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個人的な思い出の記録でありながらも、記録・資料データが充実していた(貴重!)。

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ミニシアター再訪〈リヴィジテッド〉: 都市と映画の物語 1980-2023 』['24年]

 1980年代初頭に大きく花開いた「ミニシアター」を、同時代を並走してきた映画評論家が、劇場や配給会社など当時の関係者たちの証言を集め、彼らの情熱と映画への愛、数々の名画の記憶とともに、都市と映画の「物語」を辿ったもので、取材がしっかりしいて(映画買い付け時のエピソードなどがあり興味深い)、情報面でも充実していました。

「シネマスクエアとうきゅう」.jpg 第1章のミニシアターというものが未知数だった「80年代」のトップは新宿「シネマスクエアとうきゅう」(81年12月、歌舞伎町「東急ミラノビル」3Fにオープン)。企業系ミニシアターの第1号で、1席7万円の椅子が売り物でした。柳町光男のインディペンデント作品「さらば愛しき大地」(82)が成功を収め10週上映、自分もここで観ました。さらにフランソワ・トリュフォー監督の隣家同士に住む男女の情愛を描いた、彼が敬愛したヒッチコックの影響が強い作品「隣の女」(81)が82年に12週上映(個人的には「五反田TOEIシネマ」のフランソワ・トリュフォー監督特集で、映画撮影の裏側を製作の進行と作製中の映画のストーリーをシンクロさせて描き、さらにその映画の監督役をトリュフォーが自ら演じるという3重構造映画「アメリカの夜」(73)(「アカデミー外国語映画賞」受賞作)、「隣の女」の前年作で、同じくジェラール・ドパルデューが出ていて、こちらはカトリーヌ・ドヌーヴと共演した「終電車」(80)と併せて観た)、ショーン。コネリー主演の「薔薇の名前」(87)「シネマスクエアとうきゅう」8.jpgが16週上映(コピーは"中世は壮大なミステリー"。教養映画風だが実はエンタメ映画)、今で言うストーカーが主人公で、買い手がつかなかったのを買い取ったというパトリス・ルコントの「仕立て屋の恋」(89)が92年に16週上映、「青いパパイヤの香り」(93)が94年に14週上映だったと。個人的には、初期の頃にここで観た作品としては、本書にもある、カメラマン出身で「ベニスに死す」の監督ニコラス・ローグが、またもベニスを舞台に撮ったオカルト風サスペンの"幻の傑作"(本書。おそらく製作から本邦公開まで10年かかったからだろう)「赤い影」(74)(原作は「鳥」「レベッカ」などで知られるダフネ・デュ・モーリア)や、ケン・ラッセルの作曲家グスタフ・マーラーを題材にした「マーラー」(74)(この作品も製作から本邦公開まで10年以上の間がある。伝記映画だが内容はかなり恣意的解釈?)、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーのゲイ・ムービー「ファスビンダーのケレル」(82)(男色作家ジャン・ジュネの長編小説「ブレストの乱暴者」を、30歳代で他界したドイツの若手監督ファスビンダーが映画化した遺作。ヴェルナー・シュレーターやベルナルド・ベルトリッチもこの作品の映画化を企画したが実現しなかったという難解作で、個人的にも評価不能な面があった)などがあります。

「俳優座シネマテン」.jpg 六本木「俳優座シネマテン」(81年3月、「俳優座劇場」内にオープン)の「テン」は夜10時から映画上映するためだけでなく、ブレイク・エドワーズのコメディ「テン」(79)から「俳優座シネマテン」8.jpgとったとのこと。トリュフォーの、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女アデルの狂気的な恋の情念を描いた「アデルの恋の物語」(75)はここでした。ルキノ・ヴィスコンティが看板監督で、「地獄に堕ちた勇者ども」(69)や「ベニスに死す」(79)のリバイバルもここでやり、ビデオが普及していない時代だったために成功、さらに「カッコーの巣の上で」(75)のリバイバルも。精神異常を装って刑務所での強制労働を逃れた男が、患者の人間性までを統制しようとする病院から自由を勝ちとろうと試みる物語でした(ニコルソンが初めてオスカーを手にした作品。冷酷な婦長を演じたルイーズ・フレッチャーも主演女優賞を受賞)。同じ六本木で2年遅れて開館したシネ・ヴィヴァンがダニエル・シュミットの「ラ・パロマ」をかけたのに対し、こちらはファッショナブルで官能的な「ヘカテ」(82)を上映、そして、この劇場の最大のヒットとなったのが、ジェームズ・アイヴォリーの「眺めのいい部屋」(86)で、87年に10週間のロングランになったとのことです。個人的には、ニキータ・ミハルコフのソ連版西部劇(?)「光と影のバラード」(74)やゴンザロ・スアレスの「幻の城/バイロンとシェリー」(88)などもここで観ました。

「パルコ・スペース・パート3」.jpg 81年オープンのもう1館は、渋谷「パルコ・スペース・パート3」。ヴィスコンティの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(43)(ヴィスコンティの処女作。原作はアメリカのハードボイルド作家ジェームズ・M・ケイン。映画での舞台は北イタリア、ポー河沿いのドライブイン・レストランに。ファシスト政権下でオールロケ撮影を敢行した作品)、「若者のすべて」(60)、「イノセント」(76)などの上映で人気を博し、「若者のすべて」は九州から飛「パルコ・スペース・パート3」8.jpg行機でやってきて、ホテルに泊まり1週間通い詰めた人もいたとのこと。カルトムービーとインディーズのメッカでもあり、日本では長年オクラだった「ピンク・フラミンゴ」(72)は、86年に初めてここで正式上映されたとのこと、個人的には84年に「アートシアター新宿」で観ていましたが、その内容は正直、個人的理解を超えていました。99年に映画常設館「CINE QUINTO(シネクイント)」となり、これは第2章で「シネクイント」として取り上げられています。個人的には、初期の頃観た作品では、フランスの女流監督コリーヌ・セローの「彼女と彼たち-なぜ、いけないの-」(77)、チェコスロバキアのカレル・スミーチェクの「少女・少女たち」(79)、台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の「坊やの人形」(83)、スイスのブルーノ・モールの「わが人生」(83)、韓国の李長鍋(イー・チャンホー)の「寡婦の舞」(84)、ニュージーランドのビンセント・ウォードの「ビジル」(84)などがあります(これだけでも国が多彩)。「彼女と彼たち」は、男2人女1人の3人組で、女が唯一の稼ぎ手で、男が家事を担当し、3人で一つのベッドに眠るというややアブノーマルな生活を、繊細な演出でごく自然に描いてみせた、パルコらしい上映作品であり佳作、「寡婦の舞」は、東京国際映画祭の一環としてパルコで上映された韓国映画で、生活苦など諸々の不幸から"踊る宗教"へ傾倒する未亡人を中心に、韓国の日常をユーモラスに描いた作品、「ビジル」は、ニュージーランドの辺境に両親・祖父と暮らす少女の無垢な感受性をナイーブな映像表現で伝えた作品でした(佳作だが、やや地味か)。

「シネヴィヴァン六本木」.jpg 「シネヴィヴァン六本木」(83年11月「WAVEビル」地下1階にオープン)は、オープン2本目でゴッドフリー・レジオ監督の「コヤニスカッティ」(82)を上映、アメリカの大都市やモニュメントバレーなどを映したイメージビデオ風ドキュメンタリー。コヤニスカッティとはホピ族の言葉で「平衡を失った世界」。延々と続いた早回しシーンがスローモーションに転じた途端に眠気に襲われました。アンドレイ・タルコフスキー監督の「ノスタルジア」(83)が84年に7週間上映、ビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」(73)が製作から12年遅れの上映で、12週間上映のヒットに。フレディ・M・ムーラー「シネヴィヴァン六本木」8.jpg監督の「山の焚火」(85)も86年に7週間上映されたとのことで、個人的にもここで観ました。さらに、エリック・ロメール監督の「満月の夜」(84)(ユーロスペース配給)や「緑の光線」(86)(シネセゾン配給)など一連の作品の上映も注目を集めたとのことです。個人的には、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の「童年往時-時の流れ-」(89)、ベルナルド・ベルトリッチの「暗殺の森」(70)、ピーター・グリーナウェイの「数に溺れて 悦楽の夫殺しゲーム」(88)などもここで観ました。ベルトリッチの「暗殺の森」は、「暗殺のオペラ」とほぼ同時期に作られましたが、日本での公開はこちらの方が先で、六本木シネヴィヴァンでの上映は「リバイバル上映」です。

「ユーロスペース」.jpg 「ユーロスペース」(82年、渋谷駅南口桜丘町「東武富士ビル」2Fにオープン)は、85年6月のデヴィッド・クローネンバーグ監督の「ヴィデオドローム」(82)の上映から映画だけ上映する常設館になったとのこと(その前から、キートンの映画などをよくここで観た。欧日協会の旅行代理店が入っていた)、並行してレイトショー公開されたルネ・ラルー監督の「ファンタスティック・プラネット」(73)もヒットし、クローネンバーグ監督が続いて撮ったが行き場を失っていたスティ「ユーロスペース」8.jpgーヴン・キング原作の「デッドゾーン」(83)もここで上映され、1か月強の限定公開にもかかわらず8000人を動員、個人的にも85年の6月と7月に、ここでそれぞれ「ヴィデオドローム」と「デッドゾーン」を観ました。でも何と言ってもこの劇場の名を世間に知らしめたのは、原一男の「ゆきゆきて、神軍」(87)で、26週間の記録的なロングランに。張藝謀(チャン・イーモウ)監督のデビュー作「紅いコーリャン」(87)を観たのもここでした。山口百恵の「赤い疑惑」が中国で大ヒットし、コン・リーが中国の"山口百恵"と呼ばれていた頃です。ここではそのほかに、本書でも紹介されている山本政志監督の「闇のカーニバル」(81)(「ロビンソンの庭」(87)の山本政志監督が高い評価を受けるきっかけとなったモノクロ16ミリの意欲作。子どもを男友達に預けて、夜の新宿をトリップする女性ロック歌手を演じた太田久美子は、本業もロック歌手。「ロビンソンの庭」の原点的なパアフル作品で、個人的にはユーロスペースでの5年後の再上映の際も観に行った)や「バグダッド・カフェ」(87)、奴隷狩りから逃れ、地球に不時着した異星人"ブラザー"がNYに辿り着くというところから話が始まる、ジョン・セイルズの「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」(84)などもここでした(ジョン・セイルズ監督自身が異星人を追う賞金稼ぎの異星人(白人に化けている)の1人の役で出演している)。

「シャンテ・シネ」.jpg 「シャンテ・シネ」(87年、日比谷映画跡地にオープン)は、今の「シャンテ・シネ」6.jpg「TOHOシネマズ シャンテ」。ここの大ヒット作は何と言っても88年公開の「ベルリン・天使の詩」(87)で、30週のロングランという単館ロード全体の記録を打ち立てたとのこと(動員数は16.6万人)。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の「悲情城市」(89)は90年に17週間上映され、シャンテの歴代興行第11位、ジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」(91)は92年に21週のロングランで歴代興行第4位、ジェーン・カンピオン監督の「ピアノ・レッスン」(93)は、公開30周年記念の4K版を今年[24年]ここで観ました。「ドゥ・ザ・ライト・シング」(89)も興行的に成功し、「日の名残り」(93)は94年に17週間上映で歴代興行第6位と、これもまた人気を呼んだとのことです。でも、2018年に東京ミッドタウン日比谷がオープンしてからここって「TOHOシネマズ日比谷」の付帯映画施設みたいなイメージになってるなあ、名称も「TOHOシネマズシャンテ」であるし。

「シネスイッチ銀座」.jpg 「シネスイッチ銀座」(87年にオープン)は、個人的には前身の「銀座文化劇場・銀座ニュー文化」さらに「銀座文化1・2」の頃から利用していましたが、"シネスイッチ"は、洋画と邦画の2チャンネルを持つという意味でのネーミングだそうで、ジェームズ・アイヴォリーの「モーリス」(87)や滝田洋二郎の「木村家の人々」(88)はここでした。「モーリス」は88年に15週のロングランを記録したそうですが、シネスイッチ銀座の歴代興行の金字塔は「ニュー・シネマ・パラダイス」(88)で、都内では1館だけ(東京に限って言えば"単館")で40週上映(観客動員26万人)、この記録はミニシアターの歴史上で破られていないとのことです。個人的には「運動靴と赤い金魚」(97)などもここで見ました。実は、地下1階の「銀座文化」が「シネスイッチ銀座」になったとき、3階の「銀座文化2」は「銀座文化劇場」の名に戻っていて(97年4月に「シネスイッチ銀座1・2」としてリニューアルするまで)、主に古い洋画のリバイバル上映をしていました。個人的には、例えば88年だけでも「サンセット大通り」(50)、「ヘッドライト」(56)、「避暑地の出来事」(59)、「酒とバラの日々」(62)、「シャレード」(63)をここで観ていますが、当時の館名に沿えば、「シネスイッチ」ではなく「銀座文化劇場」で観たことになります。「避暑地の出来事」は、マックス・スタイナー作曲のテーマ音楽をパーシー・フェイスがカバーし発売された「夏の日の恋(Theme from A Summer Place)」が有名、「酒とバラの日々」と「シャレード」はヘンリー・マンシーニの音楽で知られています。

