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メンタルヘルスに関する実務的知識を整理・点検、ブラッシュアップする上でお薦め。
川村 孝 氏(京都大学名誉教授)
『職場のメンタルヘルス・マネジメント ――産業医が教える考え方と実践 (ちくま新書 1714) 』['23年]
ベテラン産業医による本書は、精神医学の最新の知見をもとに、職場のメンタルヘルス問題にどう対応したらよいか、その予防も含め、実務から考え方まで、管理職や人事担当者が押さえておくべきポイントを解説しています。
第Ⅰ部では、第1章で、会社側には安全配慮義務があり、労働者側には自己保健義務あることを確認した上で、第2章で、上司が部下に対して普段からどのように接するべきか、「笑顔で接する」「話をよく聞く」など8つのポイントを掲げています。この部分は、部下を持つ人が自身を振り返ってみるのにもよいかと思います。
第3章では、著者の経験から得られた健康的な仕事術として、「とりあえず手をつける」「残業は朝やる」など7つのコツを紹介し、第4章では、就業管理に関する会社側への提案として、勤務形態に多様性を持たせることや役職を任期制すること、さらには、課長補佐をケア要員にするといったことなども提言しています。
第Ⅱ部では、人間の心理特性について解説しています。第5章で、メランコリー親和型、神経発達症(いわゆる発達障害)、自閉症、注意欠如性などについて解説し、職場におけるそうした人への対応策を述べています。また、親の養育などによって生じるパーソナリティの歪みとその類型や、それによる周囲との軋轢から本人が病んでしまう「パーソナリティ症」について紹介し、どう対処すべきかを説いています。
第6章では、抑鬱、躁、妄想、不安、不眠、ストレスなど、職場で見られるさまざまな精神症状について述べ、第7章では、不眠症や自律神経失調症、適応障害といった診断名からそれらを解説していますが、そうした診断名はあくまでも便宜的に用いられるにすぎないとも述べています。
第Ⅲ部では、職場の制度としてどのようなものがあるか解説しています。第8章では、休職とは何か、復職の申請やその際の産業医との復職面談、試し出勤、リワーク・プログラムなどについて解説しており、いずれも人事担当者が押さえておきたい事項です。第9章では、労働安全衛生推進のために法律はどうなっているか、最近言われる「健康経営」とは何か、などについて解説しています。
第10章では、一般健康診断、特殊健康診断、ストレスチェック、長時間労働対応など、企業が行う健康管理の実務について解説し、最終第11章では、産業医の特性とスタンス、その職務などについて述べています。
第Ⅰ部では、上司が部下に対して普段からの接し方を通してケアを提供することの重要性が説かれていました。第Ⅱ部では、メンタルヘルス・マネジメント上、人事担当者が知っておきたい精神医学的な知識・知見が解説されており、第Ⅲ部では、職場におけるメンタルヘルス・マネジメントの実務について述べられていたように思います。
上司とそれを支える人事担当者の両方を読者層として想定し、さらには、職場のメンタルヘルス問題に対応するためには医学と法律の知識が欠かせないという著者の考え方に沿った構成となっていました。精神医学の最近のトレンドも反映しており、メンタルヘルスに関する実務的知識を整理・点検、ブラッシュアップする上でお薦めです。
《読書MEMO》
●著者プロフィール
川村孝(かわむら・たかし)/1954年岐阜県生まれ。名古屋大学医学部卒業。社会保険中京病院、日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院、静岡済生会総合病院で内科診療に従事した後、愛知県総合保健センターで健診・健康増進業務に携わる。1993年より名古屋大学医学部予防医学教室助教授、1999年より京都大学保健管理センター所長・教授。現在、京都大学名誉教授。

本書は、スタンフォード大学ビジネススクール教授で、『
『





岩波 明 氏(医学博士・精神保健指定医)
















