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細部に"?"はあるが、もっと注目されていい"隠れた傑作"。


「コンドル [DVD]」「コンドル [Blu-ray]
」/輸入盤「THREE DAYS OF THE CONDOR
」
「コンドル 3 DAYS OF THE CONDOR [レンタル落ち]」

ニューヨークにあるアメリカ文学史協会は、CIAの外郭団体として世界各国の雑誌書籍の情報分析を行っている。協会職員は学者肌のCIA分析官で構成されていた。ある日の白昼、アメリカ文学史協会は短機関銃で武装した男3人により襲撃さ
れ、協会職員は次々と射殺される。たまたま裏口から外出していたために命拾いをしたコードネーム"コンドル"ことジョセフ・ターナー(ロバート・レッドフォード)は、CIA本部に緊急連絡し保護を求める。CIA次官
のヒギンズ(クリフ・ロバートソン)からの指示で第17課長のウィクスという男に落ち合うことになったが、
そのウィクスに銃撃を受ける。辛くも逃走したが、孤立状態となったコンドルは、偶然見かけた女性写真家キャサリン・ヘイル(フェイ・ダナウェイ)を拉致同然に巻き込み、独力で真相を暴こうとする。CIAの暗部に近づこうとするコンドルに謎の殺し屋ジュベール(マックス・フォン・シドー)が忍び寄る―。(「Wikipedia」より)
1975年製作のシドニー・ポラック(1934-2008)監督作であり、同監督がロバート・レッドフォードを主役に据えて映画を撮ったのは「大いなる勇者」('72年)、「追憶」('73年)以来3度目で、この作品以降も、「出逢い」('79年)、「愛と哀しみの果て」('85年)と続くので、相性が良かったのでしょうか。レッドフォードの共演女優は「追憶」がバーブラ・ストライサンド、この「コンドル」がフェイ・ダナウェイ、「出逢い」がジェーン・フォンダ、「愛と哀しみの果て」がメリル・ストリープだから、錚々たる顔ぶれです。

この「コンドル」の原作はジェイムズ・グレイディの『コンドルの六日間(Six Days of the Condor)』('75年/新潮社)で、映画の原題は"Three Days of the Condor"(3日分圧縮した?)。原作は米国ではベストセラーとなったポリティカル・サスペンスノベルで、日本での映画公開とほぼ同時期に訳出されていますが、個人的には未読です。小説での各人物像と映画で描かれた人物像はかなり異なり、各人の結末も原作と映画で違うようですが、原作を読んでいないためか却ってすんなり楽しめました。
『コンドルの六日間 (1975年)』
Three Days of the Condor (1975)
ニューヨークの地味なビルに入っている表向きは「アメリカ文学史協会」という地味な組織が実はCIAの下部組織で、職員は世界中の推理小説やコミックスを読み漁り、そこに隠された敵対勢力の謀略、暗号の意味を解読する仕事を日夜行っているというのが面白いです(今日であればそうした仕事はコンピュータやAIが肩代わりして、フィクションであっても成り立たないような職業のようにも思えるが、そのレトロ感がいい)。
ある日突然仕事仲間を全員を殺害された"コンドル"は、何が何だか分からないまま得体の知れない巨大な敵から逃れながら、孤独な闘いを強いられますが、その際に、CIA職員であるとは言え、凄腕の諜報部員でも何でもない単なる本の虫に過ぎない彼が、仕事で培った本から得た知識や戦略を駆使して自らを守り、逆襲に出るというわけです。

ネタバレにまりますが、結局CIAの中に中東に戦争を仕掛けたがっている派閥、いわば〈もう1つのCIA〉があって、その連中が黒幕です(湾岸戦争やイラク戦争のことを想うと、ある意味"先駆的"な設定とも言え、こうした映画を作るところがいい意味でアメリカ的でもある)。最後"コンドル"は絶体絶命の危機に陥りますが、そこには思わぬ展開が待っていました。