「シネマライズ」.jpg 第2章のブームの到来の「90年代」のトップは渋谷「シネマライズ」(86年6月、渋谷 スペイン坂上「ライズビル」地下1階にオープン)。劇場の認知度を上げたのは86年7月公開のトニー・リチャードソンの「ホテル・ニューハンプシャー」(84)で、89年には「バグダッド・カフェ」(87)、93年には「レザボア・ドッグス」(92)がかっています。「レザボア・ドッグス」は公開当時は大コケだったそうです。「バグダッド・カフェ」は地下1階で観ましたが、「レザボア・ドッグス」はビデオで観て(ミニシアターブームの到来とビデオの普及時期が重なる)、最近、映画館(早稲田松竹)で観直しました。96年に、2階の劇場(元渋谷ピカデリー)もオープンし、オープニング作品は、エミール・クストリッツァ監督がカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した快作(怪作?)「アンダーグラウンド」(95)。その後、ウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」(97)が26週上映、ジャン=ピエール・ジュネの「アメリ」(01)は35週上映で、シネマライズの歴代ナンバーワン興行収入作品となりました。さらには、ソフィア・コッポラ「ロスト・イン・トランスレーション」(03)(17週上映)、アン・リー「ブロークバック・マウンテン」(05)(15週上映)なども。第3章の方で出てきますが、「ロッキー・ホラー・ショー」(75)を80年代に本来の「観客体験型」ムービーとしてリバイバル上映したのもシネマライズでした(地下1階で、上映中結婚式の場面でライスシャワー、雨の場面で水シャワーがかけられた。あれ、あとの掃除が大変だったろうなあ)。

「シネセゾン渋谷」.jpg「シネセゾン渋谷」2.jpg 2011年に閉館した「シネセゾン渋谷」 (85年11月、渋谷道玄坂「ザ・プライム渋谷」6Fにオープン)はリバイバル上映に個性があり、市川崑の「黒い十人の女」(61)をレイトショーで97年11月から13週上映、その前、92年には、リュック・ベッソンの「グラン・ブルー」(88)(88年に英語版で上映された「グレート・ブルー」に48分の未公開シーン(変な日本人ダイビング・チームとかも出てくる)を加えて再編集した168分のフランス語版)が独占公開され、ヒットしています。

 「ル・シネマ」.jpg 「ル・シネマ」(89年9月、渋谷道玄坂・Bunkamura6階にオープン)の方は東急系で、92年にかけられたジャック・リヴェット監督(原作はバルザック)のフランス映画「美しき諍い女」(91)に代表されるヨーロッパ系の映画が強い劇場ですが、アジア系も強く、陳凱歌(チェン・カイコー)の「さらば、わが愛/覇王別姫」(93)を94年に26週上映、陳凱歌(チェン・カイコー)監督、レスリー・チャン、コン・リー 「ル・シネマ」5.jpg主演の「花の影」(96)も17週上映、今世紀に入ってからは、張藝謀(チャン・イーモウ)監督、チャン・ツィイー主演の「初恋のきた道」(99)を00年末から24週上映(歴代5位)していますが、個人的いちばんは、ウォン・カーウァイ監督の「花様年華」(00)です。ウォン・カーウァイ監督作は「ブエノスアイレス」などがシネマライズで上映されていましたが、「花様年華」は女性層狙いだったので、シネマライズから回ってきたそうです。近年では、休館前に濱口竜介監督の一連の作品を観ました。

「恵比寿ガーデンシネマ」.jpg 「恵比寿ガーデンシネマ」(94年10月、恵比寿ガーデンテラス弐番館内にオープン)は、ポール・オースター原作、ウェイン・ワン監督の、ニューヨークのタバコ屋の人間模様を描いた「スモーク」(95)のような渋い作品をやっていました。個人的には、ロイ・アンダーソンの「散歩する惑星」(00年)などをここで見観ました。本書にもある通り、11年1月28日をもって休館し、15年3月、今度はサッポロビールとユナイテッドシネマの共同経営で「YEBISU GARDEN CINEMA」として再オープンしています。

「岩波ホール」.jpg 第2章の最後は、「岩波ホール」(68年オープン、74年から映画常設館に)。サタジット・レイ「大樹のうた」(59)が本格オープン作で、ATGの「大河のうた」の興行成績が厳しく、次作上映ができなかったところへ、高野悦子総支配人が手をさしのべ、7「岩波ホール」16.jpg4年2月にロードショー。4週間後にホールは満席になったといいます(因みに、サタジット・レイの「大地のうた三部作」のうち「大河のうた」は結末がハッピーエンドでないため、インドでも興行上は振るわなかった)。その後も、75年にルネ・クレールの「そして誰もいなくなった」(45)、衣笠貞之助の「狂った一頁」(26)、76年に「フェリーニの道化師」(70)、77年にアンドレイ・タルコフスキーの「惑星ソラリス」(72)、78年にゲオルギー・シェンゲラーヤの「ピロスマニ」(69)などの上映がありましたが、78年から79年にかけてルキノ・ヴィスコンティの「家族の肖像」 (74)を上映したら10週間超満員が続く盛況ぶりだったとのこと(岩波ホールといえばコレという感じか)。79年にエルマンノ・オルミの「木靴の樹」(78)(北イタリアの貧しい農村の生活をエピソードを重ねながら丹念に描く、ネオレアリズモの継承者と呼ばれるにふさわしい佳作。カンヌ映画祭パルムドール受賞作)や、テオ・アンゲロプロスの「旅芸人の記録」(75)が上映され、80年にはヴィスコンティ の「ルートヴィヒ/神々の黄昏」(72)が。歴代興行第1位は、98年に封切られたメイベル・チャンの「宋家の三姉妹」(97)(高野悦子も三姉妹でこの作品にひかれたのではとのこと)、岩波ホール創立30周年記念作品でもあり、31週上映だったそうです(アンコール上映も併せると45週、18.7万人を動員)。アンジェイ・ワイダの「大理石の男」(77)(ワイダは初期作品の方がインパクトがあった)など、社会的テーマの作人も多く上映されました。個人的には、カール・テオドア・ドライヤー監督の「奇跡」(56)やジュールス・ダッシン監督の「女の叫び」(78)(「日曜日はダメよ」のメリナ・メルクーリと「アリスの恋」のエレン・バースティンの演技派女優の競演はバーンスティンに軍配を上げたい)、アンドレイ・タルコフスキーの「」(80)をここで観ましたが、ルキノ・ヴィスコンティ監督(アルベール・カミュ原作)の「異邦人」は、「岩波シネサロン」(岩波ホール9F)で観ました。

2022年2月7日朝日新聞デジタル「ミニシアターの道、開いた岩波ホール 54年の歴史、7月に幕 コロナ影響」
岩波ホール 54年の歴史.jpg

 第3章は変化する「2000年代」で、このあたりから映画観ごとより全体の流れを追っていく感じで、その中で「ミニシアター最後の日」として、13年の銀座テアトルシネマ、14年の吉祥寺バウスシアター、16年のシネマライズの最後の日を取材したものを載せています。銀座テアトルシネマは伝説的な映画館テアトル東京の跡地に87年オープン、吉祥寺バウスシアターは84年に前身の武蔵野映画劇場(吉祥寺ムサシノ)がアート系映画館に生まれ変わったものでした。86年オープンのシネマライズもそうですが、いずれも30年前後の歴史があり、その閉館は寂しいものです。ただし、今後のミニシアターの展望も含め、著者の12年間もの長期に及ぶ取材がしっかり纏められており、懐かしさを掻き立てられるだけでなく、資料としても第一級のものになっていると思います。

 
フランソワ・トリュフォー「隣の女」.jpg隣の女 .jpg「隣の女」●原題:LA FEMME DA'COTE(英:THE WOMAN NEXT DOOR)●制作年:1981年●制作国:フランス●監督:フランソワ・トリュフォー●製作:フランソワ・トリュフォー/シュザンヌ・シフマン●脚本:フランソワ・トリュフォー/シュザンヌ・シフマン/ジャン・オーレル●撮影:ウィリアム・ルプシャンスキー●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:107分●出演:ジェラール・ドパルデュー/ファニー・アルダン/アンリ・ガルサン/ミシェル・ボートガルトネル/ヴェロニク・シルヴェール/ロジェ・ファン・ホール/オリヴィエ・ベッカール●日本公開:1982/12●配給:東映ユニバースフィルム●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-10-01)(評価:★★★)●併映:「アメリカの夜」(フランソワ・トリュフォー)/「終電車」(フランソワ・トリュフォー)

「アメリカの夜 1973.jpg「アメリカの夜 01.jpg「アメリカの夜(映画に愛をこめて アメリカの夜)」●原題:LA NUIT AMERICAINE(英:DAY FOR NIGHT)●制作年:1973年●制作国:フランス●監督・脚本:フランソワ・トリュフォー●製作:マルセル・ベルベール●撮影:ピエール=ウィリアム・グレン●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:115分●出演:ジャクリーン・ビセット/ヴァレンティナ・コルテーゼ/ジャン=ピエール・オーモン/ジャン=ピエール・レオ/アレクサンドラ・スチュワルト/フランソワ・トリュフォー/ジャン・シャンピオン/ナタリー・バイ/ダニ/ベルナール・メネズ●日本公開:1974/09●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-10-01)(評価:★★★☆)●併映:「隣の女」(フランソワ・トリュフォー)/「終電車」(フランソワ・トリュフォー)

「終電車 1980.jpg「終電車 00.jpg「終電車」●原題:LE DERNIER METRO(英:THE LAST METRO)●制作年:1980年●制作国:フランス●監督:フランソワ・トリュフォー●製作:マルセル・ベルベール●脚本:フランソワ・トリュフォー/シュザンヌ・シフマン●撮影:ネストール・アルメンドロス●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:134分●出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ジェラール・ドパルデュー/ジャン・ポワレ/ハインツ・ベネント/サビーヌ・オードパン/ジャン=ルイ・リシャール/アンドレア・フェレオル/モーリス・リッシュ/ポーレット・デュボスト/マルセル・ベルベール●日本公開:1982/04●配給:東宝東和●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-10-01)(評価:★★★)●併映:「アメリカの夜」(フランソワ・トリュフォー)/「終電車」(フランソワ・トリュフォー)

「薔薇の名前」.jpg薔薇の名前 c.jpg「薔薇の名前」●原題:LE NOM DE LA ROSE●制作年:1986年●制作国:フランス・イタリア・西ドイツ●監督:ジャン=ジャック・アノー●製作:ベルント・アイヒンガー●脚本:アンドリュー・バーキン●撮影:トニーノ・デリ・コリ●音楽:ジェームズ・ホーナー●原作:ウンベルト・エーコ●時間:132分●出演:ショーン・コネリー/クリスチャン・スレーター/F・マーリー・エイブラハム/ロン・パールマン/フェオドール・シャリアピン・ジュニア/エリヤ・バスキン/ヴォルカー・プレクテル/ミシェル・ロンスダール/ヴァレンティナ・ヴァルガス●日本公開:1987/12●配給:ヘラルド・エース●最初に観た場所(再見):新宿武蔵野館(23-04-18)(評価:★★★)

赤い影1973.jpg赤い影[.jpg「赤い影」●原題:DON'T LOOK NOW●制作年:1973年●制作国:イギリス・イタリア●監督: ニコラス・ローグ●製作:ピーター・カーツ●脚本:アラン・スコット/クリス・ブライアント●撮影:アンソニー・B・リッチモンド●音楽:ピノ・ドナッジオ●原作:ダフニ・デュ・モーリエ「いまは見てはだめ」●時間:110分●出演:ドナルド・サザーランドジュリー・クリスティ「赤い影」サザーランド・クリスティ.jpg/ヒラリー・メイソン/クレリア・マタニア/マッシモ・セラート/レナート・スカルパ/ジョルジョ・トレスティーニ/レオポルド・トリエステ●日本公開:1983/08●配給:ヘラルド・エース●最初に観た場所:新宿・シネマスクエアとうきゅう(83-09-11)(評価:★★★)

 
マーラー 19.jpgマーラー 1974.jpg「マーラー」●原題:MAHLER●制作年:1974年●制作国:イギリス●監督・脚本:ケン・ラッセル●製作:ロイ・ベアード●撮影:ディック・ブッシュ●音楽:グスタフ・マーラー/リヒャルト・ワーグナー/ダナ・ブラッドセル●時間:115分●出演:ロバート・パウエル/ジョージナ・ヘイル/リー・モンタギュー/ロザリー・クラチェリー●日本公開:1987/06●配給:俳優座シネマテン=フジテレビ●最初に観た場所:新宿・シネマスクエアとうきゅう(87-06-21)(評価:★★★)

ケレル(ファスヴィンダー)1982.jpg「ケレル(ファスビンダーのケレル)」.jpg「ケレル(ファスビンダーのケレル)」●原題:QUERELLE●制作年:1982年●制作国:西ドイツ/フランス●監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー●脚本:「ケレル(ファスビンダーのケレル)」0.jpgライナー・ヴェルナー・ファスビンダー/ブルクハルト・ドリースト●撮影: クサファー・シュヴァルツェンベルガー/ヨーゼフ・バブラ●音楽:ペール・ラーベン●原作:ジャン・ジュネ『ブレストの乱暴者』●時間:108分●出演:ブラッド・デイヴィス/ジャンヌ・モロー/フランコ・ネロ/ギュンター・カウフマン/ハンノ・ポーシェル●日本公開:1985/05●配給:人力飛行機舎=デラ●最初に観た場所:新宿・シネマスクエアとうきゅう(88-05-28)(評価:★★★?)


