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時間の経過とともにだんだん佳作に思えてきた(年齢のせい?)。 脇役陣が結構しっかりしてた。

「帰らざる日々 [DVD]」永島敏行/浅野真弓/竹田かほり/江藤潤

早朝の新宿駅、飯田行き急行に乗りこむ野崎辰雄(永島敏行)。父・文雄の突然の訃報が作家を志していた辰雄に6年振りの帰郷を促したのである。―1972年、夏、辰雄の母、加代(朝丘雪路)は若い女のもとに走った夫・文雄(草薙幸二郎)と別居し母一人子一人の生活を送っていた。高校三年だった辰雄は溜り場の喫茶店の真紀子(浅野真弓)に思いを寄せていた。そんな辰雄の前に真紀子と親しげな同じ高校の隆三(江藤潤)が現われた。マラソン大会があった日、辰雄は隆三に挑んだが、デッドヒー
トの末、かわされてしまう(実は隆三はズルしていたのだが)。数日後、辰雄の気持を知った隆三は、辰雄をからかうが、隆三と真紀子がいとこ同志とも知らず、むきになる辰雄に隆三は次第に好意を持つようになる。卒業後、東京に出ようと思う辰雄、学校をやめて競輪学校に入る夢を持つ隆三、そして真紀子の三人は徐々に友情を深めていく。夏休み、盆踊りのあった晩、辰雄と隆三は真紀子が中村(中尾彬)という妻のいる男と交際しており、既に子供を宿していると知らされ、裏切られた気持で夜の街を彷徨い歩く。翌日、二日酔でアルバイトをしていると、隆三が辰雄を助けようとして足に大怪我を負ってしまい、彼の競輪への夢も潰える。飯田に近づくと、辰雄は見送りに来ていた同棲中の螢子(根岸とし江)が列車に乗っているのを見つけた。それは彼の母に会いたい一心の行為であり、結局辰雄は螢子を連れていくことになる。飯田に着くと、父は隆三の運転する車で轢死したことを知らされる。隆三も重傷を負っており、昏睡状態の彼を前に、辰雄は6年前の苦い思い出を噛み締めるる。父の葬儀の夜、真紀子が北海道に渡ったことを知らされる。翌朝、かつて隆三と走った道を歯を食い締って走る辰雄と、その後を自転車で追う螢子の姿があった―。
藤田敏八(1932‐1997/享年65)監督の1978(昭和53)年公開作で、中岡京平の原作「夏の栄光」は第3回「城戸賞」を受賞(1979年4月、第2回「日本アカデミー賞」で最優秀脚本賞に最年少の23歳でノミネート)、映画も1978年・第2回「山路ふみ子映画賞」を受賞し、1978年度 第52回キネマ旬報ベストテンで「読者選出日本映画ベスト・テン第1位」となっています。
脚本家 中岡京平トークショ-/シネマ・ウエーブ・イイダ創立10周年スペシャル・イベント(2012年9月29日|会場:センゲキシネマズ)
キャバレーのボーイをしている青年を演じた永島敏行(1956年生まれ)は、同年「サード」('78年/ATG)で映画初主演したばかりで、江藤潤(1951年生まれ)の方が「祭りの準備」('75年/ATG)で先に主演したりしているせいか、一応、この作品の主演ということになっているようですが、どちらが主人公かと言えば、永島敏行が演じる野崎辰雄青年の方です。かつて江藤潤が演じた「祭りの準備」の主人公と同じく作家(脚本家)志望と言うことで、中岡京平の自伝的要素が織り込まれているのでしょう(中岡京平は3歳の頃に長野県飯田市に転居し、高校卒業後に上京、アルバイトの傍ら、独学でシナリオを習得したという)。
物語は1978年26歳の現在から、1972年18歳の高校3年の夏を振り返りつつ、舞台も現在の東京から高校時代の長野県飯田に向かいそこで終わるという構成で、これを'79年に名画座で観た時は、70年代の鬱屈した時代の雰囲気が肌に合わなかったせいか、それほどいいと思わなかったのですが、テレビの深夜枠で放送されたのを再見したりするうちに、時間の経過とともにだんだん佳作に思えてきて、今回、43年ぶりに映画館でちゃんと観てみると、そうした時代が懐かしく思えて、しかも、ラストはちょっと泣けました(年齢のせい?)。
若い男の子が年上の女性に惹かれるって、よくあるパターンだなあ。永島敏行演じる主人公の辰雄が思いを寄せる喫茶店のウェートレス・真紀子を演じたのは浅野真弓(1957年生まれ)。彼女ほどの美人であればなおさらのことでしょう(NHKの少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」('71年)(原作:筒井康隆)でヒロインを演じていた島田淳子という少女が後の浅野真弓だとかなり後になって知ったが、'84年にミュージシャンの柳ジョージと結婚し、芸能界から引退した)。
辰雄は、中学校の同級生の由美が自分のことを好いてくれているのに、その気持ちには応えてあげれない。そのくせ、二人きりになると手を出してしまうのだが、これは由美の方が誘ったのか。
竹田かほり(1958年生まれ)は、この由美のような役をやるの(上手いと言うよりも)向いていたなあ(彼女は、同じ年['78年]からの「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」('78年)を1作目とするにっかつ「桃尻娘シリーズ」で人気を得、松田優作主演の日本テレビのドラマ「探偵物語」('79-'80年)では、ナンシー・チェニーと共にマスコット的な役割として出ていた
が、こちらも'82年にミュージシャンの甲斐よしひろと結婚し、芸能界から引退した)。


「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」(竹田かほり・亜湖)
「探偵物語」(竹田かほり・倍賞美津子・ 松田優作・ナンシー・チェニー)
'80年に根岸季衣と改名する前の根岸とし江が出ていて(1954年生まれ、女優としては現時点['22年]でも完全に現役で、一方で、反原発運動もやっている)、辰雄の母親役の朝丘雪路はスナックのママらしく、由美の母親役の吉行和子(1935年生まれ、この人も女優としては現時点['22年]で現役)は小料理屋の女将しく、その愛人役の中村敦夫は男気あるヤクザらしく、真紀子を孕ませた中村役の中尾彬はプレイボーイらしく、小松方正は公金横領の末に地方に逃げて最後に首を吊る男らしく(笑)―と、脇役陣が結構しっかりした映画だったと改めて思いました。
因みに、テーマ曲の「帰らざる日々」は、作詞した谷村新司曰く、この曲は「女の子が睡眠薬を飲んで、電話越しに自死していく様子を歌った歌」とのこと。確かにそういう内容の歌詞です(最初はブレイク前のアルフィー(THE ALFEE)に提供するつもりで作ったのが、坂崎幸之助が「ちょっと僕らには重い」と辞退したという)。'76年にリリースされていて、'78年に映画「帰らざる日々」の主題歌に採用され、同年に再ヒットしています(同年、西城秀樹がカバーし、後に研ナオコ、ピーター、柏原芳恵もカバーした)。
竹田かほり
「帰らざる日々」●制作年:1978年●監督:藤田敏八●製作:岡田裕●脚本:藤田敏八/中岡京平●撮影:前田米造●音楽:アリス(主題歌「帰らざる日々」作詞・作曲:谷村新司
)●原作:中岡京平●時間:99分●出演:江藤潤/永島敏行/朝丘雪路/根岸とし江(根岸季衣)/浅野真弓/竹田かほり/中村敦夫/中尾彬/吉行和子/小松方正/草薙幸二郎/丹波義隆/加山麗子/阿部敏郎/高品正広/深見博/加山麗子/日夏たより●公開:1978/08●配給:日活●最初に観た場所:飯田橋・ギンレイホール(79-05-23)●2回目:神田・神保町シアター(22-08-28)(評価:★★★★)●併映(1回目):「八月の濡れた砂」/「赤い鳥逃げた?」(藤田敏八)
谷村 新司(たにむら・しんじ)
シンガーソングライター。2023年10月8日、心不全のため死去。74歳。3月に腸炎の手術受けていた。アリス(谷村、堀内孝雄、矢沢透)のリーダー。