更にネタバレになりますが、マックス・フォン・シドー演じる殺し屋は、結局、〈もう1つのCIA〉と〈本来のCIA〉の両方から雇われたわけなのだなあと。そんなことあり得るかとも思ったりしましたが、敵の目を眩ますために理屈上はあり得るのかも。マックス・フォン・シドーが映画を通してずっと不気味だったのに、最後は急にいい人っぽい感じになって、このギャップが可笑しかったですが、殺し屋が今までターゲットとして狙っていた人間にいきなりスカウトの声掛けをするかなあ(これも原作通りなのか、それともこの辺りは映画でのある種"お遊び"なのか)。
もっと注目されていい"隠れた傑作"だとは思いますが、やや気になったのは、いくらダウンタウンの犯罪多発地域だとは言え、敵方が協会職員を全員殺害したのは、ちょっと乱暴と言うか、リスクがありすぎるように思いました(彼らにだって家族や友人はいるわけで、事件を完全に揉み消すのは何れの立場の側にとっても難しいのでは。強盗のせいにするにしても、押し入った先が「アメリカ文学史協会」では...)。
フェイ・ダナウェイは珍しく受身的な役回りで、マックス・フォン・シドーの方が記憶に残っていましたが、久しぶりに観直してみると演技達者であることには変わりありませんでした。但し、あくまでも主演はレッドフォードで、フェイ・ダナウェイはやはり一歩引いたポジショニングでした。先に挙げたシドニー・ポラック監督によるロバート・レッドフォードと女優たちの共演作で、主演女優の方がレッドフォードより前面に出ているのは、「追憶」のバーブラ・ストライサンドと「愛と哀しみの果て」のメリル・ストリープでしょうか。いかにもという感じもしますが、ジェーン・フォンダについてはシドニー・ポラック監督は別に彼女を主役に据えた「ひとりぼっちの青春」('69年/米)を撮っていて、これは傑作です。
Sydney Pollack's 'Three Days of the Condor'
「コンドル」●原題:THREE DAYS OF THE CONDOR●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ポラック●製作:スタンリー・シュナイダー●脚本:ロレンツォ・センプル・ジュニア/デヴィッド・レイフィール●撮影:オーウェン・ロイズマン●音楽:デイヴ・グルーシン●原作:ジェームズ・グラディ「コンドルの六日間」●時間:118分●出演:ロバート・レッドフォード/フェイ・ダナウェイ/クリフ・ロバートソン/マックス・フォン・シドー/マイケル・ケーン/アディソン・パウエル/ウォルター・マッギン/ジョン・ハウスマン/ティナ・チェン/ドン・マクヘンリー/ヘレン・ステンボーグ/ハンスフォード・ロウ/ジェス・オスナ/ハンク・ギャレット/カーリン・グリン●日本公開:1975/11●配給:東宝東和●最初に観た場所:池袋文芸坐(78-05-04)(評価★★★★)●併映「合衆国最後の日」(ロバート・アルドリッチ)



ハンサムで裕福な実業家でありながら、実は裏の顔を持つクラウン(スティーヴ・マックィーン)。彼は、満ち足りた生活では得られないスリルを求めて銀行強盗を計画、ボストンの自社ビル前の銀行を5人の男に襲わせて見事に成功、260万ドルの現金を手中にする。事件後、ボストン市警も手がかりを掴めずお手上げとなる中、マローン警部補(ポール・バーク)とともに捜査していた銀行の保険会社
の調査員ビッキー・アンダーソン(フェイ・ダナウェイ)はクラウンに目をつけ、彼が黒幕であることを確信する。彼女は正体を暴こうとクラウンに近づくが、徐々に彼の大胆不敵な姿に心惹かれてしまう。こうして2人のスリリングで奇妙な関係が始まる―。
監督のノーマン・ジュイソンは前作「夜の大捜査線」('67年)でアカデミー作品賞を受賞、主演のスティーヴ・マックイーンも前作「砲艦サンパブロ」('66年)でアカデミー主演男優賞候補にノミネート、フェイ・ダナウェイも前年「俺たちに明日はない」('67年)でやはりアカデミー主演女優賞にノミネートされているなど、当時脂が乗り切っていたメンバー構成。但し、クラウン役はショーン・コネリーにオファーされたのが、彼がそれを断ったためにスティーヴ・マックイーンに回ってきたものだったとか。
世界的に有名な大実業家が、何の苦労もないのにただスリルだけのために銀行襲撃を指揮し、しかも捕まらないという贅沢極まりないお話で、最初観た時はこんなのアリ?という気もしましたが、スティーヴ・マックィーンが亡くなってからテレビで観て、これ、スティーヴ・マックィーンのファンには彼のカッコよさを堪能するには格好の作品だなあと(撮影前は「スーツを着たマックィーンなんて見たくない」との声もあったというが、公開後にはそうした声は殆ど聞かれなくなったという)。また、ラブストーリーとしても楽しめる作品ではないかと思うようになりました。
最近劇場で改めて観直して、導入部のマルチスクリーンもいいし、フェイ・ダナウェイもいいし(色香際立つチェス・シーン!)、「シェルブールの雨傘」('64年)の
ミシェル・ルグランによる音楽もいいなあと(テーマ曲「風のささやき」(唄: ノエル・ハリソン)はアカデミー主題歌賞受賞)。主人公は、グライダーで優雅に空を翔け、バギーで浜を走らせ、ゴルフをし、ボロをしとスポーティですが、フランスの街並み風のカットがあったりして、何となくヨーロッパ的な感じがしなくもなく、フェイ・ダナウェイのファッションも楽しめて、全体としてはたいへんお洒落な作りになっていると言っていいのではないでしょうか。
こうしたストレートな娯楽映画が観る度に良いと思えるようになるのは、「目が肥えた」と言うよりも年齢がいったせいかもしれませんが、やはりスティーヴ・マックィーンとフェイ・ダナウェイという2人のスター俳優に支えられている部分は大きいのだろうと思います。ラスト、空を飛ぶスティーヴ・マックィーンと地を行くフェイ・ダナウェイという対比で捉えると、男と女の生き方の違いを描いた映画とも言えるかもしれません。意外と深いかも...。1999年には、この作品を愛するピアース・ブロスナンの製作・主演で同名(邦題は「トーマス・クラウン・アフェアー」)のリメイク版も制作されていて、フェイ・ダナウェイも客演していますが、ラストを少し変えていたように思います(終わり方としてはオリジナルの方がいい)。


