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短篇集第3弾。罪を犯した者たちが何らかの理由で刑罰を免れている。いい意味でも悪い意味でも。
フェルディナント・フォン・シーラッハ  刑罰 00.jpg
刑罰 (創元推理文庫 Mシ 15-5) 』['22年]      『刑罰』['19年]
フェルディナント・フォン・シーラッハ  2.jpg 短篇の名手が、罪と罰の在り方を問うた、デビュー作『犯罪』(2009年)、第2弾『罪悪』(2010年)に続く短編集としては第3弾(2018年3月の原著刊行。原題:Strafe)。「参審員」「逆さ」「青く晴れた日」「リュディア」「隣人」「小男」「ダイバー」「臭い魚」「湖畔邸」「奉仕活動(スボートニク)」「テニス」「友人」の12編を収録。12編の共通項は、作中で罪を犯した者たちが何らかの理由で刑罰を免れていることです(これはシリーズ共通のモチーフとも言える)。

「参審員」... 不幸な男遍歴を重ねてきたキャサリンが、政治団体を経てソフトウェア会社に就職する。ある日、彼女は参審員に任命されるのだったが、実は彼女は精神を病んでおり―。ドイツは参審員制度。日本の裁判員制度も同じ参審員制度だが、事件ごとに選出される日本の裁判員と異なり、ドイツの参審制は任期制となっている。両方に共通する難しさをこの作品は指摘しているように思えた。よく、参審員が被害者証人に感情移入し過ぎることを問題視されるが(そう言えば日本でも裁判員が下す死刑判決が多くなっている)、この作品もそう。ただし、そうした人物を参審員から外してしまった結果、罪人は重罰を免れ、被害者証人の身に何が起きたかという話になっている点が皮肉であり、また衝撃的でもあった。

「逆さ」... 弁護士シュレジンガーは、かつて無罪を勝ち取った依頼人がその後殺人に走ったという経験をきっかけに酒に溺れていた。そんな彼が、殺人事件の国選弁護人になる。被疑者である被害者の妻には動機も手段も証拠もあったが、本人は「殺していません」と言い続ける。そんな折、弁護士の許へ借金の取り立て屋のヤセルがやってきて、弁護士をボコボコにする―。このヤセルが事件解決の糸口をシュレジンガーに与えるというのが面白い。しかし、ヤセルは調書を見ただけで事件の真相がよく分かったなあ(ホームズか刑事コロンボ並み)。この事件が、アル中の弁護士シュレジンガーの復活の糸口にもなることを予感させる。ヤセルは弁護士にとって"恩人"になったということになる。だからシュレジンガーが彼を暴行罪で訴えることはないだろう。

「青く晴れた日」... 乳児を殺した罪で母親が有罪になり刑務所に収監される。出所して自宅に帰ると夫は平然とした態度をしており―。女は夫の身代わりとなることで3年半を棒に振った上に、子ども死の真相が今になって判ったわけで、夫の死は言わば因果応報ではあるけど、他殺死には違いない。でも、女に罪の意識が湧かないものも理解できる。裁判が結審した後で弁護士にすべて話すというのは、一事不再理の原則を下敷きにしてのことか。

「リュディア」... 離婚した男が寂しさを埋めるためにラブドールを買う。ラブドールにはリュディアと名前をつけた。男はリュディアと愛を育むが―。隣人が人形偏愛の変質者の"恋人"を"凌辱"し、その復讐でボコられてれてしまう話。この人形偏愛の男、禁固6カ月で執行猶予付きかあ。「そんなに悪くない」とにラブドールのリュディアに語る男。実質、無罪みたいなものだからなあ。

「隣人」... 24年間連れ添った妻を亡くしたブリンクマン。そんな矢先、隣の家に夫婦が引っ越してくる。ブリンクマンは夫婦の妻の方のアントニーアと親しくなる。アントニーアには亡き妻の面影があった。彼女の夫がクルマの下にもぐり込んでいる時、ブリンクマンは―。この話に出てくるアントニーアはセクシーで魅力的。愛と欲望が発作的犯行を後押しする。その愛ゆえに彼は後悔していないが、何年か後に弁護士にすべてを打ち明けるつもりらしい。これも、一事不再理原則を下敷きにしてのことか。

「小男」... 小男のシュトレーリッツは43歳独身。そんな彼がコカインの取引に手を染める。警察に逮捕されて裁判になるが―。自宅アパートの地下室で5キロのコカインを偶然見つけたことで"大物"犯罪者になる主人公。気分良くしていたら、犯行時に犯した酒気帯び運転の判決が先に下って、麻薬所持の方はその一環の事件と見做され、一事不再理の原則から裁かれないことに。折角"大物"気分でいたのに...(笑)。一事不再理、続くなあ。

「ダイバー」... 恋愛結婚した夫婦。ところが、夫が妻の出産を目の当たりにしてから変になり、彼は自分の首を締めながら自慰をする性癖にふけるようになる。ある日、教会から帰った妻が浴室に入るとに、浴室で自慰行為にふけっていた夫が首吊り状態で死んでいた―。夫がダイバースーツに身を包んでいるというのが、何かドイツっぽい。スキャンダルを恐れ、スーツを脱がせ遺体をベッドに寝かせるなどしたことが、結果的に妻が疑われる原因となった。優先すべきは「現場保存」だったが。妻がカトリック教徒であり、話が聖金曜日から始まり、復活祭の月曜に幕を閉じることから、浴室で首を括っていた夫を下す妻は、あたかもキリスト降架乃至聖母マリアによるピエタ像のようでもある。

「臭い魚」... 160の異なる民族がひしめき合う地区に暮らす11歳の少年トムは、仲間たちに肝試し的に強要されて、戦災に遭ったアパートに〈臭い魚〉とあだ名された老人を侮辱する。ところが、トムは老人の真実を知って後悔することに―。子供というのは、子供だけの世界が存在する分だけ残酷になり得る。トムに疑いがかかり、実際の老人に石を投げて重傷を負わせた連中は罪を逃れる理不尽。

「湖畔邸」... フェーリックス・アッシャーは火炎状母斑があったが、祖父だけは「あざは秘密の地図だ」と語ってくれた。その祖父が所有していたオーバーバイエルンの湖畔の邸に、彼は幼い頃よく遊びに行っていた。50代になって両親を亡くしたアッシャーは、退職して祖父の邸を入手し、そこに住む。ところが、別荘地開発によって地域の静寂が乱され、彼は人が変わってしまう。ある日、邸の地下の武器庫から銃を取り出し―。、結局アッシャーは裁かれなかったが、証拠が無いためなのか、精神異常と見做されたのか。疑わしきは罰せず、独白は個人のプライバシーであるため、自白とは見做されないということなのか。

「奉仕活動」... トルコ移民の娘セイマは、厳格な両親からイスラム教の規範を押し付けられていた。しかし、知的なセイマはそれを嫌がり、司法の道に進む。弁護士事務所に就職したセイマはある日、人身売買の刑事事件を担当することになり、ルーマニアから拉致されて男の相手をさせられていた女性が証言台に立つのだが―。セイマが弁護することになった男は、女性を騙して"奉仕活動"をさせる極悪人だった。セイマが弁護を拒否すると、裁判長に国選弁護人に指名されてしまう(国選って拒否できないのか)。そもそも、この裁判長が被告に証人の証言内容を喋ったのが悲劇の素だが、駆け出し弁護士に降りかかる理想と現実のギャップが痛々しい。それでも、法の世界に背を向けず、なんとか踏みとどまろうとするセイマの苦い心の内。

「テニス」... フォトジャーナリストの女(36歳)。その夫(57歳)はテニスを嗜んでいたが、同時に浮気もしていた。女は浮気の証拠である別の女のネックレスを目立つ場所に置いた後、ロシアに出張する―。妻はそこまで狙ったわけではいが、夫はネックレスに足を滑らせ、大怪我を負う(因果応報?)。テニスクラブで負けることのなかった夫が、現在は車椅子で会話すらできず、同じクラブで今は女がテニスしてる。犯罪ではないが、女の潜在意識が現実化した感じ。夫の介護費用は大丈夫?かと思うが、女は"バリキャリ"のようで心配無さそう。彼女がこれから性を満喫することを予感させるラスト。一緒に暮らし続けることの方が、むしろ怖い。

「友人」...「私」の幼馴染リヒャルトは金持ちの子弟だった。長じてからは一族の財産を管理する銀行に就職し、やがて妻も娶る。ところが、そこから彼は薬物依存となり身持ちを崩す。2年後、リヒャルトからのメールで彼に会ってみると―。子供が授かれないことからくる夫婦の相剋。外へジョギングに出た妻は暴漢に遭って死んでしまい、犯人は殺人罪となったが、妻の運命を変えられたかもしれないという思いがリヒャルトを打ちのめしているということ。事件の犯人は裁かれるが、被害者の夫が、罪は犯してないのに罰を受けているような状況にあるという独自のパターン。最後に、語り手がこの事件をきっかけに、事件簿を記し始めたことが示唆されている。

 冒頭に述べたように、基本形は、罪を犯した者たちが何らかの理由で刑罰を免れているというものですが、それが裁判や法律の限界を示しやるせなさやもどかしさを感じさせるものと、裁かれないことが却って"救い"となっているものがあるのが興味深いです。「悪い意味でもいい意味でも」と言うか、「法律」の限界と「法」の幅とでも言ったらいいのでしょうか。

