【1921】 ○ リチャード・アービング 「刑事コロンボ(第2話)/死者の身代金」 (71年/米) (1973/04 NHK-UHF) ★★★★(○ ウィリアム・ワイラー (原作:シドニー・キングスレー) 「探偵物語」 (51年/米) (1953/02 パラマウント映画) ★★★★)

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パイロット版第2作。"コロンボ"のキャラクターや事件解決のパターンが出来上がった作品。

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特選「刑事コロンボ」完全版~死者の身代金~【日本語吹替版】 [VHS]」 リー・グラント/『刑事コロンボ 死者の身代金/サラ・ブックス16』「探偵物語 [DVD]」カーク・ダグラス/エリノア・パーカー

RANSOM FOR A DEAD MAN.jpg 本国で'71年3月に放映されたもので、日本では一応シリーズ第3話となっていますが、本国で'68年2月に放映された「殺人処方箋」と同じく、シリーズ化の前に作られたパイロッット版です。同'71年9月に次の第3話「構想の死角」が放映され、これが本来のシリーズ第1作となります。

死者の身代金01.jpg 日本での放映は、'72年8月に「殺人処方箋」、'72年11月「構想の死角」、そして'73年4月にこの「死者の身代金」となっており、'73年2月に放映された第9話「パイルD-3の壁」などよりも遅く、結局日本では、シリーズの始まる3年前に作られたパイロット版の第1作「殺人処方箋」を放映した後、第3話から第9話までの「シーズン1」を放映し、更にその後で、パイロット版の第2作であるこの作品を放映したことになります。

 人気投票では本作よりも「殺人処方箋」の方が大体上位にくるようですが、個人的には本作の方が"コロンボ"らしくていいかなあ。「殺人処方箋」から3年も間が空いたわけですが、本作でシリーズ化が決定したわけでしょ(この間にピーター・フォークは40歳から43歳になっている)。

死者の身代金03.jpg 「殺人処方箋」でスーツもヘアスタイルもさっぱりしていたのが、ちゃんとよれよれのコートで、もじゃもじゃの髪型になっているし、いざという時に筆記用具を失くしたりなかなか出てこなかったりするのは「殺人処方箋」の時からですが、"バーニーの店"でチリソースを食べるシーンは今回が初めて。あとは、愛車プジョーはまだ出てきていません。

刑事コロンボ(第2話死者の身代金リー.jpg 犯人は、リー・グラント演じる女性弁護士レスリーで、電話を使った偽装誘拐トリックなど、その後のシリーズの作品の同種の場面を彷彿させるシーンが幾つかありますが、何よりも、出だしは犯人に対しても、他の捜査員(FBI)に対してもぐっと控えめでありながらも、レスリーが"夫からの電話"に対し、「あなたご無事?」などと言って夫の安否を訪ねなかったことをまず不審に思うといったところから事件の真相に迫るところが、やはり"コロンボ"らしいなあと(FBI捜査官らはこれを看過してしまう)。

刑事コロンボ(第2話死者の身代金.jpg 犯人に対しては、状況証拠がありながらも決定的な証拠がなくてお手上げだというフリをして、最後一気にに犯人から物証を引き出す―このやり方も、その後のシリーズの作品に同様のものがあったし、まさに本作において、シリーズ化以降の"コロンボ"のキャラクターや事件解決手口のパターンが出来上がっていたという感じ。

 犯人に物証となる身代金を使わせるために、普通はこんな手は通用しないとしながらも、レスリー相手ならいけるという確信のもとに芝居を打つ―なぜならば、彼女は欲深い上に、愛する肉親を殺された者でも同様に金で動かすことができると思い込んでいるから―。

死者の身代金02.jpg 完全犯罪が破綻したのは、そうした自分の思い込みによるものだと、この辺りは「殺人処方箋」とも通じるものがありますが、それを犯人である彼女に説いてみせるのは、やや解説過剰かなあ(脚本家は、犯人の口から言わせたかったのだろうなあ)。

 唯一の物証を引き出すために用いた、ほぼ囮(おとり)捜査的なやり方自体には賛否はあるかも知れませんが、目の付け所はやはり秀逸だと思います。レスリーと一緒にセスナに乗るシーンやラストの大金を目の前にして小銭が払えないでいる辺り、ピーター・フォークが「コロンボ」でメジャーになる前に出ていたコメディ映画の雰囲気を帯びている感じがしました。

