【1352】 ○ 東風 孝広 (原作:田島 隆) 『カバチタレ! (全20巻)』 (1999/11 講談社) ★★★☆

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「法律家っちゅうのはお上公認のヤクザなんじゃ!!」 でも、ちょっとやり過ぎ。

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カバチタレ!(1) (モーニング KC)』「カバチタレ!<完全版> 1 [DVD]」陣内孝則/常盤貴子/深津絵里
カバチタレ! 全20巻完結(モーニングKC ) [マーケットプレイス コミックセット]』「おくさまは18歳(1) [VHS]

mカバチタレ! 全20巻セット.jpg 講談社の漫画雑誌「モーニング」に'99(平成11)年5月から'05(平成17)年まで連載されていた漫画作品。

 広島市にある「大野行政書士事務所」を舞台に、事務所に補助者として入所した若者・田村勝弘の目を通して、その事務所のベテラン行政書士たちが、法知識を駆使した所謂"法テク"で社会的弱者を守っていく姿を描いた物語で、原作は行政書士の田島隆氏、監修は'03年に亡くなった『ナニワ金融道』の青木雄二氏、作画は、『ナニワ金融道』で青木雄二氏のアシスタントを務め、田島隆氏の従弟でもある東風(こち)孝広氏。

 『ナニワ金融道』同様の"濃い"タッチの絵は苦手なのですが、話自体はなかなか面白く、ちょうど自分が行政書士試験を受ける頃に読みましたが、試験勉強にはさほど寄与しなかったものの、いい息抜きになりました。2週間しか勉強せず、その間に漫画など読んでいたわけで、当然の如く試験は落っこちましたが、後で自己採点したら択一は合格ラインだったので(当時、問題の半分近くは一般常識・時事問題だった。その年の合格率4.29%だったとのこと)、翌年また受け直し、一応、有資格者になりました(でもこれ、会社勤めしている限り、殆ど使えない資格だということが後でわかった。むしろ、民法を初勉強する契機になった点で、少しだけでも齧ったメリットはあったが)。

 漫画の登場人物の中には、ヤクザ相手に「法律家っちゅうのはお上公認のヤクザなんじゃ!!」などと啖呵を切って相手を震え上がらせる威勢のいいキャラもいますが、この漫画に出てくる行政書士たちは、やや(弁護士の)職域侵犯気味で、弁護士法72条に抵触していると思われる部分も無きにしも非ずといった感じでしょうか(悪徳弁護士がよく登場する漫画でもあるが)。

 でも、「占有屋」(競売物件の改札日直前に、前家主との間に賃貸契約があったふりをして占有、立ち退き料を詐取する)などという稼業があることは、この漫画で初めて知ったし、読んでいて"社会勉強"になるなあと。最近の漫画で言えば、『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平)や『クロサギ』(原案:夏原武、作画:黒丸)なども、"裏社会"を知るという点では同じ系譜と言えるかも。

カバチタレ第1話.jpg 『カバチタレ!』は'02年にTVドラマ化され、フジテレビで1クール放映されましたが、主人公の田村勝弘や栄田千春が女性(常盤貴子・深津絵里)に置き換えられていてどうかなあと思ったけれど、ほどほどに面白く、画面に「心裡留保」とか「供託」とか、解説がテロップ表示されるのが親切でした。

 原作の1巻から5巻ぐらいまでがドラマ化されましたが、深津絵里とこの頃の常盤貴子では、相当に演技力に差があったように思えました。また、'01年、蜷川幸雄演出の舞台「ハムレット」でオフィーリア役で舞台初出演した後、'04年に「光とともに...〜自閉症児を抱えて〜」(日本テレビ)で連続ドラマ初主演を務めることになる篠原涼子も女性警官役で出ていました。

 脚色面では、「置屋から足抜け出来ない哀しい女性の話」が、「常盤貴子が置屋に売り飛ばされそうになるドタバタ劇」(第1話)に改変されているなど、原作のウエット感を極力払拭しようとしているのが窺えました。

