【1477】 ○ ハイ・アヴァバック 「刑事コロンボ(第15話)/溶ける糸」 (73年/米) (1973/10 NHK-UHF) ★★★★ (○ ロバート・ワイズ 「スタートレック」 (79年/米) (1980/07 パラマウント映画=CIC) ★★★☆/△ バーナード・コワルスキー 「刑事コロンボ(第38話)/ルーサン警部の犯罪」 (76年/米) ★★★)

「●TV-M (刑事コロンボ)」の インデックッスへ Prev|NEXT⇒ 【1924】 「刑事コロンボ/断たれた音
「●や‐わ行の外国映画の監督②」の インデックッスへ 「●は行の外国映画の監督①」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「○都内の主な閉館映画館」の インデックッスへ(渋谷パンテオン)「●海外のTVドラマシリーズ」の インデックッスへ(「宇宙大作戦/スタートレック」)

シリーズ中でもかなり手強い犯人像を演じたレナード・ニモイ。アン・フランシスも懐かしい。

溶ける糸 vhs.jpg 刑事コロンボ 溶ける糸.jpg 刑事コロンボ38 ルーサン警部の犯罪.jpg スタートレック 1979 dvd.jpg ギャラクシー・クエスト.jpg
特選「刑事コロンボ」完全版~溶ける糸~【日本語吹替版】 [VHS]」「刑事コロンボ 完全版 Vol.8 [DVD]」レナード・ニモイ「刑事コロンボDVDコレクション~第38話~ルーサン警部の犯罪」「スター・トレック ディレクターズ・エディション 特別完全版 (本編ディスクのみ) [DVD]」「ギャラクシー・クエスト」(ティム・アレン/シガニー・ウィーバー/アラン・リックマン)
溶ける糸 タイトル.jpg溶ける糸 2.jpg 胸部外科医のメイフィールド(レナード・ニモイ)は、上司のハイデマン博士(ウィル・ギア)との心臓移植の拒絶反応を抑える新技術の共同研究の成果を、他の研究グループが発表する前に先手を打って発表すべきだと考えていたが、ハイデマン博士はもっと治験が必要だとして発表を認めない。そんな折、博士が心臓の病に倒れ、博士の主治医でもあるメイフィールドが手術をすることになるが、手術を補佐した看護婦のシャロン(アン・フランシス)は、メイフィールドが縫合糸に何か細工をしたことに気づく。真面目な彼女は自分の疑問を確認しようとするが、その最中にメイフィールドに殺されてしまう―。

「刑事コロンボ溶ける糸」1.jpg溶ける糸2.jpg 「刑事コロンボ」第15話で、レナード・ニモイの冷静な犯人役が際立っている作品。むしろ、コロンボの方がメイフィールドのデスクを叩いて激昂するという珍しい場面(台詞上は「ハイデマン博士の面倒をよくみることだ。もし死んだら、当然われわれは検死解剖を要求する。そして、単なる心臓発作による死亡なのか、糸のためなのかを確認するからな」―言葉使いも荒い)があったりするので、ますますメイフィールドの冷静さが浮き彫りにされるわけですが、この「冷静さ」がコロンボによる事件解決の伏線になっていたわけだなあ(実はコロンボの「激昂」そのものも、メイフィールドを窮地に追い詰め、彼に次の行動を起こさせてボロを出させるための演技だったわけだが)。

ニモイ.bmpニモイ2.jpg 犯人だとは分かっているけれど、証拠が出ない―それが最後の最後で閃いた、土壇場の逆転劇であるとするならば、その直前にコロンボがメイフィールドに対し表向きは負けを認めて一旦引き下がったのは、まだ逆転の可能性はあるという思いを裡に秘めた演技半分、悔しいという本音半分だったのでしょうか。とにかく、それぐらい手強い相手だったということなのでしょう。それにしても、ミスター・スポックことレナード・ニモイ、昔からああいう独特のマスクだったんだなあ。

startrek-1.gif 但し、TV版「宇宙大作戦/スタートレック」は1966年から1969年に全米で放映されており、このコロンボ出演('73年)の前のこと(従って、彼が「コロンボ」に出演していた時には既に「レナード・ニモイ=スポック博士」のイメージが浸透していたことになる)、TV版が映画「スタートレック」になったのが'79年で、その後、「スタートレックⅥ」まで作られましたが(新シリーズを含めると2009年までに11作映画化されている)、「Ⅲ・Ⅳ」をレナード・ニモイ、「Ⅴ」をカーク船長ことウィリアム・シャトナーが監督しています。

刑事コロンボ ルーサン警部の犯罪1.bmp 因みに、宇宙艦エンタープライズ号のカーク船長役のウィリアム・シャトナーも、'76年に「刑事コロンボ」の第38話「ルーサン警部の犯罪」に犯人役で出演しています(第63話「4時02分の銃声」でも再び犯人役を演じている)。