真野 俊樹 氏(NTV系「世界一受けたい授業」)
入門書でありながら、所々で著者の"持ち味"が出るのが面白かったですが、






(●2011年、佐々部清(1958-2020/62歳没)監督により宮﨑あおい、堺雅人主演で映画化された。タイトルは同じ「ツレがうつになりまして。」だが、原作は「その後のツレがうつになりまして。」「イグアナの嫁」からもエピソードをとっている。宮﨑あおい、堺雅人とも、TV版の藤原紀香、原田泰造より演技は上手い。宮﨑あおいはNHK大河ドラマ「篤姫」('08年)で主人公の篤姫を演じており(放送開始時の年齢22歳1か月は、大河ドラマ
の主演としては歴代最年少)、堺雅人はTBS「
「ツレがうつになりまして。」●制作年:2011年●監督:佐々部清●脚本:青島武●撮影:浜田毅●音楽:加羽沢美濃(主題歌:矢沢洋子「アマノジャク」)●時間:121分●出演:宮﨑あおい/堺雅人/吹越満/津田寛治/犬塚弘/田村三郎/中野裕太/梅沢富美男/田山涼成/吉田羊/大杉漣/余貴美子●公開:2011/10●配給:東映●最初に観た場所:丸の内TOEI1(11-11-03)(評価:★★★☆)
余貴美子/大杉漣(ハルさん(宮﨑あおい)の実家・栗田家(栗田理髪店)の両親)










元・気象キャスターの倉嶋厚氏も「うつ」に罹患経験者の1人として紹介されていますが、発症したのが妻が癌で亡くなった73歳の時で、この人のように伴侶の死が発症の契機となることも、やはり多いのかも(倉嶋氏のうつ病の発症と闘病の記録は、自著『やまない雨はない―妻の死、うつ病、それから...』('02年/文藝春秋)に詳しい)。
キャスト
それぞれの章に著者が付けたタイトルは、






35歳のときにうつ病を発症したという人が書いたビジネスマン(ビジネスパーソン)のためのメンタルケアについての本で、自分がうつ病になっているだけに、うつにならないようにするにはどうすれば良いか、それ以上悪化させないようにするにはそうすればよいか、治った後に再発を防ぐにはどうすれば良いかが、ビジネスマンの視点に立って具体的に書かれています。

同著者の、同じ日経文庫の『メンタルヘルス入門』と同時刊行で、『メンタルヘルス入門』では、マネジャーや人事労務担当者による"組織で取り組むストレスマネジメント"を扱っていますが、本書では、勤労者に向けて、個人が"自らのストレスをマネジメントできるようにするにはどうすればよいか"という観点で書かれていて、産業カウンセラーとの共同執筆になっています。
'06年に安全衛生法が改正されて、過重労働者に対する面接指導が一部義務化されるなど、メンタルヘルスに関する施策が一段と強化されました。



本書刊行は'98年で、その頃「過労死」という言葉はすでに定着していましたが、「過労自殺」という言葉はまだ一般には浸透しておらず、本書は「過労自殺」というものに注目が集まる契機となった本と言ってもいいのではないかと思います。

笠原 嘉(よみし) 氏(略歴下記)
著者は、大学生の「スチューデン・アパシー」現象について書かれた海外の論文を見つけたことから、これらが大学紛争の際の一時的現象ではなく、その後も続いている現象であると考え、これを「退却神経症」という新しいタイプのノイローゼと位置づけて、うつ病やパーソナリティ障害との比較をしています。
ITエンジニアがとりつかれやすい30の疾患を解説し、症例と対応策を述べています。その中にはITエンてんかん、VDT症候群、ドライアイ、手根管症候群など特にITエンジニアが罹りやすい病気もありますが、頭痛、慢性疲労症候群、自律神経失調症、社会不安障害(対人恐怖症)、うつ病、適応障害、インターネット依存症、過敏性大腸症候群、ディスペプシア(胃のもたれ)、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞など、ITエンジニアに限らず働く人のすべてが「心の病」が昂進して発症するおそれがあるものが多く含まれていることがわかります。
小杉氏は本書で、本当のうつ病(内因性うつ病)は人口の0.3%に過ぎず、今ビジネスの世界で起きているのは「心因性うつ状態」と「適応障害」であるとし、「心因性うつ状態」は死別体験や社会的立場の危機などで生じるが、「適応障害」は特定の人物や状況に遭遇した時だけ生じると言っています。
小杉正太郎 氏 (心理学者/略歴下記)
川上 真史 氏 (ワトソン・ワイアット)

米国で、虚血性心疾患の患者に共通する行動様式として発見され、カウンセリングの本などにも出てくる言葉ですが、本書では擬人化された動物のイラスト入りでたいへん分かりやすく紹介されていて、思わず笑いそうになりながら、かつ参考になりました。