 作者8年ぶりの短編集ですが、力が落ちていないと言うか、デビュー作『犯罪』(2009年)の切れ味に戻っているように思いました。

【2022年文庫化[創元推理文庫]】


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安楽死(自殺幇助)問題を扱った戯曲。議論の〈拮抗〉から「死ぬ権利」が宗教的な壁を乗り越えつつあると見て取れる。
フェルディナント・フォン・シーラッハ 神.jpgフェルディナント・フォン・シーラッハ 2.jpg フェルディナント・フォン・シーラッハ
』['23年]

 78歳の元建築家ゲルトナーは、医師に薬剤を用いた自死の幇助を求めている。彼は肉体的にも精神的にも健康な状態だ。ただ、愛する妻を亡くし、これ以上生きる意味はないと考えている。ドイツ倫理委員会主催の討論会が開催され、法学、医学、神学の各分野から参考人を招いて、彼の主張について議論することになった。「死にたい」という彼の意志を尊重し、致死薬を与えるべきか? ゲルトナーのホームドクターや顧問弁護士も意見を述べ、活発な議論が展開される。だが、最終的な結論をくだすのは―観客の「あなた」だ―。

 2012年(第9回)「本屋大賞」で初めて「翻訳小説部門」が設けられ、その時に第1位をとったのが、刑事事件弁護士であった著者が2009年に発表したでデビュー作『犯罪』('11年/東京創元社)であり、それから10作目にあたるのが、2020年発表のこの戯曲(原題:Gott)です。作者はミステリ作家ですが、本作について言えば、純文学に近かったです。

「すべてうまくいきますように」2021.jpg 本書にも出てきますが、ドイツでは2015年に連邦議会が自死の介助を医師が行うことを処罰する法律を制定しましたが、2020年に連邦憲法裁判所がこれを違憲無効としています。フランソワ・オゾン監督の「すべてうまくいきますように」('21年/仏・ベルギー)という、安楽死を望む父親を、娘(ソフィー・マルソー)たちがスイスの合法的安楽死協会にフランス当局の追手を振り切って送り届けるという映画がありましたが、今ドイツは安楽死についてはスイスと同様にリベラルなものとなっているようです。この戯曲では、そうした安楽死を巡って揺れ動くドイツ国内さらには国外の情勢を同時並行的背景としながら、安楽死(自殺幇助)の是非についての倫理的議論が展開されていきます。

死ぬということ-医学的に、実務的に、文学的に.jpg 安楽死(医師の臨死介助)を整理すると、①消極的臨死介助(延命医療の中止)、②間接的臨死介助(緩和ケアの投薬で死期を早める)は日本でも容認されていますが、③自死を希望する者に安楽死用の薬剤を投与する自死介助まで容認できるのかどうかが国によって違ってきます(因みに、黒木登志夫『死ぬということ―医学的に、実務的に、文学的に』 ('24 年/中公新書) では、「延命治療拒否(消極的安楽死)」は死に直接介入しないため「安楽死」の概念から外し、「自殺幇助」も「安楽死」から外し、「安楽死」(積極的安楽死)を「延命治療拒否」と「自殺幇助」の中間にあるものと位置づけ、さらにそれを「間接的臨死介助」と「直接的介助」に分けている)。

 この2幕構成の戯曲は、解説の宮下洋一氏も書いているように、第1幕の前半は「目と耳で捉えることができた科学的な世界」でしたが、後半は「神という非科学的世界」であり、難しく感じられ、「この後者の世界を閑却して安楽死を語ることは、欧米人にとって意味を持たない」ということなのだろうなあと思いました。

 宮下氏は、「日本人が『神』から推察できることは何か。それはおそらく、西洋諸国が捉える「死ぬ権利」について、日本人が同じ土俵で語ることは難しいという現実ではないだろうか。現代の西洋的な価値観と宗教観に基づくのであれば、安楽死は必ずしも否定されるべきではないのかもしれない」とも述べています。「彼らは、公然と「死ぬ権利」を主張するように、個が尊重される社会で生きている」「それに対し日本は、自己決定そのものが難しい社会だ」と。

 因みに、2015年から現在(2022年)まで7年間にわたり世界の安楽死を取材してきた宮下氏によると、取材を開始した当初は、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグを始め、アメリカの一部の州のみが、安楽死を容認する代表的な国や州であったのに対し、2016年以降、カナダ、ニュージーランド、スペイン、オーストラリア、イタリア、ドイツと西洋諸国は次々と安楽死の法制化を実現し、フランスも2023年まで安楽死法の可決を目指しているとのことです(2024年12月現在、まだ"議論中"だが、「医師支援による自殺」をフランス人の約9割が支持しているという調査結果もあるようだ)。こうした背景には先進国の少子高齢化などがあるようですが、だからと言って日本もすぐにそうなるかというと、そう簡単にはいかないでしょう。

 この作品を読んで思ったのは、西洋の場合、「安楽死」を巡る問題がそのまま、命とは誰のものか(神が与えてくださったものではないか)という議論に直結するということで(『神』というタイトルに納得)、そうした中で、この作品では安楽死の是非が〈拮抗〉した議論となっています。西洋社会の現況としても、先に述べたように安楽死容認の動きが進んでおり、この作品における〈拮抗〉も、「死ぬ権利」が宗教的な壁を乗り越えつつあることの反映と見て取れるように思いました。ただし、日本ではこの種の葛藤自体が無いため、宮下氏が言うように、日本人は日本人で、独自の死生観を構築していかざるを得ないのでしょう。

《読書MEMO》
世界の安楽死の現状:(医師による自殺幇助は除く)
世界の安楽死の現状.jpg

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短篇集第2弾。時にユニークに、時に衝撃を持って描かれた"事件簿"。

シーラッハ 『罪悪』.jpg シーラッハ 罪悪.jpg  シーラッハ 罪悪2.jpg
罪悪 (創元推理文庫) 』['16年]           『罪悪』['12年]

 2012年より「本屋大賞」で新設された翻訳部門で第1位となった短編集『犯罪』(2009年の原著刊行)に続く短篇集第2弾で(2010年原の著刊行、原題:Schuld)、「ふるさと祭り」「遺伝子」「イルミナティ」「子どもたち」「解剖学」「間男」「アタッシュケース」「欲求」「雪」「鍵」「寂しさ」「司法当局」「清算」「家族」「秘密」の15編が収録されています。本自体の厚さは200ページ前後と前作とほとんど変わりませんが、前作と比べて収録短編の数が少し多く、その分、1作当たりが短めでしょうか。

すなわち前作に比べて短い短編も収録されているというわ

「ふるさと祭り」... 小さな町の六百年祭。町の住人たちからなるブラスバンドの男たちは、みな白粉に口紅、つけ髭で扮装をしていた。転んでビールを浴びた給仕の娘の裸がTシャツに浮かび上がると、突然皆で襲い始めて―。語り手の弁護士としての初仕事が、暴漢たち(といっても元は普通の市民だったはずだが)の弁護かあ。しかも、裁判に勝ってしまう。娘の父親の痛々しさ。弁護士が罪を犯した気分になるのがわかる。

「遺伝子」... 家を出て乞食をしている17歳の少女ニーナと、同じく駅で暮らしていて知り合った24歳の青年トーマス。60歳から65歳くらいの老人に、家に誘われるが、ふとしたはずみで殺してしまい―。好色老人は強姦魔になるまでには至らなかったわけで、後からそれを知ったトーマスがまずいと思ったわけだ。19年(時効成立の1年前か)平穏に暮らしていたのになあ。捜査方法なので、「遺伝子」と言うより、原題通り「DNA」でいいと思う。

「イルミナティ」... 人付き合いの苦手なヘンリーは寄宿学校で出会った60代の美術の女性教師に絵の才能を認めてもらう。ところが秘密結社イルミナティを名乗るグループに目をつけられ、陰惨ないじめのターゲットになってしまう―。男子寄宿学校生らの"生け贄"の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。裁かれるべき者が充分に裁かれないもどかしさ。

「子どもたち」... 妻ミリアム(29歳)と幸せな家庭を築いていたホールブレヒト(38歳)。しかし「24件の児童虐待」容疑(24件中にミリアムの学校の教え子もいた)で捕まってしまったことでホールブレヒトの人生は一変。3年半の禁錮刑の判決が下される―。女の子の嫉妬は怖い。過去の事件が冤罪であった場合、真犯人が少女であったにせよ、マスコミ報道を敢えてしないということがあるのだろうか。

「解剖学」... 勇気を振り絞って声を掛けたのに「タイプじゃないわ」と冷たくあしらわれ恨みに思った男は、女の殺害計画を立てる。解剖道具などすべての準備を整え(サイコパスか)、計画を実行に移すばかりだったが―。まさにこれからとき事故に遭うわけで、相手は過失致死罪なのだが結果として殺人を未遂に終わらせたわけで、1年半の執行猶予付き有罪判決というのは、軽くて済んだということか。

「間男」... 高級紳士服店を経営する48歳のパウスルベルクと弁護士である36歳の妻。サウナでのある出来事を契機に2人はいつしか妻が他の男と関係することに興奮を覚えるようになっておりその秘密の楽しみはうまくいっていたが―。匿名の関係性の中に知っている人間が入ってくると、微妙な変則的(変態的)関係が崩れて、おかしくなってしまうのか。

「アタッシュケース」... ベルリンの環状高速道路で見回りをしていた婦警が、一台の車のトランクを調べると、死体の写真が18枚入ったアタッシュケースが見つかる。運転手は自分は運ぶよう頼まれただけだと言って―。この人の作品はたまにこういう完全迷宮入り事件があるが、「作者の事件簿」という触れ込みにリアリティを持たせるため?

