「●コミック」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1352】 東風 孝広 (原作:田島 隆) 『カバチタレ! 』
「●世界史」の インデックッスへ 「●「日本漫画家協会賞」受賞作」の インデックッスへ 「○コミック 【発表・刊行順】」の インデックッスへ
原作ノンフィクションを漫画にしようと思い、それをやってのけたこと自体がすごい。


『戦争は女の顔をしていない 1』『戦争は女の顔をしていない 2』『戦争は女の顔をしていない 3』『戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)』
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ

『チェルノブイリの祈り』(1997)などの著作により、2015年にノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家・ジャーナリストであるスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ(1948年生まれ)による、第二次世界大戦の独ソ戦に従軍した女性たちの聞き取りがまとめられたノンフィクション『戦争は女の顔をしていない』(1984)のコミカライズ作品です(小梅けいとが作画を担当し、速水螺旋人が監修)。2019年4月27日からウェブコミック配信サイトComicWalker(KADOKAWA)で漫画の連載が始まり、2020年1月にコミックス第1巻が発売。個人的には、原作を先に読み、続いてコミックを読みました(2021年7月、第50回「日本漫画家協会賞」が発表され、「まんが王国とっとり賞」に本作が選出されている)。

原作は、アレクシエーヴィッチが雑誌記者だった30歳代、1978年から500人を超える女性たちから聞き取り調査を行ったもので、本は完成したものの、2年間出版を許可されず、ペレストロイカ後に出版されています。当時ベラルーシの大統領だったアレクサンドル・ルカシェンコは祖国を中傷する著書を外国で出版したと非難し、ベラルーシでは長らく出版禁止になっていたようです。
『戦争は女の顔をしていない』
プーチンやルカシェンコには批判的で、特にベラルーシではその著書は独裁政権誕生以後、出版されず圧力や言論統制を避けるため、2000年にベラルーシを脱出し、西ヨーロッパを転々としたが、2011年には帰国、プーチン・ロシアがウクライナに侵攻し、それをルカシェンコが支持しているという2022年現在においてはどうしているかというと、。2020年に持病の治療のためドイツに出国し、以来ドイツに滞在しているとのこと、今年['22年]5月に74歳になっており、祖国に戻れる日が来るのか心配です。
『チェルノブイリの祈り』でのチェルノブイリ原子力発電所事故に遭遇した人々の証言も衝撃的でしたが、こちらも強烈です。『チェルノブイリの祈り』が約300人に取材しているのに対し、こちらが約500人に取材していて、実に精力的に話を聞いて回ったことが窺えます。コミカライズに際して、どうエピソードを抽出しどうまとめるか難しいところだったのではないかと思いますが、上手くまとめているように思いました。
戦線に駆り出された女性たちは、医療・看護・衛生関係者が多かったようですが、飛行士や高射砲の指揮官などもいて、目の前で人の命が一瞬にして奪われていくのを見ており、さらには女性狙撃兵もいて、これは逢坂冬馬氏のべしとセラー小説『同志少女よ、敵を撃て』('21年/早川書房)のモチーフにもなっています。
コミックを見て思ったのは、アレクシエーヴィッチが30歳代とまだ若かったのだなあと(絵は少し若すぎて20代にしか見えないが)。インタビューを受ける側も、原作を読んだ時はかなり高齢かと思いましたが、まだ50代前半ぐらいの年齢だったのではないかと思います。若い頃の壮絶な体験ということもあり、まったく忘れてはおらず、むしろ話すことができるようになるのに戦後20余年を経る必要があったといった内容の話も多かったように改めて思いました。
単行本第1巻の帯には、「機動戦士ガンダム」の富野由悠季氏が推薦文を寄稿していますが、小梅けいと氏、速水螺旋人氏との対談では、「この原作の内容をマンガ化するのは、正気の沙汰とは思えない」と言い(帯にも「蛮勇」と書いている)、「戦争を知らない世代だから描ける」のだとまで言っています(特に「小梅世代」を指して言っている)。富野氏が、「あっけらかんと描いていることが、救いだと思います」と述べているのは、それだけコミカライズによって"抜け落ちる"ものも大きいということを言っているのだと思います。
それでも、この原作ノンフィクションを漫画にしようと思い、それをやってのけたこと自体がやはりすごいことではないかと思います(小梅氏は、いつかこうの史代氏の『この世界の片隅に』のような作品を書いてみたいとの思いはあったようだが)。個人的にも、ビジュアライズされることでイメージに肉付けがされた面があり、原作本と併せて読んで決してがっかりさせられるようなレベルではなかったように思いました。