探偵物語1.jpg 因みに、犯人役のリー・グラントは、ブロードウェイで評価を得た後、1951年にブロードウェイのヒット作の映画化である「探偵物語」('51年/米)で、舞台となる二十一分署に連行され、分署内の様々な人間模様を目撃する女スリ役で映画デビュー(主演はカーク・ダグラス)、本作は自身が舞台でも演じていた当り役であり、1952年・第5回「カンヌ国際映画祭女優賞」を受賞しています(この映画、原題の"Detective Story"を「探偵物語」と訳してしまったのはなぜか。刑事(Detective)しか出てこないのに)。しかし彼女は、当時吹き荒れた赤狩りのブラック・リストに載ったため、以後12年の間は映画の仕事がほとんどなくなってしまい、テレビに出演、1967年のノーマン・ジュイソン監督、シドニー・ポワチエ主演の「夜の大捜査線」('67年/米)で映画に復帰し、1975年のハル・アシュビー監督、ウォーレン・ベイティ主演の「シャンプー」('75年/米)に有閑マダム役で出演し、「アカデミー助演女優賞」を受賞しています。

リー・グラント in「夜の大捜査線」('67年/米)/「シャンプー」('75年/米)/「エアポート'77/バミューダからの脱出」('77年/米・英)/「マルホランド・ドライブ」('01年/米)
リー・グラント.jpg


RANSOM FOR A DEAD MAN2.jpg「刑事コロンボ(第2話)/死者の身代金」●原題:RANSOM FOR A DEAD MAN●制作年:1971年●制作国:アメリカ●監督:リ刑事コロンボ(第2話)死者の身代金.jpgチャード・アービング●脚本・製作:ディーン・ハーグローブ●音楽:ビリー・ゴールデンバーグ●時間:95分●出演:ピーター・フォーク/リー・グラント/パトリシア・マティック/ハロルド・グールド/ハーラン・ウォード/ハンク・ブラント/ビル・ウォーカー/ジャドソン・モーガン/ジョン・フィンク/リサ・ムーア/ジーン・バイロン●日本公開:1973/04●放送:NHK-UHF(評価:★★★★)
刑事コロンボ完全版 DVD-SET 1.jpg刑事コロンボ完全版 DVD-SET 1 【ユニバーサルTVシリーズ スペシャル・プライス】
刑事コロンボ 1シーン.jpgDisc1 (1) 殺人処方箋: 約99分 (2) 死者の身代金: 約95分
Disc2 (3) 構想の死角 :約76分 (4) 指輪の爪あと:約76分
Disc3 (5) ホリスター将軍のコレクション :約76分 (6) 二枚のドガの絵: 約76分
Disc4 (7) もう一つの鍵: 約75分 (8) 死の方程式 :約75分
Disc5 (9) パイルD-3の壁: 約75分 (10) 黒のエチュード: 約96分

「刑事コロンボ」Columbo (NBC 1971~1978/ABC 1989~2003) ○日本での放映チャネル:NHK-UHF・NHK(1972~1981)ほか

探偵物語 [DVD]
探偵物語1951.jpg探偵物語2.jpg「探偵物語」●原題:DITECTIVE STORY●制作年:1951年●制作国:アメリカ●監督・製作:ウィリアム・ワイラー●脚本:フィリップ・ヨーダン/ロバート・ワイラー●音楽:ヴィクター・ヤング●撮影:リー・ガームス●原作:シドニー・キングスレー●時間:103分●出演:カーク・ダグラス/エリノア・パーカー/ウィリアム・ベンディックス/ジョージ・マクレディ/ホレイス・マクマホン/グラディス・ジ探偵物語5.jpg探偵物語3.jpgョージ/ジョセフ・ワイズマン/リー・グラント/ジェラルド・モーア/フランク・フェイレン/ワーナー・アンダーソン/クレイグ・ヒル/マイケル・ストロング/ルイス・ヴァン・ロッテン/バート・フリード/ワーナー・アンダーソン/グランドン・ローデス/ウィリアム・フィリップス/ラッセル・エヴァンズ●日本公開:1953/02●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:高田馬場・ACTミニシアターー(84-10-20)(評価:★★★★)

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