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巷の評価が高かった割には、個人的には相性がイマイチだった2冊。



『破壊と創造の人事』['11年]『「働くこと」を企業と大人にたずねたい ―これから社会へ出る人のための仕事の物語
』['11年]
『破壊と創造の人事』('11年/ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、帯には守島基博・一橋大学教授推薦とあり、Amazon.comでレビューでは高い評価で、『労政時報』のアンケートでも、人事パーソンが推薦する本に入っていました。
第1章で「日本の人事」の歴史を辿り、バブル崩壊以降、2度の転換期を経ていることを指摘していて、このあたりはまあまあ導入部としてはよく纏まっていたように思います。第2章は、第1章の状況を踏まえ、これからの人事が、戦略人事として成果を上げるにはどうすればよいかを「教育・人材開発」「コーポレイトユニバーシティ」「採用」「グローバル化」「グループ人事」「メンタルヘルス」といったキーワードに沿って考察したとのことですが、この部分もキーワードとして挙げたテーマを巡る問題の解説としてはよく纏まっていたと思いますし、個人的には、「人材データベース」の節などは"我が意を得たり"という感じでした。
それでいよいよ本論かと思ったら、第3章として、グローバル人材、経済、コーチング等いろいろな分野で活躍する第一人者へのインタビューが挿入され、第4章でやっと本論に、という感じ。ところが、この第4章の実際の中身は、人事担当者が現在おかれている位置と今後のキャリア形成について概観的に20ページぐらい述べられているだけで、その後すぐ、第5章として、著者が2年間で大企業を1000社以上廻って取材したという人事部長や人事部の各担当者のインタビューからの抜粋があり、これでお終わり。
インタビュー集にするならインタビュー集で1冊に纏めた方が良かったような気もしますが、1000社以上廻った中から選んだという割には、インタビューの内容にもムラがあり、"玉石混交"感が。インタビューのテーマがあっちこっち飛ぶのも困りますが、そもそも、本論がどこにあるのか分からないような変則的な構成の本だったように思われました。
『「働くこと」を企業と大人にたずねたい ―これから社会へ出る人のための仕事の物語』('11年/東洋経済新報社)は、これから就職しようとする人や若い人々に向けて、働くとはどんなことか、良き企業人とは、良き社会とはについて、さまざまな角度より論じた本で、著者は、企業の人事担当として、30年間のべ1万人にわたる人事・採用面接に立ち会ってきたとのことですが、まず、あまりこうした数字を誇示しない方がいいと思うなあ。著者の会社はしっかり面接していたのかもしれないけれど、世の中には、いい加減な面接で数だけは何万とこなしている採用担当者もいるかも知れないし。
本の中身自体は、書いている人はすごく真面目そうだなあという感じがしましたが、あまりに"考え中"のことが多いような気がして、そもそも、コンサルタントでも評論家でもなく、現役の人事マンなのだから、あまり結論めいたことばかり言うのも変なのですが(その意味では自分に正直な人なのだろう)、しかしながら、"考え中"のことを"考え中"のまま書いているような気がしなくもありませんでした。
冒頭の小説風の文章などはその典型で、そのモヤっとした感じが全体にも敷衍されていて、図説にもその傾向がみられたように思います。部分部分においてはそれなりの示唆を得られた箇所もありましたが、チャート図的に矢印で関連づけられていてその部分の解説が無かったりすると、どうしても引っ掛かってしまいました。
読む人が読むと嵌るのでしょうが(自分が読者として未熟なだけかも)、全体に「思考ノート」みたいで、本にするのはちょっと早かったのではないかなあ。ただ、こちらもAmazon.comでレビューでは高い評価であり、玄田有史・東大教授の解説も付されています。









濱口桂一郎 氏(労働政策研究・研修機構)



NHKスペシャルの「シリーズ日本新生」の先月['12年1月]21日放送分で、「危機の時代のリーダー」をテーマとして取り上げ、この日本という国の難局を打開できるリーダーを生むためには何が必要なのかという議論がされていました。番組のおおまかな落とし処が、強いリーダーの出現を受け身的に待つのではなく、一人ひとりが先ず自ら"小さなリーダー"となるべく一歩を踏み出そう的な感じで、これは、東日本大震災で被災住民の支援にあたるNPOボランティアの印象などがある程度影響しているのではないかと。
主演者の面々に、姜尚中、田坂広志、古賀茂明の各氏らがいて、途中、日本の官僚と政治家の関係の問題が話題になったりし、現在の一律的な教育の問題も若干扱っていましたが、ややモヤっとした感じの議論の展開。デーブ・スペクター氏が受験教育の弊害にストレートに言及すると、それはその場で言っても詮無いことと思われたのか(パネリストの中に若手官僚などもいたせいか)、司会者には無視されたような...。

Mac製品の写真が、内容的にも点数的にも充実していて、それらが綺麗に配置されており、全体的にみても、ジョブズ自身の写真も充実しているばかりでなく、編集デザイン的にも美しい構成。更には記事も充実していて、「MAC LIFE」の執筆・編集・デザイン陣の総力結集という感じでしょうか。





