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「過労自殺」に注目が集まる契機となった本。教訓としての「電通事件」。
『過労自殺 (岩波新書)』 〔'98年〕
本書刊行は'98年で、その頃「過労死」という言葉はすでに定着していましたが、「過労自殺」という言葉はまだ一般には浸透しておらず、本書は「過労自殺」というものに注目が集まる契機となった本と言ってもいいのではないかと思います。
冒頭に何例か過労自殺事件が紹介されていますが、その中でも有名なのが、著者自身も弁護士として関わった「電通事件」でしょう。
自殺した社員(24歳のラジオ部員)の残業時間が月平均で147時間(8カ月の平均)あったというのも異常ですが、会社ぐるみの残業隠蔽や、当人に対し、靴の中にビールを注いで無理やり飲ませるような陰湿ないじめがあったことが記されています。
事件そのものの発生は'91(平成2)年で、電通の対応に不満を持った遺族が'93(平成5)年に2億2千万円の損害賠償請求訴訟を起こし(電通がきちんと誠意ある対応をしていれば訴訟にはならなかったと著者は言っている)、'96(平成8)年3月、東京地裁は電通側に1億2千万円の支払を命じていて、それが'97(平成9)年9月の東京高裁判決では3割の過失相殺を認め、約9千万円の支払命令となっています。
本書105ページを見ると、'95〜'97年度の過労自殺の労災申請は、それぞれ10件、11件、22件で、それに対し認定件数は各0件、1件、2件しかなく、電通事件も労災申請を認めなかった労基署の判断が退けられたという形をとっていますが、それがそのまま損害賠償命令に直結したのがある意味画期的でした(しかも金額が大きい。因みに'06年度の「過労自殺」の労災認定件数は66件にも及んでいる)。
さらに、本書刊行後の話ですが、'00(平成12)年の最高裁小法廷判決では、2審判決の(本人の自己管理能力欠如による)過失相殺を誤りとし、電通に対し約1億7千万円の支払い命令を下しており、上場を目前に控えた電通は、やっと法廷闘争を断念して判決を受け入れ、遺族との和解交渉へと移ります。
企業が労務上の危機管理や事件に対する適切な初期対応を怠ると、いかに膨大な時間的・金銭的・対社会的損失を被るかということの、典型的な例だと思います。

郷原 信郎 氏 (経歴下記)







シリコンバレーに住んで10年以上というIT企業経営コンサルタントが、今ウェブ・ビジネスがどういう状況にあるかを解説したもので、ネットバブル崩壊後のこの分野のビジネス動向を探る上では必読書かもしれません。
情報を「あちら側」でオープンにすると「不特定多数無限大」の存在によって伝播され、より優れた正確なものへと醸成されるという(本書にあるように「ウィキペディア」などもその例だが)、こうしたグーグルのある種の楽天主義に対する著者の共感がよく伝わってきますが、「グーグル八分」なんてことも報じられている昨今、グーグルのある種脅威の部分を想うと、「著者自身がそんな楽天的でいいの?」とい気がしないでもありません。


天外伺朗(土井忠利) 氏社員」からさがせ.jpg)

高城 幸司 氏(セレブレイン社長)
藤田東久夫 氏 (略歴下記)



1954年に発表されたP・F・ドラッカー44歳のときの著作で、"三大古典"と呼ばれるものの中でも最も有名な本。ただし、ドラッカーは存命中、何度も自著を改稿していて、今回「名著集」として出された本書も、その前の'96年版からさらに改訳されているとのこと。
本書では後半かなりの紙数を「人と組織のマネジメント」に割いていて、ここでは旧来の人事管理論を批判し、人間関係論(マグレガー)や科学的管理法(テーラー)の限界を指摘していて、具体的に人事部の在り方も批判していますが、こうした批判は皮肉にも今読んでも古さを感じさせん。


'03年刊行の上田惇生氏編訳による「ドラッカー名言集」4部作に続く同氏の編訳によるもので(原題:Advice for Entrepreneurs)、30年にわたりウォールストリート・ジャーナルに寄稿した論文から、直接経営にかかわる助言のみを厳選したとのこと。


ファーストリテイリングCEOの柳井正氏の半生記であり、ユニクロの歴史を綴ったものでもあり、「わが経営」といった感じの本でもあります。
髙谷知佐子 氏(弁護士)


賃金は働く者にとって最も重要な労働条件の要素であり、それゆえ賃金をめぐる労使のトラブルは尽きないわけですが、一方で、「賃金」に関する法令上の規定は「労働時間」などに比べ条文数としては少なく、実務上のトラブル等への対処としては、法の基本趣旨を理解するほかに、行政解釈や裁判例をよく知っておくことがひとつポイントになるかと思います。

著者は元リクルートの人事部採用責任者で、その後採用コンサルティング会社を設立し、『面接官の本音』(日経BP社)という"就活本"シリーズを書いている人ですが、本書は企業向けに書かれた、企業が就職戦線を「勝ち抜く」ための本。





寺崎 文勝 氏 (略歴下記)




日下 公人 氏
'94年に刊行された本書は、企業における人事のあり方を将来予測したもので、これから滅びいくものとして〈人事権、正社員、会社人間〉、これから生まれてくるものとして〈デフレ時代、真の人本主義〉を挙げていますが、アウトラインとしてはまあまあ当たっていたのではないかと思います。
Leo Lionni (1910-1999/享年89)

ろちゃん』(Little Blue and Little Yellow '59年発表)は、孫をあやすために描いたそうですが、デザイナーらしい色使いです。
是枝裕和監督が第71回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを受賞した「万引き家族」('18年)に子どもが大人(リリー・フランキー)に『スイミー』の内容を話す場面がある。是枝監督によれば、撮影前に児童虐待の保護施設を訪れたことがあり、学校から帰って来た女の子に「今、何勉強してるの?」と尋ねると、女の子がランドセルから国語の教科書を取り出し、レオ・レオニの「スイミー」を朗読し始め、施設職員から「みんな忙しいんだから」とやんわり注意されても気にも留めず、結局は最後まで読み切ってしまい、「僕たちがみんなで拍手をしたら、すごくうれしそうに笑った。この子はきっと、今は離れて暮らしている親に聞かせたいんじゃないか。その子の朗読をしている顔が頭から離れなくて、今回の映画の中で少年が教科書を読むシーンを書きました」との秘話を明かしている。(


1975(昭和50)年の「別冊少女コミック」9月号~11月号が初出誌。1975(昭和50)年・第21回「小学館漫画賞」(少年少女部門)受賞作(「ポーの一族」と併せて受賞)。 






