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51年ぶりの劇場公開。「実写版ルパン三世」? 1つ1つのシーンを丁寧に撮っている。

「華麗なる大泥棒」p.jpg「華麗なる大泥棒」刑事.png ドクトル・ジバゴ d.jpg
華麗なる大泥棒 [DVD]」(113分版)ジャン=ポール・ベルモンド/オマー・シャリフ 「ドクトル・ジバゴ (字幕版)」[Prime Video]

「ベルモンド特集3」.jpg「華麗なる大泥棒」金庫.jpg アテネに集結したアザド(ジャン=ポール・ベルモンド)、ラルフ(ロベール・オッセン)、レンジー(レナート・サルヴァトーリ)、エレーヌ(ニコール・カルファン)の4人組は、富豪タスコのエメラルドを狙い、門番を縛り上げ、屋敷に侵入する。金庫破りのまっ最中に、門前にパトカーが停車、乗っていたザカリア警部(オマー・シャリフ)の追及をアザドがうまくかわし、大粒のエメラルド36個3億フラン(1「華麗なる大泥棒」カー.jpg00万ドル)相当を奪うことに成功する。翌日国外に脱出するために港に向かった一行だったが、船は修理が必要で5日間足止めされることに。穀物サイロに宝石を隠したアザドたちを不審な車が尾行する。一人で車に乗り込んだアザドは、後を付けていた車と街中で激しいチェイスを繰り広げる。崖の上でようやく停まった車から降りてきたのは、ザカリア警部だった。エメラルドがないことを知ったザカリア警部はアザドたちを泳がせ、宝石の隠し場所を突き止めようとする。そして二重三重の罠をかけ、アザドがいない間に隠れ家にやってきて、ラルフとレンジーに銃を突きつける―。

「華麗なる大泥棒」原作.jpg「華麗なる大泥棒」r.jpg 「地下室のメロディー」('63年/仏)のアンリ・ベルヌイユ監督の1971年公開のフランス・イタリア合作映画で(日本公開も1971年)、ジャン=ポール・ベルモンドが主演を務めたクライムアクション。アメリカの作家デビッド・グーディスの小説が原作で、音楽はエンニオ・モリコーネ。警視ザカリア役に「アラビアのロレンス」('62年/英)、「ドクトル・ジバゴ」('65年/米・伊)のオマー・シャリフ。'19年に初DVD化され、今月['22年9月]、ベルモンド主演作をリマスター版で上映する「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3」(東京・新宿武蔵野館ほか)で、日本初公開時に上映されたオリジナルフランス語版が51年ぶりに劇場公開されました。

「華麗なる大泥棒」9.jpg「華麗なる大泥棒」女.jpg 登場人物やストーリーの構成などから、「実写版ルパン三世」と呼ばれる作品。ベルモンド演じるアザドの雰囲気がそれっぽいと言えばそれっぽいけれど、男性3人の一人ラルフが途中でザカリア警部に射殺され、残ったレンジーが1人で次元大介、石川五ェ門の両方を役割をこなすわけでもなく、エレーヌも峰不二子のようには活躍しないし、ダイアン・キャノン演じる謎の女レアの方がまだ峰不二子に近いにしても、全体的には別物と言えば別物という印象も受け、ビミョーなところです(因みに、「ルパン三世」の連載スタートは1967年で、原作者モンキー・パンチ(1937-2019)が1971年製作のこの映画を参考にすることはあり得ないことになる。「リオの男」('64年/仏・伊)などはあり得るが)。

「華麗なる大泥棒」クルマ.jpg 良かった点は1つ1つのシーンをしっかり撮っている点で、例えば最初の方の金庫破りのシーンなどは、(当時としては最新の?)メカを駆使して金庫の鍵をその場で削って作り、番号を割り出していく様が丁寧に描かれているし、アザドとザカリア警部のコートダジュール市街でのカーチェイスシーンは、普通に人やクルマがいる中、モナコグランプリ並みのカーアクションを延々10分間近く見せます(スティーブ・マックイーンの「ブリット」('68年/米)を想起させる)。ザカリア警部がラルフとレンジーに銃を突きつける緊迫感溢れるシーンもじっくり撮っているし(ラルフが射殺されたのが残念だったが、これは原作通りなのか)、ザカリア警部が食堂でアザドを脅迫する場面では、出てくる料理をいちいち美味しそうに撮っています。

「華麗なる大泥棒」bp.jpg カーチェイスシーンはスタントドライバーがハンドルを握っているのでしょうが、街中でのバスの窓につかまっての逃走シーンや、採石場でダンプカーから落とされて急勾配を一気に転げ落ちてていくシー「華麗なる大泥棒」b4p.jpgン(「キートンのセブン・チャンス」('25年/米)を想起した)はジャン=ポール・ベルモンドが生身でやっているのが分かり、スゴイなと思いました。ベルモント映画でアクションだけでみると、フィリップ・ド・ブロカ監督の「リオの男」('64年/仏・伊)や、同じくアンリ・ヴェルヌイユが 監督した「恐怖に襲われた街」('75年/伊・仏)と並んででかなり上位に来るのではないでしょうか(因みに、IMDbのレーティングは、「リオの男」が7.0、「華麗なる大泥棒」が6.5、「恐怖に襲われた街」が6.9)。

「華麗なる大泥棒」倉庫.jpg ラストの方のザカリア警部との穀物倉庫での対決も、これまたじっくり撮っていて、最後ザカリア警部(銭形警部と異なり、本業と二股掛けてエメラルドを横取りしようとする悪徳刑事だった)は穀物の洪水の中に埋もれて......。これって映画でたまにあるシチュエーションですが、カール・テオドア・ドライヤーの「吸血鬼(ヴァンパイア)」 ('30年/仏・独)あたりが最も古いのではないでしょうか。

 フランス本国版が125分なのに対しアメリカ版は12分ほどカットされた113分版で、‎ 2017年に初めてDVD化された時も113分版でした。おそらく、長回しのシーンの一部がカットされているのでしょう。冗長な印象は無く、完全版が観られて良かったです。

