2026年2月 Archives

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自然・シュール・大掛かりなアクション「空中結婚」。短篇時代最後の作品もまた"夢オチ"「捨小舟」。
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「キートンの空中結婚」
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「捨小舟」
キートン dvd4.jpgバスター・キートン傑作集(4) [DVD]」(「北極無宿」「電気屋敷」「成功成功(白日夢)」「空中結婚」「捨小舟」所収)
キートンの空中結婚02.jpg 夏の午後バスターは、遊園地に来ている。お化け屋敷に一人で入っても全然楽しくないのが解り、ガール・ハントを開始。水上ゴンドラを目当てに一人で来た女の子フィリス(フィリス・ヘイヴァー)を発見。すかさず隣の席に座って機会を伺うが、敢えなくヒジテツを喰らう。フィリスは大きな車を乗り回すような男まさりな女の子だった。ガール・ハントを諦めたバスターは、隣の空き地の気球の離陸準備が面白そうなので、作業を手伝うことにする。気球の頂上で作業中に気球は離陸を開始してしまい、バスターひとりが上空へ。飛行がしばらく続くと空腹感、今度はバード・ハントといった具合。気球にとまった鳥をライフルで狙い撃ち。もキートンの空中結婚21.jpgちろん気球は破裂して、バスターあわやの急降下!ところが運良く落下地点が木の上で命拾いする。その辺り一帯は、自然に恵まれた川べりだったので、さっそくフィッシング開始。そして、偶然にも、アウトドアライフを楽しむフィリスの姿がすぐそばに―(「キートンの空中結婚」)。

 キートン・プロのキートン監督・出演作の【第18作(米国公開日:1923年1月22日)】。気球に乗ってしまったキートンが、山奥に着陸し、偶然出会った女性と冒険する物語。前半は気球で空を飛ぶシーンが山場で、気球にとまった鳥をライフルで撃って気球を破裂させたり、空中で命がけの綱渡りをしたりする身体を張ったコメディが見られます。後半は、川岸に不時着したキートンが自然の中で繰り広げるサバイバルで、バラバラの部品から舟を組み立て、魚を捕まえようと奮闘、滝下り、クマなど野生動物との遭遇など、背景のダイナミックさが特徴です。また、キートンらしい、体を張ったアクロバティックなギャグも目いっぱい愉しめます。

キートンの空中結婚22.jpg 実は初めて観た時、キートンが遊園地の水上ゴンドラでヒジテツ(パンチ?)を喰らった女性と、気球が墜落した川岸で出会った女性が同じ女性であることに気づかず、再見して、ちゃんと伏線を回収していることに気づきました。女性の愛を獲得してカヌーで川を下るが、あわや滝に落ちそうになる...というラストは、可愛らしい終わり方でした。


 
キートンの捨小舟001.jpg 美しい夕暮れ時に恋人から別れを告げられたバスターは、彼女のことを忘れるために世界一周の船旅に出発することを決めた。ただし、乗る船は、ボートに幌を掛けただけのような小舟キューピッド号。出発してから何日経ってもキートンの捨小舟05.jpg目の前には大海原が広がるばかり。気分が悪くなったバスターは酔い止めの薬を飲んで横になった。気がつくと、すぐ近くに捕鯨船。その船の船長は七つの海で最も残忍で短気な男だったが、他にあてのないバスターは船室付き給仕として雇ってもらうことにした。鯨の捕獲の最中に船長が海に落ちてしまう。これはラッキー、今度は自分が船長だ、と他の船員に息巻くバスター。その様子を海からサバイバルしてきた船長が見て怒り心頭。船長に追いつめられたバスター危うし、甲板から落ちることを余儀なくされた。ついに海の藻屑と化してしまうのか、と思いきや、船尾から海へと伸びた縄につかまり、救命ボートを奪取する機会を伺うバスターであった―(「捨小舟」)。

キートンの捨小舟06.jpg キートン・プロのキートン監督・出演作の【第19作(米国公開日:1923年3月22日)】。巨大な戦艦や爆破シーンなど、短編ながらも独創的なアイデアが詰め込まれています。キートンの他に、キートン映画で憎まれ役でお馴染みの巨漢ジョー・ロバーツ(ビッグ・ジョー)や、「キートンの白人酋長」('22年)などにも出ているヴァージニア・フォックスらが出演、ビッグ・ジョーは自らも海に落っこちて頑張っていました。船長に追い詰められたキートンは壁の船員リストの自分の名に横棒をサッと引き、船底まで逃げこむと船底の壁を斧でぶち破って船を沈めにかかり、捕鯨船が沈むのと一緒に自分の乗ってきた小舟ごと浮かび上がります。ボートを漕ぎ出したキートンは巨大看板に小舟を繋いで釣りを始めますが、キートンが小舟を繋いだ側とは逆の看板の正面には大きく「3」と書かれ、海軍が同じような巨大看板の「1」「2」を順に砲撃演習しているのに気づかず、砲撃された巨大看板は粉々に爆破されます。ハッと目覚めたキートンは顔の下半分が真っ黒の髭面で小舟の中で目覚め、食糧がない、もう水もないと絶望しますが、 キートンが身を起こしてふと見ると、すぐ近くで別れた恋人(フォックス)が遊泳しており、引いたショットで小舟は実は艀に繋がれたままだったのが映ってエンドマーク。ラストで"夢オチ"と分かる仕掛けです。この作品はキートンが長編映画に移行する前の、短編時代最後の作品です。

 そう言えば、キートンの作品は"夢オチ"が結構あります。短篇では「キートンの囚人13号(ゴルフ狂の夢)」('20年)、「キートンの案山子(スケアクロウ)」('20年)、「キートンの即席百人芸(キートンの一人百役)」('21年)(前半部分)、「キートンの北極無宿」('22年)、「キートンの白日夢(成功成功)」('22年)などが夢オチであり、短篇時代最後のこの作品「捨小舟」も夢オチだったわけですが、その後の中・長編作品でも「キートンの探偵学入門(忍術キートン)」('24年)、「キートンのセブン・チャンス(栃面棒)」('25年)などがそうでした。夢オチの方が荒唐無稽が許される自由度が高いということなのでしょう。


「キートンの空中結婚」
キートンの空中結婚03.jpgキートンの空中結婚23.jpg「キートンの空中結婚(キートンの昇天)」●原題:THE BALLOONATIC●制作年:1923年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●時間:22分●出演:バスター・キートン/フィリス・ヘイヴァー●米国公開:1923/01●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース(84-01-15)●併映:「キートンの文化生活一週間(マイホーム)」「キートンの強盗騒動(悪太郎)」「キートンの警官騒動」「キートンの鍛冶屋」「キートンの船出(漂流)」(評価:★★★★)

キートンの捨小舟01.jpgキートンの捨小舟02.jpg「捨小舟」●原題:THE LOVE NEST●制作年:1923年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●●時間:19分●出演:バスター・キートン/ジョー・ロバーツ/ヴァージニア・フォックス●米国公開:1923/03(評価:★★★☆)

  
 

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都会的・連続的アクション。4つのシークエンスがテンポ良く愉しめる。アイデアの凝縮度高い。

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「キートンの白日夢」
キートン dvd4.jpgバスター・キートン傑作集(4) [DVD]」(「北極無宿」「電気屋敷」「成功成功(白日夢)」「空中結婚」「捨小舟」所収)
キートンの白日夢020.jpg 夢見がちな無職者バスター。世間知らずなお嬢さんのハートを射止め、彼女の父親に結婚の許しを得ようとしたが、「おまえは娘を養えないだろう」と言われてしまう。そこで、「これから都会に行って成功してみせます。もしダメだったらここに戻ってきてピストキートンの白日夢02.jpgル自殺します」と啖呵を切った。都会に行ったバスターからお嬢さん宛に手紙が順次届いた。
 ■手紙1「僕は今大きなサナトリウムで仕事を任されています。面倒を見ている患者の数は二百ほど。想像を絶するほどの手術をこなさなければなりません」
 ■手紙2「ちょっとした災難のせいで、手術の仕事は諦めなければなりませんでした。今は金キートンの白日夢01.jpg儲けでもしてみようと証券取引所の辺りでビジネスをしています。金融界の著名人たちとよく顔を合わせます。」
キートンの白日夢6.jpg ■手紙3「金儲けにも飽き飽きしました。僕は自分の芸術家的な資質を生かそうと考えました。今日シェークスピアの『ハムレット』で舞台デビューします。」
 ■手紙4「素晴らしい成功!人々があまりに熱狂的に押し寄せてくるので、自分の通り道を探さなければならないほどでした。」
 しかし、彼の都会での生活の実態は―。

 キートン・プロのキートン監督・出演作の【第16作(米国公開日:1922年11月)】。キートンが恋人に宛てた手紙の内容に沿って、キートンの多彩な職業遍歴が楽しめます。"手紙の内容に沿って"と言っても実態は手紙の中身とは雲泥キートンの白日夢s2.jpgキートンの白日夢s1.jpgの差があり、最初に仕事したのはサナトリウムではなく動物病院での獣医の下働きで、証券取引所の辺りでビジネスをしているのではなく道路の清掃をしていて(紙吹雪がスゴい)、舞台デビューはハムレット役ではなく多くの兵士のうちの1人の役に過ぎず...。手紙から恋人の想像する医師や証券ビジネスマン、ハムレット俳優として成功しているキートン像もあり、それだけにギャップ感が大きいです。アクションも全開で、兵士の格好のまま街に飛び出して、定番の警官との追い駆けっこ。かの有名な路面電車に掴まって浮いて空中を泳ぐシーンや、キートンの白日夢7.jpg船の水車でぐるぐる回りながら歩くシーンなどもあります。「白日夢」と言うより「悪夢」ですが、「何をやっても上手くいかないが、めげない」ところがキートンらしい。ただ、タイトルから窺えるように"夢落ち"であり、ハッピーエンドに落ち着きはしますが、夢の内容はやっぱり相当に悲惨で、最後にはキートンが宣言通りピストル自殺をしようとしますが、これも失敗。このように、、結構トーンとしては悲観主義的な雰囲気が色濃い作品ではありますが、都会的・連続的アクションが見られ、4つのシークエンスがテンポ良く愉しめるアイデアの凝縮度という点では傑作だと思います。
 

キートンの白日夢9.jpgキートンの白日夢7.png「キートンの白日夢(成功成功)」●原題:DAY DREAMS●制作年:1922年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●時間:22分●出演:バスター・キートン/ルネ・アドレ/ジョー・キートン/ジョー・ロバーツ●米国公開:1922/11(評価:★★★★) 

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ジョルジュ・メリエスが監督した初期の短編4作。どの作品も"遊んでる"感があって愉しい。

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「カレーとドーヴァーの間」「舞踏会のあとの入浴」(1997)/「海底の軍艦メーヌ号見学」「幾つもの頭を持つ男」(1998)

カレーとドーヴァーの間23.jpg 蒸気船「ロベール=ウーダン・スター・ライン」号の乗客らは、英国海峡を渡る際に荒波に遭う。甲板上で、頬髯を伸ばし格子柄の上下を着た男(ジョルジュ・メリエス)が大揺れの中で何とか飲み食いをしようとジタバタし、長髭の聖職者が動転した乗客たちを宥めようと話しかけ、船長は上部甲板からこの混乱した状態を窺い、船酔いになったと思しき女性が介抱される―(「カレーとドーヴァーの間」)。

 英仏海峡を渡る船の揺れをコミカルに描いた、トリックを使わない写実的(ドキュメンタリー)路線の傑作とされる作品です。メリエスの所有する家の庭で、屋外撮影されており、書割の背景画は用いられていません。「ロベール=ウーダン・スター・ライン」という船名は、メリエスが所有していたロベール=ウーダン劇場や、映画会社の商標スター・フィルムからとっています。映画史家のジョン・フレイザーによれば、「乱雑で混乱した振り付けは、準備され、リハーサルされたものであり、全体的な大混乱の中でも、重要な動きはきちんと明示されている」とのこと。嵐に遭う船に自分の劇場の名前を付けているのは鷹揚と言うべきか(笑)。

メリエス2入浴2.jpg 女性(ジュアンヌ・ダルシー)が舞踏会から帰ってくると、女中の手を借りながらドレス、ペチコート、下履き、黒い靴下などを脱いでいく。最後に後ろを向いて肌着を脱ぎ、背中を見せる。そのあとに女中が彼女に湯をかけ、バスローブを羽織らせてて体を乾かす―(「舞踏会のあとの入浴」)。

 女性が風呂に入り、メイドが手伝う様子を描いた作品で、「映画史上初の女性のヌードを撮った映画」の1つと言われています。この作品も、メリエスの家の敷地内にある桃畑の周りに築かれた壁を背景にして屋外で撮影が行われています。入浴する女性を演じたのは、メリエスの愛人であり、彼の舞台や映画に出演していたジュアンヌ・ダルシーという女性で、裸になるシーンでは肌色の肉襦袢を着て演技していますが、彼女が寒がったため、入浴シーンでメイドは水の代わりに砂をかけているそうです(笑)。

メリエス3メーヌ号2.jpg 1898年2月15日、アメリカ海軍の戦艦メイン号はキューバのハバナ湾で停泊中に爆破し、海底に沈没した。その海底とメイン号の残骸が画面に映し出される。長いエアホースが付いた送気式の潜水服の3人のダイバーは、梯子を使って海底へと降りる。ダイバーはメイン号の残骸の大きな穴の開いたところから中へ入り、死体を回収する。死体はロープで結ばれ、海上へと引き上げられる。別のダイバーは船体から重い物体を回収する―(「海底の軍艦メーヌ号見学」)。