小谷野 敦 氏
どちらかというとこのタイプの方が多い)、その人物の著作やその他業績等をその人物のものに限って相対評価するうえでは参考になるかもしれません(例えば、「第三章 本当に偉いのか偉人伝 日本編」で取り上げられている宮崎駿について、初期作品の「



古代紀元前2450年頃メソポタミアのシュメール王朝初期に起こった「ラガシュとウンマの抗争」、そして紀元前1468年頃にエジプト軍とパレスティナ軍が戦った「メギドの戦い」から現代のコソヴォ紛争やイラク戦争、テロ攻撃まで、世界史上の主要な戦争を、オールカラー編集で多数の写真や絵画、地図その他多数の資料を駆使しつつ解説したものです。
全体が「古代の戦争」「中世の戦争」「近代の戦争」「帝国と革命」「世界大戦の時代」という大括りされた中で、例えば「近代の戦争」の章における「権力と宗教」という節では「フランスによるイタリア戦争」「宗教戦争」「三十年戦争」「イングランド内戦」「王家の戦争」「大北方戦争」という項目立てがあり、「年表」的と言うより「教科書」的であると言えます。
古戦場の遺跡や当時使用された武器等を写真も豊富で、特に武器には力を入れていて、古代・中世から近代戦争まで節目ごとにフューチャーしており、「武器史」としての充実度も高く、そうしたことがまた、名前しか聞いたことのなかった戦闘の実像を、活き活きとしたイメージでもって見る者の脳裏に再現させるシズル感効果を醸しています。


世界史に関する一般向けの著書を多く著した三浦一郎(1914‐2006)の本で、このヒト、後に上智大学の名誉教授になりますが、本書を刊行した時点では、茨城大学教授でした。
「色婆々と名誉革命 血が出ない」(1688年 イギリス名誉革命)なんてスゴイのもあるけれど、「年号」そのものとしては、半分以上は試験には出ないんじゃないかなあ(『金瓶梅』が成った年とか、タバコがサー・ウォルター・ローリーによってエリザベス女王に献じられた年なんてねえ)。
'73年から角川文庫にシリーズで収められて人気を博した著者ですが、本書はその角川文庫化より5年くらい前の刊行で、これはこれで結構読まれたのではないでしょうか。
.jpg)

死地を脱してきた軍人で、考古学者でもあり、ちょっとインディ・ジョーンズっぽい感じもします(実際、インディアナ・ジョーンズの創造に影響を与えたモデルの一人に挙げられているが、ジョージ・ルーカスとスティーヴン・スピルバーグがそれを認めたわけではない)。それにしても、7回も航空機事故に遭えば、普通はその何れかで事故死しているのではないでしょうか。「知恵の七柱」というのも何だか冒険映画のサブタイトルみたいです(映画「アラビアのロレンス」自体、その「知恵の七柱」を翻案したものなのだが)。
英文学者・中野好夫(1903-1985)による本書は、ロレンスの死後5年を経た'40年に初版刊行、'63年に同名の映画の公開に合わせ23年ぶりに改訂・補筆されています(自分が読んだのは改訂版の方で、著者が改訂版を書いた1963年時点でも、『知恵の七柱』の日本語訳は未刊だった)。
ったのかなと思って読み返しましたが、政治的動機はともかく、軍事的な天才であったことは確かで、とりわけ、アラブ人を組織化して戦闘ゲリラ部隊を創り上げてしまう才能は卓越しています。

:モーリス・ジャール●原作:T・E・ロレンス 「知恵の七柱」●時間:207分●出演:ピーター・オトゥール/アレック・ギネス/アンソニー・クイン/オマー・シャリフ/ジャック・ホーキンス/アーサー・ケネディ /アンソニー・クエイル/ホセ・ファーラー/クロード・レインズ/ドナルド・ウォルフィット/マイケル・レイ/ジョン・ディメック●日本公開:1963/12●配給:コロムビア映画●最初に観た場所:高田馬場ACTミニシアター(84-01-14)(.jpg)