ドクトル・ジバゴp.jpgドクトル・ジバゴ1.jpg でも、ザカリア警部の最期がやや気の毒な気もしました(「ザカリア警部が気の毒」と言うより「オマー・シャリフが気の毒」という感じ。オマー・シャリフと言えば、「アラビアのロレンス」('62年/英)もドクトル・ジバゴ  クリスティ.jpgさることながら、あれはピーター・‎ピーター・オトゥールの主演なので、やっぱり同じくデビッド・リーン監督の「ドクトル・ジバゴ」('65年/米・伊)がいちばんになるでしょうか。ボリス・パステルナーク(1890-1960)による同名小説(パステルナーク自身の唯一の小説)の映画化で、ジュリー・クリスティも超絶の美しさだったし、ドクトル・ジバゴ p.jpgモーリス・ジャールの「ララのテーマ」もよく、メロドラマ大河といった感じ。スケールも大きく、モスクワの町のシーンはスペイン、大平原のシーンはフィンランド、大森林のシーンはカナダのロッキー山脈がロケ地になっていて、キャストの顔ぶれも、エジプト、イギリス、アメリカと多彩でした。

パステルナーク.jpg パステルナークは1958年にノーベル文学賞の受賞が決定しましたが、反体制的な内容の『ドクトル・ジバゴ』の出版とパステルナークのノーベル賞受賞は共にソ連共産党にとって侮辱的で許しがたい出来事であり、KGBの圧力のためパステルナークは授賞式に出るともう祖国の土は踏めないと考えて、渋々受賞を辞退したとのこと。その後、1964年、フランスの哲学者サルトルが文学賞を辞退し、サルトルは、自分が哲学者であるという強い自負からの辞退だったようですが、今のところ文学賞の辞退者はこの二人だけです。


「華麗なる大泥棒」dp.jpg ダイアン・キャノン in 「華麗なる大泥棒」('71年/仏)
「華麗なる大泥棒」b2p.jpg ジャン=ポール・ベルモンド in 「華麗なる大泥棒」('71年/仏)/「リオの男」('64年/仏・伊)/「恐怖に襲われた街」('75年/伊・仏)
リオの男01.jpg 

「華麗なる大泥棒」fp.jpg「華麗なる大泥棒」音楽.jpg「華麗なる大泥棒」●原題:LE CASSE(英題: THE BURGLARS)●制作年:1971年●制作国:フランス●監督・製作:アンリ・ヴェルヌイユ●脚本:アンリ・ヴェルヌイユ/ヴァエ・カッチャ●撮影:クロード・ルノワール●音楽:エンニオ・モリコーネ●原作:デビッド・グーディス●時間:125分●出演:ジャン=ポール・ベルモンド/オマー・シャリフ/ダイアン・キャノン/ロベール・オッセン/レナート・サルヴァトーリ/ニコール・カルファン●日本公開:1971/12●配給:コロンビア●最初に観た場所(オリジナルフランス語版):新宿武蔵野館(22-09-14)(評価:★★★☆)
   
Renato Salvatori, Jean-Paul Belmondo,Henri Verneuil, Omar Sharif and Robert Hossein/Dyan Cannon and Omar Sharif
1971_film_le_casse_verneuil_cast.jpg 1971_film_le_casse_cannon_sharif.jpg

ドクトル・ジバゴ f.jpg「ドクトル・ジバゴ」●原題:DOCTOR ZHIVAGO●制作年:1965年●制作国:アメリカ・イタリア●監督:デヴィッド・リーン●製作:カルロ・ポンティ●脚本:ロバート・ボルトドクトル・ジバゴ  クリスティ2.jpg●撮影:フレディ・ヤング/ニコラス・ローグ●音楽:モーリス・ジャール●原作:ボリス・パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』●時間:197分●出演:オマー・シャリフ/ジュリー・クリスティ/ジェラルディン・チャップリン/トム・コートネイ/アレック・ギネス/ロッド・スタイガー/ラルフ・リチャードソン/ショブハン・マッケンナ/エイドリアン・コリ/リタ・トゥシドクトル・ジバゴ 6.jpgンハム/クラウス・キンスキー/タレク・シャリフ●日本公開:1966/06●配給:メトロジバコ キンスキー.jpg・ゴールドウィン・メイヤー●最初に観た場所:池袋・文芸坐(79-11-22)●2回目:下高井戸・下高井戸京王(85-03-03)(評価:★★★★)●併映(2回目):「大いなる別れ」(ジョン・クロムウェル)

ジェラルディン・チャップリン/ジュリー・クリスティ
ドクトル・ジバゴ い.jpg

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本書を読んで、映画の鑑賞法の原点に立ち返るのもいいのではないか。

『映画を見ると得をする』.jpg映画を見ると得をする b.jpg 映画を見ると得をする d.jpg
映画を見ると得をする (新潮文庫)』「映画を見ると得をする もっと映画が面白くなる」[Kindle版]

映画を見ると得をする (ゴマブックス)』['80年]

 著者は言います。なぜ映画を見るのかといえば、人間は誰しも一つの人生しか経験できない。だから様々な人生を知りたくなる。しかも映画は、わずか2時間で隣の人を見るように人生を見られる。それ故、映画を見るとその人の世界が広がり、人間に幅ができてくる―と。

 まさに至言ではないでしょうか。本書は、シネマディクト(映画狂)を自称する著者が、映画の選び方から楽しみ方、効用を縦横に語り尽くしたものです。個人的に印象に残ったポイントをいくつか拾っていくと―

「料理長殿、ご用心」0.jpg 原題をそのまま題名にするのが流行っている。何かイメージがわく題名なら、中身もいい。... 日本語でいい題がつくときは、映画としてもいいものであるとして、「料理長(シェフ)殿、ご用心」 ('78年/米)がその例で、原作の小説より映画の方がよくできていたとしている。

「ナイル殺人事件」0.jpg 外国映画の「大作」は絶対に観るに値する。失敗作でさえも見るべきところがいっぱい。... 映画自体は失敗作でも、大作はセットも素晴らしいし、ロケにも金をかけていて、「ナイル殺人事件」('78年/英)などは本当にエジプトに行って撮っている」わけでしょと。個人的は、観光映画としても楽しめる要素があったなあ。もし、ツアー旅行にいったらこんな感じなのかなと。

