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主人公はトッペイだが、本当の主人公はロックか。複雑な性質の「現代悪」を体現。


『バンパイヤ (全3巻)』['68年・'72年/秋田書店・サンデーコミックス]

「週刊少年サンデー」(小学館)及び「少年ブック」(集英社)に連載された手塚治虫の漫画作品で、普段は人間の姿をしているのに、ふとした時に異形へと変身を果たしてしまう種族・バンパイヤを描いたもの。手塚作品の特徴の一つである、メタモルフォーゼを取り上げた代表的な作品の一つです。


第1部は「週刊少年サンデー」にて'66(昭和41)年6月12日号(第23号)から'67(昭和42)年5月7日号(第19号)まで連載され手塚治虫本人がこれまでになく重要な登場人物となっています。第2部は、テレビドラマ放映開始時に、「少年ブック」にて'68(昭和43)年10月号から'69(昭和44)年4月号まで連載されましたが、掲載誌の休刊により未完に終わっています(サンデーコミックス初版で全3巻、手塚治虫漫画全集、サンデーコミックス'88年版で全4巻)。
第1部は、主人公の少年である立花特平(通称トッペイ)と、その弟チッペイ、バンパイヤを利用して世界制覇を目論む冷酷な少年・間久部緑郎(ロッ
ク)を軸に、それらにトッペイの父・立花博士の助手だった女性バンパイヤで「日本バンパイヤ革命委員会」東京支部長の岩根山ルリ子なども絡んで話が展開していきますが、「間久部緑郎」の名から窺えるように、シェイクスピ
アの「マクベス」がモチーフとなっています(同時にロックは、多くの手塚作品に登場するレギュラー・キャラクターでもある)。したがって、ロックは、知的な判断力を持ちながら、一方で、「マクベス」の"3人の魔女"に相当する"3人の占い師"に自分の行く末を占わせたりしています。ロックは占い師たちに、「あんたは、人間にゃやられないよ」と言われますが、これは「女から生まれた者には殺されない」と言われたマクベスと同じで、さらにロックは、「人間でないものにもやられない」と言われます(裏を返せば、「人間」でも「人間でないもの」でもない、「変身中のバンパイヤ」がロックの天敵となることになる)。
第1部のラストでロックの野望は絶たれますが、ロック自身がが滅んだわけではなく、第2部にも彼は登場します。ここでは、江戸時代に現れた化け猫(ウェコ)の逸話や、インドの山猫少年の話(正体は人間の姿になったウェコ)など、オムニバス形式のようなエピソードを挟んで、ウェコとロックの出会いやトッペイとウェコの出会いなどがあざ縄をなうように描かれます。ただし、前述の通り、残念ながら未完に終わっています。
気になるのは、ルリ子がロックも実は自分たちと同じバンパイヤではないかと言っていることで、おそらくそうなのでしょうが、それがどのような形で明かされるのかが未完のため分かりません。第2部に入って話を拡げ過ぎた印象もありますが、講談社版「手塚治虫漫画全集」刊行の際、最終回配本として、編集部側が「新宝島」の収録を主張したのに対し、作者は、書下ろしの話題作として「バンパイヤ」の完結編を加えることを主張したとのことなので、構想はあったのではないかと思われます(最終的には編集部に押し切られたという)。
個人的は、やはり、第1部の印象が非常に強く、手塚治虫氏がロックを追いかけてタクシーで東京から山口県の秋吉台に行くところなどは、はらはらしながらも、タクシー代どれくらいかかったのかなあと思いながら読んだ記憶があります。第2部は、話が入り組んでいて、しかも未完であるし、やや印象が薄いでしょうか。

テレビ版「バンパイヤ」('68年/フジテレビ、全26話)は、実写とアニメの合成作品で、バンパイヤの変身シーンや変身後の動物になった姿はアニメーションで描いています。トッペイ・チッペイ兄弟の兄トッペイを演じたのは水谷豊('52年生まれ)で、これが事実上のデビュー作であり、そのほかに、渡辺文雄や戸浦六宏といった俳優が出ていました。

ただ、原作には、ロックの同郷の馴染みで、ロックにとっては唯一無二の親友にして、唯一の頭が上がらない相手でもある西郷風介というキャラクターが出てきますが、テレビ版では割愛されています。ロックの人間的一面(それが彼自身の野望の実現には障害にもなるのだが)を示す重要な役回りだったのですが...。
秋田書店の「サンデーコミック」の表紙カバー見返しで、作者自身は、「バンパイヤは、わたしの恐怖三部作の第一作目にあたります」とし、「第一作を現代物、第二作を品を時代物、第三作を未来物に設定し、この第一作を今までの手塚マンガのカラーからぬけだす糸にしたいと思います」と述べています(因みに、第二作は時代物の「どろろ」で、第三作は直接該当する作は無いのではないかとされている。「手塚マンガのカラーからぬけだす」という意味では、岩根山ルリ子が狼に変身する場面は、手塚作品では初めて女性のヌードが描かれたものであるらしい(鳴海 丈『「萌え」の起源』('09年/PHP新書)))。また、シェイクスピアの「マクベス」が作品の骨組みであることを明かし、「マクベスに、バイタリティーにあふれた現代悪の権化を見る気がします」とも述べていて、それを仮託したのがロックこと間久部緑郎であると。作者はそれにしては第1部のラストが弱いとも自分で言っていますが、同時に、第2部でもロックは姿を見せることを予告しています。
こうして見ていくと、この作品のモチーフはメタモルフォーゼで主人公はトッペイですが、本当の主人公はロックなのかもしれません。彼が具現する「現代悪」は、時に魅力的であったりもします(西郷風介には頭が上がらないといった弱みも含め)。ロックは自分の利益のために他者を利用しますが、主要な登場キャラもまた、彼を頼りにしたり利用したりするわけで、そこが作者の描く「現代悪」の複雑な側面と思われます。テレビ版「バンパイヤ」では、バンパイヤたちが人間と早々に和解し、手を組んでロックと対決するというシンプルな勧善懲悪のストーリーに改変されていて、この辺りは、手塚作品の持つ「毒」を描き切れないテレビの限界でしょうか。まあ、テレビは児童向けなので仕方がないと思いますが、言い換えれば、原作には大人でも考えさせられる要素があるということかもしれません。
ソノシート(朝日ソノラマ) 林 光(1931-2012.1.5)