中尾 彬(なかお・あきら)
俳優。2024年5月16日、心不全のため死去。81歳。妻の池波志乃が最期を看取った。映画「内海の輪」「本陣殺人事件」に主演。


ギンレイホール 1974年1月3日飯田橋にオープン 2022年11月27日閉館

ある夏休み。長崎市街から少し離れた山村に住む老女・鉦(村瀬幸子)に1通の航空便が届く。ハワイで農園を営む鉦の兄・錫二郎が不治の病にかかり、死ぬ前に鉦に会いたいとの内容で、鉦の代わりに息子・忠雄(井川比佐志)と娘・良江(根岸季衣)がハワイへ飛んだ。そのため4人の孫が鉦のもとにやって来た。ハワイから忠雄の手紙が届き、錫二郎が妹に会いたがっているため、孫と一緒にハワイに来てほしいと伝えてくるが、鉦は錫二郎が思い出せないとハワイ
行きを拒む。都会の生活に慣れた孫たちは田舎の生活に退屈していたが、原爆ゆかりの場所を見て回ったり、祖母の原爆体験の話を聞くうちに、原爆で夫を亡くした鉦の気持ちを次第に理解していく。やがてハワイ行きの
決断を促す手紙が届き、鉦は原爆忌が終わってから行くことを決意し電報を出す。それと行き違いに忠雄と良江が帰国、手紙に原爆のことを書いたのは、アメリカ人に原爆の話はまずかったと落胆する。そこへ錫二郎の息子のクラーク(リチャード・ギア)が来日、空港に出迎えた忠雄はその意図を理解できなかったが、クラークは「ワタシタチ、オジサンノコトシッテ、ミンナナキマシタ」と語り、おじさんが亡くなった
場所へ行きたいと頼む。その夜、庭の縁台でクラークは鉦に、おじさんのことを知らなくて「スミマセンデシタ」と謝る。鉦は「よかとですよ」と答え、二人は固い握手を交わす。8月9日、鉦は念仏堂で近所の老人たちと読経する。クラークは父の死去を伝える電報を受け取り、急遽帰国する。鉦はやっと錫二郎を思い出し、その死を悲しむが、その後様子が変になり、雷雨の夜に突然「ピカが来た」と叫ぶ。翌日、キノコ雲のような雷雲が空に広がり、鉦は長崎の方へ駆け出して行く。豪雨となり、孫たちや息子たちは祖母を追いかける―。
黒澤自身はこの作品について、「ラストのあのシーンで笑ってくれ」と言ったそうですが(つまり、鉦おばあさんが豪雨の中で風に立ち
向かい、そこにシューベルトの「野ばら」の合唱が流れる場面のことになる。個人的には、黒澤明には"風男"という異名がある(都築政昭『
原作である「
例えば、そのエッセイの中に、「主人公の祖母が純文学的造形であるのにくらべ、孫達は通俗小説的可もなく不可もなくで、親はマンガタッチである。この原因はなんだろうと暗闇の中でかんがえた。祖母が映画の中でしっかりと個性を持って立っているのは、原作の造形にわりと忠実に沿っているためだが、孫達はストーリーの幕引き以上の役をここでは持たされていないため、ただ可愛いだけなのである。親達は原作には出てこない映画だけの登場人物であるため、作りがもうひとつ浅いのだろう」といった文章もあります(因みに、原作は孫娘の視点から描かれている)。
この映画は、アメリカでは、芸術性とは異なった部分で評判がイマイチでした。それは、リチャード・ギア演じるクラークが「すみませんでした」「私たち悪かった」と鉦おばあちゃんに謝っている場面が、アメリカ人であるクラークが原爆投下を「すみませんでした」「悪かった」と謝罪していると捉えられたためのようです。実際には、「私たち」は、「鉦の兄であるハワイに移民した錫二郎やクラークらの一家」のことであり、「すみませんでした」は「鉦おばあちゃんの夫が被爆死したことを知らなかった」ことに対してなのですが、そのことが分からず、井川比佐志、根岸季衣らが演じる親たちが、「クラークさんが謝りに来る」とただただ慌てふためく場面もあったりして、これが皮肉にも、観る側にとっての誤解にも結びついたのかもしれません(因みに、原作ではクラークは手紙でしか登場しない)。
『COUNTDOWN 1945』は、戦争終結のための選択肢は、本土決戦か原爆投下の2つに1つであったという論調ですが、例えば長崎への2回目の原爆投下についてはどうか。広島への原爆投下のたった3日後に、再び無警告で長崎への原爆投下を行ったことは、広島の原爆以上に正当化しえない殺戮だったのではないかと思われます。このことを、2008年にノーベル化学賞を受賞した故・
一郎/茅島成美/リチャード・ギア/松本克平/牧よし子/本間文子/川上夏代/音羽久米子/木田三千雄/東静子/堺左千夫/夏木順平/川口節子/槇ひろ子/加藤茂雄/歌澤寅右衛門/門脇三郎●公開:1991/05●配給:松竹●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(20-08-19)(評価:★★★☆)





直木賞の選評を見ると、8人の選考委員のうち田辺聖子、黒岩重吾、井上ひさし、五木寛之の各氏が◎で、他の委員も概ね推している印象ですが、故・井上ひさしが、「高い質を誇っていた」と評価しつつも、「8つの短編が収められているが、内4つは大傑作であり、残る4つは大愚作である」とし、「大傑作群に共通しているのは、"死者が顕われて生者に語りかける"という趣向」であると指摘しているのが興味深いです(「この趣向で書くときの作者の力量は空恐ろしいほどだ」とも述べている)。
「鉄道員」は降旗康男監督、高倉健主演で映画化されましたが('99年/東映)、昔劇場で観た、同じ降旗康男監督、高倉健主演の「駅 STATION」('81年/東映)が、倉本聰が高倉健のために書き下ろした脚本だったためか、何だか高倉健のプロモーション映画みたいで、日本映画ワースト・テンに名を連ねることも多く、個人的にも、自殺した円谷選手の遺書のナレーションを映画の中で使うことなどに抵抗を感じ、いいと思えませんでした(小谷野敦氏が「日本語をローマ字読みしてくっつけた作品のタイトルはダサい」と言っていた(『頭の悪い日本語』('14年/新潮新書))。先にそのイメージと何となくあって、結局「鉄道員」の方は劇場で観ることはなく、テレビがビデオで観たように思います。
原作が短編なので、志村けんが酒癖の悪い炭坑夫として出て来きて炭鉱事故で亡くなる話や、その息子が成長してイタリアへ料理修業に行く話など、原作に無いエピソードで膨らませている部分はありますが、原作の持ち味(ひとことで言えば気持よく泣けるということか)はまずまず保たれていたのではないでしょうか。志村けんは
自宅の留守番電話に主演の高倉健直々の出演依頼のメッセージが入っていて驚いたとのこと。志村けんが俳優として映画出演したのは、ドリフターズの付き人時代に志村康徳名義で端役出演した「ドリフターズですよ!冒険冒険また冒険」('68年/東宝)、「ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓」('69年/東宝)の2作以外ではこの作品のみとなります(志村けんは山田洋次監督の「キネマの神様」に菅田将暉とダブル主演の予定だったが、'20年に新型コロナウイルスによる肺炎で急逝したため叶わなかった)。
これも一歩間違えばどうしようもない映画になりそうなところを、高倉健をはじめとする俳優陣の演技力で強引に持たせていたという感じがします。実際、日本アカデミー賞の主要7部門のうち、作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞(高倉健)、主演女優賞(大竹しのぶ)、助演男優賞(小林稔侍)の6部門を受賞していて、高倉健主演映画で、主要7部門中"6冠"達成は山田洋次監督の「幸福
の黄色いハンカチ」('77年/松竹)以来ですが、「幸福の黄色いハンカチ」の方は第1回日本アカデミー賞ということもあって、監督賞や脚本賞は「『男はつらいよ』シリーズ」との合わせ技でした(因みに、「駅 STATION」も作品賞、脚本賞、主演男優賞を獲っている)。「鉄道員」で獲らなかったのは助演女優賞だけで、これは広末涼子のパートになるかと思いますが、その広末涼
子さえも、けっして上手いとは言えませんが、そう悪くもなかったように思います(最優秀賞の候補にはなっている)。大竹しのぶは流石に上手ですが、やはりこの映画は高倉健なのでしょう(高倉健は'99年モントリオール世界映画祭で主演男優賞受賞)。「駅STATION」の頃より年齢を重ねて良くなっていて、これなら泣ける? 泣けるかどうかと評価はまた別だとは思いますが。降旗康男監督、高倉健のコンビは2年後に再タッグを組み「
「鉄道員(ぽっぽや)」●制作年:1999年●監督:降旗康男●脚本:岩間芳樹/降旗康男●撮影:木村大作●音楽:国吉良一(主題歌:坂本美雨「鉄道員」)●原作:浅田次郎●時間:112分●出演:高倉健/大竹しのぶ/広末涼子/吉岡秀隆/安藤政信/志村けん/奈良岡朋子/田中好子/小林稔侍/大沢さやか/安藤政信
/山田さくや/谷口紗耶香/松崎駿司/田井雅輝/平田満/中本賢/中原理恵/坂東英二/きたろう/木下ほうか/田中要次/石橋蓮司/江藤潤/大沢さやか●公開:1999/06●配給:東映(評価★★★☆)





