【1674】 △ 大谷 和利 『iPodをつくった男―スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』 (2008/01 アスキー新書) ★★☆

「●ビジネス一般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1185】 海部 美知 『パラダイス鎖国
「●スティーブ・ジョブズ」の インデックッスへ

スラスラ読める分、物足りない。パソコン雑誌の記事文章みたい。

IPodをつくった男  スティーブ・ジョブズ.jpgiPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス (アスキー新書 048)

 スティーブ・ジョブズという人物のアウトライン、アップル社の経営方針、アップル製品のデザイン戦略、キャッチコピーから見たアップル社、ジョブズの犯した誤りとそこからの軌道修正など、盛りだくさんな内容で、それでいて全体で190ページしかなく、しかもスラスラ読める本でしたが、それだけに色々物足りない点もありました。

スティーブ・ジョブズ 偶像復活.jpg Amazon,comのレビューで、ジェフリー・ヤング、ウィリアム・サイモン著『スティーブ・ジョブズ―偶像復活』(′05年/東洋経済新報社)を薄めて新書にしたようなもの、という評がありましたが、著者自身が翻訳したアラン・デウッチマン著『スティーブ・ジョブズの再臨』('01年/毎日コミュニケーションズ)を主に参照しているようで、'90年代のことに関する記述が多いのに対し、今世紀に入ってからの記述が少ない点がまず物足りません。

 アスキー新書で、著者はテクノロジージャーナリストということで、テクノロジーの面での記述に期待したのですが、記述が広い範囲に及ぶ分、それぞれの中身はやや浅く、ジョブズのプレゼンとビル・ゲイツのプレゼンの違いを写真入りで解説するならば、Mac等の製品デザインについての記述の部分にも写真を入れるなどの気遣いが欲しかったように思います。

 本文がパソコン雑誌の記事文章のようで、その味気無さを補うかのように、章ごとにジョブズ語録を挟んでいますが、やはり全体として内容そのものが、新書という制約もあり、かなり"薄い"ものとなってしまった感じがしました。

 ジョブズの歩んできた道を把握する上でも、本書サブタイトルにある「現場介入型ビジネス」というキーワードを掘り下げる上でも、やはり、『スティーブ・ジョブズ―偶像復活』などを読んだ方がよさそう(ジョブズの「現場介入」主義を全面肯定しているのもやや気になる。映画「トイ・ストーリー」は、ジョブズがエド・キャットムルらに権限委譲したから誕生したのでは)。

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1