「バンパイヤ」●演出:山田健/菊地靖守●制作:疋島孝雄/西村幹雄●脚本:山浦弘靖/辻真先/藤波敏郎/久谷新/安藤豊弘/雪室俊一/中西隆三/宮下教雄/今村文人/三芳加也/石郷岡豪●音楽:司一郎/林光●原作:手塚治虫●出演:水谷豊/佐藤博/渡辺文雄/戸浦六
宏/山本善朗/左ト全/上田吉二郎/岩下浩/平松淑美/鳳里砂/嘉手納清美/桐生かおる/市川ふさえ/館敬介/中原茂男/原泉/日高ゆりえ/本間文子/手塚治虫●放映:1968/10~1969/03(全26回)●放送局:フジテレビ
嘉手納清美(岩根山ルリ子)/「バンパイヤ」テーマソング
原泉/日高ゆりえ/本間文子(三妖婆) 変身シーン
戸浦六宏(熱海教授)/渡辺文雄(森村記者)

【1968・1972年コミック本[秋田書店・サンデーコミックス(全3巻)]/1979年文庫化[講談社・手塚治虫漫画全集(全3巻)]/1988コミック本[秋田書店・サンデーコミックス(全4巻)]/1992年コミック本[秋田書店・手塚治虫傑作選集(全2巻)]/1995年再文庫化[秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka(全3巻)]/2010年再文庫化[講談社・手塚治虫文庫全集(全2巻)]】


挟み込みの解説によると、漫画家・手塚治虫が昭和28年から29年にか
けて正調絵物語として「銀河少年」を連載しており、同じようなモチーフで、漫画家と挿絵画家の仕事が入れ替わったようにも見えて興味深いです。ただし、「銀河少年」の方は、途中から「絵ものがたり」の看板を外してコマ割り漫画に移行してしまい、しかも前篇だけで連載終了、後篇は描かれませんでした(国書刊行会から復刻版が出されているほか、『手塚治虫漫画全集未収録作品集①-手塚治虫文庫全集194』('12年/講談社)でも読むことができる。途中で打ち切られ未完のため、「手塚治虫漫画全集」(全400巻)には収録されなかった)。解説でも触れられていますが、小松崎茂は「手塚治虫の絵物語時代」が到来するのではないかと心配していたかもしれません。
本書を呼んでも、コマ割りながらも絵は迫力があるものの、ストーリーはちょとどうかな(やや破綻気味?)と思う面もありますが、エディトリアルデザイナーのほうとうひろし氏は、手塚治虫のアトムのロボット漫画で快進撃中だった「少年」編集部から(手塚作品とバッティングしないように?)過剰な介入があったのではないかと推察しています。そのためか、小松崎茂自身も当時落ち込みが激しく、そこへ「あなたの絵と絵コンテが欲しい」と自宅に直談判に来たのがあの特撮監督の円谷英二で、この二人の思いが「
和田 誠 
メイドがノックして入った部屋で刺殺体を発見し、大声で叫ぶ。この場面が7回繰り返され、回ごとに「MURDER!」というそれぞれ違ったタイトルロゴの後、様々な探偵が登場し、独自の方法で犯人を突き止め、逮捕に至る(逮捕
されるのは常に同じ人物)。1人目は、ハンチングキャップ.を被りパイプを咥え、現場の遺留物や足跡など残された手掛かりの組み合わせから犯人を推理する探偵。2人目は、巻き口髭を生やし、肘掛椅子で葉巻を燻らせな
がら新聞記事を読み、創造力だけで事件を解決してみせる探偵。3人目は、ソフト帽を被って両手はいつもコートのポケットの中で、メイドへの質問を手始めに鉄道や船
を使って地道な聞き込みを行い、更にはバーに行って聞き込みをしてカクテルを飲んだり、飛行機に乗ったりして捜査を続け、犯人を見つける探偵。4人目からは、"探偵"という枠を超えた人物が登場し、トップハット
を被った19世紀風の男が刺殺体を調べていると、死体が突然目を見開いて吸血鬼となって甦るも、男はニンニクと十字架でこれを退散させるという
オカルト・ホラー調。5人目は、007(ジェームズ・ボンド)風で、映画でよく知られている銃口をモチーフしたオープニングのパロディあり、美女との出会いや危険なア
クションありで、事件を解決して最後は美女とベッドイン。6人目は、SF映画のパロディ風で、科学者風の男が登場し、コンピュータにデータを打
ち込んで犯人を割り出す。本当の犯人はどうやら人間の躰を借りた宇宙人だったらしく、犯人の首がパカッと開いて、そこから空飛ぶ円盤へと帰って行く。最後7人目は、アートシアター風で、冒頭のタイトル及び刺殺体発見場面から最後まで全編モノクロ。映画「去年マリエンバートで」のパロディになっていて、探偵かと思われた男は、最後犯人探しはどうでもよくなっていて、出会った女と共に闇に消えていく。このパートだけ、犯人逮捕の場面はなく、ラストは「END」ではなく「FIN」で終わる―。
1964年秋、草月会館ホールで行われた第1回「アニメーション・フェスティバル」で上映するため、主催の「
この「殺人 MURDER!」は9分という長さの軽く楽しめる作品ですが、'64年という制作年で、しかも、「アニメーション三人の会」からの依頼で作った自主制作映画であったにしては、質的レベルはかなり高いように思います。『

