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「●スティーブ・ジョブズ」の インデックッスへ
コンパクトに纏まっている。アップル社およびジョブズについて知る上で手頃な本。
『アップルの法則 (青春新書インテリジェンス)』['08年] スティーブ・ジョブスによるスタンフォード大学卒業式辞
昨年('11年)10月にスティーブ・ジョブズが亡くなってから、ジョブズ関連本の刊行が相次ぎ、また結構売れているようですが、バタバタと急いで書かれた本よりは、ちょっと以前に書かれた本の方が良かったりもし、本書もその一つ。'08年の刊行であり、'07年のiPhone発表までをカバーしています。
iMac、iPod、iPhoneとヒット製品を出し続けるアップル社がどのような会社で、どのように発想し、どのように製品を作ってきたのかが、アップルの誕生から凋落、そして奇跡の復活を遂げるまでのストーリーと併せてコンパクトに纏められています。
著者はアップルを長年追いかけてきたITジャーナリストで、新書本は初めてとのことですが、一般向けに分かり易く書かれていて、既にアップルをよく知っている人が読むとあまり目新しい情報は無いかもしれませんが、今までアップル製品にあまり縁が無かったが、iPodやiPhoneを使い始めてから初めてアップル社やその製品に関心を持つようになったといった人には、アップル社を知る上で手頃な本かも。
同じ年の1月に刊行された同著者の『スティーブ・ジョブズ―偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡』('08年/アスキー)が、ジョブズを撮った写真中心だったの対し(殆ど写真集?)、企画としては先行していたというこちらの方は、文章が中心であるため、相補関係にあつとも言えます。
アップル社の歴史を追うということは、とりもなおさずスティーブ・ジョブズの歩んできた道を追うということになるとの思いを改めて抱かされ、ジョブズが亡くなってからジョブズという人物に関心を持ち始めた人にとって、ジョブズ自身の歩んできた道や、その製品戦略を知る上でも手頃な入門書と言えるかと思います(製品解説の部分、とりわけデザインについての部分は、もっと写真があった方が良かった)。
著者は、アップル流のビジネスのやり方は、「日本の企業で、今すぐにそのまま実践しようとしても、なかなかうまくはいかないことも多いだろう」が、「アップルから今すぐ学んで取り入れることができることもある」と書いていますが、それは日本の企業に限らず言えることでしょう(ジョブズ亡き後、この会社がどうなるのか)。
最後の方でジョブズが′05年にスタンフォード大学で行った、あの「ハングリーであれ、バカであれ」という言葉で締めくくられた有名なスピーチの内容が紹介されており、スタンフォード大学のWebサイトで「(英語の)文章として読むことができる」と補足されていますが、今はYouTube で日本語字幕付きで見ることができ、ちらっと見るつもりが、結局最後まで見てしまう―そんな味わい深い内容でした。