【1742】 △ 手塚 治虫 『手塚治虫クロニクル 1968~1989 (2011/11 光文社新書) ★★★

「●まんが・アニメ」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●日本のTV番組」 【1845】 円谷プロダクション 『円谷プロ全怪獣図鑑 
「●光文社新書」の インデックッスへ 「●て 手塚 治虫」の インデックッスへ

各作品の初読、再読への契機になれば、ということか。

手塚治虫クロニクル2.jpg 『手塚治虫クロニクル 1968~1989 (光文社新書)手塚治虫クロニクル1.jpg 『手塚治虫クロニクル 1946~1967 (光文社新書)

 手塚治虫のデビューから22年間の間に発表された25作品の抜粋を収めた「1946~1967」年版の"上巻"に続き、その"下巻"に当たる「1968~1989」年版は、後半22年間に発表された23作品を、ほぼ年毎に1話ずつ掲載しています。

ブラック・ジャック.jpg空気の底 野郎と断崖.jpgきりひと讃歌 COM 上巻.jpg 収録作品は、『空気の底/野郎と断崖』('68年・40歳)、『火の鳥 鳳凰編』('69年・40歳)、『きりひと讃歌』('70年・41歳)、『ライオンブックス 百物語』('71年・42歳)、『ブッダ』('72年・43歳)、『ブラック・ジャック/アナフィラキシー』('73年・45歳)、『三つ目がとおる/めおと岩がくっついた』('74年・45歳)、『雨ふり小僧』('75年・46歳)、『ユニコ/ふるさとをたずねて』('76年・48歳)、『メタモルフォーゼ/聖なる広場の物語』('77年・48歳)、『未来人カオス』('78年・49歳)、『ドン・ドラキュラ陽だまりの樹001.jpg/なんちゅうかドラキュラ』('79年・50歳)、『鉄腕アトム/アトム対アトラスの巻』('80年・52歳)、『陽だまりの樹/腑分け』('80年・52歳)、『七色い野郎と断崖.jpgんこ/R・U・R』('81年・53歳)、『プライム・ローズ』('82年・53歳)、『アドルフに告ぐ』('83年・54歳)、『牙人/アマゾンの匂い』('84年・56歳)、『ブッキラによろしく!/夜明けのデート』('85年・56歳)、『ミッドナイト/ブラック・ジャック登場』('86年・57歳)、『グリンゴ』('87年・58歳)、『ネオ・ファウスト』('88年・59歳)、『ルードウィヒ・B』('89年・60歳)となっています。

 読み切りのものは、出来るだけ1話そのままを載せるよう配慮しているようで、冒頭に『空気の底』の「野郎と断崖」がきているのは渋いと言うか、嬉しいと言うか。但し、後半期になると取り上げるべき長編大作が多くなるので、その中でも1話完結のものはまだしも、『火の鳥』や『ネオ・ファウスト』のさわりだけ紹介されても...という感じはあります(中編で途中で話が切れるのも欲求不満になるけれど)。

「野郎と断崖」

 まあ、他の作品との時間的位置付けの確認という意味はあるかも知れませんが、結局、実際には、長編と短編を同時に描いたり、複数の長編を同時期に並行して連載したりしているわけです。『グリンゴ』、『ネオ・ファウスト』、『ルードウィヒ・B』の最後3作が未完ということは、長編を3作同時に連載していたということになり(スゴイね)、『ネオ・ファウスト』が"絶筆"ということになるようです。

 本書はどちらかと言うと("上巻"も含め)、手塚作品に久しぶりに触れてみたいけれど1作ずつ当たるのはちょっと...という人や、書店でふと目について懐かしさに駆られたという人に買われたのではないかな。

 若い人はどうなんだろうか。今、職業漫画とかややマニアックなものが全盛である一方、手塚作品のような大きな世界観を持った作品は少ない気がするけれど、そうした若い人を読者に引きこむ上では、本書の編集スタイル(悪く言えば、編集を半ば放棄したようなスタイル)はやや弱いかなという気もします。ただ個人的には、自分自身もこうして取り上げられた代表作の中にさえまだ読んでない作品は幾つもあり、それらの時間的位置付けを意識しながら(それが意識できるのが本書の良さか)、各作品に当たってみるのも、またいいかも知れないと思った次第です。

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1