「アデルの恋の物語」1975 2.jpg「アデルの恋の物語」1975.jpg「アデルの恋の物語」●原題:L'HISTOIRE D'ADELE H.(英:THE STORY OF ADELE H.)●制作年:1975年●制作国:フランス●監督・製作:フランソワ・トリュフォー●脚本:フランソワ・トリュフォー/ジャン・グリュオー/シュザンヌ・シフマン●撮影:ネストール・アルメンドロス●音楽:モーリス・ジョベール●原作:フランセス・ヴァーノア・ギール『アデル・ユーゴーの日記』●時間:96分●出演:イザベル・アジャーニ/ブルース・ロビンソン/シルヴィア・マリオット/ジョゼフ・ブラッチリー/イヴリー・ギトリス●日本公開:1976/04●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:大塚名画座(78-12-08)(評価:★★★★)●併映:「二十歳の恋」(フランソワ・トリュフォー/ロベルト・ロッセリーニ/石原慎太郎/マックス・オフュルス/アンジェイ・ワイダ)

「地獄に堕ちた勇者ども」 (69年.jpg「地獄に堕ちた勇者ども」2.jpg「地獄に堕ちた勇者ども」●原題:THE DAMNED(独:Götterdämmerung)●制作年:1969年●制作国:イタリア・西ドイツ・スイス●監督:ルキノ・ヴィスコンティ●製作:アルフレッド・レヴィ/エヴェール・アギャッグ●脚本:ルキノ・ヴィスコンティ/ニコラ・バダルッコ/エンリコ・メディオーリ●撮影:アルマンド・ナンヌッツィ/パスクァリーノ・デ・サンティス●ヘルムートイングリット .jpg「地獄に堕ちた勇者ども」ランプリング.jpg音楽:モーリス・ジャール●時間:96分●出演:ダーク・ボガード/イングリッド・チューリンヘルムート・バーガー/ラインハルト・コルデホフ/ルノー・ヴェルレー/アルブレヒト・シェーンハルス/ウンベルト・オルシーニ/シャーロット・ランプリング/ヘルムート・グリーム/フロリンダ・ボルカン●日本公開:1970/04●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:大塚名画座(79-02-07)(評価:★★★★)●併映:「ベニスに死す」(ルキノ・ヴィスコンティ)


「カッコーの巣の上で」00.jpg「カッコーの巣の上で」●原題:ONE FLEW OVER THE CUCKOO'S NEST●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:ミロス・フォアマン●製作:ソウル・ゼインツ/マイケル・ダグラス●脚本:ローレンス・ホーベン/ボー・ゴールドマン●撮影:ハスケル・ウェクスラー●音楽:ジャック・ニッチェ●原作:ケン・キージー『カッコウの巣の上で』●時間:133分●出演:「カッコーの巣の上で」012.jpgジャック・ニコルソンルイーズ・フレッチャー/マイケル・ベリーマン/ウィリアム・レッドフィールド/ブラッド・ドゥーリフ/クリストファー・ロイド/ダニー・デヴィート/ウィル・サンプソン●日本公開:1976/04●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:テアトル吉祥寺(82-03-13)(評価:★★★★)●併映:「ビッグ・ウェンズデー」(ジョン・ミリアス)

「光と影のバラード」1974.jpg「光と影のバラード」00.jpg「光と影のバラード」●原題:Свой среди чужих, чужой среди своих(英題:AT HOME AMONG STRANGERS)●制作年:1974年●制作国:ソ連●監督:ニキータ・ミハルコフ●脚本:エドゥアルド・ボロダルスキー/ニキータ・ミハルコフ●撮影:パーベル・レベシェフ●音楽:エドゥアルド・アルテミエフ●時間:95分●出演:ユーリー・ボガトィリョフ/アナトリー・ソロニーツィン/セルゲイ・シャクーロフ/アレクサンドル・ポロホフシコフ/ニコライ・パストゥーホフ/アレクサンドル・カイダノフスキー/ニキータ・ミハルコフ●日本公開:1982/10●配給:日本海映画●最初に観た場所:六本木・俳優座シネマテン(82-11-21)(評価:★★★☆)


「郵便配達は二度ベルを鳴らす」1943年.jpg郵便配達は二度ベルを鳴らす (1943年.jpg「郵便配達は二度ベルを鳴らす」●原題:OSSESSIONE●制作年:1943年●制作国:イタリア●監督:ルキノ・ヴィスコンティ●製作:カミッロ・パガーニ●脚本:ルキノ・ヴィスコンティ/マリオ・アリカータ/ジュゼッペ・デ・サンティス/ジャンニ・プッチーニ●撮影:アルド・トンティ/ドメニコ・スカーラ●音楽:ジュゼッペ・ロゼーティ●原作:ジェームズ・M・ケイン●時間:140分●出演:マッシモ・ジロッティ/クララ・カラマイ/ファン・デ・ランダ/ディーア・クリスティアーニ/エリオ・マルクッツォ/ヴィットリオ・ドゥーゼ●日本公開:1979/05●配給:インターナショナル・プロモーション●最初に観た場所:池袋・文芸坐(79-09-24)(評価:★★★★)●併映:「家族の肖像」(ルキノ・ヴィスコンティ)

「ピンク・フラミンゴ」(72).jpg「ピンク・フラミンゴ」(1972).jpg「ピンク・フラミンゴ」●原題:PINK FLAMINGOS●制作年:1972年●制作国:アメリカ●監督・製作・脚本・撮影:ジョン・ウォーターズ●時間:93分●出演:ディヴァイン/ディビッド・ロチャリー/メアリ・ヴィヴィアン・ピアス●日本公開:1986/06●配給:東映=ケイブルホーグ●最初に観た場所:渋谷・アートシアター新宿(84-08-01)(評価:★★★?)●併映:「フリークス・神の子ら(怪物団)」(トッド・ブラウニング)

「彼女と彼たち」 1977.jpg「彼女と彼たち」 2.jpg「彼女と彼たち-なぜ、いけないの-」●原題:POURQUOI PAS!●制作年:1977年●制作国:フランス●監督・脚本:コリーヌ・セロー●製作:ミシェル・ディミトリー●撮影:ジャン=フランソワ・ロバン●音楽:ジャン=ピエール・マス●時間:97分●出演:サミー・フレイ/クリスチーヌ・ミュリロ/マリオ・ゴンザレス/ニコル・ジャメ●日本公開:1980/11●配給:フランス映画社●最初に観た場所:渋谷・パルコスペース3(84-06-17)(評価:★★★★)

寡婦(やもめ)の舞 84.jpg寡婦(やもめ)の舞 1984.jpg「寡婦(やもめ)の舞」●原題:과부춤(英:WIDOW DANCING)●制作年:1984年●制作国:韓国●監督:李長鍋(イー・チャンホ)●脚本:李長鍋(イー・チャンホ)/李東哲(イ・ドンチョル)/イム・ジンテク●撮影:ソ・ジョンミン●原作:李東哲(イ・ドンチョル)『五人の寡婦』●時間:114 分●出演:イ・ボイ(李甫姫)/パク・ウォンスク(朴元淑)/パク・チョンジャ(朴正子)/キム・ミョンコン(金明坤)/パク・ソンヒ/チョン・ジヒ/ヒョン・ソク/クォン・ソンドク/ソ・ヨンファン/イ・ヒソン●日本公開:1985/09●配給:発見の会●最初に観た場所:渋谷・パルコスペース3(「東京国際映画祭」)(85-06-02)(評価:★★★☆)

ビジル(84年/ニュージーラン.jpgビジル(84年/ニュージーランド).jpg「ビジル」●原題:VIGIL●制作年:1984年●制作国:ニュージーランド●監督:ヴィンセント・ウォード●製作:ジョン・メイナード●脚本:ヴィンセント・ウォード/グレーム・テットリー●撮影:アルン・ボリンガー●音楽:ジャック・ボディ●時間:114 分●出演:ビル・カー/フィオナ・ケイ/ペネロープ・スチュアート/ゴードン・シールズ●日本公開:1988/02●配給:ギャガ・コミュニケーションズ●最初に観た場所:渋谷・パルコスペース3(85-06-02)(評価:★★★☆)

コヤニスカッティ(82年.jpgコヤニスカッティ(82年).jpg「コヤニスカッティ(コヤニスカッツィ)」●原題:KOYANISQATSI●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:ゴッドフリー・レッジョ●製作:フランシス・フォード・コッポラ/ゴッドフリー・レッジョ●脚本:ロン・フリック/ゴッドフリー・レッジョ●撮影:ロン・フリッケ●音楽:フィリップ・グラス●時間:87分●日本公開:1984/01●配給:ヘラルド・エース●最初に観た場所:大森・キネカ大森(84-06-02)(評価:★★☆)

「ノスタルジア」(1983年) .jpgノスタルジア0.jpgノスタルジア●原題:NOSTALGHIA●制作年:1983年●制作国:イタリア・ソ連●監督:アンドレイ・タルコフスキー●製作:レンツォ・ロッセリーニ/マノロ・ポロニーニ●脚本: アンドレイ・タルコフスキー/トニーノ・グエッラ●撮影:ジュゼッペ・ランチ●時間:126分●出演:オレーグ・ヤンコフスキー/エルランド・ヨセフソン/ドミツィアナ・ジョルダーノ/パトリツィア・テレーノ/ラウラ・デ・マルキ/デリア・ボッカルド/ミレナ・ヴコティッチ●日本公開:1984/03●配給:ザジフィルムズ●最初に観た場所:Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下(24-02-13)(4K修復版)(23-02-08)(評価:★★★★)

「暗殺の森」ベルトリッチ.jpg暗殺の森 00.jpg「暗殺の森」●原題:CONFORMISTA●制作年:1970年●制作国:イタリア・フランス・西ドイツ●監督・脚本:ベルナルド・ベルトリッチ●撮影:ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:アルベルト・モラヴィア『孤独な青年』●時間:115分●出演:ジャン=ルイ・トランティニャン/ステファニア・サンドレッリ/ドミニク・サンダ/エンツォ・タラシオ●日本公開:1972/09●配給:パラマウント映画=CIC●最初に観た場所:シネヴィヴァン六本木(84-06-21)(評価:★★★☆)

「闇のカーニバル」 (1981.jpg「闇のカーニバル」 (1981. 2.jpg「闇のカーニバル」●制作年:1981年●●監督・脚本・撮影:山本政志●製作:伊地知徹生/山本政志●時間:118分●出演:太田久美子/桑原延亮/中島稔/太田行生/じゃがたら/遠藤ミチロウ/伊藤耕/中島稔/前田修/山口千枝●公開:1981/12●配給:CBC=斜眼帯●最初に観た場所:渋谷・ユーロスペース(83-07-16)●2回目:渋谷・ユーロスペース(88-07-09)(評価:★★★★)
  
「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」84年.jpg「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」84.jpg「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」●原題:THE BROTHER FROM ANOTHER PLANET●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ジョン・セイルズ●製作:ペギー・ラジェスキー/マギー・レンジー●撮影:アーネスト・ディッカーソン●音楽:メイソン・ダーリング●時間:110分●出演:ジョー・モートン/ダリル・エドワーズ/スティーヴ・ジェームズ/レナード・ジャクソン/ジョン・セイルズ/キャロライン・アーロン/デヴィッド・ストラザーン●日本公開:1986/05●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:ユーロスペース(86-06-14)(評価:★★★★)

ナイト・オン・ザ・プラネットv.jpgナイト・オン・ザ・プラネット●原題:NIGHT ON EARTH●制作年:1991年●制作国:アメリカ●監督・製作・脚本:ジム・ジャームッシュ●撮影:フレデリック・エルムス●音楽:トム・ウェイツ●時間:129分●出演:(ロサンゼルス)ウィノナ・ライダー/ジーナ・ローランズ/(ニューヨーク)アーミン・ミューラー=スタール/ジャンカルロ・エスポジート/アンジェラ - ロージー・ペレス/(パリ) イザック・ド・バンコレ/ベアトリス・ダル/(ローマ)ロベルト・ベニーニ/パオロ・ボナチェリ/(ヘルシンキ) マッティ・ペロンパー/カリ・ヴァーナネン/サカリ・クオスマネン/トミ・サルミラ●日本公開:1992/04●配給:フランス映画社(評価:★★★★)●最初に観た場所(再見):シネマート新宿(スクリーン2)(24-03-08)
「ナイト・オン・ザ・プラネット」00.jpg
    
「ピアノ・レッスン」000.jpgピアノ・レッスン●原題:OPPENHEIMER●制作年:1993年●制作国:オーストラリア/ニュージーランド/仏●監督・脚本:ジェーン・カンピオン●製作:ジェーン・チャップマン●撮影:スチュアート・ドライバーグ●音楽:マイケル・ナイマン●時間:121分●出演:ホリー・ハンターハーヴェイ・カイテル/サム・ニール/アンナ・パキン/ケリー・ウォーカー/ジュヌヴィエーヴ・レモン/トゥンギア・ベイカー/イアン・ミューン●日本公開:1994/02●配給:フランス映画社●最初に観た場所(再見):TOHOシネマズシャンテ(24-04-08)(評価:★★★★)

「避暑地の出来事」1959年.jpg「避暑地の出来事」00.jpg「避暑地の出来事」●原題:A SUMMER PLACE●制作年:1959年●制作国:アメリカ●監督・製作・脚本:デルマー・デイヴィス●撮影:ハリー・ストラドリング●音楽:マックス・銀座文化・シネスイッチ銀座.jpgスタイナー●原作:スローン・ウィルソン『避暑地の出来事』●時間:131分●出演:リチャード・イーガン/ドロシー・マクガイア/トロイ・ドナヒュー/ サンドラ・ディー/アーサー・ケネディ●日本公開:1960/04●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:銀座文化劇場(84-06-21)(評価:★★★☆)

「酒とバラの日々」00.jpg「酒とバラの日々」1962.jpg「酒とバラの日々」●原題:DAYS OF WINE AND ROSES●制作年:1962年●制作国:アメリカ●監督:ブレイク・エドワーズ●製作:マーティン・マヌリス●脚本:J・P・ミラー●撮影:フィル・ラスロップ●音楽:ヘンリー・マンシーニ●時間:117分●出演:ジャック・レモン/リー・レミック/チャールズ・ビックフォード/ジャック・クラグマン/アラン・ヒューイット●日本公開:1963/05●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:銀座文化劇場(88-07-20)(評価:★★★★)
 
  
 
  
 
「シャレード」1963年.jpg「シャレード」1963 2.jpg「シャレード」●原題:CHARADE●制作年:1963年●制作国:アメリカ●監督:スタンリー・ドーネン●製作:マーティン・マヌリス●脚本:J・P・ミラー●撮影:フィル・ラスロップ●音楽:ヘンリー・マンシーニ●時間:117分●出演:ケイリー・グラントオードリ・ヘップバーン/ジェームズ・コバーン/ウォルタコバーン「シャレード」.jpgー・マッソー/ジョージ・ケネディ/ネッド・グラス●日本公開:1963/12●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ●最初に観た場所:銀座文化劇場(88-04-16)(評価:★★★☆)
ジェームズ・コバーン/ジョージ・ケネディ
 