「去年マリエンバートで」は、脚本のアラン・ロブ=グリエ(1922-2008)自身の言によれば、黒澤明監督の「
「殺人 MURDER!」の1人目と2人目の探偵はシャーロック・ホームズとエルキュール・ポアロがモデルであるのがすぐに分かるけれど、3
人目は、前のエントリーで取り上げた『
なお、この第1回「アニメーション・フェスティバル」には、先に述べたように、主催者である久里洋二、柳原良平、真鍋博の作品のほかに横尾忠則や宇野亜喜良、さらには手塚治虫の作品なども出品されていますが、この和田誠の「殺人 MURDER!」以外では、真鍋博の「潜水艦カシオペア」、手塚治虫の「人魚」、横尾忠則の「アンソロジーNo.1」「KISS KISS KISS」などを観ました。真鍋博「潜水艦カシオペア」は、SF作家の都筑道夫が原作の"戦争が嫌いな潜水艦"を主人公に据えた寓話的短編で、米ソ冷戦の影響を受けつつも真鍋博らしいなあという印象(但し、ラストはアンハッピーエンド)。手塚治虫「人魚」は、空想を禁じられている架空の国が舞台で、ひとりの少年が助けた魚が人魚に変身してしまい、これはよからぬ空想の産物だとして少年は逮捕され、強制的に空想する力を奪い取られてゆくという管理社会の怖さとそこからの脱出を描いた作品。8分の短編にテリー・ギリアム監督のSF映画「
感じ。横尾忠則「アンソロジーNo.1」は、実験映画というよりは画像コラージュに近い作品。星、古城、太陽、木、鳥、女の顔、演奏、涙、指差す形、ピストル、決闘、死(死神、霊柩車、十字架)という風に、いくつかのイメージを集め、ポスターや本の表紙、自らが描いたイラストなどから切り取った静止画がほとんどで(一部動画もあり)、60年代という時代における"横尾忠則"を感じる作品とでもいうべきでした。これらの中ではやはり、和田誠の「殺人 MURDER!」と手塚治虫の「人魚」が頭一つ抜きん出ているでしょうか。更に言えば、和田誠が一番でした(何度観ても飽きない)。
「去年マリエンバートで」●原題:L'ANNEE DERNIERE A MARIENBAT●制作年:1961年●制作国:フランス・イタリア●監督:アラン・レネ●製作:ピエール・クーロー/レイモン・フロマン●脚本:アラン・ロブ=グリエ●撮影:サッシャ・ヴィエルニ●音楽:フランシス・セイリグ●時間:94分●出演:デルフィーヌ・セイリグ/ ジョルジュ・アルベルタッツィ(
ジョルジョ・アルベルタッツィ)/サッシャ・ピトエフ/(淑女たち)フランソワーズ・ベルタン/ルーチェ・ガルシア=ヴィレ/エレナ・コルネル/フランソワーズ・スピラ/カ
リン・トゥーシュ=ミトラー/(紳士たち)ピエール・バルボー/ヴィルヘルム・フォン・デーク/ジャン・ラニエ/ジェラール・ロラン/ダビデ・モンテムーリ/ジル・ケアン/ガブリエル・ヴェルナー/アルフレッド・ヒッチコック●日本公開:1964/05●配給:東和●最初に観た場所:カトル・ド・シネマ上映会(81-05-23)(評価★★★?)●併映:「アンダルシアの犬」(ルイス・ブニュエル)
アルフレッド・ヒッチコック(ホテルの廊下に立つ人)
「潜水艦カシオペア」●制作年:1964年●監督・製作:真鍋博●協力:都築道夫/杉山正美/富澤幸男/岡田三八雄/染谷博/村瀬信夫/大野松雄/植田俊郎/池田亜都敦夫/片岡邦男/矢野譲/山内雅人●原作:都築道夫●時間:5分●公開:1964/09●配給:草月アートセンター(自主制作)(評価:★★★☆)
「人魚」●制作年:1964年●原案・構成・演出・作画:手塚治虫●製作:富岡厚司(虫プロのプロデューサー)●原画:山本繁●動画:沼本清海●撮影:佐倉紀行●音楽:冨田勲(ドビュッシー「牧神の午後の前奏曲」より)●時間:8分●公開:1964/09●配給:草月アートセンター(自主制作)(評価:★★★★)

「アンソロジーNo.1」●制作年:1964年●監督・製作:横尾忠則●時間:7分●公開:1964/09●配給:草月アートセンター(自主制作)(評価:★★★☆) 
●森卓也(映画評論家)の推すアニメーションベスト10(『



空中都市008に引っ越してきた、ホシオくんとツキコちゃん。ここはいままで住んでいた街とはいろんなことがちがうみたい。アンドロイドのメイドさんがいたり、ふしぎなものがいっぱい......じつはこのお話、1968年に作者が想像した未来社会、21世紀の物語なのです。さあ、今と同じようで少しちがう、もうひとつの21世紀へ出かけてみましょう!(「青い鳥文庫」より)。
生の頃この作品の愛読者だったことを知って感激したとあります(オリジナルは入手困難だが、「青い鳥文庫」版も和田誠氏の挿画を完全収録しているのがありがたい)。
このように、この作品に出てくる様々な未来像は、21世紀になっている現在からみてもまだ先の「未来像」のままであるものが多くありますが、方向性として全然違っているというものは少ないように思われ、そこはさすが科学情報に精通していた作者ならではと思われます。子どもの頃に思い描いていたという意味で、「懐かしい未来図」という言葉を思い出してしまいますが、あの時の"未来図"が本当ならば今頃スゴイことになっている? (人々はエア・カーや動く歩道で移動しているとか...)。実際にはそれほど変っていないかなあ。但し、少しずつ実現出来ている部分も一部あるなあと思いました。
例えば、ホシオたちの家族が移り住んだ空中都市は、「50かいだてアパートの36かい」ということになっていますが、今ならそういうところに住んでいる人はいるなあと(但し、ホシオたちの場合は「可動キャビン」方式で家ごと引っ越してきたのだが)。