すが、14歳の少年のままの美貌を保つ彼らが、18世紀から20世紀のヨーロッパ各地に出没するという設定にまず引き込まれました。





これを読むと、TVドラマ(母親役は篠原涼子)の方は途中から始まっていることになり(小学校入学の少し前から)、またかなり明るいシーンが多かったような気がします。作者は漫画にはいろいろ制約があるといったことを以前言っており、テレビの場合はなおさらそうでしょう。
わが子との心の繋がりを懸命に模索する母親。光君が初めて母親のことを「ママ」と呼ぶ場面や、さまざまな出来事を経て保育園の卒園式で新たな一歩を踏み出す場面は胸を打ちますが、いずれも作者が取材した事実に基づいているようです。
「光とともに~自閉症児を抱えて~」●演出:佐藤東弥/佐久間紀佳●制作:梅原幹●脚本:水橋文美江●音楽:溝口肇●原作:戸部けいこ●出演:篠原涼子/小林聡美/山口達也/武田真治/鈴木杏樹/井川遥/齋藤隆成/市川実日子/大倉孝二/大城紀代/高橋惠子/渡辺いっけい/金沢碧/福田麻由子/佐藤未来/池谷のぶえ●放映:2004/04~06(全11回)●放送局:日本テレビ
「ゲンセンカン主人」
本書の最初に出てくる、かの有名な「ねじ式」ほか、「山椒魚」「通夜」「海辺の叙景」「沼」「峠の犬」は、いずれも'66-'68年の作品です(発表誌はいずれも「月刊漫画ガロ」)。
「沼」('66年)は、背景などはすでにつげ義春特有の幽玄さを帯びているコマがあるのが窺え、内容にも作者らしい叙情性はありますが、登場人物の絵は"永島慎二"風という感じで、「通夜」('67年)は、内容は軽妙ですが、背景絵のタッチがよりつげ作品らしい微細なものになっています。
最後の本書表題としても選ばれている「ゲンセンカン主人」('68年)は、極端に暗い作風で、主人公の旅人の顔もリアルになっています。個人的には、この「ゲンセンカン主人」と、休筆後の「やなぎや主人」に最も"つげ作品"らしさを覚えましたが、短い期間に結構作風が微妙に変化してるなあと、改めて感じました(「ゲンセンカン主人」は石井輝男監督により、1993年に同タイトルで映画化されており、内容は「李さん一家」「紅い花」などを含んでいる)。



'67(昭和42)年から'75(昭和50)年に発表されたつげ作品を「旅」というキーワードで括っていますが、傑作揃いで、巻頭のイメージ画も「旅」というテーマに沿って"つげワールド"を展開していて、とてもいいです。表題作「リアリズムの宿」は、その雰囲気を活かした映画にもなりました。
'93年から'94年にかけて筑摩書房から全集も出ていますが(全9巻)、全部揃えるまで出来なくとも、この1冊でかなり「つげワールド」が堪能できるような気がします(書版の大きさにこだわらなければ主要な作品は小学館文庫などでも読める(その後、筑摩版の全集はちくま文庫として文庫化された))。



「リアリズムの宿」予告



'68(昭和43)年の「月刊ガロ」12月号より連載された滝田ゆう(1932-1990)の「寺島町奇譚」シリーズは、『寺島町奇譚』、『ぬけられます』(共に'70年/青林堂)として単行本刊行され、復刻版なども出ていますが、本書はそれらを合本化した文庫で、作者の真骨頂である戦前・戦中の玉の井遊郭界隈の郷愁溢れる世界を20篇、600ページ余にわたって堪能できます。

街の入り口の「ぬけられます」という看板とは裏腹に複雑に入り組んだ路地に、銘酒屋(私娼旅館)の娼婦たちの世界とベーゴマに熱狂する子供たちの世界が同居しているこの不思議な空間も、物語の最後で米軍の攻撃(東京大空襲)を受けて火の海と化すことになります。

'02(平成14)年に第1巻が刊行され第6回「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」で優秀賞を受賞した(その後、'04(平成16)年・第33回「日本漫画家協会賞」大賞も受賞)このシリーズは、あの立花隆氏が絶賛、氏曰く―、「(この漫画は)いまやコミックを超え、ノンフィクションを超え、文学すら超えて、我々の時代が初めて持った、知・情・意のすべてを錬磨する新しい情報メディアとなった。これからの時代、『ブラックジャックによろしく』を読んで悩み苦しんだことがない医者にはかかるな、と言いたい」と、ものすごい褒めようで、東大での講義素材にも使ったりしていますが、確かに医療現場においてあるかもしれない問題を鋭く突いているなあという感じはします(実態とかけ離れているという現場の声もあったようですが)。
この第1巻では、研修医の劣悪な労働条件や治療よりも研究を優先する大学病院の内実を抉っていて、続く第2巻で主人公の研修医は、大学病院の面目を潰してまでも患者を市井の名医に診せたりしています(なかなかの行動力)。
第3巻、第4巻でダウン症の生前告知を通して新生児医療の問題を扱っていて(これは感動しました)、第5巻~第8巻のガン告知の問題を扱っているところまで読みましたが(この部分は'03年にTBS系でテレビドラマ化されたシリーズの中では取り上げられず、翌年の正月にスペシャル版としてドラマ化された)、その後も精神障害とマスコミ報道の問題を扱ったりしているようで、どちらかと言うとジャーナリスティックな(悪く言えばセンセーショナリスティックな)路線を感じます。











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マクーレ・ベロニカ (Marek Veronika)














1958年にイギリスの女流童話作家アン・フィリパ・ピアス(Ann Philippa Pearce 1910-2006)が発表したタイム・ファンタジーの傑作と言われる作品(原題は"Tom's Midnight Garden")。
河合隼雄氏の指摘を待つまでもなく、この物語の〈裏口の扉〉は"アリスの兎穴"と同じく日常と非日常の境界であり、また〈庭〉は、少年が秘密を持つことで大人になっていく、或いは大人になることの要件としての秘密そのものであることが、主人公の成長を通してわかります。
〈裏口の扉〉と並ぶ重要なキイとして〈大時計〉があり、ハティに「あんたは幽霊よ!」と言われたトムは、徐々に大時計の謎を解こうという気持ちになっていきますが、それは〈時間〉というものに対する考察につながり、この部分は大人の読者をも充分に引き込むものがあります。




