【3689】 ○ ジョン・フリン (原案:ポール・シュレイダー) 「ローリング・サンダー」 (77年/米) (1978/05 松竹=富士映画) ★★★★

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主人公と相棒(トミー・リー・ジョーンズ)、「昭和残侠伝」シリーズの高倉健と池部良のよう。

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ローリング・サンダー HDニューマスター [DVD]」ウィリアム・ディヴェイン/トミー・リー・ジョーンズ
ローリング・サンダー3.jpgローリング・サンダー2.jpg 1973年、ベトナム戦争からテキサス州サンアントニオへ帰還した空軍将校レーン少佐(ウィリアム・ディヴェイン)と部下のジョニー伍長(トミー・リー・ジョーンズ)は、地元で英雄として大歓迎される。しかしハノイでの7年間の捕虜生活での凄惨な拷問により、レーンの精神は傷ついていた。町の歓迎式典はレーンの功労を労い、「捕虜生活を1日1枚ずつ換算した高額な銀貨」と「州の誇りを象徴したベル」、「キャデラック」が贈呈されたが、周囲の歓迎と裏腹にレーンの表情は醒めていた。その様子をベルを手渡したリンダ(リンダ・ヘインズ)だけが気づく。レーン戻った家庭は変わっていた。妻ジャネット(リサ・リチャーズ)は夫の出兵中の寂しさから州警官クリフ(ローラソン・ドリスコル)と親しいローリング・サンダー』(1977).jpg関係を築いてしまい、赤ん坊だった愛息のマークも成長しクリフへ懐いている。レーンにはどうする事もできず、家族やクリフにはレーンの心中を理解できない。クリフはジャネットとの関係も含めてレーンと新たな関係を築こうとするが、レーンは妻の事には無頓着な様で、唯一、息子を「チビ」と呼ぶなとクリフに告げる。数日後、レーン家に強盗が入る。強盗一味は歓迎式典での銀貨贈呈をTVで観たメキシコ人の徒党だった。彼らはレーンを脅し痛めつけるが、レーンは頑なに口を開かない。終にはディスポーザーでレーンの右手を破砕したところへ妻子が帰宅、マークは躊躇なく銀貨を渡すが、強盗たちは母子を射殺し、レーンをも撃って逃走。一命を取り留め病院で療養するレーンは、失った片腕に義手を取り付ける。息子を亡くした失意を静かな怒りへ変えた彼は、金属製の爪が装着された義手を巧みに操れるようリバビリを重ねる、銃弾を拾い装填できるようになると退院する。レーンに惹かれるリンダは病院に見舞いに行き、彼と接し始める。警察に強盗の詳細を話さずにいたレーンは、一味の会話から凡その居所を察し、リンダを連れてメキシコへと向かう。レーンの動向に気付いたクリフは警察の捜査網を使ってレーンに先回りしようとするが、強盗たちに返り討ちに遭う。強盗一味を探す道中で、リンダはレーンの孤独に共感し、共に生きたいと望む。しかしレーンはリンダをモーテルに残し、エルパソで暮らすかつての盟友ジョニー伍長の許へ向かう。そして、強盗一味の潜伏先を特定する。帰郷した町に居場所の無さを感じていたジョニーは、レーンと共に強盗一味を殲滅すべく、直ちに銃器を用意する。軍服に身を包んだ二人はキャデラックに乗り込み、強盗一味の根城である売春宿へ向かう―。