原作者の小松左京は「空中都市008」放送終了時の頃は、日本万国博覧会のサブ・テーマ委員、テーマ館サブ・プロデューサー(チーフ・プロデューサーは岡本太
郎)として1970年の日本万国博覧会開催の準備に追われており、放送終了を残念がる暇も無かったのではないでしょうか。『地球になった男』('71年/新潮文庫)などの短編集の刊行もあり、'73年には『日本沈没』(カッパ・ノベルズ)で日本推理作家協会賞を受賞するなどした一方で、テレビなどにもよく出ていましたが、この人、この頃が一番太っていて、すごくパワフルな印象がありました。
特に、'73年3月発売の『日本沈没』は驚くほどの売れ行きを示し、その年の年末までに上下巻累計で340万部が刊行され作者最大のベストセラーになり、社会現象化して映画にもなりました。映画「日本沈没」('73年/東宝)は、その年の12月に公開されており、黒澤明作品でチーフ助監督を務めた経験がある森谷司郎が監督、橋本忍が脚本
で、製作費5億円と当時としては大作でありながら製作期間は僅か4か月と短かったですが、約880万人の観客を動員し、16億4,000万円という'74年邦画配給収入第1位となるヒットを記録しました。この映画、原作よ
りメロドラマっ
ぽいという評価と、スペクタクルに重点が置かれていて良いという評価に分かれるようですが、何と比べるかでしょう(映画では小野
寺(藤岡弘)とヒロインの玲子(いしだあゆみ)がやけに簡単にくっついてしまう印象を受けた)。小松左京自身も小野寺の海底開発興業の同僚役でカメオ出演していたほか、原作『日本沈没』執筆時のブレーンとなった地球物理学者の竹内均(1910-2004)が、プレートテクトニクスを説明する科学者・竹内教授というそのままの設定でゲスト出演していました(後に「ニュートン」の記事の中で「迫真の演技である、として皆にからかわれた」と書いている)。


「空中都市008」は2010年にiPad専用のオーディオビジュアルノベルとしてApp Storeで配信され、作中の登場人物の台詞が声優によって読み上げられるほか、物語の進行に合わせたBGMが再生され、かつてのNHKの放送で番組主題歌を歌った中山千夏が初音ミクとコ
ラボして誕生したテーマソングや、小松左京のボイスコメントなども収録されているそうですが、「まさか本がこんなことになっちまうとは、私自身がSF作家のくせに思いもよりませんでした」とのコメントを寄せた小松左京は、その翌年2011年の7月に肺炎の





「空中都市008」は人形美術及び操作を糸あやつり人形の竹田人形座が担当しましたが、同じ竹田人形座による人形美術及び操作の担当でこれに先行するものにとして、NHKの日曜の17:45-18:00の15分の時間帯(後に木曜の18:00-18:25の25分の時間帯に変更)で、「銀河少年隊」(1963年4月-1965年4月、全92回)がありました(さらにその前に「宇宙船シリカ」(1960年9月-1962年3月、全227回)というのもあった)。「銀河少年隊」は人形芝居と
アニメーションを合成したもので、原作は手塚治虫(因みに「宇宙船シリカ」の原作は星新一)。太陽のエネルギーが急速に衰え、地球を含めた太陽系の惑星は極寒に襲われ、数年後には太陽系の全生物が死滅してしまうという危機を救うために、花島六平少年率いる銀河少年隊が活躍するというもの。アニメ部分は虫プロの作品を多く手がけてきた若林一郎が脚色をして、スケールの大きい物語となって
おり、金星人の美少女アーリアも登場、宇宙服や宇宙船の操縦席など小道具もよくできていたように思いますが、竹田喜之助(1923-1979)って相当な"凝り性"だった? 音楽は「空中都市008」と同じく「宇宙人ピピ」「銀河少年隊」も
![空中都市008 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E7%A9%BA%E4%B8%AD%E9%83%BD%E5%B8%82008%20%5BDVD%5D.jpg)


「日本沈没」●制作年:1973年●監督:森谷司郎●脚本:橋本忍●撮影:村井博/木村大作●音楽:佐藤勝●原作:
小林桂樹/丹波哲郎/藤岡弘/いしだあゆみ/滝田裕介/中丸忠雄/加藤和夫/村井国夫/夏八木勲/
高橋昌也/地井武男/鈴木瑞穂/神山繁/中条静夫/名古屋章/中村伸郎/二谷英明/島田正吾/(以下クレジットなし):小松左京/竹内均/田中友幸/中島春雄●公開:1973/12●配給:東宝(評価:★★★☆)




![西遊記 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E8%A5%BF%E9%81%8A%E8%A8%98%20%5BDVD%5D.jpg)