Mark Haddon










ンカーンら歴史上の人物と出会ったりし、更にトロイ戦争や第七騎兵隊全滅を目撃し、ハレー彗星、クラカタウラ火山の噴火に遭遇しするな





1980年に発表されたアメリカの作家ロバート・ラドラム(Robert Ludlum)の作品で、彼の作品ではこの『暗殺者』 (The Bourne Identity)と『狂気のモザイク』 (The Parsifal Mosaic '82年発表)が一押しです(共に日本語訳は新潮文庫)(『暗殺者』は1984(昭和59)年・第3回「日本冒険小説協会大賞」(海外部門)受賞作)。
原題の「ボーン・アイデンティティー」そのままのタイトルで映画化('02年/米)されました(発表から映画化まで22年かあ)。悪い映画ではなかったのですが、物語の細部が端折られてしまったのと、主人公がキャラクター的に少しズレてしまった感じがして、どうなのかなという印象でした。主役のマット・デイモン自体が少し線が細いと言うか優し過ぎるイメージかな(この人、米国の有名俳優の中では数少ないハーバード大学出身者、但し、中退)。さらに"暗殺者"であるカルロス、これが原作ではある種のサイコ的凄みがあるのですが、アクション映画にしてしまうと怖くなくなるのが痛い。
「ボーン・アイデンティティー」●原題:THE BOURNE IDENTITY●制作年:2002年●制作国:アメリカ●監督:ダグ・リーマン●製作総指揮:フランク・マーシャル/ロバート・ラドラム●音楽:ジョン・パウエル●原作:ロバート・ラドラム「暗殺者」(The Bourne Identity)●時間:119分●出演:マット・デイモン/フランカ・ポテンテ/クリス・クーパー/クライヴ・オーウェン/ブライアン・コックス/アドウェール・アキノエ・アグバエ/ダグ・リーマン/ジュリア・スタイルズ●日本公開:2003/01●配給:UPI (評価★★★)







こうした"情"の部分をストレートに表現することをできるだけ避けていたのが作者の特質だったのではないだろうか? 映画自体は悪くは無いけれど(むしろ傑作の部類だと個人的にも思うが)、原作の方がより男っぽい重厚感があります。 


先に映画の脚本として書かれたものを、後にセリフなどを書き加えて小説化したものと後で知って納得しましたが、結果的にはこれはやはり映画の方が面白く(映画の評価★★★★)、ロープウェイを使った映画では№1ではないかと思います("ロープウェイを使った映画"なんてそう矢鱈あるものではないが)。
「ナバロンの要塞」●原題:THE GUNS OF NAVARONE●制作年:1961年●制作国:アメリカ●監督:J・リー・トンプソン●音楽:デミトリー・ティオムキン●原作:アリステア・マクリーン「ナヴァロンの要塞」●時間:157分●出演:グレゴリー・ペック/デビッド・ニーヴン/アンソニー・クイン/スタンリー・ベイカー/アンソニー・クエイル/イレーネ・パパス/ジア・スカラ/ジェームズ・ダーレン/ブライアン・フォーブス/リチャード・ハリス●日本公開:1961/08●配給:コロムビア映画 (評価★★★★)
「荒鷲の要塞」●原題:WHERE EAGLE DARE●制作年:1968年●制作国:イギリス・アメリカ●監
督:ブライアン・G・ハットン●音楽:ロン・グッドウィン●原作:アリステア・マクリーン「荒鷲の要塞」●時間:155分●出演:リチャード・バートン/クリント・イーストウッド/メアリー・ユーア/イングリッド・ピット/マイケル・ホーダーン/パトリック・ワイマーク/ロバート・ ビーティ/アントン・ディフリング/ダーレン・ネスビット/ファーディ・メイン●日本公開:1968/12●配給:MGM (評価★★★★)
『ナヴァロンの要塞』...【1966年単行本〔早川書房(『ナバロンの要塞』)〕・新書版〔ハヤカワ・ポケット・ミステリ〕/1971年単行本[
『荒鷲の要塞』...【1968年単行本[![動く標的【字幕版】 [VHS].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E5%8B%95%E3%81%8F%E6%A8%99%E7%9A%84%E3%80%90%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88%E3%80%91%20%5BVHS%5D.jpg)




1961年に発表されたロス・マクドナルド(1915‐1983)の作品(原題:The Wycherly Woman)。ロス・マクドナルドは村上春樹も愛読したハードボイルド作家で、その主人公リュウ・アーチャーの名を借りて「村上龍」というペンネームにするつもりが"先約"があって諦めたとか(これってホントなの?ネタなの? 群像新人賞を受賞した際の授賞式のスピーチで述べていから、おそらくネタだろう。丸谷才一が、そのスピーチを評して「大物だと思った」と言っていたように思う)。

ロス・マクドナルドの小説に私立探偵リュウ・アーチャーが初めて登場したのは1949年発表の『動く標的』で、続編の『魔のプール』(1950年)と併せて 1958(昭和33)年に東京創元社の世界推理小説全集に第52巻、第53巻として納められています。これ以降、ロス・マクドナルドは19作品もの長編作品(リュー・アーチャー・シリーズ)を継続的に発表しました。『動く標的』は―


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ャーではなく、"リュウ・ハーパー"と改名されています(ポール・ニューマンが「ハスラー」「ハッド」のヒット以来、Hで始まるタイトルにこだわったためだという)。「動く標的」の映画の方は、ロス・マクドナルドの原作にほぼ忠実に作られていますが、雰囲気的にやや軽い感じでしょうか。映画的はこれはこれで面白いとは思うし、「
が)。「動く標的」「新・動く標的」とも、かつてビデオが出ていましたが、絶版となり、その後現時点[2007年]でDVD化されていません(ポール・ニューマン主演ながらB級映画の扱いにされている?)。(その後2011年に「動く標的」がDVD化された。)(更にその後2016年に「新・動く標的」がDVD化された。)![動く標的 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E5%8B%95%E3%81%8F%E6%A8%99%E7%9A%84%20%5BDVD%5D.jpg)
・ニューマン/ローレン・バコール/ジュリー・ハリス/ジャネット・リー/パメラ・ティフィン/ロバート・ワグナー/シェリー・ウィンタース/ロバート・ウェバー●日本公開:1966/07●配給:ワーナー・ブラザーズ(評価:★★★☆)






![ホテル [DVD] .jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB%20%5BDVD%5D%E3%80%80.jpg)
この作品は1966年にリチャード・クワイン監督、
ロッド・テイラー、メルヴィン・ダグラス主演で映画化されていますが、日本ではソフト化されておらず(ビデオにもならなかった)個人的には未見です(その後2012年にDVDが発売された)。
アーサー・ヘイリー原作の最初の映画化作品「ホテル」('66年)はそれほど話題にならなかったようですが、2番目の映画化作品「大空港」('70年)は大ヒットし、70年代前半から中盤にかけてのパニック映画ブームの先駆けとなりました(右:ハヤカワ文庫NVカバー)。

