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シリーズでも最も異色作。ゴジラを飛ばせたことで"飛ばされた"(?)監督。

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ゴジラ対ヘドラ [60周年記念版] [DVD]

「ゴジラ対ヘドラ」1971f」.jpg 海洋汚染が進む駿河湾。海洋学者・矢野(山内明)の元へ持ち込まれたヘドロの海で採れたオタマジャクシ状の生物は、鉱物で出来ている脅威の生命体だった。その頃、海では船舶事故が相次ぎ、TVカメラには奇怪な海坊主のような怪物の姿が捉えられていたが、矢野の研究によって未知の生物は合体・増殖を繰り返す事が確認され、海の怪物も同種のものと断定された。ヘドラと名付けられた怪物は遂に港から上陸して、工場地帯でスモッグを吸収していった―。

「ゴジラ対ヘドラ」ヘドラ1.jpg 1971(昭和46)年公開の「ゴジラシリーズ」第11作で、企画・監督の坂野義光(1931-2017/86歳没)にとっては監督昇進後の第1回作品。美術は特技監督・円谷英二(1901-1970/68歳没)の黄金期時代の作品の全てのミニチュアセットに関わった特撮美術監督・井上泰幸(1922-2012/90歳没)で(この作品は今月['22年8月]神保町シアターの「生誕百年祭」で観直した)、だだし、円谷英二はこの作品の前年に亡くなっており、円谷の没後に初めて作られたゴジラ映画です。そのため、シリーズの新たなスタートとなった作品とされる一方、独特の作風によりシリーズでも最も異色の作品ともされています。

「ゴジラ対ヘドラ」飛ぶ.jpg ヘドラに立ち向かうのが我らがヒーロー・ゴジラですが(ただしゴジラ側から見れば人間も"害悪"の類か。この作品のゴジラは多分にシリーズ第1作の「ゴジラ」('54年)に原点回帰している)、そのゴジラが空を飛行するシーンは賛否両論となりました。坂野義光監督が田中友幸プロデューサーに許可を得る段階で田中友幸は撮影途中に体調不良で入院しており、当時、東宝の専務・馬場和夫に全権委任され、馬場の判断によってアイデアの採用が決まったとのことです。しかし、完成作品を見た田中は「性格を変えてもらっちゃ困るんだよな」と難色を示し、次回作も板野が監督する予定だったのが、「もう彼には二度と特撮映画は撮らせない」と言って白紙となったそうです。

「ゴジラ対ヘドラ」へどら.jpg 個人的には、ヘドラが水棲期・上陸期・飛行期と3態ほど変態することから、「ゴジラシリーズ」第29作の「シン・ゴジラ」('16年)におけるゴジラが1個体で同じく水棲期・上陸期...といったように4段階もの変態をする(細かく分けると第8形態まであるらしい)のを思い出しましたが、「シン・ゴジラ」の方はゴジラそのものを変態させてしまっているので、田中友幸は草葉の陰で「シン・ゴジラ」に対して「変えてもらっちゃ困るんだよな」とさらに強い口調で言っているのではないでしょうか。

「ゴジラ対ヘドラ」芝1.jpg「ゴジラ対ヘドラ」柴.jpg 主演の矢野博士役を務めた劇団民藝所属の山内明ら以外は出演料の少ない新人を中心に起用するなどし(柴本俊夫、後の柴俊夫などもその一人)、低予算ながらいろいろ工夫し頑張って作っているという感じがするこの作品ですが、公開当時は酷評されました。それが、時代経過と共に風刺アニメやマルチスクリーンを駆使した映像表現などが注目され、反公害を訴えた社会風刺映画として評価が高まってきたようです。また、美術面においても、本作品のファンである映画評論家町山智浩氏も指摘するように、ルイス・ブニュエルやジャン=リュック・ゴダールなどヨーロッパの映画作家たちのアバンギャルド作品の影響がみられ、カルト的な人気のある作品となっています。

 坂野義光はこの作品を最後に劇映画監督から手を引き(ゴジラを飛ばせたことで"飛ばされた"?)、得意の水中撮影を生かし(スキューバダイビングの免許保有者で、この作品での海洋学者・矢野の海中シーンは坂野の吹き替えである)、「すばらしい世界旅行」などのテレビのドキュメンタリー映像に関わり、さらに、プロデューサー業に転身するなどします。一方で、'17(平成29)年、福島第一原子力発電所事故をテーマとした映画「新ヘドラ」(仮称)のシナリオをまとめており、映画化をめざしていることを東京新聞の取材で明らかにしていましたが、同年5月7日、クモ膜下出血で死去し(86歳没)、残念ながら構想は実現することはありませんでした。

「ゴジラ対ヘドラ」m.jpg「ゴジラ対ヘドラ」7.jpg ヒロイン役で出演もしている麻里圭子(まり けいこ)の歌うテーマ曲「かえせ! 太陽を」(作詞:坂野義光/作曲:眞鍋理一郎)の「水銀 コバルト カドミウム 鉛 硫酸 オキシダン・・・」と化学物質の名称と「かえせ!かえせ!」を連呼するメッセージ性の強い歌詞で始まるテーマ曲に象徴されるように、作品そのものもメッセージ性の強い作品ですが、同時に70年代を感じる作品です。また、ヘドラに襲われた人たち「ゴジラ対ヘドラ」3.jpgが続々と白骨化する場面があるなど、被害者の屍を映している点でも「ゴジラシリーズ」の「ゴジラ対ヘドラ」jk.jpg中では特徴的と言うか異色であり、これにより暗いイメージが強い作品となっています。

個人的には、ヘドラが煙突の煙を吸って恍惚としているシーンが何だか妙に迫力があり印象的でしたが(この「煙突ヘドラ」はフィギアにもある)、着ぐるみの内部にホースを入れて掃除機でスモークを吸わせたため、着ぐるみの中が黒煙だらけになり、スーツアクターが窒息しかけたとかで、ウィキペディア「ヘドラ」の項を見ると、裏話に事欠かない作品のようです。

「ゴジラvsヘドラ」.jpg 公開50周年を記念した'21年11月3日開催の「ゴジラ・フェス 2021」にて新作特撮「ゴジラVSヘドラ」が公開され、YouTubeにおいても期間限定で公開されました(かつての"迷作"、今や"名作"扱い?)。

「ゴジラVSヘドラ」(2021)

「生誕百年祭」.jpg「ゴジラ対ヘドラ」●制作年:1971年●監督:坂野義光(水中撮影も兼任)●製作:田中友幸●脚本:馬淵薫/坂野義光●撮影:真野田陽一●音楽:眞鍋理一郎(主題歌:「かえせ! 太陽を」麻里圭子 with 「ゴジラ対ヘドラ」d.jpgハニー・ナイツ&ムーンドロップス)●特殊技術:中野昭慶●美術:井上泰幸(1922-2012)●時間:85分●出演:山内明/柴本俊夫(柴俊夫)/川瀬裕之/麻里圭子/木村俊恵/吉田義夫/中山剣吾(ヘドラ)/中島春雄/●公開:1971/07●配給:東宝●最初に観た場所(再見):神保町シアター(22-08-18)(評価:★★★☆)
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概ね原点回帰か。人情ドラマ抜きの事実っぽい脚本が功を奏す。"変態"は不要だった? 解釈としては...。
シン・ゴジラ  2016.jpgシン・ゴジラ 41.jpg シン・ゴジラ 07.jpg
「シン・ゴジラ」チラシ