「フィルムは生きている」は、学研の「中学1年生コース」(1958(昭和33)年4月号~1959(昭和34)年3月号)、「中学2年生コース」(1959年4月号~1959年8月号)に連載されもので、これまでも単行本化されたり文庫に収められたりしていますが、本書では、連載第1回のカラーページ部分を再現し、各回の扉絵も収録され、その他に、作者自身が日本マンガ映画史を辿った「マンガ映画 メイドイン・ジャパン」なども巻末にあります。装丁・装画は和田誠氏で、和田氏も巻末に「手塚さんとの出会い」という小文を寄せています。
物語は、武蔵と小次郎の巌流島の決闘に懸けた「アニメ対決」へと向かっていきますが、一方で、後半に武蔵は視力低下に苦しむことになり、この辺りはベートーヴェンの後半の生涯に重ねた味付けになっています。
一方、「マンガ映画 メイドイン・ジャパン」の最後に、東映が「少年猿飛佐助(壇一雄作)」に続いて「西遊記(手塚治虫作)」を製作中であるとありますが、「手塚治虫作」と言いつつ、出来上がった「西遊記」('60年/東映)は、あくまでもそれまでの「
)にかけての流れの中にあるもので(監督・演出は何れも藪下泰司)、あまり手塚カラーというのが感じらないと言うか、逆にその分、時々「ここは手塚治虫だなあ」と思わせる部分があって、手塚的キャラクター及びその動きの描き方と、当時の東映アニメ調のキャラクター及びその動きの描き方とが全く異質であったことが窺えるものとなっています(但し、実際には手塚治虫は構成のみに関与し、作画には携わっていない)。
「西遊記」●制作年:1960年●監督:藪下泰司(演出)/手塚治虫(構成)●製作:大川博●脚本:植草圭之助/手塚治虫●撮影:大塚晴郷●音楽:服部良一●原作:手塚 治虫●時間:88分●声の出演:小宮山清/新道乃里子/木下秀雄/篠田節夫/関根信昭/武田国久/尾崎勝子/白坂道子/巌金四郎/加藤玉枝/川久保潔/風祭修一●公開:1960/08●配給:東映(評価:★★★) 
1959(昭和34)年から1962(昭和37)年まで雑誌「冒険王」('59年7月号~'62年7月号)に連載された手塚治虫の漫画作品で(テレビアニメ化の候補だったが実現しなかった)、作者はこれを自らが初めて描いた「悪魔的なスター」であるとしています。
ガロンはピックを求めて彷徨い、たまたま温泉旅行に行ったピック一行と初めて合流、浴衣を着て旅館内を歩くという愉快な場面もありますが(身長サイズは結構テキトーに拡縮している?)、一方でピックとはぐれて勝手に暴走することも結構多く、「鉄人28号」の前半部分の、リモコンが敵に渡ったり、正太郎の手に戻ってきたりすることが繰り返される状況と似ています。







んこ/R・U・R』('81年・53歳)、『プライム・ローズ』('82年・53歳)、『アドルフに告ぐ』('83年・54歳)、『牙人/アマゾンの匂い』('84年・56歳)、『ブッキラによろしく!/夜明けのデート』('85年・56歳)、『ミッドナイト/ブラック・ジャック登場』('86年・57歳)、『グリンゴ』('87年・58歳)、『ネオ・ファウスト』('88年・59歳)、『ルードウィヒ・B』('89年・60歳)となっています。









ジテレビ。TBSの「ウルトラマン」の少し前くらいに放送が始まった)でマモル少年を演じた江木俊夫('52年生まれ。3歳でデビューし黒澤明の「





矢子/二宮秀樹/吉田次昭/イーデス・ハンソン/三瀬滋子/黒丸良●放映:1966/07~1967/06(全52回)●放送局:フジテレビ



また、番組のエンディングテーマ「レオのうた」の作曲者は、後にシンセサイザー音楽作家として名を馳せる冨田勲(1932-2016)で、弘田三枝子(1947-2020)のパンチの効いた歌唱力により、アニメのエンディングテーマとしては人々の記憶に最も残るものの1つとなりました。弘田三枝子は、伊東ゆかりらと同様、少女時代から米軍キャンプで唄っていた経歴の持ち主で、このテーマを唄っている頃の彼女はややふっくら体型でしたが、自分で作ったカロリーブックをもとに、1日の食事を2000キロカロリー以内に抑えて半年間で17キロのダイエットに成功、1969年に「人形の家」がブレイクして第11回日本レコード大賞の歌唱賞を受賞し、1970年には『ミコのカロリーBOOK』を出版し150万部を超えるベストセラーになりました。
「ジャングル大帝」は、本書の手塚治虫自身の談によれば視聴率40%を超えたとのことで、その翌年に映画化され、主人公のレオが大人になってからの物語「新ジャングル大帝 進めレオ!」も引き続きテレビ放映されました。




「ジャングル大帝」(劇場版)●制作年:1966年●監督:山本暎一●脚本:辻真先●音楽:冨田勲●原作:手塚治虫●時間:75分●声の出演:太田淑子/明石一/勝田久/松尾佳子/田村錦人/緑川稔●公開:1966/07●配給:東宝(評価:★★★★)





父子家庭に育った中学1年生ヤケッパチこと焼野矢八(やけのやはち)は、自分が"妊娠"したような感覚に襲われ、ある日身体からエクトプラズム(生霊)を産む。そのエクトプラズムは、彼の父親の作ったダッチワイフに宿ってマリアと名付けられ、ヤケッパチと同じ学校に通うようになる。マリアは見かけは可愛い少女だが、性格は「産みの親」ヤケッパチ似のやんちゃだった―。
'70(昭和45)年4月から11月にかけて「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)に連載された作品で、作者自身は「性教育をテーマにした青春もの」としていますが、どこかの地方自治体では、この作品の連載を理由に「少年チャンピオン」を有害図書に指定したところもあったとのことです(この作品自体、永井豪の『ハレンチ学園』のヒ
ットなどの影響を受けているとされている)。カストリ誌をはじめ戦後のエロマンガを網羅した漫画評論家・米澤嘉博の未完の大著『戦後エロマンガ史』('10年/青林工藝社)では、1970年に手塚治虫が描いた〈性教育マンガ〉として「やけっぱちのマリア」と「アポロの歌」が挙がっていますが(p109)、ということは「エロマンガ」ではないとの認識ではないでしょうか。
ヤケッパチを巡って"ナンバーワン"はマリアと争い、"ナンバーワン"はマリアを「荷造り」して(元々はダッチワイフであるわけだ)網走の刑務所の死刑囚の下へ送ってしまった間、ヤケッパチを誘惑する―その際の中学生である"ナンバーワン"の全裸シーン、と言うより裸になって同級生を誘惑するという設定が、性教育としては"ゆきすぎ"であり、"有害"とされたようです(因みに、ナンバーワンの苗字は雪杉)。