空港長にバート・ランカスター、機長にディーン・マーティン、2人とも家庭がありながら不倫をしていて、空港長の不倫相手の地上勤社員にジーン・セバーグ、機長の不倫相手の客室乗務員にジャクリーン・ビセット、加えてベテラン整備士に
ジョージ・ケネディという豪華な顔ぶれ。所謂グランドホテル方式で、ディーン・マーティン演じる機長は家庭不和に悩み、ジーン・セバーグはサンフランシスコ栄転と機長との関係の狭間に悩み、ジャクリーン・ビセットは妊娠し、この日同僚機長の定期テストのため副操縦士としてトランスグローバル2便乗り合わせたディーン・マーティンは、彼女から出産する決意であること聞かされる―といった具合に、をそれぞれの登場人物にまつわるストーリーが交錯する構成
になっています。第43回アカデミー賞では最多10部門にノミネートされましたが、結局、飛行機にただ乗りする常連"密航者"の老夫人を演じたヘレン・ヘイズが助演女優賞を受賞したのみでした。続編として、小型機と衝突した旅客機を最後はスチュワーデスが操縦する事態となるチャールトン・ヘストン、カレン・ブラック主演の「エアポート'75」('74年/米
)、ハイジャックされた旅客機がバミューダ海域の海底に不時着するジャック・レモン主演の「![エアポートBOX [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88BOX%20%5BDVD%5D.jpg)



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2003年に発表されたダン・ブラウンのベストセラー小説で、2004 (平成16) 年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(海外部門)第1位作品であり、映画化もされたのであらすじを知る人は多いと思いますが、著者自身の説明によると―、「高名なハーヴァード大学の象徴学者が警察によってルーヴル美術館へ呼び出され、ダ・ヴィンチの作品にまつわる暗号めいた象徴を調べるよう依頼されます。その学者は暗号を解読し、史上最大の謎のひとつを解き明かす手がかりを発見するのですが...追われる身となります」ということで、実はその前に、ルーヴル美術館の館長が異様な死体で発見されるという出来事があるのですが...。




「ダ・ヴィンチ・コード」●原題:THE DA VINCI CODE●制作年:2006年●制作国:アメリカ●監督:ロン・ハワード●製作:ブライアン・グレイザー/ジョン・コーリー●脚本:ダン・ブラウン/アキヴァ・ゴールズマン●撮影:サルヴァトーレ・トチノ●音楽:ハンス・ジマー●原作:ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」●時間:150分●出演:トム・ハンクス/オドレイ・トトゥ/ジャン・レノ/イアン・マッケラン/ポール・ベタニー/アルフレッド・モリーナ/ユルゲン・プロホノフ●日本公開:2006/05●配給:ソニー・ピクチャーズ(評価:★★☆)
「ナショナル・トレジャー」●原題:NATIONAL TREASURE●制作年:2004年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・タートルトーブ●製作:ジェリー・ブラッカイマー/ジョン・タート
ルトーブ●脚本:コーマック・ウィバーリー/マリアンヌ・ウィ
バーリー/ジム・カウフ●撮影:キャレブ・デシャネル●音楽:トレヴァー・ラビン●時間:131分●出演:ニコラス・ケイジ/ダイアン・クルーガー/ジャスティン・バーサ/ショーン・ビーン/ハーヴェイ・カイテル/ジョン・ヴォイト/クリストファー・プラマー/オレッグ・タクタロフ/マーク・ペルグリノ/ロン・カナダ●日本公開:2005/03●配給:ブエナ・ビスタ(評価:★★★☆)









英国の富豪が、西アフリカ某国に傭兵部隊を送り込んで独裁政権打倒クーデターを起こし、傀儡政権を樹立しようとするが、その真の目的は鉱物資源の採掘権を得るためである。傭兵隊長のシャロンは、傭兵となる腕ききの男たちを集めるが、シャロンも含め、傭兵となって危険な地に赴く男たちの目的は、多額の報酬だけなのだろうか―。





そして「戦争の犬たち」('80年/米)のクリストファー・ウォーケンも、彼自身は良い、と言うか、頑張ってはいるのですが...。
フォーサイスの原作の映画化作品で、最も成功しているのは、やはりフレッド・ジンネマン監督の「ジャッカルの日」だと思いますが、フランスで'60年代初め、アルジェリア戦争を終結させてしまったシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を企てる戦争推進派のテロリストグループがあったことは事実であり、"ジャッカル"も実在のテロリスト「カルロス」(通称、カルロス・ザ・ジャッカル)がモデルとも言われています。
当時、フランスに特派員として駐在していたフォーサイスの経験がよく反映されている一方、巧みに虚構を織り交ぜていて、こうしたやり方は『戦争の犬たち』に通じるものがありますが、この小説でも、暗殺者はイギリス人"らしい"ということになっていて、エドワード・フォックスは"小説のジャッカル"のイメージにピッタリ(本物のカルロス・ザ・ジャッカルはベネズエラ人)。結局、彼が何者だったのかは、小説でも映画でも明かされませんが、フランス人でなかったことは確かで、フランス式儀礼の仕方を知らなかったがために...。 





「ジャッカルの日」●原題:THE DAY OF THE JACKAL●制作年:1973年●制作国:イギリス/フランス●監督:フレッド・ジンネマン●製作:ジョン・ウォルフ●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:フレデリック・フォーサイス●時間:142分●出演:エドワード・フォックス/エリック・ポーター/ミシェル・ロンスダール/デルフィーヌ・セイリグ/シリル・キューザック/オルガ・ジョルジュ・ピコ/アラン・バデル/デレク・ジャコビ/ミシェル・オールレール/バリー・インガム/ロナルド・ピカップ●日本公開:1973/07●配給:CIC ●最初に観た