 1898年にハバナ港で爆沈した米軍艦メーヌ号をテーマにしたニュース映画風のフィクション(所謂「再構成されたニュース映画」)。内容的には「見学」と言うより、英題の通り「遭難したメイン号で仕事するダイバーたち」が主。ダイバーたちが海底の残骸を探索する海中シーンは、実際に海に潜水したのではなく、スタジオセット内での撮影だったようです。本物の魚が泳ぐ大きな水槽をカメラの前に置き、それを通してセットで演じられるアクションを撮影したとのこと(ダイバー役は水には潜ってはいないらしい)。そう言えば、26年後のバスター・キートンの「海底王キートン」('24年)では、キートンがシエラネヴァダ山中のタホ湖(かつては世界第3位の透明度を誇った)に、時間は短いですが実際に潜水服で潜っていたことを思い出しました(まあ、その間に潜水服も進歩したとは思うが)。

メリエス4幾つもの頭2.jpg マジシャン(ジョルジュ・メリエス)は、ステージ上にある2つのテーブルの間に立ち、自分の頭を引き抜いてテーブルの上に置く。頭はあたりを見回したり、喋ったりしている。マジシャンの首には、すぐに新しい頭が付いてくる。マジシャンはこの芸当に誤魔化しがないことを見せるために、頭を置いたテーブルの下を通り抜ける。それからマジシャンは、新しく生えてきた自分の頭を抜いてはテーブルの上に置くという行為を2回繰り返し、最後に自分の首に4つ目の頭が付く。マジシャンはバンジョーを弾き始め、テーブルの上にある3つの頭も一緒に歌い出す。マジシャンは頭たちの歌声が不快になり、バンジョーで2つの頭を叩いて消してしまう。さらに自分の頭を取って投げ捨て、テーブル上にある残る一つの頭を宙に放り投げると首にくっついて戻る。マジシャンは画面に向かってお辞儀をしてステージから出て行く―(「幾つもの頭を持つ男」)。

 メリエス自身が演じる奇術師が、自分の頭を次々と外してテーブルに並べるという不思議な分身現象を表現した短編トリック映画で、多重露光技術(ストップ・トリック)を駆使した最初の1本と言われています。撮影は4回の多重露光とストップ・トリックの組み合わせで行われ、ここで言うストップ・トリックとは、黒いビロードの幕を背景にしつらえ、メリエスが自分の頭を取り外そうとする仕草をするところで撮影を中断し、黒い頭巾を被ってから撮影を再開すると、頭巾と背景が同化し、頭だけがなくなったかのように見せることができるという技です。雑誌「リテレール」別冊の『映画の魅惑―ジャンル別ベスト1000』('93年/メタローグ)で、版画家の山本容子氏がこの作品をモチーフにした表紙絵を描いていました。

 映画の創成期において様々な技術を開発した人物であり、世界初の職業映画監督の一人といわれている大御所ですが、どの作品も"遊んでる"感があって愉しいです。

メリエ1カレー3.jpg「カレーとドーヴァーの間」●原題:ENTRE CALAIS ET DOUVRES(英:BETWEEN DOVER AND CALAIS /BETWEEN CALAIS AND DOVER)●制作年:1897年●制作国:フランス●監督:ジョルジュ・メリエス●時間:約1分●出演:ジョルジュ・メリエス/ジョルジェット・メリエス/ジョゼ・グラピネ●フランス公開:1897年(評価:★★★☆)
  
メリエス2入浴3.jpg「舞踏会のあとの入浴」●原題:APRES LE BAL (LE TUB)(英:AFTER THE BALL)●制作年:1897年●制作国:フランス●監督:ジョルジュ・メリエス●時間:約1分●出演:ジュアンヌ・ダルシー/ジャンヌ・ブラディ●フランス公開:1897年(評価:★★★☆)
  
    
メリエス3メーヌ号4.jpgメリエス3メーヌ号3.jpg「海底の軍艦メーヌ号見学」●原題:VISITE SOUS-MARINE DU "MAINE"(英:DIVERS AT WORK ON THE WRECK OF THE "MAINE")●制作年:1898年●制作国:フランス●監督:ジョルジュ・メリエス●時間:約1分●パリ公開:1898/04(評価:★★★☆) 
 
 
 
 
 
  
 
映画の魅惑―ジャンル別ベスト1000』('93年/メタローグ)(表紙絵:ジョルジュ・メリエス by 版画家・山本容子)
『映画の魅惑―.jpgメリエス4幾つもの頭3.jpg「幾つもの頭を持つ男」●原題:UN HOMME DE TETES(英:THE FOUR TROUBLESOME HEADS●制作年:1898年●制作国:フランス●監督:ジョルジュ・メリエス●時間:約1分●フランス公開:1898年(評価:★★★☆)

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やや疑問を感じた「デュオ安楽死」。60代になったアンヘラ・モリーナの演技。

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「両親が決めたこと」アルフレド・カストロ/アンヘラ・モリーナ
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欲望のあいまいな対象 [DVD]」フェルナンド・レイ/キャロル・ブーケ/アンヘラ・モリーナ
両親が決めたこと01.jpg スペイン・バルセロナで暮らす80歳の舞台女優クラウディア(アンヘラ・モリーナ)は、末期がんに冒されている。がんは脳にまで転移し、錯乱や半身麻痺、さらに自我の喪失も近づくなか、彼女は安楽死を選択する。子育てよりも舞台優先で生きてきたクラウディアを支え続け、今なお愛してやまない夫フラビオ(アルフレド・カストロ)も彼女とともにスイスで安楽死することを決意し、3人の子どもたちに打ち明ける。子どもたちは戸惑い反発するが父の意志は固く、両親はデュオ安楽死に必要な手順を進め、ついに最後の旅へと出発するときがやって来る―(「両親が決めたこと」)。

両親が決めたこと02.jpg カルロス・マルケス=マルセット監督の2004年公開作で、高齢夫婦のどちらかが病の終末期に安楽死する決意をしたときに、そのパートナーが自身は健康であっても伴侶と共に安楽死する道を選ぶ「デュオ安楽死」というもの(ヨーロッパで急増しているという)を題材にした家族ドラマ。デュオ安楽死を決めた両親と、その子どもたちの心の機微を、ユーモアをも交えながら描いています(妻が元ダンサーということで、時折挿入される芸術的な舞台シーンなどもテーマが重い故の緩衝材的効果を狙ったと思われる)。本作は、2024年・第49回「トロント国際映画祭」で、新たな挑戦作を評価する「プラットフォーム部門」の作品賞を受賞しています。

 それにしても、終末期の病にある母親の安楽死に加え、父親まで一緒に死ぬと言い出したいう事態には、子どもらがびっくりするのも無理ないなあ。でも、最後は容認するとこところは、やはり個人主義的な欧米人の感覚のように思えました。日本だったら周囲が引き留めて、なかなかこうはいかないでしょう(スイスからも遠いというのもあるが)。

「すべてうまくいきますように」2021.jpg さすがに「デュオ」ではないけれど類似した設定である、フランソワ・オゾン監督の「すべてうまくいきますように」 ('21年/仏・ベルギー)にも、スイスの安楽死を請け負う機関が出てきましたが、この「両親が決めたこと」では実際にスイスのそうした施設を使って撮影し、安楽死の手順を映画内で再現し、施設内の様子や火葬して灰になるまでを描いています。あちらは「骨拾い(骨上げ)」という慣習が無く(あれは世界的に見ると非常に珍しい風習のようだ)、いきなり"灰"になってしまうのだなあ。

 個人的には、病が終末期で自我の存続が難しい状態にある妻の安楽死の手助けは「尊厳死」として理解できるけれど、健全な躰を持つ夫に対しては完全な自殺幇助ではないかとの疑問を抱きました。最後に、夫の方がちょっと逡巡したように見えましたが、人間、何らかの未練はあるのでは。施設側は「いつでも止めザルーム ネクスト・ドア2024.jpgられる」としながらも、手順的には(後押しは必要なのかもしれないが)「さあ、死になさい」と言わんばかりで、観ていてちょっとキツイ感じがしました(先に夫の方が逝き、妻が後を追う形になったのには何か意味が込められているのか)。安楽死・尊厳死関連の作品では、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した、末期がんの女性の自死を描いたペドロ・アルモドバル監督 の「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」 ('24年年/スペイン・米)が、自分で死ぬタイミングを選ぶという点で、自分的には一番"しっくりくる死に方"(笑)でした。

アンヘラ・モリーナ in「両親(ふたり)が決めたこと」(2024)/「欲望のあいまいな対象」(1977)
両親が決めたこと03.jpg欲望のあいまいな対象 あんへら.jpg 「両親(ふたり)が決めたこと」ではアンヘラ・モリーナが、60代後半の実年齢で80歳の元舞台女優の妻クラウディアを演じています。アンヘラ・モリーナは、あの「自由の幻想」('74年/仏)のルイス・ブニュエル監督の遺作である「欲望のあいまいな対象」('77年/仏・スぺイン)で知られるようになった女優ですが、この作品を観たシネマリス (神保町)では、その「欲望のあいまいな対象」も掛かっていて、公式xでは、「1955年生まれのアンヘラ・モリーナの20代、60代の演技を続けてご覧頂けます」との触れ込みでした。

欲望のあいまいな対象01.jpg テロの危険に満ちたセビリア。初老の紳士(フェルナンド・レイ)は、発車間際の電車に乗り込もうとしてきた1人の女にバケツの水を被せる。驚く相客の男女らに、彼は女が悪魔であることを語り始める、その娘コンチータ(キャロル・ブーケ)のことを。初老の紳士マチューがコンチータに会ったのは、従兄の判事エドワール(ジュリアン・ベルトー)を食事に招いた日のこと。その日雇われた新しい小間使がコンチータだったのだ。その初々しい姿にすっかり魅せられたマチューは、夜コンチータを呼んだ。しかしコンチータはその部屋を逃げ去り、翌朝、マチューの家を出て行った。彼女を忘れられないマチューはローザンヌのレ欲望のあいまいな対象02.jpgマン湖畔で偶然彼女と再会する。演劇仲間といっしょの彼女は、興行主に騙され無一文だと言う。そんな彼女に金を握らせるマチュー。彼はそれがきっかけで、パリに帰ってからもコンチータのアパートを訪れた。アパートでは、彼女(アンヘラ・モリーナ)は、母と二人で貧しい生活を送っていた。マチューは、母親に大金を渡し、コンチータを自分の邸に引き取ろうとするが、コンチータは、そんなやり方のマチューに怒り、手紙を残して彼の許を去ってしまう。夜も眠れぬマチュー。再びとあるバーで偶然コンチータを見かけた彼は、今度こそは離すまいと、郊外の別荘に連れてゆく。ところが、ベッドの中でマチューが手にしたものは、なんと彼女を守る貞操帯だ。マチューの欲望は一向に満たされない―(「「欲望のあいまいな対象」)。

欲望のあいまいな対象03.jpg 「欲望のあいまいな対象」は「アンダルシアの犬」('28年/仏)、「<自由の幻想」('74年/仏)のルイス・ブニュエル監督の遺作で、主人公の男性がのめり込むヒロイン・コンチータを、フランス人で映画初出演のキャロル・ブーケ(ヒロインの無垢な少女の面の担当?)とスペイン人女優のアンヘラ・モリーナ(ヒロインの妖艶な悪女の面の担当?)の二人の女優が演じるという「二人一役」の演出がなされていましたが、特にアンヘラ・モリーナの美貌とエロティックな肢体は目を惹きます。

欲望のあいまいな対象04.jpg 列車の中で主人公が語る話が映画のメインストーリーですが、その列車にバケツで水をぶっかけられたコンチータも乗っているわけで、彼女もお返しに主人公にバケツで水をぶっかける―ところが、主人公の話が終わって、映画もこれで終わりという時に2人は...。"想定外の結末"との世評ですが、全体を振り返ってみると、やっぱりという気もしないではない、と言うか、この結末しかないのではないかという気もします(この主人公は「病膏肓に入る」だなあ)。エンディングに爆発に象徴されるように、テロによる政情不安というのも背景にあるのでしょうか。個人的にはその辺りの関連はあまりよく分からなかったけれど。

 

両親が決めたことえ.jpg両親(ふたり)が決めたことTHEY WILL BE DUST.jpg「両親(ふたり)が決めたこと」●原題:POLVO SERAN(英題:THEY WILL BE DUST)●制作年:2024年●制作国:スペイン・イタリア・スイス●監督:カルロス・マルケス=マルセット●製作:トノ・フォルゲラ/アリアドナ・ドット/ジョバンニ・ポンピリ/オイゲニア・ムーメンターラー/ダービト・エピナイ●脚本:カルロス・マルケス=マルセット/クララ・ロケ/コーラル・クルス●撮影:ガブリエル・サンドル●音楽:マリア・アルナル●時間:106分●出演:アンヘラ・モリーナ/アルフレド・カストロ/モニカ・アルミラル・バテット/パトリシア・バルガロ/アルバン・プラド/マヌエラ・ビーダーマン●日本公開:2026/02●配給:百道浜ピクチャーズ●最初に観た場所:神保町・シネマリス(26-02-17)●同日上映:「欲望のあいまいな対象」(ルイス・ブニュエル)

欲望のあいまいな対象」[Prime Video]「映画パンフレット★『欲望のあいまいな対象』/ルイス・ブニュエル監督、フェルナンド・レイ、キャロル・ブーケ
欲望のあいまいな対象  p.jpg欲望のあいまいな対象 p.jpg「欲望のあいまいな対象」●原題:CET OBSCUR OBJET DU DESIR(英:THAT OBSCURE OBJECT OF DESIRE)●制作年:1977年●制作国:フランス・スペイン●監督:ルイス・ブニュエル●製作:セルジュ・シルベルマン●脚本:ルイス・ブニュエル/ジャン=クロード・カリエール●撮影:エドモン・リシャール●時間:99分●出演:フェルナンド・レイ/キャロル・ブーケ/アンヘラ・モリーナ/バレリー・ブランコ/エレン・バル/リタ・ラッチ・ペイロ/デイビッ ト・ロッチャ●日本公開:1984/11●配給:フランス映画社●最初に観た場所(再見):神保町・シネマリス(26-02-17)●同日上映:「両親(ふたり)が決めたこと」(カルロス・マルケス=マルセット)