シン・ゴジラ9.jpg ゴジラシリーズの第29作で、『ゴジラ FINAL WARS』('04年/東宝)以来約12年ぶりの日本製作のゴジラシリーズ作。公開前は、コアな映画ファン、ゴジラファンの間ではともかく、一般にはそれほど話題にもなっていなかったのが、7月29日の公開後にネットや口コミでどんどん客足を伸ばし、前作で目標としていたものの果たせなかった'54年からスタートしたシリーズの累計観客動員数1億人突破を公開4日で果たし、公開1か月で累計動員360万人、累計興行収入53億円を突破、11月16日までの公開111日間で、観客動員551万人、興行収入が80億167万円を記録するなど、興行面で成功を収めています(2017年(2016年度)「芸術選奨」受賞作)。 

シン・ゴジラ 45.jpg 映画がヒットした要因としてまず挙げられることは、完璧とまでは言えないもののゴジラ映画の原点に回帰した点であり、観る前は全編CGでどうなのかなと思いましたが、観てみたら、ゴジラならではの重々しさや生々しさ、無敵の暴れん坊ぶりはなかなかのものでした。ゴジラのテーマや自衛隊のテーマなどお馴染みの伊福部BGMも使われていて、シリーズのオールドファンには懐かしいのではないでしょうか。個人的には、「宇宙大戦争」('59年/東宝)のテーマが使われていたのが(リアルタイムで観た作品ではないけれど)何だか嬉しかったです。

シン・ゴジラ 42.jpg 庵野秀明監督は、脚本の執筆段階から防衛省・自衛隊に協力を依頼し、「実際にゴジラが現れた場合、自衛隊はどのように対処するのか」「ゴジラに対して武器の使用が認められるのか」などミーティングを繰り返し行い、事実に即した脚本に仕上げていったとのことで、それが怪獣映画にしては比較的豪勢な役者陣の演技と相俟って、緊迫感とテンポの良さを生み出しています(時にコミカルな風刺も効かせていて、これもまたいい)。この映画から、自衛隊の強みと弱みが窺えるという人もいるくらいで、「機能的」脚本とでも言うか、こうした映画に挿入されがちな、恋人がどうしたとか妻子がどうしたといった人情ドラマは殆ど混ざり込む余地のない作りになっているのがいいです(石原さとみの"バイリンガルの米国大統領特使"だけが浮いていた)。

シン・ゴジラ 44.jpg ここまで殆ど褒めっ放しで、では欠点は無いのかと言うと、概ねゴジラ映画の原点に回帰したとは言え、ゴジラ自体が核開発の犠牲者であるという悲劇的要素がややシン・ゴジラ第2形態.jpg抜け落ちた印象も受けました(従って、ゴジラの雄叫びにオリジナルのような悲壮感があまり感じられない)。加えて、ゴジラが1個体で4段階もの変態を繰り返すというのは、本当に必要なアレンジだったのかやや疑問に思いました(CGで出来るからやったという印象も)。

『シン・ゴジラ』.jpg 特に第2変態の段階で、最初に上陸してその顔が正面から捉えられたと思ったら、ウーパールーパーみたいな顔に見えたのが拍子抜けしたと言うか、オリジナル特有の悲壮感から更に遠くなり残念に思いました(深海サメの一種「ラブカ」をモチーフにしたらしいが、ラブカはあんなピンポン玉みたいな目ではない。ほとんどぬいぐるみの世界)。

シン・ゴジラ49.jpg ゴジラを倒すための血液凝固剤って結局何だったのか、単なる液体窒素だったのか、それならば、牧悟郎(岡本喜八が写真のみの出演)博士の「ゴジラの元素変換機能を阻害する極限環境微生物の分子式」を解読する作業なんてあまり意味が無さそうにも思えるし、そもそも博士がなぜ資料をわざわざ暗号化したのかも、分かった人には分かったのかもしれないけれど、自分にはイマイチぴんときませんでした。この辺りについては、「シン・ゴジラを読み解くこと」がある種ブームのようになっていて、一般的な映画ファンだけでなく、例えば朝日新聞などは論説委員が新聞に読み解きを書いており、興味がある人はそうした記事も読んだ覚えがあるかも(政治の無能に対して行政の有能、日本型組織の強みがある種「美談」として描かれている一方、初代ゴジラに見られたような、ゴジラを生み出した文明のありように対する疑念や苦悩は殆ど描かれていないという指摘は的を射ていると思った)。

シン・ゴジラs.jpg ゴジラを倒しておいて、取り敢えず首都は大阪に移して、ゴジラは凍らせたまま東京駅傍に放置しておくなんてあり得るのかなあという気がしますが、おそらく、ゴジラは「原発」のメタファーであり、ゴジラ(原発)を管理し続けるという宿命を負った日本の未来を表しているのでしょう。ならば、博士の「好きにしろ」という「遺言」の意味は何なのか?-とか、ラストのゴジラの尾に蠢く人影は何を意味するのか?-とか、確かにいろいろ読み解きを促す作りにはなっています。

シン・ゴジラ 09.jpg 今度ゴジラが動き出したら、熱核攻撃のカウントダウンが再開するということで、次回作は東京駅から始まるのでしょうか。都心を汚染したゴジラの放射性物質は半減期が短く、2、3年で影響がなくなるとの設定なので、やがて避難先から360万人の住民が帰還することになったとして、スカイツリーじゃないのだから、立ち尽くすゴジラを見ながら半恒久的に生活を送るというのはちょっと考えにくく、やはり次回作を想定した終わり方なのでしょう(これで、次回作でゴジラがまたいきなり海の中から出てきたら、あの東京駅傍のゴジラはどうなったと突っ込みたくもなるだろう)。

塚本晋也 in「シン・ゴジラ」('16年・庵野秀明監督)「沈黙-サイレンス-」('17年・マーティン・スコセッシ監督)
塚本晋也 シンゴジラ.jpg 塚本晋也 沈黙.jpg