池袋テアトルダイア 1956(昭和31)年12月26日池袋東口60階通り「池袋ビル」地下にオープン(地上は「テアトル池袋」)、1981(昭和56)年2月29日閉館、1982(昭和57)年12月テアトル池袋跡地「池袋テアトルホテル」地下に再オープン、2009年8月~2スクリーン。2011(平成23)年5月29日閉館。
フレデリック・フォーサイス
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文学賞を受賞した脚本家ハロルド・ピンターの脚色であり、現代の役者が19世紀を舞台とした『フランス軍中尉の女』という小説の映画化作品を撮影する間、小説と同じような事態が役者達の間で進行するという入れ子構造になっていることからもわかるように(そのため個人的にはやや入り込みにくかった)、映画はほぼハロルド・ピンターのオリジナル作品になっているとも言え、映画は映画として見るべきでしょう。
『コレクター』の方のストーリーは、蝶の採集が趣味の孤独な若い銀行員の男が、賭博で大金を得たのを機に仕事をやめて田舎に一軒家を買い、自分が崇拝的な思慕を寄せていた美術大学に通う女性を誘拐し、地下室にに監禁する―というもの。
しかし、性的略奪が彼の目的でないことを知った女性が彼に抱いたのは「哀れみ」の感情で、彼女の日記からそのことを知った男はかえって混乱する―。
文芸・社会評論家の長山靖生氏は、この作品の主人公について「宮崎勤事件」との類似性を指摘し、共に「女性の正しいつかまえ方」を知らず、実犯行に及んだことで、正しくは"コレクター"とは言えないと書いてましたが、確かにビデオや蝶の「収集」はともかく、この主人公に関して言えば女性はまだ1人しか"集めて"いないわけです。しかし、作品のラストを読めば...。
映画化作品の方も、男が監禁女性を標本のように愛でるのは同じですが、彼女に対する感情がより恋愛感情に近いものとして描かれていて、結婚が目的となっているような感じがして、ちょっと原作と違うのではと...。
因みに、冒頭に挙げた「フランス軍中尉の女」('81年)のメリル・ストリープは、前述の通りこの作品でゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞しましたが、アカデミー賞の主演女優賞はノミネート止まりで、翌年の「ソフィーの選択」('82年)で主演女優賞を、2年連続となるゴールデングローブ賞主演女優賞と併せて受賞しました(ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞、
アラン・J・パクラの「ソフィーの選択」('82年)は、昨年['06年]亡くなったウィリアム・スタイロン(1925-2006)が1979年に発表しベストセラーとなった小説が原作です。駆け出し作家のスティンゴ( ピーター・マクニコル )が、ソフィー(メリル・ストリープ)というポーランド人女性と知り合うのですが、彼女には誰にも語ることの出来ない恐るべき過去があり、それは、彼女の人生を大きく左右する選択であった...という話で、ネ
タバレになりますが、自分の幼い娘と息子のどちらを生きながらえさせるか選択しろとドイツ将校に求められるシーンが壮絶でした。この作品でメリル・ストリープは役作りのためにロシア語訛りのポーランド語、ドイツ語及びポーランド語訛りのある英語を自在に操るなど、作品の背景や役柄に応じてアメリカ各地域のイントネーションを巧みに使い分けており、そのため「訛りの女王」と呼ばれてその才能は高く評価されることになります。「
「コレクター」●原題:THE COLLECTOR●制作年:1965年●制作国:イギリス・アメリカ●監督:ウィリアム・ワイラー●製作:ジョン・コーン/ジャド・キンバーグ●脚本:スタンリー・マン/ジョン・コーン/テリー・サザーン●撮影:ロバート・サーティース/ロバート・クラスカー●音楽:モーリス・ジャール●原作:ジョン・ファウルズ●時間:119分●出演:テレンス・スタンプ/サマンサ・エッガー/モナ・ウォッシュボーン/モーリス・ダリモア●日本公開:1965/08●配給:コロムビア映画(評価:★★★☆)
「フランス軍中尉の女」●原題:THE FRENCH LIEUTENANT'S WOMAN●制作年:1981年●制作国:イギリス●監督:カレル・ライス●製作:レオン・クロア ●脚本:ハロルド・ピンター●撮影:フレディ・フランシス●音楽:カール・デイヴィス●原作:ジョン・ファウルズ●時間:123分●出演:メリル・ストリープ/ジェレミー・アイアンズ/レオ・マッカーン/リンジー・バクスター/ヒルトン・マクレー●日本公開:1982/02●配給:ユナイテッド・アーチスツ●最初に観た場所:六本木・俳優座シネマテン(82-05-06)●2回目:三鷹文化(82-11-06)(評価:★★☆)●併映(2回目):「情事」(ミケランジェロ・アントニオーニ)
「ソフィーの選択」●原題:SOPHIE'S CHOICE●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督・脚本:アラン・J・パクラ●製作:キース・バリッシュ/アラン・J・パクラ●撮影:ネストール・アルメンドロス●音楽:マーヴィン・ハムリッシュ●原作:ウィリアム・スタイロン●時間:150分●出演:メリル・ストリープ/ケヴィン・クライン/ピーター・マクニコル/リタ・カリン/スティーヴン・D・ニューマン/グレタ・ターケン/ジョシュ・モステル/ロビン・バートレット/ギュンター・マリア・ハルマー/(ナレーター)ジョセフ・ソマー●日


二子東急 1957年9月30日 開館(「二子玉川園」(1985年3月閉園)そば) 1991(平成3)年1月15日閉館
テレンス・スタンプ(英・俳優)
「スーパーマン」●原題:SUPERMAN●制作年:1978年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:リチャード・ドナー●製作:ピエール・スペングラー●脚本:マリオ・プーゾ/デイヴィッド・ニューマン/レスリー・ニューマン/ロバート・ベントン/トム・マンキウィッツー●撮影:ジェフリー・アンスワース●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:144分(劇場公開版)/152分(ディレクターズ・カット版)●出演:クリストファー・リーヴ/マーゴット・キダー/マーロン・ブランド/ジーン・ハックマン/ネッド・ビーティ/ヴァレリー・ペリン/
マーク・マクルーア/ジャッキー・クーパー/グレン・フォード/フィリス・サクスター/スザンナ・ヨーク/トレヴァー・ハワード/マリア・シェル/テレンス・スタンプ/サラ・ダグラス/ジャック・オハローラン/ジェフ・イースト/ハリー・アンドリュース/ダイアン・シェリー/ウェストン・ギャビン/ラリー・ハグマン/ポール・テュルペ/ジョージ・ハリス2世●日本公開:1979/06●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:池袋・文芸坐 (82-12-29)(評価:★★★)●併映:「スーパーマンⅡ」(リチャード・レスター)
「スーパーマンⅡ/冒険篇」●原題:SUPERMANⅡ●制作年:1980年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:リチャード・レスター●製作:ピエール・スペングラー●脚本:マリオ・プーゾ/デイヴィッド・ニューマン/レスリー・ニューマン/トム・マンキウィッツー●撮影:ジェフリー・アンスワース●音楽:ケン・ソーン(テーマ曲:ジョン・ウィリアムズ)●時間:127分●出演:クリストファー・リーヴ/マーゴット・キダー/ジーン・ハックマン/ネッド・ビーティ/テレンス・スタンプ/ヴァレリー・ペリン/スザンナ・ヨーク/
ジャッキー・クーパー/マーク・マクルーア/サラ・ダグラス/ジャック・オハローラン/E・G・マーシャル/クリフトン・ジェームズ●日本公開:1981/06●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:池袋・文芸坐 (82-12-29)(評価:★★★)●併映:「スーパーマン」(リチャード・ドナー)