 

「レザボア・ドッグス」0.jpg「レザボア・ドッグス」dr.jpg「レザボア・ドッグス」dr2.jpg「レザボア・ドッグス」●原題:RESERVOIR DOGS●制作年:1992年●制作国:アメリカ●監督・脚本:クエンティン・タランティーノ●製作:ローレンス・ベンダー●撮影:アンジェイ・セクラ●音楽:カリン・ラクトマン●時間:100分●出演:ハーヴェイ・カイテル/ティム・ロス/マイケル・マドセン/クリス・ペン/スティーヴ・ブシェミ/ローレンス・ティアニー/クエンティン・タランティーノ●日本公開:1993/04●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所(再見):早稲田松竹(24-05-20)(評価:★★★★)●併映:「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト」(アベル・フェラーラ)
「レザボア・ドッグス」早稲田松竹.jpg


「花の影」.jpg「花の影」0.jpg花の影●原題:風月(英:TEMPTRESS MOON)●制作年:1996年●制作国:香港・中国●監督:陳凱歌(チェン・カイコー)●製作:湯君年(タン・チュンニェン)/徐楓(シュー・フォン)●脚本:舒琪(シュウ・チー)●撮影: クリストファー・ドイル(杜可風)●音楽: 趙季平(チャオ・チーピン)●原案: 陳凱歌/王安憶(ワン・アンイー)●時間:128分●出演:張國榮(レスリー・チャン)鞏俐(コン・リー)/林健華(リン・チェンホア)/何賽飛(ホー・サイフェイ)/呉大維(デヴィッド・ウー)/謝添(シェ・ティェン)/周野芒(ジョウ・イェマン)/周潔(ジョウ・ジェ)/葛香亭(コー・シャンホン)/周迅(ジョウ・シュン)●日本公開:1996/12●配給:日本ヘラルド映画(評価:★★★☆)●最初に観た場所[4K版]:池袋・新文芸坐(24-02-26)

「スモーク」01.jpgスモーク●原題:SMOKE●制作年:1995年●制作国:アメリカ・日本・ドイツ●監督:ウェイン・ワン●製作:ピーター・ニューマン/グレッグ・ジョンソン/黒岩久美/堀越謙三●脚本:ポール・オースター●撮影:アダム・ホレン「スモーク」02.jpgダー●音楽:レイチェル・ポートマン●原作:ポール・オースター『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』●時間:113分●出演:ハーヴェイ・カイテルウィリアム・ハート/ハロルド・ペリノー・ジュニア/フォレスト・ウィテカー/ストッカード・チャニング/アシュレイ・ジャッド/エリカ・ギンペル/ジャレッド・ハリス/ヴィクター・アルゴ●日本公開:1995/10●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:新宿武蔵野館(24-06-05)((評価:★★★★)

「フェリーニの道化師」1970年.jpgフェリーニの道化師●原題:FELLINI:I CROWNS●制作年:1970年●制作国:イタリア●監督:フェデリコ・フェリーニ●製作:エリオ・スカルダマーリャ/ウーゴ・グエッラ●脚本:フェデリコ・フェリーニ/ベルナフェリーニの道化師」01.jpgフェリーニの道化師」02.jpgルディーノ・ザッポーニ●撮影:ダリオ・ディ・パルマ●音楽:ニーノ・ロータ●時間:110分●出演:フェデリコ・フェリーニ/アニタ・エクバーグピエール・エテックス/ジョセフィン・チャップリン/グスターブ・フラッテリーニ/バティスト●日本公開:1976/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:池袋・文芸坐(78-02-07)(評価:★★★★)●併映:「フェリーニのアマルコルド」(フェデリコ・フェリーニ)

フェリーニの道化師」アニタ.jpg
    
「木靴の樹」1978.jpg「木靴の樹」00.jpg「木靴の樹」●原題:L'ALBERO DEGLI ZOCCOLI(米:THE TREE OF WOODEN CLOGS)●制作年:1978年●制作国:イタリア●監督・脚本・撮影:エルマンノ・オルミ●音楽:J・S・バッハ●時間:186分●出演:ルイジ・オルナーギ/フランチェスカ・モリッジ/オマール・ブリニョッリ/テレーザ・ブレシャニーニ/バティスタ・トレヴァイニ/ルチア・ベシォーリ●日本公開:1979/04●配給:フランス映画社●最初に観た場所:有楽町・スバル座(80-12-02)(評価:★★★★)

「大理石の男」 (77年/ポーランド.jpg「大理石の男」 1.jpg「大理石の男」●原題:CZLOWIEK Z MARMURU●制作年:1977年●制作国:ポーランド●監督:アンジェイ・ワイダ●製作:バルバラ・ペツ・シレシツカ●脚本:アレクサンドル・シチボ「大理石の男」 2.jpgル・リルスキ●撮影:エドワルド・クウォシンスキ●音楽:アンジェイ・コジンスキ●時間:165分●出演:イエジー・ラジヴィオヴィッチ/クリスティナ・ヤンダ/タデウシ・ウォムニツキ/ヤツェク・ウォムニツキ/ミハウ・タルコフスキ/ピョートル・チェシラク/ヴィエスワフ・ヴィチク/クリスティナ・ザフヴァトヴィッチ/マグダ・テレサ・ヴイチク/ボグスワフ・ソプチュク/レオナルド・ザヨンチコフスキ/イレナ・ラスコフスカ/スジスワフ・ラスコフスカ●日本公開:1980/09●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:飯田橋・佳作座(81-05-24)(評価:★★★☆)●併映:「水の中のナイフ」(ロマン・ポランスキー)
 
「女の叫び」1.jpg「女の叫び」1978年.jpg「女の叫び」1978.jpg「女の叫び」●原題:A DREAM OF PASSION●制作年:1978年●制作国:アメリカ・ギリシャ●監督・脚本:ジュールス・ダッシン●撮影:ヨルゴス・アルヴァニティズ●音楽:ヤアニス・マルコプロス●時間:110分●出演:メリナ・メルクーリ/エレン・バースティン/アンドレアス・ウツィーナス/デスポ・ディアマンティドゥ/ディミトリス・パパミカエル/ヤニス・ヴォグリス/フェドン・ヨルギツィス/ベティ・ヴァラッシ●日本公開:1979/12●配給:東宝東和●最初に観た場所:岩波ホール(80-02-04)(評価:★★★★)

「●フランソワ・トリュフォー監督作品」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2926】 フランソワ・トリュフォー 「柔らかい肌
「●ジャンヌ・モロー 出演作品」のインデックッスへ 「●ジョルジュ・ドルリュー音楽作品」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ

男2人女1人の関係を描き、無駄のない作りでスピード感がある。主人公はかなり"怖い"女性とも言える。
突然炎のごとく dvd.jpg 突然炎のごとく 01.jpg 突然炎のごとく 02.jpg
突然炎のごとく [DVD]」オスカー・ウェルナー/ジャンヌ・モロー
突然炎のごとく t.jpg オーストリアの青年ジュール(オスカー・ウェルナー)はモンパルナスでフランス青年のジム(アンリ・セラー)と知り合い、文学という共通の趣味を持つ二人はすぐに打ち解け、無二の親友となる。二人はある時、幻燈会に行き、アドリア海の島の写真に映った女の顔の彫像に魅了される。その後、二人はカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)という女性と知り合い、同時に恋に落ちる。彼女は島の彫像の女と瓜ふたつだったからだ。カトリーヌは自由奔放そのものの女性で、男装して街に繰り出したり、ジュールとジムが街角で文学談義を始めると、突然セーヌ川に飛び込んで二人を慌てさせる。積極的だったのはジュールのほうで、彼はカトリーヌに求婚しパリのアパートで同棲を始め、ジムは出版社と契約ができて作家生活の第一歩を踏み出す。やがて第一次世界大戦が始まり、ジュールとジムはそれぞれの祖国の軍人として戦線へ行ったが、共に生きて祖国へ帰る。カトリーヌと結婚したジュールが住むライン河上流の山小屋に、ジムは招待された。その頃、ジュールとカトリーヌの間には六つになる娘もいたが、二人の間は冷えきっていた。ジュールはジムに彼女と結婚してくれと頼む。そうすれば彼女を繋ぎ留められると思ったからだ。しかも、自分も側に置いてもらうという条件で...。そうして、3人の奇妙な共同生活が始まる。危ういバランスを保った三角関係は、しかし、カトリーヌに愛人が別にいたことで崩れる。ジムは瞬間しか人を愛せない彼女に絶望し、パリへ帰る。数ヶ月後、映画館で3人は再会した。映画がはねた後、カトリーヌはふいにジムを車で連れ出した。怪訝な面持ちのジムとは対照的に、カトリーヌは穏やかな顔でハンドルを握るが―。

冒険者たち    LES AVENTURIERS.jpg明日に向って撃て   1シーン.jpg 1962年公開のフランソワ・トリュフォー監督の長編第3作(原題はJules et Jim(ジュールとジム))。男2人女1人の関係がベースになっていて、このパターンは後の多くの映画に影響を与えたとされています。代表的なものでは、ロベール・アンリコ監督の「冒険者たち」('67年/仏)やジョージ・ロイ・ヒル監督の「明日に向かって撃て!」('69年/米)などがあるとされていますが、それらが必ずしもハッピーエンドとは言えないながらもプロセスにおいて"明るい"のに対し、この「突然炎のごとく」はプロセスにおいてもむしろ"暗い"と言え、さらに、「冒険者たち」のジョンア・シムカスや「明日に向かって撃て!」のキャサリン・ロスが演じたヒロインが、その明るさと純真さが魅力の女性像であったのに対し、この作品でジャンヌ・モローが演じた男性を破滅に追い込むような女性像は、魅力的かどうかはともかく、かなり"怖い"とも言えます。

Jules et Jim (突然炎のごとく).jpeg ただし、映画の公開が、今に比べてまだ女性が抑圧されていて、ちょうど女性解放運動が盛り上がってきた時期と重なったということもあって、英米においてフランス映画としては異例のヒット作となり、監督のトリュフォーの元にも、「カトリーヌは私です」という女性からの手紙が世界中から届いたとのことです。しかしながら、トリュフォー自身はこの映画が「女性映画」と呼ばれることを嫌い、また、主人公を自己と同一視するような女性たちの映画の見方にも否定的だったようです(カトリーヌにポリティカルなメッセージを込めようとしたわけでなく、また、カトリーヌは誰かの代弁者であるわけでもなく、「ただ、ある女性を描いたにすぎない」というスタンスだったようだ)。

突然炎のごとく1.jpg 後半で、ジュールがジムをカトリーヌや娘と居る山小屋に呼び寄せるのは、自分がカトリーヌとベッドを共にできなくなったからでしょう。そのくせ、カトリーヌの気まぐれで時にカトリーヌとジュールでベッドでじゃれ合ったりするから、今度はジムの方が嫉妬に苦しむことになるのだなあ。ラストも含め、ジムには本当に「お気の毒」と思わざるをえません。傍から見ればどうしてこんな悪女に惹かれてしまうのかと思ってしまいますが、当事者の立場になれば、魅せられている時は冷静な判断ができなくなるのでしょう。男性たちにとってカトリーヌは偶像であり、ゆえにファム・ファタール(運命の女)となるのでしょう。

突然炎のごとく_早稲田松竹.jpg 原作は、アンリ=ピエール・ロシェ(1879-1959)で、日本で発表されている小説は『突然炎のごとく』と『恋のエチュード』のみで、いずれもトリュフォーが映画化していることになります(トリュフォーは21歳の時に古本屋で偶然彼の作品に触れており、ある意味トリュフォーが発掘した作家と言えるかも)。自身の恋愛体験をもとにこの作品を書いており、登場人物的には「ジム」に当たりますが、本人は80歳近くまで生きており、また、カトリーヌのモデルとされた女性も、後に「私は死んでない」と言ったそうです。ジュールにもモデルがいるそうですが、映画においてオスカー・ウェルナーが演じる、文学オタクで女性にはあまりモテそうでないジュール像には、トリュフォー自身が反映されているようです(冒頭でジュールがマリー・デュボア演じる娘にさらっとフラれるエピソードがある)。どちらかと言うとずっとジルの視線で描かれているため、ラストはジュールが亡くなる側に回ってもよさそうな気がしましたが、カトリーヌとジムの死によって、ジュールは誰にも邪魔されずカトリーヌを永遠に自分のものとすることができた―という結末なのでしょう。

 個人的には、谷崎潤一郎の『痴人の愛』を想起したりもしました。日本映画で言えば、増村保造の(この監督、「痴人の愛」('67年)も撮っているが)浅丘ルリ子がインフォマニアを演じた「女体」('69年)でしょうか。ただし、増村保造×浅丘ルリ子とフランソワ・トリュフォー×ジャンヌ・モローでは、やはり後者に軍配が上がってしまいます。とにかくこの映画にはスピード感があるというか、無駄が無い気がします。
      
早稲田松竹(19-12-12)

 この映画に関するトリビアを3つ。

「突然炎のごとく」b6.jpg➀ カトリーヌがセーヌ川に飛び込むシーンは、スタントの女性がやりたがらなかったので、ジャンヌ・モロー自身が飛び込んだ。その結果、川の水の汚れがひどかったため、ジャンヌ・モローは喉を傷めた。

② ジムとカトリーヌがキスするシーンで、窓に張り付いていた虫がカトリーヌの口の中の入るが、これは撮影中の偶然で、トリュフォーは敢えてそのシーンをカットしなかった(トリュフォー自身がオタク気質の非モテ系であるため、このシーンの二人に嫉妬心を抱いた?との説も)。

女は女である  モロー.jpg③ ジャン=リュック・ゴダール監督の「女は女である」('61年/仏・伊)のなかに、ジャン=ポール・ベルモンドがバーで出会ったカメオ出演のジャンヌ=モローに、「ジュールとジムはどうしてる?」と訊くシーンがある。「突然炎のごとく」撮影期間中のことである。

