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見所がコンパクトに詰まった香港スパイ物「インファナル・アフェア」。中韓スパイ物「無名」「シュリ」。

日本公開20周年記念上映ポスター/「インファナル・アフェア 三部作 Blu-ray」アンディ・ラウ/トニー・レオン

「無名」[Prime Video]トニー・レオン/ワン・イーボー

「シュリ [DVD]」ハン・ソッキュ/キム・ユンジン/チェ・ミンシク
1991年、ストリート育ちの青年ラウ(アンディ・ラウ)は香港マフィアに入ってすぐ、その優秀さに目を付けたボスによって警察学校に送り込まれる。一方、警察学校で優秀な成績を収めていた青年ヤン(トニー・レオン)は突然退学となる。彼は、警視に能力を見込まれマフィアへの潜入を命じられたのだった。やがて2人の青年は、それぞれの組織で台頭していく。そして10年後、警察はヤンから大きな麻薬取引の情報を受け取る。しかし警察の包囲網はラウによってマフィア側に筒抜けとなっていた。検挙も取引も失敗に終わったことで、警察、マフィア双方がスパイの存在に気づいてしまうのだった―(「インファナル・アフェア」)。
アンディ・ラウ(劉徳華)/トニー・レオン(梁朝偉)/アンソニー・ウォン(黄秋生)/ケリー・チャン(曾志偉)
「インファナル・アフェア [DVD]」
1991年公開の警察とマフィアにそれぞれ潜入した2人の男の生き様を描いた香港ノワール(マフィアに潜入するヤンをトニー・レオン、警察に潜入するラウをアンディ・ラウが演じた)。その後、主人公2人の若き日を描く「インファナル・アフェア 無間序曲」('03年)、本作のその後を描く「インファナル・アフェアIII」('03年)も製作され3部作となっています(2023年、日本公開20周年を記念して4K版でシリーズ3部作がリバイバル公開)。2006年にマーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演で「ディパーテッド」としてハリウッドリメイクされ、アカデミー作品賞などを受賞していますが、それでも、オリジナルを超えるに至っていないというのが世評のようです。
これを観ないとトニー・レオンは語れないと言われて観ましたが、面白かったです。警察とマフィアに互いのスパイが潜入し、互いの正体がバレるまでのギリギリの駆け引きをするという緊張感あふれる設定が効いています。2人の男の命懸けの心理戦、102分に無駄なく凝縮された脚本、シンメトリーな映像美など、コンパクトな中に見所が大いにあります。
トニー・レオンとアンディ・ラウの演技に加え、善悪が揺らぐ「救いのない」人間ドラマで、タイトルと中身が関係ないと言う人もいますが、一度入ると抜け出せないまさに「無限道」の世界と言えるかもしれません。潜入した側が「本当の自分」を見失う葛藤がテーマとも言えます(第22回「香港電影金像奨」で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞(トニー・レオン)・最優秀助演男優賞(アンソニー・ウォン)を受賞)。
中国・汪兆銘政権の政治保衛部に所属するフー(トニー・レオン)は、中国共産党の秘密工作員だった男ジャン(ホアン・レイ)の身辺調査を行う。フーは中国国民党に転向するというジャンから共産党幹部の情報を聞き出すことに成功する。1941年、上海に駐在する日本軍スパイのトップ・渡部(森博之)は、政治保衛部の主任となったフーやその上司タン(ダー・ポン)と日本料理店で戦局について話す。フーの部下として働くイエ(ワン・イーボー)は、友人ワン(エリック・ワン)とともに諜報活動に従事していたが―(「無名」)。
トニー・レオン(梁朝偉)/ワン・イーボー(王一博)/ジャン・シューイン(江疏影)ジョウ・シュン(周迅)
第2次世界大戦下の上海で暗躍する中国共産党・中国国民党・日本軍のスパイたちの攻防を描いたノワールサスペンス。トニー・レオンがフー役、ワン・イーボーがイエ役を務めました。トニー・レオンのスパイ役復活という感じで、日本の軍部や汪兆銘政府に食い込むスパイで、冷静沈着かつ謎めいた役柄となっています。「インファナル・アフェア」が テンポが速く、心理戦とアクションのバランスが良かったのに対し、こちらは 映像美と静寂を重視している印象で、断片的なエピソードを再構成するスタイリッシュな作りになっていますが、これが展開を分かりにくくしている面もあったように思います。「インファナル・アフェア」以上に「誰が裏切り者か」に焦点を当てたサスペンスなのに残念でした(自分がついていけないだけかもしれないが)。
「無名」というタイトルは、中国を守った「無名の英雄」たちへの哀歌という意味なのでしょう。中国映画なので、娯楽映画を作るにしても、落としどころは「中国共産党=正義」になるわけです。そんな中、トニー・レオンは渋かったです。ワン・イーボー(王一博)のカッコ良さが取り沙汰される作品ですが、個人的にはジョウ・シュン(周迅)の演技を久しぶりに観たのが印象に残りました。
そう言えば、韓国映画で「シュリ」('99年)というスパイ映画も面白かったです。ミステリー、アクションなどさまざまな要素を効果的に使い、南北分断という民族的悲劇を、韓国の情報機関員(ハン・ソッキュ)と、北朝鮮の敏腕女性スナイパー(キム・ユンジン)との悲恋物語にしています。女性を意識してか、誰にでも理解しやすいエピソードを通じて描いています(タイトルは、朝鮮半島にだけ生息する淡水魚の名前で、映画のなかでも「ある部分」で使われており、心ニクイ演出)。韓国では、シュリを観なければ仲間はずれになる、というほどの人気だったそうです。
冒頭シーン北朝鮮のスナイパー養成のための特殊部隊の過酷な訓練シーンは圧巻です。一方で、"恋人"同士の切なく淡いキスシーンがあったりして(ハニートラップのつもりが本当に愛してしまうというのは、ウォン・アン・リー(李安)監督監督の「ラスト、コーション」('07年/米・中国・香港・台湾)などもそうだった。愛される側の男性を演じたのはトニー・レオン!)、要は諜報員の恋人が実は敵国のスパイ(スナイパー)だったという話なのですが(映画が北朝鮮特殊部隊の訓練シーンから始まるように、この設定は観客には最初から明かされている)、"彼女"の大都会ソウルの現代的な女子大生っぽい雰囲気と北朝鮮の工作員という正体との間のギャップが大きすぎて、ややリアリティを欠いた部分もありました(ヒロイン役のキム・ユンジンはその後渡米し、TVドラマシリーズ「LOST」(ABC 2004~2010) のレギュラーの座を獲得してワイルドな演技を見せるようになるが、この頃はまだワイルドさが無い)。でも、南北朝鮮の政治的分断を考えさえられるかどうかはともかく、充分に愉しめる映画であり、権利関係の問題で長年に渡って再上映されない状態が続いていたのが、2024年に権利問題が解消されたことから、同年9月以降4Kデジタルリマスター版として再上映されるようになったのは良かったです。
ケリー・チャン(曾志偉)1972年生まれ font>

