【2085】 ○ スティーヴン・スピルバーグ 「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」 (84年/米) (1984/07 パラマウント・ピクチャーズ) ★★★★(○ 「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」 (81年/米) (1981/12)★★★☆/△ 「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」 (89年/米) (1989/07) ★★★)

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シリーズの中で一番面白かった「魔宮の伝説」。この頃は"手作り"感があった。

インディージョーンズ 魔宮の伝説 dvd.jpg インディジョーンズ 魔宮の伝説 パンフレット.jpg インディジョーンズ魔球の伝説4298.JPG
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 [DVD]」「映画パンフレット 「インディ・ジョーンズ-魔宮の伝説-」

インディジョーンズ魔球の伝説4299.JPG 「インディ・ジョーンズ シリーズ」の最初の3作のうち、個人的には最初の「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」('81年)は名画座に降りてくるのを待って観ましたが、この「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」('84年)はロード館で観ました。第3作「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」('89年)もロードで観ましたが、結局、一番面白かったのは「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」だったように思います。

「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」パンフレット

 日本でも、前作を上回るヒットを記録しましたが、年間興業収入では「ゴーストバスターズ」の69.7億円に次いで2位でした。因みに'82年本邦公開の「レイダース」は年間5位で、その年のトップは同じくスピルバーグ監督の「E.T.」の163.5億円(これは15年興行収入.jpg後に「タイタニック」('97年公開)に抜かれるまで1位の記録だった)、'89年公開の「最後の聖戦」も、同年公開の「バック・トゥ・ザ・フューチャー パート2」の94.0億円に及ばず2位と、このシリーズ作は何れも年間トップを取ってはいなかったんだなあと、やや意外な思いもします。「最後の聖戦」公開時に「シリーズ最終作」と銘打っていたように思いますが、その後「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」('08年)が作られています(2008年の年間興業収入57.1億円で第3位。この年の第1位は「崖の上のポニョ」の155億円)。

 シリーズ全体の原案はジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグ、製作には何れもはジョージ・ルーカス(ルーカス・フィルム)が噛んでいて、第1作「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の原作は、後に「ライト・スタッフ」「存在の耐えられない軽さ」「ライジング・サン」などを監督することになるフィリップ・カウフマン、脚本は「白いドレスの女」を監督することになるローレンス・カスダンと、第1作から才人が集まっていたことになります。

インディジョーンズ魔球の伝説4300.JPG 「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の3年後に作られた第2弾「魔宮の伝説」の時代設定は前作の1年前(1935年)ということになっていて、トロッコやつり橋の使い方が上手く、アニメをそのままのスピード感で実写化したという感じでした。今だったらCGに委ねるところをセットやミニチュア模型でやっている、この"手作り"感がいいのかもしれません。

 50年代、60年代のミュージカル映画のようなオープニングから始まって、物語の舞台が、上海 → メイアプール → パンコットとテンポよく移り変わり(メイアプールは実在するインドの小村、パンコットは架空の宮殿)、ピンチを脱したと思ったらまたピンチの連続で、何も考えずにただただ楽しめます。

インディジョーンズ魔球の伝説4301.JPG 冒頭のシーンは「ザッツ・エンターテインメント」('74年)へのオマージュでもあるのでしょうか。007映画やディズニーインディジョーンズ魔球の伝説4302.JPG映画、スピールバーグが好きな「フラッシュ・ゴードン」('36年)など様々な映画へのオマージュが随所込められており、ラストの大洪水シーンは、前作「レイダース」のパロディになっているなど、トリビアな見所も多いです。

 この作品を撮った時、ジョージ・ルーカス39歳、スティーブン・スピルバーグ37歳と、共に30代で、しかも、それでいてシリーズ2作目。二人とも若かったのだなあと改めて思います(シリーズ第1作の時は更にそれぞれ3歳若かったわけだが)。

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 dvd.jpg 5年後に作られた「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」('89年)は、時代設定は1938年で第1作「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の2年後という設定。ジョーンズ博士の少年時代を演じたのはリバー・フェニックスで(当時19歳)、この作品の4年後に麻薬死しています。
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 husi2.jpg 物語は聖杯伝説をベースにしており、手に入れれば願いはすべて叶うという聖杯を巡ってのナチス連中とインディたちの争奪戦。ナチスに誘拐された考古学者である父親(ショーン・コネリー)を救出に向かったインディも捉えられ...と、本来ならばもっとハラハラドキドキさせられるような展開になるところが、ハリソン・フォード演じるインディのおとぼけぶりに輪をかけるようなショーン・コネリー演じる父親のおとぼけぶりで、コメディ映画みたいになっていました。

