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モノクロ線画で描かれている点に、正確な形状へのこだわりを感じる。一級品。
( 27.8 x 19.8 x 4.8 cm)『イラスト・アニマル―動物細密・生態画集』(1987/08 平凡社)
全534ページのかなり本格的な動物イラスト集(全てモノクロ)で、霊長類、哺乳類、鳥類、両生類・ハ虫類、魚類、さらには昆虫、甲殻類、軟体動物など、無脊椎動物も一部カバーしています。
本書で動物画を描いている画家は、青山晃ほか15名に及びますが、更に監修者の方はとなると、今泉吉典(動物図鑑監修の常連だったなあ)ほか50名近くになり、正確さを期すことにウェイトが置かれていることが窺えます。
量的な本格度もさることながら、「図鑑」ではなく「動物細密・生態画集」と謳っているように、全編モノクロで描かれていること(線画用の細い筆を使っていると思われる)が、却って正確な形状へのこだわりを感じさせます。
画家の方も、近似種との相違点や、生態の特徴などを意識して描いているように思われ、むしろ、これだけ精緻なイラストを、たった16人で描き分けていることの方が驚きかも。
本当に動物が好きな人、或いは、動物好きでそうした動物に関する知識を吸収中の子供などは、1ページ1ページめくって、自分の知識やイメージを確かめつつ、解説等を併せて読み、傍に親や友人、更には同好の士などがいれば、その生態を語り始める―といった感じになるでは。
実際に、図書館で借りて、最初の霊長類のところを開くや否や、アイアイの手が描かれているのを見た子供に、これで木の臍にいるアリを掻き出して捕食するとの講釈を、早速受けました。
「図鑑」ではなく「イラスト」、それもまさに第一級の「動物細密・生態画集」です。
ホントのところは購入したいのだけど、やや値段が張るのが難点でしょうか。改訂は難しいとしても、復刻しないかなあ。学術上の問題か何かあって、できないのかなあ(古書になっても価格は安くならないんだよね、このレベルの本は)。