橋雅男/榎本勝起/烏丸せつこ/田中邦衛/竜雷太/小林念侍/根津甚八/宇崎竜童/北林谷栄/藤木悠/永島敏行/古手川祐子/今福将雄/名倉良/平田昭彦/阿藤海/室田日出男●公開:1981/11●配給:東宝●最初に観た場所:テアトル池袋(82-07-24)(評価★★☆)●併映:「泥の河」(小栗康平) 




山下拓郎(役所広司)の元に拓郎が夜釣りに行っている間、妻恵美子(寺田千穂)が浮気しているという手紙が届く。ある夜釣りを早めに切り上げて家に帰って、妻の浮気現場を目撃する。拓郎は怒りを抑えきれず妻を刺殺し、そのまま自首、そして8年後に仮出所する、労役で外に出た時に捕まえたうなぎと共に外の
世界に出た拓郎は、服役中に資格をとった理髪店をひっそりと開き、身元引受人のである寺の住職(常田富士男)とその妻(倍賞美津子)に見守られ、隣家の船大工・高田重吉(佐藤允)をはじめ次第に町の人との交流も増えていく。ある日、うなぎの餌を探しに川へ行くと、川原の茂みで倒れている女を発見。女は殺した妻に瓜二つで、戸惑いながらも警察に通報し、女は睡眠薬を飲んでいたが、一命を取り留める。後日、その女・服部桂子(清水美砂)が礼に訪れ、拓郎の理髪店で働きたいと言い出す。拓郎は渋々女を受け入れ、町の住民はそれを歓迎する。しかし、桂子には何か秘密があるらしい―。
1997年の今村昌平(1926-2006)監督作で、
拓郎が出所する際に、身元引受人の寺の住職(常田富士夫)が「どうしてうなぎなんだ?」と訊く場面があり、「話を聞いてくれるんです」「それに余計なことをしゃべりませんから」と答え、その時の役所広司の演技が自然であり、また、主人公の外界との接触を避けようとする心理状況をよく表しているように思いました。但し、原作では、うなぎを飼う話などは無く、主人公(名前は原作では"昌平")の開業する店が床屋ではなくて鰻屋ということになっています(そのためにうなぎ採りの名手に師事するが、そのうなぎ採りの場面だけ、モチーフとして活かされている)。
全体の構成としては、原作は、主人公が女(名前は原作でも"桂子")に自分の過去の前科を告白すると(原作では妻を刺したが、妻は死んではいない)、女が実は知っていたというところで終わりますが、映画では、そのあと、桂子を巡るいろいろなトラブル話があって、それに拓郎は巻き込まれ、最後は桂子のために積極的にトラブルに関与していきます。
映画では、町の住民の中に、原作には無い、宇宙人との交流を夢見る"UFO青年"(小林健)がいて、その青年に対して拓郎が「ホントは、人と付き合うのが恐いんじゃないのか」と言っており、この時点で拓郎には、今のところうなぎを"話し相手"にしているという自分が抱えている問題が十分に把握できているように思われました。押しかけ気味に登場した桂子のお蔭で、いずれ拓郎はその問題を乗り越えることが出来るだろうということは観ていて想像に難くなく、ラストでうなぎを川に放すシーンに自然に繋がっていきます。
そうした意味では上手い作りだと思うし、原作のテーマを発展的に活かしているとも言えます(モチーフは、「うなぎを採る」ことから「うなぎを飼う」ことに変わっているが)。役所広司も清水美砂も好演、脇を固める俳優陣もまずまずですが、前半はともかく、後半がやや通俗に流れたかなあという印象もありました。ラストシーンなどもいいシーンですが、パターンと言えばパターン。短編を膨らませるって、意外と難しいことなのかも。
製作発表の直前まで「闇にひらめく」というタイトルでいく予定だったのが、発表の場で、今村監督の意向で「うなぎ」というタイトルになったとのこと。原作以外に、同じく吉村昭の作品である『

:今村昌平/天願大介/冨川元文●撮影:小松原茂●音楽:池辺晋一郎●原作:吉村昭「闇にひらめく」「仮釈放」●時間:117分(劇場公開版)/134分(完全版)●出演:役所広司/清水美砂/常田富士男/倍賞美津子/佐藤允/哀川翔/小林健/寺田千穂/柄本明/平泉成/中丸新将/上田耕一/光石研/深水三章/小西博之/小沢昭一/田口トモロヲ/市原悦子●公開:1997/05●配給:松竹(評価:★★★☆)