「欲求」...幸せな家庭を築いているもののいつしか自分をからっぽだと思うようになった彼女は、ストッキング売場の棚の前で30分も立ちつくし。やがて一足をコートに押し込んで、レジを通り抜けたが―。不要なものを万引きするのは病気だろう。本当に問題解決したか怪しい。

「雪」... 特別出動コマンド(SEK)に突入され麻薬密売の容疑で捕まった老人。老人は確かに千ユーロで、ブツを小分けしたい密売人に部屋を貸していたのだ。やがて見知らぬ若い女性が面会にやって来て―。老人、女、その恋人。売人を巡る掟は厳しい。老人の女への思い遣りが唯一の救いか。

「鍵」... フランクとアトリスはクスリで儲けるためにロシア人と取引しようとしていた。金を入れた駅のコインロッカーの鍵を預かるのがアトリスの係だったが、飼い犬バディが鍵を飲み込んでしまって―。"鍵"を巡るドタバタ劇。墟リスは間抜けそうに見えて、意外としっかりしていたのかも。

「寂しさ」... 14歳のラリッサは、隣のアパートに住む父の友人のラックなーに脅され、無理やりに乱暴されてしまう。やがてラリッサは体調が悪くなり、吐き気やめまい、腹痛を感じるようになり―。望まない妊娠に至る事件。赤ん坊は死産だったから、殺人ではなく死体遺棄だと思うが、証明しようがないね。一応ハッピーエンドだが、最後に覗く女性の想い。自らの"腹を痛めた子"には違いないか。

「司法当局」... 飼い犬同士の争いがケンカに発展し、相手の犬を蹴った加害者と思しきタュランが逮捕されるが、彼は犬も飼っておらず、そもそも彼は生まれつき脚が悪い。しかしトゥランは何も行動しようとせず―。「事件簿」らしい誤認逮捕の例。

「清算」... アレクサンドラは優しい夫との間にザスキアという娘が生まれ、幸せに暮らしていた。しかし、やがて夫は酔うと彼女に暴力をふるうようになる。ザスキアを連れて逃げ出すが―。DV回避のための夫殺し。裁判長は理解ある人物で、正当防衛が成立。しかし、本当に彼女が殺したのか。ラストの一文が答え。

「家族」... 日本の僧院で修業し、日本の自動車メーカーで働き、退社後は株で儲けてバイエルンの湖近くに豪邸を建てたヴァラー。やがて父親違いの弟フリッツ・マイネリングがブラジルで犯罪で捕まると、助けてやろうするが―。異父兄弟でありながら、片や努力して成功を勝ち取った男と、片や更生できない根っからの犯罪者。ヴァラーの父も喧嘩や泥棒の常習犯だったのだが、その気質が血の繋がりの無い方に引き継がれていた?

「秘密」... カルクマンと名乗る男が毎朝〈私〉の弁護士事務所を訪ねて来てCIA(中央情報局)とBND(ドイツ連邦情報庁)に追われているという話をする。〈私〉は彼を精神科医に連れて行くが―。短い話である分、ラストが効いている(笑った)。

 裁判所や弁護士の力で簡単に解決出来ない複雑な事件が、時にユニークに、時に衝撃を持って描かれた短編集。最初の方は暗い話が多かったけれども、読んでいくうちにいいバランスになっていった感じ。1作当たりが短めであるということもあってか、前作『犯罪』ほどのインパクトはないですが、それぞれの話が短い分読みやすく、また、楽しめる一冊になっています。

【2016年文庫化[創元推理文庫]】

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弁護士の事件簿といった感じ。社会の暗部をリアルに反映する一方で、暖か味も。

シーラッハ 犯罪.jpg シーラッハ 『罪悪』00.jpg
犯罪 (創元推理文庫)』['15年]       Ferdinand von Schirach   『犯罪』['11年]
シーラッハ 犯罪01.jpgシーラッハ.jpg 弁護士である作者の2009年発表のデビュー作で(原題:Verbrechen)、自身の事務所が扱った事件をベースにしたという連作物語集。ただし、文庫解説の松山巖氏は、そう称していることも含めて純然たる創作であろうと述べていて、推測の根拠として守秘義務とその叙述手法を挙げています。ドイツ本国では「クライスト賞」ほか文学賞3冠を受賞。日本では「翻訳ミステリー大賞」にノミネートされたほか、「本屋大賞」で2012年より新設された翻訳部門で1位、「ミステリが読みたい!」(早川書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)、「このミステリーがすごい!」(宝島社)でそれぞれ2位にランクインしています。所収作品は「フェーナー氏」「タナタ氏の茶盌」「チェロ」「ハリネズミ」「幸運」「サマータイム」「正当防衛」「緑」「棘」「愛情」「エチオピアの男」の11編です。

「フェーナー氏」... 開業医フェーナー氏は、今の妻と結婚する前、彼女に懇願されて生涯彼女を捨てないと誓った。その後、共に生活するようになってから彼女の本性が徐々に現れ、彼女から様々な嫌がらせを受ける。それを50年も我慢した氏だったが、遂に耐え切れなくなり、妻を殺める―。現代人にとって「誓う」という行為は何の意味もないとされているが、フェーナー氏は"現代人"ではなかったと作者は説明する。自分が立てた誓いに自分でがんじがらめになってしまったフェーナー氏。普通ならさっさと離婚すればいいのにと思うのだが、身近にもこうした夫婦はいそうで、しみじみとした気分にさせられる。

「タナタ氏の茶盌」... チンピラの若者たちが豪邸に押し入って金庫を奪う。中には現金と高級腕時計のほか、古い陶器が入っていた。彼らは陶器を30ユーロで売る。ところが、それはタナタ家に400年以上にわたって伝わる家宝だった―。ギャングがそのチンピラたちを締め上げて漁夫の利を得ようとするが、なぜかそのギャングらが次々と殺される。背後にいたのは金持ちの老人タナタ氏。非力な風采に似合わず、実はとても恐ろしい人でもあったということか。東洋的神秘主義的な雰囲気もある作品。

「チェロ」... 建設会社2代目のタックラーには、テレーザとレオンハルトという2人の子がいた。タックラーは妻を亡くした後、使用人を介して姉弟を厳しく躾ける。耐え切れなくなった2人は、テレーザが音楽大学に入学するという口実で、町を出る。ある日、レオンハルトが事故で記憶を失ってから悲劇は始まる―。ほとんど神話的な破滅の物語(近親相関)だった。結末からするに、父は父なりに子どもたちを愛していたということか。

「ハリネズミ」... カリムの一家はレバノン人の犯罪者の家系で、末っ子のカリムには8人の兄がおり、いずれも前科者。ところが、カリムだけは彼らと違って天才的頭脳を持つ優等生だった。「狐はたくさんのことを知っているが、ハリネズミはただ1つの大事なことだけ知っている」。周囲は誰もがキツネで自分だけハリネズミ。ただし、そのことを隠して二重生活を送るカリム。窃盗を犯した兄の法廷弁論で、彼は双子トリックの応用で裁判官や検事を煙に巻く―。その賢さを最後まで周囲に気取られないところが、人間的にもクレバー。

「幸運」... 東欧出身のイリーナは祖国で酷い目に遭ってドイツに不法移民し、今はベルリンで売春婦として働く。やがてイリーナはカレという心優しい男性と同居することになるが、ある日、イリーナと客との間に"事件"が起きる―。愛ゆえに自分が罪を被るというのはなかなか出来ない(恋人が罪を犯したと思ってしまったわけだが)。弁護士の導きもあったかと思うが、検察官はその愛の心意気を慮ったととれなくもない。

「サマータイム」... ベイルートの難民キャンプで生まれ育ったアッバスは、ドイツに渡って将来を賭ける。彼は麻薬密売人になり、シュテファニーという女性と恋仲になるが、そのシュテファニーが何者かに殺される―。タイトルがネタバレになっているではないかと思ってしまったが、実は、弁護士が、「写真の中の15時が夏時間に換算されるとすれば、実際には14時になるはずです」と堂々と主張している点がトリックであると、ネットで見て知った(正しくは。は16時になる)。論述トリックだったのか。すると犯人は誰?