「元禄忠臣蔵」0.jpg「残菊物語」0.jpg 戦前の日本映画には凄い大作があった。例えば「残菊物語」「元禄忠臣蔵」。... 溝口健二の「残菊物語」('39年/松竹)は個人的にも完璧な恋愛・人情ドラマだと思った。「元禄忠臣蔵」('41-'42年/松竹)で、松の廊下を原寸通りに作っちゃったというのも凄いと(確かに)。歴史の中にしか存在しなかったものを、ぼくらの眼前に再現してくれているのが大作の価値だと。

「カサノバ 」フェリーニ0.jpg 「難解きわまる映画」というものがある。ときにはそういう映画で自分を鍛える。...  アラン・レネはどれも難しいと。フェリーニは「81/2」('63年/伊・仏)から後はみなわからなくなっちゃって、「アマルコルド」('73年/伊・仏)で昔のフェリーニに戻って、これはだれが観ても素晴らしかったが、ところが今度「カサノバ」('76年/伊)を撮ったら、やっぱりわからないと。主演のドナルド・サザーランドが、終わってから、「自分は一体どういう役をやったのかさっぱりわからない...」と、いったそうで、ぼくもパリで観たが退屈したと。

「赫い髪の女」0.jpg ポルノをつくっている会社の映画にも、時には観るべきものがある。例えば「赫い髪の女」。... 「赫い髪の女」('79年/にっかつ)は、中上健次の原作がいいし、男と女の愛欲を探究しているものだから、凄いけれど、いやな感じはないと。

 「巨匠」の作品必ずしも秀作にあらず。ただし、美術的感覚に見るべきものあり。... 「」('54年/伊)を作ったころのフェリーニは、大道芸人の可哀そうな女とか哀れな男に本当に共感を持っていたと思うが、フェリーニ自身が大巨匠になっておかしくなってしまったと。

「影武者」1.jpg 黒澤明然り。ただし、筆を持たせたら素晴らしく、「影武者」('80年/東宝)のスケッチなどは大したものであると(著者自身が絵を描くからそう感じるのだろう)。個人的には、かつての黒澤作品のダイナミズムは影を潜め、映画は映像美・様式美に終始してしまった印象。カンヌ国際映画祭でパルムドールを撮ったのは、その様式美がジャポニズムとして受けたのでは。勝新太郎が黒澤監督と喧嘩して主役を降りたけれど、もともと勝新太郎向きではなかった? 映画の完成披露試写会を勝新太郎が観に来たていて、「面白くなかった...俺が出ていたらもっと面白くなってたよ」と言ったそうだ。

椿三十郎 三船 仲代.jpg 「役者を汚して、血を噴出させる」のがリアリズムという日本映画の馬鹿の一つ覚え。... 最初にやったのが黒澤明の「椿三十郎」('62年/東宝)で、黒澤さんが悪いんじゃなく、黒澤監督としてはちょっと珍しいことをやってみたに過ぎない、それを猫も杓子も真似しちゃったから困ったものだと。

淀川長治2.jpg 映画評論を読めば、自分自身の「好み」や「個性」がわかってくる。それが値打ち。... 推薦できる評論家として、飯島正、南部圭之助、双葉十三郎を挙げ、淀川長治さんなんかの映画評論を一般のファンは当てにしたらいいんじゃないかと思うと(そう言えば、本書のカバー裏の著者紹介は淀川長治が書いている)。

「荒野の用心棒」2.jpg荒野の用心棒 1964.jpg ハリウッドの西部劇とマカロニ・ウエスタン。その大きな違いの一つは「女の描き方」。... マカロニ・ウエスタンには女の匂いがぷんぷんするような女が出てきて男とからみ合うが、アメリカの方は「女なんか全然数のうちじゃない...」といった男がいっぱい出てくると。また、マカロニ・ウエスタンの特徴はサディスティックであることで、拷問シーンなどでもユーモアがないとのこと。「荒野の用心棒」イーストウッド.jpg確かに「荒野の用心棒」('64年/伊)がそうだった。クリント・イーストウッド演じる「名無しの男」はボロボロにやられていた。ただし、著者は、黒澤明の「用心棒」を無断でかっぱらった「荒野の用心棒」が面白くないはずがないと(「名無しの男」というのも「用心棒」の「桑畑三十郎」がその場で思いついた名前であることをなぞっている)。

夕陽のガンマン アルティメット・エディション [DVD]
「夕陽のガンマン」1965.jpg 因みに、「荒野の用心棒」(原題の意味は「一握りのドルのために」)の続編は「続・荒野の用心棒」('66年/伊、セルジオ・コルブッチ監督・フランコ・ネロ主演)で「夕陽のガンマン」1イースト.jpgはなく「夕陽のガンマン」('65年/伊・西独・スペイン、セルジオ・レオーネ監督・ クリント・イーストウッド主演、原題の意味は「もう数ドルのために」)であり、その続編(出来事としては前二作より以前の話だが)「続・夕陽のガンマン」('65年/伊・西独・スペイン・米、セルジオ・レオーネ監督・クリント・イーストウッド主演、原題の意味は「善玉、悪玉、卑劣漢」)と併せて「ドル箱三部作」または(主人公の名がでないため)「夕陽のガンマン」2.jpg「名無しの三部作」と言われています。「荒野の用心棒」は黒澤明の「用心棒」と同じで、互いに相争う2組の悪党どもの対立をイーストウッド演じる主人公が一層煽り、けしかけながら、双方を壊滅状態に追い込むという話「夕陽のガンマン」リーヴァンクリーフ.jpgなのに対し、「夕陽のガンマン」は、共に腕利きの同業者にして宿命のライバルたる2人の賞金稼ぎが、時に相争い、時には紳士協定を結んで互いに協力しながら、いずれも多額の懸賞金を狙うという話。ただし、クリント・イーストウッド演じる「名無しの男(あだ名はモンコ(Manco)、スペイン語で「片腕」)」が単なる金目当て賞金稼ぎなのに対し、リー・ヴァン・クリーフが演じるモーティマー大佐には別の目的があった―。続編の方が本編より上とされる作品の1つで(年代が古い、米国映画でない、邦題がまるきり違うなどの理由であまり取り沙汰されないが)、この1作でリー・ヴァン・クリーフはマカロニ・ウェスタンのスターとなりました(敵役は「荒野の用心棒」に続いてジャン・マリア・ヴォロンテ)。