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女性との接触が意外と多かった。高齢化社会問題を先取り? 個人主義的な生き方の強さ。

ハリーとトント1974.jpgハリーとトント11.jpg ハリーとトント12.jpg
「ハリーとトント」ポスター アート・カーニー
ハリーとトント [DVD]
ハリーとトント1d.jpgハリーとトント26.jpgハリーとトント13.jpg 72歳のハリー(アート・カーニー)は、妻に先立たれ3人の子供達も独立しており、マンハッタンのアパートに愛猫トントとともに暮らしていた。しかし、区画整理のためにアパートから強制的に立ち退かざるを得なくなり、長男バート(フィル・ブランス)の家へ移り住むことになるも、そこに馴染むことができず、娘のシャーリー(エレン・バースティン)を尋ねる為、トントを連れてシカゴへ向かう決心をする。トントが原因で飛行機にもバスにも乗ることが出来なくなったが、中古車を買い旅を続けることで、様々な人と出会うことに―。

エレン・バースティン
ハリーとトント22.jpg ポール・マザースキー監督の1974年公開作で、アート・カーニーが映画初主演で第47回「アカデミー主演男優賞」を受賞した作品。ポール・マザースキー監督はハリー役に有名俳優を起用したいと考え、ローレンス・オリヴィエ、既に引退したケイリー・グラントに出演依頼をしたがいずれも断られ、一方プロデューサー側は興行的に失敗する場合も想定してギャラの安いテレビ俳優を希望しており、そこでマザースキーの目に留まったのがたまたま鑑賞した舞台に出ていたアート・カーニーだったとのこと。カーニーは台本を気に入ったものの、72歳のハリーよりも16歳も年下なので断ろうとしたが、マザースキーは第二次大戦で負傷した彼の歩き方がこの役に合ってると思い彼を説得、カーニーは当時56歳で、息子役のラリー・ハグマンと13歳、娘役のエレン・バースティンと14歳しか離れていなかったそうです。

ハリーとトント23.jpg ニューヨークでアパートを立ち退かされた72歳の老人ハリーが、愛猫トントとともにアメリカ大陸を横断するロードムービーです。ハリーが家を追われ、子供たちの世話になれる状況でも、彼らの家庭の都合や空気に無理に合わせず、新しい旅に出るというのは強いなと思います。70代で車を運転し、新しい場所へ行き、様々な世代の人々(ヒッチハイカーの少女や先住民など)と心を通わせるハリーの姿は、冒険心に年齢制限がないことを表しています。旅の過程で、ハリーは家族や友人、そして愛猫トントとの別れを経験します。しかし、彼はその悲しみに押し潰されることなく、思い出を大切にしながら、前を向いて歩き続けます。

ハリーとトント14.jpg 今回久しぶりに「NHK-BSプレミアムシネマ」で観直してみて気づいたのは、ハリーの旅の過程で女性との接触が多いことでした。ラスベガスへ向かう車の運転中に女性(実は売春婦)に声を掛けられ、一緒に過ごすことを誘われます(バーバラ・ローズ演じる彼女はハリーに「少し人生を楽しんだら」と優しく働きかけるが、ここはそれだけのエピソードで終わる)。また、シカゴの老人介護施設にかつての恋人を訪ね再会しますが、彼女は現在認知症を患っており、ハリーを別の男と間違えるなど心痛な場面ですが、二人がかつて愛し合ったという背景が切なく描かれます。

 映画の終盤、ハリーはカリフォルニアのベニスビーチで、たくさんの猫に餌をやっている女性とベンチで隣り合わせになり、彼女がハリーに話しかけ、一緒に暮らすよう誘い、ハリーも彼女と過ごすことを少し考えたようですが、最終的には別の場所で別の(トントに似た)猫を見つけ、彼らと過ごすことを選びます。

ハリーとトント15.jpg これ以外にも、物語の初期、ヒッチハイカーの少女(メラニー・メイヤー)を車に乗せ、しばらく一緒に行動するシーンがあります。 少女から直接的な性的な誘いではありませんが、彼女が同宿したホテルで胸を露わにし、ハリーが動揺したかのように見えるシーンがあります(15歳くらいなのだが)。結局この娘は、ハリーが再会した元引き籠りの自分の孫と意気投合して、若者たちが共同生活を送るコミューンに行くことになりますが、ハリーは、社会の規範にとらわれない彼らの生き方に対し理解を示します。

 旅の過程でこうしたコミューンに出会うというのは、同じくアメリカ大陸横断ロードムービーである「イージー・ライダー」 ('69年/米)で、ピーター・フォンダとデニス・ホッパー演じるヒッピーが、バイクで旅をする中で、ニューメキシコの砂漠にあるヒッピーのコミューンに立ち寄ったのを想起させ、60年代末から70年代のカウンターカルチャーの時代を感じさせます。

ハリーとトント25.jpg 一方で、オープニングシーンの都会の老人たちのショットの連続は、老人の社会的疎外を象徴しており、その後もハリーが老朽化したアパートから強制立ち退きに遭うシーンなどが続き、映画そのものも、高齢化社会の問題を先取りするようなものであったとも言えます(高齢化社会の問題は特にわが国において深刻なのだが)。

 また、同時に、リア王の話が出てくるように、娘や息子たちの元を転々とするハリーの姿は、領土を娘たちに分け与えた後に裏切られる「リア王」の話の骨格と重なります(結局、「時代的」「今日的」「普遍的」テーマ ということか)。

 ただし、シェイクスピアの四大悲劇の1つ「リア王」とは異なり、この映画では老いと自立、家族関係をどちらかと言うと軽妙なトーンで描いています。狂気に陥るリア王とは対照的に、ハリーは旅を通して新たな自由を見出したように見え、改めてハリーの欧米風の個人主義的な生き方の強さを感じました。

チーフ・ダン・ジョージ
小さな巨人 ホフマン ジョージ.jpgハリーとトント24.jpg ハリーがアメリカ横断の旅をする中で、老インディアンと出会い、心を通わせるエピソードがありますが、この老インディアンを演じたチーフ・ダン・ジョージは、1969年に60歳を超えて俳優デビューし、アーサー・ペン監督の「小さな巨人」('70年/米)でアカデミー賞及びゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされ、「ニューヨーク映画批評家協会賞」「全米映画批評家協会賞」の男優賞を受賞しています。

Tonto(Jay Silverheels)/Lone Ranger(Clayton Moore)
ローン・レンジャー1.jpgローン・レンジャー2.jpg また、こちらもインディアン絡みになりますが、劇中でハリーも言っている通り、愛猫トントの名は、モノクロ西部劇として人気を博したTVシリーズで、ウィリアム・テル序曲の主題曲と「ハイ・ヨー、シルバー!」の掛け声も懐かしい「ローン・レンジャー」に出てくるローン・レンジャーの相方のインディアンのトントから取った名前です(主人公ハリーの老インディアンとの交流は偶然によるが、運命的要素もあったということか)。「ローン・レンジャー」は近年ではゴア・ヴァービンスキー監督により「ローン・レンジャー」('13年/米)として映画化され(ローン・レンジャーの映画作品としては5作目にあたる)、アーミー・ハマーがローン・レンジャー、ジョニー・デップがトントを演じましたが、第34回「ゴールデンラズベリー賞 最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞」を受賞しています。

ローン・レンジャー3.jpgローン・レンジャー TV版 DVD-BOX」クレイトン・ムーア/ジェイ・シルヴァーヒールス

「ローン・レンジャー」The Lone Ranger(ABC 1949~57)○日本での放映チャネル:KRT(1958~59)フジテレビ(1959~63)


ハリーとトント18.jpg「ハリーとトント」●原題:HARRY AND TONTO●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督・製作:ポール・マザースキー●脚本:ジョシュ・グリーンフェルド/ポール・マザースキー●撮影:マイケル・バトラー●音楽:ビル・コンティ●時間:115分●出演:アート・カーニー/エレン・バースティン/ジェラルディン・フィッツジェラルド/ラリー・ハグマン/アーサー・ハニカット/フィル・ブランス/クリフ・デ・ヤング/チーフ・ダン・ジョージ/バーバラ・ローズ/メラニー・メイヤー●日本公開:1975/12●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:高田馬場・パール座(79-10-01)(評価:★★★★)●併映:「これからの人生」(モーシェ・ミズラヒ)

ハリーとトント1p.jpg

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ドキュメンタリーと言うより映像叙事詩。でもやはりドキュメンタリー。

リトアニアへの旅の追憶0.jpg
リトアニアへの旅の追憶(VHS)」ジョナス・メカス
リトアニアへの旅の追憶01.jpgリトアニアへの旅の追憶(VHS).jpg 1949年、故郷からナチスに追われアメリカに亡命したジョナス・メカス。言葉も通じないブルックリンで一台の16ミリ・カメラを手にしたメカスは日々の生活を日記のように撮り始める。27年ぶりに訪れた故郷リトアニアでの母、友人たちとの再会、そして風景が映し出される―。

リトアニアへの旅の追憶v.jpg【ジョナス・メカス自身による解説] この映画は3つの部分から構成されている。まず、第一の部分は、私がアメリカにやって来てからの数年、1950~53年の間に、私の最初のボレックスによって撮られたフィルム群から成っている。そこでは、私の弟アドルファスや、そのころ私達がどんな様子であったかを見ることができる。ブルックリンの様々な移民の混ざりあいや、ピクニック、ダンス、歌、ウィリアムズバーグのストリートなどを。第二の部分は、1971年に、リトアニアで撮られた。ほとんどのフィルム群は、私が生まれた町であるセミニシュケイを映しだしている。そこでは、古い家や、1887年生まれの私の母や、私たちの訪問を祝う私の兄弟たるや、なじみの場所、畑仕事や、他のさして重要ではないこまごまとしたことや、思い出などを、見ることになる。ここでは、リトアニアの現状などというものは見ることはできない。つまり、27年の空白の後、自分の国に戻って来た「亡命した人間」の思い出が見られるだけなのである。第三の部分はハンブルクの郊外、エルンストホルンへの訪問から始まる。私たちは、戦争の間l年間、そこの強制労働収容所で過ごしたのだった。その挿入部分の後、われわれは私たちの最良の友人たちの一部、ペーター・クーベルカリトアニアへの旅の追憶p.jpg、ヘルマンリトアニアへの旅の追憶05.jpg・ニッチ、アネット・マイケルソン、ケン・ジェイコブスと共にウィーンにいる。そこでは、クレムスミュンスターの修道院やスタンドルフのニッチの城や、ヴィトゲンシュタインの家などをも見ることができる。そしてこのフィルムは、1971年8月のウィーンの野菜市場の火事で終わることになる。─ジョナス・メカス。

 詩人でもあるジョナス・メカス(1922-2019/96歳没)の1972年監督のドキュメンタリー映画で、アメリカ・インディペンデント映画の傑作とされている作品。上記メカス身による解説のように、第一部が1950年から1953年までのアメリカにやってきたメカスと弟、第二部が27年ぶりに里帰りしたメカス、第三部が戦争中に住んでいたハンブルク郊外やウィーンへの訪問となっています。

 その中でも、メカスの生まれ故郷であるリトアニアのセメニシュケイ村への旅(第二部)が中心に描かれており、自在なカメラワークと豊かな感受性でそれらをみずみずしく描いた映像となっていて、ドキュメンタリー映画と言うより映像叙事詩という印象です。

 ただし、美しいだけでなく、映像と併せてメカス自身よって簡潔に語られる、ソ連に編入されナチスの侵攻とともに戦火に包まれた故郷の国の歴史と、ナチスに追われ国外逃亡を図って捕らえられ、さらに強制労働所の脱出を図り2度目で成功して逃走を続けたという彼自身の個人史が重く(飄々としたメカスの印象と対照的)、彼の故郷や家族、友人に対する愛おしい気持ちを観る側に強く伝えてきます。

 その意味では、やはり、そのバックグラウンドの重さによってュメンタリーであると言えますが、映像的にはそうした戦乱の部分などはなく、過去と現在の日常の記録=「映像日記」になっています(「メカスの映画日記」は個人映画のバイブルと言われるはど著名)。こんなやり方、ありかな?とも思ったりしますが、メカスは詩人でもあるので、語りの部分も作品の重要な部分であるということでしょう。また、敢えてそうした表現方法をとることによって、戦争スぺクタル映画など既存の映画の作り方に対する1つのアンチテーゼを示しているともとれます。

リトアニアへの旅の追憶cb.jpg この作品は一応'96年8月30日が本邦"初公開"とされていて、2014年にも再公開され、さらに2022年にイメージフォーラムで再々公開されていますが、そのずっと前に、現在渋谷にあるイメージフォーラムがまだ四谷3丁目にあった70年代の頃からそこで度々上映されていて、当時観に行こうと思いながら結局行けずじまいだった作品でした(ヴェルナー・ヘルツォーク監督の「小人の饗宴」('69年/西独)などもその類。「小人の饗宴」の方は1977年が本邦初公開となっているようだ)。今回観れて、何だか何十年分かの借りを返したような気分です(笑)。

リトアニアへの旅の追憶06.jpg ジョナス・メカス

「リトアニアへの旅の追憶」●原題:REMINISCENCES OF A JOURNEY TO LITHUANIA●制作年:1972年●制作国:イギリス/西ドイツ●監督・撮影・編集・ナレーション:ジョナス・メリトアニアへの旅の追憶03.jpgカス●時間:88分●出演:ジョナス・メカス/ピーター・クーベルカ/ヘルマン・ニッチ/アネット・マイケルソン/ケン・ジェイコブス/ペトラス・メカス●日本公開:1996/08●配給:ダゲレオ出版(イメージフォーラム)●最初に観た場所:シネマブルースタジオ(26-01-17)(評価:★★★★)