「華麗なる賭け」●原題:THE THOMAS CROWN AFFAIR●制作年:1968年●制作国:アメリカ●監督:ノーマン・ジュイソン●製作:ノーマン・ジュイソン●脚本:アラン・R・トラストマン●撮影:ハスケル・ウェクスラー●音楽:ミシェル・ルグラン●時間:102分●出演:スティーヴ・マックィーン/フェイ・ダナウェイ/ポール・バーク/ジャック・ウェストン/ヤフェット・コットー/トッド・マーティン/サム・メルビル/アディソン・ポウエル●日本公開:1968/06●配給:ユナイテッド・アーチス●最初に観た場所:池袋・文芸坐(80-07-16)●2回目:北千住・シネマブルースタジオ(15-03-24)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「ブリット」(ピーター・イェイツ)
ノーマン・ジュイソン


偶然に女優のジェーン・ウィルキンソン(フェイ・ダナウェイ)と知り合ったポワロ(ピーター・ユスティノフ)は、彼女から離婚に応じない夫エッジウェア卿を説得して欲しいと頼まれる。ポワロはエッジウェア卿に会うが、卿からは半年も前に承諾の手紙を書いたことを聞かされ訝しがる。そしてその晩、エッジウェア卿は何者かに殺害され、現場ではジェーンの姿が目撃されたのだが、彼女には確かなアリバイがあり、どうやらそれは彼女そっくりの物真似タレント、カーロッタ(フェイ・ダナウェイが二役)だったらしい。しかし今度はそのカーロッタまで不自然な死を遂げる。エッジウェア卿の娘をはじめ、卿の死を望みそうな人間は多くいるが、その誰もにアリバイがあった―。
映画「
そうした中、興味深いのは、お馴染みジャップ警部を、'89年からTⅤ版「名探偵ポアロ」でポワロを演じることになるデビッド・スーシェが演じている点で、ピーター・ユスティノフ演じるポワロに常に先行される役どころを彼が演じているというのが、なかなか面白かったです。
「名探偵ポワロ/エッジウェア卿殺人事件」●原題:THIRTEEN AT DINNER●制作年:1985年●制作国:アメリカ●本国放映:1985/09/19●監督:ルー・アントニオ●脚本:ロッド・ブラウニングス●原作:アガサ・クリスティ●時間:95分●出演:ピーター・ユスティノフ/デヴィッド・スーシェ/フェイ・ダナウェイ/ジョナサン・セシル/リー・ホースリー/ビル・ナイ/ダイアン・キートン●ビデオ発売:1990/11 (ビクターエンタテインメント)(評価:★★★☆)


最盛期に28%の視聴率を誇ったUBSのビール(ピーター・フィンチ)のイブニング・ニュースも今や12%とに低落、これが引金となり、ジェンセン(ネッド・ビーティ)率いるCCAがUBSを買収し傘下に収め、CCAより新社長が就任、報道部長マックス(
ウィリアム・ホールデン)はビールに番組降板を通告する。翌日、ビールは本番中に自分が辞めさせられる事を暴き、さらに自殺予告までするが、そのことで視聴率は27%に上がる。野心家のダイアナ(フェイ・ダナウェイ)は、ビールを現代の偽善と戦う予言者とし「再売り出し」し、雨の日の本番中にスタジオに闖入したビールの社会不満を告発する言動が大ヒットするなどして、「ビール・ショー」の視聴率は48%に。ダイアナのアイデアはエスカレートし、過激
派グループと契約して、ビールを絡めた衝撃シリーズを展開、これも成功し、彼女とマックスの社内での地位は逆転するが、過激化するビールが、親会社CCAを番組内で非難し始めたことで危機に陥る。ジェンセンはビールに強制暗示的に言動変更を迫り、感化されたビールは番組内でジェンセンの理論を滔々とぶつが視聴率は低下、ダイアナはジェンセンのロボットとなったビールを番組から降ろすために、上層部のハケット(ロバート・デュヴァル)らを説得して、ついにビールの暗殺を決定させ、テレビ局の走狗と化した過激派をスタジオの観客に紛れ込ませ、ビールを銃撃させる―。
シドニー・ルメット(1924-2011/享年86)監督作品。最初観たときは、こんなのありっこないという荒唐無稽さを覚えましたが興業的には成功し、風刺劇としての世間評価も高かった作品であり(シドニー・ルメットはこの映画は風刺劇ではなくテレビ業界の内実を暴露したルポルタージュであると言った)、アカデミー賞においても主演男優賞(ピーター・フィンチ)、主演女優賞(フェイ・ダナウェイ)、など4部門獲得しました(ノミネート直後に心不全で急死したピーター・フィンチは、アカデミー賞史上初の「死後の主演男優賞受賞者」となった)。
ウィリアム・ホールデン演じるマックスがダイアナとの関係をなかなか断ち切れないのは、ある種"保護者"感覚ではないかなあ。彼女、傍に誰かいないとどうなるか分からないという...。それでもって、自分の妻(ベアトリス・ストレイト)に別居を切り出すというのも、言われた方の妻の心境は察するに余りありますが、ベアトリス・ストレイトはこのヘビイな
状況に置かれた妻の哀しみを好演して、僅か5分間の登場でアカデミー賞の助演女優賞を獲っています。助演男優賞候補となったネッド・ビーティがもし受賞していれば(ネッド・ビーティがピーター・フィンチを緑色のシェードのライトが並んだ部屋で洗脳するシーンもスゴかったが)、アカデミー史上初の主演男優・主演女優・助演男優・助演女優の演技4賞独占となるところでしたが、「欲望という名の電車」('51年)に次ぐ史上2度目の演技賞3冠にとどまりました(因みに「欲望という名の電車」の時はマーロン・ブランドが主演男優賞を逃した)。
ダイアナの無茶苦茶な提案に躊躇するものの、最終的にはそれを是認してしまうテレビ局の上層部―というのは、経営陣が企業倫理を逸脱する際のパターンを描いており("殺人"まで認めてしまうというところが戯画的だが)、そもそもダイアナは、こんな"素晴らしいアイデア"になぜ上層部がすぐに同意を示さないかが解らず、逡巡する経営陣の様を見てきょとんとしている―この時のフェィ・ダナウェイの演技は絶妙です。
熾烈な視聴率競争を繰り広げるTV業界の中で「壊れていく」人々を描いた作品ですが、ピーター・フィンチ演じるニュースキャスターは「壊れている」と言うよりも「狂っている」のであって、「壊れている」という言葉が相応しいのはむしろフェィ・ダナウェイ演じるダイアナではないかなと思いました。最後はウィリアム・ホールデン演じるマックスも彼女を見切った感じですが、ダイアナの行く末がどうなったかまでは描かれていません。個人的には、再見して、この作品の主人公はダイアナではなかったかと思っただけに気になりました。
![ネットワーク [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%20%5BDVD%5D.jpg)
/ジョーダン・チャーニー/コンチャータ・フェレル/レイン・スミス/マーリーン・ウォーフィールド●日本公開:1977/01●配給:ユナイト映画●最初に観た場所:池袋・文芸坐(78-12-13)(評価:★★★★)●併映:「カプリコン・1」(ピーター・ハイアムズ)