榎津巌(緒形拳)は、専売公社の集金係2名(殿山泰司ほか)を殺害し、詐欺を繰り返しながら逃走を続ける。実家は病身の母・かよ(ミヤコ蝶々)と敬虔なクリスチャンの父・鎮雄(三國連太郎)が経営する旅館で、榎津の妻・加津子(倍賞美津子)や子も一緒に暮らしているが、榎津は妻・加津子と父・鎮雄の関係を疑っている。警察が榎津を全国指名手配にする中、榎津は裁判
所で被告人の母親(菅井きん)に近づき、弁護士を装って保釈金詐欺を働き、更に、仕事の依頼と称して老弁護士(加藤嘉)に近づいて殺害し、金品を奪って逃げ続ける。浜松の旅館「貸席あさの」に京都帝大教授を装っ
て投宿し、宿の女将ハル(小川真由美)と懇ろになる。ある日、ハルは映画館のニュースで榎津の正体を知るが、榎津を匿い続ける。しかし、榎津はハルとハルの母親・ひさ乃(清川虹子)を殺害し、質屋(河原崎長一郎)を旅館に呼んで2人の所持品を売り払う。榎津を以前客に取ったことのあるステッキガール(根岸とし江)が、榎津が指名手配の犯人であることに気づき、警察に通報する。榎津は逮捕され、死刑を宣告される。面会に来た父親の鎮雄は、榎津が教会から破門されたこと、自らも責任を取って脱会したことを伝える。処刑後、榎津の遺骨を抱いた妻の加津子と鎮雄は、山頂から空に向かって散骨する―。
昨年['15年]10月に78歳で亡くなった佐木隆三(1937-2015)の直木賞受賞作を今村昌平(1926-2006)監督が映画化した1979年公開作で、
その年のキネマ旬報ベスト・テン第1位作品。「第22回ブルーリボン賞」の作品賞、「第3回日本アカデミー賞」の最優秀作品賞も受賞し、演技面では、体当たり演技の小川真由美が日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞。小川真由美は「第4回報知映画賞」やキネマ旬報の賞も受賞し、三國連太郎も報知映画賞や「第22回ブルーリボン賞」など3つの賞を受賞。同じく体当たり演技の倍賞美津子も
ブルーリボン賞を受賞しているのに、主役の緒形拳(1937-2008)が何も受賞していないというのがやや不思議な気がします。主人公の多面的なキャラクターを巧みに演じ分けていたのは流石だと思ったのですが、緒形拳は前年の「
画では、敬虔なクリスチャンで通っている父親との確執を、榎津との幼少期のエピソードなども交えながら描き、更には、榎津の妻・加津子と父・鎮雄の関係を前面に押し出すことで、犯行の背後に父親との関係に起因する何かを示唆しているように思われました。それは、終盤の榎津と父親との拘置所
での対面シーンにも表れており、ここでも両者は和解し切れず、結局、父親が息子と内面的に和解したのは、ラストの散骨のシーンであったように思います。榎津の父親への感情は、ファーザー・コンプレックスと言えなくもないですが、加津子の方がむしろ義父・鎮雄をファザコンに近い感情で崇めていて、一方の榎津の父親に対する反発は、父親のその偽善性に対するものではなかったかと思われます(幼児期のエピソードに父親に裏切られたと取れるものがある)。何れにせよ、父・鎮雄と妻・加津子の関係も含め、この辺りは全て"今村昌平オリジナル"です。
同じくこの作品で原作以上に大きなウェイトを占めるハルの家族の描き方も、ハルの情夫で旅館のオーナーでもある男(北村和夫)とのどろどろした関係が前面に出ていて、それを苦々しく思う母親と、そこに榎津も絡んできて、もうぐちゃぐちゃという感じ。この辺りも全て映画のオリジナルで、ハルの母親が殺人事件で15年服役し、出所してそう年月も経っておらず、今は競艇に明け暮れる日々を送っているという設定もオリジナルです。更に原作との大きな違いは、榎津とハル
が映画を観に映画館へ入ったところ(映画は「ヨーロッパの解放」第三部「大包囲撃滅作戦」('71年/松竹配給))、その前に映像ニュースで榎津の指名手配が流れてハルが榎津の正体を知ってしまうことで、榎津に惚れていたハルは榎津を匿い続けますが、原作では母娘は榎津の正体を知らないまま殺害されてしまい、従って、ハルの母親が榎津を競艇に誘って、当てた金を榎津に渡して自分たちの前から消えてくれるよう頼むといった場面も、榎津が人気の無い畦道かどこかを歩きながらハルの背後からマフラーで絞殺しようして彼女に気づかれ、いったんは諌められてしまうのも映画のオリジナルです。
原作者の佐木隆三が、ハルの宿でクレームをつけて帰ってしまう泊り客としてカメオ出演しています。佐木隆三はこの映画公開の前年['78年]、銀座の路上で交差点に赤信号停止しているタクシーに乗ろうとしたところ、タクシー乗り場から乗るように言われたことに逆上し、タクシーのボンネットに乗り上げて暴れてフロントガラスを破壊して警察に逮捕されていますが、クレーマーっぽい役柄はその事件の自虐パロディだったのかも。
「復讐するは我にあり」●制作年:1979年●監督:今村昌平●製作:井上和男●脚本:馬場当/池端俊策●撮影:姫田真佐久●音楽:池辺晋一郎●原作:佐木隆三●時間:140分●出演:緒形拳/三國連太郎/ミヤコ蝶々/倍賞美津子/小川真由美/
清川虹子/殿山泰司/垂水悟郎/絵沢萠子/白川和子/フランキー堺/北村和夫/火野正平/根岸とし江(根岸李江)/河原崎長一郎/菅井きん/石堂淑郎/加藤嘉/佐木隆三●公開:
1979/04●配給:松竹●最初に観た場所(再見):新宿ピカデリー(緒形拳追悼特集)(08-11-23)●2回目:北千住・シネマブルースタジオ(10-01-17)(評価:★★★★☆)





(●2016年に監督が「
原作にほぼ忠実だったように思う。但し、愛子の父・洋平(渡辺謙)が比較的
前面に出て、北見刑事(三浦貴大)は後退し、美佳も出てこない。それと、"伏線"が無かった原作に対し、犯人の「壊れていた」感を出すためか、途中で原作に無いエピソードを入れている。また、愛子の物語をハッピーエンドにしているのは原作と同じだが、泉は何か気の毒なまま終わったように思えた。ただ、原作を読んでなくて犯人を知らないで観た人にとっては、プロセスにおいては結構面白かったのではないか。行定勲監督により映画化された「
「怒り」●制作年:2016年●監督・脚
本:李相日(リ・サンイル)●製作:市川南●撮影:笠松則通●音楽:坂本龍一●原作:吉田修一●時間:142分●出演:渡辺謙/森山未來/松山ケンイチ/綾野剛/宮崎あおい/佐久本宝/ピエール瀧/三浦貴大/高畑充希/原日出子/池脇千鶴/広瀬すず/妻夫木聡●公開:2016/09●配給:東宝(評価:★★★☆)






世間一般でもこうした「ビデオで観る」派が増えて、'96年の映画館の入場者数が1億1,957万人と史上最低だったわけですが、翌年は、この年'97年7月公開の「もののけ姫」('97年/東宝)のヒットを受けて、邦画の映画館入場者数は前年比2千万人増、さらに12月公開のジェームズ・キャメロン監督の「
「もののけ姫」は、それまでの宮崎駿監督の作品の集大成とも言える大作で、作画枚数は14万枚以上に及び、これは後の「千と千尋の神隠し」の11.2万枚をも上回る枚数です。時代の特定は難しいですが、室町後期あたりのようで、室町時代にしたのはこれ以上遡ると現実感が希薄になって自分自身もイメージが湧きにくくなるためだというようなことを、宮崎監督が養老孟司氏との対談で言っていました(『虫眼とアニ眼』 ('08年/新潮文庫))。自然と人間の対決というテーマは「風の谷のナウシカ」('84年)にも見られましたが、こちらはより深刻かつ現実的に描かれているような気もします。バックボーンになっているのは明らかに網野善彦(1928-2004)の展開する非農業民に注目した日本史観であり、映画全編を通して様々な要素が入っていて、その解釈となると結構難解
な世界とも言え、歴史学の知識に疎
い身としては、その辺りが今一つ解らなかったもどかしさもありました(その網野善彦からは、当時の女性は皆ポニーテールだったとの指摘を受けている)。「となりのトトロ」('88年)みたいに、深く考えないで観た方が良かったのかも。


「千と千尋の神隠し」が記録的な興行成績となったのは、第75回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞し、海外でも評価されたということで、普段アニメを観ない人も映画館に行ったという事情もあったのではないで
しょうか。但し、米国アカデミー賞受賞は、先に第52回ベルリン国際映画祭で「
「風の谷のナウシカ」が出たての頃、この作品にすごく注目していた友人がいて、薦められてその友人の家でレーザーディスクで観たことがありますが(彼は当時パイオニアに勤務していた)、彼は先見の明があったのかもしれません。また、「となりのトトロ」については、この作品が出た時期に限らず、その後もビデオやDVDの普及で繰り返し多くの家庭で観られ、幅広い世代の幼年期の記憶に残ったのではないでしょうか(個人的には「となりのトトロ」がスタジオジブリの最高傑作だと思っている)。こうした初期作品の方が好きな人も結構いるように思います。
「もののけ姫」●制作年:1997年●監督・脚本:宮崎駿●製作:鈴木敏夫●撮影:奥井敦●音楽:久石譲(主題歌:米良美一「もののけ姫」)●時間:133分●声の出演:松田洋治/石田ゆり子/美輪明宏/渡辺哲/小林薫/森繁久彌/田中裕子/佐藤允/森光子/上條
恒彦/島本須美/名古屋章/近藤芳正/飯沼慧●公開:1997/07●配給:東宝 (評価:★★★☆)
ジコ坊(声:
乙事主(おっことぬし)(声:




「千と千尋の神隠し」●制作年:2001年●監督・脚本・原案・原作:宮崎駿●製作:鈴木敏夫●撮影:奥井敦●音楽:久石譲(主題歌:木村弓「いつも何度でも」)●時間:124分●声の出演:柊瑠美
/入野自由/夏木マリ/中村彰男/玉井夕海/内藤剛志/沢口靖子/神木隆之介/我修院達也/大泉洋/小野武彦/上條恒彦/菅原文太●公開:2001/07●配給:東宝 (評価:★★★☆)
●森卓也(映画評論家)の推すアニメーションベスト10(『



