【072】 ○ 安西 愈 『人事の法律常識 〔第5版〕』 (1999/09 日経文庫) ★★★★

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労働法の基本知識を実践に即して解説。入門書としても復習用としても。

人事の法律常識.jpg  『人事の法律常識 (日経文庫) 〔第6版〕』日経文庫 安西 愈(あんざい まさる).jpg 安西 愈(まさる)弁護士

 人事担当者が知っておくべき労働法の基本知識を、この分野の第一人者弁護士である著者が実践に即して解説した新書本で、新任の人事担当者などが通勤時間帯などで読むにはちょうど良い本かと思います。

 最初に3章を割いて、労働契約と就業規則の関係や、労働者が労働契約上負う義務、就業規則の制定・変更とその効力などについて説明したうえで、続く各論において、人事全般、賃金、勤務時間管理、休暇管理、退職・解雇・懲戒などの具体的な法律実務を解説しています。

 人事担当者に労働法の知識は不可欠ですが、本書序章にもあるように、労働法は法律、判例、社会通念、企業内規範などの上に立つものであり、法律だけでなく判例の動向などにも常々注意を払っておく必要があることがわかります。

 本書は『人事マンの法律常識』('81年/日経文庫)を法改正に沿って改訂した第5版('99年刊行)で、当時の均等法や育児・介護休業法の改正がひとつ焦点になっています(それで、タイトルも「マン」を削った)。

 '04年に「第6版」が刊行され、章立ては前版と同じですが、労働基準法の平成15年改正(有期労働契約、解雇、裁量労働制に関する改正)などが反映されたものになっています。

人事の法律常識 〈第7版〉.jpg 新任担当者向けと最初に書きましたが、労働慣行と就業規則の関係や、労働者の義務について触れられた部分は、普段あまり意識されないものの重要な事柄であり、就業規則の服務規律などを検討するうえで、ここに書かれていることを前提として理解しておくと役立つのではと思われました。
 全般に労働契約に関してのしっかりした見識を踏まえての解説がされているため、個人的にときどき復習的に読み直したりしています。(その後、第7版が刊行され、一部が、労働契約法、改正パート労働法などに対応した内容に改められている。)

改訂第7版                                                        
 【2004年改訂6版・2008年改訂7版・2010年改訂8版[日経文庫]】


安西 愈 (1938年香川県に生まれ)

1958年 香川県立高松商業高校卒、香川労働基準局採用(国家公務員初級)
1960年 国家公務員中級職合格
1962年 中央大学法学部法律学科卒業(通信課程)
1964年 労働基準監督官試験合格、労働省労働基準局へ
1965年 国家公務員試験上級職(甲種・法律)合格
1968年 司法試験第二次試験合格
1969年 労働省退職、司法修習生
1971年 弁護士登録
第一東京弁護士会副会長、司法研修所(民事弁護)教官、労働省科学顧問、日弁連研修委員長、日弁連常務理事、中央大学法科大学院客員教授などを経て現職。現在、弁護士(安西法律事務所)、東京地方最低賃金審議会会長、第一東京弁護士会労働法制委員長(2010年6月現在)
                                    
《読書MEMO》
●第2章「労働契約上の労働者の義務」の内容
労働義務とは/業務命令に従う義務/職場秩序を守る義務/職務専念義務/信頼関係を損なわない忠実義務/誠実な業務遂行義務/職場の人間関係配慮(セクハラ禁止)義務/業務の促進を図る義務/会社の名誉・信用を守る義務/いわゆる内部告発と名誉・信用毀損/兼業禁止義務/企業秘密を守る義務/協力義務/使用者の配慮義務

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