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ハリソン・フォードよりトミー・リー・ジョーンズが印象に残る「逃亡者」。


「逃亡者 [DVD]」ハリソン・フォード/TVドラマシリーズ「逃亡者」デビッド・ジャンセン

「メン・イン・ブラック(1枚組) [DVD]」トミー・リー・ジョーンズ/ウィル・スミス 「メン・イン・ブラック2 [DVD]」ララ・フリン・ボイル

「ゆりかごを揺らす手 [DVD]」アナベラ・シオラ/レベッカ・デ・モーネイ
シカゴ記念病院の有能な血管外科医リチャード・キンブル(ハリソン・フォード)がある夜帰宅すると、妻のヘレン(セーラ・ウォード)が家の中で何者かに襲われて死に瀕していた。キンブルは犯人と思しき「片腕が義手の男」を撃退するも、妻は既に致命傷を負っており手遅れであった。キンブルは自分が取り逃がした義手の男について捜査するよう警察に懇願するが、警察は死の間際のヘレンの通報内容を誤解し、キンブル本人が妻殺しの濡れ衣を着せられ逮捕されてしまう。キンブルは裁判で無実を証明することができず、死刑判決を受けて刑務所へと移送されることになるが、その最中に他の囚人たちが逃亡を企てたことにより、護送車が列車と衝突し爆発炎上するという事故が発生する。事故を間一髪で生き延びた
キンブルは混乱に乗じ、妻を殺害した真犯人を自らの手で見つけて汚名をすすぐため、事故現場から逃亡してシカゴへと向かう。一方、いち早く脱走した囚人がいることを突き止めた連邦保安官補サミュエル・ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)とその部下達はキンブルを追跡する。時には持ち前のヒューマニズムが仇となって窮地に陥りつつも、執拗なジェラードの追跡を振り切りながら、キンブルはシカゴに帰り着いて証拠を辿り、同僚であり親友でもあるチャールズ・ニコルズ(ジェローン・クラッベ)からの援助も受けながら、自分が目撃した「片腕が義手の男」の名前を突き止める―。

オリジナルは1963年から1966年にかけて、デビッド・ジャンセン主演で放映され、アメリカ国内で平均視聴率45%という驚異的な数字を叩き出したTVドラマです。日本でも、1964(昭和39)年から1967(昭和42)年までTBS系列(関西地区は朝日放送)で放送されて人気を博し、最終話の放送時刻には銭湯が空になったと言われています(TVドラマ版は当初モノクロだったが、最後の方はカラーになった)。映画では、妻殺しの濡れ衣を着せられ死刑を宣告された医師リチャード・キンブルが、連邦保安官補サミュエル・ジェラードの追跡を逃れながら逃げまくるという枠組みは、TV版をそのまま
踏襲しています。
但し、元々120話あった話を2時間ちょっとの映画にしてしまうということは、やはり質的な変化も大きいかと思われ、TV版のデビッド・ジャンセン演じるリチャード・キンブルが際限なく全米を逃げまくっている印象があっただけに、逃亡劇が2時間強で決着してしまうというのは、映画だから仕方がないとは言え、何となくあっさりし過ぎる感じがしました。映画では、逃げているエリアはシカゴ市内及び近郊に限定されているし、病院で善意から治療(指示)をするのも1度きりだし...(TV版では結構あちこちで治療していたのではなかったか)。