イノセント.jpg 最近ではヴィスコンティの遺作「イノセント」。歴史に残るセックスシーンの1つだろう。... 「イノセント」('76年/伊・仏)のそれは素晴らしかったと。夫婦が別荘に行って、ちょうど春で、ぽかぽか温かくなり、庭に花が咲き乱れ、男がだんだん興奮してくる...。全身を写すところもあったが、たいていは胸から上しか写さず、それでいて本当にエロチックなシーンだったと。

「最後の晩餐」0.jpg 洒落たフランス映画を観た後で「フランス料理を食べたい」という女の子なら悪くない。... フランス映画を観た後では鮨屋よりフランス料理を食べに行きたくなるが、逆の場合もあり、それが「最後の晩餐」('73年/伊・仏)であると(確かに)。四人の主人公が死ぬまで食べ続ける映画だった。マルコ・フェレーリは巨匠ではないが相当の監督だと。

「旅芸人の記録パンフ2.jpg 例えば「忠臣蔵」を一本観ただけで、その人の世界がグーンと広くなっちゃう。... 「旅芸人の記録」('75年/ギリシャ)という映画を観れば、自然にギリシャという国に興味を持って、ギリシャに歴史を読んでみよう、ギリシャの生活について何か探して読んでみようということになり、それをやれば、ぼくの持っている世界が広がっていくわけだと。まさに、本書のエッセンスがここに述べられているように思いました。

 この本が出たころは、映画と言えば(テレビで観ることもあったとは思うが)基本的にみんな映画館で観たのだろうなあ。それが、レンタルビデオの時代を経て、今やAmazon PrimeやNetflixの時代へと移りつつあり、昨今は、映画を倍速で視聴するユーザーが急増しているようです。今一度、本書を読んで映画鑑賞の在り方の原点に立ち返るののいいのではないかと思いました。

影武者[東宝DVD名作セレクション]」 山﨑努(信玄の弟・武田信廉)/仲代達矢(武田信玄、影武者)
「影武者」dvd1980.jpg「影武者」01.jpg「影武者」●制作年:1980年●制作国:日本・アメリカ●監督:黒澤明●製作:黒澤明/田中友幸●外国版プロデューサー:フランシス・コッポラ/ジョージ・ルーカス●脚本:黒澤明/井手雅人●撮影:斎藤孝雄/上田正治「影武者」志村僑0.jpg「影武者」大滝秀治.jpg●音楽:池辺晋一郎●時間:180分●出演:仲代達矢/山﨑努/萩原健一/根津甚八/油井昌由樹/隆大介/大滝秀治/桃井かおり/倍賞美津子/室田日出男/阿藤海/矢吹二朗/志村喬/藤原釜足/清水綋治/清水のぼる/山本亘/音羽久米子/江幡高志/島香裕/井口成人/松井範雄/大村千吉●公開:1980/04●配給:東宝●最初に観た場所:飯田橋・佳作座(81-02-14)(評価:★★★)
志村喬(信玄の父・田口刑部、信玄に追放され、信長の手先として送り込まれる)/大滝秀治(信玄家臣・山縣昌景)
倍賞美津子(側室・於ゆうの方)/桃井かおり(側室・お津弥の方)  黒沢明監督「影武者」、カンヌ映画祭の最高賞に(1980年5月23日)[日本経済新聞]/日劇(1981年閉館)
「影武者」倍賞・桃井.jpg 黒澤 カンヌ.jpg 日劇文化.jpg

「荒野の用心棒」イーストフッド1.jpg「荒野の用心棒」●原題:PER UN PUGNO DI DOLLARI(英:A FISTFUL OF DOLLARS)●制作年:1964年●制作国:イタリア・西ドイツ・スペイン●監督:セルジオ・レオーネ●脚本:ヴィクトル・アンドレス・カテナ/ハイメ・コマス・ギル/セルジオ・レオーネ●製作:アリゴ・コロンボ/ジョルジオ・パピ●音楽:エンニオ・モリコーネ●時間:96分(完全版100分)●出演:クリント・イーストウッド/ジャン・マリア・ヴォロンテ(ジョニー・ウェルズ名義)/マリアンネ・コッホ/ホセ・カルヴォ/ヨゼフ・エッガー/アントニオ・プリエート/ジークハルト・ルップ/ウォルフガング・ルスキー/マルガリータ・ロサノ/ブルーノ・カロテヌート/マリオ・ブレガ●公開:1965/12●配給:東宝(評価:★★★★)

ジャン・マリア・ヴォロンテ「荒野の用心棒」(密輸業ギャング一家ロホ兄弟の末弟ラモン・ロホ)/「夕陽のガンマン」(凶悪犯の賞金首エル・インディオ)
ジャン・マリア・ヴォロンテ.jpg
夕陽のガンマン [DVD]
「夕陽のガンマン」dvd.jpg「夕陽のガンマン」l.jpg「夕陽のガンマン」●原題:PER QUALCHE DOLLARO IN PIU(英:FOR A FEW DOLLARS MOREA)●制作年:1965年●制作国:イタリア・西ドイツ・スペイン●監督:セルジオ・レオーネ●脚本:セルジオ・レオーネ/ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ●製作:アルトゥーロ・ゴンザレス/アルベルト・グリマルディ●音楽:エンニオ・モリコーネ●時間:130分(米国版132分)●出演:クリント・イーストウッド/リー・ヴァン・クリーフ/ジャン・マリア・ヴォロンテ/マリオ・ブレガ/ルイジ・ピスティッリ/クラウス・キンスキー/パノス・パパドプロス/トーマス・ブランコ/フランク・ブラナ夕陽のガンマン c.jpg/ホセ・マルコ/ヨゼフ・エッガー●公開:1967/01●配給:ユナイテッド・アーティスツ(評価:★★★★)
リー・ヴァン・クリーフ/クラウス・キンスキー