「女は女である」('61年/仏・伊)

   
      
突然炎のごとく00.jpg突然炎のごとくド.jpg「突然炎のごとく」●原題:JULES ET JIM(英:JULES AND JIM)●制作年:1962年●制作国:フランス●監督:フランソワ・トリュフォー●製作:ルキノ・ヴィスコンティ●脚本:フランソワ・トリュフォー/ジャン・グリュオー●撮影:ラウール・クタール●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:アンリ=ピエール・ロシェ●時間:107分●出演:ジャンヌ・モロー/オスカー・ウェルナー/アンリ・セール/マリー・デュボア/サビーヌ・オードパン/ヴァンナ・ウルビーノ/ボリス・バシアク/アニー・ネルセン●日本公開:1964/02●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所(再見):早稲田松竹(19-12-12)(評価:★★★★☆)●併映:「柔らかい肌」(フランソワ・トリュフォー)

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「この映画で最も描きたかったのは情熱のメカニズムだ」(ジャック・ドゥミ)。

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天使の入江 [DVD]」(2011)「天使の入江 ジャック・ドゥミ監督 Blu-ray」(2016)

天使の入江749.jpg パリの銀行で働くジャン・フルニエ(クロード・マン)は、同僚のキャロン(ポー天使の入江849.jpgル・ゲール)に連れられて行った市中のカジノで、一時間で給料の半年分を稼ぐ大当たりする。それを契機にギャンブルに取り憑かれた彼だったが、謹厳な時計修理職人の父親から「賭博師はごめんだ。出て行け」と勘当されると、ニースの安ホテルに居を移し、「天使の入江」のカジノ通いを始める。そんなある日、以前カジノで見かけたブロンド美女のジャッキー・ドメストル(天使の入江91.jpgジャンヌ・モロー)に偶然出会う。ジャンは彼女に惹かれると共に、意気投合した彼女とパートナーを組み、ますますギャンブルにのめり込んでいく。彼女は夫の懇願にもかかわらずギャンブルに熱中して離婚し、息子とは週に一回会えるだけだと言う。ボロ負けした日は「二度としない」と誓天使の入江9457580.jpgうが口だけで、「軽率な自分に腹がたつ」と言いながらやめられない。ホテル代もなく駅のベンチで寝るというジャッキーを、ジャンは自分のホテルに泊まらせる。翌朝二人は別れるが、午後天使の入江9457581.jpg海岸にいたジャンを探しに来たジャッキーは、女友だちに借金した金で賭天使の入江L.jpgけてくると言い、別れるつもりだったジャンはカジノまでジャッキーを追っていく。そして、カジノで二人は勝ちまくり、「崖っぷちのドンデン返しね。モンテカルロに行きましょう」というジャッキーの誘いに車を買い、ドレスにタキシードを用意し、豪華ホテルに横付けし、海が見えるバルコニー付きのスイートルームにチェックインする。しかし、二人はカジノで今度は大敗し、結局有り金を全部使い果たしてしまう―。

イメージフォーラム .JPG 1963年3月1日フランス公開のジャック・ドゥミ監督作で、妻アニエス・ヴァルダのカンヌ映画祭招待に帯同したジャック・ドゥミが、その時たまたま立ち寄ったニースのカジノでそこで賭け事に興じる人々の姿を目にして着想を得たシナリオだとのことです。本邦でも2009年に「ジャック・ドゥミ初期作品集DVD-BOX」としてDVD化されており、アンスティチュ・フランセ東京で2013年、2014年と上映されたりもしていますが、劇場公開は今年['17年]7月から8月にかけてのシアター・イメージフォーラムでのジャック・ドゥミ、アニエス・ヴァルダ両監督の地下室のメロディー カジノ.jpg作品を特集した「ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語」での上映が「初公開」だそうです。同じくニースのカジノを舞台にしたアンリ・ヴェルヌイユ監督の「地下室のメロディー」が1963年3月19日にフランスで公開されて、日本では同年8月に公開されています。フランスでの公開は「天使の入江」の方が18日だけ早いですが、日本での公開は「地下室のメロディー」の公開より半世紀以上遅かったことになります。そして、7月22日にロードショーが始まったと思ったら、そのすぐ後にジャンヌ・モローの訃報に接することになりました(7月31日老衰のため逝去。89歳)。

 ジャック・ドゥミ監督が「シェルブールの雨傘」('64年)で見せたカラフルでポップな世界観とはうって変って(「天死の入江」は「シェルブールの雨傘」の1つ前の作品なのだが)、こちらはモノクロで、途中ロマンチックな場面は殆ど無く、天国(大勝ち)と地獄(大負け)の間を目まぐるしく行き来する二人をカメラは冷静に追っているという感じです。ラストのラストで、ああ、恋愛映画だったのだなあと思わされ、ロマンチストであるジャック・ドゥミの本質がこういう救いある結末にさせたのかなあと思いました。但し、ジャンヌ・モロー演じるジャッキーはこれまでも何度も「二度としない」と誓ってはこうなってしまっているわけで、本当に二人でこのまま行って大丈夫なのかなあという気もしました。

天使の入江9457582.jpg すでに、ルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」('57年)やフランソワ・トリュフォーの「突然炎のごとく」('62年)、ジョゼフ・ロージー監督の「エヴァの匂い」('62年)などでファム・ファタールを演じていたジャンヌ・モローですが、この映画での女ギャンブラー役(ジャック・ドゥミの叔母がモデルだそうだ)は、また違った印象がありました。現代の眼で見れば、ギャンブル依存症という病いにしか見えないのですが、主人公もその辺りは解っていて、そこがまた、主人公が彼女を突き離せない1つの理由になっているように思います。

天使の入江18.gif ただ、ジャッキーはギャンブルに対する弱さだけでなく、ギャンブルについての哲学も持っていて、「贅沢できなくても平気よ。お金のために賭けをやるのじゃない。十分あってもやるわ。賭けの魅力は贅沢と貧困の両方が味わえること。それに数字や偶然の神秘がある。もし数字が神様の思し召しなら、私は信者よ。カジノに初めて入ったとき、教会と同じ感動を覚えた。私にとって賭けは宗教よ。お金とは関係ない」「この情熱のおかげで私は生きていられるの。誰にも奪う権利はないわ」と言っています。ギャンブラーとしての凄みを感じさせながらも、強がっている部分も感じられ、その辺りがジャンヌ・モローならではの演技の機微であり、同じファム・ファタールを演じても、監督が違えば違ったタイプのそれを見せる演技の幅であると思いました。

 ジャンヌ・モローのプラチナ・ブロンドに染めた髪と白いドレス(衣装デザインはジャンヌ・モローの当時の恋人ピエール・カルダン)が、モノクロ映画であるからこそニースの浜に映えて輝いて見えます。主人公はジャッキーというファム・ファタールに巻き込まれてしまうのか、或いはまた、依存症である彼女を愛の力で救い出せるのか―という二人の行方がどうなるかということももさることながら、むしろ、「私にとって賭けは宗教よ」と言い、主人公の「君にとって僕は机か椅子に見えるのか。心はどうでもいいのか」との問いに「ただの賭け仲間よ。なぜあなたを犬のように連れ回したかわかる? 幸運をもたらすからよ」と言い放ちつつも最後は主人公に寄り添うジャッキーの、情熱と愛のエネルギー自体がテーマとなっているような映画であるように思えました。ジャック・ドゥミ監督自身、「この映画で最も描きたかったのは情熱のメカニズムだ」と言っており、ミシェル・ルグランのきらめく音楽もそうしたテーマに呼応したものとなっているように思われました。


     
天使の入江 (1963)
天使の入江 (1963).jpgドゥミとヴァルダ、幸せについての5つの物語.jpg「天使の入江」●原題:LA BAIE DES ANGES(英:BAY OF ANGELS)●制作年:1963年●制作国:フランス●監督・脚本: ジャック・ドゥミ●撮影:ジャン・ラビエ●音楽:ミシェル・ルグラン●時間:101分●出演:ジャンヌ・モシアター・イメージフォーラム2.jpgロー/クロード・マン/ポール・ゲール/アンナ・ナシエ●日本公開:2017/07●配給:ザジフィルムズ●最初に観た場所:渋谷・シアター・イメージフォーラム(特集「ドゥミとヴァルダ、幸せについての5つの物語」)(17-08-18)(評価★★★★)

シアター・イメージフォーラム 2000(平成12)年9月オープン(シアター1・64席/シアター2・100席)。表参道駅から徒歩7分。青山通り渋谷方向、青山学院を過ぎ、二本目の通り左入る。

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ゴダールのコメディ。ちょっとお洒落でちょっと前衛的。ゴダール作品の原点的要素が多く見られる。

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女は女である【字幕版】 [VHS]」アンナ・カリーナ/ジャン=ポール・ベルモンド/ジャン=クロード・ブリアリ
アンナ・カリーナ「女は女である」ポスター
女は女である 00.jpg パリの小さな書店に勤める青年エミール(ジャン=クロード・ブリアリ)は、コペンハーゲンから来たばかりで、フランス語の「R」がうまく発女は女である カリーナブリアリ.jpg音できないストリップ・ダンサーのアンジェラ(アンナ・カリーナ)と一緒に暮らしていたが、ある日突然アンジェラが赤ちゃんが欲しいと言い出す。赤ちゃんは要らないし、正式な結婚などしない方が気女は女である 02.jpg楽だと考えるエミールとは折り合わず、2人は喧嘩になる。仕舞にアンジェラは、それなら他の男に頼むと啖呵を切り、エミールは動揺す女は女である 10.jpgるが、勝手にしろと答えてしまう。アンジェラもアンジェラで、自分たちの住むアパルトマンの下の階に住む、エミールの友人で以前よりアンジェラにちょっかいを出していた、駐車場のパーキングメーター係のアルフレード(ジャン=ポール・ベルモンド)に頼女は女である 06.jpgむと宣言する。ならばとエミールはアルフレードを呼び出して、アンジェラにけしかけたりした揚句、アンジェラに去られる。エミールはやけになって別の女と寝て、一方女は女である 07.jpgのアンジェラも、アルフレードと本当に寝てしまう。深夜、アンジェラがエミールと住むアパルトマンに戻り、2人はベッドで黙り込む。エミールは、試しに自分の子をつくってみようとアンジェラを抱く。フレッド・アステアのダンスミュージカルが幕を閉じて終わるように、アンジェラは寝室のカーテンを閉じてみせる―。

女は女である000.jpg女は女である ジャン・ポール・ベルモンド.jpg 1961年製作・公開のジャン=リュック・ゴダール監督の長篇劇映画第3作であり、ゴダールのカラー映画第1作であるとともにミュージカル・コメディ第1作。「小さな兵隊」('60年)に次いでアンナ・カリーナが出演したゴダール作品の第2作で、カリーナとの結婚後第1作になります。ゴダールは「勝手にしやがれ」('59年)で有名になりながらも、この作品を自らの原点的作品と位置付けています。

女は女である 05.jpg 音楽はミシェル・ルグランで、美術はベルナール・エヴァン。この2人は本作の2年後に製作されたジャック・ドゥミ監督の「シェルブールの雨傘」('63年)でもコンビを組むことになりますが、「シェルブールの雨傘」が全てのセリフにメロディがついていたのに対し、こちらは、米国ミュージカル映画へのオマージュはあるものの、登場人物はメロディに合わせて歌ったり踊ったりすることは女は女であるs2.jpgなく、そのメロディも、コラージュのようなスクリーンプレイに合わせて度々寸断され、ミュージカルというスタイルを完全に換骨奪胎していると言えます。一方の美術面では、カラフルな原色の色彩が多用されていて、これは「シェルブールの雨傘」にも見られるし、ゴダール自身の監督作「気狂いピエロ」('65年)にも連なる特徴かと思われます。

女は女であるes.jpg ジャン=クロード・ブリアリが室内で自転車を乗り回すシーンや、喧嘩して口をきかなくなったジャン=クロード・ブリアリとアンナ・カリーナが本のタイトルで会話をするなど、ちょっとお洒落なシーンが多くあり、また、アンナ・カリーナら登場人物が時折カメラに向けて語りかけるシーンなどがあったりするのがちょっと前衛的と言うか、ストーリー自体はたわいもない話ですが、その分肩肘張らずに楽しめるゴダール作品です。

女は女である  モロー.jpg ジャン=クロード・ブリアリに急に部屋に来るよう呼ばれたジャン=ポール・ベルモンドが、「早く帰ってテレビで『勝手にしやがれ』を見たいんだ」と言ったり、そのジャン=ポール・ベルモンドが、カメオ出演のジャンヌ・モローにバーで、フランソワ・トリュフォー監督によって撮影中の「突然炎のごとく」('62年)について「ジュールとジムはどうしてる?」と訊ねるシーンがあったりするなどの小ネタ的愉しみも(「撮影は順調?」と訊ねているとも解釈可能)。
ジャン=ポール・ベルモンド/ジャンヌ・モロー
女は女であるanna-karina-.jpg女は女である 04.jpg ゴダールは本作でベルリン国際映画祭「銀熊賞」(審査員特別賞)を受賞し、これは前年の同映画祭での「勝手にしやがれ」による「銀熊賞」(監督賞)に続いて2年連続の受賞。映画のアンジェラと同じくコペンハーゲン出身のアンナ・カリーナは、本作で「銀熊賞」最優秀女優賞女は女である 0009-.png受賞。彼女はジャン=ポール・ベルモンド、ジャン=クロード・ブリアリの両雄を(と言っても2人だって共に28歳とまだ若いのだが)振り回してまさに圧巻。アンナ・カリーナを観て楽しむ映画とも言えますが、個人的には、ゴダール自身が後に「本当の意味での自分の処女作」と述べているように、ゴダール作品の原点的要素が多く見られるという点で興味深い作品です。
音楽:ミシェル・ルグラン

