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あくまでも、初めてマーケティングを学ぶ人向け。ストーリー的にはしょぼい。
『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる (青春新書PLAYBOOKS)』
ベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(2009/12 ダイヤモンド社)のマーケティング版のような本です。
但し、著者が以前書いた『ドリルを売るには穴を売れ!』(2006/12 青春出版社)をリニューアルしたもので、元本も、新人OLが会社傘下のイタリアン・レストランの経営を立て直すというストーリー自体は同じであり、今回は、中身よりも主にタイトルと装丁を変えた"新装バージョン"とのことのようです。
そうした意味では、『もしドラ』を真似したわけではなく、むしろこちらの方がこの手の本では元祖とも言えるし、元本は元本で、分りやすいマーケティング入門書として定評があるようです。
確かに、読んでみて分り易かった。ストーリーがあるために分り易いというよりも、基本にある理論構成が、「ベネフィット」「ターゲット」「強み・差別化」「4P」という4つに集約されていて分り易いのです。
但し、そこから先が、元本よりも中身もやや柔らかくなっているせいか、ホントに入門レベルで留まっている感じもしました。
広告代理店の新人研修レベル、までも行かないか。あくまでも、初めてマーケティングを学ぶ人向けと考えれば、この程度でもいいのかも知れませんが、ストーリー部分は、理論よりもむしろ啓蒙という感じでしょうか。
思えば、こうした物語風の入門書は、本書や『もしドラ』に限らず今までもあったのでしょうが、『もしドラ』は、野球部という企業経営とは異なる舞台で、ドラッカーの理論を敷衍的に活かすというストーリー構成の旨さがあったし、まあ、ドラッカー・ブームに乗ったということも相俟って、あれほど売れたのだろうなあ。
一方、こちらは、直接的にレストラン経営というビジネスの場を扱っているため、「敷衍」の幅が小さいというか、むしろ、あまりストーリーに拘泥されずに、各章の纏めの部分を何度か読めば、体系的なことは理解できてしまう...。
ストーリー部分も、9人でやる野球と数人のプロジェクトという人数の違いもあってか、それほど深みがなく、登場人物の人物造形も浅いように思えました。
単独で入門書としてみればそう悪くもないですが、『もしドラ』を意識してリニューアルしたことは明らかで、テーマも「マネジメント」と「マーケティング」という違いがあり、ついついストーリー部分を比べてしまいました。
改めて、『もしドラ』のストーリー展開の旨さ(ヤングアダルト小説の典型パターンの1つともとれるが)を認識しました(自分は、両方とも"テキスト"としてよりも"小説"として読んだということか?)