「正当防衛」... 男が2人の暴漢にナイフと金属バットで襲われるも、あっさり返り討ちにして2人とも殺害する。逮捕された男は身元不明だった。正当防衛か、それとも過剰防衛か。男が黙秘を通すため、正体は判明しない―。武器を持った暴漢2人を返り討ちし、しかも急所を一撃してとどめを刺していることからして「特殊工作員」か何かとしか考えられないのでは(周辺で起きた事件との関係からみても)。供述も証拠もなければ釈放するしかない。弁護士の腕の見せ所もなく、そのむしゃくしゃした気持ちがラスト一行に表れていた。

「緑」... 伯爵の御曹司フィリップは最近羊を殺害してその目をくり抜くことを繰り返しているようだ。そんな折、彼が駅まで送った女の子が行方不明になる―。結局フィリップは妄想型統合失調症と診断される。殺人などはやっていないというのは、読んでいて大方見当がついた。だだ、人間や動物が数字に見えるという病状が興味深かった。

「棘」... 博物館に就職したフェルトマイヤーは「棘を抜く少年」という彫像に拘りを覚える。果たして少年は足の裏に刺さった棘を抜いたのか気になるのだが、確認するも棘が見当たらない。さらに、彼は他人の靴底に画鋲を仕込み、それを抜くところを見て快感を覚えるようになる―。これも、精神にやや異常をきたした人物の話。思えば、仕事のローテーションが行われなくなり、退職の日までひたすら「棘を抜く少年」の部屋で警備を続けることになってしまったのが、フェルトマイヤーの心がおかしくなっていった原因だろう。

「愛情」... 大学生のパトリックが恋人の背中をナイフで切りつける。その動機は彼が恋人を食べたいと思ったから―。精神異常の話が続くなあ。途中で佐川一政の名前が出てきて、彼は東京でレストラン評論家になってるとのこと。知らなかった。2022〈令和4〉年に73歳で亡くなっている。

「エチオピアの男」... 捨て子のミハルカは学生時代から周囲と上手くいかず、長じてからは身長197cmの大男になっていた。彼は衝動的に銀行強盗をし、その金を持ってエチオピアに飛ぶ。エチオピアで彼は村のために様々な献身をする。しかし、いつしか当局が―。精神異常の話が3つ続いたが、最後はいい人の話というか、メルヘンチックな話で締めた印象。ドイツでの犯罪をエチオピアでの善行で相殺―ドイツの検察は国際的に中立の立場を取るということか。

 ミステリと言っても純粋なミステリではなく、弁護士の事件簿といった感じで、今まであまり見ないタイプで新鮮でした。創作であるにしても、実際の事件からヒントを得たのでしょう。ドイツ社会の暗部や歪みがリアルに反映されています。一方で、客観的な描写スタイルをとりながらも、人間に対する暖かい眼が感じられました。(解説で知ったのだが)11篇のすべての作品には林檎が出てくるという遊びなども愉しめます。

【2015年文庫化[創元推理文庫]】

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独特の映像美。やはりこの監督の作品は高画質で観るに限ると改めて思った。

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ノスタルジア [DVD]
「ノスタルジア」1.jpg イタリア中部トスカーナ地方、朝露にけむる田園風景に男と女が到着する。モスクワから来た詩人アンドレイ・ゴルチャコフ(オレーグ・ヤンコフスキー)と通訳のエウジュニア(ドミツィアナ・ジョルダーノ)。二人は、ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿っていた。18世紀にイタリアを放浪し、農奴制が敷かれた故国に戻り自死したサスノフスキーを追う旅。その旅も終りに近づく中、アンドレイは病に冒されていた。古の温泉地バーニョ・ヴィニョーニで「ノスタルジア」2.jpg、二人はドメニコという男と出会う。彼は、世界の終末が訪れたと信じ、家族で7年間も家に閉じこもり、人々に狂信者と噂される男だった。ドメニコのあばら屋に入ったアンドレイは、彼に一途の希望を見る。ドメニコは、広場の温泉を蝋燭の火を消さずに渡り切れたなら世界はまだ救われると言うのだ。アンドレイが宿に帰ると、エウジェニ「ノスタルジア」3.gifアが恋人のいるローマに行くと言い残して旅立った。再びアンドレイの脳裏を故郷のイメージがよぎる。ローマに戻ったアンドレイは、エウジェニアからの電話で、ドメニコが命がけのデモンストレーションをしにローマに来ていることを知る。ローマのカンピドリオ広場のマルクス・アウレリウス皇帝の騎馬像に登って演説するドメニコ。一方、アンドレイはドメニコとの約束を果たしにバーニョ・ヴィニョーニに引き返し、蝋燭に火をつけて広場の温泉を渡り切ることに挑む決意をする。演説を終えたドメニコがガソリンを浴び火をつけて騎馬像から転落した頃、アンドレイは、火を消さないようにと、二度、三度と温泉を渡り切る試みを繰り返すのだった―。

 アンドレイ・タルコフスキーが1983年にイタリアで製作したイタリア、ソ連合作映画。1983年・第36回「カンヌ国際映画祭」創造映画大賞(「監督賞」相当)受賞作(「国際映画批評家連盟賞」「エキュメニック審査員賞」も併せて受賞)。ローマのチネテカ・ナチオナーレの協力で 4Kで 修復が行われ、「ノスタルジア」5.jpgボローニャ復元映画祭2022でワールドプレミア上映されたものが日本でもロードショー公開されたので観に行きました。そして、やはりこの監督の作品は独特の映像美が真骨頂であり、4Kで観るに限ると改めて思った作品でした。

 主人公のアンドレイには、その名の通り、祖国を追放になったタルコフスキー自身が反映されているし、彼がその足跡を辿る放浪詩人サスノフスキーにもそれは反映されているとみていいでしょう。彼の故郷の記憶が夢に甦る場面は、「惑星ソラリス」('72年)や「」('75年)にも通じるところがあるように思いました。哲学的なムードが漂いますが「ノスタルジア」という情緒的なタイトルのもと、映像詩として鑑賞すれば、意外とシンプルに伝わってくる作品ではないでしょうか。
  
「ノスタルジア」4.jpg タルコフスキー作品は、'80年に「岩波ホール」で「鏡」を観て、その今までどの映画でも観たことのない類の映像美に圧倒されました。3年後の'83年3月に「大井ロマン」で再見しましたが、その際に併映だった「ストーカー」('79年)は、観ていてSF仕立ての筋を追いすぎたせいか、逆にあまり頭に入ってきませんでした(結局何も起こらないので眠くなった(笑))。同年5月に「大井武蔵野館」で「惑星ソラリス」を観ましたが、これも同様、あまり頭に入ってこない。ところが'23年に「シネマブルースタジオ」で「惑星ソラリス」を再見して、こんな分かりやすい映画だったかと(クリストファー・ノーランの「インセプション」('10年/米)を観た時、おそらくそれに影響を与えたと思われるこの作品のあらすじを改めて確認していたというのもある)。そこで今回は、先述の通り、最初からタルコフスキー独自の映像詩としての美しさを堪能するつもりで、あらすじの方は事前に押さえた上で鑑賞しました。そしたら、いい具合に堪能できました(こうした作品は、そういった鑑賞法もあるかも)。

 今のところ、タルコフスキー映画の'72年以降5作の個人的評価は、評価の高い順位に、
 「」('75年)..................... ★★★★★
 「惑星ソラリス」('72年)....... ★★★★☆
 「ノスタルジア」('83年)....... ★★★★
 「サクリファイス」('76年).... ★★★☆
 「ストーカー」('79年)......... ★★★
とちょうど段階的になっている感じで、ただし、「ストーカー」なども観直してみたら「ソラリス」みたいに評価が変わるかもしれません。とにかく、寝不足で映画館に行かない方がいいのは確かです(笑)。

ノスタルジア [DVD]
「ノスタルジア」0.jpg「ノスタルジア」6.jpg「ノスタルジア」●原題:NOSTALGHIA(英:NOSTALGIA)●制作年:1983年●制作国:イタリア・ソ連●監督:アンドレイ・タルコフスキー●製作:レンツォ・ロッセリーニ/マノロ・ポロニーニ●脚本: アンドレイ・タルコフスキー/トニーノ・グエッラ●撮影:ジュゼッペ・ランチ●時間:126分●出演:オレーグ・ヤンコフスキー/エルランド・ヨセフソン/ドミツィアナ・ジョルダーノ/パトリツィア・テレーノ/ラウラ・デ・マルキ/デリア・ボッカルド/ミレナ・ヴコティッチ●日本公開:1984/03●配給:ザジフィルムズ●最初に観た場所:Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下(24-02-13)(4K修復版)(23-02-08)(評価:★★★★)

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しっかり西部劇している「アウト・ウェスト」。ギミック中心、キートンが女装する「初舞台」。

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「ファッティとキートンのアウト・ウェスト(デブ君の出稼ぎ)」
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「デブの舞台裏(ファッティとキートンの初舞台)」

 西部開拓時代、流れ者のファッティ(ロスコー・アーバックル)は、西部に向かう列車の貯水タンクに潜入するも、乗客の食べ物をかすめ取っていたのがバレて砂漠に放っぽり出される。喉の渇きを癒すため何とか湧き水に辿り着いたのもつかの間、インディアンに追アウト・ウェスト 名手.jpgわれる身に。一方、「ラストチャンス酒場」の経営者兼保安官のキートンは、ワイルド・ビル(アル・セント・ジョン)の盗賊一味に店を襲われ、バーテンダーが撃たれてしまう。そこへ偶然インディアンから逃れてやってきたファッティが実は拳銃の名手で、盗賊一味を一人で追っ払ってしまう。ファッティは新たにバーテンダーとしてキートンの店に雇われ、店を訪れたまたま皆に虐められていた黒人を救った優しい女性スー(アリス・レイク)と恋に落ちる。その彼女に、再び店を訪れたワイルド・ビルがしつこく言い寄るため、ファッティとキートンは協力して彼を追い出す。しかし、復讐の念に駆られたワイルド・ビルによってスーは攫われてしまう―。