女は女である 062.jpg「女は女である」●原題:UNE FEMME EST UNE FEMME/A WOMAN IS A WOMAN●制作年:1961年●制作国:フランス・イタリア●監督・脚本:ジャン=リュック・ゴ女は女である2.jpgダール●製作:カルロ・ポンティ/ジョルジュ・ド・ボールガール●撮影:ラウール・クタール●音楽:ミシェル・ルグラン●原案:ジュヌヴィエーヴ・クリュニー●時間:84分●出演:アンナ・カリーナ/ジャン=ポール・ベルモンド/ジャン=クロード・ブリアリ/マリー・デュボワ/ジャンヌ・モロー/カトリーヌ・ドモンジョ●日本公開:1961/12●配給:新外映●最初に観た場所(再見):北千住・シネマブルースタジオ(16-09-16)(評価★★★★)

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ジャンヌ・モローの〈ファム・ファタール〉ぶりが見所。本当に不幸なのは男か女か。

エヴァの匂い dvd2.jpgエヴァの匂いeva-dvd.jpg エヴァの匂いdvd.jpg エヴァの匂い 00.jpg
「エヴァの匂い」DVD/輸入盤DVD/「エヴァの匂い Blu-ray」ジャンヌ・モロー

エヴァの匂いw.jpg 霧雨のヴェニスで水上を滑るゴンドラから過ぎゆく景色を眺めている女エヴァ(ジャンヌ・モロー)。彼女のために幾人もの男が身を滅していったのだが、作家のティヴィアン・ジョーンズ(スタンリー・ベイカー)もその一人だった。処女作が売れて一挙に富も名声を獲得し、あと婚約者フランチェスカ(ヴィルナ・リージ)と結婚するばかりだったある雨の夜、ティヴィアンの別荘にずぶ濡れになったエヴァと彼女の客が迷いこんで来る。それがティヴィアンとエヴァとの最初の出会いだったが、以来、ティヴィアンの脳裡にはエヴァの面影が焼きついて離れず、彼はエヴァの肉体に溺れていった。それから2年の月日を経て、今は乞食同然のティヴィアンだったが、彼はいまだにエヴァの面影を求めている。今日もヴェニスは雨に煙り、ゴンドラが漂う―。

エヴァの匂い5.jpg 英国の推理小説作家ジェームズ・ハドリー・チェイスの原作『悪女エヴァ』('45年)を、「コンクリート・ジャングル」('60年)のジョゼフ・ロージーが監督した1962年公開のフランス映画。撮影は「さすらい」('57年/伊)、「太陽がいっぱい」('60年)、「太陽はひとりぼっち」('62年)、「8 1/2」('63年/伊・仏)のジャンニ・ディ・ヴェナンツォ、音楽は「女と男のいる舗道」('62年/仏)、「シェルブールの雨傘」('64年/仏)、「華麗なる賭け」('68年/米)のミシェル・ルグランで、ジャズミュージック、中でもジャンヌ・モローの好みに合わせビリー・ホリデイの曲が多く使われています。

エヴァの匂い_1.jpg ジャンヌ・モロー(当時34歳)が所謂〈ファム・ファタール〉(運命の女=悪女)を演じた映画として知られており、ジャンヌ・モローはジャン・コクトーに「いつかスターになったら、映画でこの役を演じなさい」と言われて『悪女エヴァ』の本を渡され、最初にジャン=リュック・ゴダールに監督を依頼するも製作サイドがゴダールの作風を嫌がったため、次にジョセフ・ロージーを推薦しています。そのジョセフ・ロージーは、ルイ・マル監督の「恋人たち」('58年)を観てフランス映画を崇拝するようになったといい、その「恋人たち」に主演したジャンヌ・モローで作品を自ら撮る機会が巡ってきたことになります。

エヴァの匂いevaLosey_b.jpgエヴァの匂いm.jpg ジャンヌ・モロー演ずるエヴァは、カジノで金のありそうな男を物色しては身ぐるみ巻き上げる高級娼婦であり、そこには愛だの恋だの感情的なものは一切関わりません。この作品でそのエヴァによって身を滅ぼされるのが、スタンリー・ベイカー演じる新進の売れっ子作家ティヴィアンですが、ティヴィアンに「世界中で一番好きなものはなんだい?」と訊かれて、エヴァは「ラルジャン(お金)」と即答しています。ヴィルナ・リージ演じるティヴィアンの恋人フランチェスカエヴァの匂い9.jpgは、ティヴィアンとの結婚後も続くティヴィアンとエヴァのことを知って自殺しますが、そのことに対してもエヴァはどこ吹く風。決定的なのはラストで、新しい男をとギリシャ旅行に出かけるため早朝のヴェネチアの広場で船を待つエヴァエヴァの匂い      .jpgのもとへ落魄したティヴィアンが現れ、ギリシャから戻ったらまた会ってくれとエヴァにすがると、エヴァはティヴィアンをじっと見つめ、「みじめな男」とのみ言い捨てて新しい男と旅立って行きます(ヴェニスをこれくらい暗く撮っている映画も珍しいが、その暗さと男の心境がマッチしているとも言える)。

エヴァの匂い4.jpg 男はどうしてこんな女に惹かれてしまうのかと、普通に考えれば醒めた目で捉えられがちなところを、ジャンヌ・モローの演技のお蔭で、ティヴィアンの悪女にずぶずぶ嵌っていく様が腑に落ちてしまうし(ビリー・ホリデイの曲に乗せたジャンヌ・モローの一人演技の蠱惑的な長回しショットがあるので注目)、男には元々そうした墜ちていくような願望があるのかもしれないとさえ思ってしまいます。

エヴァの匂い01.jpg 全てをエヴァに吸い取られてしまい、今は酒場に入り浸る日々のティヴィアンですが、彼は本当に不幸だったのか。実はティヴィアンは炭鉱夫あがりの作家ということで話題になったものの、その話題になった処女作は亡き兄が書いたもので、つまり「盗作」で作家の名を成してしまったわけで、それがこの度のエヴァとの間での手痛い経験が肥やしとなって、やがて「本物」の作家として大成するのではないか。そうした意味では、結果的にティヴィアンにとっては実りある体験であって、彼は将来において幸せであり、むしろ、永遠に愛の不毛を抱え続けるエヴァこそが不幸なのではないか―というこの作品の解釈もあるようで、やや穿ち過ぎた見方のようにも思えますが、なかなか興味深い解釈だと思います(暗いヴェニスの風景は、エヴァの心の虚無を表していたのかも)。

エヴァの匂い モロー.jpg 因みに、この映画におけるジャンヌ・モローのファッションは、彼女が当時交際していたピエール・カルダンで統一されています(それまではシャネル一色だったジャンヌ・モローは、以後はカルダン一色となる)。

エヴァの匂い_2.jpg また、自殺に至るフランチェスカを演じたヴィルナ・リーは、ハリウッドに渡ってジャック・レモン主演の「女房の殺し方教えます」('64年/米)などにも出たりしましたが、後にイタリアで熟女女優として活躍し、サルヴァトーレ・サンペリ監督の「スキャンドール」('80年/伊)などにも出ています。また、ちょっとだけ出ているリザ・ガストーニも同じく後に熟女女優として活躍し、「スキャンダル」('76年/伊)などに出ています。
ヴィルナ・リージ (Virna Lisi,1936-2014)
          
エヴァの匂いes.jpg「エヴァの匂い」●原題:EVA●制作年:1962年●制作国:フランス●監督:ジョセフ・ロージー●製作:ロベール・アキム/レイモン・アキム●脚本:ヒューゴー・バトラー(脚色)/ジャンヌ・モロー エヴァ.jpgエヴァ・ジョーンズ(脚色)●撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ●音楽:ミシェル・ルグラン(挿入曲:ビリーエヴァの匂い 仏版dvd.jpg・ホリデイ)●原作:ジェームズ・ハドリー・チェイス「悪女エヴァ」●時間:166分●出演:ジャンヌ・モロー/スタンリー・ベイカー/ヴィルナ・リージ/ジェームズ・ヴィリアーズ/リッカルド・ガルローネ/ジョルジョ・アルベルタッツィ/リザ・ガストーニ/ケッコ・リッソーネ/エンツォ・フィエルモンテ/ノーナ・メディチ/ロベルト・パオレッティ●日本公開:1963/06●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所(再見):北千住・シネマブルースタジオ(16-03-20)(評価:★★★★)

イタリア・ベネチアで、「エヴァの匂い」の撮影セットでポーズを取るジャンヌ・モロー(1961年11月1日撮影)。(c)AFP

《読書MEMO》
●ヴェニス(ヴェネツィア)を舞台にした映画
ジョゼフ・ロージー監督「エヴァの匂い」('62年/仏)/ルキノ・ヴィスコンティ監督「ベニスに死す」('71年/伊・仏)/ニーノ・マンフレディ監督「ヌードの女」('81年/伊・仏)/テレンス・ヤング監督「007 ロシアより愛をこめて」('63年/英)
イタリアエヴァの匂い .jpgイタリア・ベネチア ●ベニスに死すges.jpgイタリア。ヴェネチア●ヌードの女.jpg 007 ロシアより愛をこめて  ヴェネチア (2).jpg

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"正統派"ラブロマンス。若くして映画のセオリーをマスターし切っていることを見せつける作品。

恋人たち モロー dvd.jpg恋人たち dvd.png 恋人たち(1958) 00.jpg 
恋人たち [DVD]」['06年] Jeanne Moreau & Jean-Marc Bory
恋人たち【HDマスター】《IVC 25th ベストバリューコレクション》 [Blu-ray]」['13年]

恋人たち(1958) 夫.jpg 1954年の仏ディジョン。新聞社主アンリ(アラン・キュニー)の妻ジャンヌ(ジャンヌ・モロー)は閉塞的な日常からの逃避を月に二度のパリ行きと愛人ラウール(ホセ・ルイ・ド・ビラロンガ)との密会に求めていた。妻の不倫を疑うアンリの思惑により、逆に、ラウール恋人たち(1958) kuruma.jpgたちを屋敷に迎えざるを得なくなったその当日、車が故障した所を若い考古学者ベルナール(ジャン・マルク・ボリー)に拾われ家に辿り着いた彼女。友人らを迎えたその晩、眠れずに戸外へ出ると、そこにベルナールの姿もあった。夢遊病者のように庭をさまよい歩き、いつしか二人恋人たち(1958) バス.jpgは、ジャンヌの寝室で愛を交わす。そして翌朝、驚く夫や愛人を後目に、彼女は新しい男と共に家を出る―。

LES AMANTS ジャンヌモロー.jpg ルイ・マルの監督デビュー第2作目('58年)で、カンヌ国際映画祭「審査員特別賞」受賞作。実業家の若い妻ジャンヌが、仕事人で嫉妬深い夫とスポーツマンで貴族的生活を送っているプレイボーイの愛人の間で揺れ動いていたと思ったら、偶然出会った若い考古学者と一夜にして突然の恋に落ちるという、ストーリーとしては意外な展開ですが、ラブロマンスとしてはむしろオーソドックスなタイプの1LES AMANTS 1958 2.jpgつ。むしろアンニュイな若妻を主人公とする(この頃ルイ・マルとジャンヌ・モローは恋人同士の関係にあったと思うが)この"正統派"ラブロマンスを26歳で真っ向から撮っているというのがスゴイなあと思うし、ちょっと背伸びしている感じもなくもないですが、既に「死刑台のエレベーター」という傑作を撮っているだけに、何か映画の文法というものを若くして体得してしまっている印象を受けます。

恋人たち(1958) ボート.jpg ジャンヌが夜中に偶然にベルナールと出くわして、そこから二人が結ばれるまでの映像の流れはまるで夢の世界のようであり(カメラは「死刑台のエレベーター」と同じくアンリ・ドカエだが、この夜のシーン、何となく〈道行〉のような印象を受けたのは自分だけか)、それに被るクラシック音楽も効いています。子どもに別れまで告げていることからジャンヌの強い決意が窺える一方で、ラストではどことなく未だ不安の表情を残しているというのがリアル。それでも、もう彼女は元の世界に戻ることはない...