60年代アメリカン・ニューシネマの代表的な作品と言えば、'67年の「俺たちに明日はない」「

名画座で初めて観た時には、既に公開から10年を経ており、それまでにリヴァイバル上映もされていて、おおよその展開を知ってはいましたが、それでも「死のバレエ」と言われるラスト・シーンを観た際の衝撃は大きく、併映の「真夜中のカーボーイ」(これもいい作品)を観終わった後で、また最初から見直しました(その後も何度かリヴァイバル・ロードショーなどで観た)。
デヴィッド・ニューマンとロバート・ベントンの脚本に共感したウォーレン・ベイティが製作者として関わっていますが、当初は製作に専念する予定だったそうで、一方、彼の姉であるシャーリー・マクレーンが強くボニーの役を願っていたのが、ウォーレン・ベイティがクライド役に決定したためマクレーンは役から降り(脚本の原案では、クライドはバイセクシャルとして扱われていて、これが映画化が難航する原因となったが、映画化のために改変された脚本でもクライドの"不能"がモチーフとして使われているため、何れにせよ、実姉であるマクレーンは降りざるを得なかった)、その結果フェイ・ダナウェイに白羽の矢が立ったとのこと。フェイ・ダナウェイはこの作品で一躍知名度を上げました。
ジョージ・ロイ・ヒル(George Roy Hill、1922 -2002)監督の「明日に向って撃て!」(Butch Cassidy and the Sundance Kid)も思い出深い作品であり、「俺たちに明日はない」の約半年前に観たため、自分の中ではある意味、"ニューシネマ"というとこちらの作品になるという面もあります。
「俺たちに明日はない」と同様に実在の人物をベースとしたギャング・ストーリーであり、アメリカン・ニューシネマに特徴的な悲劇的結末を迎えますが、多分この作品で最も印象に残るのは、バート・バカラックの「雨にぬれても」が流れる中、ポール・ニューマン(Paul Newman、1925 - 2008)がキャサリン・ロスを自転車に乗せて走るシーンではないかと思われ、イメージとしては「俺たちに明日はない」より明るいというか、ソフィストケートされて
いる印象を受けます。
しかも、いきなりロバート・レッドフォードに白羽の矢が立ったわけではなく、最初はマーロン・ブランド(Marlon Brando、1924-2004)がポール・ニューマンの共演者としてサンダンス役をやることになっていたのが、キング牧師の暗殺事件にショックを受けた(本当に?)マーロン・ブランドが役を断った結果、ロバート・レッドフォードに初の大役が回ってきたというから、世の中わからないものです。もし、マックイーンとポール・ニューマンの組み合わせだったとすれば、或いはポール・ニューマンとマーロン・ブランドの組み合わせだったら、これも違った雰囲気の作品になっていたように思います。当初予定配役の変更により、結果として、「俺たちに明日はない」はフェイ・ダナウェイを、「明日に向って撃て!」はロバート・レッドフォードを、それぞれスターダムに押し上げた作品になったわけだなあと。
同じくジョージ・ロイ・ヒルが監督し、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが共演した「スティング」('73年/米)も、「明日に向って撃て!」での両者の共演があってこそ成り立った作品と言えるかもしれません。1936年のシカゴを舞台に詐欺で日銭を稼
ぐ1人の若者(ロバート・レッドフォード)が、親同然の師匠(ロバート・アール・ジョーンズ)を殺害したギャング(ロバート・ショウ)に復讐するために伝説的な賭博師(ポール・ニューマン)と協力し、得意のイカサマで相手組織を徐々に追い詰めていく様を描いたコメディで、信用詐欺(コン・ゲーム)を扱った作品の中では代表的な映画です。(2024年に池袋・新文芸坐で再鑑賞。ある意味、プロ詐欺師を扱った「お仕事ムービー」であり、「ゴンドーフ」といった名前は20世紀初期に実在した詐欺師たちの名前に因んでいて、犯罪映画に分類されることもあるようだ。ダナ・エルカー演じるFBI捜査官ポークが実は詐欺仲間ヒッキーが演じる偽物とわかっていても、ラストではチャールズ・ダーニング演じるスナイダー警部補同様、視聴者までも騙されそうになるのではないか。経年劣化しにくい作品だと改めて思った。)
「俺たちに明日はない」●原題:BONNIE AND CLYDE●制作年:1967年●制作国:アメリカ●監督:アーサー・ペン●製作:ウォーレン・ベイティ●脚本:デヴィッド・ニューマン/ロバート・ベントン/ロバート・タウン●撮影:バーネット・ガフィ●音楽:チャールズ・ストラウス●時間:122分●出演:ウォーレン・ベイティ/フェイ・ダナウェイ/ジーン・ハックマン/マイケル・J・ポラード
2017年第89回アカデミー賞作品賞プレゼンター/フェイ・ダナウェイ(76歳)・ウォーレン・ベイティ(79際)