 ロスコー・アーバックルが監督した1918年1月20日米国公開作。結構大掛かりなロケで、しっかり"西部劇"していたなあという印象。これもあくまでもロスコー・アーバックルが主演で、最後はワイルド・ビルからヒロインを奪う返して2人してハッピーエンドとなる一方、キートンの方はワイルド・ビルの手下たちと応戦し、援護している位置づけ。それでいて、ロケのスケールに相応しいアクションの部分は、ロスコー・アーバックルも崖から転がり落ちるなどして奮闘してはいるものの、やはりキートンが担っている部分が大でしょうか。

アウト・ウェスト 酒場.jpg キートンが酒場で、トランプでアウト・ウェスト 求人.jpgいかさまをした男をあっさり撃ち殺してしまうのは、彼が保安官でもあるからでしょうか。盗賊が襲って来て、バーテンダーが撃ち殺されると、ホールドアップしたたまま新たなバーテンダーの求人を出す―ハードボイルドと冷静さを気取っているキートンが可笑しいです。ただ、黒人いじめにファッティもキートンも加担しているのはいただけません。スーが現れ、彼らを反省させる伏線ともとれますが(スーは「救世軍」の女性という設定らしい)。

アウト・ウェスト 馬.jpg アル・セント・ジョン演じるワイルド・ビルの、フアウト・ウェスト 父.jpgァッティがビール瓶で頭を何度叩いても意に介さず女性に言い寄り続ける屈強ぶりがターミネーターみたいでスゴイというよりシュールです(ただし、くすぐりに弱い)。ファッティは客の馬に酒を飲ませて酔わせるといった悪戯好きですが、馬が酔っぱらう演技はどうやって撮ったのでしょう? キートンの父親のジョー・キートンが出ているようですが、冒頭のファッティの食べ物をかすめ取られる3人の乗客の中央の人物がそれでしょうか。


デブの舞台裏 提案.jpg ファッティ(ロスコー・アーバックル)、キートン、アル・セント・ジョンら3人は、劇場の舞台係(ステージハンド)として働いていた。舞台では次の公演に向けて準備が進んでいたが、強面の出演者、怪力男の"玉葱教授"(チャールズ・A・ポスト)たちが反抗してストライキを起こし、ショーをボイコットしたため、彼らは困り果てる。そこへモリー・マローン演じる、玉葱教授にこき使われて離反した助手(兼愛人?)がやって来て、自分たちでショーをやることを提案、3人はその決意をする。ショーが始まり、まずは助手によるヒロインの美女の妖艶な踊り。続いて彼女と入れ替わったキートンも女装で登場し、蝶のような踊りや手を使わない側転など、アクロバティックな演技を披露。エンディングでのファッティと自分の助手との濃厚なラブシーンを見て怒った玉葱教授は観客席から銃を発砲。その彼をキートンがブランコを使って舞台に引き摺り下ろし、無事制圧する―(「デブの舞台裏」)。

デブの舞台裏 壁.jpg ロスコー・アーバックルが監督した1919年9月7日米国公開作。こちらは室内劇なので、ギミック中心。キートン映画の特徴のひとつに、装置の仕掛けによる笑いがあり、特に「キートンの文化生活一週間 (マイホーム)」('21年)や「キートンの蒸気船」('28年)で見せた家の壁が壊れて倒れてくるものの、キートンはちょうど窓の位置で助かるというシーンが有名ですが、それと同じ仕掛けが、スケールは小さいですが、ロスコー・アーバックルが監督したこの作品でも見られます。

デブの舞台裏 女装1.jpgデブの舞台裏 女装.jpg あとは、舞台劇で(途中でモリー・マローン演じる助手とチェンジして)ヒロインを演じるキートンの女装が見られるのが珍しいでしょうか。アーバックルの方は「ファッティとキートンのおかしな肉屋(デブ君の女装)」('17年)、「ファッティとキートンのコニー・アイランド」('17年)など他の幾つもの作品で女装していますが、キートンの方は、この作品以外では、「キートンの花婿(His Wedding Night)」('17年)で、配達員役でありながら、誤解からウェディングドレスのモデルになるシーンがあるのと、「キートンの即席百人芸」('21年)で、キートンが一人で何役も演じ分ける中に女装のキャラクターがちらっと出てくるぐらいでしょうか。

デブの舞台裏 ポスター.jpg 冒頭のファッティがショーの準備をする中で、壁の開演予告の一部だけ読んで("The Little Laundress"が"undress"に見えた)、ポルノショーと思い込んで急いでチケットを買う通行人も可笑しいです。バルコニー席に現れた彼は、作中で「不埒な目的を持った観客」として表され、王様役のアーバックルの腕の中に飛び込むところを誤ってバルコニー席に飛び込んでしまうキートンをまともに受け止めるという災難に見舞われることになります。

デブの舞台裏 大男.jpg 最後、客席から発砲する(殺人未遂じゃん)玉葱教授役のチャールズ・A・ポスト(1897-1952/55歳没)は当時まだ21歳。大柄ですが、キートンらとの絡みでしっかりアクションしているのは、若いからよく体が動くため? 身長198cmなので、「キートンの文化生活一週間」('20年)以降、後のキートン作品の大男役で常連のジョー・ロバーツ(1871-1923/52歳没)の身長191cmを上回ります。


「ファッティとキートンのアウト・ウェスト(デブ君の出稼ぎ)」●原題:OUT WEST●制作年:1917年●制作国:アメリカ●監督:ロスコー・アーバックル●製作:ジョセフ・M・シェンク●脚本:ロスコー・アーバックル/ナタリー・タルマッジ●撮影:ジョージ・ピータース●時間:25分●出演:ロスコー・アーバックル/バスター・キートン/アル・セント・ジョン/アリス・レイク/ジョー・キートン●米国公開:1918/01(評価:★★★☆)

「デブの舞台裏(ファッティとキートンの初舞台)」●原題:BACKSTAGE●制作年:1919年●制作国:アメリカ●監督:ロスコー・アーバックル●製作:ジョセフ・M・シェンク●脚本:ジャン・ハヴズ●撮影:エルギン・レスレー●時間:26分●出演:ロスコー・アーバックル/バスター・キートン/アル・セント・ジョン/モリー・マローン/チャールズ・A・ポスト●米国公開:1919/09(評価:★★★☆)

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笑うキートンが見られる「コニー・アイランド」。表情も豊かな「自動車屋」。

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「ファッティとキートンのコニー・アイランド(キートンのコニー・アイランド/デブ君の浜遊び)」
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「デブの自動車屋」
ファッティとキートンのコニー・アイランド1.jpg 謝肉祭に沸くニューヨーク。コニー・アイランドの海岸で、恐妻とのデートに退屈したファッティ(ロスコー・アーバックル)は、砂浜に埋まって隠れ、何とか妻を撒くことに成功。一方、パレード見物を終えたキートンとガール・フレンドが遊園地にやって来た。彼女に一目惚れしたファッティは横恋慕を企んで、まんまと彼女を海水浴に誘い出すことに成功する。しかしファッティに合うサイズの貸し水着がなく、太ったおばさんの水着を盗み出す始末。女装して彼女と海水浴場へ繰り出すが―(「ファッティとキートンのコニー・アイランド」)。

ファッティとキートンのコニー・アイランド2.jpg ロスコー・アーバックルが監督した1917年10月29日米国公開作。一人の女性を巡って、ロスコー・アーバックルと彼の従兄弟のアル・セント・ジョン、そして、アーバックルにスカウトされて映画界入りした軽業師バスター・キートンの3人が奪い合いをするドタバタするコメディ。自分の女装姿にまんざらでもないファッティが可愛らしいです。アーバックルがあくまで主演で、この年に映画ファッティとキートンのコニー・アイランド3.jpg界入りしたバスター・キートンはまだ助演ですが、ゴーカートでの衝突やバック転など、鍛えぬかれた肉体の演技を披露しています。

大笑いするキートン

 スクリーンで笑わないことで知られるキートンですが、そんな彼が、間抜けな若者と髭の警官の2役を演じたこの映画では、笑う場面があることが注目点でしょう。「笑わぬ喜劇王」のキャラクターがまだ出来上がっていなかったことを表しています。自身監督した「キートンの文化生活一週間」('20年)以降、キートンという俳優は演技では本当に笑わないキャラクターに徹した人で、演技Buster Keaton/This is Your Life.jpgがだけでなくプライベート写真でもインタビュー・フィルムでも無表情を貫いています(普段はよく笑うが、カメラが回ると絶対に顔を崩さないよう徹底していたという妻の証言もあるが)。1957年に英BBCの「This is Your Life」という番組に出演した際も(最初は眼鏡をかけて登場する)、若い頃の自分のそっくりさんが出てきたりしてもニコリともせず、一方で、しれっとロスコー・アーバックルにまつわる(追慕を込めた)冗談をかましており、サービス精神はなおも旺盛、その放送分は米国で「Buster Keaton/This is Your Life」('57年/米)というDVDになっています(IMDb評価 7.6(初放映時の原版テープがYouTubeにあった。DVDでは削除されているCMが入っている))。この姿勢は70歳近くなった晩年に作られた「線路工夫(The Railrodder)」('65年/カナダ)という25分ほどの小品や、その撮影の椅子を記録した「キートン・ライズ・アゲイン」('65年/カナダ)でも踏襲されています。