シン・ゴジラ84.jpg「シン・ゴジラ」●制作年:2016年●総監督・脚本:庵野秀明●監督・特シン・ゴジラ cast.jpg技監督:樋口真嗣●撮影:山田康介●音楽:鷺巣詩郎/伊福部昭●時間:119分●出演:長谷川博己/竹野内豊/石原さとみ/高良健吾/大杉漣/柄本明/余貴美子/國村隼/市川実日子/ピエール瀧/斎藤工/小出恵介/古田新太/前田敦子/犬童一心/緒方明/片桐はいり/神尾佑/KREVA/黒田大輔/小出恵介/小林隆/嶋田久作/諏訪太朗/高橋余「シン・ゴジラ」.jpg一生/塚本晋也/津田寛治/鶴見辰吾/手塚とおる/中村育二/野間口徹/橋本じゅん/浜田晃/原一男/平泉成/藤木孝/松尾諭/松尾スシン・ゴジラ 大杉漣.jpgズキ/三浦貴大/光石研/森廉/モロ師岡/矢島健一/渡辺哲/(ゴジラのモーションキャプチャ)野村萬斎●公開:2016/07●配給:東宝●最初に観た場所:TOHOシネマズ新宿(16-08-29)(評価:★★★☆)
大杉漣(1951-2018)(内閣総理大臣・大河内清次)
國村隼(統合幕僚長・財前正夫)・余貴美子(防衛大臣・花森麗子)
TOHOシネマズ新宿
TOHOシネマズ新宿.jpgスクリーン 座席数(車椅子用) スクリーンサイズ
TOHOシネマズ 新宿3.jpgSCREEN 1 86+(2) 3.2×7.6m
SCREEN 2 108+(2) 5.3×12.6m MX4D®
SCREEN 3 128+(2) 4.5×10.8m
SCREEN 4 200+(2) 5.2×12.6m
SCREEN 5 184+(2) 4.0×9.6m
SCREEN 6 117+(2) 4.6×11.0m
SCREEN 7 407+(2) 7.3×17.7m
SCREEN 8 88+(2) 3.2×7.6m
SCREEN 9 499+(2) 8.0×19.2m TCX
SCREEN 10 311+(2) IMAX®デジタルシアター
SCREEN 11 122+(2) 3.9×9.5m
SCREEN 12 73+(2) 2.8×6.6m
12スクリーン 2,323+(24)
   
映画「ゴジラ」シリーズ.jpg映画「ゴジラ」シリーズ全29作

●第1期・昭和ゴジラシリーズ(1954~1975)[15作]
 第1作「ゴジラ」~第15作「メカゴジラの逆襲」
●第2期・平成ゴジラシリーズ(1984~1995)[7作]
 第16作「ゴジラ」~第22作「ゴジラvsデストロイア」
●第3期・ミレニアムゴジラシリーズ(1999~2004)[6作]
 第23作「ゴジラ2000 ミレニアム」~第28作「ゴジラ FINAL WARS」
●2010年代[1作]
 第29作「シン・ゴジラ」

●2020年代[1作]
 第30作「ゴジラ-1.0」

「ゴジラ-1.0」2023.jpg(●2023年、「ALWAYS 三丁目の夕日」('05年)、「海賊と呼ばれた男」('16年)の山崎貴監督・脚本で「ゴジラ-1.0」が製作・公開された。CGの技術が前作よりアップしていて、海上を追いかけてくるゴジラは迫力があった(米国でも邦画実写として歴代1位となる興行成績を上げ、第96回「アカデミー賞」の「視覚効果賞」に日本映画として初めてノミネートされ、受賞を果たした)。「特攻できなかった特攻隊」を主軸に据えた脚本も悪くなく、人間ドラマとしても良く「ゴジラ-1.0」[.jpg出来ていた(最後、「アルマゲドン」みたいにならなくて良かった)。主演の神木隆之介・浜辺美波は「屍人荘の殺人」('19年)でも共演したが、牧野富太郎をモデルにした昨年「'23年」度上期のNHK連続テレビ小説「らんまん」での共演を経たためか、互いが遣り取りする演技が上手くなっていた。「シン・ゴジラ」が概ねゴジラ映画の原点に回帰したと前に書いてしまったが、こちらの方がより原点回帰的であり、「4段階もの変態を繰り返す」という「シン・ゴジラ」の方は、「新ゴジラ」と言うよりは「邪道」に思えてきてしまった。)

神木隆之介/浜辺美波

「ゴジラ-1.0」1.jpg「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」●英題:GODZILLA MINUS ONE●制作年:2023年●監督・脚本:山崎貴●監督・特技監督:山田兼司/岸田一晃/阿部豪/守屋圭一郎●撮影:柴崎幸三●音楽:佐藤直紀/伊福部昭●時間:125分●出演:神木隆之介/浜辺美波/山田裕貴/田中美央/遠藤雄弥/飯田基祐/永谷咲笑/須田邦裕/谷口翔太/鰐渕将市/三濃川陽介/日下部千太郎/赤妻洋貴/千葉誠太郎/持永雄恵/市川大貴/吉岡秀隆/藤田啓介/苅田裕介/松本誠/伊藤亜斗武/保里ゴメス/阿部翔平/仲城煎時/青木崇高/安藤サクラ/佐々木蔵之介●公開:2023/11●配給:東宝●最初に観た場所:TOHOシネマズ日本橋(23-12-20)(評価:★★★★)
 
東京ミッドタウン日比谷 初代ゴジラ・ハーフ立像(2024年2月1日~3月10日)2024年2月8日撮影
ゴジラ像.jpg
 
安藤サクラ「第47回日本アカデミー賞」で主演女優賞(「怪物」)と助演女優賞(「ゴジラ-1.0」)のW受賞(2024.3.8 YouTube Japan)/山崎貴監督「第96回米アカデミー賞」で視覚効果賞(「ゴジラ-1.0」)を日本映画として初受賞(2024.3.11 日本テレビ)
2024日米アカデミー.jpg

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写真が豊富(数千点)かつ鮮明。生活費を切り詰め集めた"執念のコレクション"。

東宝特撮怪獣映画大鑑(増補版).jpg 東宝特撮怪獣映画大鑑 増補版.jpg ゴジラ.jpg モスラ対ゴジラ1964.jpg
東宝特撮怪獣映画大鑑』(1999/03 朝日ソノラマ) 「ゴジラ」(1954)/「モスラ対ゴジラ」(1964)

 朝日ソノラマの旧版('89年刊行)の「増補版」。553ページにも及ぶ大型本の中で、'54年の「ゴジラ」から'98年の「モスラ3」までのスチールや撮影風景の写真などを紹介していますが、とにかく写真が充実(数千点)しているのと、その状態が極めてクリアなのに驚かされます。

浅野ゆう子.jpg 怪獣映画ファンサークル代表竹内博氏が、仕事関係で怪獣映画の写真が手元に来る度に自費でデュープして保存しておいたもので(元の写真は出版社や配給会社に返却)、当時の出版・映画会社の資料保管体制はいい加減だから(そのことを氏はよく知っていた)、結局今や出版社にも東宝にもない貴重な写真を竹内氏だけが所持していて、こうした集大成が完成した、まさに生活費を切り詰め集めた"執念のコレクション"です(星半個マイナスは価格面だけ)。

水野久美2.jpg若林映子2.jpg やはり、冒頭に来るのは「ゴジラ」シリーズですが、スチールの点数も多く、ゴジラの変遷がわかるとともに、俳優陣の写真も豊富で、平田昭彦、小泉博、田崎潤、佐原健二、藤木悠、宝田明、高島忠夫、女優だと水野久美若林映子(後のボンドガール)、根岸明美、さらに前田美波里や、ゴジラものではないですが浅野ゆう子('77年「惑星大戦争」)なども出ていたのだなあと。