「明日に向って撃て!」●原題:BUTCH CASSIDY AND THESUNDANCE KID●制作年:1969年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・ロイ・ヒル●製作:ジョン・フォアマン●脚本:ウィリアム・ゴールドマン●撮影:コンラッド・L・ホール●音楽:バート・バカラック●時間:110分●出演:ポール・ニューマン/ロバート・レッドフォード/キャサリン・ロス/ストローザー・マーティン/ジェフ・コーリー/ジョージ・ファース/クロリス・リーチマン/ドネリー・ローズ/ケネス
「スティング」●原題:THE STING●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・ロイ・ヒル●製作:リチャード・D・ザナック/トニー・ビル/マイケル・フィリップス/ジュリア・フィリップス●脚本:デヴィッド・S・ウォード●撮影:ロバート・サーティース●音楽:スコット・ジョプリン(主題歌「ジ・エンターテイナー」)/マーヴィン・ハムリッシュ●時間:129分●出演:ポール・ニューマン/ロバ
ート・レッドフォード/ロバート・ショウ/チャールズ・ダーニング/ハロルド・グールド/レイ・ウォルストン/ジョン・ヘファナン/アイリーン・ブレナン/ジャック・キーホー/ダナ・エルカー/ロバート・アール・ジョーンズ/ディミトラ・アーリス●日本公開:1974/06●配給:CIC●最初に観た場所:有楽シネマ(77-12-13)●2回目:渋谷東急(79-03-03)●3回目:八重洲スター(79-11-02)●4回目:池袋・新文芸坐(24-05-19)(評価:★★★★)●併映(1回目):「エアポート'77 バミューダからの脱出」(ジェリー・ジェイムスン)●併映(3回目):「追憶」(シドニー・ポラック)





有楽シネマ (1955年11月14日オープン、1994年12月休館、1995年6月16日~シネマ有楽町(成人映画上映館)、1996年~銀座シネ・ラ・セット、159席) 2004(平成16)年1月31日閉館 跡地に建設のイトシアプラザ内に2007年10月シネカノン有楽町2丁目オープン、2009年12月4日ヒューマントラストシネマ有楽町に改称






いつの日か栄光の座に返り咲くことを夢見る元世界チャンピオンのボクサー(ジョン・ヴォイト)と、彼を尊敬し今もチャンプと呼ぶ息子(リッキー・シュローダー)の親子の絆、それに別れた妻(フェイ・ダナウェイ)が絡んでの家族愛を描いた作品で、日本でも大いにヒットしました。
37歳でチャンピオン戦というのはかなり無理があるなあとか(実際、当時はボクシングを冒涜しているとの批判もあったが、ジョン・ヴォイドのボクシング・スタイルは、「ロッキー」のシルベスター・スタローンのそれなどよりはずっと本モノぽかった)、或いは、子役を使って泣かせるなんてアザトイなあとか、やや斜に構えて観ていても、やはり結局最後は泣けてしまいます。
個人的には子役の演技にはやや鼻につく面もありましたが、強さと弱さの両面を併せ持つ父親を演じたジョン・ヴォイドの演技がそれをカバーしているように思いました。フェイ・ダナウェイも含め、"ベテランが脇を固める"というパターンか。因みに、この作品は、キング・ヴィダー監督の1931年作品のリメイクですが、旧作の方は未見。小津安二郎の
「チャンプ」●原題:THE CHAMP●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:フランコ・ゼフィレッリ●製作:ダイソン・ロヴェル●脚本:本 ウォルター・ニューマン●撮影:フレッド・コーネカンプ●音楽:デイヴ・グ