当初、朝日ソノラマで単行本刊行され、その後に出たものは、大まかには大都社版、講談社全集版、秋田書店版の3種類があり、自分が持っている「大都社」版は「ジョーを訪ねた男」「夜の声」「野郎と断崖」「うろこが崎」「暗い窓の女」「わが谷は未知なりき」「嚢(ふくろ)」「処刑は3時に終わった」「バイパスの夜」「猫の血」「蛸の足」「聖女懐妊」「電話」「ロバンナよ」「ふたりは空気の底に」の15篇を収録しています。
「野郎と断崖」...フランス西海岸に「妄想の崖」と呼ばれる切り立った崖が
「ロバンナよ」...大学時代の悪友を南伊豆に訪ねた手塚治虫は、世間とのつきあいを断った友が、雌ロバを可愛がっていることを知る。その晩泊まった手塚は、友人の妻がロバを殺そうとするのを止
めるが、彼女が言うには、夫は動物の方が好きの変態だと。しかし友人は、自分の実験の失敗によって、妻とロバの心が入れ替わってしまったためだと言う― (ラストで両者の言い分の真偽を考えさせられる面白さ)。



東南アジアの独裁国パイパニアでは、人工受精によって人間を大量生産し、兵士に育てる計画が進んでいたが、そのパイパニアへ日本の自衛隊から義勇兵として送られた天下太平は、脱走して捕まり人工受精の研究の実験台にされてしまう。ところが、太平の精子は特殊なもので、彼の精子から生まれた子供は、男でも女でもない第三の性、働き蜂のような無性人間だった。戦争が終わると、医師・大伴黒主とイベント屋・木座神明は、無性人間を使って大儲けすることを企むが、やがて無性人間の中にも反逆する者が出始め、無性人間同士を戦わせる戦争ショーが行われる中、今まで奴隷や兵士として消耗されていた彼らが一斉に立ち上がる―。
オリジナルは1967(昭和42)年1月から翌年7月にかけて「週刊漫画サンデー」(実業之日本社)に連載されたアダルト向けの作品であり、手塚治虫が珍しくもエロチック・ナンセンスに挑んだ作品とされています。但し、エロチックと言っても手塚流のそれであり、いやらしさはありませんが、一応連載に際しては、小島功の筆致などは参考にはしたようです(自身の従来の筆致ではエロチックさに欠けると考えたのか? 雑誌連載時の筆致と単行本化の際のそれとではタッチが異なる)。
更に第3部として、各界の人々からのこの作品に対する論評、思い、漫画などが寄せられています。そのメンバーは、大林宣彦、中島梓、武宮惠子、横田順彌、石上三昇志、夏目房之介、山本貴嗣、米沢嘉博、村上和彦、みなもと太郎、中村桂子(生命誌研究者)など、錚々たるもの。更に、野口文雄氏が、手塚作品におけるセクシュアル表現を、様々な例を挙げて分析しています。
村上和彦氏は、ハッピーエンドがアンハッピーに書きかえられた原因として、連載中の'67年に、南アフリカバーナード博士による心臓移植手術があり、'68年には、札幌医大・和田教授により日本でも世界で30例目となる手術が行なわれたものの、その手術を受けた患者の多くが、拒絶反応や合併症で数十日から数百日で死亡し、和田教授の患者も死亡したことで、こうした生命医学のテクノロジーに懐疑的乃至ペシミスティクになったのではないかといった考察をしていますが、そうかも知れないし、そうで無いかも知れない―。



久呂岳と黒姫山には、それぞれアビルとテングという主がいて争いを続けてきたが、麓の村人たちは、そのとばっちりを受け、飢えと貧困に苦しんでいた。母親と別れ父親に死なれたタカ丸・ハト丸の兄弟は、その両山の狭間にある竜が渕の大蛇・立田姫を育ての親として成長するが、やがてタカ丸は出世を望んで村を出て都へ行き、一方のハト丸は、村に残って村の平和を守ろうとし、それぞれに数奇な人々と出会い、多くの妖怪たちと戦うことになる―。
'64(昭和39)年11月から'67(昭和42)年1月にかけて「サンケイ新聞」に連載された作品で、全集そのものが完結しなかった文民社の「手塚治虫全集」の第1巻に収録された作品ですが、作者の唯一の「民話絵物語」であるとのことです。その前に同紙に'61(昭和36)年から3年間連載していた『オズマ隊長』も「絵物語」作品ですが、これは近未来物語であり、民話的な
領主となって故郷の村を守ろうとするタカ丸と、自分たちの力で守ろうとするハト丸は、想いを同じくしながらも、その立場の違いから対決を余儀なくされてしまうようになります。様々な妖怪たちの戦い、妖怪と人間の戦い、そして人間同士の争いという縦軸に、育ての母の愛情、兄弟の反目と協力、彼らの人間的成長という横軸を絡ませたストーリーの巧みさは見事で、時に応じて兄弟の敵となり味方となる佐佐木大二郎という合理主義者のキャラクターも、物語に緊張をもたらす意味で効いているように思いました。



清水 勲(1939-2021)