デブの自動車屋 0.jpg 自動車屋で働くファッティとキートン。二人のドジで、ガレージはいつもてんやわんやの大騒ぎ。ある日、ガレージのオーナーの娘モリー(モリー・マローン)にしつこく言い寄ってくる求婚者ジム(ハリー・マッコイ)が、バラの花束を抱えてやって来た。ところが花束はファッティたちのおかげで油まみれになり、受け取ったモリーの顔は真っ黒に。そのせいでモリーに嫌われてしまったジムは、復讐のためにファッティたちに犬をけしかける。犬にお尻を噛まれてズボンが脱げてしまったキートンは、警官に追われる羽目に...。一方、ひょんなことからガレージに閉じ込められてしまったジムは、二人に気付かれる前に逃げ出そうと画策しているうちに、火事を起こしてしまう。激しい火の手が上がり、モリーとジムは逃げ遅れてしまう。消防士でもあるファッティとキートンは、懸命に消火活動にあたるが、穴が開いたホースから水が漏れてしまい、なかなか鎮火できない―(「デブの自動車屋」)。

デブの自動車屋 02.jpg こちらもロスコー・アーバックルが監督した1920年1月11日米国公開作。キートンの頭がちょこんと当たっただけで自動車が発進したり、ガソリンまみれの男の横で煙草に火をつけようとしたり、下着姿を隠す為にポスターからキルト・スカートを剥ぎ取ったりと趣向は盛沢山で、キートンのアクションも全開。後の「笑わぬ喜劇王」キートンは「無表情の喜劇王」キートンでもあるわけですが、ここでは表情も豊かです。

デブの自動車屋 01.jpg 自動車修理工の話で、皆オイルで顔が真っ黒になるのはコメディの常道。キートンとファッティがコンビネーション発揮して警察にバレないように歩くシーンが面白く、キートンはポールを逆立ちしながら昇ったして、その身体能力の高さを窺わせます。

 途中から消火活動の話になって、そっか、何故そうなのかよく分からないけれど、自動車屋は消防署でもあったのかと(後の「キートンの鍛冶屋」('22年)では鍛冶屋が自動車修理屋を兼ねていたが)。消火活動にあたる面々がランチタイムになるとまだ火が燃え盛っていて、美女が助けを求めているのに引き揚げてしまうのは何に対する皮肉でしょうか。


「ファッティとキートンのコニー・アイランド(キートンのコニー・アイランド/デブ君の浜遊び)」●原題:CONEY ISLAND●制作年:1917年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ロスコー・アーバックル●製作:ジョセフ・M・シェンク●撮影:ジョージ・ピータース●時間:24 分●出演:ロスコー・アーバックル/バスター・キートン/アリス・マン/アル・セント・ジョン●米国公開:1917/10●最初に観た場所:アートシアター新宿(84-05-27)(評価:★★★☆)●併映:「デブの自動車屋」「キートンの文化生活一週間(マイホーム)」「キートン・ライズ・アゲイン」

This Is Your Life [VHS]」「"This Is Your Life" Buster Keaton (TV Episode 1957)
This Is Your Life [VHS].jpg「Buster Keaton/This is Your Life(S5 E28)」●制作年:1957年●制作国:アメリカ●製作総指揮・司会:Buster Keaton/This is Your Life 1957.jpgラルフ・エドワード●演出:リチャード・ゴットリーブ●ゲスト出演:バスター・キートン/エディ・クライン/ドナルド・クリスプ/レッド・スケルトン/ドナルド・オコナー/エレノア・ノリス・キートン/ハリー・キートン/ルイーズ・キートン●米国放映:1957/04(評価:★★★☆)
  
  
   
 
「デブの自動車屋」●原題:THE GARAG●制作年:1920年●制作国:アメリカ●監督:ロスコー・アーバックル●製作:ジョセフ・M・シェンク●脚本:ジャン・ハヴズ●撮影:エルジン・レスリー●時間:22分●出演:ロスコー・アーバックル/バスター・キートン/モリー・マローン/ハリー・マッコイ/リューク(犬)/アリス・レイク(ノンクレジット)●米国公開:1920/01●最初に観た場所:アートシアター新宿(84-05-27)(評価:★★★☆)●併映:「キートンのコニー・アイランド(デブ君の浜遊び)」「キートンの文化生活一週間(マイホーム)」「キートン・ライズ・アゲイン」


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キートンの映画デビュー作「おかしな肉屋」。アクションのピークを感じさせる「給仕」。
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「ファッティとキートンのおかしな肉屋(デブ君の女装)」

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「デブの給仕」
   
ファッティとキートンののおかしな肉屋01.jpg 肉屋に勤めるファッティ(ロスコー・アーバックル)と客のキートン(バスター・キートン)。ファッティは、店主の娘アーモンダイン(アリス・レイク)と恋愛関係にある。娘が入っている寄宿学校に女装して侵入するファッティだが、恋敵のスリム(アル・セント・ジョン)も女装して侵入してきて鉢合わせ。ドタバタの末、ファッティと娘は2人で逃げ出し、結婚することになる―(「ファッティとキートンのおかしな肉屋」)。

ファッティとキートンののおかしな肉屋02.jpg ロスコー・アーバックルが監督した1917年4月23日米国公開作。アーバックルにスカウトされて1917年にニューヨークへ渡り映画界入りした軽業師バスター・キートンの映画初出演作ですが、主演はあくまでアーバックルで、キートンは、アーバックルの従兄弟のアル・セント・ジョンに次いで3番手ぐらいでしょうか。

ファッティとキートンののおかしな肉屋03.jpg 前半はお店でのドタバタでファッティの包丁捌きと肉のコントロールがなかなか凄く、勢いあるの小麦粉の投げ合いも完成度は高いです。キートンの動きもまさに現役軽業師のそれで、キレキレ。後半は寄宿学校でのドタバタで、アーバックルの女装に次いで恋敵役のアル・セント・ジョンも女装(客のキートンはなぜ彼について寄宿学校へ行った?)。思い切りの良いアクションが楽しい作品ですが、キートンは新人にして1度も撮り直し必要とせずに演じ切ったそうです。


デブの給仕12.jpg 高級なのに世界一サービスの悪いホテルで働くベル・ボーイの2人(ロスコー・アーバックル/バスター・キートン)。キートンは、同僚のファッティの恋を実らせるため、銀行強盗のフリをし、そこにファッティが駆けつけ事件を解決することで、彼女を振り向かせるというシナリオを練る。しかし、そこに本物の銀行強盗が現れて―(「デブ君の給仕」)。

 同じくロスコー・アーバックルが監督した1918年3月18日米国公開作。この作品もアーバックル主演ですが、キートンはアル・セント・ジョンを抑えて2番手の位置づけに来ていると言っていいのではないかと思います。

デブの給仕18.jpgデブの給仕13.jpg 前半は、アーバックルがベル・ボーイのほかに床屋も兼ね、客の髪や髭をいじるとその客がリンカーンになったりグラント将軍になったりという寄席芸っぽいギャグを披露。それが後半になると、相方キートン(「おかしな肉屋」の時の3番手から完全にアーバックルの相方に"昇進"している)のアクションが炸裂し、もしかしたらこの頃の彼のアクションが一番ピークだったのではないかと思わせるほどです。

デブの給仕17.jpg ホテルのエレベーターが、ボタンを押すとホテルの表の鈴が鳴り、それに合わせて馬がロープを引っ張り箱が昇降するという、まさに「1馬力エレベーター」の仕組みが可笑しいです(アル・セント・ジョンはこのエレベーター係(馬係?)に後退)。こうした後年のキートン作品の雰囲気も感じさせるメカニカルなギャグも冴えわたり、最後は銀行強盗にハイジャックされたトローリーカーが斜面を逆走してホテルのロビーに突っ込むという、「スピード」('92年/米)並みの大掛かりな仕掛けに。

 前半がコミカルなギャグで、その部分をアーバックルが主に担い、後半がアクションで、その部分はキートンが持ち分を発揮しているという点で、この2作は通じるところがあるように思いました。

ファッティとキートンののおかしな肉屋0.jpgファッティとキートンののおかしな肉屋000.jpg「ファッティとキートンのおかしな肉屋(デブ君の女装)」●原題:THE BUTCHER BOY●制作年:1917年●制作国:アメリカ●監督:ロスコー・アーバックル●製作:ジョセフ・M・シェンク●脚本:ロスコー・アーバックル/ジョセフ・アンソニー・ローチ●撮影:フランク・D・ウィリアムズ●時間:30分●出演:ロスコー・アーバックル/バスター・キートン/アル・セント・ジョン/アリス・レイク/ルーク(犬)●米国公開:1917/04(評価:★★★☆)

「デブ君の給仕」●原題: THE BELL BOY●制作年:1918年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ロスコー・アーバックル●撮影:エルジン・レスリー●時間:33分●出演:ロスコー・アーバックル/バスター・キートン/アル・セント・ジョン/アリス・レイク●米国公開:1918/03(評価:★★★☆)