カバチタレ. 2002.1.11 - 2002.3.22(フジテレビ系).jpg 番組のタイトルバックからしてフレンチ・ポップス調。キタキマユの唄う主題歌の原曲は、昨年['09年]自死した加藤和彦(1947-2009/62歳没)がプロデ加藤和彦 安井かずみ.jpgュースしたもので(美食家でお洒落で3回結婚していて、自殺なんてしそうもないキャラに見えたが)、妻の安井かず(1939-1994/55歳没)が作詞し(二人でDINKSライフを体現するカップルとか言われていた。バブル以前の話で、庶民には手に届かない世界に思えたが)、加藤和彦が曲を作り(北山修とのコンピで「あの素晴しい愛をもう一度」('71年)など多くの曲を作っているが、サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」('74年)(作詞:松山猛)なども数多くのアーティストによってカバーされてい山田優 in カバチタレ.jpgる加藤和彦が作った曲の1つ)、岡崎有紀が歌った"Do you remember me(ドゥー・ユー・リメンバー・ミー)"('80年)でした(岡崎有紀は"歌える女優"だったなあ)。また、番組のエンディング・タイトルのシルエット・ダンサーは山田優で、ドラマ部分にも出演していて、彼女のドラマデビュー作でした。
山田 優

「おくさまは18歳」3.jpg「おくさまは18歳」2.jpg 因みに、岡崎友紀と言えば何と言っても「おくさまは18歳」('70年~'71年)でしょう。原作は本村三四子のラブコメディ漫画ですが、舞台はアメリカのカレッジ「スイートピー学園」。青年教師のリッキー・ネルソンと女学生のリンダ・ネルソンは結婚していることを隠して学園生活を送っているが、次々に事件に巻き込まれ、秘密がばれそうになるというもの。これを日本の普通の高校の男性教師と女子高校生に置き換えて、当時コメディ演技に関しては未知数だった岡崎友紀と石立鉄男(1942-2007/64歳没)を敢えて起用し、結果的に大ブレークしましたおくさまは18歳 うつみ.jpg。脚本はウルトラマンシリーズの佐々木守他。台詞のメリハリとリズム感を強調して対話のスピードを通常よりも大幅にテンポアップし、30分ドラマに1時間ドラマに相当する分量の台詞を盛り込んだそうです(メインの監督は映画「大怪獣ガメラ」('65年/大映)の湯浅憲明)。うつみみどり(現・うつみ宮土理)演ずる花咲ユメ子が発する「くやしいわ、くやしいわ、なんだかとってもくやしいわ(様々なバリエーションあり)」という台詞も懐かしいです。また、当時18歳の松坂慶子が主人公のライバル役で途中から出演していました。


 「カバチタレ!」に関してはテーマはいくらでもあり、視聴率も20%前後と良かったので、1クールで終わらなくてと思いましたが、今年['10年]1月から、漫画の続編『特上カバチ!! -カバチタレ!2』をドラマ化したものがTBSで放映されています(こちらも1クール放映、視聴率は10%前後と9年前の"元祖"「カバチタレ!」 と比べると約半分しかなかった)。


「カバチタレ!」22.jpgカバチタレ ドラマ.jpgカバチタレs.jpg「カバチタレ!」●演出:武内英樹/水田成英●制作:山口雅俊●脚本:大森美香●原作:田島隆●出演:常盤貴子/深津絵里/山下智久/篠原涼子/陣内孝則/岡田義徳/香里奈/岡田浩暉/田窪一世/伊藤さおり(北陽)●放映:2001/01~03(全11回)●放送局:フジテレビ
  
「おくさまは18歳」1.jpg「おくさまは18歳」dvd.jpg「おくさまは18歳」松坂.jpg「おくさまは18歳」●監督:湯浅憲明ほか●脚本:佐々木守他●原作:本村三四子●出演:岡崎友紀/石立鉄男/寺尾聰/冨士眞奈美/森川信/秋山ゆり/横山道代/うつみみどり(うつみ宮土理)/内田喜郎/北林谷栄/松坂慶子●放映:1970/09~1971/09(全53回)●放送局:TBS

「おくさまは18歳」松坂22.jpg 松坂慶子(当時18歳)


 【2006年文庫化[講談社漫画文庫]】


《読書MEMO》
●加藤和彦 2009年10月16日自殺(62歳没)
加藤和彦.jpg加藤和彦 自死.jpg

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This page contains a single entry by wada published on 2010年7月30日 22:20.

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