先月('10年7月)肺がんで亡くなった、つかこうへい(1948‐2010/享年62)の直木賞受賞作で、同じ初期の代表作『小説熱海殺人事件』もそうですが、舞台の方が先行していて('80年11月初演)、その舞台作品を小説化したものです。
小夏を演じた松坂慶子は当時30歳で、小説の中での小夏の年齢と同じであり(自称27歳だが3歳サバを読んでいる)、この作品で、日本アカデミー賞主演女優賞、キネマ旬報主演女優賞、 毎日映画コンクール主演女優賞を受賞しています。
作品そのものも、キネマ旬報ベスト・テンの1位となるなど多くの賞を受賞していますが、舞台で根岸季衣が演じていたのを松坂慶子にした段階で、オリジナルの持つ毒のようなものがかなり薄まったのではないでしょうか。千葉真一、真田広之、志保美悦子が「本人役」で友情出演していて、"楽屋落ち"的なエンディングなどにしても非常にアットホームな感じだし、撮影現場の雰囲気は良かったのではないかと思われますが。


「蒲田行進曲」●制作年:1982年●監督:深作欣二●製作:角川春樹●脚本:つかこうへい●音楽:甲斐正人●原作:つかこうへい「蒲田行進曲」●時間:106分●出演:風間杜夫/松坂慶子/平田満/高見知佳/原田大二郎/蟹江敬三/清水昭博/岡本麗/汐路章/榎木兵衛/清川虹子/(以下、友情出演)千葉真一/真田広之/志保美悦子●公開:1982/10●配給:松竹●最初に観た場所:池袋・文芸地下(83-01-08)(評価:★★★)●併映(1回目):「この子の七つのお祝いに」(増村保造)







(●2010年9月に「
りの二人の演技派女優の演技の狭間で、主人公である妻夫木聡が演じる祐一の存在が霞んだ。さらに後半、柄本明が演じる佳乃の父や樹木希林が演じる祐一の祖母が原作以上にクローズアップされたため、祐一の影がますます弱くなった。原作者
はインタビューで「やっぱり樹木さん、柄本さんのシーンは画として強かったと思いますね。シナリオも最初は祐一と光代が中心でしたが、最終的に、樹木さんのおばあちゃんと、柄本さんのお父さんが入ってきて、全体に占める割合が大きくなったんですよね。あれは、僕らが最初に考えていたときよりも分量的にはかなり増えていて、自分たちでは逆に上手くいったと思っているんです」と語っている。柄本明は助演でありながら芸術選奨も受賞している(助演では過去に例が無いのでは)。この作品の主人公は祐一なのである。本当にそれでいいのだろうか。李相日監督は6年後、同作者原作の「
「悪人」●制作年:2010年●監督:李相日(リ・サンイル)●製作:島谷能成/服部洋/町田智子/北川直樹/宮路敬久/堀義貴/畠中達郎/喜多埜裕明/大宮敏靖/宇留間和基●脚本:吉田修一/李相日●撮影:笠松則通●音楽:
将生/光石研/満島ひかり/樹木希林/柄本明/井川比佐志/
余貴美子/宮崎美子/中村絢香/韓英恵/塩見三省/池内万作/永山絢斗/山田キヌヲ/松尾スズキ/河原さぶ/広岡由里子/二階堂智/モロ師岡/でんでん/山中崇●公開:2010/09













「お葬式」('84年/ATG)で映画界に旋風を巻き起こした伊丹十三監督でしたが、個人的には続く第2作「

趣旨のことを後に述べていますが、確かに、鬼沢さえも黒幕に操られている駒の1つに過ぎなかったという展開は重いけれども、ラストは前作の方がスッキリしていて個人的には「1」の方がカタルシス効果が高かったかなあ。監督自身は、高い娯楽性と巨悪の存在を一般に知らしめることとの両方を目指したのでしょう。




「県庁の星」●制作年:2006年●監督:西谷弘●製作:島谷能成/
亀山千広/永田芳男/安永義郎/細野義朗/亀井修朗●脚本:佐藤信介●撮影:山本英夫●音楽:松谷卓●原作:桂望実「県庁の星」●時間:131分●出演:織田裕二/柴咲コウ/佐々木蔵之介/和田聰宏/紺野まひる/奥貫薫/井川比佐志/益岡徹/矢島健一/山口紗弥加/ベンガル/酒井和歌子/石坂浩二●公開:2006/02●配給:東宝(評価:★★★)


「スーパーの女」●制作年:1996年●監督・脚本:伊丹十三●製作:伊丹プロダクション●撮影:前田米造/浜田毅/柳島克巳/高瀬比呂志●音楽:本多俊之●原作:安土敏「小説スーパーマーケット」●時間:127分●出演:宮本信子/津川雅彦/三宅裕司/小堺一機/伊東四朗/金田龍之介/矢野宣/六平直政/高橋長英/あき竹城/松本明子/山田純世/柳沢慎吾/金萬福/伊集院光●公開:1996/06●配給:東宝(評価:★★★★)
「お葬式」●制作年:1984年●監督・脚本:伊丹十三●製作:岡田裕/玉置泰●撮
影:前田米造●音楽:湯浅譲二●時間:124分●出演:山
崎努/宮本信子/菅井きん/財津一郎/大滝秀治/江戸家猫八/奥村公廷/藤原釜足/高瀬春奈/友里千賀子/尾藤イサオ/岸部一徳/笠智衆/津川雅彦/佐野浅/小林薫/長江英和/井上陽水●公開:1984/11●配給:ATG●最初に観た場所:池袋日勝文化 (85-11-04)(評価:★★★☆)●併映「逆噴射家族」(石井聰互)




「マルサの女」●制作年:1987年●監督・脚本:伊丹十三●製作:玉置泰/細越省吾●撮影:前田米造●音楽:本多俊之●時間:127分●出演:宮本信子/山崎努/津川雅彦/大地康雄/桜金造/志水
季
里子/松居一代/室田日出男/ギリヤーク尼ヶ崎/柳谷寛/杉山とく子/佐藤B作/絵沢萠
子/山下大介/橋爪功/伊東四朗/小沢栄太郎/大滝秀治/芦田伸介/小林桂樹/岡田茉莉子/渡辺まちこ/山下容里枝/小坂一也/打田親五/まる秀也/ベンガル/竹内正太郎/清久光彦/汐路章/上田耕一●公開:1987/02●配給:東宝





徹他/マッハ文朱/加藤善博/浅利香津代/村井のりこ/岡本麗/矢野宣/笠智衆/上田耕一/中村竹弥/小松方正●公開:1988/01●配給:東宝●最初に観た場所:新宿シネパトス (88-03-12)(評価:★★★☆)●併映「マルサの女」(伊丹十三)






「サード」('78年3月/ATG)は、少年院にいる"サード"という少年の、大人達から浮ついた励ましの言葉をかけられたところで決して満たされることのない鬱々とした日々を描いた作品。彼は元々、「大きな町へ行く」ことを夢見る高校生男女の4人組の1人で、資金稼ぎに始めた売春がもとで事件を起こし少年院へ送られてきたのだった―。
ただ、"オシ"という無口な少年をはじめ、"トベチン"、"アキラ"、"漢字"、脱走を試みる"ⅡB"といった少年達は皆、自閉的ながらもユニークで、こういうキャラは寺山の半自伝的作品にもあったかも(そう言えば"短歌"と呼ばれている少年もいた)。
永島敏行(1956年生まれ。現在、俳優兼「農業コンサルタント」?)は、この作品が映画初出演でしたが、演技はそれほど悪くないけれども良くもないと言うか、あまり陰が感じられず、同年に主演した藤田敏八(1932‐1997/享年65)監督の「
「サード」は、主人公を演じた永島敏行よりも、主人公の女友達役の森下愛子(1958年生まれ、この作品が映画初出演。吉田拓郎と結婚し、いったん芸能活動を休止したが、その後また復帰し、宮藤官九郎脚本の作品の常連に)の陰のある演技が良く、「帰らざる日々」で主人公の青年が高校時代に思いを寄せた喫茶店のウェイトレス役の浅野真弓(1957年生まれ)や、中学時代の同級生役の竹田かほり(1958年生まれ、同年の「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」('78年4月/日活)が映画初主演)などの演技も良かったように思います(橋本治原作の「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」は思春期の女の子をヴィヴィッドに描いていて単純に面白かった)。