「インファナル・アフェア」●原題:無間道(英題:INFERNAL AFFAIRS)●制作年:2002年●制作国:香港●監督:アンドリュー・ラウ(劉偉強)/アラン・マック(麦兆輝)●脚本:アラン・マック/フェリックス・チョン●撮影:ライ・イウファイ/アンドリュー・ラウ●音楽:コンフォート・チャン(陳光栄)●時間:102分●出演:アンディ・ラウ(劉徳華)/トニー・レオン(梁朝偉)/アンソニー・ウォン(黄秋生)/エリック・ツァン(曾志偉)/ケリー・チャン(曾志偉)/サミー・チェン(鄭秀文)/ショーン・ユー(余文楽)/エディソン・チャン(陳冠希)/チャップマン・トウ(杜汶澤)/ラム・カート(林 家棟)/エルヴァ・シャオ(蕭亜軒)●日本公開:2003/10●配給:コムストック●最初に観た場所:池袋・新文芸坐(24-08-29)(評価:★★★★☆) font>
ジョウ・シュン(周迅)1974年生まれ/ジャン・シューイン(江疏影)1986年生まれ font>

「無名」●原題:无名(英題: HIDDEN BLADE)●制作年:2023年●制作国:中国●監督・脚本:程耳(チェン・アル)●製作:ウー・ナ/曲吉小江●撮影:ツァイ・タオ/廖拟●音楽:ロディオン・ファラフォントフロクサーヌ・S/ボリス・セバスチャノフ/リー・チャオフイ(主題歌:「無名」ワン・イーボー(王一博))●時間:128分●出演:トニー・レオン(梁朝偉)/ワン・イーボー(王一博)/ジョウ・シュン(周迅)/ホアン・レイ(黄磊)/森博之/ダー・ポン(大鹏)/エリック・ワン(王傳君)/ジャン・シューイン(江疏影)/チャン・ジンイー(張婧儀)●日本公開:2024/05●配給:アンプラグド●最初に観た場所:池袋・新文芸坐(24-08-29)(評価:★★★☆) font>
キム・ユンジン 1972年生まれ font>

