【115】 △ ジェフリー・A・クレイムズ (貫井佳子:訳) 『ビジネスを変えた7人の知恵者 (2003/12 角川書店) ★★★

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有名経営者の本などに読み進むには手頃な手引きになるかも。

ビジネスを変えた7人の知恵者.jpg  『ビジネスを変えた7人の知恵者』 (2003/12 角川書店)  What the Best Ceos Know.jpg "What the Best CEOs Know: 7 Exceptional Leaders And Their Lessons for Transforming Any Business"

 経済・経営ジャーナリストである著者によると、米国は'90年代終わりから'00年にかけてエンロン事件などの企業不祥事により、大物経営者というのが何か胡散臭いイメージで見られるようになり、あのジャック・ウェルチに対してさえも、不倫騒動や法外な退職金に対する批判があるとのことです。
 しかし、だからと言って、かつて企業の危機を乗り越えた天才的な経営者たちが残した変革の偉業まで否定するのは間違いで、彼らがどのように考え、ピンチをチャンスに変えたのか、その戦略的思考を今一度検証し整理してそこから学ぶというのが、本書の趣旨です(原題は"What the Best CEOs Know")。

 取り上げられている7人のCEO(本書出版時には、ほとんどがその職を辞している)は、
 1.デルコンピュータのマイケル・デル
 2.GEのジャック・ウェルチ
 3.IBMのルー・ガースナー
 4.インテルのアンディ・グローブ
 5.マイクロソフトのビル・ゲイツ
 6.サウスウエスト航空のハーブ・ケレハー
 7.ウォルマートのサム・ウォルトン
 ですが、例えばウェルチの場合は、真の学習する企業をつくることを目指し、そのためにどうしたかというように、それぞれの戦略的思考の特長的部分に的を絞って書かれています。

 マイケル・デルもルー・ガースナーも、企業文化を顧客志向に変えたことが大きな特徴であり、こうして見ると当然のことながら、彼らの戦略的思考には重なり合う部分も多い。
 そうした中で、サウスウエスト航空のハーブ・ケレハーの「第一の顧客として社員を厚遇する」というのは、すごく際立っているように思えました。

 全体として教科書のような構成で、各章に設問があり、こんな問題に直面したとき彼ならどうするかと問うていますが、それこそ正にそのCEOの直面した問題なので、本文を読んだ後ではある程度見えてしまう...(自社のことに引き付けて考えて欲しいという著者の意図という程度に見てよいのでは)。

 時間が無い人には便利な"要約本"ですが、1人当たりの紙数が限られているので"要約"され過ぎてしまっている感じもして、物足りなさがあります。
 ただ、今までその経営手腕の中身を知らなかった有名経営者の本などに読み進むには、手頃な手引きになるかも知れません。

《読書MEMO》
●卓越した7人のCEOの共通項(54p)
1.「外向き」志向の持ち主である
2.「伝道師の資質」をもつ
3.企業文化の重要性を認識している
4.次世代の商品、事業手法の開発や導入に取り組んでいる
5.すぐれたアイデアは誰が考えたものでも積極的に取り入れる
6.経営術の世界に新しい知見をもたらしている

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This page contains a single entry by wada published on 2006年8月16日 16:23.

【114】 ○ ピーター・F・ドラッカー (上田惇生:訳) 『経営の哲学― ドラッカー名言集』 (2003/07 ダイヤモンド社) ★★★★ was the previous entry in this blog.

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