ハリソン・フォードは、「フランティック」('88年)で妻を誘拐されたが誰にも信じてもらえない外科医役を演じ、また、「推定無罪」('90年)で妻殺しの容疑を着せられた検察官を演じており、サスペンスドラマ、それも追い詰められてパニックになりながらも独り(或いは女性に助けられながら)奮闘する役がすっかり板についた感じですが、この「逃亡者」での役柄は、考えてみれば「フランティック」と「推定無罪」を掛け合わせたような役でもあり、「フランティック」の頃は、それまでのタフガイのイメージを覆す印象があって目新しかったのですが、流石にこれだけ続くとややマンネリ感も。その分、ジェラード連邦保安官補を演じたトミー・リー・ジョーンズの方が新鮮だったでしょうか(オリジナルとキャラクターは若干違ってるが)。
ハリソン・フォードより4つ年下のトミー・リー・ジョーンズ(当時46歳)は、この作品で'93年のアカデミー助演男優賞を受賞し、以降は「メン・イン・ブラック」('97年)(1998年・第24回「サターンSF映画賞」受賞作)、「逃亡者」のスピンオフ作「追跡者」('98年)などの
出演作に恵まれるようになります。高校卒業後、家計を助けるために働きながら独学で勉強して、奨学金でハーバード大学英米文学部に進学した苦労人で、「ある愛の詩」('70年)で映画デビューし、その後は「ローリング・サンダー」('77年)に凖主役級で出演したりしますが、顔つきのキツさから出演依頼が来ず、下積みがすごく長かったようです(ハリソン・フォードも「カンバセーション...盗聴...」('74年)に出てた頃は滅茶苦茶暗かったが、「スター・ウォーズ」('77年)で人気の出たため、トミー・リー・ジョーンズよりはずっと若くしてブレイクしたことになる。と言うより、トミー・リー・ジョーンズが遅咲きなのだが)。

