【074】 ◎ 石井 妙子 『「問題社員」対応の法律実務―トラブル防止の労働法』 (2000/12 日本経団連出版) ★★★★★

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問題社員対応について書かれた本の嚆矢となった、人事・労務の実務担当者向けの良書。

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「問題社員」対応の法律実務』『続「問題社員」対応の法律実務』('06年)

business3.jpg 法律家が「問題社員」という的の絞り方で書いたものとしては嚆矢となったもので、もちろん今でもその内容は古くありません。

 Q&A形式ですが、最初に出てくる"茶髪"社員への対応などは、当時、法律家が書いたものとしては新鮮(?)で(著者は労働法・労務問題のエキスパート弁護士)、ビジネス書のベストセラーランキングで上位に入っていたかと思います。判例の取り上げ方が妥当で、説明も一般向けにわかりやすく書かれているのが良かったと思います。

 弁解の多い始末書は、あえて無理やり書き直させたりしないでおくと、逆に裁判のときには会社側に有利になることがあるなど、企業の実務担当者向けの細やかなアドバイスが多く含まれているのも特長です。

 '06年7月に同じ著者による本書の続編となる『続「問題社員」対応の法律実務-いざというときの対処法』(日本経団連出版)が刊行されています。

《読書MEMO》
●高知放送事件...アナウンサーの2度の遅刻に対する解雇の解雇権濫用(10p)
●失踪社員の退職処理→簡易裁判所への「公示送達」(16p)
●医師に会って話を聞きたい→患者本人(休職中の社員)の同意必要(42p)
●弁解の多い始末書を書き直しさせない→裁判の時は逆に有利になることも(47p)
●給与・退職金は4分の3が差し押さえ禁止、給与は21万円までは残す(70p)
●「バス会社」のバス運転手の休日マイカー飲酒運転事故→解雇有効(92p) 
●「ミッション系短大」の女性講師が未婚の母に→解雇有効(93p)
●産休だと無給なので年休を請求することは自由(99p)
●急病の欠勤を事後に年休に振り返ることを認めるかは会社が決める(113p)
●社宅明け渡しに借地借家法の適用はなく適度の猶予を置けばよい(126p)
●海外留学(本人希望)直後の退職には、特約付金銭消費貸借契約で(136p)
●反省の意を強調するための退職届→「心理留保」により無効(182p)

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