刑事コロンボ ルーサン警部の犯罪2.jpg その「ルーサン警部の犯罪」は、本物の警部が犯罪を犯すわけではなく、テレビの人気ミステリ・シリーズで名警部役を演じている俳優が犯人であるという、あたかも「刑事コロンボ」を意識したかのような背景で、ウィリアム・シャトナー演じるところの犯人が「ルーサン警部」の立場からコロンボと一緒に事件の謎を解いていくという凝った設定ですが、事件そのものは余りに状況証拠が多すぎて、コロンボにとってはあまり難事件とは言えなかったかも。

ウィリアム・シャトナー2.jpg 最後に決め手となる物的証拠も、犯人の指紋の拭き忘れという凡ミスに拠るもので、強いて言えば、犯人が殺人を犯した自分自身とルーサン警部という架空のキャラクターとの区別がつかなくなっている(?)のが、スタートレック」0.jpg犯罪心理面での見所でしょうか。そうしたことも含め、レナード・ニモイの冷静な犯人像に比べると、ウィリアム・シャトナーのこのエピソードにおける犯人像はかなり弱々しく思えました(それにしても、ウィリアム・シャトナー、若いなあ)。

スタートレック」1.jpg 個人的には、「スタートレック」シリーズを劇場で観たのは「Ⅲ」くらいまでかなあ。「新スタートレック」 「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」といったTV版も一部ビデオで観たので、もう、どれがどれだか分らなくなってしまいましたが、作品の出来不出来はともかく、やはり最初に観たのが印象に残りました(「ヴィジャー」って何かと思ったら、そういうことだったのか)。

ギャラクシー・クエストド.jpg いずれにせよ、このTVシリーズと映画化作品が全米で絶大な人気を得たのは事実で、トレッキーまたはトレッカーと呼ばれる熱心なファンがアメリカのみならず世界中の宇宙関連事業関係者にも多いと言われています。そうした現象を逆手に取ってパロディ化したディーン・パリソット監督、ティム・アレン主演の「ギャラクシー・クエスト」('99年/米)というのもありました。20年前TVシリーズ「ギャラクシー・クエスト」で宇宙の英雄である「エンタープライズ号」ならぬ「プロテクター号」乗組員を演じてギャラクシークエストes.jpg人気を博すも、今は売れずにファンへのサイン会ギャラクシークエストード.jpgやイベントを糧にして生活を送っていた俳優たちが、他の星の宇宙人の侵略に苦しむ中「ギャラクシー・クエスト」の電波を自星で受信し、架空のドラマだとは思わずに歴史ドキュメンタリーと信じて助けを求めてきた宇宙人たちによって実際の宇宙戦争に巻き込まれるという二重構造に、「スタートレック」のパロディを絡ませた三重構造の形を取っていて、なんだかオリジナルより面白かったような...。今思えば、当時「エイリアン4」('97年)までの出ギャラクシー・クエスト ド.jpg演を終えたシガニー・ウィーバー(「エイリアン」('79年))、アラン・リックマン(「ダイ・ハード」('88年))、トニー・シャルーブ(「名探偵モンク」)となかなかの配役でしたが、コメディのツボを押さえた作品で、コメディだからといってセットやSFXなどで手抜きをしていないのも良かったです(シガニー・ウィーバーの役のキャラは、「エイリアン」でのリプリー役の"強い女性"から、一応「マディソン中尉」という劇中役ではあるが、伝統的なアメリカン・コミック風のセクシーキャラになっている。彼女自身、とても50歳には見えない肢体を披露したかったのではないか)。

Anne Francis
Anne Francis.jpg溶ける糸 アン・フランシス.jpg 因みに、「溶ける糸」でメイフィールドに殺されてしまう優しく真面目な看護婦役のアン・フランシス(1930-2011)は、ロープウェイでのラストシーンが印象的な「刑事コロンボ」シリーズ第8話「死の方程式」にも秘書役で出ていました。TV番組「ハニーにおまかせ」で人気を得た女優ですが、こちらも「禁断の惑星」('56年)という"宇宙モノ"SF映画に出演していました('11年1月に死去、享年80)。「禁断の惑星」での共演レスリー・ニールセン.bmpは、「裸の銃(ガン)を持つ男」シリーズでコメディ俳優になる前のレスリー・ニールセン('10年11月に死去、享年84)、レスリー・ニールセンは「刑事コロンボ」シリーズ第7話の「もう一つの鍵」で、犯人である広告会社役員役のスーザン・クラークの恋人役で、第34話「仮面の男」で、元同僚のスパイに殺害される被害者役ででも出ています。

 アン・フランシスはレナード・ニモイより半年早い生まれですが、"宇宙モノ"では10年先輩だったのか。

禁断の惑星 20 アン.jpg 禁断の惑星 04 アン・レスリー.jpg アン・フランシス&レスリー・ニールセン 「禁断の惑星」(1956)

