「●人事マネジメント全般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1851】 八木 洋介/金井 壽宏 『戦略人事のビジョン』
「●新人・若手社員向け」の インデックッスへ
人事パーソンへの応援歌であり、人事パーソンのキャリア形成に関する示唆に富む。
『日本人事 NIPPON JINJI~人事のプロから働く人たちへ。時代を生き抜くメッセージ~
』(2011/08 労務行政)
財団法人労務行政研究所の創立80周年を記念して発行された本とのことで、多彩な業界で活躍している15人の人事パーソンやOB・OGへのインタビュー集という構成をとっています。以前にパイロット版をちらっと読んで、なかなか興味深い企画のように思いましたが、今回通して読んでみて、共感させられる部分が予想以上に多くありました。
インタビューの内容は、若い頃の苦労話、仕事での壁をいかに乗り越えたか、人事パーソンとしての信条や大切にしているもの、経営者や労働組合との関係構築方法など広範囲に及び、何れも示唆に富むエピソードやコメントを含んだもので、15人の話を一気に読んでしまいました。
「人事」の仕事に携わる人事パーソンというのは、今まではあくまでも裏方という位置づけであり、個人がその「姿」を見せることは少なかったと思いますが、本書では、それぞれがビジネスパーソンとしてのキャリアをどのように積んできたかが自身の言葉で述べられていて、小説を読むように興味深く読めます。
何れ錚々たる15人の顔ぶれですが、会社に入った時から人事をやるつもりだった人はおらず、社命等により人事に配属になった人が殆どであり、そうした中、"サラリーマン"という枠組みを超えて、どのように自分のやりたい仕事を発見し、自分を磨き、自己実現を図ってきたかが、体験的に語られています。
大企業だからといって人事施策や諸制度がオートマチックに企画立案、導入されていくわけではなく、そこには人事パーソン一人ひとりの、社員にやる気を持って仕事をしてもらいたいという思いが込められており、また、経営層・労働組合との信頼関係がその支えになっていることを改めて感じました。
登場する人事パーソンに共通していると思われた点は、人事部門にいながらも他部門への転出を希望するなど会社組織の現場を知りたいという意識の強い人や、人事のことだけを考えるだけでなく常に会社全体、世の中全体のことを考える志向を持った人が多いことです(人事=スペシャリストといった一般的なイメージとは随分異なる)。
そう思いながら読んでいたら、堀場製作所の野崎治子氏が、自身へのインタビューの中で、「現場目線に立ち、多方面へアンテナを張ることが大事」としっかり要約していました。
人事部門は社内でもエリートが集う部署という見られ方をすることが多いわけですが、ここに登場している人事パーソンは、その殆どが、入社以来ずっと順風満帆に陽の当たる道だけを歩んできたわけでなく、個々のキャリアの中では不遇の時代があったことが窺えます。そうした逆境を彼らが乗り越えることができたのは、それぞれが持つ強い意志と実行力の賜物であったと共に、メンターとなる経営者や上司との出会いが、そのキャリアの節目にあったことも見逃せないと思いました。
「人事」の役割は、個人の能力を最大限に引き出し"人を活かす"ことに外ならないと、あとがきの「発刊によせて」で、齋藤智文氏と共に本書の取材及執筆を務めた溝上憲文氏が書いています。
同僚をやる気にさせるにはどうすればよいか、部分最適に陥らず経営の方向性を見据えた全体最適を見据え、社員を一つのベクトルに導いていくにはどうすればよいのか、といったことについて、随所に経験に裏打ちされた提言が見られ、一般のビジネスパーソンや会社経営者が読んでも啓発されるものは多分にあるかと思われます(いわんや人事パーソンをや)。
溝上憲文氏は、「人事部に元気がないと言われて久しい」とも書いていますが、個人的にもそれは感じられ、金融不況による緊縮財政、相次ぐM&Aなどによる先行き不透明な状況下で、非常に優秀なはずの人材が、極々短期的な視点でしか制度の改革にあたっていなかったりするのを見ることもあります。
その制度改革すら課題山積で、やる気はある(或いは、やる必要は感じている)ものの、どこから手をつけていいのか分からず、途方に暮れているという状況も、少なからずあるかと思われます。
本書は「人事」への応援メッセージが多分に込められているとともに、本が売れるとすれば、やはり「人事」はやや元気喪失気味なのかとも思ったりします。ただ、そうした中でも、次代のリーダーたらんという人は少なからずいるでしょう。あとがきで齋藤智文氏が書いているように、そうした人にとって「リーダーシップ発揮のためのよりどころ」となる本ではないかと思いました。








昨年('11年)10月に56歳で亡くなったスティーブ・ジョブズの軌跡を追った本ですが、彼の人生のターニングポイントとなった幾つものシークエンスにおけるジョブズを撮った、余白スペース無しの大判の写真が充実していて、ジョブズの様々な発言と組み合わせたレイアウトも美しく、ジョブズの言葉の力強さを引きたてています。