 二人が出会う夜のシーンの音楽は、ブラームスが27歳の時に作曲した「弦楽六重奏曲1番」を使っていますが、これはブラームスの作品の中で最も"甘い"とされている曲だそうです。「死刑台のエレベーター」でパリに公演に来ていたマイルス・デイヴィスにラッシュに合わせてトランペットを吹いてもらって、後に、映画が注目されたことの理由の1つとしてマイルス・デイヴィスの音楽が使われていることも当時あったことをトリュフォー自身認めていますが、そうしたこともあってここではクラシックを使ったのでしょうか。この物語の原作が、18世紀の作家イヴァン・ドノンの"ポワン・ド・ランドン"(明日はない)という古典であることも意識されているかと思われます。

恋人たち(1958) 6.jpg 「死刑台のエレベーター」のマイルス・デイヴィスの使われ方といい、「鬼火」のエリック・サティのピアノ曲の使われ方といい、この監督の映像と音楽の融和レベルの高さは他の追随を許さないものあるとこの作品を観ても思います。強いて言えば、自分が映画のセオリーというものをマスターし切っていることを見せつけるために撮った作品ともとれるのが難点と言えなくもないですが、(デビュー作がフロックでないことを証明するために?)敢えて古典に材を得つつ、クラシカルな優美さを現代に移し替えても損なわないのは、やはり巧みの技と言えるかと思いました。
   
LES AMANTS 1958 3.jpg
「恋人たち」●原題:LES AMANTSD(英:THE LOVERS)●制作年:1958年●制作国:フランス●監督:ルイ・マル●製作:イレーネ・ルリッシュ●脚本: ルイ・マル/ルイ・ド・ヴィルモラン●撮影:アンリ・ドカエ●音楽:ヨシネマブルースタジオ1.jpgハネス・ブラームス●原作:イヴァン・ドノン「明日シネマブルースタジオ2.jpgはない」●時間:95分●出演:ジャンヌ・モロー/ジャン・マルク・ボリー/アラン・キュニー/ホセ・ルイ・ド・ビラロンガ/ジュディット・マーグル/ガストン・モド/ジュディット・マーレ●日本公開:1959/04●配給:映配●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(14-07-08)(評価:★★★★)

東京芸術センター(2F:シネマブルースタジオ)
シネマブルースタジオ 2006年4月、北千住・東京芸術センター内にオープン。

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小津 安二郎 「お早よう」('59年/松竹)の大泉滉・泉京子夫婦の家の室内にあるポスターは「恋人たち」のもの

 
 

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ルイ・マル25歳の時のヌーヴェル・ヴァーグの傑作。映像と音楽の融合が素晴らしい。

死刑台のエレベーター2.jpg死刑台のエレベーター パンフ.jpg死刑台のエレベーター【HDニューマスター版】.jpg 死刑台のエレベーター.jpg  Shikei dai no erebêtâ(1958).jpg
死刑台のエレベーター [DVD]」/パンフレット/「死刑台のエレベーター【HDニューマスター版】 [DVD]」/「死刑台のエレベーター」 CD/Shikei dai no erebêtâ(1958) Poster

死刑台のエレベーター ポスター.jpg 会社の技師ジュリアン・タベルニエ(モーリス・ロネ)と社長夫人フロランス・カララ(ジャンヌ・モロー)は愛し合っていて、社長のシモンを殺害する完全犯罪を計画する。実行の日、ジュリアンはバルコニーから錨付ロープをかけて上って社長室に入り、社長を射殺してその手に拳銃を握らせる。手摺から一階下の自屋に戻ってエレベーターで下に降り死刑台のエレベーター00.jpgて外に出る。手摺にロープを忘れて来たことに気付き、またエレベーターに乗るが、エレベーターは階の途中で止まってしまう(ビルの管理人が電源スイッチを切って帰ったため)。ジュリアンは脱出しょうとするが果たせず、フロランスとの約束の時間は過ぎていく。彼を待つフロランスは次第に不安にかられ、彼を求めて夜のパリを彷徨う。一方、花屋の売り子ベロニック(ヨリ・ベルダン)とチンピラのルイ(ジョルジュ・プージュリ「死刑台のエレベーター」 il2.jpgー)は、ジュリアンの車を盗んで郊外に出る(車内には小型カメラ、拳銃がある)。前を走るスポーツカーの後についてあるモーテルに着くと、ジュリアン・タベルニエ夫婦と偽って投宿し、スポーツカーの持主のドイツ人夫婦と知り合ってパーティに呼ばれ、遊び半分にカメラで写真を撮った後、モーテルの現像屋へフィルムを出す。二人はスポーツカーを盗もうとして見つかり夫婦を射殺して逃げるが、アパートにも戻ってから怖くなり心中を図る―。

 先にスタンリー・キューブリック(1928-1999/享年70)監督の劇場デビュー作「現金に体を張れ」('56年/米)を取り上げましたが、この時キューブリックは28歳、これに対し、このルイ・マル(1932-1995/享年63歳)のノエル・カレフのサスペンス小説を原作とした「死刑台のエレベーター」('56年/仏)は、彼が25歳の時の実質デビュー作で、ルイ・マル監督の出世作となりました。

 最初に観て以来ずっと傑作だと思っているのですが、ウェブなどで見ると必ずしも評価が高くなかったりもし、今回久しぶりに観直してみて、主人公が犯行時に凡ミスをしたりするプロット面でケチがつくのかなあと。更に、後半の若者たちの犯行の部分はかなり記憶が薄れていたのですが、今観ると、タイミングよく(折悪く)偶然が重なったり、状況証拠だけで殺人がバレたような終わり方になっていのも、ミステリとしての弱さがあるのかも。でも、個人的にはやはりヌーヴェル・ヴァーグ傑作だと思っています。

モーリス・ロネ 死刑台のエレベータ  .jpg 後から付いてくる理屈はともかく、観ている間は、リアリスティックな映像によってサスペンスフルな雰囲気にどっぷり浸れます。それと何と言っても、モーリス・ロネとジャンヌ・モローが演じる主人公2人の描き方が良く、熱愛という感じではなく2人共人生に倦んでいるような感じでしょうか。もう一組の若者たちも、主人公らと対比的に描かれていると言うよりはむしろ同類かも。

Shikei dai no erebêtâ (1958).jpg死刑台のエレベーター01.jpg こうした緊迫感にアンニュイ感が入り交じったような映像世界にしっくり合っているのが、マイルス・デイヴィスのジャズトランペットで、特に、恋人モーリス・ロネからの連絡が無く、不安の裡にパリの街を彷徨うジャンヌ・モローの姿にマイルス・デイヴィスのトランペットが被るシーンは何とも言えないムードを醸していて素晴らしく、映像と音楽が旨く融合するとスゴイ訴求力になると改めて思いました。

Shikei dai no erebêtâ (1958)

死刑台のエレベーター マイルス.jpg この作品は超低予算映画ということでも知られていて、それにしては"帝王"マイルス・デイヴィスが演奏しているではないかと疑問に思われますが、マイルスがたまたまパリに演奏公演に来ていたのを、ルイ・マル監督が一晩借り受けて、ラッシュに合わせ即興で演奏してもらったということです。
   
ブルースタジオ_20201215_.jpg(●2020年にシネマブルースタジオでニュープリント版で再見した。モーリス・ロネ演じる主人公ジュリアンが犯行に使ったロープを現場にそのままにしてしまうというミスは、犯行を終えたちょうどその時に自分の部屋の方の電話が鳴っていて、出ないと怪しまれると思って焦った結果、ロープの方が意識から飛んでしまったためだった。人間は緊張すると短期記憶が弱くなることがあるらしい。主人公は"密室殺人"を完成させたかに見えたが、元来は犯罪のプロではない素人であり、その意味では凡ミスだがリアリティがあったように思われた。そのようにして見ていくと、元々ミステリとして洗練されたものを目指しているのではなく、主人公らの計画が偶然により狂っていく過程をリアリティを重視しながら描いているように思えた。

 因みに、タイトルは「死刑台のエレベーター」だが、死刑になるのはドイツ人夫妻殺人犯である若者で、ジュリアンもフロランスも有期刑となるだろうことが警部によって示唆されている。シェリエ警部は「ジュリアンは10年で出てこれるでしょうが、奥さんには陪審員も厳しいでしょう。20年か30年は覚悟するんですな」と言う。フロランスが最後に独白する台詞は「10年、20年、無意味な月日が続く..」。この台詞には、ナチス・ドイツと闘ったはずのフランスが、立場一転、植民地の宗主国として非道に振舞い続けていることへの皮肉が込められているという。そう言えば、殺される社長はベトナム、アルジェリアで稼ぐ戦争商人だった。となると本作は、単なる「愛と犯罪のサスペンス・ドラマ」で片付けることの出来なくなるかも。でも、単にサスペンス・ドラマとして楽しんでもそれはそれでいいと思う。)          

シネマブルースタジオ(20-12-15)

 

モーリス・ロネ in「太陽がいっぱい」('60年/仏)/「鬼火」('63年/仏)
モーリス・ロネ 太陽がいっぱい.jpg モーリス・ロネ 鬼火.jpg

死刑台のエレベーター.jpg「死刑台のエレベーター」●原題:ASCENSEUR POUR L'ECHAFAUD(英:ELEVATOR TO THE GALLOWS)●制作年:1957年●制ノエル・カレフ「死刑台のエレベーター」.jpgモーリス・ロネ 死刑台のエレベータ .jpg作国:フランス●監督:ルイ・マル●製作:ジャン・スイリエール●脚本:ロジェ・ニミエ/ルイ・マル●撮影:アンリ・ドカエ●音楽:マイルス・デイヴィス●原作:ノエル・カレフ「死刑台のエレベーター」●時間:95分●出演:モーリス・ロネジャンヌ・モロー/ジョルジュ・プージュリー/リノ・ヴァンチュラ/ヨリ・ヴェルタン/シャルル・デネ/ジャン=クロード・ブリアリ死刑台のエレベーター8.jpg(ノンクレジット)●日本公開:1958/09●配給:ユニオン●最初に観た場所:新宿アートビレッジ (79-02-10)●2回目:新宿アート新宿アートビレッジ3.pngビレッジ (79-02-10)●3回目:高田馬場・ACTミニシアター(82-10-03)●4回目:六本木・俳優座シネマテン(85-02-10)●5回目(ニュープリント版):北千住・シネマブルースタジオ(20-12-15)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「恐怖の報酬」(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)/(3回目):「大人は判ってくれない」(フランソワ・トリュフォー) 
新宿アートビレッジ (歌舞伎町ジャズ喫茶「タロー」3F、16ミリ専門の上映館・席数40) 1980(昭和55)年に活動停止

新宿アートビレッジ上映予告(青島幸男 企画・製作・原作・脚本・監督・主演「鐘」('66年)・萩本欽一 企画・製作・監督・主演「手」('69年))
アートビレッジ.jpg

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自殺をする人は、自分で自分が自殺するという「脚本」を書いている。アランの孤独は現代人に通ず。

LE FEU FOLLET.bmp 鬼火dvd.jpg  鬼火.jpg  ドリュ・ラ・ロシェル『ゆらめく炎』2.jpg
鬼火 [DVD]」「鬼火 [DVD]」 ピエール・ドリュ・ラ・ロシェル 「人間の文学〈第8〉ゆらめく炎 (1967年)
鬼火 ポスター.jpgLE FEU FOLLET (輸入版DVD)

 アルコール中毒で治療院に入院し、死にとりつかれたアラン(モーリス・ロネ)という男の、彼が自殺に至るまでの最後の48時間を追った作品で、1963年のヴェネツィア国際映画祭における審査員特別賞ならびにイタリア批評家賞受賞作。原作は、ピエール・ドリュ・ラ・ロシェルの『ゆらめく炎』('80年/河出書房新社)であり、この原作者自身も自殺しています。

鬼火B9.jpg アランは、治療院を一時出てパリにLe Feu follet2.jpg行き、旧友と再会したりしますが、彼らはあまりに凡庸なマイホーム主義の中に自己を埋没させていて、彼はその凡庸さを嫌悪します。或いは、かつての恋人エヴァ(ジャンヌ・モロー)の場合だと、彼を受け容れはするものの、彼女自身が麻薬漬けの退廃生活に陥ってしまっていて、やはり、アランに生き方の指針を示すようなものではありませんでした。

鬼火11.jpg 彼の厭世観と孤独は深まるばかりで、医者に禁じられているアルコールにも手を出し、そうしながらも、昔馴染みのソランジュ(アレクサンドラ・スチュワルト)が催す晩餐会に出たりもしますが、誰も彼の話すことを理解しようとはせず、一層疎外感を募らせるだけで、この映画の登場人物で最もアランのことを理解していると思われるソランジュさえも、「気の毒な人」という感じでアラン見送るほかありません。
Le Feu follet3.gif
 アランは晩餐会の翌朝、治療院に戻り、読みかけのフィッツジェラルドの本(『華麗なるギャツビー』)を読み終えると、ピストルで自分の人生の幕を静かにおろします。「僕は自殺する。君達も僕を愛さず、僕も君達を愛さなかったからだ。だらしのない関係を緊め直すため、君達のぬぐいがたい汚点を残してやる」と書いた手紙を残し。

鬼火7.jpg アランが自殺したのは7月23日で、これは冒頭の治療院の場面で壁の鏡に書かれていた日と同じで鬼火09.jpgあり、彼は最初から自殺を決意していたことがわかります。確かにアランの抱える虚無感は根深いものがあります。但し、この作品を観て先ず思ったことは、自殺をする人というのは、自分で自分が自殺するというストーリーの「脚本」を書いているという面があるのではないかということです。この映画ぐらい、そのことがよくわかる映画は無く、個人的には、もしも自殺を考えている人がこの映画を観たら逆に踏みとどまるのではないかという気もします。

LE FEU FOLLET1.bmp エリック・サティ(1866-1925)のピアノが、淡々とした描写を自然に繋いでいて、時にそれは死への甘美なる誘いを醸しているようにも思えます。モーリス・ロネ(1927-1983/享年55)の抑制の効いた演技も素鬼火パンフ.jpg晴らしく、アランという複雑な性格の主人公を、驚異的な集中力をもって演じていたように思います。

 今思うに、アランの純粋さは、「シゾイド」(統合失調質)型の人格の特徴と一致するかも。あまりに純粋過ぎて、「世間」と妥協することでできない気質であるともとれます。ただ、「アル中」であり「シゾイド」であるとなると、アランのケースは何か特殊なもののように思われそうですが、飲み友達は多くいても(アランはかつては社交会で鳴らした存在だった)、真に価値観を共有したり、心を通わせ合ったりする友人はいないという点では、アランの孤独は、現代人の孤独に通じるものがあるように思います。

「鬼火」 パンフレット

鬼火6J.jpg鬼火0U.jpg「鬼火」●原題:LE FEU FOLLET(英:THE FIRE WITHIN)●制作年:1963年●制作国:フランス●監督・脚本:ルイ・マル●撮影:ギスラン・クロケ●音楽:エリック・サティ●原作:ピエール・ドリュ・ラ・ロシェル「ゆらめく炎」●時間:108分●出演:モーリス・ロネ/ベjeanne_moreau_feu_follet-1.jpgLe feu follet(1963).jpgルナール・ノエル/ジャンヌ・モロー/レナ・スケルラ/アレクサンドラ・スチュワルト/イヴォンヌ・クレシュ/ユベール・デシャン/ジャン=ポール・ムリノ/モナ・ドール●日本公開:1977/08●配給:フランス映画社●最初に観た場所:池袋文芸坐 (78-02-20)●2回目:有楽シネマ (80-05-25)●3回目:有楽シネマ (80-05-25)●4回目:六本木・俳優座シネマテン(96-12-01)(評価:文芸坐.jpg文芸坐休館.jpg★★★★★)●併映(1回目):「ローマに散る」(フランチェスコ・ロージ) 池袋文芸坐(旧) 1956(昭和31)年3月20日オープン、1997(平成9)年3月6日閉館/2000(平成12)年12月12日〜「新文芸坐」
Le feu follet(1963)
モーリス・ロネ in「死刑台のエレベーター」('57年/仏)/「太陽がいっぱい」('60年/仏)
モーリス・ロネ 死刑台のエレベーター00.jpgモーリス・ロネ 太陽がいっぱい.jpg