そして、それ以前
の「変身するヒロイン」の系譜として、著者が造詣の深い女剣劇のスターに着目し、こちらは松山容子(60年代は「琴姫七変化」のイメージが強いが、70年代は"ボンカレー"のCMのイメージか...。今でも「元祖ボンカレー」という商品にそのキャラクターが使われている)、更には志穂美悦子などへと連なっていくとのこと。著者によれば、こうしたヒロインが愛されるのは、「日本人は性の垣根が低く、人間でないものとの境界もないに等しい」という背景があり、それが手塚作品の特異なヒロイン像にも繋がっているとしています。
尚、本書第1章で解説されいる手塚治虫以前のマンガの歴史は、本書にも名前の挙がっている漫画研究家・清水勲氏(帝京平成大学教授)の『四コマ漫画―北斎から「萌え」まで』('09年/岩波新書)に四コマ漫画の歴史が詳しく書かれています。清水氏の『四コマ漫画』によると、手塚治虫のメディア(新聞)デビューも、新聞の四コマ漫画であったことがわかります。

井譲二/手
塚茂夫/花村菊江/乗松ひろみ(扇ひろ子)/朝倉彩子●放映:1960/12~1962/12(全105回)●放送局:読売テレビ
「ボンカレー」(1984)(沖縄限定) 


新進作家・十村十枝子の芥川賞の授賞式の日、別の場所で臼場かげりという女が自殺するが、臼場かげりと十枝子はかつて一緒に暮らしていたことがあり、十枝子が受賞した小説は、臼場かげりが書こうとしていた作品の盗作だった。





手塚治虫の歴史物の中では最高傑作の1つではないかと思います。しっかりした時代考証の上に生き生きとした創作を織り込むところは、司馬遼太郎の初期作品などを想起させます。
主人公「伊武谷万二郎」はこの実在の人物をモデルにしたのではないかと思われます。「伊佐新次郎」という人は実際に熱血肌の人だったようです。お吉がハリスに仕えたのは僅かの期間ですが、その後の彼女の運命に大きな影響を与えました(個人的にはその辺りの経緯を、下田の観光バスガイドの話で初めて知った)。
尚、この作品は2000年4月から9月まで日本テレビ系で連続アニメドラマとして放送され(全25話)、第4回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門(テレビシリーズ・長編)で優秀賞を受賞していますが、午前1時近くから始まる深夜放映だったためで、どれだけの人の目に触れたか(全編を通して観たわけではないが、安易にストーリーをいじらず、ほぼ原作通りだったのではないか)。(2012年にNHK・BS時代劇「陽だまりの樹」として実写版が4月6日(金)から放送された(全12話)。配役は伊武谷万二郎が市原隼人、手塚良庵が成宮寛貴。)











マンガがサブカルチャーとして注目・評価されるずっと以前に、本作や『火の鳥』が既にカルチャー(教養)の側に入っていた時代があったことを思い出しましたが、個人的にはあえて、物語としてのエンタテインメント性を高く評価したいと思います。


'51(昭和26)年4月から1年間にわたり雑誌「少年」(光文社)に掲載された「アトム大使」(第15巻)が"アトム"の初出とされていますが、ただしこれはアトムが脇役の話で、アトムを主人公とした連載は、それに続く「気体人間」からスタートしています(因みに、「アトム誕生」(第1巻)は、このサンコミックス版刊行('75(昭和50)年)に合わせた書き下ろしで、アトムの初出から24年を経ている)。


漫画を読んで感じるのは、むしろある程度大人の方が、その辺りを割り切って見ることができる分、ロボットへの"人間的"なものの投射の仕方の旨さを味わえるのかも知れないと...(漫画自体や背後の世相に対する郷愁も大きいと思いますが)。
【1956年単行本(全3巻)・1958年全集(全8巻)・1964年コミックス版(全32巻)〔光文社〕/1968年全集〔小学館(全20巻)〕/1975年コミックス版(全21巻+別巻)・1978年愛蔵版(全3巻)・1980年カラー版(全12巻)〔朝日ソノラマ〕/1979年全集(全18巻+別巻2)・1987年B6版(全7巻)・1992年コミックス版(全15巻)[講談社]/1995年文庫化〔光文社文庫コミックシリーズ(全15巻)〕/1999年コミックス版(全21巻+別巻2)[秋田書店]/2002年文庫化〔講談社漫画文庫(全13巻)〕/2009年再文庫化[講談社(手塚治虫文庫全集BT)]】






医局を追われた桐人の逃避行を助ける「たづ」「麗花」など女性たちが犠牲的存在としてばかり描かれている点や、「万大人」「竜ケ浦」らが同じ病に罹るというややご都合主義的なストーリー展開などが気にならなくもありませんが、桐人の同僚「占部」の原罪的苦悩と贖罪や修道女「ヘレン・フリーズ」の献身などには、ドストエフスキー小説のような深みがあります。
波乱万丈の物語の背景に一貫して、医師会の会長選挙を巡る権力抗争の話があり、物語全体の骨格を成していますが、教授会と医師会の違いこそあれ、'66年映画「
【1972年コミック版[COMコミックス増刊(上・下)]/1974年コミックス版[大都社ハードコミックス(上・中・下)](1986年ハードコミックス改訂[大都社(上・下))]/1977年全集[講談社(全3巻)]/1989年叢書版(上・下)・2000年単行本(全5巻)・2003年単行本(上・中・下)[小学館]/1994年文庫化[小学館文庫(全3巻)]/2008年ビックコミックスペシャル改装版(全2巻)[小学館]/2010年再文庫化[講談社(手塚治虫文庫全集BT)]】