寺山修司は「サード」以前にも、羽仁進監督の「初恋・地獄変」('68年/ATG)の脚本を羽仁進と共同で書いていて、これは、救護院にいた少年が彫金師に引き取られて成長する様を、少年の過去と現在を交互に織り交ぜ、そこにインタビューや隠し撮りなどのドキュメンタリーの手法も入れて描いたものですが、こちらは「サード」と違って、寺山の色が薄いと言うより、どの部分が寺山修司でどの部分が(多分ゴダールの影響を受けたらしい)羽仁進の部分かということが、観ていて何となく分かってしまう―その点では、必ずしも成功したコラボだったようには思えませんでした。
出演俳優の1人だった

「![サード ≪HDニューマスター版≫ [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%89%20%E2%89%AAHD%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%89%88%E2%89%AB%20%5BDVD%5D.jpg)
作:前田勝弘●脚本:
間:103分●出演:永島敏行/吉田次昭/森下愛子/志方亜紀子/片桐夕子/峰岸徹/内藤武敏/島倉千代子/西塚肇/根本豊/池田史比古/佐藤俊介/鋤柄泰樹/若松武 /飯塚真人/宇土幸一/渋谷茂/尾上一久/藤本新吾/岡本
「

「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」●制作年:1978年●監督:小原宏裕(おはらこうゆう)●製作:岡田裕●脚本:金子成人●撮影:森勝●音楽:長戸大幸●原作:

「初恋・地獄篇」●制作年:1968年●監督:羽仁進●脚本:脚本:
「やさしいにっぽん人」●制作年:1971年●監督:東陽一●製作:高木隆太郎●脚本:東陽一/前田勝弘●撮影:池田伝一●音楽:東陽一/田山雅光●時間:112分●出演:河原崎長一郎/緑魔子/伊丹十三/伊藤惣一/石橋蓮司/蟹江敬三/渡辺美佐子/寺田柾/横山リエ/大辻伺郎/平田守/東山千栄子/桜井浩子/秋浜悟史/陶隆司●公開:1971/03●配給:東プロ●最初に観た場所:●最初に観た場所:●最初に観た場所:新宿・紀伊國屋ホール(82-03-27)(評価:★★★☆)●併映:「日本妖怪伝サトリ」(東陽一) 



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森田芳光(1950-2011)監督・脚本の「家族ゲーム」('83年/ATG)は、家族が食卓に横一列に並んで食事するシーンなど凝ったカットの多い作品でしたが、個人的には、川沿いの団地へ松田優作(1949‐1989/享年40)が演じる家庭教師が小舟に乗って赴く冒頭シーンと、教え子が無事に志望校に合格した後の家族全員の食事の席で、その家庭教師が食卓をぐちゃぐちゃにしてしまうラストが印象的でした。




みではなかったでしょうか。「セーラー服と機関銃」('82年/角川春樹事務所)では相米慎二(1948-2001)監督の魔術的演出に救われていましたが、「探偵物語」では、岸田今日子のような演技達者を起用して脇を固めようとしてはいるものの、そんな演技未熟の薬師丸ひろ子を相手に演技している松田優作の苦闘ぶりが目につきました。玉川大学文学部就学のため一時芸能活動を休止していた薬師丸ひろ子の復帰第一弾を角川事務所が企画した作品であり、あくまでも薬師丸ひろ子が主人公の探偵(ごっこ)物語であって、脇だけ固めても主役があまりに未熟では...。それでも映画はヒットし、ラストの新東京国際空港での松田優作と薬師丸ひろ子の"身長差30センチ"キスシーンは当時話題となったのは、彼女がアイドルとしていかに人気があったかということでしょう。松田優作に関して言えば、TV版の方がハードボイルド・ヒーローでありながらずっこけたような面があるという点で、より"優作らしい"演技だったと言えるかも。
役で蜷川幸雄(1935-2016)が出演し、実際に劇中劇の演出も担当しています。三田佳子がベテランらしい渋い演技を見せ(日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞)、薬師丸ひろ子もそれに触発され
演技開眼したのか、そう悪くない演技でした(高木美保の映画デビュー作でもあり、主人公を陥れようとする敵役だった)。夏樹静子の原作は、その後、テレビドラマとしてそれそれアレンジされながら繰り返し作られることとなります('83年TBS(秋吉久美子主演)、'86年フジテレビ(高峰三枝子主演)、'01年テレビ東京(名取裕子主演)、'10年TBS(菅野美穂主演)、'12年テレビ朝日(武井咲主演))。
因みに、「探偵物語」と「Wの悲劇」の併映作品はそれぞれ「時をかける少女」('83年/角川春樹事務
所)、「天国にいちばん近い島」('84年/角川春樹事務所)でした。共に大林宣彦監督、原田知世主演で、「時をかける少女」は、原作は筒井康隆が学習研究社の「中三コース」1965(昭和40)年11月号にて連載開始し、「高一コース」1966(昭和41)年5月号まで全7回掲載したものであり、原田知世の映画デビュー作でした。
配役発表の時点では原田知世は当時圧倒的人気を誇っていた薬師丸ひろ子
のアテ馬的存在でしたが、「時をかける少女」一作で薬師丸ひろ子と共に角川映画の二枚看板の一つになっていきます。「時をかける少女」は筒井康隆の原作の舞台を尾道に移して、大林監督の「尾道三部作」(他の2作は「転校生」「さびしんぼう」)の第2作目という位置づけになっていますが、後に「SFジュブナイルの最高傑作」とまで言われるようになった原作に対し、原田知世の可憐さだけでもっている感じの映画になってしまった印象がなくもない作品でした。
「尾道三部作」の中でいちばんの秀作と思われる「転校生」('82年/松竹)に比べるとやや落ちるでしょうか。「転校生」は、原作は山中恒(この人も「高一コース」とかにちょっとエッチな青春小説を連載していた)の『おれがあい
神社の階段から転げ落ち、そのはずみで心と身体が入れ替わってしまう話ですが、二人が入れ替わるまでをモノ
クロで、入れ替わってからはカラーで描き分け、また8ミリ映像も効果的に挿入しながら、古き良き町・尾道を魅力的に活写していました。この作品にはまだ、自主制作映画のようなテイストがあったなあ。第4回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作(田中小実昌(1925-2000)が「喜劇映画ベスト10」に選んでいたことがある)。
れていない」としていますが、(昨年['08年]7月にCXで2度目のテレビ放映されたのを観た)個人的感想は筒井氏の前者と富野氏の後者に近いでしょうか。主人公たちの「告白したい!」という台詞が「SEXしたい!」と自分には聞こえるとまで富野由悠季は言い切りましたが、鋭い指摘だと思います('10年に更にそのアニメの実写版のリメイクが作られている(主演はアニメ版の主人公の声を務めた仲里依紗)。'16年に日本テレビでテレビドラマ化された「時をかける少女」はまたオリジナルに戻っている(主演は黒島結菜)。テレビドラマ化はこれが5回目になる)。
「Wの悲劇」の併映作品だった「天国にいちばん近い島」は、個人的にはイマイチもの足りない映画でしたがこれもヒットし、舞台となったニューカレドニアに初
めてリゾート・ホテルが建ったとか(バブルの頃で、日本人観光客がわっと押しかけた)。原作者・森村桂(1940-2004)が行った頃はリゾート・ホテルなど無かったようです。舞台は美しいけれど、バブルは崩壊したし、原作者が自殺したということもあって、今となってはちょっと侘しいイメージもつきまとってしまいます(森村桂の自殺の原因はうつ病とされている)。![それから [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%20%5BDVD%5D.jpg)
「家族ゲーム」の後、松田優作が森田芳光監督と再び組んだ「それから」('85年/東映)は、評論家の評価は高かったですが(松田優作は文芸作品はこれが初めてではなく、「家族ゲーム」「探偵物語」の前年、泉鏡花原作、鈴木清順監督の「
森田芳光監督には、「の・ようなもの」('81年/N.E.W.S.コーポレーション)というある若手の落語家の日常と恋を描いた劇場用映画デビュー作があり、映画のつくりそのものはやや荒削りな面もありましたが、落語家の世界の描写に関しては丹念な取材の跡がみてとれ(森田監督は日大落研出身)、落語家志望の青年に扮する伊藤克信のとぼけた個性もいいし、彼が通うソープ嬢エリザベス役の秋吉久美子も"軽め"のしっとりした演技で好演しています(第3回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作)。

