【3705】 ○ バスター・キートン/エドワード・F・クライン 「キートンの空中結婚(キートンの昇天/The The Balloonatic)」 (23年/米) (1923/01 米国公開) ★★★★(○ 「捨小舟(The Love Nest)」 (23年/米) (1923/03 米国公開) ★★★☆)

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自然・シュール・大掛かりなアクション「空中結婚」。短篇時代最後の作品もまた"夢オチ"「捨小舟」。
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「キートンの空中結婚」
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「捨小舟」
キートン dvd4.jpgバスター・キートン傑作集(4) [DVD]」(「北極無宿」「電気屋敷」「成功成功(白日夢)」「空中結婚」「捨小舟」所収)
キートンの空中結婚02.jpg 夏の午後バスターは、遊園地に来ている。お化け屋敷に一人で入っても全然楽しくないのが解り、ガール・ハントを開始。水上ゴンドラを目当てに一人で来た女の子フィリス(フィリス・ヘイヴァー)を発見。すかさず隣の席に座って機会を伺うが、敢えなくヒジテツを喰らう。フィリスは大きな車を乗り回すような男まさりな女の子だった。ガール・ハントを諦めたバスターは、隣の空き地の気球の離陸準備が面白そうなので、作業を手伝うことにする。気球の頂上で作業中に気球は離陸を開始してしまい、バスターひとりが上空へ。飛行がしばらく続くと空腹感、今度はバード・ハントといった具合。気球にとまった鳥をライフルで狙い撃ち。もキートンの空中結婚21.jpgちろん気球は破裂して、バスターあわやの急降下!ところが運良く落下地点が木の上で命拾いする。その辺り一帯は、自然に恵まれた川べりだったので、さっそくフィッシング開始。そして、偶然にも、アウトドアライフを楽しむフィリスの姿がすぐそばに―(「キートンの空中結婚」)。

 キートン・プロのキートン監督・出演作の【第18作(米国公開日:1923年1月22日)】。気球に乗ってしまったキートンが、山奥に着陸し、偶然出会った女性と冒険する物語。前半は気球で空を飛ぶシーンが山場で、気球にとまった鳥をライフルで撃って気球を破裂させたり、空中で命がけの綱渡りをしたりする身体を張ったコメディが見られます。後半は、川岸に不時着したキートンが自然の中で繰り広げるサバイバルで、バラバラの部品から舟を組み立て、魚を捕まえようと奮闘、滝下り、クマなど野生動物との遭遇など、背景のダイナミックさが特徴です。また、キートンらしい、体を張ったアクロバティックなギャグも目いっぱい愉しめます。

キートンの空中結婚22.jpg 実は初めて観た時、キートンが遊園地の水上ゴンドラでヒジテツ(パンチ?)を喰らった女性と、気球が墜落した川岸で出会った女性が同じ女性であることに気づかず、再見して、ちゃんと伏線を回収していることに気づきました。女性の愛を獲得してカヌーで川を下るが、あわや滝に落ちそうになる...というラストは、可愛らしい終わり方でした。


 
キートンの捨小舟001.jpg 美しい夕暮れ時に恋人から別れを告げられたバスターは、彼女のことを忘れるために世界一周の船旅に出発することを決めた。ただし、乗る船は、ボートに幌を掛けただけのような小舟キューピッド号。出発してから何日経ってもキートンの捨小舟05.jpg目の前には大海原が広がるばかり。気分が悪くなったバスターは酔い止めの薬を飲んで横になった。気がつくと、すぐ近くに捕鯨船。その船の船長は七つの海で最も残忍で短気な男だったが、他にあてのないバスターは船室付き給仕として雇ってもらうことにした。鯨の捕獲の最中に船長が海に落ちてしまう。これはラッキー、今度は自分が船長だ、と他の船員に息巻くバスター。その様子を海からサバイバルしてきた船長が見て怒り心頭。船長に追いつめられたバスター危うし、甲板から落ちることを余儀なくされた。ついに海の藻屑と化してしまうのか、と思いきや、船尾から海へと伸びた縄につかまり、救命ボートを奪取する機会を伺うバスターであった―(「捨小舟」)。

キートンの捨小舟06.jpg キートン・プロのキートン監督・出演作の【第19作(米国公開日:1923年3月22日)】。巨大な戦艦や爆破シーンなど、短編ながらも独創的なアイデアが詰め込まれています。キートンの他に、キートン映画で憎まれ役でお馴染みの巨漢ジョー・ロバーツ(ビッグ・ジョー)や、「キートンの白人酋長」('22年)などにも出ているヴァージニア・フォックスらが出演、ビッグ・ジョーは自らも海に落っこちて頑張っていました。船長に追い詰められたキートンは壁の船員リストの自分の名に横棒をサッと引き、船底まで逃げこむと船底の壁を斧でぶち破って船を沈めにかかり、捕鯨船が沈むのと一緒に自分の乗ってきた小舟ごと浮かび上がります。ボートを漕ぎ出したキートンは巨大看板に小舟を繋いで釣りを始めますが、キートンが小舟を繋いだ側とは逆の看板の正面には大きく「3」と書かれ、海軍が同じような巨大看板の「1」「2」を順に砲撃演習しているのに気づかず、砲撃された巨大看板は粉々に爆破されます。ハッと目覚めたキートンは顔の下半分が真っ黒の髭面で小舟の中で目覚め、食糧がない、もう水もないと絶望しますが、 キートンが身を起こしてふと見ると、すぐ近くで別れた恋人(フォックス)が遊泳しており、引いたショットで小舟は実は艀に繋がれたままだったのが映ってエンドマーク。ラストで"夢オチ"と分かる仕掛けです。この作品はキートンが長編映画に移行する前の、短編時代最後の作品です。

 そう言えば、キートンの作品は"夢オチ"が結構あります。短篇では「キートンの囚人13号(ゴルフ狂の夢)」('20年)、「キートンの案山子(スケアクロウ)」('20年)、「キートンの即席百人芸(キートンの一人百役)」('21年)(前半部分)、「キートンの北極無宿」('22年)、「キートンの白日夢(成功成功)」('22年)などが夢オチであり、短篇時代最後のこの作品「捨小舟」も夢オチだったわけですが、その後の中・長編作品でも「キートンの探偵学入門(忍術キートン)」('24年)、「キートンのセブン・チャンス(栃面棒)」('25年)などがそうでした。夢オチの方が荒唐無稽が許される自由度が高いということなのでしょう。


「キートンの空中結婚」
キートンの空中結婚03.jpgキートンの空中結婚23.jpg「キートンの空中結婚(キートンの昇天)」●原題:THE BALLOONATIC●制作年:1923年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●時間:22分●出演:バスター・キートン/フィリス・ヘイヴァー●米国公開:1923/01●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース(84-01-15)●併映:「キートンの文化生活一週間(マイホーム)」「キートンの強盗騒動(悪太郎)」「キートンの警官騒動」「キートンの鍛冶屋」「キートンの船出(漂流)」(評価:★★★★)

キートンの捨小舟01.jpgキートンの捨小舟02.jpg「捨小舟」●原題:THE LOVE NEST●制作年:1923年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●●時間:19分●出演:バスター・キートン/ジョー・ロバーツ/ヴァージニア・フォックス●米国公開:1923/03(評価:★★★☆)

  
 

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