「刑事コロンボ(第15話)/溶ける糸」 s.jpg刑事コロンボ(第15話)/溶ける糸.bmp「刑事コロンボ(第15話)/溶ける糸」●原題:A STITCH IN CRIME●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:ハイ・アヴァバック●製作:ディーン・ハーグローヴ●脚本:シャール・ヘンドリックス●ストーリー監修:ジャクソン・ギリス●時間:73分●出演:ピーター・フォーク/レナード・ニモイ/ウィル・ギア/アン・フランシス/ニナ・タルボット/ジャレッド・マーティ/ヴィクター・ミラン/アニタ・コルシオ●日本公開:1973/10●放送:NHK-UHF(評価:★★★★)

刑事コロンボ ルーサン警部の犯罪 vhs.jpg「刑事コロンボ(第38話)/ルーサン警部の犯罪」●原題:FADE IN TO MURDER●制作年:1976年●制作国:アメリカ●監督:バーナード・コワルスキー●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:ルー・ショウ/ピーター・フィーブルマン●ストーリー監修:ウィリアム・ドリスキル●原案:ヘンリー・ガルソン●音楽:バーナード・セイガル●時間:73分●出演:ピーター・フォーク/ウィリアム・シャトナー/ローラ・オルブライト/バート・レムゼン/アラン・マンソン/ウォルター・ケーニッグ/ティモシー・ケリー/シェラ・デニス/フランク・エメット・バクスター/ダニー・デイトン/ヴィクター・イザイ/ジョン・フィネガン/フレッド・ドレイパー●日本公開:1977/12●放送:NHK総合(評価:★★★)  「特選 刑事コロンボ 完全版「ルーサン警部の犯罪」【日本語吹替版】 [VHS]


スタートレック8.jpgstartrek 1979.bmp「スタートレック」●原題:STAR TRECK●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:ロバート・ワイズ●製作:ジーン・ロッデンベリー●脚本:ハロルド・リヴィングストン/レナード・ニモイ●撮影:リチャード・H・クライン渋谷パンテオン.jpg●音楽: ジェリー・ゴールドスミス●時間:132分●出演:ウィリアム・シャトナー/レナード・ニモイ/デフォレスト・ケリー/ジェームズ・ドゥーパーシス・カンバータ.jpgハン/ウォルター・ ケーニッグ/ジョージ・タケイ/パーシス・カンバータ/スティーブン・コリンズ/メイジェル・バレット/ニシェル・ニコラス●日本公開:1980/07●配給:パラマウント映画=CIC●最初に観た場所:渋谷パンテオン(80-07-14)●2回目:大井ロマン(85-02-09)(評価:★★★☆)●併映(2回目):「スター・トレック2 カーンの逆襲」(ニコラス・メイヤー)/「スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!」(レナード・ニモイ) 渋谷パンテオン 東急文化会館1F、1956年12月1日オープン。2003(平成15)年6月30日閉館。


宇宙大作戦/スタートレック.jpgStar Trek tv0.jpg「宇宙大作戦/スタートレック」Star Trek (NBC 1966~1969)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1969~70)/フジテレビ(1972~74)/NHK-BS2(2007)/スーパー!ドラマTV(2008~)



スタートレック DAGGER OF THE MIND.jpg


   
    
(左端)Marinna Hill as Dr. Helen Noel from Dagger Of The Mind|Star Trek (マリアンナ・ヒル in「宇宙大作戦」第10話「悪魔島から来た狂人」(1966年11月3日本国放映送・1969年日本放映(日本テレビ))、2007年10月13日リマスター版放映(NHK-BS2))

  
          ティム・アレン/アラン・リックマン/シガニー・ウィーバー
ギャラクシークエスト dvd.jpgギャラクシークエスト 2.jpg「ギャラクシー・クエスト」●原題:GALAXY QUEST●制作年:1999年●制作国:アメリカ●監督:ディーン・パリソット●製作:マーク・ジョンソン/チャールズ・ニューワース●脚本:デビッド・ハワード/ロバート・ゴードン●撮影:イェジー・ジェリンスキー●音楽:デヴィッド・ニューマン●時間:102分●出演:ティム・アレン/シガニー・ウィーバー/アラン・リックマン/トニー・シャルーブ/サム・ロックウェル/ダリル・ミッチェル/エンリコ・コラントーニ/パトリック・ブリーン/ミッシー・パイル/ジャスティン・ロング/ロビン・サックス/ジェド・リース/ジェレミー・ハワード/ケイトリン・カラム/ジョナサン・フェイヤー●日本公開:2000/01●配給:ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ(評価:★★★★)
ギャラクシー★クエスト [DVD]
シガニー・ウィーバー in「ギャラクシー・クエスト」
ギャラクシークエスト シガニーウィーバー1.jpgギャラクシークエスト シガニーウィーバー2.jpgギャラクシークエスト シガニーウィーバー3.jpg

1 Comment

レナード・ニモイ
「スター・トレック」のミスター・スポック役で知られた俳優・映画監督。2015年2月27日、米ロサンゼルスの自宅で死去。83歳。慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患っていた。

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1