'90年にシドニー・ポラック製作、アラン・J・パクラ監督で映画化され、検察官を演じたハリソン・フォードは、女性に助けられるちょっと情けない男って感じで、「インディ・ジョーンズ」シリーズからのイメージ・チェンジ作にもなりました。既に「
作品以降、「
多くなるハリソン・フォードですが、この作品ではラウル・ジュリアほか女優陣の方が元気がいいです。
'91年には『推定無罪』の続編とも言える『立証責任』(The Burden of Proof,1990)がTV映画化(ミニ・シリーズ)されていて(日本でも'93年にビデオ販売された)、『推定無罪』の主人公ラスティ・サビッチの弁護をつとめた弁護士サンディ・スターンが原作でも映画でも前作からのスピンオフの形をとって主人公になっています。シカゴへの2日間の出張からスターンが帰宅すると妻のクララがガレージの車の中で自殺していて、31年間も連れ添った愛妻がなぜ自殺したのか、さっぱり理由がわからないスターンは、妻宛の病院からの請求書を手がかりにクララの死の真相を探り始めるというもの。おそらく原作は面白いのだろうけれど、ドラマは162分の長尺ながらもやや物足りなかったでしょうか。主人公スターンは56歳で、演じたのはヘクター・エリゾンド(「
「推定無罪」●原題:PRESUMED INNOCENT●制作年:1990年●制作国:アメリカ●製作:
「立証責任」●原題:THE BURDEN OF PROOF●制作年:1991年●制作国:アメリカ●監督:マイク・ローブ●製作:ジョン・ペリン・フリン●脚本:ジョン・ゲイ●撮影:キース・ヴァン・オーストラム●音楽:クレイグ・セイファン●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作: スコット・トゥロー「立証責任」●時間:162分●出演:ヘクター・エリゾンド/ブライアン・デネヒー/メル・ハリス/エイドリアン・バーボー/ステファニー・パワーズ/アン・ボビー/ヴィクトリア・プリンシパル/ゲイル・ストリックランド/ジェフリー・タンバー/コンチータ・トメイ●VHS日本発売:1993/04●販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ (評価★★★) 「


1939年発表の『大いなる眠り』(The Big Sleep/'56年・東京創元社)は、レイモンド・チャンドラー(1888‐1959)のハードボイルド小説の中では『さらば愛しき女よ』(Farewell, My Lovely '40年発表/56年・早川書房)、『長いお別れ』(The Long Goodbye '54年発表/'58年・早川書房)と並んで最も人気が高いのではないでしょうか。



原作『大いなる眠り』の中で、大富豪の娘がフィリップ・マーロウに言う「貴方って随分背が高いのね」が、映画のローレン・バコールのセリフでは「貴方って随分背が低いのね」にアレンジされていて、ハンフリー・ボガートの答えは原作のフィリップ・マーロウと同じく「それがどうした」となっています。







この作品は「ザ・ファーム/法律事務所」('93年/米)としてシドニー・ポラック監督、トム・クルーズ主演で映画化され、グリシャム作品は『ペリカン文書』(The Pelican Brief '92年発表)、『依頼人』(The Client '93年発表)、そして処女作の『評決のとき』(A Time to Kill '89年発表)も映画になりました。
アラン・J・パクラ監督の「ペリカン文書」('93年/米)は、ジュリア・ロバーツ演じる法学部の学生とデンゼル・ワシントン演じるワシントン・ヘラルド紙の敏腕記者という取り合わせでありながら、今一つ、印象が弱かったような感じもしました(この作品はデンゼル・ワシントンの出世作の1つとなるが、以来、デンゼル・ワシントンが出てくると、もう予定調和が見えてしまうような...)。
ジョエル・シュマッカー監督の「依頼人」('94年/米)の方は、スーザン・サランドンが夫の裏切りにより家族を失うという傷を抱えた中年女性弁護士役で、自分が1ドルで依頼人を引き受けた子供を守るため、トミー・リー・ジョーンズ演じる野心家の検事ロイ・フォルトリッグと対決するもので、女性弁護士のアルコール中毒からの再起という点では、バリー・リード原作でポール・ニューマンが同じくアル中からの復活を遂げる弁護士を演じた「
これも、2時間に収めるために原作を相当改変していますが、芸達者スーザン・サランドンの演技が効いていて、「

「ザ・ファーム/法律事務所」●原題:THE FIRM●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ポラック●製作:シドニー・ポラック/ジョン・デイヴィス/スコット・ルーディン●脚本:デヴィッド・レイフィール/ロバート・タウン●撮影:ジョン・シール●音楽:デーブ・グルーシン●原作: ジョン・グリシャム 「法律事務所」●時間:155分●出演:トム・クルーズ/ジーン・ハックマン/エド・ハリス/ジーン・トリプルホーン/ジョン・ビール/ウィルフォード・ブリム




「ペリカン文書」●原題:THE PELICAN BRIEF●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督・脚本:アラン・J・パクラ●製作:ピーター・ヤン・ブルッジ/アラン・J・パクラ●撮影:スティーヴン・ゴールドブラット●音楽:ジェームズ・ホーナー●原作:ジョン・グリシャム●時間:141分●出演:ジュリア・ロバーツ/デンゼル・ワシントン/サム・シェパード/ジョン・ハード/トニー・ゴールドウィン/ジョン・リスゴー/ヒューム・クローニン●日本公開:1994/04●配給:ワーナー・ブラザーズ(評価★★☆)





Tom Clancy
1984年に発表されたトム・クランシー(Tom Clancy)のデビュー作で、'90年の映画化作品でも御馴染みですが、スケールの大きい海洋軍事小説であり、また、米ソ冷戦の軍事的背景や、原潜レッド・オクトーバー号のラミウス艦長を初めとする人物の描写などがしっかりしているのではないかと思います。
従って、この映画に対する個人的評価はあまり高くはないのですが、スモークで本当に海の中のように見せる技術的な工夫だけは評価できます。







1990年に発表されたマイクル・クライトン(Michael Crichton、1942-2008)の『ジュラシック・パーク』(Jurassic Park)は、映画('93年)で見るより先に原作を読みましたが、原作の方が面白かったと思います。

スティーヴン・スピルバーグが監督するということで、大いに期待していたのですが...。
スピルバーグ監督には、TV版の「
「激突!」は、デニス・ウィーヴァー(TVシリーズ「警部マクロード」(1970-77、日本放映1974(テレビ朝日)、1975-77(NHK)に主演)が演じる一般ドラーバーが、ハイウェイで前方の大型トラックに対してパッシングをしただけで、その大型トラックにずっと追い回されるという極めて単純なストーリーにも関わらず、追ってくる運転手の顔が最後まで見えないため、トッラクが人格を持っているように見えるのが非常に怖かったのです。