BUSTER KEATON: SHORTS COLLECTION 1917-23 (5 DISCS)」(言語:英語)
BUSTER KEATON SHORTS COLLECTION 1917-23.jpgDisc1
ファッティとキートンのおかしな肉屋(デブ君の女装)(The Butcher Boy , 1917)
デブ君の入婿 (The Rough House, 共同監督, 1917)
デブ君の結婚 (His Wedding Night, 1917)
デブ君の医者 (Oh Doctor, 1917)
ファッティとキートンのコニー・アイランド(デブ君の浜遊び) (Coney Island, 1917)
ファッティとキートンのアウト・ウェスト(デブ君の出稼ぎ) (Out West, 1918)
Disc2
デブ君の給仕 (The Bell Boy, 1918)
デブ君の巌窟王 (Moonshine, 1918)
ファッティとキートンのグッドナイト・ナース(デブ君の入院) (Good Night, Nurse!, 1918)
デブのコック (The Cook, 1918)
デブの舞台裏(ファッティとキートンの初舞台) (Back Stage, 1919)
飼葉の種 (The Hayseed, 1919)
デブの自動車屋 (The Garage, 1919)
Disc3
キートンのハイ・サイン (The High Sign, 共同監督, 1921)
文化生活一週間(キートンのマイホーム) (One Week, 共同監督, 1920)
キートンの囚人13号(ゴルフ狂の夢) (Convict 13, 1920)
キートンの案山子(スケアクロウ) (The Scarecrow, 共同監督, 1920)
キートンの隣同士 (Neighbors, 共同監督, 1920)
キートンの化物屋敷 (The Haunted House, 共同監督, 1921)
キートンのハード・ラック(悪運) (Hard Luck, 共同監督, 1921)
Disc4
キートンの強盗騒動(悪太郎) (The Goat, 1921)
キートンの即席百人芸(キートンの一人百役) (The Playhouse, 共同監督, 1921)
キートンの船出(漂流) (The Boat,兼脚本, 共同監督, 1921)[18]
キートンの白人酋長(キートンの酋長、キートンのハッタリ酋長) (The Paleface, 共同監督, 1922)
キートンの警官騒動 (Cops, 1922)
キートン半殺し(キートンの猛妻一族、キートンの飴ン棒、キートンの華麗なる一族) (My Wife's Relations, 1922)
Disc5
キートンの鍛冶屋 (The Blacksmith, 1922)
キートンの北極無宿 (The Frozen North, 共同監督, 1922)
成功成功(キートンの白日夢) (Day Dreams, 共同監督, 1922)
キートンの電気屋敷(電気館) (The Electric House, 共同監督, 1922)
キートンの空中結婚(キートンの昇天) (The Balloonatic, 1923)
捨小舟 (The Love Nest, 共同監督, 1923)
ファッティとキートンのおかしな肉屋(デブ君の女装)(The Butcher Boy , 1917)
デブ君の入婿 (The Rough House, 共同監督, 1917)
デブ君の結婚 (His Wedding Night, 1917)
デブ君の医者 (Oh Doctor, 1917)
ファッティとキートンのコニー・アイランド(デブ君の浜遊び) (Coney Island, 1917)
ファッティとキートンのアウト・ウェスト(デブ君の出稼ぎ) (Out West, 1918)

Disc2
デブ君の給仕 (The Bell Boy, 1918)
デブ君の巌窟王 (Moonshine, 1918)
ファッティとキートンのグッドナイト・ナース(デブ君の入院) (Good Night, Nurse!, 1918)
デブのコック (The Cook, 1918)
デブの舞台裏(ファッティとキートンの初舞台) (Back Stage, 1919)
飼葉の種 (The Hayseed, 1919)
デブの自動車屋 (The Garage, 1919)

Disc3
キートンのハイ・サイン (The High Sign, 共同監督, 1921)
文化生活一週間(キートンのマイホーム) (One Week, 共同監督, 1920)
キートンの囚人13号(ゴルフ狂の夢) (Convict 13, 1920)
キートンの案山子(スケアクロウ) (The Scarecrow, 共同監督, 1920)
キートンの隣同士 (Neighbors, 共同監督, 1920)
キートンの化物屋敷 (The Haunted House, 共同監督, 1921)
キートンのハード・ラック(悪運) (Hard Luck, 共同監督, 1921)

Disc4
キートンの強盗騒動(悪太郎) (The Goat, 1921)
キートンの即席百人芸(キートンの一人百役) (The Playhouse, 共同監督, 1921)
キートンの船出(漂流) (The Boat,兼脚本, 共同監督, 1921)[18]
キートンの白人酋長(キートンの酋長、キートンのハッタリ酋長) (The Paleface, 共同監督, 1922)
キートンの警官騒動 (Cops, 1922)
キートン半殺し(キートンの猛妻一族、キートンの飴ン棒、キートンの華麗なる一族) (My Wife's Relations, 1922)

Disc5
キートンの鍛冶屋 (The Blacksmith, 1922)
キートンの北極無宿 (The Frozen North, 共同監督, 1922)
成功成功(キートンの白日夢) (Day Dreams, 共同監督, 1922)
キートンの電気屋敷(電気館) (The Electric House, 共同監督, 1922)
キートンの空中結婚(キートンの昇天) (The Balloonatic, 1923)
捨小舟 (The Love Nest, 共同監督, 1923)

 

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都会的要素が入り交ざりシュールな「北極無宿」。キートンのギミック趣味が満載「電気屋敷」。

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「キートンの北極無宿」
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「キートンの電気屋敷」
キートン dvd4.jpgバスター・キートン傑作集(4) [DVD]」(「北極無宿」「電気屋敷」「成功成功」「空中結婚」「捨小舟」所収)

キートンの北極無宿01.jpg 大雪原の真ん中に地下鉄の駅がある。その出口から出てきたバスターの出で立ちは、西部劇スターのウィリアム・S・ハートのカナダの騎馬警官隊員役を演じる時風だった。雪原を歩いて通りかかった酒場は、窓から覗くと酒あり博打あり踊り子ありのいかにもなウェスタン酒場。バスターはなぜか無性にキートンの北極無宿02.jpg西部劇でよくあるような強盗をしたくなり、実行に移すが結局うまく行かず、わが家に帰ることにする。家に入ると、暖炉の前で妻が男と愛を囁いている。最愛の妻の裏切りに涙するも、哀しみの感情はやがて憎しみに変わり、二人を撃ち殺してしまう。しかしよく見たら自分の家じゃない。「こりゃまた失礼」とその場を後に。本物のわが家では、本物の妻が愛情たっぷりに迎えてくれるが、バスターは冷たくあしらう。妻は泣き叫び、取りすがった十字架が頭に落ちて卒倒する。女の叫び声を不審に思った警官が様子を見に来るが、抜け目なくごまかすバスター。狡猾で好色な人間になりきっているバスターは、今度は隣の若奥さんに目を着ける。隣の家では夫が単身で出張する予定だったが「バスターのようなのがいる限り安心できない」と二人で出発することにした。犬橇で目的地に向かった二人の後をバスターが追う、その嫌らしい執念深さは、まるで「愚かなる妻」のエーリッヒ・フォン・シュトロハイムのようだった―(「キートンの北極無宿」)。

キートンの北極無宿07.jpg キートン・プロのキートン監督・出演作の【第15作(米国公開日:1922年8月28日)】。キートンには珍しいパロディのオンパレードで、当時人気の西部劇スター、ウィリアム・S・ハートの出で立ちで登場するキートン。ハートが必ず一作中に見せる男涙をギャグにしたため、この後しばらくハートから断交されたという逸話もあるそうですが、コレ、キートンの盟友ロスコー・アーバックルに殺人の容疑がかけられた事件の際に、ハートがアーバックルが有罪であるような主張をしたというのが因縁としてあり、それでキートンは彼を徹底的にパロディ化して糾弾したようです。

キートンの北極無宿03.jpg テーマは同年にヒットした、カナダ北部で暮らすイヌイットの文化・習俗を記録したドキュメンタリー「極北の怪異」(1922)か取られており、舞台は"北極"と言うよりイメージ的にはアラスカでしょうか(シロクマはなく黒い熊が出てくる)。ただし、実際のロケ地は米カリフォルニア州のトラッキー郊外にあるダナー湖だそうです(ここは「チャップリンの黄金狂時代」('25年)のロケ地にもなったが、あの作品も舞台はアラスカを想定している)。何れにせよ、雪原に地下鉄の駅の出口があったり、「タクシー」と言って馬橇を止めたりと、都会的要素が入り交ざるシュールでキッチュな展開は「極北の怪異」にはないオリジナルでしょう(笑)。

 キートンは珍しく悪役ですが、ここまで鬼畜に徹していると、これは何かありそうだなと思ったら、映画のラストにオチが用意されていました。劇中のバスターが見せる軍服姿のロシア将校は、これも同年の「愚かなる妻」(1922)のエリッヒ・フォン・シュトロハイムのモノマネですが、こちらのパロディはシュトロハイムは好意的に受け止めたらしいです。