評価:★★★★)●併映:「
ナチ部隊のウクライナでの虐殺行為(1942年)(トルーマン大統領図書館)
また、「強制収容所」とは建前はユダヤ人を強制労働させるものであったものですが、それでも、ベルゲン・ベルゼンなど基幹13収容所だけで100万人近くものユダヤ人が病気などで命を落としたとのこと。
最後にホロコーストの研究史が概説されていて、ユダヤ人を大量殺戮することがいつどのように決定されたのか、ホロコーストを推進した中心は何だったのかについてのこれまでの論議の歴史的推移が紹介されており、後者の問題については、ヒトラー個人のイデオロギーに帰する「意図派」と、当時のナチ体制の機能・構造から大量殺戮がユダヤ人問題の「最終解決」になったとする「機能派・構造派」が元々あったのが、後に、ナチ体制の官僚制を、組織や規律の下での課題解決に専念することに傾斜する近代技術官僚的な「絶滅機構」だったとする捉え方が有力視されるようになったとのこと。




映画もミュージカル映画として作られていて、テーマ曲のバイオリン独奏はアイザック・スターン。ラストの「サンライズ・サンセット」もいい。

.jpg)
の策略で国を追い出されアメリカ大陸に向かったものの、キューバ、米国で入港拒否をされ(ナチス側もそれを予測し、ユダヤ人差別はナチスだけではないことを世界にアピールするためわざと出航させた)、結局また大西洋を逆行するという先の見えない悲劇に見舞われます。
この映画はユダヤ人資本で作られたもので、マックス・フォン・シドーの船長役以下、オスカー・ヴェルナーとフェイ・ダナウェイの夫婦役、ネヘミア・ペルソフ、マリア・シェルの夫婦役、オーソン・ウェルズやジェームズ・メイソンなど、キャストは豪華絢爛。今思うと、フェイ・ダ
ナウェイの
ような大物女優からリン・フレデリック、キャサリン・ロスのようなアイドル女優まで(キャサリン・ロスは今回は両親を養うために娼婦をしている娘の役でゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞。アイドル女優と言っては失礼か)、よく揃えたなあと。さすがユダヤ人資本で作られた作品。但し、グランドホテル形式での人物描写であるため、どうしても1人1人の印象が弱くならざるを得なかったという、このタイプの映画にありがちな弱点も見られたように思います。
「屋根の上のバイオリン弾き」●原題:FIDDLER ON THE ROOF●制作年:1971年●制作国:アメリカ●監督・製作:ノーマン・ジュイスン●脚本:ジョセフ・スタイン●撮影:オズワルド・モリス●音楽:ジョン・ウィリアムス●原作:ショーレム・アレイヘム「牛乳屋テヴィエ」●時間:179分●出演:トポル/ノーマ・クレイン/ロザリンド・ハリス/ミシェル・マーシュ/モリー・ピコン/レナード・フレイ/マイケル・グレイザー/ニーバ・スモール/レイモンド・ラヴロック/ハワード・ゴーニー/ヴァーノン・ドブチェフ●日本公開:1971/12●配給:ユナイト●最初に観た場所:新宿ビレッジ2(88-11-23)(評価:★★★☆)



新宿ビレッジ1・2 新宿3丁目「新宿レインボービル」B1(

「さすらいの航海」●原題:VOYAGE OF THE DAMNED●制作年:1976年●制作国:イギリス●監督:スチュアート・ローゼンバーグ●製作:ロバート・フライヤー●脚本:スティーヴ・シェイガン/デヴィッド・バトラー●撮影:オズワルド・モリス●音楽:ラロ・シフリン●原作:ゴードン・トマス/マックス・モーガン・ウィッツ「絶望の航海」●時間:179分●出演:フェイ・ダナウェイ/オスカー・ヴェルナー/オーソン・ウェルズ/リン・フレデリック/マックス・フォン・シドー/マルコム・マクダウェル/リー・グラント/キャサリン・ロス/ジェームズ・メイソン/マ

リア・シェル/ネヘミア・ペルソフ/ホセ・フェラ
ビルの部屋」(ネリー・カフラン)