「激突!」における対象がなかなか見えてこない恐怖(不安)は、「JAWS/ジョーズ」('75年)でも効果的に生かされていたように思います。
「ジョーズ」は人間ドラマとしてもよく出来ているように思いました。但し、ピーター・ベンチュリー(1946-2006)の原作自体はたいしたことはないと思われ、この作家の映画「ザ・ディープ」('77年)の原作『ザ・ディープ』も読みましたが、通俗作家であるという印象を受けました(英語原著で読んだのだが多分にポルノグラフィ調。だから英語で読めたかもしれないが)。
その『ザ・ディープ』はピーター・イェーツ監督(「
さらに、ピーター・ベンチュリー原作の映像化作品では、「ビースト」('96年/米)という4時間(実質180分)のTVムービーがあり、それを113分にした短縮版が1996年に「ビースト/巨大イカの大逆襲」というタイトルで日曜洋画劇場で放映され、さらに1999年に「ザ・ビースト/巨大イカの逆襲」というタイトルでビデオ化されましたが、タイトルから分かるようにイカが人間を襲う生き物パニック映画です(淀川長治は「タコのギャング映画(タコが襲ってくる映画)はあったんですねぇ(「テンタクルズ」('77年/伊・米)のことか)、でもイカは初めてなんですね」と言っていたが、セシル・B・デミルが製作・監督、日本でも公開された「絶海の嵐」('42年/米)には全長18mの大イカが登場したりするなどしている(因み
に、北欧に伝わる「海の怪物」クラーケンの基になった生き物は大ダコ説とダイオウイカ説が有力なようだ)。おそらくメインにイカを据えたのは初めてということだろう。淀川長治も「イカが主役になったのは初めて」と言い換えている)。「ジョーズ」におけるサメをイカに置き換えたような感じですが、短縮版を観てもかったるい印象でした。そもそも、「母イカ」が人間に捕らえられた「子イカ」を助けに来る(死骸を取り返しに来る)という、頭足類であるイカに人間並みの母性愛を設定したところに無理がありました。
更に、"小出し感"ということで言えば、「未知との遭遇」('77年)などはその最たるもので、最後フタを開けてみれば、大掛かりな割には他愛も無い結末という気もしなくもありませんが、やはり、途中の"引っ張り方"は巧みだなあと(因みに、この映画でUFOとコンタクト出来る人を"選民"のように描いているが、それがスピルバーグがユダヤ系であることと結びつくのかどうかは自分には分からない)。
「未知との遭遇」の"小出し感"は「E.T.」('82年)にも引き継がれていたように思います。E.T.がまず兄妹の妹に認知され、次に兄に、そして友人達に、更に家族にその存在を認知され、最後は国家が出向いて...と段階を踏んでいました。脚本のメリッサ・マティソンはハリソン・フォードの恋人で、「レイダース」のロケで知り合ったスピルバーグ監督から原案を話され、感動して脚本を引き受けたそうです。本作品のテーマはスピルバーグ自らが経験した「両親の離婚」であり、SFは表面的な要素に過ぎないと監督自身が述べています(こうなってくると、「未知との遭遇」もユダヤ系としての彼の出自と関係してくるのか?)。
このマイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』の原作を読んで、この"小出し感"は、スピルバーグが映画化するのに相応しい作品だと思いました。ところが、実際に映画化された「ジュラシック・パーク」('93年)を観てみると、原作と違ってあまりにもあっさりと恐竜たちにお目にかかれたため拍子抜けしました。
CG(コンピュータ・グラフィックス)の魅力に抗しきれなかったスピルバーグ、監督の意向を受け容れざるを得なかったマイケル・クライトンといったところでしょうか(マイケル・クライトンも脚本に参加しているのだが)。これではサスペンス気分も何もあったものではないと...。「E.T.」の方がまだ、着ぐるみなどを使って"手作り感"があって、それが良かったのではないかなあ。
(●2025年、「ジュラシック・パーク」のシリーズ全体の7作目、「ジュラシック・ワールド」シリーズの4作目となる「ジュラシック・ワールド/復活の大地」('25年)が公開された。前作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」('22年)から5年後を舞台に、主演のスカーレット・ヨハンソンを筆頭に、新たなアンサンブル・キャストが出演。人類を救う新薬開発のために陸、海、空
の3大恐竜のDNAを採取する極秘任務を任された秘密工作の専門家ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)。彼女は探査チームと共に、いまだ危険な恐竜が数多く生息する禁断の島へと足を踏み入れる―。「週刊文春」の映画評で女優
の洞口依子氏が、「楽しかったけど何に乗ったか忘れてしまうアトラクションみたい」と書いていたが、まさにそんな感じ。スリルはあるけれど、次に何が起こるか分かってしまうので、サスペンスはない。意図的に原点回帰していることが窺え、「お約束」感があるのはそのことも影響しているのだろう。スカーレット・ヨハンソンはまずまず頑張っていた。「
マイクル・クライトン自身は、小説だけでなく、直接映画などの脚本や監督も手掛けていて、映画では「大列車強盗」('79年/米)などの監督・脚本作品があり、また、テレビドラマシリーズ「ER緊急救命室」の脚本、製作総指揮に携わったことでも知られています(彼自身ハーバード・メディカルスクールの出身)。
「ジュラシック・パーク」●原題:JURASSIC PARK●制作年:1993年●制
作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●脚本:マイケル・クライトンほか●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:マイケル・クライトン●時間:127分●出演:サム・ニール/ローラ・ダーン/ジェフ・ゴールドブラム/リチャー





「ジュラシック・ワールド/復活の大地」●原題:JURASSIC WORLD: REBIRTH●制作年:2025 年●制作国:アメリカ●監督:ギャレス・エドワーズ●製作:フランク・マーシャル/パトリック・ク
ローリー●脚本:デヴィッド・コープ●撮影:ジョン・マシソン●音楽:アレクサンドル・デスプラ●時間:134分●出演:スカーレット・ヨハンソン/マハーシャラ・アリ/ジョナサン・ベイリー/ルパート・フレンド/マヌエル・ガルシア=ルルフォ/ルナ・ブレイズ/デヴィッド・アイアコノ/エド・スクライン●日本公開:2025/08●配給:東宝東和●最初に観た場所:TOHOシネマズ西新井(25-08-13)(評価:★★★) font>
「激突!」●原題:DUEL●制作年:1971年●制作国:アメリカ●監督:ス
ティーヴン・スピルバーグ●製作:ジョージ・エクスタイン●脚本:リチャード マシスン●撮影:ジャック・A・マータ ●音楽:ビリー・ゴールデンバーグ/●原作:リチャード マシスン●時間:90分●出演:デニス・ウィーヴァー/


「JAWS/ジョーズ」●原題:JAWS●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:デイヴィッド・ブラウン/リチャード・D・ザナック●脚本:
ピーター・ベンチュリー/カール・ゴッドリーブ●撮影:ビル・バトラー●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:ピーター・ベンチュリー●時間:124分●出演:ロイ・シャイダー/ロバート・ショウ/リチャード・ドレイファス/カール・ゴットリーブ/マーレイ・ハミルトン/ジェフリー・クレイマー/スーザン・バックリーニ/ジョナサン・フィレイ/クリス・レベロ/ジェイ・メロ●日本公開:1975/12●配給:CIC●最初に観た場


