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時代に合わせてかなりリニューアルしてきた。「詳解」と交互に改訂か。

『労働法〔第10版〕』['24年]『詳解 労働法 第3版』['23年]
所謂「水町労働法」の第10版。2007年の初版、2008年の第2版以降2年ごとに改版していて、2022年の第9版からそれまで紺一色だった表紙がデザイン化され、今回の第10版でさらにオシャレになった! まあ、それはいいいとして、今回は内容もかなりリニューアルしています。
「はしがき」によれば、事例を重要判例・裁判例との連結を意識して大幅に見直し、構成や項目も時代に遭った変更を加えたとのこと、例えば、LGBTQ、テレワーク、兼業・副業、フリーランスといった項目が新たに設けられています。
また、これまでの改訂と同様、この2年間の法改正(2022年の職業安定法改正、2023年の労働基準法施行規則改正、フリーランス保護制度制定、LGBT理解増進法制定など)や判例・裁判例の動き(山形県・県労委(国立大学法人山形大学)事件判決、国・人事院(経産省職員)事件判決、名古屋自動車学校(再雇用)事件判決など)が反映されています。
全体を通して、判例の立場を重視し、条件や背景の違いによって判決が違ってくる場合があることを、重要判例や最新の裁判例を理論的に分析しながら解説しています。さらには、時代の動向を踏まえつつ、著者なりの見解も述べられています。そうした著者なりの見解は、「考察」といった形で述べられていることもありますが、文中にある「コラム」欄においてもかなり言及されていて、できれば「コラム」欄は読み飛ばさない方がよいかと思います。
教科書であり、ただし、内容レベル的には専門書でもありますが、一人の著者によって書かれたものであることもあり、全体の統一感があって、内容の硬さのわりには読みやすいです。少しずつ読み進めば、初学者であっても最後まで読み通せるものであり、多忙な企業内実務者についても同じことが言えるかと思います。
本書が改訂された前年、同著者の『詳解 労働法』(東京大学出版会)も、2019年の初版、2021年の第2版に続いて第3版が刊行されていて、こちらもお薦めです(『労働法』が偶数年改訂であるのに対し、こちらは奇数年改訂で、今後も交互に改訂していくのか)。
こちらもお薦めです、と他人に薦めておきながら、実は自分自身は買い替えが追いついていない状況ですが、著者自身はインタビューで、「初学者の学生用の入門書というよりも、実務を広く射程に入れた体系書ってとこかな」と述べています。初版でページ数1429ぺ―ジ、それが第2版で1520ページになって、第3版で1568ページ。価格だけは8,580円(本体価格7,800円)に据え置いているのは良心的ですが、置く場所の問題とか(笑)。
著者が東京都社労士会の法学研修の講師を始めたのが2016年からで(2023年度以降はコーディネーター的な位置づけ)、初年度のテキストが『労働法 第6版』でした。個人的には毎年参加していたのですが、2019年11月から2020年2月にかけて、この『詳解 労働法』の当時出たばかりの初版をテキストとした全14回の研修が組まれました。コレ、なかなか良かったですが、1巡しただけでは駆け足すぎて...という印象も。でも、それがコロナ前の最後の「リアル研修」で、翌年からリモートになってしまったのが個人的には残念でした(重い本を持ち運ばずに済んだ、という人もいるかもしれないが)。
なお、著者による『詳解 労働法〔第3版〕』をテキストとした全16回のセミナーが2023年11月から2024年3月に日本法令にて開催されており、毎回参加者から提起された質問にその場で答えたものを原稿化し、Q&Aにまとめた『水町詳解労働法 第3版』(日本法令)が来月['23年6月]に刊行予定となっています。『水町詳解労働法 第3版 公式読本』['24年]
因みに、著者の水町勇一郎教授は、2023年度(今年['24年]3月)をもって東京大学を早期退職し、早稲田大学に正式移籍しましたが(もともと早稲田の講義を永らく持っていた)、東京大学出版会から刊行されている『詳解 労働法』の方は、出版社はそのままなのでしょうか。

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そうすると、「個別的労働法」に関わる項目が12+16+3=31、「集団的労働法」に関わる項目が22+23+19-3=61となり、個別的労働法:集団的労働法の百分比は31:61 ≒ 34:66と、何と7年前刊行の佐賀潜『労働法入門』を上回る、ほぼ3分の2が集団的労働法関係ということになります。当時労働法と言えば、まだかなりの部分、「集団的労働法」が含まれていたことが窺えます。
佐賀潜版は、カバー表表紙折り返しに当時の合化労連委員長(前総評議長)の太田薫が、カバー裏表紙に当時の都労委員長・塚本重頼が推薦文を寄せていましたが、こちらも、カバー裏表紙折り返しに太田薫、カバー裏表紙に塚本重頼が推薦文を寄せています。

弁護士作家・佐賀潜(1909 - 1970)の『
第22項、労基法第34条(休憩)「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。(中略)③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない」の解説のタイトルが、「昼休みに愛人と同伴ホテルに行っても、かまわない」(笑)、第25項、労基法第39条(年次有給休暇)の解説タイトルが、「一年分の有給休暇を一度にとっても、かまわない」、とかなり極端な表現もありますが、分かりやすくするためのことでしょう。


