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前半の銀行内ドタバタと、後半の「化物屋敷」内アクションとの対比。夢オチかと思ったら...。

「キートンの化物屋敷」
「バスター・キートン傑作集(1) [DVD]」

ニューヨーク・ウォール街。バスターが出納係として働く小さな銀行の支配人ジョー(ジョー・ロバーツ)は、郊外の古屋敷・通称「化物屋敷」で偽札造りを続けていた。建物のあちこちに細工を凝らした上に、化物が出るという噂を流し、その屋敷に他人を寄せつけないようにしている。バスターは女性に弱い行員で、美人女性(ヴァージニア・フォックス)に頼まれれば9時開店のところを8時に金庫を開けてしまう。窓口では、バスターが紙幣を
めくるとき誤って指に接着剤を付けてしまったお陰で、そのお札に触る者が皆、接着効果に見舞われ、行内は大騒動に。頭取室では、頭取が銀行内に偽札が出回っていることに気づき警察に捜査を依頼。これはマズいと支配人ジョーは偽札回収し証拠隠滅するために、手下に命じて狂言強盗をやらせるという手段に出る。ところが、接着剤浸けの札はさすがに盗めず、計画は狂って窮地のジョーは、たまたまその場で銃を手にしていたバスターにすべての罪を着せる。警察に追われる身になってしまったバスター、最後には例の化物屋敷へと逃げ込む。そこには、ジョーの手下の他に「ファウスト」上演で大失敗をやらして客から逃れた役者らの一座も乱入し―。
キートン・プロのキートン監督・出演作の【第5作(米国公開日:1921年2月10日)】。前半の銀行でのドタバタと、後半の「化物屋敷」という極端な非日常空間でのアクションの対比が見どころの、キートンらしい王道コメディです。
前半は、生真面目そうな銀行員のキートンが騒動を引き起こすところが面白いです。接着剤を取るために熱湯をかけようとするが相手の男が熱がるために、ハンマーで殴って気絶させ、さらに今度は、自らの手についた接着剤を取ろうとするキートンがハンマーで自らを殴るというというギャグが可笑しいです。それにしてもこの接着剤、アロンα並みの瞬間強力接着剤だったなあ(なぜ、そんなものが窓口に置いてある? 印紙とか貼るのにこれほどの量は要らないといと思うけれど)。
後半は「化物屋敷」での展開で、ギミックを含むキートンのアクションが全開。スイッチひとつで滑り落ちる仕掛けの階段をメインに、幽霊から逃げ惑うキートンの動きを堪能することが出来ます。また、人間のパーツを組み立てると本物の人間となって動き出すというジョルジュ・メリエス(「幾つもの頭を持つ男」(1898/仏))流のトリック撮影(ストップモーション)まで見せてくれます。
個人的には、事前に"夢オチ"作品と簡易AIから聞いていて、このシーンで"夢オチ"を確信しました。最後、天国の門で拒絶され、ここでも階段を滑り落ちた挙げ句に地獄に辿り着き(作中劇「ファウスト」のパロディか)、悪魔に痛めつけられているところを、銀行の頭取の娘に揺り起こされて、「全部夢だった」と...。でも、どこから夢だったのだろうかと、疑問に思いました。
目覚めたのは「化物屋敷」内で、起こしてくれたのはそこへ駆けつけた頭取の娘であり、結局それは夢などではなく、最後にジョーが逮捕される直前に腹いせにバスター殴って気絶させ、その間バスターが天国と地獄へ行く幻想を見ただけで、最後の最後だけが、あくまで一時的な「気絶による幻覚」だったということになるかと思います(簡易AIはいい加減な面もある。キートンの短編は夢オチが多いのも、見誤った原因か)。ただし、そうなると、人間のパーツを組み立てると本物の人間となった出来事も実際にあったことになるので、そのあたりは"虚実皮膜(きょじつひにく)"といった感じでしょうか。
ナタリー・タルマッジとの結婚式

銀行の頭取の娘を演じたナタリー・タルマッジは、この作品の公開の3カ月後の1921年5月31日にキートンと、共に25歳同士で結婚式を挙げています。しかし、2人の子供をもうけたものの、贅沢な暮らしぶりで、1928年にキートンがMGMと契約した頃からそのキャリアが低迷し始めると心は離れ、1933年に離婚が成立しています。キートンの生涯3回の結婚の内のこの1回目の結婚は5年で終わったことになり、2回目の結婚も3年しか続かず、40代半ばでの3回目の
結婚にしてやっと生涯の伴侶となる、
23歳年下のダンサーのエレノア・ノリスと出会い、キートンが亡くなるまで結婚生活は続いたほか、彼女はキートンの没後もその作品の広報活動に携わりました。エレノア・ノリスとは、キートンが人気凋落で失意の中、トランプ・ゲームを通じて知り合っています。彼女は、映画撮影所で働いていた父親を事故で亡くし、貧乏な家計を助けるために10代でMGM映画でダンサー契約し、1945年までダンサーとして出演を続けた苦労人でした。23歳年下ということはともかく(加藤茶などは45歳下だからなあ)、やっぱり多少の苦労の味を知っている女性の方がいいのかも。
エレノア・ノリス(エレノア・キートン)

「キートンの化物屋敷」●原題:THE HAUNTED HOUSE●制作年:1921年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●撮影:エルジン・レスリー●時間:18分●出演:バスター・キートン/ヴァージニア・フォックス/ジョー・ロバーツ/ジョー・キートン/ナタリー・タルマッジ/マーク・ハミルトン●米国公開:1921/02(評価:★★★★)
■Top 10 Buster Keaton Films: Shorts(海外サイト)
1. The Haunted House(キートンの化物屋敷)(1921)
2. One Week(キートンの文化生活一週間) (1920)
3. Cops(キートンの警官騒動)(1922)
4. The Scarecrow(キートンのスケアクロウ)(1920)
5. The Play House(キートンの即席百人芸)(1921)
6. The Boat(キートンの船出)(1921)
7. Neighbors(キートンの隣同士)(1920)
8. The Goat(キートンの強盗騒動)(1921)
9. The 'High Sign'(キートンのハイ・サイン)(1921)
10. Convict 13(キートンの囚人13号)(1920)