「新宿ピカデリー(ピカデリー1)」は1,154席(2001年の改修前)の大劇場でしたが、2006年に全館閉館し、2008年に10スクリーンのシネコンとして再オープンしました。新生「新宿ピカデリー」の10スクリーン全部合わせた席数は、以前の4館の合計の約5割増しになるそうですが、最大席数の「スクリーン1」で約600席と、かつての「ピカデリー1」の約半分しかないことになります。



宇宙移民が行われている2200年代、アダムス機長(レスリー・ニールセン)が率いる宇宙船は、20年前に移住して消息を絶った移民団の捜索のために、惑星第4アルテアへ着陸するが、アルテア移民団の生き残りは、モービアス博士(ウォルター・ピジョン)と、アルテアで誕生した彼の娘アルティラ(アン・フランシス)の2人と、博士が作った万能ロボット・ロビーだけだった。博士によれば、アルテアにはかつて高度に進化し、発達した科学を創り上げた先住民族が存在したが、原因不明の滅亡を遂げ、そして移民団も正体不明の怪物に襲われて自分達以外は死んでしまったという―。

アダムス機長を演じたレスリー・ニールセンが昨年('10年)11月に亡くなった(享年84)のに続いて、アルティラを演じたアン・フランシスも今年('11年)1月に亡くなり(享年80)、寂しい限りです。TV番組「ハニーにおまかせ」('56年~)の私立探偵役のアン・フランシスも、「裸の銃(ガン)を持つ男」('86年)のレスリー・ニールセンも、この映画では2人とも20代でしょうか。この作品を観ると、永遠に2人とも若いままでいるような錯覚に陥ります。
「禁断の惑星」がシェイクスピアの「テンペスト」を下敷きにしていることはよく知られていて、最初に劇場(名画座ミラノ、すでに「名画座料金」ではなくなっていた)で観た時も、同時期の作品「宇宙水爆戦」('55年)などに比べてよく出来ているように思いました。
「宇宙水爆戦」の方は結構キッチュ趣味と言えるかも。惑星間戦争で絶滅の危機にある星の異星人の科学者が、地球の科学者に協力を依頼するが、実はその星の指導者は地球を支配して移り住むことを企んでいた―というストーリーですが、最後、事件が一見落着したかと思ったら、宇宙船内に潜んでいた宇宙昆虫人間みたいなミュータントに襲われそうになるという―このとってつけたように出現するミュータントがポスターなどではメインになっていて、それだけストーリーは印象に残らないといことでしょうか。ストーリー的にも怪物キャラクター的にも、当時流行ったSFパルプマガジンの影響を強く受けているようです(そのこともキッチュ感に繋がる要因か。でもこのキッチュ感こそが、この作品の根強い人気の秘密かも)。
一方、「禁断の惑星」に出てくる有名キャラクターは万能ロボット「ロビー」で、これを参照したのが60年代に作られたテレビ番組「宇宙家族ロビンソン」に出てくるロボット(愛称:フライデー)だったりし、先駆的な要素も結構あったわけです(「宇宙家族ロビンソン」には外にも「宇宙水爆戦」も参考にしている箇所が幾つかある)。
因みに、このロボットは、「刑事コロンボ」の第23話「愛情の計算」('74年)にも"ゲスト出演"して
おり(下半身の造りが二本脚から台座型に変わっている)、人工知能研所の所長である犯人のアリバイ作りに一役買っていますが、ロボットのキー・ボードを叩く手つきの大雑把さを見ると、ちょっと所長の代役をさせるには無理な感じも。
(こちらは娘を庇ってだが)使われましたが、真犯人ではないと分かっていながら拘束するのはいかがなものでしょうか(「恋におちたコロンボ」の脚本はピーター・フォーク自身が手掛けている)。但し、フェイ・ダナウェイの演技力はさすが。70年代のシリーズ作に比べ見劣りがする90年代のシリーズ作(特に後期作品)の中では、ひときわ映える名犯人役と言っていいのではないでしょうか。