「シュリ」●原題:쉬리●制作年:1999年●制作国:韓国●監督・脚本:カン・ジェギュ●製作:イ・グァナク/ピョン・ムリム●撮影:キム・ソンボク●音楽:イ・ドンジュン●時間:124分●出演:ハン・ソッキュ/キム・ユンジン/チェ・ミンシク/ソン・ガンホ/パク・ヨンウ/ユン・ジュサン/ソン・ホギュン/ナム・ミョンニョル/ハ・ドクソン/チョ・ドッキョン/パク・チョンムン/チョン・ジノ/キム・スロ/キム・サンミ/パク
・キサン/チョン・ジンス/ソン・ヨンテ/キム・ジョンミン/パク・チイル/チェ・ウジョン/チェ・ソンウ/ホ・ギホ/チョン・ギルムク/チャン・ヒョンソン/ファン・ジョンミン/イ・チャニョン/チェ・セフン●日本公開:2000/01●配給:シネカノン=アミューズ●最初に観た場所:池袋・新文芸坐(25-01-31)(評価:★★★★)
キム・ユンジン in 「LOST」(シーズン1(2004)〜シーズン10(2010))
「LOST」LOST (ABC 2004/09~2010) ○日本での放映チャネル:AXN(2005~2011)/BS-i
⦅「シュリ」詳しいあらすじ⦆
韓国秘密情報機関OPの特殊要員ジュンウォン(ハン・ソッキュ)は、北朝鮮の女性工作員に殺される悪夢を見ていた。ユ・ジュンウォンと相棒のイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)は、最近相次ぐ要人暗殺事件の捜査中であり、その中で浮かぶ北朝鮮の工作員「イ・バンヒ」を追っていた。 一方、ジュンウォンは熱帯魚店の店主であるイ・ミョンヒョン(キム・ユンジン)と交際中で、結婚を間近に控えていた。そして同時に禁酒するよう約束していた。 1998年のとある日、彼らに情報を提供する予定だった武器密売商イム・ボンジュ(ソン・ホギュン)が射殺されたことで、ジュンウォンは事件に北朝鮮の特殊第8軍団が関係している事を知る。そして、ジュンウォンとジャンギルは暗殺犯の行跡を追跡する中で、特殊第8軍団が、韓国エネルギー開発研究所が独自で次世代代替エネルギーとして開発され、国防科学技術研究所で軍事目的に転用開発した新素材の液体爆薬「CTX」を奪取しようと画策していることが分かる。しかし、ボンジュと関係があったと思われる国防科学研究所の主任まで殺害される。「CTX」が陸軍司令部で火力試験を行うため輸送される事を知らされると、ジュンウォン達はヘリコプターで「CTX」の移送現場に急行するが、韓国陸軍が護衛する輸送隊はトンネルを抜けたところで特殊第8軍団による偽の検問で待ち伏せをされ襲撃、護衛兵20名は殲滅され、ジュンウォンらが到着した時にはCTXが強奪された後だった。 奪われた完成品の「CTX」原液4リットルだけでも地方都市を破壊出来るとされる威力である。OPはその奪取犯がかつて航空機テロ鎮圧作戦の際に取り逃がした、パク・ムヨン(チェ・ミンシク)が率いる特殊第8軍団の工作員チームであることが判明する。OPは非常事態へと突入するが、特殊第8軍団の目標が一体何かは分からず、ムヨンの行跡を追っていたジュンウォンとジャンギルは何回も目の前で敵を逃してしまい、OP内部から情報が漏れていることに気づく。 そこでジュンウォンはカフェで警察の友人グァノ(ナム・ミョンニョル)に協力を仰ぐが、ジュンウォンを狙った狙撃手の銃弾が偶然にもグァノの肩に命中してしまう。それを嘲笑うように、ムヨンからOPへ「CTX」を市内10か所に設置したことの電話があり、爆破30分前に連絡すると言うもので初回はソウルのゴールデンタワーを指定した。 ただちにOP要員による「CTX」の捜索が始まるが、間に合わず大爆発を起こして多数の犠牲が出てしまう。そしてジュンウォンはミョンヒョンを連れ出してホテルの一室で保護しようとするが、彼女は禁酒を破ってシャンパンを煽っていた。ジュンウォンはその理由が分からず彼女を抱きしめる―。
