳しく知っているわけではなく、旧約聖書に至ってはほとんど言っていいくらい知らないのではないかと思います。映画「十戒」などのイメージは多少あるものの、原典をパラパラめくる限りそれほど面白そうにも思えず、特に旧約聖書の場合は、原典からストーリーを抽出しにくいということが、馴染めない最大の理由かも知れません。
 本書は、そうした旧約聖書のストーリー部分をうまく整理してマンガにしていて、内容を理解するうえでの良い助けになるものであると思います。

 こうして見ると、結構泣かせるようなドラマチックな話もあるのだと...。兄たちに諮られて異国(エジプト)に売られ、その後エジプト王になったヨセフの話などは、なかなかのストーリー展開で、最後にヨセフが兄たちを許す場面は感動的です。
 今まで知らなかったことも多く知ることができ、例えばオリーブの枝を咥えた鳩が平和のシンボルとされているのは、ノアの箱舟に洪水が引き安心して暮らせることを知らせに来た鳥がそうだったからだとか(知っている人からすればごく初歩的な知識だが)、今までそんなことも知らずホント無知でした(そうすると国連のマークも旧約聖書の影響を受けているということか)。

『マンガ 聖書物語 (旧約篇)』.JPG 旧約聖書は、"人類の歴史"というものが意識されて書かれた最も古い部類の物語だと思われますが、今の聖書は後に何百年にもわたって再編集されたものらしく、聖書学者によると創世記なども後の方で書かれたものだということで、つまり終末論がまずあって、そこから遡って編纂されているようです。
 このことは、個人としての人間が自分の死を意識し、そこから遡って自らの出自を問う考え方の指向と似ていますが、山本七平などは、そうした個人の有限の人生と"完結するものであるべき"歴史といった相似的な捉え方の中に、ユダヤ教やキリスト教の歴史観の特徴を見出していたように思えます。
 日本人の場合は、「行く川の流れは絶えずして...」と言う感じで、川べりで歴史を傍観していて、どこかに始まりと終末があるわけでもなく、一方、自分の人生の始まりと終わりは意識しているが、それが歴史の始まりと終わりのどのパートにあたるかという意識は無いのではないかと。
 こうした日本人の考え方では、「救世主」とか「最後の審判」という発想は出てこないのだろうなあと思ったりもしました。

 マンガのタッチは今ひとつかな、という感じで、また、マンガにすることで宗教的な意味合いや重みが脱落してしまっている部分も大いにあるかもしれませんが、西洋キリスト教圏文化などの背景にある重要な物語のストーリーを少し知っておくのもいいのではないかと思います。

『十戒』(1956).jpg十戒.bmp 冒頭に挙げた映画「十戒」('57年/米)は、セシル・B・デミル監督が自らが手がけたサイレント大作「十誡」('23年/米)を、10年の製作期間と1350万ドル(当時)を投じて自らリメイクしたもので、製作費の10倍もの興行収入を上げ、パラマウント映画としてのそれまでの最高記録を更新しました(2020年現在、インフレーション調整版で全米全作品の歴代6位)。「出エジプト記」の話を、モーセとラメセスの「兄弟げんか話」に置き換えてしまったきらいはありますが、分かり易いと言えば分かり易い「旧約聖書入門」映画であり、聖書をベースした作品としてはやはり欠かせない1本です。

Yul Brynner in The Ten Commandments.jpg 紅海が真っ二つに割れるシーンなどのスペクタルもさることながら(滝の落下を逆さまに映している?)、モーセが杖を蛇に変えるシーンなどの細かい特殊撮影も当時にしてはなかなかのもの(CGの無い時代に頑張っている)。

十戒5.jpg モーセを演じたチャールトン・ヘストン(1924-2008/享年84)の演技は大味ですが、それがスペクタクル映画にはむしろ合っている感じで、一方、もう1人の主役ラメセスを演じたユル・ブリンナー(1920-1985/享年65)は、父親がスイス系モンゴル人で母親はルーマニア系ジプシーであるという、ファラオ(エジプト王)を演じるに相応しい(?)ユニヴァーサルな血統(「王様と私」('56年/米)ではシャム王を演じている)。更に、癖のあるキャラクターを演じるのが巧みなエドワード・G・ロビンソン(1893-1973/享年79)、「イヴの総て」('50年)のアン・バクスター(1923-1985/享年62)などの名優が脇を固めていました。何れにせよ、もう1度観るにしても、劇場などの大スクリーンで観たい作品です。

十戒2.jpg

十戒1.JPG

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奴隷頭デイサン(エドワート・G・ロビンソン)/王女ネフレテリ(アン・バクスター)
奴隷頭デイサン(エドワート・G・ロビンソン).jpg王女ネフレテリ(アン・バクスター).jpg

  
 
 
  
「十戒」●原題:THE TEN COMMANDMENTS●制作年:1957年●制作国:アメリカ●監督・製作:セシル・B・デ十戒3.jpgミル●脚本:イーニアス・マッケンジー/ジェシー・L・ラスキー・Jr/ジャック・ガリス/フレドリック・M・フランク●撮影:ロイヤル・グリッグス●音楽:エルマー・バーンスタイン●時間:222分●出演:チャールトン・ヘストン/ユル・ブリンナー/アン・バクスター/エドワード・G・ロビンソン/ジョ渋谷東急.jpgン・デレク/イヴォンヌ・デ・カーロ/デブラ・パジェット●日本公開:1958/03●配給:パラマウント●最初に観た場所:渋谷東急 (77-12-08)(評価:★★★☆)

渋谷東急 (東急文化会館5F、1956年12月1日オープン) 2003(平成15)年6月30日閉館 (2003年7月12日「渋谷クロスタワー」(旧・東邦生命ビル)2階にオープンした劇場が「渋谷東急」の名を引き継ぐが、こちらも2013年5月23日閉館)

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