Nero (紀元37‐68/享年30)
本書を読むと、母アグリッピナというのが(息子ネロに刺客を向けられ、「ここを突いて、さあ。ここからネロは生まれたのだから」と下腹を突き出したことで知られる)、これが美人だがかなりドロドロした女性で、叔父にあたる皇帝クラウディウスとの不倫関係を経て妃の座に就き、その夫を毒殺してネロを皇帝にしたわけで、それまでにも権謀術数の限りを尽くしてライバルを排除してきていて、結局そうした血はそのままネロに引き継がれたという感じです。
ネロ自身は、母を亡き者にし、その呪縛から解かれたように見えたかのようでしたが、新たに迎えた妻の尻に敷かれたりしているうちに性的にもおかしくなって、美少年と結婚式を挙げたりし(周囲が「子宝」に恵まれるよう祝福の言葉を贈ったというのが、恐怖政治におけるブラック・ユーモアとでも言うべきか)、ローマ市民の歓心を得られると思ってやったキリスト教迫害においてその残忍性をむき出しにしたことで却って人心は離れ、母親殺しで兄弟殺しや妻殺しもやっていて、さらに師をも殺した者が帝位にいるのはおかしいと(セネカも自殺を命じられ、彼の非業の死はルネサンス期に多くの画家の作品モチーフとなった)周囲の反発から反乱が起き、遂にネロ自身が自死せざるを得ない状況に陥りますが、死を前にしてなかなか死にきれないでいるところなど、何だか人間味を感じてしまい、自業自得でありながらも妙に哀しかったです。

一人の歴史家が単独で著した世界史の通史で、しかも新書1冊にコンパクトに纏められていますが、過去にも現在にもこうした試みを為した歴史学者は少ないように思え、また、そうしたことが出来る人というのもあまりいなくなっている気がします。



SF作家アイザック・アシモフ(1920‐1992)による原著には3,000 項目の雑学が収められていて、星新一(1926‐1997)がその中から抜粋して編訳していますが、スッキリした翻訳で楽しみながら読め、また、雑学に潜むアシモフの科学的視点というものも大切に扱っている気がしました。前半部分は自然科学系の雑学ですが、後半部分は歴史、文学、天才、人の死など様々な分野の雑学となっているのが、歴史本も書いているというアシモフらしく、SF作家としての作風が全く異なる星新一も、その好奇心の幅広さ、旺盛さの部分に呼応するものがあったのでしょう。
因みに『アシモフの雑学コレクション』のイラストは星新一のショートショート作品には欠かせない存在だった
阿部 謹也 (1935-2006/享年71)


世界史の中から様々な戦いを99取り上げ、その戦略・奇略、勝敗の謎や裏話を紹介したもので、2ページ読み切りで、再読でしたが、面白くて1つ1つ改めてじっくり読みました。
その小宮進氏の単著『世界史法則集―一を聞いて十を知る世界史攻略のウルトラ記憶術!』('75年/ゴマブックス)も、同じような見開き読みきりで「インド王朝は、三代目で全盛期を迎える」とか「中国史で色のつく名の乱は、農民の世直し闘争を示す」といったものから、「史上の名君にもっとも多く共通する要素は、長寿と、巧みな税政策である」、「女帝がハバをきかせたあとは、混乱の時代がくる」等々まで、受験勉強などに直接役立つかどうかは保証の限りではありませんが、楽しく読めるます。















クビライの時代には帝国は、教科書によく出てくる「元国及び四汁(カン)国」という形になっていたわけですが、本書では一貫して「国」と呼ばず、遊牧民共同体から来た「ウルス」という表現を用いており、また、ウルス間の対立過程において、それらの興亡や版図が極めて流動的であったことを詳細に示しています。

鈴木董(すずき・ただし)氏 (東大東洋文化研究所教授)
オスマン帝国と言えばスレイマン大帝(スレイマン1世)ですが、1453年にビザンツ(東ローマ)の千年帝都コンスタンティノープルを無傷のまま陥落させたメフメット2世というのも、軍才だけでなく、多言語を操り西洋文化に関心を示した才人で、宗教を超えた能力主義の人材登用と開放経済で世界帝国への道を拓いた人だったのだなあと。
謝世輝 氏(元東海大学文明史教授)




(●2011年に河出書房の「ふくろうの本」で黒川正剛『図説 魔女狩り』が刊行されたが、2024年にその増補改訂版が同じ執筆者・編集者で出された。魔女の原像、魔女狩りの始動から、魔女狩りの時代としての近世、魔女の実像、魔女狩りの終焉までを図説で追っている。"地味"な岩波新書に対し、ビジュアルで「魔女狩り」の実態を感じ取ることができて、ある意味"補完的"である。)