ジャン・マリア・ヴォロンテ in「荒野の用心棒」(1964)/「死刑台のメロディー」(1972)
ヴォロンテ 荒野の用心棒.jpgヴォロンテ 死刑台のメロディー.jpg
 
映画を見ると得をする.jpg

【1987年文庫化[新潮文庫]】

《読書MEMO》
●続編の評価が本編に匹敵するかそれ以上であるとされる作品([]内はIMDb評価)
「荒野の用心棒」('64年)[7.9]「夕陽のガンマン」('65年)[8.2](「続・夕陽のガンマン('66年)[8.8])
・「ゴッドファーザー」('72年)[9.2]「ゴッドファーザー PART II」('74年)[9.0]
・「エイリアン」('79年)[8.5]「エイリアン2」('86年)[8.4]
・「マッドマックス」('79年)[6.8]「マッドマックス2」('81年)[7.6]
・「ターミネーター」('84年)[8.1]「ターミネーター2」('91年)[8.6]
・「バットマン ビギンズ」('05年)[8.2]「ダークナイト」('08年)[9.0]


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「こんなリーダーはいやだ」の典型(笑)。実在のアギーレは映画よりヒドかった?

アギーレ/神の怒り 1972.jpgアギーレ/神の怒り 2.jpg アギーレ/神の怒り 1.jpg
アギーレ/神の怒り [DVD]」クラウス・キンスキー

アギーレ/神の怒り f.jpg 16世紀、スペインは、伝説の黄金郷エルドラドを求めて南米大陸に遠征隊を派遣していた。1560年、ゴンサロ・ピサロの指揮のもと、キトからアンデスの山に向かっていたスペインの探検隊も、エル・ドラドの発見を目指して険しい道を行っていた。12月25日、アンデスの最後の尾根まで進んだ部隊は孤立し、隊長のピサロは食料の調達と情報収集をする40名のアギーレ/神の怒り u.jpg分遺隊を選び出す。もし1週間以内に戻らなければ、残りの遠征隊は引きあげるとピサロは決定する。隊長にはウルスア(ルイ・ゲーハ)、副隊長にアギーレ(クラウス・キンスキー)、キリスト教アギーレ/神の怒り 4.jpg布教のための宣教師にカルバハル(デル・ネグロ)、スペイン王家の代表として貴族のグスマン(ペーター・ベルリング)、さらにウルスアの愛人イリス(ヘレナ・ロホ)とアギーレの娘フローレス(セシリア・リヴェーラ)も分遺隊に同行し、筏で川を下ることになる。しばらく行くと、その分遣隊も撤退を余儀なくされる。しかし、副隊長のアギーレは反乱を起こし、貴族グスマンを皇帝に擁立して独立を宣言。そのまま彼らはエルドラドを目指して出発する。筏で川を下るアギーレ一行は徐々に追い詰められていく―。

アギーレ/神の怒り k.jpg ヴェルナー・ヘルツォーク監督の1972年監督作で、ヴェルナー・ヘルツォークは30歳でこの作品を撮ったことになります。狂気染みたアギーレという男と彼に率いられる集団を描いたこの作品は、1975年のフランス映画批評家協会賞(外国語映画賞)を受賞し、2005年にはタイム誌が選ぶ歴代映画ベスト100に選出されています。黄金に憑かれた人間アギーレの、時に滑稽なまでの狂気を描いて秀逸ですが、最近観直してみて、組織心理学的にみても怖い話だなあと思いました。長年のサラリーマン生活を経て観直すと、こういう視点になるのでしょうか。アギーレって「こんな上司(リーダー)はいやだ」の典型でした(笑)。

 それにしても、このアギーレの無茶苦茶ぶりが凄いです。1561年1月6日(映画は、宣教師の日記として語られるスタイルをとる)、分遺隊の40名は4隻の筏に分乗して出発しますが、途中の急流で1隻が渦に巻き込まれ、岸壁から動けなくなります。1月6日、隊長のウルスアは兵士7人とインディオ2人を救助しようとしますが、副隊長のアギーレはこれに反対し、夜中に筏の上の仲間を部下に銃殺させ(何でもアギーレの言うことを聞く殺し屋みたいな部下が不気味)、さらに遺体を収容させないため、筏に大砲を撃ち込みます。

 結局、アギーレは最初からピサロに反逆し、エルドラドを自ら征服するつもりだったということになります。アギーレは暴力でウルスアとその部下を黙らせ、貴族のグスマンを新たな隊長に据え、公然と国への反逆宣言をして、グスマンをまだ見ぬエルドラドの皇帝に即位させるという、まさに暴挙に出ます。

アギーレ/神の怒り5.jpg その後も、救世主として歓迎してくれた現地人を黄金の在りかを知らないというだけで殺し(これには宣教師も噛んでいる)、ウルスアの処刑を許さなかったグスマンが亡くなるや否やウルスアを絞首刑に処し、アギーレの横暴と先住民の恐怖に恐れをなして逃亡計画を口にした隊員の首を撥ね...と、ますます狂気をエスカレートさせていきます。やがて、先住民の襲撃にも遭って次々に死んでゆく仲間の中で「俺こそ怒れる神だ!」と独り息巻くも、朽ちた筏の上に立つ彼の足元には、夥しい数の野生の猿がいるばかりで、これが彼の「夢の王国」なのかと―。どうみても彼の辿り着く先は、輝く黄金郷などはなく、惨めな死だろうという予感のもと、映画は終わります。

ロペ・デ・アギーレ.jpg ところで、実在したロペ・デ・アギーレという人物もこんな感じだったのでしょうか。調べてみると、本国にいた時は、自分に鞭打ちの刑を宣告した裁判官にストーカー行為を繰り返すなどしたそうで、もともとパラノイア的性格だったようです。このエルドラドを探す遠征の過程で隊長のウルスアを殺害し、貴族グスマンを傀儡としたのは事実のようです。さらに、スペインからのペルー国独立を宣言し、遠征に同行した宣教師、ウルスアの妻、グスマンにも死を命じたとのことです(映画よりヒドイ?)。