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 husi.jpg インディは馬に乗って軍用列車を追いかけたり、ナチスの一味と殴り合い、撃ち合いしたりと相変わらずアクション面でも頑張っていますが、前作に比べると派手さがなく、テンポもイマイチ。最後は、聖杯の守り主みたいな騎士が出てきiインディ・ジョーンズ/最後の聖戦.jpgてなかなかシュールに盛り上げてくれましたが(それにしてはその手前の仕掛けがやたらメカニックだったりもする)、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」のラストと被ってしまい、結果的に「ショーン・コネリーがとぼけた父親役をやっている映画」という印象インディ・ジョーンズ/最後の聖戦s.jpgのみが強く残ってしまった気がします。但し、ショーン・コネリーはこの作品における「007シリーズ」のジェームズ・ボショーン・コネリー   .jpgンドのパロディ的要素を含む役どころを気に入っていたようで(敵か味方か途中までよく分からないボンドガール的な女性が出てくるのは007へのオマージュか)、2006年に俳優業を引退宣言していますが、もし映画界に戻ってくるとしたら「インディ・ジョーンズ」に出られるときだけとも語っています。
 
ザ・ロック s.jpgザ・ロック 1996.jpg 因みに、ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドのパロディ的要素を含む人物設定の役柄として出演している作品の代表的なものとしては、アメリカ海兵隊員の英雄率いるテロリストと、制圧する特殊部隊との攻防を描いたマイケル・ベイ監督によるアクション映画「ザ・ロック」('96年/米)があります。かつて敵に包囲された末に救援も得られずに部下を見殺しにされ、それに対して何の補償もない国に憤りを抱くハメル准将(エド・ハリス)が、14人の部下と共に化学兵器を奪取して、ザ・ロックと呼ザ・ロック アルカトラズ.JPEGばれるかつての刑務所島アルカトラズ島に観光客・ガイド計81人を人質にとって立て籠り、サンフランシスコを化学兵器の標的にして莫大な補償金を要求、化学兵器のスペシャリストであるグッドスピード(ニコラス・ケイザ・ロック ケイジ コネリー 2.jpgジ)がアメリカ海軍特殊部隊SEALsに同行して島に潜入することになりますが、潜入にあたってアルカトラズ島からの唯一の脱獄成功者で、現在は刑務所に幽閉中の元イギリス情報局秘密情報部(SIS)部員・兼SAS大尉のメイソン(ショーン・コネリー)の協力を得るというもの。結局、SEALsは敵の前に全滅し、残されたのは元脱獄囚メイソンと化学兵器オタクのグッドスピードのみという、まあアクション映画のパターナルな展開ですが、ショーン・コネリー演じるメイソンが元SIS(SISの中にMI6がある)ということで、ジェームズ・ボンドが意ザ・ロックL.jpgアリエール ジェルボール.jpg識されていることは明白でした。この映画公開の前年にサンフランシスコに行き、ゴールデン・ゲート・ブリッジからアルカトラズ島を観てきたところだったので懐かしかったですが、映画自体はやや大味でした。エド・ハリスの叛乱はかなり理不尽であるし(最後、自分でも作戦変更した)、FBIでありながら戦闘経験のない化学兵器オタクであるはずのニコラス・ケイジ(アクション映画の主役は初)が、カーチェイスをはじめ結構アクションしていました。化学兵器である毒ガスの溶剤が洗濯用の洗剤に見えてしまったのが難でした。

ザ・ロック 01.jpg 因みに、ショーン・コネリー演じるメイソンが刑務所から移送された後に滞在をリクエストし、その豪華なスウィートルームをしばし満喫するホテルは、サンフランシフェアモント サンフランシスコ めまい.jpgスコの「ザ フェアモント サンフランシスコ」で、ここは映画「めまい」('58年)や「タワーリング・インフェルノ」('74年)などの撮影にも使われたホテルであり(TVドラマ「アーサー・ヘイリーのホテル」にも使われた)、2010年に米国の世界最大級のオンライン旅行コミュニティサイト「トリップfairmontsf-location1.jpgアドバイザー」が映画の舞台となったり重要なシーンに登場したホテルの中で、ユーザーからの評価が高いものをランキfairmontsf-hero-overview2.jpgング化した「映画の舞台になった米国のホテル トップ10」を発表していますが、その中で第1位に選ばれています。
フェアモント サンフランシスコ

「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」('84年) 
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説es.jpg インディ・ジョーンズ シリーズ3作の個人的評価は、第1作「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」が★★★☆、第2作「魔宮の伝説」が★★★★、第3作「最後の聖戦」が★★★といったところです(第3作が星3つと厳しいのは、絶対評価と言うより、ややシリーズの中での相対評価になっているためで、普通の娯楽映画としてみれば十分楽しめる作品であると言える)。因みに「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」は、2000年代に入って、ソフト化作品のタイトルに"インディ・ジョーンズ"と付けるようになっており、これはこの作品がインディ・ジョーンズ シリーズの第1作であることを知らない年代層が増えてきたためでしょうか。   