キートンの電気屋敷01.jpg 今日は州立大学の卒業式。植物学の博士号を得たバスターだったが、ちょっとしたアクシデントにより、電気工学の学位取得を証明する卒業証書を手にしていた。そのおかげで、新しもの好きの大金持ちに、大邸宅の電気技師として雇われることになる。主人たちが休暇の間に邸宅を電気仕掛けに大改造。その結果は主人も満足、何でも自動でやってくれると大好評。それも束の間、雇ってもらえず悔しい思いをした本物の電気工学士が、復讐のためにその館に忍び込むのであった―(「キートンの電気屋敷」)。

 キートン・プロのキートン監督・出演作の【第17作(米国公開日:1922年10月16日)】。前年に製作開始となったが、撮影中のケガで改めて撮り直されたという作品。キートン個人のギミック趣味がふんだんに見られます。

ヴァージニア・フォックス
キートンの電気屋敷07.jpgキートンの電気屋敷02.jpg 階段はエスカレーターのようで、食卓は回転寿司風("流れ寿司"というのに近いか)。食器洗い機まで出てきて...。エスカレーターは当時すでにあったにしても、いろいろな点で予見的。ただし現代の科学水準では少々幼児的にも見え、それが映画全体を幼稚的に見えるものにしているかもしれず、評価は微妙なところでしょうか。

 ただし、キートンはこうしたギミックだけでなく、ケガからに復帰直後にもかかわらずアクションもしっかり見せていて、その点は偉いです。△にするには忍びなく、○としました。


キートンの北極無宿 .jpgキートンの北極無宿04.jpg「キートンの北極無宿」●原題:THE FROZEN NORTH●制作年:1922年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●撮影:エルジン・レスリー●時間:17 分●出演:バスター・キートン/ジョー・ロバーツ/シビル・シーリー/エドワード・F・クライン●米国公開:1922/08(評価:★★★☆) バスター・キートン/シビル・シーリー


「キートンの電気屋敷(電気館)」●原題:THE ELECTRIC HOUSE●制作年:1922年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●撮影:エルジン・レスリー●時間:20 分●出演:バスター・キートン/ジョー・ロバーツ/ヴァージニア・フォックス/マイラ・キートン●米国公開:1922/10(評価:★★★☆)
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私生活における妻の親族へのあてつけ?「半殺し」。ドタバタ喜劇ながらも実験的な「鍛冶屋」。

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「キートンの半殺し」
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「キートンの鍛冶屋」
バスター・キートン傑作集3.jpgバスター・キートン傑作集(3) [DVD]」(「酋長」「警官騒動」「キートン半殺し」「鍛冶屋」所収)

キートンの半殺し01.jpg 様々な言語が飛び交い、住民同士の誤解も絶えない外国人街。ポーランド人のカップルが電話で「そこでは婚姻届の手続きがポーランド語でできますか」と確認、判事は「ええ私はポーランド語以外は話せません」と答える。その判事の職場の向いにバスターが職人をしているパン屋(?)があった。バスターがパン生地をこねているときに入ってきた郵便屋は、バスターのせいで郵便物をぶちまけてしまう。靴の裏に付着した一枚の手紙をバスターは返そうかとも思うが、怒った相手が物を投げてくるので、手紙をポケットにしまい逃げ出す。通りの角でアイリッシュ系の大女ケイトとぶつかる。向かいの窓が割れたのはバスターのせいだと勘違いしたケイトは彼を判事のもとに引っキートンの半殺し02.jpg張っていく。ところが判事もこの二人は先程の電話のカップルに違いないと勘違いし、婚姻の手続きをしてしまう。意外な展開にもケイトは喜び、配偶者を強引に家まで連れていった。妻の家の同居人は父親と四兄弟。その貧しくともアグレッシブな一族は、新しい家族の一員をぞんざいに扱ったが、彼のポケットに「あなたは近々大金を相続できます」という弁護士からの手紙が入っているのを見つけると、態度を一変。早速バスターに舞込むはずの遺産をあてにして多額の借金をし、広々とした高級マンションを購入、豪勢な暮らしを始めるが―(「キートンの半殺し」)。

キートンの半殺し04.jpgキートンの半殺し p.jpg キートン・プロのキートン監督・出演作の【第13 作(米国公開日:1922年5月6日)】。本邦公開当時、冒頭の「パン作り」を"キャンディ・カンパニー"という店のディスプレイ文字から「飴作り」と解釈して、「キートンの飴ン棒」といったタイトルも付けられたりしました。確かにバスターが練っているのは"飴"っぽい感じもしますが、終盤でイースト菌を使ったギミックが出てくるので、やはり「パン」なのかなとも。ただし、イースト酵母を使用した飴は日本でも「酵母飴」などとして市販されており、やはり飴でいいのかも(この辺りは自分にはよくわからない)。

キートンの半殺し03.jpg 外国人との言葉や習慣の違いをネタにしたギャグが幾つかあり、たとえば、妻の家の食卓でなかなか肉にありつけないバスターが、カレンダーを破って家族に金曜日と思わせることで、肉にありつくギャグ(金曜日に肉を食べない習慣は主にカトリック教会系)などがそれ。これまでのキートンの作品には文化の違いによるギャグはあまりなかったので珍しいです(第11作の「キートンの白人酋長」('22年)に戯画化されたネイティブ・アメリカンは登場したが)。

 製作当時のキートンの私生活に潜む彼の妻の親戚一族へのあてつけをカリカチュアしたとの説があり、そうであるならば「半殺し」のタイトルは的を得ていることにはなりますが、「猛妻一族」の方が説明的ではあるかも。ただ、何れにせよ、そうした要因からか、前半は文化的ギャップを描いてアクションの方は抑え気味で、終盤になってようやっと一気に動き出したという感じでしょうか。後の長編作品に繋がるストーリー性の強い作品でもあります。


キートンの鍛冶屋01.jpg バスターは、鍛冶屋の下働き。主人のジョーは、怒ると前後の見境がなくなる乱暴者。ハンマーや車輪が看板にしている磁石に吸い寄せられてしまったのにも気づかず、無くなったのはバスターのせいだと勘違いして突き飛ばす。その様子を通りから見ていた村のシェリフが、二人の間に入って「暴力はいかんよ」とジョーを諭す。その間に署長のバッジやピストルが、磁石のせいで紛失。ジョーが奪ったと勘違いした署長は「そこまでするなら逮捕だな」と仲間をキートンの鍛冶屋02.jpg助っ人にして連行しようとするが、村一番の怪力男は5人がかりでも手に余る。ところが、意外にもバスターのおかげで何とか逮捕に至る。自由に仕事が出来るようになったバスター。しかし、失敗の連続。蹄鉄の好みがうるさい白馬には、車のオイルで黒い跡を付けてしまうし、柔らかな鞍をお望みの女性には、サスペンション効きすぎの鞍を売ってしまう。仕舞いには新品同然の高級車に壊滅的損害を与えてしまう。ここまでやってしまったからには逃げるしかない。一方、例の白馬の持ち主の女性ヴァージニアは家に帰り着き、家族の出迎えを受けるが、母親が愛馬に付いている黒い跡を見て悲鳴を上げる。驚いた白馬は、ヴァージニアを乗せたまま暴走する―(「キートンの鍛冶屋」)。

キートンの鍛冶屋03.jpg キートン・プロのキートン監督・出演作の【第14作(米国公開日:1922年7月21日)】。典型的ドタバタ喜劇ながらも、遠方より顔のアップまでワンカットで迫る奇異なショットから、ラストのオチに繋がるキートンの空間的ギャグの完結法など、短編作品らしからぬ奥行きがあり、実験映画のようにアヴァンギャルドな価値観、ラディカル・ポップな展開が横溢する作品です。

キートンの鍛冶屋04.jpg 最後には蒸気機関車も出てきて、乗り物好きのキートンらしい一作。この映画において鍛冶屋は鍛冶屋でもあり、自動車修理屋でもあるのでしょうか。考えてみれば、馬も自動車も乗り物なので、馬が動力として使われなくなったときに、鍛冶屋が自動車修理工へと移行していくのも自然な成り行きとも言えるかも。1920年代と言えばフォード・モーター社がT型フォードをより大量供給する生産システムの革新にひたすら邁進した時期になります。そんな歴史の流れを知ることのできる作品でした。
  
キートンの半殺し07.jpg「キートンの半殺し(キートンの猛妻一族、キートンの飴ン棒、キートンの華麗なる一族)」●原題:MY WIFE`S RELATIONS●制作年:1922年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●撮影:エルジン・レスリー●時間:22 分●出演:バスター・キートン/ケイト・プライス/ジョー・ロバーツ/モンティ・コリンズ/ウィーザー・デル●米国公開:1922/05(評価:★★★☆)

バスター・キートン/ジョー・ロバーツ/ヴァージニア・フォックス
キートンの鍛冶屋07.jpg「キートンの鍛冶屋」●原題:THE BLACKSMITH●制作年:1922年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/マルコム・セント・クレア●撮影:エルジン・レスリー●時間:20分●出演:バスター・キートン/ジョー・ロバーツ/ヴァージニア・フォックス●米国公開:1922/07●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース(84-01-15)●併映:「キートンの文化生活一週間(マイホーム)」「キートンの強盗騒動(悪太郎)」「キートンの警官騒動」「キートンの船出」「キートンの空中結婚」(評価:★★★☆)

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