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こんなに面白くしていいのかという感じ。ジョン・リスゴーにまた会えた。

教皇選挙00.jpg
教皇選挙 [DVD]」レイフ・ファインズ
教皇選挙000.jpg ある日、カトリック教会のトップにしてバチカン市国の国家元首であるローマ教皇が、心臓発作のため突如として急死してしまう。教皇死去の悲しみに暮れる暇もなく、イギリス出身でローマ教皇庁首席枢機卿を務めるトマス・ローレンス枢機卿は枢機卿団を招集し、次のローマ教皇を選出する教皇選挙(コンクラーヴェ)を執行することとなった。100人以上の枢機卿がコンクラーヴェが行われるシスティーナ礼拝堂に集まる中、有力候補者として
・ベリーニ枢機卿(米国出身バチカン教区所属・リベラル派)
・トランブレ枢機卿(カナダ・モントリオール教区所属・穏健保守派)
・アデイエミ枢機卿(ナイジェリア教区所属、初のアフリカ系教皇の座を狙う)
・テデスコ枢機卿(イタリア・ベネチア教区所属・保守派伝統主義者)
教皇選挙 相関.jpgの4人の名が取り沙汰される中、メキシコ出身で昨年に前教皇によって新たに任命されたばかりのアフガニスタン・カブール教区のベニテス枢機卿が開始直前に到着する。かくしてコンクラーヴェが始まるが、枢機卿団の票が割れていく水面下では陰謀や差別、スキャンダルの数々が犇めいていた。裏で信仰に関する悩みを抱えるローレンスは、それらに苦悩を深めつつもコンクラーヴェを執行していくが―。

 2024年公開のエドワード・ベルガー監督作で、「白い巨塔」('66年/大映)など選挙モノは面白いのに(「白い巨塔」の場合は医局の教授選だが)「選挙映画」は意外と少ないと思っていたら、コレまさにタイトルも中身も選挙そのものでした。奇しくも上映期間中の2025年4月21日に教皇のフランシスコ教皇が亡くなったことを受けて、実際のバチカンでコンクラーベが行われることとなり、日本でもそれが本作品の上映期間と重なったことから観客数が急増しました。因みに、原作者ロバート・ハリスは自身は非カトリックですが、リベラル派のフランシスコ教皇を敬愛しており、フランシスコ教皇が選ばれた前回のコンクラーベが作品のヒントになっていて、随所にフランシスコ教皇へのオマージュが散りばめられているようです。フランシスコ教皇はトランスジェンダーや同性カップルへの受容を公式に表明した教皇です(ただし、映画のラストのがベニテスがインターセックスだったというのは面白過ぎる創作)。

ナイロビの蜂 2005.jpg 首席枢機卿としてコンクラーベを主宰するローレンス枢機卿を演じたレイフ・ファインズ(「ナイロビの蜂」('05年)に主演)はキャリアハイライトとも言える演技で、重厚感ありました。内容的にも面白く、選挙は最後に予想外の結果となります。でも振り返ってみれば問題のある候補は淘汰されて、これはこれで"予定調和"なのかなと。ところが、最後の最後にもうひと捻りありました(因みに、映画におけるベニテス枢機卿の国籍はメキシコでメキシコ人俳優のカルロス・ディエスが演じてるが、原作ではフィリピン人である)。こんなに面白くしていいのかという感じもありましたが(ジェンダー問題がストーリーの"オチ"として扱われてしまっている印象も)、米国映画だからできるのでしょう。ヨーロッパでは無理かも(英国も製作国に名を連ねるが、あそこは長年ローマ教皇庁と対立してきた英国国教会だから)。

「トワイライトゾーン・超次元の体験」映画チラシ
トワイライトゾーン 超次元の体験 1983.jpgジョン・リスゴー in「教皇選挙」(2024)/「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」(2023)
教皇選挙リスゴー (2).jpg「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」j.jpg 穏健保守派の教皇候補トランブレ枢機卿(この人も"問題あり"人物)役でジョン・リスゴーが出ていたのが嬉しいです(マーティン・スコセッシ監督の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」('23年)にも判事役で出ていたので、久しぶりというわけでもないが)。

 このジョン・リスゴーという人を最初に観たのは、ジョン・ランディス、スティーヴン・スピルバーグ、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラーの4監督によるオムニバス映画「トワイライトゾーン 超次元の体験」('83/米)だったでしょうか。

  第1話「偏見の恐怖」:ジョン・ランディスがビック・モローを主演にすえて描く人種差別主義者を襲う恐怖の世界。
  第2話「真夜中の遊戯」::老人ホームで暮らす人々に子供の頃の夢と希望を運ぶ男の話をスピルバーグが描く。
  第3話「こどもの世界」:ジョー・ダンテ監督による、スポイルされた超能力少年をめぐる女教師の恐怖の体験。
  第4話「2万フィートの戦慄」:「マッド・マックス」のジョージ・ミラー監督は飛行機恐怖症の男の悪夢を描く。
 人種差別主義者の男が時空を超え、逆に手痛い差別を受けるシリアスかつブラックな第1話は、撮影中の事故で主演のビックジョン・リスゴー「トワイライトゾーン.jpg・モローと子役が亡くなるという、いわくつきの作品。スピルバーグらしいヒューマンな感動(第2話)や、ダンテのトワイライトゾーン 超次元の体験 dvd.jpg過剰なまでにシュールな映像(第3話)など、それぞれの原点や個性が窺えますが、第4話の「2万フィートの戦慄」が最も面白かったです。高所恐怖症の男が嫌々に乗った飛行機で、窓の外に見たものは翼を齧るゴブリン風の生き物(ジョー・ダンテっぽい((笑))。恐怖に駆られ男は近くの席に座っていた警官の拳銃を奪い、窓超しに生き物めがけて発砲。破れた窓から吸い出されそうになり、上半身を機体の外へ突き出し―。この男を演じているのがジョン・リスゴーで、神経質な飛行機恐怖症の男を見事に演じていました。
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「世にも不思議なアメージング・ストーリー」シーズン1・第22話「愛の人形」(1986)
愛の人形1.jpg愛の人形2.jpg 「トワイライトゾーン 超次元の体験」の元になっているのは往年のTVシリーズ「トワイライトゾーン (ミステリーゾーン)」(原題: The Twilight Zone、CBS 1959~64)ですが、ジョン・リスゴーは、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めた、80年代の同じく一話完結のTVシリーズ「世にも不思議なアメージング・ストーリー」(原題: Amazing Stories、NBC 1985~87)のシーズン1・第22話「愛の人形」(原題: The Doll、1986)に出ていて、こちらは、ジョン・リスゴー演じる孤独な独身男性が手に入れた精巧な人形に魅了され、やがてその人形のモデルとなった実在の女性の悲劇的な運命を知るファンタジー・サスペンスでした。人形に宿るモデルの魂か、あるいは男の狂気か。人形とモデルの女性の過去が交錯し、不思議で切ない結末でしたが、幻想的で少し不気味な雰囲気でもありました。脚本はスティーヴン・スピルバーグ監督の「激突!」('72年/米)の原作・脚本のリチャード・マシスン。ジョン・リスゴーはこの作品で「エミー賞」を受賞しています。

アメージング・ストーリー1ゴーストトレイン1.jpg 「世にも不思議なアメージング・ストーリー」の第1話は製作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグ自身が監督した「ゴースト・トレイン」です。アイオワ州の田舎町の線路沿いの古い家に住むポーランド移民パパ・オストロウスキー(バーナード・ヒューズ)は、昔幼い頃に列車の脱線事故に偶然居合わせ、列車が橋の崩落で沼に沈み、乗客がは全員死亡したという事故だったが、その列車がいつか自分を迎えに来ることを確信しており、息子夫婦には相手にされないが、幼い孫息子クリンカに対し「列車が来たら、パパはもういない」と伝えていた。するとある夜、家が揺れ始め、霧の中から「幽霊列車」が現れるーというもの(このセット、どうやって撮った?)。主人公の名はパパですが、もい一人の主人公である孫のクリンカから見れば祖父にあたり、「列車に乗る」=「死出の旅」ということなのでしょう。「ゴースト・トレイン」というのが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のようで(あの列車にもタイタニック号で亡くなった人が乗ってくる場面がある)、家の中に列車が入ってくるのはつげ義春の「ねじ式」みたいでした。「未知との遭遇」や「E.T.」などのスピルバーグ作品を彷彿させるシーンが多々あるのが興味深いです。

 シーズン1・全24話、シーズン2・全21話の内、日本では第5話「最後のミッション」、第4話「パパはミイラ」、第3アメージング・ストーリーパパはミイラ.jpgアメージング・ストーリー最後のミッション.jpg2話「真夜中の呪文」の3エピソードを纏めたものが1987年7月に「世にも不思議なアメージング・ストーリー」として劇場公開されています。「最後のミッション(原題: The Mission)」はこれもスティーブン・スピルバーグ自身世にも不思議なアメージング・ストーリー 劇場.jpgの監督作。第二次世界大戦中、爆撃機の中で腹部銃座に閉じ込められた若きガンナー(射撃手)が、車輪が故障して着陸できない状況で取った驚くべき方法とは...。緊張感とファンタジーが融合した作品。「パパはミイラ(原題: Mummy Daddy)」はウィリアム・ディア監督作。ミイラの着ぐるみを着たまま撮影所から帰宅した父親が、そのままの姿で子供と交流する、微笑ましくも少し奇妙な物語。選ばれただけに、共に人気が高いエピソードです。
世にも不思議なアメージング・ストーリー [VHS]
 「最後のミッション」監督:スティーブン・スピルバーグ/出演:ケビン・コスナー
 「パパはミイラ」監督:ウィリアム・ディア/出演:トム・ハリソン
 「真夜中の呪文」監督:ロバート・ゼメキス/出演:クリストファー・ロイド

 話をジョン・リスゴーに戻して、ジョン・リスゴーはさらに90年代にはTVシリーズ「3rd Rock from the Sun」(1996~2001)に計139話出演し「エミー賞ドラマシリーズ 男優賞」を受賞。00年代は、同じくTVシリーズ「デクスター~警察官は殺人鬼」(Dexter 、Showtime 2006~2013)のシーズン4(2009)で、シリアルキラーのアーサー・ミッチェル役で12話ほど出演しています。全米各地で、「同じ境遇の人物を、同じ方法で殺す」3パターンでの殺人を定期的に繰り返す「トリニティ・キラー」。その正体は、表向きは長年教師を務め、教会に欠かさず通い、ボランティア活動に積極的に従事し、良き夫デクスター4.jpgデクスター りすごー.jpg良き父親として、理想的な人物として周囲の信頼を得ているアーサー(その殺戮衝動は、幼い頃、衝撃的な出来事によって、次々と家族を失ったことに起因していた)。ジョン・リスゴーはこのアーサー役で、「エミー賞ドラマシリーズ ゲスト男優賞受賞」(80年代、90年代、00年代とエミー賞を受賞したことになる)、「ゴールデングローブ賞ドラマシリーズ 助演男優賞受賞」を受賞しています。

「デクスター~警察官は殺人鬼」シーズン4(2009)

クリフハンガー〈DTS版〉 [DVD]
クリフハンガー1993.jpg「トワイライトゾーン 超次元の体験」(1983)「クリフハンガー」(1993)
「ペリカン文書」(1993)「完全犯罪」(1993)
ジョン・リスゴー4作.jpg 一方で、メジャー大作の方では、「ダイハード2」('90年/米)のレニー・ハーリンが監督し、シルヴェスター・スタローンが主演した、ロッキー山脈に不時着した武装強盗団と山岳救助隊員の戦いを描いたサスペンス・アクション映画「クリフハンガー」('93年/米・仏・伊・日)で、スタローンを追い詰める冷酷無比な武装強盗団のボスを演クリフハンガー3.jpgじていました(スタローンは高所恐怖症をおして奮闘。セット撮影やCG合成もあるが、断崖に引っかかったヘリでの死闘などは「荒鷲の要塞」('68年/英・米)のロープウェイ上の格闘シーンを彷彿させた)。

「クリフハンガー」('93年)ジョン・リスゴー(武装強盗団のボス・エリック)

完全犯罪00.jpg と思ったら、同じ1993年公開の、魔性の女を巡り2人の男の愛憎と欲望が交錯する犯罪計画の顛末を、二転三転するプロットの中に描いたサスペンス・スリラー「完全犯罪」('93年/米、元々はTVムービー)では、メッチェン・アミックメーチェン・エイミック.jpg(メッチェン・アミックは2人の男を相手にするのは「ツイン・ピークス」('90年-'91年/米)のときと同じだが、堂に入ったと言うか貫禄が増した? この2作以降も、夫がありながら他の男と密通する女性を演じることが多かった女優)が演じる妻を別の男に寝取られる夫を演じていて、でも実はラストでどんでん返しがあり、完全犯罪「図1.jpgそう言えば善良に見えて実は何かを隠しているような雰囲気はありました。多彩な役をこなし(1作品の中でさえ!)、まさにカメレオン俳優と呼ばれるに相応しい俳優だと思います。この1993年には、「ペリカン文書」('93年/米)にもワシントン・ヘラルド紙の編集長役で出て、デンゼル・ワシントン演じる記者グレイ・グランサムの、途中から彼を支援するようになる上司を演じています。いつまでも活躍してほしい俳優です。
「完全犯罪」('93年)ジョン・リスゴー(銀行家ポール)/メッチェン・アミック(妻ローレン)/エリック・ロバーツ(脱獄犯リノ)