をはじめフセイン大統領、ホメイニなど様々な人物をコケにし、「裸の銃を持つ男PART2 1/2」('88年)では当時のアメリカ大統領
ジョージ・ブッシュをコケにしています。「裸の銃を持つ男PART33 1/3 最後の侮辱」('94年)までプリシラ・プレスリー、ジョージ・ケネディ、O・J・シンプソンという共演トリオは変わらず和気藹々といった雰囲気でしたが、O・J・シ
ンプソンは'94年に発生した元妻の殺害事件(「O・J・シンプソン事件」)の被疑者となってしまいました(刑事裁判で殺人を否定する無罪判決となったが、民事裁判では殺人を認定する判決が下った)。
「禁断の惑星」という作品は、ストーリーも凝っているように思われ、「テンペスト」をなぞるだけでなく、「イドの怪物」という精神分析的な味付けがされていて、ファーザー・コンプレックスがモチーフになっているように、フロイディズムの影響も濃く滲んでいます。
ている彼の演技とは全く異なる演技をしているし(昔の怪獣映画の宝田明や夏木陽介の感じ、乃至は、背景も含めると「キャプテンウルトラ」('67年)の中田博久の方がより近いか)、いろいろと見所が多い作品です(「なぜウチの中にビオトープがあるのか?」とか、突っ込み所も含めて)。
尚「キャプテンウルトラ」にも、「宇宙警察パトロール隊」と共に「宇宙船シュピーゲル号」(なぜか「鏡」を意味するドイツの有名週刊誌の名前)に乗り込み、バンデル星人や怪獣たちと戦い続ける万能ロボット「ハック」が登場しますが、こちらは「ゴジラ」以来の日本の"伝統"か(この番組の制作
会社は東映)、着ぐるみっぽいロボットでした。このシリーズは、脚本が番組放送に追いつかなくなった「ウルトラマン」と、その後継番組として構想されていた「ウルトラセブン」との間の所謂「つなぎシリーズ」だったので、書割りのような背景からも察せられる通り、番組制作予算は限られていたようです。その後ウルトラ・シリーズでお決まりとなる"紅一点"の女性隊員は、ここでは「アカネ隊員」ですが、「ウルトラマン」で桜井浩子が演じた「フジ・アキコ隊員」、「ウルトラセブン」で菱見百合子が演じた「アンヌ隊員」と並んで、この「キャプテンウルトラ」で城野ゆきが演じた「アカネ隊員」も、今も
って人気があるようです。いわばフジ・アキコ隊員の後輩格、アンヌ隊員の先輩格になりますが、アカネ隊員は紅一点と言うより"準主役"と言った方がいいかも。アカネ隊員は番組の最初から準主役級でいたわけでなく、レギュラーメンバーだった「キケロ星人ジョー」(演じていたのは無名時代の
SFパルプマガジン風ファッション
万能ロボット・ロビー登場
なぜウチの中にビオトープがあるのか?
アン・フランシス/レスリー・ニールセン




「宇宙水爆戦」●原題:THIS ISLAND EARTH●制作年:1955年●制作国:アメリカ●監督:ジョセフ・ニューマン●製作:ウィリアム・アランド●脚本:フランクリン・コーエン/エドワード・G・オキャラハン●撮影:クリフォード・スタイン/デビッド・S・ホスリー●音楽:ジョセフ・ガ―シェンソン●原作: レイモンド・F・ジョーンズ●時間:86分●出演:フェイス・ドマーグ/レックス・リーズン/ジェフ・モロー/ラッセル・ジョンソン/ランス・フラー●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ●日本公開:1955/12)●最初に観た場所:新宿・名画座ミラノ(87-05-17)(評価:★★★☆) 「



●原案:ロバート・スペクト●音楽:ディック・デ・ベネディクティス●時間:74分●出演:ピーター・フォーク/ホセ・ファーラー/ロバート・ウォーカー/ジェシカ・ウォルター/リュー・エヤーズ/リー・H・モンゴメリー/アーサー・バタニデス/ジョン・ザレンバ/ウィリアム・ブライアント/ルー・ワグナー/バート・ホランド●日本公開:1974/08●放送:NHK総合(評価:★★★)「
「新・刑事コロンボ/恋におちたコ

「裸の銃(ガン)を持つ男」●原題:THE NAKED GUN:FROM THE FILES OF POLICE SQUAD!●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:デヴィッド・ザッカー●製作:ロバート・K・ウェイス●脚本:ジェリー・ザッカー/ジム・エイブラハムズ/デヴィッド・ザッカー/パット・プロフト●撮影:ロバート・スティーヴンス●音楽:アイラ・ニューボーン●時間:85分●出演:レスリー・ニールセン/プリシラ・プレスリー/ジョージ・ケネディ/O・J・シンプソン/リカルド・モンタルバン/ナンシー・マルシャン●配給:UIP映画配給●日本公開:1989/04(評価:★★★☆) 


「キャプテンウルトラ(第9話)/怪生物バンデルエッグあらわる」●制作年:1967年●監督:加島昭●脚本:鈴木良武/伊東恒久●音楽:冨田勲●時間:92 分●出演:中田博久
/小林稔侍/城野ゆき/伊沢一郎/安中滋/佐川二郎/桐島好夫/川田信一/(以下、非レギュラー)八名信夫/三重街恒二/大槻憲/木内博之/比良元高●放送局:TBS●放送日:1967/06/11(評価:★★★)


城野ゆき(アカネ隊員)