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レイダース/失われたアーク dvd.jpg「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」●原題:RAIDERS OF THE LOST ARK●制作年:1981年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグレイダース/失われたアーク《聖櫃》.jpg●製作:フランク・マーシャル●脚本:ローレンス・カスダン●撮影:ダグラス・スローカム●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原案:ジョージ・ルーカス/フィリップ・カウフマン●時間:115分●出Reidâsu Ushinawareta âku (1981).jpg演:ハリソン・フォードカレン・アレン/ジョン・リス=デイヴィス/デ飯田橋佳作座.jpgンホルム・エリオット/ポール・フリーマン/ロナルド・レイシー/ヴォルフ・カーラー/ジョージ・ハリス/アルフレッド・モリーナ/ビック・タブリアン/アンソニー・ヒギンズ●日本公開:1981/12●配給:パラマウント映画/CIC●最初に観た場所:飯田橋佳作座(82-07-11)(評価:★★★☆)●併映:「スター・ウォーズ」(ジョージ・ルーカス)
飯田橋佳作座(神楽坂下外堀通り沿い)1957(昭和32)年10月1日オープン、1988(昭和63)年4月21日閉館
Reidâsu/Ushinawareta âku (1981)
Indi Jônzu - Makyû no densetsu (1984)
Indi Jônzu - Makyû no densetsu (1984).jpg
インディジョーンズ魔球の伝説4303.JPG「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」●原題:INDIAN JONES AND THE TEMPLE OF DOOM●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:ロバート・ワッツ●脚本:ウィラード・ハイク/インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説2.jpgグロリア・カッツ●撮影:ダグラスインディ・ジョーンズ/魔宮の伝説ges.jpg・スローカム●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原案:ジョージ・ルーカス●時間:118分●出演:ハリソン・フォード/ケイト・キャプショー/キー・ホイ・クァン/アムリッシュ・プリ/ロイ・チャオ/ロシャン・セス/リック・ヤン/デヴィッド・ヴィップ/チュア・カー・ジ「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」0.JPG「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」1.JPGョー/フィリップ・タン/ダン・エイクロイド/フィリップ・ストーン●日本公開:1984/07●配給:パラマウント・ピクチャーズ●最初に観た場所:歌舞伎町・新宿プラザ劇場(84-07-08)(評価:★★★★)
  
新宿プラザ8.jpg新宿プラザ 閉館上映チラシ.jpg新宿プラザ劇場200611.jpg 新宿プラザ劇場 1969年10月31日オープン、歌舞伎町・コマ劇場隣り(1,044席) 2008(平成20)年11月7日閉館
新宿プラザ劇場内.jpg
1981年「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」/1984年「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」/1989年「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦ド.jpg「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」●原題:INDIAN INDIANA JONES AND THELAST CRUSADE●制作年:1989年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:ロバート・ワッツ●脚本:ジェフリー・ボーム●撮影:ダグラス・スローカム●音楽:ジョン・ウィリアムズ●製作総指揮:ジョージ・ルーカス●時間:127分●出演:ハリソン・インディ・ジョーンズ/最後の聖戦e.jpgフォード/ショーン・コネリー デン/ホルム・エリオット/アリソン・ドゥーディ/ジョン・リス=デイヴィス/ジュリアン・グローヴァー/インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 リバー・フェニックス.jpgリヴァー・フェニックス/マイケル・バーン/ケヴォルク・マリキャン/リチャード・ヤング/ロバート・エディスン●日本公開:1989/07●配給:パラマウント・ピクチャーズ●最初に観た場所:歌舞伎町・新宿プラザ劇場(89-07-30)(評価:★★★)
リヴァー・フェニックス(1970-1993)in 「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」

The Rock (1996)
ザ・ロック ケイジ コネリー34.jpgThe Rock (1996).jpg
「ザ・ロック」●原題:THE ROCK●制作年:1996年●制作国:アメリカ●監督:マイケル・ベイ●製作:ドン・シンプソン/ジェリー・ブラッカイマー●脚本:デヴィッド・ウェイスバーグ、他●撮影:ジョン・シュワルツマン●音楽:ハンス・ジマー、他●時間:135分●出演:ショーン・コネリー/ニコラス・ケイジ/エド・ハリス/ジョン・スペンサー/ウィザ・ロック ケイジ コネリー33s.jpg リアム・フォーサイス/デヴィッド・モース/マイケル・ビーン/ザンダー・バークレー/ラルフ・ペデュート/デヴィッド・ボウ/ヴァネッサ・マーシル/ジェームズ・カヴィーゼル/ドワイト・ヒックス/ジョン・C・マッギンリー/ジョン・ラフリン/アンソニー・クラーク/デヴィッド・グラント/トニー・トッド/ボキーム・ウッドバイン/ダニー・ヌッチ/ショーン・スケルトン/スティーヴ・ハリス/インゴ・ノイハウス/グレゴリー・スポールダー/ブレンダン・ケリー/レイモンド・クルス/マーシャル・R・ティーグ/フィリップ・ベイカー・ホール/スタンリー・アンダーソン/スチュアート・ウィルソン/ハワード・プラット/ハリー・ハンフリーズ/レオナルド・マクマハン/クレア・フォーラニ/トッド・ルイーゾサム・ホイップル●日本公開:1996/09●配給:ブエナ・ビスタ・インターナショナル・ジャパン(評価:★★★)

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