ロペ・デ・アギーレ(1510-1561)

 映画では最後、このまま川の上で猿に囲まれて死ぬともとれる絶望的な状況でしたが、実際にはオリノコ川を辿って大西洋岸に抜け、マルガリータ島(現ベネズエラ)のスペイン人の入植地を攻撃し、知事と女性を含む50人もの地元住民に死を命じ、彼の部下は集落を略奪したとのことです。

 さらに、1561年7月、スペイン国王フィリップ2世に自分が独立を宣言する理由を説明する手紙を送りますが、そのようなものが国王に受け入れられるはずもなく、彼はあくまで反逆者扱いのままであり、王立軍は彼の部下に恩赦を与えることによってアギーレを弱体化させ、バルキシメト(現ベネズエラ)の町でかつての彼自身の部隊によって補強された王立軍に包囲された末に捕縛され、処刑されたとのことです(包囲された際に自分の娘を殺害し、自身は銃撃に斃れたとの話もある。娘は映画では、DVDジャケットにもあるように先住民の矢に射られて死ぬ)。

 こうした激烈な人生だったため、幾つもの文学作品のモチーフになっているそうで、ヴェルナー・ヘルツォーク監督が取り上げたのも、それまでにそうした素地があったためだと思われます。ただ、これを映画にしようとは、それまで誰も思わなかったのではないでしょうか。映画冒頭の何百人もの探検隊が険しい山道を行くシーンだけでも、よくこれを撮ったなあと思わされるものでした。

アギーレ/神の怒り bouto.jpg

「アギーレ/神の怒り」●原題:AGUIRRE, DER ZORN GOTTES●制作年:1972年●制作国:西ドイツ●監督・脚本:ヴェルナー・ヘルツォーク●製作:ヴェルナー・ヘルツォーク/ハンス・プレッシャー●撮影:トーマス・マウホ●音楽:ポポル・ヴー●時間:93分●出演:クラウス・キンスキー/ヘレナ・ロホ/デル・ネグロ/ルイ・ゲーハ/ペーター・ベルリング/セシリア・リヴェーラ●日本公開:1983/02●配給:大映インターナショナル●最初に観た場所:大井武蔵野舘(84-02-18)●2回目:北千住・シネマブルースタジオ(21-03-09)(評価:★★★★)●併映(1回目):「愛の絆」(ハンス・W・ガイセンドルファー)

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やはりクライマックスは船の山越えか。文化人類学的な視点の入った映画だったかも。

フィツカラルド dvd.jpgフィツカラルド 山越え.jpg フィツカラルド 2.png
フィツカラルド [DVD]」 クラウス・キンスキー/クラウディア・カルディナーレ

フィツカラルド01.jpg 19世紀末のブラジル・マナウスのオペラハウス。オペラ歌手エンリコ・カルーソの公演を聴こうとペルー・イキトスからボートを漕いで来たフィツカラルド(クラウス・キンスキー)とモリー(クラウディア・カルディナーレ)。会場にもぐり込んだフィッカラルドは、カルーソのテノールに聞き入る。アイルランド出身の彼の本名はブラ『フィツカラルド』(1982)2.jpgイアン・スウィーニー・フィツジェラルドだが、インディオたちは彼をフィツカラルドと呼ぶ。今は製氷業だが、かつてアンデスに鉄道を敷設しようとして破産した経歴の持主で、白人らは彼を奇人とみなしていたが、娼家経営の愛人モリーは良き理解者であり、インディオの子らも彼を慕う。彼はイキトスにオペラ・ハウスを建てようと決意するが、それには莫大な資金が必要で、ゴム成金たちには相手にされない。そこで彼は、自らがジャングルを切り拓いてゴム園を作ることを計画、モリーが出してくれた金で成金の一人ドン・アキリノ(ホセ・レーゴイ)から中古の蒸気船フィツカラルド tikuonnki.jpgを買い、パウル船長(ポール・ヒッチャー)、料理人ウェレケケ(ウェレケケ・エンリケ・ボホルケス)、機関士チョロ(ミゲル・アンヘル・フェンテス)らを雇う。"モリー号"と命名された船は修理を終えてアマゾン川に船出、彼のゴム園用地は流れの激しい"ボンゴの瀬"のあるウカヤリ川上流にあったため、彼はフィツカラルド 02.png船をパテリア川に進める。途中、中断された鉄道駅に寄り、レールを外して船に積み込む。船が進んで首刈り族の土地に入ると、乗組員らの多くは逃亡してしまう。フィツカラルドは操舵室の屋根上に蓄音機を置いてレコードをかけ、密林にオペラが流れるとインディオたちが姿を現わす。彼らは続々と船に乗り込んで来フィツカラルド 01.jpgるが、フィツカラルド一行に手を出さない。フィツカラルドは、パテリア川とウカヤリ川が最も接近したところで、船を川から揚げて山越えしてウカヤリ川に降ろすという計画をインディオに伝えると、酋長(D・P・エスピノサ)は協力するという。目的地に着いてレールを降ろし、ジャングルを切り拓き、滑車で船を引っぱり揚げる。7ヵ月後、遂に船はウカヤリ川に浮かぶ。祝杯に酔ったフィツカラルドらが寝ている隙に、インディオたちは船を激流に放つ。彼らは激流の荒ぶる魂を静める儀式として協力したのだった。フィッカラルドらを乗せたモリー号は、木の葉の如く激流を流されていく―。
   
フィツカラルド 00.jpg ヴェルナー・ヘルツォーク監督による1982年作品で、同年のカンヌ国際映画祭「監督賞」受賞作。完成まで4年半を要し、苛酷なロケのためスターが次々と降板していった末にフィツカラルドの役をクラウス・キンスキーが得たことは知られていますが、結果として、オペラハウス建設への情熱に憑かれたフィツカラルドを演じたクラウス・キンスキーはハマリ役でした(思えば彼は、同監督の「アギーレ/神の怒り」('72年)で既に、エル・ドラドへの夢に憑かれアマゾン川を遡行するピサロの分遣隊の副隊長を演じていたのだが)。

