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「疲れるなあ...」「読む人を選ぶ本」というレビューも"もむべなるかな"。
『自分のことは話すな 仕事と人間関係を劇的によくする技術 (幻冬舎新書) 』['19年]
巷の「話し方」の本には一番大切なことが抜けていて、それは、会話では「自分のこと」ではなく「相手のこと」を話すということであり、自分の話をやめるだけで、仕事も人間関係も俄然よくなるというのが、本書の趣旨です。
読む前は、人との会話における、ある種カウンセリングマインドに基づく技法を紹介した本かと思いましたが、読んでみて、かなり印象が変わったかも。サブタイトルに「仕事と人間関係を劇的によくする」とあり、結局、自らの仕事を成功させるというのが目的意識としてかなり前面に出ている内容でした。
もちろん一般論として参考になった部分もありましたが、「雑談をなくせば利益が生まれる」「軽い謝罪なら、しないほうがよい」といったところにそうした割り切ったな姿勢を感じるし、「『雑談』をうまく切り上げる方法」なんていうのも、効果的かどうかはケースバイケースで、ビジネスシーンではともかく、ビジネス以外の場ではむしろ逆効果のように思いました。
著者の肩書をみると、イメージコンサルタントということで(それ自体は何だかよく分からないが)、研修や講演活動を行う一方、化粧品、ファッションアイテムを扱うブランドをお立ち上げ、会社を経営しているとのことで、道理で全体のトーンがビジネスライクなのだなあと。
だから、人間関係をよくすると言っても、それはある意味ビジネス上の手段であり、「自分のことは話さない」といつつもそれはある種"戦術"であって、最終的にはビジネスで自分を売り込むことが、この本の目指すところになっているのではないでしょうか。
この本のタイトルに惹かれて本書を手にした人のすべてが、必ずしもそうしたスタンスであるとは言えないため、読んでみて合う人と合わない人が出てくるのは必至でしょう。Amazon,com のレビューに、「疲れるなあ...」「読む人を選ぶ本」といった感想があったのも"もむべなるかな"といったところでした。