![水町 勇一郎 『労働法 [第7版]』.jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E6%B0%B4%E7%94%BA%20%E5%8B%87%E4%B8%80%E9%83%8E%20%20%E3%80%8E%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%B3%95%20%EF%BC%BB%E7%AC%AC%EF%BC%97%E7%89%88%EF%BC%BD%E3%80%8F.jpg)

![プレップ労働法 [第5版].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%97%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%B3%95%20%EF%BC%BB%E7%AC%AC%EF%BC%95%E7%89%88%EF%BC%BD.jpg)

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「社会保険労務士稲門会」編の、社会保険労務士の仕事と役割を解説した本で、早稲田大学で学部生向けに行われている支援講座「社会保険労務士実務概論」のテキストでもあります。「第Ⅰ部・労働法と人事労務管理の今日的課題」と「第Ⅱ部 社会保障制度の今日的課題」の2部構成、全14講から成り、第1講で、社会保険労務士とはどのような資格・士業なのかについて、社会保険労務士法を基本に、その役割と業務内容、社会的使命について述べています。
社会保障制度の中心をなす諸法について、社会保険労務士の今後の活動の中で共に解決すべき課題を提起するとともに、読者に社会保険労務士の業務や実務を知ってもらうために、「コラム」として、各講の中では触れられなかった社会保険労務士の専門性の能力発揮例として、社会保険労務士が行うコンサルティング業務、個別労働紛争解決で特定社労士が果たす役割、賃金に関する考察といった個別的具体的なテーマについて述べています。



















産労総合研究所の定期刊行誌「賃金事情」に、平成17年4月から平成19年6月までの約2年間にわたって連載された「基礎から学ぶ賃金と法律」を単行本化したものですが、連載が終了してから6年経っているわけで、当然のことながら、その間の労働関連法令の改正、労働契約法の創設などを前提に、専門誌掲載記事の内容を大幅にリニューアルしてあります。










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岩本充史 弁護士(安西法律事務所)2012年10月6日リーガロイヤルホテル東京

"企業側"の労務専門の弁護士によって書かれた、主に中小企業の経営者向けの労務トラブル回避のためのガイドブックであり、著者の向井蘭弁護士は、合同労組・ユニオン対応のあり方についてのセミナーや著書などでも、自らの経験に基づく実際的なノウハウを示して好評を博している気鋭の若手弁護士です。











髙谷知佐子 氏(弁護士)
表記が分かり易いばかりでなく、テーマを絞っているために通読可能なボリュームでもあり、忙しい職場管理者にもお薦めですが、社会保険労務士、人事コンサルタントにもお薦めです。
裏表紙に「本書は、中小企業経営者のためだけに徹底的に解説しています。社員の皆様は、ご遠慮ください」と書かれているのも、良く言えばターゲットを明確にしているということなのかも知れませんが(書店に並ぶわけだから、穿った見方をすれば、労働者側も第2のターゲットにした戦術なのかもしれないが)、「売らんかな」的な姿勢が先行するあまり、法律の隙をついたテクニカルな解説に終始し、労使協調や従業員のモチベーションということが軽んじられているような印象を受けました。



























各論に入る前に労働時間制度の全体像について1章を割いて解説されているのが良く、何よりも、全編2色刷りで図説が多用されていて、それらが大変見易いものであるのが長所、初学者にとっても手に取り易いテキストとなっていますが、実務経験者がおさらい用に読むのにも適した本だと思います。
日本経団連は日経連の時代から労基法に大きな改正があるごとに、「改正労基法早わかり」というのを刊行していて、前回の'03年の時の主な改正内容は、「有期労働契約の上限見直し」、「解雇法制」、「裁量労働制の見直し」などでしたが(所謂「平成15年改正」)、今回の平成21年4月施行の改正法の核は、「時間外労働が60時間を超えた場合の割増賃金を50%にすること」(併せて、代替休暇制度の創設」、「時間限度を超えた時間外労働の割増賃金率に関する努力義務」)と、「時間単位の年次有給休暇の創設」です。

大内 伸哉 氏(略歴下記)

大内 伸哉 氏








著者は1970年生まれの弁護士で、首都圏青年ユニオンの顧問でもあり、その著者が扱った案件の内から、名ばかり管理職の問題、給与の一方的減額、パワハラ、解雇、派遣社員の雇止めなどのテーマごとの典型的な事案を紹介し、相談者からどのような形で相談を受け、会社側とどのように交渉し、和解なり未払い賃金の回収なりに至ったかを書き記しています。












髙谷知佐子 氏(弁護士)


賃金は働く者にとって最も重要な労働条件の要素であり、それゆえ賃金をめぐる労使のトラブルは尽きないわけですが、一方で、「賃金」に関する法令上の規定は「労働時間」などに比べ条文数としては少なく、実務上のトラブル等への対処としては、法の基本趣旨を理解するほかに、行政解釈や裁判例をよく知っておくことがひとつポイントになるかと思います。





弁護士グループによる著作で、実務家向けにわかりやすいQ&A方式で書かれています。