モスラ対ゴジラ.jpgモスラ.jpgゴジラ ポスター.jpg 「ゴジラ」('54年)は、東宝の田中友幸プロデューサーによる映画「ゴジラ」の企画が先にあって、幻想小説家の香山滋が依頼を受けて書いた原作は原稿用紙40枚ほどのものであり、現在文庫で読める『小説ゴジラ』は、映画が公開された後のノヴェライゼーションです。

ゴジラ 1954.jpgゴジラs29.jpg  自分が生まれる前の作品であり(モノクロ)、かなり後になって劇場で観ましたが、バックに反核実験のメッセージが窺えたものの、怪獣映画ファンの多くが過去最高の怪獣映画と称賛するわりには、自分自身の中では"最高傑作"とするまでには、今ひとつノリ切れなかったような面もあります。やはりこういうのは、子供の時にリアルタイムで観ないとダメなのかなあ。ゴジラ 1954.jpg初めて「怪獣映画」というものを観た人たちにとっては、強烈なインパクトはあったと思うけれど。昭和20年代終わり頃に作られ、自分がリアルタイムで観ていない作品を、ついつい現代の技術水準や演出などとの比較で観てしまっている傾向があるかもしれません。但し、制作年('54年)の3月にビキニ環礁で米国による水爆実験があり、その年の9月に「第五福竜丸」の乗組員が亡くなったことを考えると、その年の12月に公開されたということは、やはり、すごく時代に敏感に呼応した作品ではあったかとゴジラ_.jpg思います。
宝田明(南海サルベージKK所長・尾形秀人)/河内桃子(山根恭平博士の娘・山根恵美子)/平田昭彦(科学者・芹沢大助)
(●2024年「ゴジラ生誕70周年記念上映」で再鑑賞。ラストで芹沢(平田昭彦)が海「ゴジラ」芹沢.jpg中から上がらずゴジラともに最期を迎えたのは、最強兵器オキシジェン・デストロイヤーの知識を自ら封印したというのが一般的解釈だが、そこまでする必要があったのかという思いがあった。今回観直してみて、山根恵美子(河内桃子)が尾形(宝田明)に秘密を漏らしたことで、芹沢は彼女が自分より尾形を選んだことを改めて認識し、恋に破れたと言うか、前向きに捉えれば恵美子の幸せは尾形に託したという意識も根底にあったのではないかと思った。ある意味「三角関係」映画だった。

Gojira (1954) 菅井きん(1926-2018/享年92)(小沢代議士)/志村喬(古生物学者・山根恭平博士)(ラストで「あのゴジラが最後の一匹とは思えない」と言う。)
Gojira (1954) .jpg菅井きん ゴジラ.jpgo志村喬ゴジラ.jpg「ゴジラ」●制作年:1954年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚本:村田武雄/本多猪四郎●撮平田昭彦 ゴジラ.jpg影:玉井正夫●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二ほか●原作:香山滋●時間:97分●出演:宝田明/河内桃子/平田昭彦/志村喬/堺左千夫/村上冬樹/山本廉/榊田敬二/鈴木豊明 /馬野都留子/菅井きん/笈川武夫/林幹/恩田清二郎/高堂国典/小川虎之助/手塚克巳/橘正晃/帯一郎/中島春雄/川合玉江/東静子/岡部正/鴨田清/今泉康/橘正晃/帯一郎●公開:1954/11●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿名画座ミラノ(83-08-06)●2回目:TOHOシネマズ 日比谷 (24-07-17)(評価:★★★☆→★★★★(緊迫感はシリーズ随一ではないかと思われ、評価を修正した。))●併映(1回目):「怪獣大戦争」(本多猪四郎)


モスラ_0.jpg 作品区分としてはゴジラ・シリーズではないですが、中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の3人の純文学者を原作者とする「モスラ」('61年)の方が、今観ると笑えるところも多いのですが、全体としてはむしろ大人の鑑賞にも堪えうるのではないかと...。まあ、「ゴジラ」と「モスラ」の間には7年もの間隔があるわけで、その間に進歩があって当然なわけだけれど。

「モスラ」('61年)予告

モスラ51.jpg ザ・ピーナッツ(伊藤エミ(1941-2012)、伊藤ユミ(1941-2016))のインドネシア風の歌も悪くないし、東京タワー('58年完成、「ゴジラ」の時「モスラ」(61年).jpgはまだこの世に無かった)に繭を作るなど絵的にもいいです。原作「発光妖精とモスラ」では繭を作るのは東京タワーではなく国会議事堂でしたが、60もののけ姫のオーム.jpg年安保の時節柄、政治性が強いという理由で変更されたとのこと、これにより、モスラは東京タワーを最初に破壊した怪獣となり、東京タワーは完成後僅か3年で破壊の憂き目(?)に。繭から出てきたのは例の幼虫で、これが意外と頑張った? 宮崎駿監督の「もののけ姫」('97年)の"オーム"を観た時、モスラの幼虫を想起した人も多いのではないでしょうか。

モスラ4S.jpg「モスラ」●制作年:1961年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚色:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:古関裕而●特殊技術:円谷英二●イメージボード:小松崎茂●原作:中村真一郎/福永武彦/堀田モスラ_1.jpg善衛「発光妖精とモスラ」●時間:101分●出演:モスラ111 .jpgフランキー堺小泉博香川京子/ジェリー伊藤/ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)/上原謙志村喬平田昭彦/佐原健二/河津清三郎/小杉義男/高木弘/田島義文/山本廉/加藤春哉/三島耕/中村哲/広「モスラ」上原・香川.jpg志村 モスラ.jpg瀬正一/桜井巨郎平田昭彦 モスラ.jpg/堤康久●公開:1961/07●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿シアターアプル (83-09-04)(評価:★★★☆)●併映:「三大怪獣 地球最大の決戦」(本多猪四郎)   
   