「メン・イン・ブラック」のバリー・ソネンフェルド監督はトミー・リー・ジョーンズのことを、「彼は大真面目に演じていてもどこかコミカルだ」と評していますが、確かにそうかも。「逃亡者」におけるトミー・リー・ジョーンズの中にも「メン・イン・ブラック」に通じるコミカル要素があるともとれますが、「メン・イン・ブラック」はそれが前面に出ていて、続編の「メン・イン・ブラック2」('02年)では、MIBに所属していたころの記憶を失い本名のケビン・ブラウンに戻って田舎町の郵便局長として働いているというさらにコミカルな設定。この設定とやや被るところのある、'06年から続くサントリーフーズの缶コーヒーBOSSのCM「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」も、誰か慧眼の
持ち主が彼のそうした特性に着眼して起用したのでしょう(因みにトミー・リー・ジョーンズは親日家であり、大の歌舞伎ファンであるとともに浮世絵の収集家でもある。「メン・イン・ブラック3」('12年/米)のキャンペーンでも、プロモーションワールドツアーで唯一日本ツアーにだけ参加した)。
サントリーフーズ缶コーヒーBOSS「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」『温泉篇』(♯11)2007年11月17日(旅館従業員)
『登場篇』(♯1)2006年4月4日/『工場篇』(♯2)/『ディスカウントストア篇』(♯3)/『宅配便・駐車禁止篇』(♯4)/『宅配便・リベンジ篇』(♯5)/『空港篇』(♯9)/『競争社会篇』(♯6)/『カラオケ篇』(♯7)/『ホットペッパー篇』(♯8)/『帰還篇』(♯10)/『温泉篇』(♯11)/『秋葉原篇』(♯12)/『農家篇』(♯13)/『時代劇篇』(♯14)/『大工篇』(♯15)2008年7月12日
『恋人も濡れる街角篇』(♯63)2015年9月2日(養鯉場従業員)
「逃亡者」に話を戻すと、トミー・リー・ジョーンズの"活躍"もあって、映画としては悪くはないのですが(初めて観た時の評価は星4つ)、改めて観直してみると、アクションのヤマ場が中盤のキンブルのダム底へのダイビングであり、あとはやや流れが緩慢な印象も受けます。電車内での「片腕が義手の男」との対決もある種お決まりのパターンであれば、最後に真犯人を追い詰めて銃撃戦になる展開もこれまたパターンであるように思えたため、星半個減の3つ半としました。元は連続ドラマであるところを一話完結にしているわけで、ストーリーをばたばたと収斂させざるを得ないのは致し方無いのかもしれませんが。
また「逃亡者」には、映画に出始めた頃のジュリアン・ムーア(左)が出演しています。前年にカーティス・ハンソン監督のサイコスリラー「ゆりかごを揺らす手」('92年)に出演して
いますが、その作品ではレベッカ・デモーネイが怖すぎて、彼女の印象は薄かったです。猥褻な診察を医師から受けたことで彼を告訴したアナベラ・シオラ演じる主人公が、医師が失墜し自殺したことから、レベッカ・デモーネイ演じるその妻から逆恨み的復讐を被るという話。ジュリアン・ムーアは、ナニー(ベビーシッター)として主人公の家に来ている女性(実は復讐を果たさんとする医師の妻)が危険人物であることを早くから見抜き「ゆりかごを揺らす手は世を支配する手」と主人公に忠告するその友人役。結局は犯人に残虐な殺され方をしてしまうという点から見ても脇役でした(ただし、レベッカ・デモーネイ演じる犯人も最後、自らの罠に嵌って同じ死に方をする)。
「逃亡者」では、リチャード・キンブルが「片腕が義手の男」が装着していた義手の手がかりを求め、清掃員に扮して病院に忍び込んだ際、彼に「男の子の患者を運んで!」と頼み、その後男の子にちゃんと独自の処置がされて
いるのを不審に思って警察に通報する女医役で出ていますが、キネ旬をはじめ多くの映画データべースで、「元同僚のアン・イーストマン医師(ジュリアン・ムーア)の協力で、病院の中にある義手を持つ人のリストを調べあげ...」などとあり、ジェーン・リンチ(右)が演じたキャシー・ワーランド医師の役との混同が見られます(キンブルに協力するのはキャシー・ワーランド医師。ジュリアン・ムーア演じるイーストマン医師ではない)。これも、ジュリアン・ムーアが後に有名になったためでしょうか。最近では、2014年に「カンヌ国際映画祭女優賞」を「マップ・トゥ・ザ・スターズ」('14年/米・カナダ・独・仏)で受賞し
たため、ジュリエット・ビノシュに続いて世界三大国際映画祭すべての女優賞を制覇した2人目の女優となり、さらに同じく2014年公開
の「アリスのままで」('14年/米)でゴールデングローブ賞の主演女優賞(ドラマ部門)とアカデミー賞の主演女優賞を受賞しています。(その後も「ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞」を受賞したペドロ・アルモドバル監督の「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」('24年/スペイン・米)に出演(右)するなどしている。)
Julianne Moore
因みに、「片腕の男」の義手の資料を集めるためにキンブルが潜り込んだ病院は、本作の1年後に放送が開始されたTVドラマ「ER 緊急救命室」の舞台にもなっているシカゴのクック郡病院であり、ジュリアン・ムーアが演じたイーストマン医師のセリフやシカゴの聖パトリック祭の様子は「ER」の第1話でも使われたとか(共に配給元はワーナー・ブラザーズ)。
「ER緊急救命室(第1話)/甘い誘い(120分枠)」 (94年/米) (1996/04 NHK-BS2)
アーニー・ハドソン/レベッカ・デモーネイ
先に挙げた「ゆりかごを揺らす手」は、サイコスリラーとしてはよく出来ていたように思います。復讐を謀るため復讐相手の家にベビー・シッターとして入り込んだレベッカ・デモーネイが、復讐相手の赤ん坊に異常な愛情を注ぎ母性愛に目覚めていくというのが不気味で、このあたりはレベッカ・デモーネイの表情と演技に負うところが大でしょう。深夜、密かに赤ん坊に自分の乳をふくませて馴染ませ、母親の乳を嫌がるように仕向けるシーンは怖かったです(しかし、流産した女性でもお乳はでるのか?)。展開が敢えてそこを狙ったのかと思ってしまうほ定石どおりで、それまで積み重ねてきた怖さを一気に爆発させるとうなスリリングでユニークなクライマックスがあるわけでもないため、コアなミステリファンやスリラーファンには物足りないかもしれませんが、自分にはちょうどいい程度でした(笑)。
「逃亡者」●原題:THE FUGITIVE●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:アンドリュー・デイヴィス●製作:アーノルド・コペルソン●脚本:デヴィッド・トゥーヒー/ジェブ・スチュアート●撮影:マイ
ケル・チャップマン●音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード●原作:ロイ・ハギンズ●130分●出演:ハリソン・フォード/トミー・リー・ジョーンズ/ジェローン・クラッベ/セーラ・ウォード/ジュリアン・ムーア/アンドレアス・カツーラス/ジョー・パントリアーノ/ダニエル・ローバック/L・スコット・カードウェル/トム・ウッド/ジェーン・リンチ●日本公開:1993/09●配給:ワーナー・ブラザーズ(評価:★★★☆)



