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難しいことは考えず、愉しむ映画。ジャクリーン・ビセットの魅力全開。


「おかしなおかしな大冒険」ポスター ジャン・ポール・ベルモンド/ジャクリーン・ビセット
「Le Magnifique / おかしなおかしな大冒険 北米版DVD [Import] [DVD]」

フランソワ・メルラン(ジャン・ポール・ベルモンド)は、007ばりのスパイ・シリーズで人気の冒険小説作家だ。毎月、編集者のシャロン(ヴィットリオ・カプリオーリ)に新しいスパイものを提出し、目下メキシコを舞台にしてスパイ小説を執筆中。彼はアパートの窓越しに見染めた クリスティーヌ(ジャクリーン・ビセット)をヒロインとし、スーパーマンである秘密諜報員ボブ・セント・クレア(ベルモンド二役)がヒーローになって大
活躍する白日夢に浸ってしまう。夢の中での事件の発端はメキシコの港町で、米国諜報員が殺されたことから始まる。この事件究明のため、中近東にい たボブがアカプルコに派遣され、メキシコ諜報部の連絡員タチアナ(ジャクリーン・ビセット二役)と連絡をとる。アカプルコではボブとタチアナの命を狙うカルポフ(カプリオーリ二役)一味のために次々に危険が降りかかるが、ボブの大活躍によって何とか脱出する。カルポフはボブに一大仕掛けで挑戦してくる。それは海岸沿いのハイウェイに鏡の巨大な壁を築き、ドライ ブ中のボブを錯覚させようというものだ。ボブはハンドルを切りそこねて鏡の壁に大衝突。絶壁から海へと投げ飛ばされる。しかし 彼は...。そこでフランソワはヒーローを殺すわけにはいかないと我に返る。やがて、クリスチィーヌがフランソワの部屋にやって来るようになる。彼女は女子大生で社会心理学を専攻しているのだが、フランソワの小説を偶然読んだことから、なぜ彼の創造したスーパーマンが大衆に受ける のかを分析し、論文を書こうとしていた。そのクリスチィーヌが、編集者のシャロンと付き合い出したことを知って、フランソワは気が気でない。いっ そのことボブをアンチ・ヒーローにしやらどうなるか―。最後の仕上げを急ぐフランソワは、ボブを徹底してズッコケ三枚目にしてタチアナとのラブ・アフェ アを面白おかしく書き出した。フランソワはやっと書き上げた原稿を、窓からシャロンに投げつけた。そしてクリスチィーヌを抱きしめ、やっと自分のものにした―。
1973年のフィリップ・ド・ブロカ監督作で、「カトマンズの男」('65年/仏・伊)以来となる、ド・ブロカ監督とジャン=ポール・ベルモンドと4度目のタッグを組んだ作品。作中小説の舞台であるメキシコで、かなり大掛かりなロケ撮影が行われていますが、日本国内では劇場公開、テレビ放送はあったものの、長らくソフト化は行われていませでした。新宿武蔵野館が'20年、'21年、'22年の3回にわたって上映してきた「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」の「グランド・フィナーレ」('24年)で鑑賞。この上映を機に、4Kリマスター版DVDが今年['25年]リリースされました。原題の「magnifique(マニフィック)」は、「すばらしい」という意味で、英語の「magnificent」と同じ意味です。
物語は小説と現実がパラレルに進行し、共にベルモンドが演じる小説の中のスーパーマン的ヒーローのボブと、現実世界の原稿の締め切りに追われるスパイ小説作家フランソワの対比が面白かったです。作者のフランソワがだんだん自分が生み出したヒーロー・ボブが嫌いになってきて、最後は、作者が小説の主人公をヒーローの座から引きずり下ろしたという感じでしょうか。それによって、フランソワは自己疎外から脱し、目出度くクリスチィーヌと理解し合えるというオチですが、この後シリーズ小説の方はどうなる?
まあ、難しいことは考えず、愉しむ映画なのでしょう。そもそも、冒頭からボブが繰り広げるスパイの世界は"お馬鹿映画"そのもので(007シリーズのパロディが随所にみられる)、フランソワが人気作家ではあるものの通俗作家であることを表しており(そのことに本人も嫌気をさしている風。したがって、窓から原稿を投げたのは、シリーズの打ち止めを示唆しているともとれる)、ジャクリーン・ビセット演じる現実世界の女子大生クリスティーヌも、彼の作品自体と言うより、なぜそれが「大衆に受ける のか」がテーマになっている感じでした。
そのジャクリーン・ビセットの魅力全開の映画でもあります。この作品の前に「ブリット」('68年/米)でスティーブ・マックイーンと、後に「セント・アイブス」('76年/米)でチャールズ・ブロンソンと共演するなどしていますが、露出度はこの作品が一番では。このように英国人でありながら、米国映画だけでなくフランス映画にも出ていて、ロバート・フリーマン監督の「フランソワの青春」('69年/仏)ですでに主役としてフランス映画デビューしています。ただし、この作品、ジャクリーン・ビセット絶頂期の美貌を堪能できるらしいのに日本未公開です。
「おかしなおかしな大冒険」●原題:LE MAGNIFIQUE●制作年:1973年●制作国:フランス/イタリア●監督・脚本:フィリップ・ド・ブロカ●製作:アレクサンドル・ムヌーシュキン/ジョルジュ・ダンシジェール●撮影:ルネ・マテラン●音楽:クロード・ボリング●時間:94分●出演:ジャン・ポール・ベルモンド/ジャクリーン・ビセット/ヴィットリオ・カプリオーリ/レイモン・ジェローム/ハンス・メイヤー/モニーク・タルベ/マリオ・ダヴィッド/ブルーノ・ガルサン/ジャン・ルフェーブルン●日本公開:1974/06●配給:エデン●最初に観た場所:新宿武蔵野館(24-07-02)((評価:★★★☆)
「おかしなおかしな大冒険<4Kリマスター版> [DVD]」['25年]