   
モスラ対ゴジラ ポスター2.jpgモスラ対ゴジラ ポスター.jpg 「ゴジラシリーズ」の第1作「ゴジラ」を観ると、ゴジラが最初は純粋に"凶悪怪獣"であったというのがよくわかりますが、「ゴジラシリーズ」の第4作「モスラ対ゴジラ」('64年)(下写真)の時もまだモスラの敵役モスラ対ゴジラ 02.jpgでした。この作品はゴジラにとって怪獣同士の闘いにおける初黒星で、昭和のシリーズでは唯一の敗戦を喫した作品でもあります。因みに、「ゴジラシリーズ」の第3作「キングコング対ゴジラ」('62年)は両者引き分け(相撃ち)とされているようです。それが、'64年12月に公開された('64年12月公開予定だった黒澤明監督「赤ひげ」の撮影が長引いたため、正月興行用に急遽制作された)「ゴジラシリーズ」の第5作「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年)(下写真)「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年)3.jpgになると、宇宙怪獣キングギド三大怪獣 地球最大の決戦.jpgラを倒すべく力を合わせようというモスラ(幼虫)の"呼びかけ"にラドンと共に"説得"されてしまいます。この怪獣たちが極端に擬人化された場面のバカバカしさは見モノでもあり、ある意味、珍品映画として貴重かもしれません。ともかく、ゴジラはこの作品以降、昭和シリーズではすっかり"善玉怪獣"になっています(この映画で、東京上空を飛行したキングギドラは衝撃波で東京タワーを破壊し、「モスラ」に続いて東京タワーを破壊した2番目の怪獣となる)。また、この「三大怪獣 地球最大の決戦」には、後にボンドガールとなる若林映子が、キングギドラに滅ぼされた金星人の末裔であるサルノ王女(の意識が憑依した女性)役で出ていましたが、王女の本名はマアス・ドオリナ・サルノ(まあ素通りなさるの!)でした(笑)。この作品、「四大怪獣」ではないかとも言われましたが、モスラ、ゴジラ、ラドンの地球の3匹が若林映子 サルノ王女.jpg三大怪獣 地球最大の決戦 (1964年)-s2.jpg平田昭彦 三大怪獣jpg.jpgを力を合わせて宇宙怪獣キングギドラ戦に挑むことから、「地球の三大怪獣」にとっての最大の決戦という意味らしいです。
若林映子(サルノ王女)/夏木陽介・星由里子・志村喬 in「三大怪獣 地球最大の決戦」/平田昭彦

Mosura tai Gojira(1964)
Mosura tai Gojira(1964).jpgモスラ対ゴジラ hujita .jpgモスラ対ゴジラ2.jpg「モスラ対ゴジラ」●制作年:1964年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚色:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二●時間:89分●出演:宝田明星由里子小泉博/ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)/藤木悠/田島義文/佐原健二/谷晃/木村千吉/中山豊/田武謙三/藤田進/八代美紀/小杉義男/田崎潤/沢村いき雄/佐田豊/山本廉/佐田豊/野村浩三/堤康久/津田光男/大友伸/大村千吉/岩本弘司/丘照美/大前亘●公開:1964/04●配給:東宝(評価:★★★☆)
モスラ 小美人用に作られた巨大セット.jpgモスラ .jpg
小泉博・宝田明・星由里子・ザ・ピーナッツ/小美人用に作られた巨大セット(本多監督とザ・ピーナッツ)


「モスラ対ゴジラ」('64年)予告

「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年)予告

San daikaijû Chikyû saidai no kessen(1964)                 
三大怪獣・地球最大の決戦 パンフレット.jpgSan daikaijû Chikyû saidai no kessen(1964).jpg三大怪獣 地球最大の決戦2.jpg「三大怪獣 地球最大の決戦」●制作年:1964年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚本:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二●時間:97分●出演:夏木陽介/小泉博/星由里子若林映子「三大怪獣 地球最大の決戦」.png三大怪獣 地球最大の決戦 星百合子e.jpgザ・ピーナッツ/志村喬/伊藤久哉/平田昭彦/佐原健二/沢村いき雄/伊吹徹/野村浩三/田島義文/天本英世/小杉義男/高田稔/英百合子/「三大怪獣 地球最大の決戦」6.jpg加藤春哉●時間:93分●公開:1964/12●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿シアターアプル (83-09-04)(評価:★★☆)●併映:「モスラ」(本多猪四郎)
夏木陽介・若林映子(サルノ王女) in「三大怪獣 地球最大の決戦」
  
怪獣大戦争.jpg怪獣大戦争01.jpg 更に、ゴジラシリーズ第6作「怪獣大戦争」('65年)は、地球侵略をたくらむX星人がキングギ怪獣大戦争 土者.jpgドラ、ゴジラ、ラドンの3大怪獣を操り総攻撃をかけてくるというもので、X星人の統制官(土屋嘉男)がキングギドラを撃退するためゴジラとラドンを貸して欲しいと地球人に依頼してきて(土屋嘉男は「地球防衛軍」('57年)のミステリアン統領以来の宇宙人役か)、その礼としてガン特効薬を提供すると申し出るが実はそれは偽りで...という、まるで人間界のようなパターンの詐欺行為。「シェー」をするゴジラなど、怪獣のショーアップ化が目立ち、"破壊王"ゴジラはここに至って、遂に自らのイメージをも完全粉砕してしまった...。

怪獣大戦争011.jpg 本書にはない裏話になりますが、この作品に準主役で出演した米俳優のニック・アダムスは、ラス・タンブリンなど同列のSF映画で日本に招かれたハリウッド俳優達が日本人スタッフと交わろうとせずに反発を受けたのに対し、積極的に打ち解け馴染もうとし、共演者らにも人気があったそうで、土屋嘉男とは特に息が合い、土屋にからかわれて女性への挨拶に「もうかりまっか?」と言っていたそうで、仕舞には、自らが妻帯者であるのに、水野久美に映画の役柄そのままに「妻とは離婚するから結婚しよう」と迫っていたそうです(ニック・アダムスは当時、私生活では離婚協議中だったため、冗談ではなく本気だった可能性がある。但し、彼自身は、'68年に錠剤の過量摂取によって死亡している(36歳))。

怪獣大戦争ges.jpgニック・アダムス2.jpg「怪獣大戦争」●制作年:1965年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚本: 関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二●時間:94分●出演:宝田明/ニック・アダムス/久保明/水野久美/沢井桂子/土屋嘉男/田崎潤/田島義文/田武謙三/村上冬樹/清水元/千石規子/佐々怪獣大戦争 土屋嘉男.jpg怪獣大戦争2.jpg木孝丸●公開:1965/12●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿名画座ミラノ (83-08-06)(評価:★★☆)●併映:「ゴジラ」(本多猪四郎)
中央:X星人統制官(土屋嘉男
    
水野久美.jpg 怪獣の複数登場が常となったのか、「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」('66年)などというのもあって(「ゴジラ」シリーズとしては第7作)、監督は本多猪四郎ではなく福田純で、音楽は伊福部昭ではなく佐藤勝ですが、これはなかなかの迫力だった印象があります(後に観直してみると、人間ドラマの方はかなりいい加減と言うか、ヒドいのだが)。
水野久美 in「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」('66年)宝田明
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 水の2.jpg
 
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘ps.jpgゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘2.jpg シリーズ第6作「怪獣大戦争」に"X星人"役で出ていた水野久美が今度は"原住民"の娘役で出ていて、キャスティングの変更による急遽の出演で、当時29歳にして19歳の役をやることになったのですが、今スチール等で見ても、妖艶過ぎる"19歳"、映画「南太平洋」('58年/米)みたいなエキゾチックな雰囲気もありましたが、何せ観たのは子供の時ですから、南の島の島民たちが大壷で練っている黄色いスープのような液体の印象がなぜか強く残っています(何のための液体だったのか思い出せなかったのだが、後に観直して"エビラ除け"のためのものだったと判りスッキリした)。