、'77年に歌手デビューしたばかりのホリプロの"新人"片平なぎさを売り出すためのプロモーション映画ともとれるものでした(「ブラック・ジャック」の実写版は加山雄三と本木雅弘がそれぞれブラック・ジャックを演じたものが知られているが、この作品でブラック・ジャックを演じたのは宍戸錠)。
映画チラシ/DVD「
劇場公開は1977年11月26日で、同時上映は「昌子・淳子・百恵 涙の卒業式〜出発(たびだち)〜」でしたが、僅か2週間で上映打ち切りになったとのこと。珍品というか、今では一種のカルトムービーのような評価になっているようです。原作と
の対比で見ると面白く、結構笑えます(原作の方がずっとマトモ)。3年後に鈴木清純監督の「
「瞳の中の訪問者」●制作年:1977年●監督:大林宣彦●製作:堀威夫/笹井英男●脚本:ジェームス三木●撮影:阪本善尚●音楽:宮崎尚志●原作:手塚治虫 「春一番(「ブラック・ジャック」)」●時間:100分●出演:片平
なぎさ/宍戸錠/山本伸吾/志穂美悦子/峰岸徹/和田浩治/月丘夢路(特別出演)/長門裕之(特別出演)/大林宣彦/(以下、友情出演)千葉真一/壇ふみ/藤田敏八●公開:1977/11●配給:ホリプロ=東宝(評価:★★★?)
大林宣彦(テニス審判)



「ブラック・ジャック」●演出:手塚眞●制作:諏訪道彦●音楽:松本晃彦●原作:手塚治虫●出演(声):大塚明夫/水谷優子/富田耕生/川瀬晶子/阪口大助/江川央生/渋谷茂/山田義晴/滝沢ロコ/渡辺美佐/小形満/後藤史彦/佐藤ゆうこ●放映:2004/10~2006/03(全63回)●放送局:読売テレビ
『






一方、先に劇場映画作品として公開された宮崎駿監督の「ルパン三世〜カリオストロの城」は、ヒロインのクラリス姫が特定のファンの間で非常に人気があるこ
のカッコ良さの方が個人的には印象に残ったかなあ。
「カリオストロの城」のモデルと言われる(諸説あり)リヒテンシュタイン城。ドイツの南西部の都市・シュトゥットガルトの郊外にあり、映画と同じく古代ローマ様式の水道橋がある。
第1シリーズ当初からのファンの中には、そのやや大人びた雰囲気が好きな層も多くいたようで、劇場版第1作「ルパン三世~ルパンVS複製人間」は、低年齢化したテレビ版の反動からか、クローン人間をテーマとしたSFチックな壮大なストーリーでした。怪人「マモー」(ブライアン・デ・パルマ監督の「
「海のトリトン」●演出:富野喜幸(富野由悠季)●制作:ア
ニメーション・スタッフルーム●脚本:辻真先/松岡清治/宮田雪/松元力/斧谷稔●音楽:鈴木宏昌●原作:手塚治虫「青いトリトン」●出演(声):塩谷翼/広川あけみ/北浜晴子/八奈見乗児/野田圭一/沢田敏子/杉山佳寿子/北川国彦/渡部猛/増岡弘/渡辺毅/塩見龍助/滝口順平/矢田耕司/中西妙子/柴田秀勝●放映:1972/04~09(全27回)●放送局:朝日放送

色:押井守●製作:多賀英典●演出:安濃高志●脚本:金春智子●撮影監督:若菜章夫●音楽:小林泉美・安西史孝・天野正道●原作:高橋留美子●時間:80分●声の出演:平野文/古川登志夫/島津冴子/神谷明●公開:1983/02●配給:東宝●最初に観た場所:大井ロマン(85-05-05)(評価:★★☆)●併映:「うる星やつら2」(押井守)/「うる星やつら3」(やまざきかずお)
「うる星やつら2/ ビューティフル・ドリーマー」●制作年:1984年●監督・脚本:押井守●製作:多賀英典●演出:西
村純二●撮影監督:若

子/田中真弓/藤岡琢也/千葉繁/村山明●公開:1984/02●配給:東宝●最初に観た場所:大井ロマン(85-05-05)(評価:★★★)●併映:「うる星やつら」(押井守)/「うる星やつら3」(やまざきかずお)
「うる星やつら3/リメンバー・マイ・ラブ」●制作年
「うる星やつら」(テレビアニメ版)●チーフディレクター:押井守(1話 - 129話)/やまざきかずお(130話 - 218話)●プロデューサー:布川ゆうじ/井上尭

「ルパン三世〜カリオストロの城」●制作年:1979年●監督:宮崎駿●製作:片山哲生●脚本:宮崎駿/山崎晴哉●作画監督:大塚康生●音楽:大野雄二 ●原作:モンキー・パンチ●時間:98分●声の出演:山田康雄(1932-1995)/島本須美/納谷悟朗(1929-2013)/小林清志/井上真樹夫/増山江威子/石田太郎/加藤正之/宮内幸平/寺島幹夫/山岡葉子/常泉忠通/平林尚三/松田重治/永井一郎/緑川稔/鎗田順吉/阪脩●公開:1979/12●配給:東宝 (評価:★★★☆)


「ルパン三世」(テレビアニメ版)●監督:(第1シリーズ)大隈正秋/(第3シリーズ)こだま兼嗣/鍋島修/亀垣一/奥脇雅晴ほか●プロデューサー:(第2シリーズ)高橋靖二(NTV)/高橋美光(TMS)/(第3シリーズ) 松元理人(東京ムービー新社)/佐野寿七(YTV)●音楽:山下毅雄/(第2シリーズ)大野雄二●原作:モンキー・パンチ●出演(声):山田康雄/小林清志/二階堂有希子/増山江威子/井上真樹夫/大塚周夫/納谷悟朗●放映:1971/10~1972/03(全23回)/1977/10~1980/10(全155回)/1984/03~1985/12(全50回)●放送局:読売テレビ(第1シリーズ)/日本テレビ(第2・第3シリーズ)