「愛と平成の色男/バカヤロー!2 幸せになりたい。」


鈴木保奈美はカネボウのCMモデル、財前直美は東亜国内航空の沖縄キャンペーンガール、鈴木京香はカネボウの水着キャンペーンガール出身。少女モデルから歌手になった武田久美子は中学生時代の1981年11月、東大駒場祭「第2回東大生が選ぶアイドルコンテスト'81」に自身で応募し、総数1263人の中で優勝、「東大生が選んだアイドル」として一時人気を博し、後に「
「タクシードライバー」とも言われたが、個人的にはよくわからなくてイマイチ)。それが、昭和が終わったこの年に刊行された"貝殻ビキニ"の写真集が売れに売れて人気復活。この頃は、CMもグラビアも撮影と言えば3泊4日でハワイでというのが当たり前のバブル期でした。時の流れを感じますが、武田久美子だけ今もって肉体派路線を継続中? 「
監督(第4話)の山田邦子が再就職に苦戦するハイミスに扮した「女だけがトシとるなんて」が良かったように思います。あとの2話は、本田昌広監督(第1話)の小
林稔侍が家族のためにとったニューカレドニア旅行のチケットを会社から顧客に回すように言われた旅行代店社員を演じた「パパの立場もわかれ」と、堤真一が深夜の
コンビニでバイトしてお客の扱いで頭を悩ますうちに妄想ノイローゼになっていく男を演じた鈴木元監督(第二話)の「こわいお客様がイヤだ」(堤真一にとっては初主演映画。他に爆笑問題の太田光・田中裕二が映画初出演、太田光は後に「バカヤロー!4」('91年)の第1話を監督している)でした。
秋吉久美子は柳町光男監督の「
優陣が惜しげもなく脱いでいますが、スラップスティク・コメディ調であるためにベタベタした現実感がなく、さらっと乾いた感じの作品に仕上がっています(ただ、原作のシュールな雰囲気までは出し切れていないか)。秋吉久美子って「70年代」というイメージのある女優ですが、80年代の作品を観ても、演技の幅が広かったなあと改めて思わされます。

「家族ゲーム」●制作年:1983年●監督・脚本:森田芳光●製作:佐々木志郎/岡田裕/佐々木史朗●撮影:前田米造●原作:本間洋平「家族ゲーム」●時間:106分●出演:松田優作/




三樹夫/山西道広/竹田かほり/ナンシー・チェニー/平田弘美/橘雪子/重松収/倍賞美津子/佐藤蛾次郎/中島ゆたか/片桐竜次/草薙幸二郎/清水宏/広京子/川村京子/三原玲奈/真辺了子/戸浦六宏/熊谷美由紀(松田美由紀)●放映:1979/09~1980/04(全27回)●放送局:日本テレビ



「探偵物語」●制作年:1983年●監督:根岸吉太郎●製作:角川春樹●脚本:鎌田敏夫●撮影:
仙元誠三●音楽:加藤和彦(主題歌:薬師丸ひろ子)●原作:赤川次郎●時間:106分●出演:薬師丸ひろ子/松田優作/秋川リサ/岸田今日子/北詰友樹/坂上味和/藤田進/中村晃子/鹿内孝/荒井注/蟹江敬三/財津一郎/三谷昇/林家木久蔵/ストロング金剛/山西道広/清水昭博/榎木兵衛/加藤善博/草薙良一/清水宏●公開:1983/07●配給:角川春樹事務所●最初に観た場所:東急名画座 (83-07-17)(評価:★★☆)●併映:「時をかける少女」(大林宣


彦) 東急名画座 (東急文化会館6F、1956年12月1日オープン、1986年〜渋谷東急2) 2003(平成15)年6月30日閉館![Wの悲劇 [DVD].jpg](/book-movie/archives/Wの悲劇 [DVD].jpg)
子/世良公則/三田村邦彦/仲谷昇/高木美保/蜷川幸雄/清水浩治/内田稔/草薙二郎/南美江/絵沢萠子/藤原釜足/香野百合子/志方亜紀子/幸日野道夫/西田健/堀越大史/渕野俊太/渡瀬ゆき●公開:1984/12●配給:東映/角川春樹事務所●最初に観た場所:新宿武蔵野館 (85-01-15)(評価:★★★★)●併映:「天国にいちばん近い島」(大林宣彦)

「時をかける少女」●制作年:1983年●監督:大林宣彦●製作:角川春樹●脚本:剣持亘●撮影:前田米造●音楽:松任谷正隆(主題歌:原田知世(作詞・作曲:松任谷由実))●原作:筒井康隆●時間:104分●出演:原田




「転校生」●制作年:1982年●監督:大林宣彦●製作:森岡道夫/大林恭子/多賀祥介●脚本:剣持亘●撮影:阪本善尚●原作:山中恒「おれがあいつであいつがおれで」●時間:112分●出演:尾美としのり/小林聡美/佐藤允/樹木希林/宍戸錠/入江若葉/中川勝彦/井上浩一/岩本宗規/大
山大介/斎藤孝弘/柿崎澄子/山中康仁/林優枝/早乙女朋子/秋田真貴/石橋小
百合/伊藤美穂子/加藤春哉/鴨志田和夫/鶴田忍/人見きよし/志穂美悦子●公開:1982/04●配給:松竹●最初に観た場所:大井武蔵野舘 (83-07-17)●2回目:テアトル吉祥寺 (84-02-11)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「の・ようなもの」(森田芳光)/「ウィークエンド・シャッフル」(中村幻児)●併映(2回目):「家族ゲーム」(森田芳光)
「時をかける少女(アニメ)」●制作年:2006年●監督:細田守●製作:渡邊隆史/齋藤優一郎●脚本:奥寺佐渡子●音楽:吉田潔●原作:筒井康隆●時間:98分●声の出演:仲里依紗/石田卓也/板倉光隆/原沙知絵/谷村美月/垣内彩未/関戸優希子●公開:2006/07●配給:角川ヘラルド映画(評価:★★☆)








セー尾形/森尾由美/羽賀研二/
川上麻衣子/遠藤京子/泉じゅん/一の宮あつ子/小林勝彦/佐原健二/加藤和夫/水島弘/小林トシエ/佐藤恒治/伊藤洋三郎●公開:1985/07●配給:東映●最初に観た場所:新宿ミラノ座 (85-11-17)(評価:★★☆)








「愛と平成の色男」●制作年:1989年●監督・脚本:森田芳光●製作:鈴木光●撮影:仙元誠三●音楽:野力奏一●時間:96分●出演:石田純一/鈴木保奈美/財前直見/武田久美子/鈴木京香/久保京子/桂三木助/佐藤恒治●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★☆)●併映:「バカヤロー!2」(本田昌広/鈴木元/岩松了/成田裕介、製作総指揮・脚本:森田芳光)