「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」●制作年:1966年●監「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」.jpg督:福田純●製作:田中友幸●脚本:関沢新一●撮影:山田一「ゴジラ・エビラ・モスラ」水野.jpg夫●音楽:佐藤勝●特殊技術:円谷英二●出演:宝田明/渡辺徹/伊吹徹/当銀長太郎/砂塚秀夫/水野久美/田崎潤/平田昭彦/天本英世/佐田豊/沢村いき雄/伊藤久哉/石田茂樹/広瀬正一/鈴「ゴジラ・エビラ・モスラ」hirata 野.jpg「ゴジラ・エビラ・モスラ」takarada .jpg木和夫/本間文子/中北千枝子/池田生二/岡部正/大前亘/丸山謙一郎/緒方燐作/勝部義夫/渋谷英男●時間:87分●公開:1966/12●配給:東宝(評価:★★★☆)●併映:「これが青春だ!」(松森 健)
   
    
      
大怪獣ガメラgamera_1.jpg この辺りまで怪獣映画は東映の独壇場ともいえる状況でしたが、'65年に大映が「大怪獣ガメラ」、'67年に日活が「大巨獣ガッパ」でこの市場に参入します(本書には出てこないが)。このうち、「大怪獣ガメラ」('65年/大映)は、社長の永田雅一の声がかりで製作されることとなり(永田雅一の「カメ」で行けという"鶴の一声"で決まったようで、湯浅憲明(1933-2004)監督はじめスタッフは苦労したのではないか)、これがヒットして、ガメラ・シリーズは'71年に大映が倒産するまでに7作撮影されましたが、本作はシリーズ唯一のモノクロ作品です(「ゴジラ」の第1作を意識したのかと思ったが、予算と技術面の都合だったらしい)。大怪獣ガメラ 船越英二.jpgあらすじは、砕氷調査船・ちどり丸で北極にやってきた東京大学動物学教室・日高教授(船越英二)らの研究チームが、国大解呪ガメラ 1965es.jpg籍不明機を目撃、その国籍不明機には核爆弾が搭載されており、その機体爆発の影響で、アトランティスの伝説の怪獣ガメラが甦るというもの。「ガメラ」の命名者でもある永田雅一の「子供たちが観て『怪獣がかわいそうだ』とか哀愁を感じないといけない。子供たちの共感を得ないとヒットしない」との考えの大怪獣ガメラ _.jpg大怪獣ガメラ 1965_.jpgもと、ガメラは子供には優しく、特にカメを大事に飼っている主人公の少年には優しいのですが、いくら何でも擬人化し過ぎたでしょうか(永田雅一は「ガメラを泣かせろ」と指示したそうな)。特撮自体は悪くなく、逃げ惑う人々のシーンの人海戦術も効いているだけに、お子様仕様になってしまったのが惜しまれます(出来上がった作品を観て永田雅一は「面白い」と言ったそうだが、映画はヒットしたわけだから、商売人としての感性はあった?)。
大怪獣ガメラ [Blu-ray]」「大怪獣ガメラ デジタル・リマスター版 [DVD]
「大怪獣ガメラ」●制作年:1965年●監督:湯浅憲明●製作:永田秀雅(製作総指揮:永田雅一)●脚本:高橋二三●撮影:宗川信夫●音楽:山内正●時間:78分●出演:船越英二/山下洵一郎/姿美千子/霧立はるみ/北原義郎/左卜全/浜村純/北城寿太郎/吉田義夫/大山健二/小山内淳/藤山浩二/大橋一元/高田宗彦/谷謙一/中田勉/森矢雄二/丸山修/内田喜郎/槙俊夫/隅田一男/杉森麟/村田扶美子/竹内哲郎/志保京助/中原大怪獣ガメラ 船越英二  2.jpg健/森一夫/佐山真次/喜多大八/大庭健二/荒木康夫/井上大吾/三夏伸/清水昭/松山新一/岡郁二/藤井竜史/山根圭一郎/村松若代/沖良子/加川東一郎/伊勢一郎/佐原新治/宗近一/青木英行/萩原茂雄/古谷徹/中条静夫(ナレーション)●時間:87分●公開:1965/11●配給:大映(評価:★★★)

船越英二・霧立はるみ
 
「大魔神」(1966)青山良彦/高田美和/月宮於登女/藤巻潤
大魔神 1966.jpg大魔神77.jpg 「ガメラ」のヒットを受け、翌年「ガメラシリーズ」の第2作として総天然色による「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」('66年/大映)が作られましたが、併映の「大魔神」('66年/大映)大魔神1.jpg方が"初物"としてインパクトがあったかも。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「巨人ゴーレム」('36大魔神2.jpg年/チェコスロバキア)で描かれたゴーレム伝説に材を得たそうですが、戦国時代に悪人が陰謀を巡らせて民衆が虐げられると、穏やかな表情の石像だった大魔神が復活して動き出し、破壊的な力を発揮して悪人を倒すというストーリーは分かりやすいカタルシスがありました。大映映画ですが、音楽は東宝ゴジラ映画の伊福部昭(1914-2006/享年91)が担当しています(同じく大映映画で伊福部昭が音楽を担当した作品に、黒澤明監督が大映で撮った「静かなる決闘」('49年)がある)。「大魔神」は、ほぼ同じパターン内容で同年にシリーズ第2作「大魔神怒る」、第3作「大魔神逆襲」が公開されています。

「大魔神怒る」66年.jpg「大魔神怒る」t.jpg「大魔神怒る」1.jpg 「大魔神怒る」('66年/大映)は、1作目が大ヒットしたため、お盆興行作品として製作されたもので、監督は三隅研次(1921-1975)で、これも伊福部昭が音楽を担当。千草家とその分家・名越家が領主の平和な国が隣国か「大魔神怒る」f.jpgら侵略され、領主は滅ぶもお家再興と平和を望んで千草家の本郷功次郎の許嫁である名越家の藤村志保が魔人に願掛けするというもの。今回は魔人は「水の神」という設定になっていて、藤村志保「大魔神怒る」3.jpgが悪人たちより「大魔神怒る」4.jpg焚刑に処せられることになって、今まさに火に焼かれようとする時、この身を神に捧げますと涙を流すと大魔神が現れ(出現シーンはハリウッド映画「十戒」('57年)に想を得ている)、悪者たちが大魔人に倒され藤村志保が魔人に感謝し、その涙が湖に落ちると、魔人は水と化して消えていくという、第1作より洗練された感じでした。製作費は1億円、興行収入もほぼ同額だったそうです。
「大魔神怒る」藤村2.jpg 「大魔神怒る」藤村志保(当時27歳)