ペリカン文書 1993 リスゴー2.jpg「ペリカン文書」('93年)
ジュリア・ロバーツ(法学部の学生ダービー・ショウ)/デンゼル・ワシントン(ワシントン・ヘラルド紙の記者グレイ・グランサム)/ジョン・リスゴー(編集長・グレイの上司スミス・キーン)


教皇選挙 [DVD]
教皇選挙 2024.jpg教皇選挙001.jpg「教皇選挙」●原題:CONCLAVEE●制作年:2024年●監督:エドワード・ベルガー●製作:テッサ・ロス/ジュリエット・ハウエル/マイケル・A・ジャックマン/アリス・ドーソン/ロバート・ハリス●脚本:ピーター・ストローハン●撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ●音楽:フォルカー・ベルテルマン●原作:ロバート・ハリス●時間:120分●出演:レイフ・ファインズ/スタンリー・トゥッチ/ジョン・リスゴー/セルジオ・カステリット/ルシアン・ムサマティ/カルロス・ディエス/メラーブ・ニニッゼ/ブライアン・F・オバーン/イザベラ・ロッセリーニ●日本公開:2025/03●配給:キノフィルムズ●最初に観た場所:TOHOシネマズ池袋(25-04-24)(評価:★★★☆)

トワイライトゾーン 超次元の体験2.jpg「トワイライトゾーン 超次元の体験」●原題:THE TWILIGHT ZONE:THE MOVIE●制作年:1983年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ランディス/スティーヴン・スピルバーグ/ジョー・ダンテ/ジョージ・ミラー●製作:スティーヴン・スピルバーグ/ジョン・ランディス●脚本:ジョン・ランディス/ジョージ・クレイトン・ジョンソン/リチャード・マシスン/メリッサ・マシスン●撮影:ティーブン・ラーナー/アレン・ダヴィオー/ジョン・ホラ●音楽:ジェリー・ゴールドスミス●時間:101分●出演:(ナレーター)バージェス・メレディス/(プロローグ)ダン・エイクロイド/アルバート・ブルックス/(第1話)ヴィック・モロー/チャールズ・ハラハン/(第2話)スキャットマン・クローザース/(第3話)キャスリーン・クインラン/ウィリアム・シャラート/パトリシア・バリー/ケヴィン・マッカーシー/ナンシー・カートライト/ディック・ミラー(第4話)ジョン・リスゴー●日本公開:1984/02●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:自由ヶ丘武蔵野推理(84-09-04)(評価:★★★☆)
トワイライトゾーン 超次元の体験1.jpg

トワイライトゾーン.jpgThe Twilight Zone oo.jpgThe Twilight Zoneド.jpg「トワイライトゾーン (ミステリーゾーン)」The Twilight Zone (CBS 1959~64) ○日本での放映チャネル:日本テレビ(1960)/TBS(1961~67)/AXN

世にも不思議なアメージング・ストーリー 1st.jpg世にも不思議なアメージング・ストーリー1985.jpg「世にも不思議なアメージング・ストーリー」 Amazing Stories (NBC 1985.09~1987.04) ○日本での放映チャネル:日本テレビ「金曜ロードショー」など (1992など)シーズン1全24話・シーズン2全21話
世にも不思議なアメージング・ストーリー 1st シーズンDVD-BOX」[2009年リリース]
DISC.1
第1話「ゴースト・トレイン」監督:スティーブン・スピルバーグ●第2話「愛と哀しみの磁石男」監督:マシュー・ロビンス●第3話「タイムトラベル少年」監督:マイケル・D・ムーア
DISC.2
●第4話「パパはミイラ」監督:ウィリアム・ディア●第5話「最後のミッション」監督:スティーブン・スピルバーグ●第6話「超魔術師と殺人オペラ」監督:ピーター・ハイアムズ
DISC.3
●第7話「宇宙のTVオタク」監督:ボブ・バラバン●第8話「最後のマジック」監督:ドナルド・ペトリ●第9話「こんな天使でよかったら...」監督:バート・レイノルズ ※初ソフト化
DISC.4
●第10話「リモコン親父の逆襲」監督:ボブ・クラーク●第11話「52年目のXマスプレゼント」監督:フィル・ジョアノー●第12話「亡き妻の肖像...魂が棲む画」監督:クリント・イーストウッド
DISC.5
●第13話「魔法の鳥のベビー・シッター」監督:ジョーン・ダーリング●第14話「英雄になった男」監督:レスリー・リンカ・グラッター●第15話「最後の一杯」監督:トーマス・カーター ※初ソフト化
DISC.6
●第16話「夢のガラクタ」監督:ノーマン・レイノルズ●第17話「いないいないバア!」監督:ジョー・ダンテ●第18話「二人だけの霊界」監督:トーマス・カーター
DISC.7
●第19話「鏡よ鏡...」監督:マーティン・スコセッシ●第20話「シークレット・シネマ」監督:ポール・バイテル●第21話「地獄のかつら」監督:アーヴィン・カーシュナー ※初ソフト化
DISC.8
第22話「愛の人形」監督:フィル・ジョアノー●第23話「ワタシは何でも知っている...」監督:レスリー・リンカ・グラッター●第24話「想い出のラブ・ソング」監督:ティモシー・ハットン ※初ソフト化

世にも不思議なアメージング・ストーリー 2ndシーズンDVD-BOX」[2009年リリース]
世にも不思議なアメージング・ストーリー 2.jpgDISC1
「呪いの結婚指輪」(監督・主演:ダニー・デビート/原案:スティーブン・スピルバーグ)
「(秘)インスタント美女」(監督:トム・ホランド/主演:ジョン・クライヤー)
「おじいちゃんの魔球」(監督:ロバート・マルコウィッツ/主演:M・エメット・ウォルシュ)
DISC2
「悪夢へようこそ...」(監督:トッド・ホランド/主演:デヴィット・ホランダー)
「危ない夢」(監督:ケビン・レイノルズ/原案:スティーブン・スピルバーグ/主演:チャールズ・ダーニング)
「腹ペコモンスター」(監督:ジョー・ダンテ/原案:スティーブン・スピルバーグ/主演:ヘイリー・ミルズ)
DISC3
「最期のハンドパワー」(監督:ミック・ギャリス/主演:パトリック・スウェイジ)
「真夜中の呪文」(監督:ロバート・ゼメキス/主演:スコット・コフィ)
「井戸の恩返し」(監督:トッド・ホランド/主演:デビッド・キャラダイン)
DISC4
「かぼちゃコンテスト」(監督:ノーマン・レイノルズ/主演:ポリー・ホリデイ)
「向こう側に渡る会かい?」(監督:ジョーン・ダーリング/主演:ジェイク・ハート)
「永遠の別れのために」(監督:J・マイケル・リーヴァ/主演:ジェフリー・ジョーンズ)
DISC5
「別れ道」(監督:ケン・クワピス/主演:キャシー・ベイカー)
「ゴースト・コップ」(監督:ポール・マイケル・グレイザー/原案:スティーブン・スピルバーグ/主演:マックス・ゲイル)
「ひみつの蘭ちゃん」(監督:ニック・キャッスル/主演:ロバート・タウンゼント)
DISC6
「ワンワン騒動記」(監督:ブラッド・バード/キャクター・デザイン:ティム・バートン/声の出演:マーシャル・エフロン)
「天才作曲家のいたずら」(監督:ポール・バーテル/主演:ダナ・グラッドストーン)
「おかしな隣人」(監督:グラハム・ベイカー/主演:フレデリック・コフィン)
DISC7
「忘れじのダイアナ」(監督:レスリー・リンカ・グラッター/主演:ビリー・グリーン・ブッシュ)
「お引越し」(監督:ロバート・スティーヴンス/主演:スティーヴン・ジェフリーズ)
「キャベツ男の微笑み」(監督:トビー・フーパー/原作:リチャード・マシスン/主演:ディック・ショーン)

愛の人形v.jpg愛の人形v2.jpg「世にも不思議なアメージング・ストーリー(第22話)/愛の人形(愛しのドール)(S1 E22 #22)」●原題:Amazing Storie-The Doll●制作国:アメリカ●本国放映:1986/05/04●監督:フィル・ジョアノー●脚本:リチャード・マシスン●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:25分●出演:ジョン・リスゴー/アン・ヘルム/アルバート・ヘイグ/レイン・フェニックス●日本放映:●日本公開:劇場未公開●発売元:ビクターエンタテインメント●発売日:1988/07/22【VHS】(評価★★★☆)
世にも不思議なアメージング・ストーリー ファースト・シーズン パート2 バリューパック [DVD]」[2016年リリース]
世にも不思議なアメージング・ストーリー1-2.jpgDISC.5/「魔法の鳥のベビー・シッター」監督:ジョーン・ダーリング/主演:メイベル・キング/「英雄になった男」監督:レスリー・リンカ・グラッター/主演:チャーリー・シーン/「最後の一杯」監督:トーマス・カーター/主演:ダグラス・シール/DISC.6/「夢のガラクタ」監督:ノーマン・レイノルズ/主演:マーク・ハミル/「いないいないバア!」監督:ジョー・ダンテ/主演:エディ・ブラッケン/「二人だけの霊界」監督:トーマス・カーター/主演:ジョー・セネカ/DISC.7/「鏡よ鏡...」監督:マーティン・スコセッシ/主演:サム・ウォーターストン/「シークレット・シネマ」監督:ポール・バイテル/主演:ペニー・パイザー/「地獄のかつら」監督:アーヴィン・カーシュナー/主演:トニー・キーニッツ/DISC.8「愛の人形」監督:フィル・ジョアノー/主演:ジョン・リスゴー/「ワタシは何でも知っている...」監督:レスリー・リンカ・グラッター/主演:レオ・ペン/「想い出のラブ・ソング」監督:ティモシー・ハットン/主演:アンドリュー・マッカーシー

アメージング・ストーリー1ゴーストトレイン0.jpgアメージング・ストーリー1ゴーストトレイン2.jpg「世にも不思議なアメージング・ストーリー(第1話)/「ゴースト・トレイン(S1 E1 #1)」●原題:Amazing Storie-Ghost Train●制作国:アメリカ●本国放映:1985/09/29●監督・脚本・原案:スティーブン・スピルバーグ●音楽:ジョン・ウィリアムズ●時間:25分●出演:ロバーツ・ブロッサム/ルーカス・ハース/ゲイル・エドワーズ/スコット・ポーリン●本国放映:●日本公開:劇場未公開●発売元:ビクターエンタテインメント●発売日:1988/07/22【VHS】(評価★★★☆)

世にも不思議なアメージング・ストーリー ファースト・シーズン パート1 バリューパック [DVD]」[2016年リリース]
世にも不思議なアメージング・ストーリー 1-1.jpgDISC.1「ゴースト・トレイン」監督:スティーブン・スピルバーグ/主演:ロバーツ・ブロッサム/「愛と哀しみの磁石男」監督:マシュー・ロビンス/主演:ジョン・スコット・クロウ/「タイムトラベル少年」監督:マイケル・D・ムーア/主演:ケリー・レノ/DISC.2「パパはミイラ」監督:ウィリアム・ディア/主演:トム・ハリソン/「最後のミッション」監督:スティーブン・スピルバーグ/主演:ケビン・コスナー/「超魔術師と殺人オペラ」監督:ピーター・ハイアムズ /主演:グレゴリー・ハインズ/DISC.3「宇宙のTVオタク」監督:ボブ・バラバン/主演:マシュー・ラボートー/「最後のマジック」監督:ドナルド・ペトリ/主演:シド・シーザー/「こんな天使でよかったら...」監督:バート・レイノルズ/主演:ドム・デルイーズ/DISC.4「リモコン親父の逆襲」監督:ボブ・クラーク/主演:シドニー・ラシック/「52年目のXマスプレゼント」監督:フィル・ジョアノー/主演:ダグラス・シール/「亡き妻の肖像...魂が棲む画」監督:クリント・イーストウッド/主演:ハーヴェイ・カイテル


クリフハンガー [DVD]
クリフハンガー4.jpgクリフハンガー 1993.jpg「クリフハンガー」●原題:CLIFFHANGER●制作年:1993年●制作国:アメリカ・フランス・」伊ラリア。日本●監督:レニー・ハーリン●製作:レニー・ハーリン/アラン・マーシャル●脚本:マイケル・フランス/シルヴェスター・スタローン●撮影:アレックス・トムソン/ノーマン・ケント●音楽:トレヴァー・ジョーンズ●時間:113分●出演:シルヴェスター・スタローン/ジョン・リスゴー/マイケル・ルーカー/ジャニーン・ターナー/レックス・リン/キャロライン・グッドール/クレイグ・フェアブラス/グレゴリー・スコット・カミンズ/デニス・フォレスト/ミシェル・ジョイナー/マックス・パーリック/ポール・ウィンフィールド/ラルフ・ウェイト/トレイ・ブロウネル/ザック・グルニエ/ヴィト・ルギニス/スコット・ホクスビー/ジョン・フィン/ブルース・マッギル/キム・ロビラード●日本公開:1993/12●配給:東宝東和(評価:★★★☆)

 
完全犯罪 [DVD]
完全犯罪 1993.jpg完全犯罪4.jpg「完全犯罪」●原題:LOVE,CHEAT&STEAL●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ウィリアム・カラン●製作:ブラッド・クレボイ/スティーヴ・ステイブラー●撮影:ケント・ウェイクフォード●音楽:プレイ・フォー・レイン●時間:106分●出演:メッチェン・アミック/エリック・ロバーツ/ジョン・リスゴー/デビッド・アクロイド/ダン・オハーリー/ドナルド・モファット/ジェイソン・ワークマン●日本公完全犯罪1993 2.jpg開:1994/06●配給:松竹富士(評価:★★★☆)

完全犯罪(1993)
 

メッチェン・エイミック2.jpg


 
メッチェン・アミック in「ツイン・ピークス」   
     
      
 
  
     