こうした、ますます複雑化・多様化する社会や企業において、多くの人や組織が直面している「孤立」や「セクショナリズム」といった問題に解決するには、「個々の知を結集させ、皆で立ち向かう仕組み」が求められ、個人や個々の組織が独力で乗り越えられない壁に直面した時は、従来の「(チーム内)チームワーク」という概念を超えて、あらゆる知恵を総動員する必要があるのではないか、一人ひとりがコミュニティに貢献し、全員が力を合わせる時代が今ではないか―というのが、著者の主張です。 




こうした「最高の」とか「たったひとつの」のとかをタイトルに冠した最近の本は、中身を読んでも、その「最高」や「たったひとつの」が当たり前過ぎてしょうも無かったり、或いは沢山のことを取り上げ過ぎていて結局は何が「たったひとつ」なのかよく分からなかったりすることが多いのですが、少し以前('06年)に刊行された本書は、至極まともなマネジャー論、リーダーシップ論であり、啓蒙書です。
ケーススタディとして挙げている、「ウォルグリーン」(Walgreens、米国最大のドラッグストア・チェーン)で、販売員として最高成績を収めている店員の話が大変面白い。この店員はインド人の女性で、昼間コンピュータの専門学校に通いながら、夜間零時過ぎから朝まで働いていて、要するに夜間パートなのですが、その彼女がどうして多くの店員の中でトップの成績を収めることができたのか、そこに、上司である日系人店長の、彼女の能力を最大限に引き出し、それを業績に結び付ける創意と工夫があることが分かり、優れたマネジャーは「部下一人ひとりの個性」に注目し、その個性が活かせるように、彼らの役割や責任の方を作り変えるとしています(これを「チェスをする」という表現をしている)。
一方、優れたリーダーは、今どこに向かっているのかを明確にすることで、皆が抱く未来への不安を取り除くとしていて、ここでは、2002年に起きたペンシルバニア州ケイクリーク鉱山事故で、坑内に閉じ込められた作業員らの生きる望みを繋いだ男性のケーススタディが出てきますが('10年のチリの鉱山で落盤事故で33人が奇跡の生還を遂げた出来事を彷彿させる)、これも凄く説得力があります。

さらに、世阿弥の「守破離」の教えを引いて、サラリーマンの成長ステップを、最初は師に決められた通りのことを忠実に守る「守」のステージ、次に師の教えに自分なりの応用を加える「破」のステージ、そしてオリジナルなものを創造する「離」のステージに分け、この「守」→「破」→「離」の順番を守らない人は成長できないとしています(「守」が若手時代、「破」が中間管理職、「離」が経営側もしくは独立、というイメージのようです)。
その冒頭に挙っているのが、勝間和代氏の『断る力』('09年/文春新書)で、これを機に勝間氏の本を初めて読みましたが(実はこのヒト、以前、自分と同じマンションの住人だった)、確かに書いてあるある、「断ること」をしないことが、私達の生産性向上を阻害してストレスをためるのだと書いてある。「断る」、すなわち、自分の考え方の軸で評価し選択することを恐れ、周りに同調している間は、「コモディティ(汎用品)を抜け出せないと。

因みに、「ファインディング・ニモ」('03年)の制作の際に、ピクサーの美術部門のメンバーは、クジラの中にニモが呑みこまれるシーンを描くために、海岸に打ち上げられたクジラの死体を見に出かけたとのこと、ピクサーのデザイナー達は、アニメの映像世界の細部にジョブズ以上のこだわりを持っていたわけです。
更に、ジョブズとビル・ゲイツの間の様々な交渉についても、ジョブズが犯した過ちを鋭く検証していて、いかにジョブズが失ったものが大きかったかということが理解でき、Windowsのユーザーインターフェイスがその典型ですが、ある意味オリジナルはMacであり、普通ならばマイクロソフトではなくアップルがコンピュータ産業の覇者となり、ジョブズが世界一の億万長者の地位にいてもおかしくなかったことを示唆しているのも頷けました。
「ファインディング・ニモ」●原題:FINDING NEMO●制作年:2003年●制作国:アメリカ●監督:アンドリュー・スタントン/リー・アンクリッチ●製作:グラハム・ウォルターズ(製作総指揮:ジョン・ラセター)●脚本:アンドリュー・スタントン/ボブ・ピーターソン/デヴィッド・レイノルズ● 音楽:トーマス・ニューマン/ロビー・ウィリアムズ●時間:100分●出演:アルバート・ブルックス/エレン・デジェネレス/アレクサンダー・グールド/ウィレム・デフォー/オースティン・ペンドルトン/ブラッド・ギャレット/アリソン・ジャニー●日本公開:2003/12●配

渋谷東急 2003年7月12日、同年6月の渋谷東急文化会館の閉館に伴い、直営映画館(「渋谷パンテオン」「渋谷東急」「渋谷東急2」「渋谷東急3」)の代替館として渋谷クロスタワー2Fにオープン。2013年5月23日閉館。