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下層社会に暮らす少年の鬱屈と抵抗を、自らの体験に近いところで描くリアリティ。だが、文学作品の映画化は難しい。
『長距離走者の孤独』  .JPG長距離走者の孤独.jpg  長距離ランナーの孤独.jpg Alan Sillitoe.jpg Alan Sillitoe
長距離走者の孤独 (新潮文庫)』/映画「長距ランナーの孤独」('62年)
カバー:池田満寿夫

「長距離走者の孤独」.jpg 新潮文庫版は、1958年に発表された「長距離走者の孤独」(The Loneliness of the Long Distance Runner)をはじめ、アラン・シリトー(Alan Sillitoe、1928‐2010の8編の中短編を収めていますが、貧しい家庭で育ち、盗みを働いて感化院に送られた少年の独白体で綴られた表題作が、内容的にも表現的にも群を抜いています。

 アラン・シリトーにはこの他にも、『土曜の夜と日曜の朝』といった代表作がありますが、それらと比べても印象に残LonelinessLongRunner.jpg長距離ランナーの孤独1.jpgっているし、トニー・リチャードソン(Tony Richardson、1928-1991)監督の映画化作品「長距離ランナーの孤独」('62年/英)も有名です。主人公を演じたのはトム・コートネイで、舞台出身ですが、映画はこの作品が実質初出演で初主演でした(後に、「魚が出てきた日」('67年)、「イワン・デニーソヴィチの一日」('74年)などで主演することになる)。
"Loneliness of Long Distance Runner" (1962/UK)/日本版VHS(絶版)

 もともと原作が手記形式なので、映画で主人公が長距離走において遅れてゴールした後ニヤリと笑うなど、映像での表現上やや説明的にならざるを得ないのはいたし方ないか(原作では、他人からは泣きそうになっているように見えるだろうが、実はこれ、"勝利の嬉し泣き"をこらえていたのだ、ということになっている。映画脚本はシリトー自身)。

ホテル・ニューハンプシャー 1.jpgホテル・ニューハンプシャー 0.jpg トニー・リチャードソンは、文芸作品の映画化の名手で、ジョン・アーヴィング原作の映画化作品「ホテル・ニューハンプシャー」('84年/米・英・カナダ) もこの監督によるものであり、これはホテルを経営する家族の物語ですが、ジョディーフォスター、ロブ・ロウ、ナスターシャ・キンスキーという取り合わせが今思ホテル・ニューハンプシャー 01.jpgえば豪華。少なくとも1人(J・フォスター演じるフラニー)乃至2人(N・キンスキー演じる"熊のスージー")の女性登場人物がレイプされて心の傷を負っており、また家族が次々と死んでいく話なのに、観終わった印象は暗くないという、不思議な映画でした(「ガープの世界」もそうだが、ジョン・アーヴィング作品の登場人物は、何かにつけてモーレツと言うか極端な人が多い)。

マドモアゼル [DVD]」Tony Richardson/with Vanessa Redgrave on the set of the 1967 film The Sailor from Gibraltar
マドモアゼル DVD2.jpgトニー・リチャードソン.jpgVanessa Redgrave and Tony Richardson.jpg トニー・リチャードソンは、女優のヴァネッサ・レッドグレイヴと結婚し、2人の娘がいましたが、「二十四時間の情事」('59年/日・仏)、「かくも長き不在」('61年/仏)の原作者でもあるマルグリット・デュラス原作の「マドモアゼル」('66年/仏)の撮影でジャンヌ・モローと恋に落ち、1967年にレッドグレイヴと離婚しています。彼はバイセクシュアルで、1991年、エイズによる合併症のため亡くなっていますが、その死を看取ったのはジャンヌ・モローでした。シーラ・ディレーニーの『蜜の味』などの文芸作品も映画化していますが、「マドモアゼル」の翌年に撮られたマルグリット・デュラス原作の「ジブラルタルの追想」('67年/英)と、ウラジミール・ナボコフが原作の「悪魔のような恋人」('69年/英)を名画座ジブラルタルの追想2.pngで二本立てで観ました。

映画プレスシート/ジャンヌ・モロー「ジブラルタルの追想」

「ジブラルタルの追想」.jpgジャンヌ・モロー2.png マルグリット・デュラスTHE SAILOR FROM GIBRALTAR PERFORMER.jpg原作の「ジブラルタルの追想」は、イタリア旅行中の青年がジブラルタルででアンナ(ジャンヌ・モロー)という女性と出会い、アランの方は彼女を真剣に愛し始めるが、アンナは楽しさだけでアランに身を任せている印象で、そんなジブラルタルの追想o.jpg折、アンナの行方知らずとなっていた恋人が現われたというニュースが飛び込んでくる-というストーリー。一部ミュージカル仕立てで、唄っているジャンヌ・モローが綺麗ですが映画自体は凡庸で(あくまでも個人的印象であって、女性映画の傑作とする人もいる)、やはり文学作品を映画化してその本質を損なわないようにするのは往々にして難しいのかと思いました(因みにジブラルタルはヨーロッパ大陸で唯一今も残る英国植民地で、ここからアフリカ大陸が見渡せるが、自分が旅行した頃は軍事基地があるという理由で近づけなかった。但し、今は観光地化して旅行者に比較的オープンになっている。アフリカ大陸はジブラルタルの手前からでも見渡せた)。
映画プレスシート ジャンヌ・モロー「ジブラルタルの追想」」 ('67年/英)

映画プレスシート/アンナ・カリーナ「悪魔のような恋人」
悪魔のような恋人3.jpg悪魔のような恋人9.jpg「悪魔のような恋人」 vhs.png 一方、ナボコフ原作の「悪魔のような恋人」は、金持ちの画商が小悪のような少「悪魔のような恋人」 カリーナ.jpg 女に破滅させられていく話なのですが、アンナ・カリーナの蠱惑的魅力を十分に引き出して佳作に仕上げており(この作品のアンナ・カリーナが演じる女性はかなり残忍でもある)、「ホテル・ニューハンプシャー」の成功に繋がる"文芸監督"の素地がこの頃からあったと―。

Alan Sillitoe
Alan Sillitoe2.jpg アラン・シリトー原作の『長距離走者の孤独』のストーリー自体はシンプルで、書けば"ネタばれ"になってしまうのですが(もう一部書いてしまったが、と言っても、広く知られているラストだが)、ラスト以外でのこの作品の優れた点は、主人公の少年コリンが友人と共にパン屋に強盗に入ったために捕まる場面で、刑事が自宅に捜索に来た時の主人公の心理などは、作者の体験談ではないかと思われるぐらい目いっぱいの臨場感があります。

 アラン・シリトーは、50年代に登場し偽善的な体制や権力者を糾弾した《怒れる若者たち》と呼ばれる作家グループの1人ですが、このグループに属するとされる『怒りをこめてふりかえれ』のジョン・オズボーンや『急いで駆け降りよ』のジョン・ウェインなどは、概ね一流大学出身で大学に教職を得た知識人であるのに対し、シリトーは、工場労働者の家庭の出身で、自らも熟練工員でした。

 結局、《怒れる若者たち》の作家達の作品群で、今世紀になっても最も読み継がれている作品を1つ挙げるとすれば『長距離走者の孤独』になるわけで、その理由として、シンプルだが象徴的な結末と併せて、下層社会に暮らす少年の鬱屈と抵抗を、自らの体験に近いところで描いていることからくるリアリティが挙げられるのではないかと思います。

長距離ランナーの孤独  .jpg「長距離ランナーの孤独」.jpg「長距離ランナーの孤独」●原題:THE LONELINESS OF THE LONG DISTANCE RUNNER●制作年:1962年●制作国:イギリス●監督・製作:トニー・リチャードソン●脚本:スタンリー・ワイザー/アラン・シリトー●撮影:ウォルター・ラサリー●音楽:ジョン・アディソン●原作:アラン・シリトー●時間:104分●出演:トム・コートネイ/マイケル・レッドグレイヴ/ピーター・マッデン/ウィリアム・フォックス/トプシー・ジェーン/ジュリア・フォスター/フランク・フィンレイ●日本公開:1964/06●配給:昭映(評価:★★★)

イワン・デニーソヴィチの一日0.jpgイワン・デニーソヴィチの一日 チラシ.jpg「イワン・デニーソヴィチの一日」●原題:ONE DAY IN THE LIFE OF IWAN DENISOVICH●制作年:1971年●制作国:イギリス●製作・監督:キャスパー・リード●音楽:アーン・ノーディム●原作:アレクサンドル・ソルジェニーツィン●時間:100分●出演:トム・コートネイ/アルフレッド・バーク/ジェームズ・マックスウェル/エリック・トンプソン/エスペン・スクジョンバーグ●日本公開:1974/06●配給:NCC●最初に観た場所:池袋文芸坐(79-11-16) (評価★★★)●併映「エゴール・ブルイチョフ」(セルゲイ・ソロビヨフ)

「魚が出てきた日」●原題:THE DAY THE FISH COME OUT●制作年:1967年●制作国:アメリカ●監督・製作・脚本:マイケル・カコヤニス●撮影:ウォルター・ラサリー●音楽:ミキス・テオドラキス●時魚が出てきた日ps3.jpgTHE DAY THE FISH COME OUT 1967 .jpgキャンディス・バーゲンM23.jpg間:110分●出演:トム・コートネイキャンディス・バーゲン/サム・ワナメーカー/コリン・ブレークリー/アイヴァン・オグルヴィ/ディミトリス・ニコライデス/ニコラス・アレクション●日本公開:1968/06●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:中野武蔵野館(78-02-24)(評価:★★★☆)●併映:「地球に落ちてきた男」(ニコラス・ローグ)

ホテル・ニューハンプシャー dvd.jpgホテル・ニューハンプシャー02.jpg「ホテル・ニューハンプシャー」●原題:THE HOTEL NEW HAMPSHIRE●制作年:1984年●制作国:アメリカ・イギリス・カナダ●監督:トニー・リチャードソン●製作:ニール・ハートレイ/ピーター・クルーネンバーグ/デヴィッド・J・パターソン●脚本:トニー・リチャードソン●撮影:デイヴィッド・ワトキン●音楽:レイモンド・レッパード●原作:ジョン・アーヴィング「ホテル・ニューハンプシャー」●時間:109分●出演:ジョディーフォスタ/ロブ・ロウ/ボー・ブリッジス/ナスターシャ・キンスキー/フィルフォード・ブリムリー/ポール・マクレーン/マシュー・モディン●日本公開:1986/07●配給:松竹富士●最初に観た場所:三軒茶屋東映(87-01-25)(評価:★★★★)●併映:「プレンティ」(フレッド・スケピシ)ホテル・ニューハンプシャー [DVD]

ジブラルタルの追想ド.jpgジブラルタルの追想-orson-welles-ジブラルタルの追想.jpg「ジブラルタルの追想」●原題:THE SAILOR FROM GIBRALTAR●制作年:1967年●制作国:イギリス●監督:トニー・リチャードソン●製作:オスカー・リュウェンスティン●脚本:クリストファー・イシャーウッド/ドン・マグナー/トニー・リチャードソン●撮影:ラウール・クタール●音楽:アントワーヌ・デュアメル●原作:マルグリット・デュラス「ジ新湯 ジブラルタルの水夫.jpgジブラルタルの水夫 (ハヤカワ文庫 NV 16).jpgブラルタルから来た水夫(ジブラルタルの水夫)」●時ジブラルタルの水夫.jpgIan Bannen & Vanessa Redgrave.jpg間:90分●出演:ジャンヌ・モロー/イアン・バネン/オーソン・ウェルズヴァネッサ・レッドグレーヴ/ヒュー・グリフィス/ウンベルト・オルシーニ/ジョン・ハート●日本公開:1967/11●配給:ユナイテッド・アーチスツ●最初に観た場所:大塚名画座(78-12-12)(評価:★★☆)●併映:「悪魔のような恋人」(トニー・リチャードソン)
マルグリット・デュラス『ジブラルタルの水夫』['67年/ハヤカワ・ノヴェルズ]2025.6.7 蓼科親湯温泉にて/『ジブラルタルの水夫 (ハヤカワ文庫 NV 16)』『ジブラルタルの水夫』[Kindle版] Ian Bannen & Vanessa Redgrave

「悪魔のような恋人」●原題:LAUGHTER IN THE DARK●制作年:1969年●制作国:イギリス●監督:トニー・リチャードソン●製作:ニール・ハートリー/エリオット・カストナー●脚本:エドワード・ボンド●撮影:ディック・ブッシュ●音楽:レイモンド・レパード●原作:ウラジミール・ナボコフ「欲望」●時間:104分●出演:ニコル・ウィリアムソ悪魔のような恋人8.jpgLaughter in the Dark2.jpgン/アンナ・カリーナジャン=クロード・ドルオ/ピーター・ボウルズ/シアン・フィリップス/セバスチャン・ブレイク/ケイト・オトゥール/エドワード・ガードナー/シーラ・バーレル/ウィロビー・ゴダード/バジル・ディグナム/フィリッパ・ウルクハート(●日本公開:1969/05●配給:ユナイテッド・アーチスツ●最初に観た場所:大塚名画座(78-12-12)(評価:★★★★)●併映:「ジブラルタルの追想」(トニー・リチャードソ大塚駅付近.jpg大塚名画座 予定表.jpg大塚名画座4.jpg大塚名画座.jpgン)
大塚名画座(鈴本キネマ)(大塚名画座のあった上階は現在は居酒屋「さくら水産」) 1987(昭和62)年6月14日閉館


 
  

『長距離走者の孤独』.JPG【1973年文庫化[新潮文庫]/1978年再文庫化[集英社文庫]】

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