ヴェルナー・ヘルツォーク監督/クラウス・キンスキー

 結局フィツカラルドは何とかイキトス(1900年代始めにゴムブームが起き、街はゴム産業で知られていた)に帰り着くが、彼の計画自体は水泡に帰し、彼はモリー号をドン・アキリノに売り、その金でオペラ一座を雇って一度だけの船上オペラを上演する―。

フィツカラルド ラスト.jpg ラストの、数日後には自分の所有から離れるモリー号の船上で、オペラを聴きながらフィツカラルドが見せる陶酔と誇りと狂気が入り交ざった表情はなかなかですが(ヘルツォーク作品の中ではかなり爽やかなエンディング?)、この映画のクライマックスはやはり、この映画を観たことがない人でもビデオやCDのジャケットでその場面は知っていると思われる、例の蒸気船の山越えでしょう。

フィツカラルド yamage2.jpg ヘルツォーク監督、ホントに船を山越えさせてしまったなあという感じで、実写でここまでやるというのは当時でもスゴイと思いましたが(完璧主義者だったフリッツ・フォン・シュトロハイム(「愚なる妻」「グリード」)の系譜か)、CG全盛の今ではもうこんな撮影はあり得ないか。"ボンゴの瀬"に船が突っ込むシーンはさすがにミニチュアを使っていますが、これまで本チャンでやったらそれこそ死者が出ていたかもしれません。「山越え」でスペクタクル的には充分満足でした(アマゾン支流をゆっくり遡上するシーンも含め、劇場で観たい作品ではある)。

フィツカラルド03.jpg アギーレと同様フィッツカラルドも実在の人物に改変を加えて描いてるようですが、最初観た時は西洋肉食系人種の凄まじい執念のようなものを感じました。また、異文化の出会いの物語でもあったなあと。最初は、西洋人の自らの文化への自信のようなものを感じましたが(「オペラで未開の地を啓蒙してやる」みたいな)、最近観直してみて、ラストの方でフィツカラルドが、初めてナイヤガラ瀑布を見つけた西洋人の言葉をぼそっと語る場面があったことに気づき、ああ、自分のことをなぞらえていたのだなあと。つまり、人に語っても信じてもらえないような不思議な体験をしたということであり、そこに彼の異文化への畏敬のようなものを感じました。結構、文化人類学的な視点の入った映画だったかもしれません。

Fitsukararudo(1982)
Fitsukararudo(1982).jpg
フィツカラルド      .jpg「フィツカラルド」●原題:FITZCARRALDO●制作年:1982年●制作国:西ドイツ●監督・脚本:ヴェルナー・ヘルツォーク●製作:ヴェルナー・ヘルツォーク/ルッキ・シュティペティック●撮影:トーマス・マウホ●音楽:ポポル・ヴー●時間:158分●出演:クラウス・キンスキー/クラウディア・カルディナーレ/ホセ・レーゴイ/ポール・ヒッチャー/フィツカラルド c.カルディナーレ.jpgウェレケケ・エンリケ・ボホルケス/ミゲル・アンヘル・フェンテス/グランデ・オセFITZCARRALDO Claudia Cardinale.jpgロ/ペーター・ベルリング/デイヴィッド・ペレス・エスピノサ/パウル・ヒットシェル●日本公開:1983/07●配給:大映インターナショナル●最初に観た場所:東急名画座(83-04-16)●2回目:北千住・シネマブルースタジオ(15-06-23)(評価:★★★★)
Claudia Cardinale in FITZCARRALDO
FITZCARRALDO Claudia Cardinale2.jpg

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見てるだけで楽しい。圧倒的に多いフランケンシュタイン物。パロディ映画にも楽しいものが。

図説ホラー・シネマ.jpg  図説 ホラー・シネマ2.jpg      怪奇SF映画大全.jpg
図説 ホラー・シネマ―銀幕の怪奇と幻想 (ふくろうの本)』('01年/河出書房新社、123ページ(21.4x16.4x1.2cm)) 『怪奇SF映画大全』('97年/国書刊行会、239ぺージ(30x23x2.4cm))
フランケンシュタイン dvd.jpg フランケンシュタインの花嫁 dvd.jpg ヤング・フランケンシュタイン.gif ノスフェラトゥ dvd.jpg ドラキュラ都へ行く dvd.jpg 5時30分の目撃者 vhs 5.jpg
フランケンシュタイン[DVD]」「フランケンシュタインの花嫁[DVD]」「ヤング・フランケンシュタイン〈特別編〉 [DVD]」「ノスフェラトゥ [DVD]」「ドラキュラ都へ行く[VHS]」「特選 刑事コロンボ 完全版「5時30分の目撃者」
下右ページはトッド・ブラウニング 監督、ベラ・ルゴシ主演「魔人ドラキュラ」('31年/米)のポスター
IMG_20220204_052826.jpg 同著者による『図説 モンスター―映画の空想生物たち』('01年/河出書房新社)に続くシリーズ第2段で、草創期(サイレント時代~1930年代)、繁栄と低迷(1940~1950年代)、復興と世代交代(1960年代以降)という流れで、各時代の名作を紹介、製作にまつわる裏話やエピソードなども交え解説しています。

 何よりもポスターやスチール写真が豊富で、よくこれだけ揃えたなあと。見ているだけで楽しく、表紙には「狼男」がきていますが、圧倒的に多いのはフランケンシュタインもので、次にドラキュラものがきて、狼男は3番目といったところでしょうか。映画会社IMG_20220204_134630.jpgでみると、戦前はボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシ(上右)をホラー・スターに育てたユニヴァーサル、戦後はピーター・カッシングとクリストファー・リー(右上)をホラー・キングに育てたハマー・プロが中心なっています。

 それにしても、こんなにも多くのフランケンシュタイン映画、ドラキュラ映画が作られてきたのかと改めて驚かされ、そうした数多くの作品群の中でも、フランケンシュタイン映画に占めるボリス・カーロフと、ドラキュラ映画に占めるクリストファー・リーの重みは、それぞれの活躍した時代は異なるものの、圧倒的であるように思いました。

