【3700】 ○ ジョナス・メカス 「リトアニアへの旅の追憶」 (72年/英・西独) (1996/08 ダゲレオ出版) ★★★★

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ドキュメンタリーと言うより映像叙事詩。でもやはりドキュメンタリー。

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リトアニアへの旅の追憶(VHS)」ジョナス・メカス
リトアニアへの旅の追憶01.jpgリトアニアへの旅の追憶(VHS).jpg 1949年、故郷からナチスに追われアメリカに亡命したジョナス・メカス。言葉も通じないブルックリンで一台の16ミリ・カメラを手にしたメカスは日々の生活を日記のように撮り始める。27年ぶりに訪れた故郷リトアニアでの母、友人たちとの再会、そして風景が映し出される―。

リトアニアへの旅の追憶v.jpg【ジョナス・メカス自身による解説] この映画は3つの部分から構成されている。まず、第一の部分は、私がアメリカにやって来てからの数年、1950~53年の間に、私の最初のボレックスによって撮られたフィルム群から成っている。そこでは、私の弟アドルファスや、そのころ私達がどんな様子であったかを見ることができる。ブルックリンの様々な移民の混ざりあいや、ピクニック、ダンス、歌、ウィリアムズバーグのストリートなどを。第二の部分は、1971年に、リトアニアで撮られた。ほとんどのフィルム群は、私が生まれた町であるセミニシュケイを映しだしている。そこでは、古い家や、1887年生まれの私の母や、私たちの訪問を祝う私の兄弟たるや、なじみの場所、畑仕事や、他のさして重要ではないこまごまとしたことや、思い出などを、見ることになる。ここでは、リトアニアの現状などというものは見ることはできない。つまり、27年の空白の後、自分の国に戻って来た「亡命した人間」の思い出が見られるだけなのである。第三の部分はハンブルクの郊外、エルンストホルンへの訪問から始まる。私たちは、戦争の間l年間、そこの強制労働収容所で過ごしたのだった。その挿入部分の後、われわれは私たちの最良の友人たちの一部、ペーター・クーベルカリトアニアへの旅の追憶p.jpg、ヘルマンリトアニアへの旅の追憶05.jpg・ニッチ、アネット・マイケルソン、ケン・ジェイコブスと共にウィーンにいる。そこでは、クレムスミュンスターの修道院やスタンドルフのニッチの城や、ヴィトゲンシュタインの家などをも見ることができる。そしてこのフィルムは、1971年8月のウィーンの野菜市場の火事で終わることになる。─ジョナス・メカス。

 詩人でもあるジョナス・メカス(1922-2019/96歳没)の1972年監督のドキュメンタリー映画で、アメリカ・インディペンデント映画の傑作とされている作品。上記メカス身による解説のように、第一部が1950年から1953年までのアメリカにやってきたメカスと弟、第二部が27年ぶりに里帰りしたメカス、第三部が戦争中に住んでいたハンブルク郊外やウィーンへの訪問となっています。

 その中でも、メカスの生まれ故郷であるリトアニアのセメニシュケイ村への旅(第二部)が中心に描かれており、自在なカメラワークと豊かな感受性でそれらをみずみずしく描いた映像となっていて、ドキュメンタリー映画と言うより映像叙事詩という印象です。

 ただし、美しいだけでなく、映像と併せてメカス自身よって簡潔に語られる、ソ連に編入されナチスの侵攻とともに戦火に包まれた故郷の国の歴史と、ナチスに追われ国外逃亡を図って捕らえられ、さらに強制労働所の脱出を図り2度目で成功して逃走を続けたという彼自身の個人史が重く(飄々としたメカスの印象と対照的)、彼の故郷や家族、友人に対する愛おしい気持ちを観る側に強く伝えてきます。

 その意味では、やはり、そのバックグラウンドの重さによってュメンタリーであると言えますが、映像的にはそうした戦乱の部分などはなく、過去と現在の日常の記録=「映像日記」になっています(「メカスの映画日記」は個人映画のバイブルと言われるはど著名)。こんなやり方、ありかな?とも思ったりしますが、メカスは詩人でもあるので、語りの部分も作品の重要な部分であるということでしょう。また、敢えてそうした表現方法をとることによって、戦争スぺクタル映画など既存の映画の作り方に対する1つのアンチテーゼを示しているともとれます。

リトアニアへの旅の追憶cb.jpg この作品は一応'96年8月30日が本邦"初公開"とされていて、2014年にも再公開され、さらに2022年にイメージフォーラムで再々公開されていますが、そのずっと前に、現在渋谷にあるイメージフォーラムがまだ四谷3丁目にあった70年代の頃からそこで度々上映されていて、当時観に行こうと思いながら結局行けずじまいだった作品でした(ヴェルナー・ヘルツォーク監督の「小人の饗宴」('69年/西独)などもその類。「小人の饗宴」の方は1977年が本邦初公開となっているようだ)。今回観れて、何だか何十年分かの借りを返したような気分です(笑)。

リトアニアへの旅の追憶06.jpg ジョナス・メカス

「リトアニアへの旅の追憶」●原題:REMINISCENCES OF A JOURNEY TO LITHUANIA●制作年:1972年●制作国:イギリス/西ドイツ●監督・撮影・編集・ナレーション:ジョナス・メリトアニアへの旅の追憶03.jpgカス●時間:88分●出演:ジョナス・メカス/ピーター・クーベルカ/ヘルマン・ニッチ/アネット・マイケルソン/ケン・ジェイコブス/ペトラス・メカス●日本公開:1996/08●配給:ダゲレオ出版(イメージフォーラム)●最初に観た場所:シネマブルースタジオ(26-01-17)(評価:★★★★)


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