「大魔神逆襲」66年.jpg「大魔神逆襲」1.jpg 「大魔神逆襲」('66年/大映)の監督は森一生監督(1911-1989)で、これもまた音楽は伊福部昭が担当。森一生監督は「女と男はつまらない。子供好きだから「大魔神逆襲」2.jpg子供でやりたい」と子「大魔神逆襲」3.jpg.png供たちが主役に据え、少年の純真な信仰心が大魔神を動かすという設定で、今回は大魔神「雪の魔神」として雪の中から現れ、最後には粉雪となって消えていきます。子供たちを主役に据えるのも悪いとは言いませんが、やは「大魔神逆襲」4.jpg.png.jpgり当時19歳の高田美和、27歳の藤村志保と続いた後だと、完全にお子様向けに路線変更してしまったなあという印象は拭えません。製作費は1億円弱、興行では併映なしの2番館上映となり、配給収入(興行収入から映画館の取り分を差し引いた配給会社の収入)も赤字で、4作目の企画もあったものの、これで打ち止めになっています。結局、わずか1年の間の3作で終わってしまったわけですが、その分、大魔神の重厚感は印象に残るものでした。ゴジラが「怪獣大戦争」('65年)で「シェー」をするなど、シリーズが永らえたゆえに"堕落"してしまったのとは対照的と言えるでしょうか。

「大魔神」(1966)  高田美和(当時19歳)
大魔神 blu-ray.jpg大魔神 高田美和.jpg「大魔神」●制作年:1966年●監督:安田公義●製作総指揮:永田雅一●脚本:吉田哲郎●撮影:森田富士郎●音楽:伊福部昭●時間:84分●出演:高田美和/青山良彦/二宮秀樹/藤巻潤/五味龍太郎/島田竜三/遠藤辰雄/杉山昌三九/伊達三郎/月宮於登女/出口静宏/尾上栄五郎/伴勇太郎/黒木英男/香山恵子/木村玄/橋本力(大魔神)●公開:1966/04●配給:大映(評価:★★★☆)
大魔神 Blu-ray BOX」(2009)

「大魔神怒る」(1966) 藤村志保(当27歳)in「大魔神怒る」('66年)/「なみだ川」('67年・三隅研次監督)
「大魔神怒る」b.jpg「大魔神怒る」藤村.jpgなみだ川 1967 2.jpg「大魔神怒る」●制作年:1966年●監督:三隅研次●製作:永田雅一●脚本:吉田哲郎●撮影:今井ひろし/森田富士郎●音楽:伊福部昭●時間:79分●出演:本郷功次郎/藤村志保/丸井太郎/内田朝雄/北城寿太郎/藤山浩二/上野山功一/神田隆/橋本力/平泉征/水原浩一/寺島雄作/高杉玄/黒木英男/三木本賀代/橘公子/加賀爪清和/小柳圭子/橋本力(大魔神)●公開:1966/08●配給:大映(評価:★★★☆)
大魔神怒る [Blu-ray]」(2009)

「大魔神逆襲」(1966)  
「大魔神逆襲」b.jpg「大魔神逆襲」5.jpg「大魔神逆襲」え.jpg「大魔神逆襲」●制作年:1966年●監督:森一生●製作総指揮:永田雅一●脚本:吉田哲郎●撮影:森田富士郎●音楽:伊福部昭●時間:87分●出演:二宮秀樹/堀井晋次/飯塚真英/長友宗之/山下洵一郎/仲村隆/安部徹/名和宏/北林谷栄/守田学/早川雄三/堀北幸夫/石原須磨男/南部彰三/橋本力(大魔神)●公開:1966/12●配給:大映(評価:★★★☆)
大魔神逆襲 [Blu-ray]」(2009)
    
    
「ゴジラ対ヘドラ」1971.jpg 一方、話を「大映」から「東宝」に戻して、シリーズ第15作「メカゴジラの逆襲」('75年)でゴジラvsキングギドラ.jpgゴジラvsビオランテ.gif「ゴジラ」1984.jpg一旦終了した「ゴジラ」シリーズ(その間に唯一ゴジラが空を飛ぶ第11作「ゴジラ対ヘドラ」('71年)などの異色作もあった)は、'84年に9年ぶりに再開されます。久々に作られた第16作「ゴジラ」('84年)(「平成ゴジラシリーズ」の第1作としてカウントするようだ)では、ゴジラを原点の"凶悪怪獣"に戻したようですが、第17作あたりから、また少しおかしくなってくる...。

「ゴジラ vs ビオランテ」vhs.jpgGSゴジラ vs ビオランテ 1989.jpg 第17作「ゴジラ vs ビオランテ」('89年)(「平成ゴジラシリーズ」第2作)は、バイオテクノロジーによってゴジラとバラの細胞を掛け合わせて造られた超獣ビオランテが登場し、一般公募ストーリー5千本から選ばれたものだそうですが(選ばれたのは「帰ってきたウルトラマン」第34話「許されざるいのち」の原案者である小林晋一郎の作品。一般公募と言ってもプロではないか)、確かに植物組織を持った怪獣は、「遊星よりの物体X」('51年/米)(「遊星からの物体X」('82年/米)のオリジナル)の頃からあるとは言え、随分と荒唐無稽なストーリーを選んだものだと...。
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ゴジラ vs キングギドラ 1991.jpg 第18作「ゴジラ vs キングギドラ」('91年)(「平成ゴジラシリーズ」第3作)は、南洋の孤島に生息していた恐竜が核実験でゴジラに変身したという新解釈まで採り入れており(ここに来てゴジラの出自を変えるなんて)、ゴジラが涙ぐんでいるような場面もあって、また同じ道を辿っているなあと(この映画、敵役の未来人のUFOが日本だけを攻撃対象とするのも腑に落ちないし、タイム・パラドックスも破綻気味)。

ゴジラvsキングギドラ tutiya2.jpg 第17、第18作は大森一樹監督で、いくらか期待したのですが、かなり脱力させられました(第18作「ゴジラ vs キングギドラ」で怪獣映画の中での土屋嘉男を見たのがちょっと懐かしかったくら山村聰「ゴジラ vs キングギドラ」.jpgいか。山村聰も内閣総理大臣役で出ていたけれど)。この監督は商業映画色の強い作品を撮るようになって、はっきり言ってダメになった気がします。大森一樹監督の最高傑作は自主映画作品「暗くなるまで待てない!」('75年/大森プロ)ではないでしょうか。神戸を舞台に大学生の若者たちが「暗くなるのを待てないで昼間から出てくるドラキュラの話」の映画を撮る話で、モノクロで制作費の全くかかっていない作品ですが、むしろ新鮮味がありました(今年['08年]3月に、大森監督によってリメイクされた)。

第26作「ゴジラ×メカゴジラ」0.jpg 駄作の多かった「平成ゴジラシリーズ」(第16作~第22作)に対し、第23作「ゴジラ2000 ミレニアム」('99年)から始まる「ミレニアムシリーズ」(第23作~第28作)でやや盛り返した感もありますが、その中でいちばんの傑作とする人もいる第26作「ゴジラ×メカゴジラ(ゴジラたいメカゴジラ)」('02年)(先行作品に第14作「ゴジラ対メカゴジラ」('74年)、第20作「ゴジラvsメカゴジラ(ゴジラたいメカゴジラ)」('93年)がある)さえ、個人第26作「ゴジラ×メカゴジラ」2.jpg的にはイマイチでした。何よりも、主演の釈由美子(当時24歳)のセリフ棒読みが結構キツイ...。ゴジラは絶対悪として描かれ、ゴジラに対抗するために作られたメカゴジラのメインパイロットが彼女の役なので、あまりに下手だとちょっと作品に入り込めない...(「ゴジラ vs ビオランテ」の沢口靖子(当時24歳)も当時はあまり上手くなかったが、主役ではなかった(主役は田中好子(当時33歳)))。