 
《読書MEMO》
●NHK 総合 2026/03/02「映像の世紀バタフライエフェクト#121―ローマ教皇 世界との格闘」 
第二次世界大戦中(特にピウス12世の時代)、ローマ教皇庁がナチス・ドイツに対して公然とした批判を避け(共産主義(ソ連)を脅威と捉えていた)、結果的に接近した時期があったことに触れていたのが印象に残った。
ローマ教皇 世界との格闘.jpg 
危機回避に動いたヨハネ23世。命を狙われるも冷戦下のポーランドで民主化運動を鼓舞したヨハネ・パウロ2世。21世紀には、聖職者による児童への性的虐待が世界中で明るみに出た。その言葉、時に沈黙さえも世界の運命を変えてきた。(語り:糸井羊司)

ヨハネ・パウロ2世暗殺未遂事件2.jpgヨハネ・パウロ2世(教皇就任:1978年10月16日・教皇離任:2005年4月2日)は、1981年5月13日のトルコ人メフメト・アリ・アジャから銃撃された事件で奇跡的に一命をとりとめるが、その後、1983年に狙撃犯人のアジャが収監されている刑務所を訪れ、彼を許したというのがスゴイと思った。

   

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見所がコンパクトに詰まった香港スパイ物「インファナル・アフェア」。中韓スパイ物「無名」「シュリ」。
「インファナル・アフェア」00.jpg
日本公開20周年記念上映ポスター/「インファナル・アフェア 三部作 Blu-ray」アンディ・ラウ/トニー・レオン
「無名」00.jpg
無名」[Prime Video]トニー・レオン/ワン・イーボー
シュリ 00.jpg
シュリ [DVD]」ハン・ソッキュ/キム・ユンジン/チェ・ミンシク

インファナル・アフェア 20022.jpg 1991年、ストリート育ちの青年ラウ(アンディ・ラウ)は香港マフィアに入ってすぐ、その優秀さに目を付けたボスによって警察学校に送り込まれる。一方、警察学校で優秀な成績を収めていた青年ヤン(トニー・レオン)は突然退学となる。彼は、警視に能力を見込まれマフィアへの潜入を命じられたのだった。やがて2人の青年は、それぞれの組織で台頭していく。そして10年後、警察はヤンから大きな麻薬取引の情報を受け取る。しかし警察の包囲網はラウによってマフィア側に筒抜けとなっていた。検挙も取引も失敗に終わったことで、警察、マフィア双方がスパイの存在に気づいてしまうのだった―(「インファナル・アフェア」)。

アンディ・ラウ(劉徳華)/トニー・レオン(梁朝偉)/アンソニー・ウォン(黄秋生)/ケリー・チャン(曾志偉)

インファナル・アフェア [DVD]
インファナル・アフェア 2002.jpg 1991年公開の警察とマフィアにそれぞれ潜入した2人の男の生き様を描いた香港ノワール(マフィアに潜入するヤンをトニー・レオン、警察に潜入するラウをアンディ・ラウが演じた)。その後、主人公2人の若き日を描く「インファナル・アフェア 無間序曲」('03年)、本作のその後を描く「インファナル・アフェアIII」('03年)も製作され3部作となっています(2023年、日本公開20周年を記念して4K版でシリーズ3部作がリバイバル公開)。2006年にマーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演で「ディパーテッド」としてハリウッドリメイクされ、アカデミー作品賞などを受賞していますが、それでも、オリジナルを超えるに至っていないというのが世評のようです。

 これを観ないとトニー・レオンは語れないと言われて観ましたが、面白かったです。警察とマフィアに互いのスパイが潜入し、互いの正体がバレるまでのギリギリの駆け引きをするという緊張感あふれる設定が効いています。2人の男の命懸けの心理戦、102分に無駄なく凝縮された脚本、シンメトリーな映像美など、コンパクトな中に見所が大いにあります。

 トニー・レオンとアンディ・ラウの演技に加え、善悪が揺らぐ「救いのない」人間ドラマで、タイトルと中身が関係ないと言う人もいますが、一度入ると抜け出せないまさに「無限道」の世界と言えるかもしれません。潜入した側が「本当の自分」を見失う葛藤がテーマとも言えます(第22回「香港電影金像奨」で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞(トニー・レオン)・最優秀助演男優賞(アンソニー・ウォン)を受賞)。


無名ーー.jpg 中国・汪兆銘政権の政治保衛部に所属するフー(トニー・レオン)は、中国共産党の秘密工作員だった男ジャン(ホアン・レイ)の身辺調査を行う。フーは中国国民党に転向するというジャンから共産党幹部の情報を聞き出すことに成功する。1941年、上海に駐在する日本軍スパイのトップ・渡部(森博之)は、政治保衛部の主任となったフーやその上司タン(ダー・ポン)と日本料理店で戦局について話す。フーの部下として働くイエ(ワン・イーボー)は、友人ワン(エリック・ワン)とともに諜報活動に従事していたが―(「無名」)。

トニー・レオン(梁朝偉)/ワン・イーボー(王一博)/ジャン・シューイン(江疏影)ジョウ・シュン(周迅)
  
 第2次世界大戦下の上海で暗躍する中国共産党・中国国民党・日本軍のスパイたちの攻防を描いたノワールサスペンス。トニー・レオンがフー役、ワン・イーボーがイエ役を務めました。トニー・レオンのスパイ役復活という感じで、日本の軍部や汪兆銘政府に食い込むスパイで、冷静沈着かつ謎めいた役柄となっています。「インファナル・アフェア」が テンポが速く、心理戦とアクションのバランスが良かったのに対し、こちらは 映像美と静寂を重視している印象で、断片的なエピソードを再構成するスタイリッシュな作りになっていますが、これが展開を分かりにくくしている面もあったように思います。「インファナル・アフェア」以上に「誰が裏切り者か」に焦点を当てたサスペンスなのに残念でした(自分がついていけないだけかもしれないが)。

 「無名」というタイトルは、中国を守った「無名の英雄」たちへの哀歌という意味なのでしょう。中国映画なので、娯楽映画を作るにしても、落としどころは「中国共産党=正義」になるわけです。そんな中、トニー・レオンは渋かったです。ワン・イーボー(王一博)のカッコ良さが取り沙汰される作品ですが、個人的にはジョウ・シュン(周迅)の演技を久しぶりに観たのが印象に残りました。


シュリ ★★★★.jpg そう言えば、韓国映画で「シュリ」('99年)というスパイ映画も面白かったです。ミステリー、アクションなどさまざまな要素を効果的に使い、南北分断という民族的悲劇を、韓国の情報機関員(ハン・ソッキュ)と、北朝鮮の敏腕女性スナイパー(キム・ユンジン)との悲恋物語にしています。女性を意識してか、誰にでも理解しやすいエピソードを通じて描いています(タイトルは、朝鮮半島にだけ生息する淡水魚の名前で、映画のなかでも「ある部分」で使われており、心ニクイ演出)。韓国では、シュリを観なければ仲間はずれになる、というほどの人気だったそうです。

シュリ 5.jpg 冒頭シーン北朝鮮のスナイパー養成のための特殊部隊の過酷な訓練シーンは圧巻です。一方で、"恋人"同士の切なく淡いキスシーンがあったりして(ハニートラップのつもりが本当に愛してしまうというのは、ウォン・アン・リー(李安)監督監督の「ラスト、コーション」('07年/米・中国・香港・台湾)などもそうだった。愛される側の男性を演じたのはトニー・レオン!)、要は諜報員の恋人が実は敵国のスパイ(スナイパー)だったという話なのですが(映画が北朝鮮特殊部隊の訓練シーンから始まるように、この設定は観客には最初から明かされている)、"彼女"の大都会ソウルの現代的な女子大生っぽい雰囲気と北朝鮮の工作員という正体との間のギャップが大きすぎて、ややリアリティを欠いた部分もありました(ヒロイン役のキム・ユンジンはその後渡米し、TVドラマシリーズ「LOST」(ABC 2004~2010) のレギュラーの座を獲得してワイルドな演技を見せるようになるが、この頃はまだワイルドさが無い)。でも、南北朝鮮の政治的分断を考えさえられるかどうかはともかく、充分に愉しめる映画であり、権利関係の問題で長年に渡って再上映されない状態が続いていたのが、2024年に権利問題が解消されたことから、同年9月以降4Kデジタルリマスター版として再上映されるようになったのは良かったです。

ケリー・チャン(曾志偉)1972年生まれ
ケリー・チャン(曾志偉)2.jpgインファナル・アフェア図1.jpg「インファナル・アフェア」●原題:無間道(英題:INFERNAL AFFAIRS)●制作年:2002年●制作国:香港●監督:アンドリュー・ラウ(劉偉強)/アラン・マック(麦兆輝)●脚本:アラン・マック/フェリックス・チョン●撮影:ライ・イウファイ/アンドリュー・ラウ●音楽:コンフォート・チャン(陳光栄)●時間:102分●出演:アンディ・ラウ(劉徳華)/トニー・レオン(梁朝偉)/アンソニー・ウォン(黄秋生)/エリック・ツァン(曾志偉)/ケリー・チャン(曾志偉)/サミー・チェン(鄭秀文)/ショーン・ユー(余文楽)/エディソン・チャン(陳冠希)/チャップマン・トウ(杜汶澤)/ラム・カート(林 家棟)/エルヴァ・シャオ(蕭亜軒)●日本公開:2003/10●配給:コムストック●最初に観た場所:池袋・新文芸坐(24-08-29)(評価:★★★★☆)

ジョウ・シュン(周迅)1974年生まれ/ジャン・シューイン(江疏影)1986年生まれ
周迅(ジョウ・シュン).pngジャン・シューイン.jpg「無名」●原題:无名(英題: HIDDEN BLADE)●制作年:2023年●制作国:中国●監督・脚本:程耳(チェン・アル)●製作:ウー・ナ/曲吉小江●撮影:ツァイ・タオ/廖拟●音楽:ロディオン・ファラフォントフロクサーヌ・S/ボリス・セバスチャノフ/リー・チャオフイ(主題歌:「無名」ワン・イーボー(王一博))●時間:128分●出演:トニー・レオン(梁朝偉)/ワン・イーボー(王一博)/ジョウ・シュン(周迅)/ホアン・レイ(黄磊)/森博之/ダー・ポン(大鹏)/エリック・ワン(王傳君)/ジャン・シューイン(江疏影)/チャン・ジンイー(張婧儀)●日本公開:2024/05●配給:アンプラグド●最初に観た場所:池袋・新文芸坐(24-08-29)(評価:★★★☆)

キム・ユンジン 1972年生まれ
キム・ユンジン.jpgシュリ v.jpg「シュリ」●原題:쉬리●制作年:1999年●制作国:韓国●監督・脚本:カン・ジェギュ●製作:イ・グァナク/ピョン・ムリム●撮影:キム・ソンボク●音楽:イ・ドンジュン●時間:124分●出演:ハン・ソッキュ/キム・ユンジン/チェ・ミンシク/ソン・ガンホ/パク・ヨンウ/ユン・ジュサン/ソン・ホギュン/ナム・ミョンニョル/ハ・ドクソン/チョ・ドッキョン/パク・チョンムン/チョン・ジノ/キム・スロ/キム・サンミ/パクキム・ユンジン「LOST」.jpg・キサン/チョン・ジンス/ソン・ヨンテ/キム・ジョンミン/パク・チイル/チェ・ウジョン/チェ・ソンウ/ホ・ギホ/チョン・ギルムク/チャン・ヒョンソン/ファン・ジョンミン/イ・チャニョン/チェ・セフン●日本公開:2000/01●配給:シネカノン=アミューズ●最初に観た場所:池袋・新文芸坐(25-01-31)(評価:★★★★)
キム・ユンジン in 「LOST」(シーズン1(2004)〜シーズン10(2010))
「LOST」LOST (ABC 2004/09~2010) ○日本での放映チャネル:AXN(2005~2011)/BS-i

⦅「シュリ」詳しいあらすじ⦆
韓国秘密情報機関OPの特殊要員ジュンウォン(ハン・ソッキュ)は、北朝鮮の女性工作員に殺される悪夢を見ていた。ユ・ジュンウォンと相棒のイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)は、最近相次ぐ要人暗殺事件の捜査中であり、その中で浮かぶ北朝鮮の工作員「イ・バンヒ」を追っていた。 一方、ジュンウォンは熱帯魚店の店主であるイ・ミョンヒョン(キム・ユンジン)と交際中で、結婚を間近に控えていた。そして同時に禁酒するよう約束していた。 1998年のとある日、彼らに情報を提供する予定だった武器密売商イム・ボンジュ(ソン・ホギュン)が射殺されたことで、ジュンウォンは事件に北朝鮮の特殊第8軍団が関係している事を知る。そして、ジュンウォンとジャンギルは暗殺犯の行跡を追跡する中で、特殊第8軍団が、韓国エネルギー開発研究所が独自で次世代代替エネルギーとして開発され、国防科学技術研究所で軍事目的に転用開発した新素材の液体爆薬「CTX」を奪取しようと画策していることが分かる。しかし、ボンジュと関係があったと思われる国防科学研究所の主任まで殺害される。「CTX」が陸軍司令部で火力試験を行うため輸送される事を知らされると、ジュンウォン達はヘリコプターで「CTX」の移送現場に急行するが、韓国陸軍が護衛する輸送隊はトンネルを抜けたところで特殊第8軍団による偽の検問で待ち伏せをされ襲撃、護衛兵20名は殲滅され、ジュンウォンらが到着した時にはCTXが強奪された後だった。 奪われた完成品の「CTX」原液4リットルだけでも地方都市を破壊出来るとされる威力である。OPはその奪取犯がかつて航空機テロ鎮圧作戦の際に取り逃がした、パク・ムヨン(チェ・ミンシク)が率いる特殊第8軍団の工作員チームであることが判明する。OPは非常事態へと突入するが、特殊第8軍団の目標が一体何かは分からず、ムヨンの行跡を追っていたジュンウォンとジャンギルは何回も目の前で敵を逃してしまい、OP内部から情報が漏れていることに気づく。 そこでジュンウォンはカフェで警察の友人グァノ(ナム・ミョンニョル)に協力を仰ぐが、ジュンウォンを狙った狙撃手の銃弾が偶然にもグァノの肩に命中してしまう。それを嘲笑うように、ムヨンからOPへ「CTX」を市内10か所に設置したことの電話があり、爆破30分前に連絡すると言うもので初回はソウルのゴールデンタワーを指定した。 ただちにOP要員による「CTX」の捜索が始まるが、間に合わず大爆発を起こして多数の犠牲が出てしまう。そしてジュンウォンはミョンヒョンを連れ出してホテルの一室で保護しようとするが、彼女は禁酒を破ってシャンパンを煽っていた。ジュンウォンはその理由が分からず彼女を抱きしめる―。