映画もミュージカル映画として作られていて、テーマ曲のバイオリン独奏はアイザック・スターン。ラストの「サンライズ・サンセット」もいい。

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の策略で国を追い出されアメリカ大陸に向かったものの、キューバ、米国で入港拒否をされ(ナチス側もそれを予測し、ユダヤ人差別はナチスだけではないことを世界にアピールするためわざと出航させた)、結局また大西洋を逆行するという先の見えない悲劇に見舞われます。
この映画はユダヤ人資本で作られたもので、マックス・フォン・シドーの船長役以下、オスカー・ヴェルナーとフェイ・ダナウェイの夫婦役、ネヘミア・ペルソフ、マリア・シェルの夫婦役、オーソン・ウェルズやジェームズ・メイソンなど、キャストは豪華絢爛。今思うと、フェイ・ダ
ナウェイの
ような大物女優からリン・フレデリック、キャサリン・ロスのようなアイドル女優まで(キャサリン・ロスは今回は両親を養うために娼婦をしている娘の役でゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞。アイドル女優と言っては失礼か)、よく揃えたなあと。さすがユダヤ人資本で作られた作品。但し、グランドホテル形式での人物描写であるため、どうしても1人1人の印象が弱くならざるを得なかったという、このタイプの映画にありがちな弱点も見られたように思います。
「屋根の上のバイオリン弾き」●原題:FIDDLER ON THE ROOF●制作年:1971年●制作国:アメリカ●監督・製作:ノーマン・ジュイスン●脚本:ジョセフ・スタイン●撮影:オズワルド・モリス●音楽:ジョン・ウィリアムス●原作:ショーレム・アレイヘム「牛乳屋テヴィエ」●時間:179分●出演:トポル/ノーマ・クレイン/ロザリンド・ハリス/ミシェル・マーシュ/モリー・ピコン/レナード・フレイ/マイケル・グレイザー/ニーバ・スモール/レイモンド・ラヴロック/ハワード・ゴーニー/ヴァーノン・ドブチェフ●日本公開:1971/12●配給:ユナイト●最初に観た場所:新宿ビレッジ2(88-11-23)(評価:★★★☆)



新宿ビレッジ1・2 新宿3丁目「新宿レインボービル」B1(

「さすらいの航海」●原題:VOYAGE OF THE DAMNED●制作年:1976年●制作国:イギリス●監督:スチュアート・ローゼンバーグ●製作:ロバート・フライヤー●脚本:スティーヴ・シェイガン/デヴィッド・バトラー●撮影:オズワルド・モリス●音楽:ラロ・シフリン●原作:ゴードン・トマス/マックス・モーガン・ウィッツ「絶望の航海」●時間:179分●出演:フェイ・ダナウェイ/オスカー・ヴェルナー/オーソン・ウェルズ/リン・フレデリック/マックス・フォン・シドー/マルコム・マクダウェル/リー・グラント/キャサリン・ロス/ジェームズ・メイソン/マ

リア・シェル/ネヘミア・ペルソフ/ホセ・フェラ
ビルの部屋」(ネリー・カフラン)





旅客機衝突50分後にやっと南タワーに救出に入った多くの消防隊員たちは、その時点で、旅客機が衝突した階より下にいた6千人の民間人はもう殆ど避難し終えていたわけで、本書にあるように、上層階に取り残された600人を助けにいくつもりだったのでしょうか(ただし内200人は、旅客機衝突時に即死したと思われる)。ビルはゆうにあと1時間くらいは熱に耐えると考えて、助けるべき民間人が既にいない階で休息をとっている間に、あっという間にビル崩壊に遭ってしまった―というのが彼らの悲劇の経緯のようです。
一方、北タワーに入った消防隊員たちには、南タワーが崩壊したことも、警察ヘリからの北タワーが傾いてきたという連絡も伝わらず(元来、警察と消防が没交渉だった)、そのことでより多くが犠牲になった―。


もう1つは、"The Tower"というリチャード・マーティン・スターンが'73年に発表した小説で(邦訳タイトル『そびえたつ地獄』('75年/ハヤカワ・ノヴェルズ))、これを映画化したのがジョン・ギラーミン(1925-2015)監督の「タワーリング・インフェルノ」('74年/米)ですが、映画ではスティ―ブ・マックィーンが演じた消防隊長が、ポール・ニューマン演じるビル設計者に、いつか高層ビル火災で多くの死者が出ると警告していました。
この作品はスティーブ・マックイーンとポール・ニューマンの初共演ということで(実際にはポール・ニューマン主演の「傷だらけの栄光」('56年)にスティーブ・マックイーンがノンクレジットでチンピラ役で出ているそうだ)、公開時にマックイーン、ニューマンのどちらがクレジットタイトルの最初に出てくるかが注目されたりもしましたが(結局、二人の名前を同時に出した上で、マックイーンの名を左に、ニューマンの名を右の一段上に据えて対等性を強調)、映画の中で2人が会話するのはこのラストのほかは殆どなく、映画全体としては豪華俳優陣による「グランド・ホテル」形式の作品と言えるものでした。スペクタクル・シーンを(ケチらず)ふんだんに織り込んでいることもあって、70年代中
盤期の「パニック映画ブーム」の中では最高傑作とも評されています。映画評論家の双葉十三郎(1910-2009)氏も『
「タワーリング・インフェルノ」●原題:THE TOWERING INFERNO●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ギラーミン●製作:アーウィン・アレン●脚色:スターリ
ング・シリファント●撮影:フレッド・J・コーネカンプ●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:リチャード・マーティン・スターン「ザ・タワー」●時間:115分●出演:スティーブ・マックイーン
/ポール・ニューマン/ウィリアム・ホールデン/フェイ・ダナウェイ/フレッド・アステア/スーザン・ブレークリー/リチャード・チェンバレン/ジェニファー・ジョーンズ/O・J・シンプソン /ロバート・ヴォーン/ロバート・ワグナー/スーザン・フラネリー/シーラ・アレン/ノーマン・バートン/ジャック・コリンズ●日本公開:1975/06●配給:ワーナー・ブラザース映画)(評価:★★★☆)