「シャッフル」●制作年:1981年
●監督・脚本:石井聰亙(石井岳龍)●製作:秋田光彦●撮影:笠松則通●音楽:ヒカシュー●原作:大友克洋●時間:34分●出演:中島陽典/森達也/室井滋/武田久美子●公開:1981/12(1983)●配給:ATG●最初に観た場所:大井ロマン(89-07-15)(評価:★★☆)●併映:「レッドゾーン」(神有介)
「バカヤロー!2 幸せになりたい。」●制作年:1989年●製
作総指揮・脚本:森田芳光●監督:本田昌広(第1話「パパの立場もわかれ」)/鈴木元(第2話「こわいお客様がイヤだ」)/岩松了(第3話「新しさについて
いけない」)/成田裕介(第4話「女だけがトシとるなんて」)●製作:鈴木光●撮影:栢原直樹/浜田毅●音楽:土方隆行●時間:98分●出演:(第1話)小林稔侍/風吹ジュン/高橋祐子/橋爪功/(第2話)堤真一/金子美香/イッセー尾形/太田光/田中裕二/金田明夫/島崎俊郎/銀粉蝶/ベンガル/宮田早苗(第3話)藤井郁弥/荻野目慶子/尾
美としのり/柄本明/佐藤恒治/竹中直人/広岡由
里子/(第4話)山田邦子/香坂みゆき/辻村真人/水野久美/加藤善博/桜金造●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★★★)●併映:「愛と平成の色男」(森田芳光)













○エノケンのちゃっきり金太('37年、山本嘉次郎)
富野「僕が細田監督の『時かけ』の嫌な点は、現代の高校生を安易に描いているんじゃないのかと。主人公たちの『告白したい!』という台詞が『SEXしたい!』と僕には聞こえるんです。ただの風俗映画になっているんじゃないかという危うさを感じるんです。アニメという実写映画以上に記号的なものを使って、映画的構造の中で単に風俗映画にしてしまうのはもったいないぞと。作品としてスタイリッシュな分、若者たちが無批判で受け入れてしまう可能性があるわけです。ウラジミール・ナブコフの小説を原作にした『ロリータ』('62)や文化革命を背景にした『





作にこうした決闘場面は無い)、どちらかと言うと、切羽詰ると知恵を絞って苦境を乗り切るタイプで、未熟な若侍たちをリードしながらも、結構自分自身も窮地においては焦りまくっていたりします。
城代のグループを手助けすることになったついでに、あわよくば仕官が叶えばと思っているくせに、城代の救出が成ると自ら姿を消すという美意識の持ち主で、それでも一方で、誰か追っかけて来て呼び止めてくれないかなあなんて考えている、こうした等身大の人物像がユーモラスに描かれていて、読後感もいいです。
小林桂樹
黒澤明は最初は原作に忠実に沿って、やや脆弱な人物像の主人公として脚本を書いたのですが、映画会社に採用されず、その後映画「
たためその続編に近いものを要請されて、一度はオクラになっていた脚本を、「用心棒」で三船が演じた桑畑三十郎のイメージに合わせて「剣豪」時代劇風に脚色し直したそうで、ついでに主人公の名前まで「菅田平野」→「椿三十郎」と、前作に似せたものに変えたわけです(映画の中では、主人公が自分でテキトーに付けた呼び名とされている)。
映画化作品の方は、28年間にわたって黒澤の助手を務めたという経歴を持つ小泉堯史監督の監督デビュー作で、スタッフ・キャストを含め「黒澤組」が結集して作った作品でもあり、冒頭に「この映画を黒澤明監督に捧げる」とあります。
元が中編でそれを引き延ばしているだけに、良く言えばじっくり撮っていると言えますが、ややスローな印象も。伊兵衛を演じた寺尾聡は悪くなかったけれど、脇役陣(エキストラ級の端役陣)のセリフが「学芸会」調だったりして、黒澤明監督ならこんな演技にはOKを出さないだろうと思われる場面がいくつかありました。
日本アカデミー賞において最優秀作品賞、最優秀脚本賞(故・黒澤明)、最優秀主演男優賞(寺尾聡)、最優秀助演女優賞(原田美枝子)、最優秀音楽賞(佐藤勝)、最優秀撮影賞(上田正治)、最優秀照明賞(佐野武治)、最優秀美術賞(村木与四郎)の8部門の最優秀賞を獲得。但し、個人的には、セリフの一部が現代語っぽくなっている部分もあり、それが少し気になりました。これは黒澤作品でもみられますが(そもそも、この作品の脚本は黒澤自身)、黒澤監督作品の場合、骨太の演出でカバーして不自然さを感じさせないところが、この映画では、先のエキストラ級の端役陣の「学芸会」調のセリフも含め、そうした勢いが感じられませんでした。そのため、そうした不自然さが目立った印象を受けたように個人的には感じました。

「椿三十郎」●制作年:1962年●製作:東宝・黒澤プロダクション●監督:黒澤明●脚本:黒澤明/菊島隆三/小国英雄●撮>影:小泉福造/斎藤孝雄●音楽:佐藤勝●原作:山本周五郎「日日平安」●時間:96分●出演:三船敏郎/仲代達矢/司葉子/加山雄三/小林桂樹/団令子/志村喬/藤原釜足/入江たか子/清水将夫/伊藤雄之助/久
保
明/太刀川寛/土屋嘉男/田中邦衛/江原達怡/平田昭彦/小川虎之助/堺左千夫/松井鍵三/樋口年子/波里達彦/佐田豊/清水元/大友伸/広瀬正一/大橋史典●劇場公開:1962/01●配給:東宝(評価★★★★☆)
「雨あがる」●制作年:2000年●製作:黒澤久雄/原正人●監督:小泉堯史●脚本:黒澤明/菊島隆三/小国英雄●撮影:上田正治●音楽:佐藤勝●原作:山本周五郎「雨あがる」●時間:96分●出演:寺尾聰/宮崎美子/三船史郎/吉岡秀隆/仲代達矢/原
田美枝子/井川比佐志/檀ふみ/大寶智子/松村達雄/奥村公延/頭師孝雄/山口馬木也/森塚敏/犬山半太夫/鈴木美恵/児玉謙次/加藤隆之/森山祐子/下川辰平●劇場公開:2000/01●配給:東宝(評価★★★)





「たそがれ清兵衛」は2002年に山田洋次監督によって映画化され、同監督初の時代劇でしたが、第76回キネマ旬報ベスト・テンの第1位に選ばれるなど多くの賞を受賞しました(「毎日映画コンクール 日本映画大賞」「ブルーリボン賞 作品賞」「報知映画賞 作品賞」「山路ふみ子映画賞」「日刊スポーツ映画大賞 作品賞」など作品賞を総嘗めした)。
清兵衛と朋江の相互の切ない想いの描き方は感動的でしたが、原作はもっと軽い感じだったという印象。但し、意図せずに上意討ちの討ち手に選ばれてしまうというのは原作通りで、真田広之と田中泯の殺陣シーンはなかなかリアリティがありました。こうした、テレビ時代劇などにある従来のお決まりの殺陣シーンとは違った演出ばかりでなく、時代考証も細部に行き届いているようで、山田洋次監督の初時代劇作品への意気込みが感じられ、真田広之、宮沢りえの演技も悪くなかったです(真田広之、宮沢りえそれぞれ日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞・女優賞を受賞。映画デビュー作の田中泯は最優秀助演男優賞、新人俳優賞のW受賞)。
でも、恋愛を描いたことで、完全に原作とは別物の作品になった印象もありました。話の枠組みを岸恵子(壮齢となった清兵衛の娘)の語りにする必要もなかったし(岸恵子は「男はつらいよ 私の寅さん」('73年/松竹)以来の山田洋次監督作品への出演)、その語りによるエピローグで清兵衛を戊辰戦争で死なせる必要も無かった―更に言えば、どうせここまで改変するならば、2人を結婚させず悲恋物語にしても良かったように思います。
「たそがれ清兵衛」●制作年:2002年●製作:大谷信義/萩原敏雄/岡素之/宮川
人助八」●時間:129分●出演:真田広之/宮沢りえ/田中泯/小林稔侍/大杉漣/吹越満/深浦加奈子/神戸浩/伊藤未希/橋口恵莉奈/草村礼子/嵐圭史/岸惠子/中村梅雀/赤塚真人/佐藤正宏/桜井センリ/北山雅康/尾美としのり/中村信二郎/丹波哲郎
/佐藤正宏/水野貴以●劇場公開:2002/11●配給:松竹(評価★★★☆)
[右写真]小林稔侍/宮沢りえ/山田洋次監督/真田広之/丹波哲郎