ローリング・サンダー4.jpg ジョン・フリン監督の1977年公開作。「新宿ハードコア傑作選」(2025年7月18日~9月4日/シネマート新宿)で同年8月15日からリバイバル上映されました。個人的には日本公開の翌年の'79(昭和54)年2月に池袋文芸坐にて最初に観ました。その時の併映がタクシードラオバー0.jpgマーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」('76年/米)だったのは、共に脚本がポール・シュレイダーだからでしょう。因みに、「タクシードライバー」でロバート・デ・ニーロが演じた主人公のトラヴィスも、ベトナム戦争帰りの元海兵隊員と称していました。
タクシードライバー」('76年/米)
ザ・ヤクザ」('74年/米)
ザ・ヤクザ 高倉.jpg ポール・シュレイダーは「タクシードライバー」の前に、シドニー・ポラック監督、ロバート・ミッチャム・高倉健W主演の「ザ・ヤクザ」('74年/米)の脚本も書いていて、実質的には監督もしています。この時、ポール・シュレイダーと脚本を書いたのが兄のレナード・シュレイダーで、同志社大学と京都大学での英文学の講師として来日し、義侠の世界に興味を持ち、実在の暴力団にも出入りして、日本のアンダーグラウンドを研究したそうです(ポール・シュレイダーは、「MISHIMA:A LIFE IN FOUR CHAPTERS」('85年/米・日)では正式に監督を。この時に共同で脚本を書いた兄のレナード・シュレイダーは、生前の三島由紀夫とも親交があった。兄レナードは、長谷川和彦監督、沢田研二主演の「太陽を盗んだ男」('79年/東宝)の原作者でもある)。

 ポール・シュレイダーが「ザ・ヤクザ」の脚本家であることを踏まえて改めてこの映画を観ると、ベトナム帰還兵物でありながらも、復讐のため相棒同士で死地へ赴く場面は、日本のヤクザ映画とそっくりで、「昭和残侠伝」シリーズ(1965(昭和40)年から1972(昭和47)年までシリーズ9作がある)の高倉健と池部良のようです。売春宿に到着した二人がショットガンを手に襲撃昭和残侠伝 死んで貰います09.jpgし、阿鼻叫喚のなか、一味を射殺していく様や、頭数の多さに手こずり、二人とも被弾するもひるまずに応戦し、最後には一味を殲滅するのも、ヤクザ映画の殴り込みと同じパターン。二人共深手を負ったものの、お互いを支えながら戦場のようになった血まみれの売春宿を後にするのは、「ザ・ヤクザ」と同じパターンでしょうか(「昭和残侠伝」シリーズの場合、池部良は生還できないパターンが殆どだが)。
昭和残侠伝 死んで貰います」('70年/東映)

ローリング・サンダーp.jpg 昔観たときは、バイオレンスがやや空回りしている印象も受けましたが、今観ると、強盗に襲われたレーンが片手を台所のディスポーザー(昔観た時は何だかわからなかった)に入れられても頑なに口を開かないのは、拷問のPTSDで耐えることが"習い"になってしまっているためなのだなあと。捕虜生活での拷問体験がフラッシュバックしていることから窺え、その前の戦地で受けた拷問をクリフに話し、憑かれたように再現してみせる振る舞いも、その伏線になっていました。

ローリング・サンダー5.jpg それと、主人公のレーン少佐を演じたウィリアム・ディヴェインも良かったですが、レーンの盟友ジョニー伍長をトミー・リー・ジョーンズが演じていたのは、改めて映画館で観るまで気づきませんでした。80年代はテレビ出演が主で、映画は出演しても脇役だったようです。でも、こういう役、合っています。再鑑賞の収穫でした。

トミー・リー・ジョーンズ「ローリング・サンダー」('77年)

ローリング・サンダーd.jpgローリング・サンダー HDニューマスター版 [Blu-ray]

ローリング・サンダーp2.jpg「ローリング・サンダー」●原題:ROLLING THUNDER●制作年:1977 年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・フリン●製作:ノーマン・T・ハーマン●脚本:ポール・シュレイダー/ヘイウッド・グールド●撮影: ジョーダン・クローネンウェス●音楽:バリー・デ・ヴォーゾン●原ローリング・サンダー ジョーンズ.jpg案:ポール・シュレイダー●時間:95分●出演:ウィリアム・ディヴェイン/トミー・リー・ジョーンズ/リンダ・ヘインズ/ジェームズ・ベスト/リサ・リチャーズ/ローラソン・ドリスコル/ダブニー・コールマン/ジェームズ・ヴィクター/キャシー・イェーツ/ルーク・アスキュー●日本公開:1978/05●配給:松竹・富士映画●最初に観た場所:池袋文芸坐(79-02-11)●2回目:新宿武蔵野館(25-08-19)(評価:★★★★)●併映(1回目):「タクシードライバー」(マーティン・スコセッシ)

トミー・リー・ジョーンズ in「ある愛の詩」('70年)/「JFK」('91年)/「逃亡者」('93年)/「依頼人」('94年)
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