 結局、ゴジラ・シリーズは'04年の第28作をもって終了しますが、「ゴジラ」シリーズ全体での観客動員数は9,925万人で、「男はつらいよ」シリーズ全48作の合計観客動員数7,957万人を上回り、歴代で最も観客動員数多い劇場映画シリーズとされています('16年7月29日に「ゴジラ」シリーズの第29作、国内では「ゴジラ FINAL WARS」('04年/東宝)以来約12年ぶりの日本製作のゴジラ映画として「シン・ゴジラ」が公開され、8月1日までに観客動員71万人となり、「ゴジラ」シリーズが累計観客動員数で1億人突破した)。

ゴジラ vs ビオランテ  .jpgゴジラ vs ビオランテs.jpg「ゴジラ vs ビオランテ」●制作年:1989年●監督・脚本:大森一樹●製作:田中友幸●音楽:すぎやまこういち(ゴジラテーマ曲:伊福部昭)●時間:97分●出演:三田村邦彦/田中好子/小高恵美/峰岸徹/高嶋政伸/高橋幸治/沢口靖子(特別出演)/永島敏行(友情出演)/久我美子(友情出演)●公開:1989/12●配給:東宝(評価:★☆)ゴジラvsビオランテ [DVD]
「ゴジラ vs ビオランテ」久我.jpg「ゴジラ vs ビオランテ」永島1.jpg「ゴジラ vs ビオランテ」沢口1.jpg久我美子(大和田圭子官房長官 ※友情出演)/永島敏行(山本精一技術部長 ※友情出演)/沢口靖子(白神源壱郎博士の一人娘・白神英理加 ※特別出演)

GS第18作ゴジラvsキングギドラ.jpg「ゴジラ vs キングギドラ」.jpg「ゴジラ vs キングギドラ」●制作年:1991年●監督・脚本:大森一樹●製作:田中友幸●音楽:伊福部昭●特技監督:川北紘一●時間:103分●出演:中川安奈/豊原功補/小高恵美/西岡徳馬/土屋嘉男/山村聰/佐原健二/時任三郎/原田貴和子/小林昭二/佐々木勝彦/上田耕一/チャック・ウィルソン/ケント・ギルバート/ダニエル・カール/リチャード・バーガー/ロバート・スコットフィールド●公開:1991/12●配給:東宝 (評価:★☆)
ゴジラvsキングギドラ 東宝DVD名作セレクション
  
暗くなるまで待てない!47.jpg「暗くなるまで待てない」のサウンドトラックm.jpg「暗くなるまで待てない!」●制作年:1975年●監督:大森一樹●脚本:大森一樹/村上知彦●音楽:吉田健志/岡田勉/吉田峰子●時間:30分●出演:稲田夏子/栃岡章/南浮泰造/村上知彦/森岡富子/磯本治昭/塚脇小由美/大森一樹/鈴木清順●公開:1975/04●配給:大森プロ●最初に観た場所:高田馬場パール座 (80-12-25) (評価:★★★★)●併映:「星空のマリオネット」(橋浦方人)/「青春散歌 置けない日々」(橋浦方人)

「暗くなるまで待てない」サウンドトラック(吉田健志)

ゴジラ×メカゴジラ 東宝DVD名作セレクション.jpgゴジラ×メカゴジラ 2002.jpg「ゴジラ×メカゴジラ(ゴジラたいメカゴジラ)」●制作年:2002年●監督:手塚昌明●脚本:三村渉●音楽:大島ミチル●特撮監督:菊地雄一●時間:88分●出演:釈由美子/宅麻伸/小野寺華那/高杉亘/友井雄亮/水野純一/水野久美/上田耕一/森末慎二/萩尾みどり/江藤潤/北原佐和子/柳沢慎吾/藤山直美/中村嘉葎雄/田中美里/永島敏行/村田雄浩/中尾彬/松井秀喜(本人役)●公開:2002/12●配給:東宝 (評価:★★☆)
第26作「ゴジラ×メカゴジラ」な.jpg松井秀喜「ゴジラvsメカゴジラ」.jpg松井秀喜(本人役)
永島敏行(特生自衛隊(特自)小隊長・宮川二尉)/田中美里(看護師)
  
  
  
    
日本誕生.jpg ゴジラ・シリーズ以外で、役者だけで見れば何と言っても凄いのが「日本誕生」('59年)で、ヤマタノオロチが出てくるため確かに"怪獣映画"でもあるのですが、三船敏郎、乙羽信子、司葉子、鶴田浩二、東野英治郎、杉村春子、田中絹代、原節子など錚々たる面々、果ては、柳家金語楼から朝汐太郎(当時の現役横綱)まで出てくるけれど、「大作」転じて「カルト・ムービー」となるといった感じでしょうか(観ていないけれど、間違いなくズッコケそうで観るのが怖いといった感じ)。 

「日本誕生」 アメノウズメノミコ (乙羽信子)

マタンゴ.jpg 初期の「透明人間」('54年)やガス人間第1号」('60年)など"○○人間"モノや天本英夫の「マタンゴ」('63年)といった怪奇モノ、地球防衛軍」('57年)宇宙大戦争」('59年)などの宇宙モノから中国妖怪モノ、"フランケンシュタイン"モノまで、シリーズごとのほぼ全作品を追っていて、作品当りのスチール数も豊富な上に、一部については、デザイン画や絵コンテなども収められています。

 この頃東宝はゴジラ映画だけを作っていたわけではなく、クラゲの化け物のような怪獣が登場する宇宙大怪獣ドゴラ」('66年)といった作品もありました。個人的には、"フランケンシュタイン"モノでは、フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」('66年)などが印象に残っています。
 
水野久美 in 「フランケンシュタイン対地底怪獣」('65年)/根岸明美 in「キングコング対ゴジラ」('62年)
東宝特撮怪獣映画大鑑1.jpg 東宝特撮怪獣映画大鑑2.jpg
根岸明美(1934.3.26-2008.3.11/享年73) in 「アナタハン」('53年)、「キングコング対ゴジラ」('62年)
根岸明美 アナタハン.jpg 根岸明美 マタンゴ.jpg
赤ひげ 根岸明美 2.jpg赤ひげ」('65年)(阿部嘉典『「映画を愛した二人」黒沢明 三船敏郎』(1996/01 報知新聞社)より)

《読書MEMO》
● 桂 千穂 『カルトムービー本当に面白い日本映画 1945→1980』['13年/メディアックス]
IMG_4モスラ.JPG

IMG_6大魔神.JPG

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