![ザ・ディープ [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%20%5BDVD%5D.jpg)

●製作:ピーター・グーバー●脚本:ピーター・ベンチリー/トレイシー・キーナン・ウィン●撮影:クリストファー・チャリス●音楽:ジョン・バリー(主題歌:ドナ・サマー「Down Deep Inside」)●原作:ピーター・ベンチュリー●時間:123分●出演:ロバート・ショウ/ジャクリーン・ビセット/ニック・ノルティ/ルイス・ゴセット・ジュニアイーライ・ウォラック/ロバート・テシア/ディック・アンソニー・ウィリアムズ●日本公開:1977/07●配給: コロムビア映画(評価★★☆)![ザ・ビースト 完全版 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%20%E5%AE%8C%E5%85%A8%E7%89%88%20%5BDVD%5D.jpg)
ワイト/クレイグ・D・リード●撮影:ジェフ・バートン●音楽:ドン・デイヴィス●原作:ピーター・ベンチュリー「ビースト」●時間:133分●出演:ウィリアム・ピーターセン/ラリー・ドレイク/カレン・サイラス/チャールズ・マーティン・スミス/ロナルド・ガットマン/ミッシー・クライダー/スターリング・メイサー・Jr/デニス・アーント/ブルース・アレキサンダー/アンジー・ミリケン/マーレイ・バートレット●テレビ映画:1996/12 テレビ朝日(評価★★☆)

「未知との遭遇 〈特別編〉」●原題:THE SPECIAL EDITION CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND●制作年:1980年 (オリジナル1977年)
●制作国:アメリカ●監督・脚本:スティーヴン・スピルバーグ●製作:ジュリア・フィリップス/マイケル・フィリップス●撮影:ヴィルモス・ジグモンド●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:133分●出演:リチャード・ドレイファス/












●
●ピーター・ベンチュリー(1940-2006/65歳没)『ジョーズ』『ザ・ディープ』『アイランド 』『ビースト』
●リチャード マシスン(1926-2013/87歳没)『吸血鬼(アイ・アム・レジェンド)』『激突!』
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Clive Cussler
アメリカが秘密裡に進める超強力ミサイル防衛システムの計画において、どうしても必要だとされる希少鉱物ビザニウムが、かつてのロシアのノバスゼムリヤで採掘された後、1912年に沈没したタイタニック号に積まれていたらしいということがわかり、タイタニック号の引き揚げ計画の実行者として、NUMA(国立海中海洋機関)の空軍少佐ダーク・ピットがその命を受けるが、当然のことながら情報を察知した敵国「ソ連」が邪魔立てに入る―。
映画化作品「レイズ・ザ・タイタニック」('80年/米・英)をテレビで見ましたが、ダーク・ピット役のリチャード・ジョーダンは原作の雰囲気を全く醸しておらず、映画そのものも、約15億円かけて漁船を改造し、それを使って撮影したというタイタニックの浮上シーンぐらいしか見せ場のないシロモノでした(そのシーンも、ジェームズ・キャメロン監督が「タイタニック」('97年/米)を撮ってしまったので、それと比べると霞む)。 
・リーの土左衛門姿だけが印象に残った作品でした。「レイズ・ザ・タイタニック」へのこの監督の起用は、そもそも"「引き揚げ」経験"のみに基づく抜擢?という人選自体が安易だったのかも。
にやっと11作目の『死のサハラを脱出せよ』の映画化を許可しました(「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」('05年/米))。しかし、これも製作側が彼の了承なしに脚本を大幅に変更する契約違反を犯し「物語を台無しにした」として、クライブ・カッスラーが製作側を訴える事態となり、裁判所は今年['07年]5月に製作者側にクライブ・カッスラーに500万ドルを支払うよう命じています。
「レイズ・ザ・タイタニック」●原題:RAISE THE TITANIC!●制作年:1980年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:ジェリー・ジェームソン●製作:マーティン・スターガー/ウィリアム・フライ●脚本:アダム・ケネディ/エリック・ヒューズ●撮影:マシュー・F・レオネッティ●音楽:ジョン・バリー●原作:クライブ・カッスラー●時間:115分●出演:リチャード・ジョーダン/ジェイソン・ロバーズ/アン・アーチャー/アレック・ギネス/デイヴィッド・セルビー/J・D・キャノン/ボー・ブランディン/M・エメット・ウォルシュ/ノーマン・バートールド/エリヤ・バスキン/ダーク・ブロッカー/ロバート・ブロイルズ/ポール・カー/マイケル・C・グウィン/ハーヴェイ・ルイス●日本公開:1980/12●配給:東宝東和 (評価:★☆)

「エアポート'77/バミューダからの脱出」●原題:AIRPORT'77●制作年:1977年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:ジェリー・ジェームソン●製作:ウィリアム・フライ●脚本:デビッド・スペクター●撮影:フィリップ・ラスロップ●音楽:ジョン・カカバス●
原作:アーサー・ヘイリー●時間:113分
●出演:ジャック・レモン/リー・グラント/ブレンダ・バッカロ/ジョセフ・コットン/オリビア・デ・ハビランド/
ジェームズ・スチュアート/ダーレン・マッギャビン/クリストファー・リー/ジョージ・ケネディ/パメラ・ベルウッド/キャスリーン・クインラン/ロバート・フォックスワース/ ロバート・フックス/モンテ・マーカム/ギル・ジェラード/ジェームズ・ブース/モニカ・ルイス/メイディー・ノーマン/アーレン・ゴロンカ/トム・サリヴァン●日本公開:1977/04●配給:ユニバーサル映画●最初に観
『タイタニックを引き揚げろ』(Raise The Titanic)






『百万ドルをとり返せ!』も『ケインとアベル』も共にテレビ映画(ドラマ)化されていてどちらも観ましたが、とりわけドラマ版「ケインとアベル」は力作で(テレビ東京「午後のロードショー」で'97年9月8日から3日間にわたって放送された)、後に「ジュラシック・パーク」('93年/米)に出演するサム・ニールがケインを好演し、こちらも後にジョニー・デップ主演の「ニック・オブ・タイム」('95年/米)などハリウッド映画に出ることになるピーター・ストラウスが演じたアベルも良かったです。通しで5時間を超える大作ですが、原作同様、最後まで飽きさせませんでした(今でもたまに民放やCS放送などで放映されることがあるが、日本語版ビデオは絶版に)。ラストの2人が偶然道で出会うシーンが、原作の情感を損なわずに描かれていて、そこに至るまでの作りこみも原作からの期待を裏切らないものでした。 



