【225】 ○ 七瀬 カイ 『まんが 世界の歴史5000年 (1998/03 学習研究社) ★★★★

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マンガを侮るなかれ。わかりやすい。世界史は概略がわかればいい。

まんが 世界の歴史5000年.jpg世界の歴史5000年』学習研究社 〔'98年〕 バカのための読書術.jpgバカのための読書術』ちくま新書

 比較文化学者の小谷野敦氏が『バカのための読書術』('01年/ちくま新書)の中で、現代の若者の知力低下を嘆き、特に歴史を知らなさ過ぎる、世界史を大学の一般教養の必修科目にしたらどうかと書いていましたが、伝統的な教養主義へ復古せよという大袈裟なレベルではなく、商社などの入社試験問題にごく簡単な歴史問題を入れても誰も出来ないために点差がつかないという話を聞いたことがあり、少なからず共感を覚えます。

 とは言え、中公文庫の何十巻もある『世界の歴史』『日本の歴史』を順番に読んでいくのもたいへんで、小谷野氏は、初学者は、歴史小説でも学習マンガでもいいと言っています(石ノ森章太郎の『マンガ日本の歴史』(中公文庫)は少し長すぎるので、マンガ家・カゴ直利氏の本を推奨していた)。

 個人的にも、特に世界史に関しては、一般的な日本人にとって読みやすい歴史小説が少ないので、学習マンガというのは概要をつかむ上では良いのではないかと思います(世界史は概略がわかればいい、とも小谷野氏は言っている)。

 そうした意味で、木村尚三郎監修(マンガは七瀬カイという人が描いている)の本書は、「大昔から現代までの世界の歴史の流れと、各時代のおもな人物の活躍を分りやすく解説。重要事項・重要人物を文とまんがで解説し、歴史学習のポイントがよく理解できる」という謳い文句に違わない内容で、大判で読みやすく、読みがなもふってあるので、親子でも使える良書だと思います。

 かつて受験勉強をした大人が読む場合、学校時代の参考書や世界史地図が手元に残っていれば、それを傍らに読むといいのではないかと思いますが、そうやってきっちり読むと、おおまかな世界史の概略が掴めるのではないかと思います(全1巻ですが読了するのに相当時間がかかると思います)。
 姉妹版の『まんが 日本の歴史2000年』('98年/学習研究社)もお薦めです。

マンガ日本の歴史 55.jpg 石ノ森章太郎 『マンガ日本の歴史 第55巻』  日本の歴史年表事典.jpg カゴ直利 『日本の歴史年表事典』
 

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