「●エドワード・ヤン(楊徳昌)監督作品」の インデックッスへ Prev|NEXT⇒「●アン・リー(李安)監督作品」 【2619】 アン・リー 「いつか晴れた日に
「●張震(チャン・チェン) 出演作品」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「●濱口 竜介 監督作品」の インデックッスへ 「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ

「恋愛時代」「カップルズ」とも濱口竜介監督作品との共通点が多く見られるのが興味深い。

エドワードヤンの恋愛時代 000.jpg
エドワード・ヤンの恋愛時代 4Kレストア版 [DVD]」「エドワード・ヤンの恋愛時代 [DVD]
エドワードヤン カップルズ000.jpg
カップルズ 4Kレストア版 [DVD]]」「カップルズ レストア版」[Prime Video]
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東京藝術大学大学院映像研究科第二期生修了制作作品集2008
エドワード・ヤンの恋愛時代01.jpg 【1日目】新進演出家のバーディ(王也民(ワン・イエミン))は新作舞台が有名小説の盗作だと騒がれ、カルチャー企業経営者のモーリー(倪淑君(ニー・シューチン))に泣きつく。問題の小説は彼女の義兄の作品なのだ。バーディ、モーリー、その右腕で親友でもあるチチ(陳湘琪(チェン・シャンチー))、チチの恋人で公務員のミン(王維明(ワン・ウェイミン))の4人は学生時代からの友人。モーリーの婚約者アキン(王柏森(ワン・ポーセン))は大陸へビジネスの勉強に行っていたが、彼女の悪い噂を聞きつけ台北に帰ってくる。彼は投資コンサルタントの友人ラリー(鄧安寧(ダニー・ドン))に相談するが、ラリーはモーリーの会社で働く若い美人フォン(李芹(リチー・リー))と不倫関係にあり、モーリーに事実を追及され、モーリーの会社の経営悪化につけ込もうとしていたところがやむなく退散。チチはミンから転職先を紹介されるが気乗りせずエドワード・ヤンの恋愛時代02.jpg、曖昧な返事をする。ミンは人当たりの良すぎる彼女の気持ちが分からなくなり、モーリーを槍玉に挙げると、チチと口論になる。 チチが帰宅するとモーリーから呼び出しを受ける。夜更けのプールサイドで2人は語らうが、チチは周囲から優等生ぶっていると言われるのが不満だと打ち明け、モーリーにも昔のように悩みを話してと訴える。【2日目】アキンはモーリーに、結婚の時期についてそれとなく探りを入れるが気のない返事。そんな折、彼はラリーに「モーリーとバーディが浮気している」と吹き込まれ激怒、乗り込んでいったTV局でバーディと乱闘を演じることに。モーリーはミンに昼食に誘われるが、チチが転職したがっていることを知り困惑、オエドワード・ヤンの恋愛時代03.jpgフィスでチチを激しくなじり、チチは自分の意向を無視したミンと絶交状態に。女優志望のフォンはチチの紹介でバーディの稽古場へ。そこでバーディから口説かれるが、彼がモーリーに呼び出された隙に、乗り込んできたラリーと鉢合わせ。同行してきたアキンは、モーリーとバーディの喧嘩の場面に遭遇して誤解が解け、バーディとも意気投合。自分の不手際で同僚を退職に追い込んでしまい落ち込んで帰宅したミン。すると家の前にはモーリーが待っていた。チチへのとり成しを頼もうとしたが、ミンは誰とも話す気は無いと無愛想に答え、2人は口論し、取っ組み合いの喧嘩に。ところが、成り行きでベッドインしてしまう。関係を急ぐモーリーを冷静に諭すミン。互いの感情は行き違う。チチはモーリーの義兄で、バーディが争っている作家(閻鴻亜(イエン・ホンヤー))の許へ。彼はかつて恋愛小説を書いていたが、今は厭世感に満ちた小説を上梓しようとしている。チチはそこで、「誰も私のことを分かってくれない」と泣き出し、作家から助言を受けるが、作家の妻であるモーリーの姉(陳立美(チェン・リーメイ))に追い出される。モーリーの姉と作家は仮面夫婦状態。TVキャスターの妻の方は仲を繋ぎ留めようと必死だが、夫はそんな状況に疲れ、反射的にチチに愛の希望を見いだし、タクシーに乗った彼女を追いかけるが、衝突して倒れてしまう。しかしそれが啓示になったのか、「深刻ぶらず、誠実に生きればいい。僕は間違っていた。」と、来た道を戻っていった。その言葉に考えさせられるチチ。そして【3日目】の朝がやってくる―(「エドワード・ヤンの恋愛時代」)。

 「エドワード・ヤンの恋愛時代」は、エドワード・ヤン(楊徳昌、1947-2007(59歳没))監督による1994年制作の台湾映画で、裕福なエリート階級に属しながら心に空虚感を抱く若者たちが、人生の転機を迎える3日間を描く青春群像劇。2022年に4Kレストア版が第79回「ヴェネツィア国際映画祭」にて初公開され、同年の「ニューヨーク映画祭」、第35回「東京国際映画祭」でも公開されています。1995年7月本邦公開で、そう言えば、香港のウォン・カーウァイ(王家衛)監督の「恋する惑星」('95年)なども同年同月の本邦公開でした。同じ台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督が「冬冬(トントン)の夏休み」('84年)、「童年往時 時の流れ」('85年)と田舎を舞台とした作品を撮っているのと対照的ですが、この監督も後に「ヤンヤン 夏の想い出」('00年)という田舎を舞台とした作品を撮ることになります。

 濱口竜介監督がエドワード・ヤン監督の映画を絶賛していますが、濱口竜介監督の作品と似ているところが感じられ、実際に影響を受けているのでしょう。濱口竜介監督の「ハッピーアワー」('15年)は複数の女性の物語が交差する群像劇でしたが、長尺で登場人物たちの会話と人間関係の変化を丁寧に追っている点が、この「エドワード・ヤンの恋愛時代」における都市生活描写と共通しています。また、「ドライブ・マイ・カー」('21年)とは、登場人物たちが過去の傷や愛の不在を抱え、他人との対話を通して自己と向き合う点で、この作品が持つ「喪失と回復」のテーマと通じます。特に夫婦やカップルの関係の歪みと、それを受け入れるまでの過程に共通点があるように思いました。


カップルズ11.jpgエドワード・ヤンのカップルズ01.jpg バブル経済終期の台北に生きる4人の少年たち。リーダー格のレッドフィッシュ(唐従聖(タン・ツォンシェン))、二枚目の女たらしホンコン(張震(チャン・チェン))、口達者なトゥースペイスト(王啓讃(ワン・チーザン))、新入りのルンルン(柯宇綸(クー・ユールン))。悪徳実業家を父に持つレッドフィッシュの号令のもと、エドワード・ヤンのカップルズ02.jpg詐欺まがいの荒稼ぎをしたり、一人の女の子を「共有」したりと、アパートの一室で無軌道で気ままな生活をしていた。 ある日、イギリス人の元恋人マーカス(ニック・エリクソン)を追ってきたフランス娘マルト(ヴィルジニー・ルドワイヤン)が彼らの前に現れる。レッドフィッシュは、右も左も分からない彼女を言葉巧みに誘い入れ、売春組織に売り飛ばそうと企むが、根は純情なルンルンがマルトを実家の屋根裏に匿い、レッドフィッシュの企みは水泡に帰す。悪名高い父親を疎ましく思いつつも、その冷酷な人生哲学に倣って生きるレッドフィッシュは、かつて父を破産に追い込んだ女アンジェラ(呉家麗(キャリー・ン))に対する復讐計画を練る。ホンコンに彼女を誘惑するよう仕向け、またトゥースペイストを占い師として彼女の許に送り込み、金を騙し取ろうとする。レッドフィッシュの父は失踪中で、暗黒街の組織は息子のレッドフィッシュを人質にとっておびき出そうとするが、組織の間抜けなヒットマンの2人は(呉念眞(ウー・ニェンチェン)/王柏森(ワン・ポーセン))は勘違いして、ルンエドワード・ヤンのカップルズ03.jpgルンとマルトを誘拐、しかしマルトが機転を利かせて2人は脱出に成功。レッドフィッシュは逆にヒットマンを手中にとり、父(張国柱(チャン・クオチュー))の隠れ家に案内するが、人生に疲れた父は愛人(葉全真(イエ・チュエンチェン))と共に心中した後だった。レッドフィッシュは、冷酷さそのものだった父が隠し持っていた弱さを初めて知る。ルンルンはマルトに想いを伝えるが、彼女は自分を危ない目に合わせた彼に怒りをぶつけ、一旦はマーカスに引き取られていく―(「カップルズ」)。

 「カップルズ」はエドワード・ヤン監督の1994年発表作で、第46回「ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー名誉賞」、第33回「台湾金馬奨助演男優賞」(ワン・チーザン)、第9回「シンガポール国際映画祭監督賞」、第18回「ナント三大陸映画祭ナント市賞」などを受賞しています。1996年12月本邦公開で、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の 「花の影」('96年/香港・中国)が同年同月の本邦公開でした。

 これも、複数人のカップルや関係性を群像劇として描き、会話劇を通じて人間関係の崩壊と再構築を描く構造が、濱口竜介監督の「ハッピーアワー」と似ており、都市生活者の複雑な人間模様を背景に、会話の積み重ねによってキャラクターの心理的変化を描き出す手法も共通しています。また、こちらも、登場人物たちが過去の傷や愛の不在を抱え、他人との対話を通して自己と向き合う点で、「ドライブ・マイ・カー」とも似ています。さらには、濱口竜介監督の「PASSION」('08年)がこの映画とよく似ているところがあるように思いました。
 
 濱口竜介 PASSION01.jpg「PASSION」は、東京大学文学部を卒業後、新設された東京藝術大学大学院映像研究科に改めて入学し、映画作りを学んだ濱口監督が、その修了作品として発表した恋愛群像劇。長年恋人同士だった一組のカップルが婚約を発表したのを機に、2人やその周囲の男濱口竜介 PASSION02.jpg女の間でもつれた恋愛感情が一気に顕在化する、そんな彼らの激しく揺れ動く恋心を、緻密な会話劇や驚異的な長回し撮影を通じて描写いた作品です。一院生の卒業制作でありながら、第56回「サン・セバスチャン国際映画祭」や第9回「東京フィルメックス」にも出品され、濱口監督の名前と才能が国内外に広く知られる出世作となりましたが、早くからエドワード・ヤン監督の影響を受けていたのだなあと。

濱口竜介 PASSION03.jpg 90年代の台北と現代の東京(郊外)と背景こそ異なりますが、両作とも、親密な関係にあるカップルや友人グループが、嘘、裏切り、隠された欲望によって崩壊していく過程を描いていて、エドワード・ヤン監督は「カップルズ」を「危険な」映画と位置づけ、濱口監督もまた、男女の恋愛における「PASSION(情熱)」が抱える危うさを容赦なく描き出しています。多少ネタバレになりますが、「カップルズ」では、リーダー格のレッドフィッシュが何を指針に生きればいいのかを虚無の中に見失ったまま終わるのに対し、最も純粋な心を持つルンルンがフランス人女性マルテと一時は危機的な状況になりながらも愛を貫くことで、周囲の空気が少しずつ浄化されていく流れです。「PASSION」も、主人公の男女カップル(省吾と果歩)は、同級生の結婚を祝うパーティーで、省吾の過去の浮気が発覚したことで激しい衝突を起こり、他のカップルにも同様の摩擦が生じて一時はカップルの組み換え状況になりはするものの、結局は元の鞘に収まりますが、しかしながらカップルの関係はこれまでとは同じものではなく、愛情の矢印が一致しない気まずい状況を浮き彫りにしたまま幕を閉じるという、こちらも、ハッピーエンドとやバッドエンドを混ぜたような終わり方です。(濱口監督がヤン監督作の影響を受けたのだろうが)濱口監督作品との共通点が多く見られるのが興味深いエドワード・ヤン監督の2作でした。

エドワード・ヤンの恋愛時代04.jpg「エドワード・ヤンの恋愛時代」●原題:獨立時代(英題: A CONFUCIAN CONFUSION)●制作年:1994年●制作国:台湾●監督・脚本:楊徳昌(エドワード・ヤン)●製作:余為彦(ユー・ウェイエン●音楽:林強(リン・チャン).●撮影:黄岳泰(アーサー・ウォン)/張展(チャン・チャン)/李龍禹(リー・ロンユー)/洪武秀(ホン・ウーショウ)●時間:127分/129分(4Kレストア版)●出演:陳湘琪(チェン・シャンチー)/倪淑君(ニー・シューチン)/王維明(ワン・ウェイミン)/王柏森(ワン・ポーセン)/鄧安寧(ダニー・ドン)/(李芹(リチー・リー))/(閻鴻亜(イエン・ホンヤー)/陳立美(チェン・リーメイ)●日本公開:1995/07/2023/08(4Kレストア版)●配給:シネカノン/ビターズ・エンド(4Kレストア版)●最初に観た場所:シネマート新宿(スクリーン2)(25-04-22)(評価:★★★★)