「逃亡者」(The Fugitive) (ABC 1963~1967) ○日本での放映チャネル:TBS(関西地区は朝日放送)(1964.5~1967.9)/AXNミステリー
「メン・イン・ブラック」●原題:MEN IN BLACK●制作年:1997年●制作国:アメリカ●監督:バリー・ソネンフェルド●製作:ウォルター・F・パークス/ローリー・マクドナルド(製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ)●脚本:エド・ソロモン●撮影:ドン・ピーターマン●音楽:ダニー・エルフマン(主題歌:「Men in Black」ウィル・スミス●原作:ローウェル・J・カニンガム●98分●出演:トミー・リー・ジョーンズ/ウィル・スミス/リンダ・フィオレンティーノ/ヴィンセント・ドノフリオ/リップ・トーン/トニー・シャルーブ/シオバン・ファロン/ジョン・グリース/カレル・ストルイケン/フレドリック・レーン●日本公開:1997/12●配給:ソニー・ピクチャーズ リリーシング(評価:★★★☆)
「メン・イン・ブラック2」●原題:MEN IN BLACK2●制作年:1997年●制作国:アメリカ●監督:バリー・ソネンフェルド●製作:ウォルター・F・パークス/ローリー・マクドナルド(製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ)●脚本:ロバート・ゴードン/バリー・ファナロ●撮影:グレッグ・ガーディナー●音楽:ダニー・エルフマン(主題歌:「Black Suits Comin' (Nod Ya Head)」ウィル・スミス●原作:ローウェル・J・カニンガム●88分●出演:トミー・リー・ジョーンズ/ウィル・スミス/ララ・フリン・ボイル/リップ・トーン/ジョニー・ノックスビル/ロザリオ・ドーソン/トニー・シャルーブ/パトリック・ウォーバートン/ジャック・ケーラー/デヴィッド・クロス●日本公開:2002/07●配給:ソニー・ピクチャーズ リリーシング(評価:★★★☆)
ジュリアン・ムーア Julianne Moore レベッカ・デモーネイ Rebecca De Mornay

「ゆりかごを揺らす手」●原題:THE HUND THAT ROCKS THE CRADLE●制作年:1992年●制作国:アメリカ●監督:カーティス・ハンソン●製作:デヴィッド・マッデン●脚本:アマンダ・シルヴァー●撮影:ロバート・エルスウィット●音楽:グレーム・レヴェル●110分●出演:アナベラ・シオラ/レベッカ・デモーネイ/マット・マッコイ/アーニー・ハドソン/ジュリアン・ムーア/マデリーン・ジーマ/ジョン・デ・ランシー●日本公開:1993/09●配給:ワーナー・ブラザーズ(評価:★★★☆)
《読書MEMO》

●2020年テレビドラマ化「テレビ朝日開局60周年記念 2夜連続ドラマスペシャル・逃亡者」(テレビ朝日・2020年12月5日5・6日放送)
監督:和泉聖治/出演: 渡辺謙/豊川悦司/夏川結衣/稲森いずみ/杉本哲太/村田雄浩/余貴美子/宇梶剛士
