【073】 ○ 日経連労働法研究会 『変革期の就業規則―実務からみた問題点と規定例』 (2000/03 日本経団連出版) ★★★★

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就業規則の作成実務をしている人には大いに役立つ。

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変革期の就業規則―実務からみた問題点と規定例

 就業規則を作成するうえで労働法に精通しているにこしたことはないですが、労働法に詳しいからすぐにでも就業規則が作れるというものでもないかも知れません。  

 本書は就業規則作成の実務に沿って、「総則」「人事」「服務規律」「労働時間」「休暇」「賃金」「退職金(退職年金)」「安全衛生・災害補償」「懲戒」「教育・研修」の順に10章にわたって、基本的な考え方、問題点、焦点、裁判例、行政解釈、参考条文などをあげ、具体的に解説しています。

 特に条文例が豊富でリアリティがありますが、それもそのはずで、日経連(当時)が加入企業に協力要請して集めた就業規則の中から実際の条文を抜粋し、「検討を要する実例」「参考となる実例」として評価および論拠解説をしています(個人的にこの作業に協力したが、提供したものの大部分が「参考となる実例」として紹介されていたので、少しホッとした。このような紹介のされ方をするとは、事前に聞いてなかったが、予め言ってしまうと事例が集まらないのだろうなあ)。

 この冊子(大判286ページ)は、コンサルティングファームの人事コンサルタントなどの間で重宝がられていると聞いたことがありますが、就業規則の作成実務をしている人には、内部者であろうと外部コンサルであろうと、大いに役に立つのではないかと思います。

 ただし、'98年刊の改訂版ではあるものの、'00年1月までの法改正・行政解釈にしか対応していないので、今後の改版が望まれます(常に労働法制が変わる中で、そのタイミングはとりづらいだろうとは思いますが)。

《読書MEMO》
●検討を要する例
「この規則に定めのない事項については。労働基準法、その他の法令に定めるところによる」
(中略)これは労基法で規定されており、重ねて規則で既定することは実益が少ないであろう。(17p)
●「退職届を出した社員は会社の承認があるまではその職務に従事しなければなならない」(△)→「ただし、退職願提出後2週間を経過した場合はその限りではない」(◎)(58p)
●年俸制対象者が年度途中に退職した場合の年俸全額の請求権→月俸:毎月の賃金支払日に当該期間の請求権発生、賞与:就業規則による(197p)

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