エドワード・ヤンのカップルズ07.jpg「カップルズ」●原題:麻將(英題:MAHJONG)●制作年:1996年●制作国:台湾●監督・脚本:楊徳昌(エドワード・ヤン)●製作:余為彦(ユー・ウェイエン●音楽:林強(リン・チャン).●撮影:李以須(リー・イーシュー)●時間:121分●出演カップルズ12.jpg:ヴィルジニー・ルドワイヤン/唐従聖(タン・ツォンシェン)/柯宇綸(クー・ユールン)/張震(チャン・チェン)/王啓讃(ワン・チーザン)/陳欣慧(アイビー・チェン)/呉念眞(ウー・ニェンチェン)/王柏森(ワン・ポーセン)/張国柱(チャン・クオチュー)/葉全真(イエ・チュエンチェン)/呉家麗(キャリー・ン)/ニック・エリクソン/ダイアナ・デュピス/林海象(特別出演)●日本公開:1996/12/2025/04(4Kレストア版)●配給:シネカノン/ビターズ・エンド(4Kレストア版)●最初に観た場所:シネマート新宿(スクリーン1)(25-04-22)(評価:★★★★)
張震(チャン・チェン)(当時20歳)

張震(チャン・チェン)ブエノスアイレス」(1997)/「グリーン・デスティニー」(2000)/「グランド・マスター」(2013)/「黒衣の刺客」(2015)
ブエノスアイレス チャン・チェン(張震).jpg 「グリーンディステニー」張しん.jpgグリーン・デスティニー5.png グランドマスター チャン・チェン(張震).jpg 黒衣の刺客ード.jpg


濱口竜介 PASSION04.jpg濱口竜介 PASSION 8.jpg「PASSION」●制作年:2008年●監督・脚本:濱口竜介●プロデューサー:藤井智●撮影:湯澤祐一●時間:115分●出演:河井青葉/岡本竜汰/占部房子/岡部尚/渋川清彦●公開:2008/03●発表:東京藝術大学大学院映像研究科・第二期生修了制作展●最初に観た場所:池袋・新文芸坐(24-05-09)(評価:★★★★)


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女性の活躍・自立を描いた「ビッグ・シティ」。恋と孤独の心理ドラマ「チャルラータ」。

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映画チラシ 岩波ホール「チャルラータ」監督/脚色/音楽 サタジット・レイ 出演 マドビ・ムカージー、ショーミットロ・チャタージーチャルラータ デジタルリマスター [Blu-ray]
大都会 ビッグ・シティ01.jpg 1953年、カルカッタ。ニュー・バーラット銀行のしがない行員であるシュブラト・ムジャンダー(ハレン・チャタージー)は途方に暮れていた。妹のバニの授業料は2ヵ月たまっており、元校長だった父親のプリヤゴパル(ハラドン・バナージー)は老眼鏡が必要だと言い、母親は十日ごとにカギタバコを買わなければならない。こう出費が重なっては、1ヵ月250ルピーという薄給の身ではどうしようもない。夫の友人が夫婦共稼ぎをしていることを知った妻アラチ(マドビ・ムカージー)は働きに出る気になった。求職先も決まったが、これを知った父親は驚いて大反対した。シュブラトが時勢は変わったと説得しても受け入れない。しかし、アラチはやがて勤めに出るようになる。上流家庭を訪問してまわる編物機の外交販売だ。月給はわずか100ルピーでも仕事はけっこう楽しかったし、英国人二世の若い女性エディスとは特に親しくなった。一方、父親は彼なりに金を得る道を考え出した。昔の教え子の中から名を成した人を訪ねあて、謝恩金をせびることにしたのである。老眼鏡も眼科医となっている教え子に無料で作ってもらった。アラチの会社の社長ムカジー(ハレン・チャタージー)はなかなかの切れ者で、アラチがすっかり気に入り月給の他に売り上げの歩合も出すようになった。おかげで家計は楽になったが、シュブラトは夫としての立場上、面白くなかった。家庭以外のことにも大都会 ビッグ・シティ02.jpg急に興味をもち始め身なりも派手になり、子供のピントゥも病気のとき母がいないのを淋しがった。彼は友人にアルバイトの口を頼み、妻に勤めを辞めるように宣告した。翌日、アラチは辞職届けを持って、重い足どりで会社に向かった。しかし、それを提出する前にシュブラトから電話がかかってきた。銀行が閉鎖になり失職したから仕事を辞めないでくれという。この日かサタジット・レイ「ビッグ・シティ」2.jpgら、アラチは一家のただ一人の稼ぎ手となった。さらに不幸は続いた。父親が階段から落ちて家に担ぎ込まれたのだ。だが、アラチの仕事ぶりを気に入っていたムカジーは、失業中のシュブラトにも会社で働くよう勧めてくれた。折りも折り、前からムカジーに気に入られていなかったエディスが突然クビにされた。高熱で欠勤し、顧客との約束を破ったのを、仕事不熱心と断定されたのである。泣き悲しむ親友のエディスにすっかり同情したアラチは、ムカジーの措置に憤慨して、何のためらいもなく辞職届けを叩きつけた。彼女からこのことを聞いて、シュブラトは妻の勇気に驚いた。しがない銀行員だった彼には到底できないことだった。彼は妻をたしなめるどころか、正しいと信ずることを通す勇気を讃えたが、さてこれから先、一家はどうやって暮らしていくのだろう―(「ビッグ・シティ」)。

サタジット・レイ」2.jpg サタジット・レイが1963年に発表した彼の代表作のひとつで、大都会カルカッタを舞台に共働き夫婦の暮らしを描いたドラマ。1964年・第14回 「ベルリン国際映画祭」で「銀熊賞(監督賞)」を受賞。日本では「大都会」のタイトルで'76年に岩波ホールで公開(その時は観に行けなかったが、個人的には「大都会」のタイトルの方が馴染みがある)。2015年9月、レイ監督のデビュー60周年を記念した特集上映「Season of Ray シーズン・オブ・レイ」でリバイバル公開(この時「ビッグ・シティ」と改題された)。昨年['25年]7月にレイ監督のデビュー70周年を記念した特集上映「サタジット・レイ レトロスペクティブ2025」で、再度リバイバル公開されました。

大都会 ビッグ・シティm.jpg サタジット・レイ監督作の中でも「女性の活躍・自立」という観点から現代にも通じるテーマを扱っている作品です。急速な時代の変化の中で、伝統と近代、西洋と東洋が複雑に交差している独立後間もない1950年代のコルカタ。そこで主人公の女性アロティが初めて職場で給料を受け取ります。給料を手にし、社会的に認められ金銭を手にした自分を鏡越しに見て、思わず笑みをこぼすアロティが実に印象的です。

 またアロティは、そのすぐあとに英国人二世の同僚女性から口紅を渡され戸惑いますが、意を決し塗っています。後に出てくる、夫が失業していよいよ自分が頑張らばらなければとういう局面で口紅を塗るシーンと併せて印象的なシーンであり、最初のシーンは女性の社会進出や自己実現を表し、後のシーンはアロティの決意を見事に表す名場面です(この組み合わせが見事)。個人的には、この初めて給料をもらうシーンと、口紅を巡る2つのシーンが印象に残りました。


 1880年のカルカッタ。金と若さと才気の三拍子揃ったブパチ・ダット(ショイレン・ムカージー)は「センチネル」という政チャルラータ01.jpg治新聞の編集長兼経営者として多忙な毎日を送っていた。当時のインドはイギリスの統治下にあり、彼はその植民地支配を批判する進歩的な論陣に健筆をふるっていた。そのブパチの美しい妻チャルラータ(ショイレン・ムカージー)は、当時のインドの女性の常として一日中家に閉じ込められたまま、あり余る時間を刺繍と読書にあてていた。ある日、ブパチは仕事口を頼んできていた妻の兄ウマパダ(シャモル・ゴサル)とその妻マンダキニ(ギタリ・ロイ)を呼び寄せ、ウマパダには「センチネル」紙の経理を担当させ、マンダキニにはチャルラータの話相手をさせることにした。ところが、マンダキニはガサツで無学な女で、チャルラータとは何一つ話が合わない。そこへ文学専攻のブパチの従弟アマル(ショーミットロ・チャタージ)が大学の休暇で訪ねてきた。文学のことなら何でも知っているアマルの出現で、チャルラータの孤独感は癒えた。二人は時の経つのも忘れて文学の話しに熱中した。そんなとき、アマルに富豪の娘との縁談が持ち込まれた。承知すればイギリスに留学させてやるというのだ。しかし、アマルはチャルラータのために断わる。ある日、事件が起きた。経理担当のウマパダが、会社の金を持ち逃げしたのだ。親類だからと信頼していた彼のショックは大きく、悲歎のうチャルラータ02.jpgちに信頼するアマルにだけこの事件を告げた。アマルは悩んだ。自分もまた、チャルラータとの間にブパチの知らない裏切りをしているのではないか。自分がこのままこの家にいれば、いつか彼女の上に不幸が襲う。その夜遅く、アマルは置き手紙を残して、そっと家を出た。翌朝、アマルが家を出たことを知ったチャルラータは、耐えがたいショックを夫の手前懸命に隠し通した。そんなことは何も知らないブパチは心機一転を図るために、チャルラータと共に海岸で休暇を過ごした。カルカッタに戻ると、アマルからの手紙が届いていた。何とか消そうと努めてきたチャルラータの恋が激しく燃え上がった。激しく泣き崩れる彼女の背後にブパチが音もなく近づく。チャルラータの真実を見たブパチは、ショックのあまり家を飛び出した。妻のあの悲しみは、仕事の忙しさにかまけて相手にしなかった自分自身にも責任があるのではないだろうか。イギリスの圧政を批判し、インドの将来を論じることも重要だが、人間にはもっと大切なことがある筈だ。冷静になった彼は、家庭の再建を誓い、再びわが家の門をくぐった―(「チャルラータ」)。

チャルラータ06.jpg サタジット・レイの中期の代表作で、同国の文豪で1913年にノーベル文学賞を受賞した(これはアジア人に与えられた初のノーベル賞だった)ラビンドラナート・タゴール(1861-1941)の短編小説「壊れた巣」を自身の脚本と音楽で映画化し、1965年の「ベルリン国際映画祭」で前年受賞の「ビッグ・シティ(大都会)」('63年)に続いて「銀熊賞(監督賞)」を受賞した作品(日本での公開はこの「チャルラータ」が先)。2015年9月、こちらも、レイ監督のデビュー60周年を記念した特集上映「Season of Ray シーズン・オブ・レイ」でリバイバル公開。昨年['25年]7月にレイ監督のデビュー70周年を記念した特集上映「サタジット・レイ レトロスペクティブ2025」で再度リバイバル公開されました。

チャルラータ04.jpg 「ビッグ・シティ」と同じく夫婦の関係を軸に描いていますが、「ビッグ・シティ」がリアリズムに徹した現代劇で、社会派ドラマであったのに対し、こちらは19世紀末のイギリス植民地時代のベンガルを舞台にした、詩的で内省的な時代劇であり、新聞編集者の裕福な夫に顧みられない孤独な妻が、訪れた従弟に淡い恋心を抱く、人間の心理と内面的な孤独を描いた心理ドラマとなっています。邸宅という閉鎖的な空間の中で、オペラグラス越しに見える風景や、窓から眺める外の世界など、カメラワークや映像美を通じて主人公の妻の「閉じ込められた状況」や内面の変化を繊細に描写しているように思いました。家の中で閉じ込められていた女性が自由になる瞬間を、心情に寄り沿った丁寧なカメラワークで鮮やかに切り取っています。

 「ビッグ・シティ」で家計を助けるためセールスレディとして働き出した妻を演じたのと同じ女優マドビ・ムカージーが、この映画では、贅沢暮らしをしながらも退屈かつ不自由な日々を過ごすチャルラータを演じているというのも、対比的で面白いです(同じ日に観たというのもある)。何れにせよ、両作品とも、彼女の凛とした美しさが映画の大きな魅力であることに違いはありません。両方とも星4つの評価としましたが、個人的好みは「ビッグ・シティ」の方が少しちょっと上だったかも。

サタジット・レイ「ビッグ・シティ」7.jpg「ビッグ・シティ(大都会)」●原題:চারুলতা(英題:MAHANAGAR)●制作年:1963 年●制作国:インド●監督・脚本:サタジット・大都会 ビッグ・シティ015.jpgレイ●製作:R・D・バンサル●撮影:スブラタ・ミットラ●原作:ナレンドラナート・ミットラ●時間:131分●出演:マドビ・ムカージー/アニル・チャタージー/ハレン・チャタージー/シェファリカ・デビ/ジャヤー・バードゥリー/プロシェンジト・ショルカル/ハラドン・バナルジ/ビッキー・レッドウッド●日本公開:1976/04●配給:エキプ・ド・シネマ●最初に観た場所: Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下(25-07-22)(評価:★★★★)

チャルラータ Blu-ray
チャルラータ b.jpgチャルラータ03.jpg「チャルラータ」●原題:চারুলতা(英題:CHARULATA)●制作年:1964 年●制作国:インド●監督・脚本:サタジット・レイ●製作:R・D・バンサル●撮影:スブラタ・ミットラ●原作:ラビンドラナート・タゴール「壊れた巣」●時間:119分●出演:マドビ・ムカージー/ショウミットロ・チャタルジー/ジョイレン・ムカージー/シャマル・ゴーシャル/ギタリ・ロイ●日本公開:1975/11●配給:エキプ・ド・シネマ●最初に観た場所: Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下(25-07-22)(評価:★★★★)


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