個人的には、ちょうどNHKスペシャルで「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ」('11年12月24日放送)を見たところでしたが、それと照らしても、偏りの少ない伝記と言えるのではないでしょうか。元々が毀誉褒貶の激しいジョブズですが、そのスゴイ面、人を強烈に引きつける面と、ヒドイ面、友人や上司にはしたくないなあと思わせる面の両方が書かれていて、それでいて、ジョブズに対する畏敬と愛着が感じられました。
アップルの共同創業者や自らが引き抜いた経営陣との確執のほかに、同年代のライバルであるビル・ゲイツとの出会いや彼との交渉、Windowsの牙城を切り崩そうするジョブズの攻勢なども描かれていますが、ピクサーでの仕事におけるディズニー・アイズナー会長との様々な権利を巡るビジネス面での交渉が特に詳しく描かれており、アメリカのコンピュータ業界の内幕を描いた本であると同時に、映画ビジネス界を内側から描いたドキュメントにもなっています。
NHKスペシャルの「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ」を見て、彼の人生には幾つかの印象的な場面が印象的な映像と共にあったように思われ、とりわけ、'84年のマッキントッシュ発売の際のジョージ・オーエルの『1984』をモチーフとしたコマーシャル(CM監督は「ブレードランナー」('82年)のリドリー・スコット)や、'86年のCGの可能性を如実に示した"電気ランプ"の親子が主人公の短篇映画「ルクソーJr.」(Luxo Jr.)、'95年の「世界初のフル3DCGによる長編アニメーション映画「トイ・ストーリー」などが個人的には脳裡に残りました。
「トイ・ストーリー」以外は番組で初めて見ましたが、そうした映像のイメージもあって本書を比較的身近に感じながら読むことができ、「トイ・ストーリー」も、初めて観た時はCGが進化したなあと思っただけでしたが、ジョブズが買収も含め個人資産を10数年も注ぎこむも全く利益を生まなかったピクサーが、土壇場で放った"大逆転ホームラン"だったと思うと、また違った感慨も湧きます(この作品だけでも公開までの4年間の投資額は5千万ドルに及び、「こんなに金がかかるなら投資しなかった」とジョブズは語っているが、本作のヒットでピクサー株は高騰し、結果的にジョブスの資産は4億ドル増えた)。
人々を惹き付ける素晴らしいプレゼンテーションをする一方で、傲慢な人柄で平気で人を傷つけ、また、類まれなイノベーターとして製品のデザインや性能への完璧主義的なこだわりを持つ一方で、相手の弱みに付け込む政治的画策も厭わない冷酷な経営者という一面も持つ―こうしたジョブズの多面性が、本書では充分に描かれているように思いました。
「トイ・ストーリー」●原題:TOY STORY●制作年:1995年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ラセター●製作:ラルフ・グッジェンハイム/ボニー・アーノルドズ●脚本:ジョス・ウィードン/アンドリュー・スタントン/ジョエル・コーエン/アレック・ソコロウ●撮影:スティーヴン・H・ブラム●音楽:ランディ・ニューマン●時間:81分●出演:トム・ハンクス/ティム・アレン/ドン・リックルズ/ジョン・モリス/ウォーレス・ショーン/ジョン・ラッツェンバーガー/ジム・バーニー●日本公開:1996/03●配給/ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン(評価★★★☆)



本書の前半部においては、「リーダーであるかどうかは生まれつきの資質による」というリーダーシップに関する従来の「誤解」を解くとともに、優れたリーダーが組織を導くための戦略として、












髙谷知佐子 氏(弁護士)
表記が分かり易いばかりでなく、テーマを絞っているために通読可能なボリュームでもあり、忙しい職場管理者にもお薦めですが、社会保険労務士、人事コンサルタントにもお薦めです。


大丸の「先義後理」など享保年間(18世紀初頭)に遡るものから。楽天の「スピード!! スピード!! スピード!!」など近年のものまであり(因みに、ライブドアには社訓が無かったそうな)、また、シャープ、松下電器(現パナソニック)、ホンダなどになると、創業者の立志伝の紹介みたいになってきますが、それらはそれで、自分が知らなかったことなどもあって面白く読めました。













裏表紙に「本書は、中小企業経営者のためだけに徹底的に解説しています。社員の皆様は、ご遠慮ください」と書かれているのも、良く言えばターゲットを明確にしているということなのかも知れませんが(書店に並ぶわけだから、穿った見方をすれば、労働者側も第2のターゲットにした戦術なのかもしれないが)、「売らんかな」的な姿勢が先行するあまり、法律の隙をついたテクニカルな解説に終始し、労使協調や従業員のモチベーションということが軽んじられているような印象を受けました。







日本経団連版も労務行政版も価格的には安くはありませんが、きちんと利用すれば元は取れると思われ、個人的には、とにかく多くの企業事例を見たいのであれば日本経団連版がいいのかもしれませんが、労務行政版でも人事考課制度の傾向は掴むことが出来、実際に企業内の実務担当者やコンサルタントが人事考課制度の設計や考課者研修をする際には、労務行政版の方が参考になるのではないかと思います。