フランケンシュタイン (光文社古典新訳文庫)2010.jpg イギリスの詩人シェリーの夫人メアリー・シェリー(1797-1851)原作の『フランケンシュタイン』は、文学史上でも最もよく知られた作品でありながら、原作は殆ど読まれていないということでも有名な作品ですが、「フランケンシュタイン」は怪物(クリーチャー)の名前ではなく、怪物を生み出したマッド・サイエンティストの名前です。

フランケンシュタイン 1931 ポスター.pngフランケンシュタイン 1931 01.jpg 現代のホラー映画をすっかり観慣れてしまうと、ジェームズ・ホエール(1889-1957)監督、ボリス・カーロフ主演の「フランケンシュタイン(FRANKENSTEIN)」('31年/米)に出てくる怪物も、漫画「怪物くん」のフランケンのようにどこか可愛いかったりもし、湖のほとりで少女と触れ合うシーンは、ビクトル・セリエ監督の「ミツバチのささやき」('73年/スペイン)でも、主人公の少年が観る映画の1シーンで使われました。

「フランケンシュタインの花嫁」.jpg   FRANKENSTEIN and old man.jpg フランケンシュタインの花嫁 1935 01.jpg
 本編で風車小屋に追い詰められて焼き殺された怪物を復活させて作った続編の「フランケンシュタインの花嫁」('35年)は、本編以上に面白くてBride of Frankenstein _.jpg笑えますが、但し、ラストは異性(と言っても、かなりキツイ感じの女フランケンシュタインなのだが)に愛されない男の悲哀を表していて、しんみりさせられます(これ、傑作)。因みに、監督のジェームズ・ホエールは、自らが同性愛者であることを早くから公表していました(女性嫌いだった?)。Bride of Frankenstein (1935)

 フランケンシュタイン映画では、フランシス・フォード・コッポラが「ドラキュラ」('92年/米、ドラキュラ伯爵役はゲイリー・オールドマン。石岡瑛子がこの作品でアカデミー賞衣裳デザイン賞を受賞)に続きフランケンシュタイン (1994年).jpg製作した、ケネス・ブラナー監督の「フランケンシュタイン」('94年/英・日・米)などもありましたが、フランケンシュタイン (1994年) dvd.jpgロバート・デ・ニーロが演じたクリーチャー(被造物)は、見かけは醜怪だけれど心性的には子どものようであるという設定でした(フランシス・フォード・コッポラは妖怪好きなのか? 一方のケネス・ブラナーの方は、この作品ではヴィクター・フランケンシュタイン博士役での主演も兼ねている)。クリーチャーが元々はセンシティブで知的な存在として描かれているなど、原作に忠実に作られているようですが、原作って結構混み入ったスト-リーだったのだなあと。2時間で収まりきらず、個人的には消化不良感あり。更にデ・ニーロのメイクに懲りすぎて、単なるホラー映画になってしまった印象も。「フランケンシュタイン Hi-Bit Edition [DVD]

YOUNG%20FRANKENSTEN2.jpgメル・ブルックス『ヤング・フランケンシュタイン』(1974).jpg フランケンシュタインのパロディ映画では、メル・ブルックス(1926- )監督のヤング・フランケンシュタイン」('74年/米)が通好みのコメディであり、ギョロ目の怪優マーティー・フェルドYOUNG FRANKENSTEIN.jpgマン(せむし男)やピーター・ボイル(怪物)など、脇役がいいです。オリジナルの「フランケンシュタインの花嫁」にも出てくる山小屋に住む盲目の老人役はジーン・ハックマン、ラストに小さくクレジットされていました。

「ヤング・フランケンシュタイン」マーティ・フェルドマン/ジーン・ワイルダー/テリー・ガー
  
ヘルツォーク「ノスフェラトゥ」1.jpgヘルツォーク「ノスフェラトゥ」2.jpg ドラキュラ映画の古典的作品で劇場で観たものは記憶にありませんが、70年代の作品でヴェルナー・ヘルツォーク監督の「ノスフェラトゥ」('79年/西独)は、フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ監督の吸血鬼映画の古典的作品「吸血鬼ノスフェラトゥ(不死人)」('22年/独、無声映画)のリメイク作品であり、「アギーレ/神の怒り」('72年/西独)などヘルツォーク作品でお馴染みの怪優クラウス・キンスキーが主人公のドラキュラ伯爵を演じていました。
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吸血鬼ドラキュラ (角川文庫).jpg ムルナウは、ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』を原作に映画化するつもりが映画化権を得られず、それで「ドラキュラ伯爵」を「オルロック伯爵」に変えて19世紀初頭のドイツの小都市に吸血鬼が出現するという設定にし、その容貌も禿頭の特異なものとしたわけですが、イザベル・アジャーニ.jpgヘルツォーク/キンスキー版は、「ドラキュラ伯爵」に戻しながらも設定はムルナウ版を踏襲。全体として透明感のある映像で、ペストで住民が死滅した村の描写などは絶妙でしたが、それら以上に、クラウス・キンスキーの怪演ぶり、「キモさ」が際立っていた印象です(彼に噛まれる女性役は美貌のイザベル・アジャーニ。トリュフォーの「アデルの恋の物語」('75年/仏)で知られるフランスの人気女優だが、この作品でドイツ語で話しているのは、父親がアルジェリア人であるのに対し、母親はドイツ人であるため。「ノスフェラトゥ」の前年作のウォルター・ヒル監督のアクション映画「ザ・ドライバー」('78年/米)でみせたように英語も堪能)。

ドラキュラ都へ行く  映画宝庫.jpgドラキュラ都へ行く02.jpg ドラキュラのパロディでは(クリストファー・リーが「エアポート'77/バミューダからの脱出」('77年/米)で土左衛門姿で出てきた際に見せていた苦悶の表情も、ドラキュラのパロディと言えばパロディだったけれど)、たまたま「ノスフェラトゥ」と同じ年に作られたもので、本書にも紹介されている「ドラキュラ都へ行く」('79年/米、原題:Love at First Bite)というジョージ・ハミルトンが製作総指揮し、主演もした作品もありました(ジョージ・ハミルトンはこの作品で「サターン主演男優賞」を受賞してる)。ジ5時30分の目撃者.jpgョージ・ハミルトンは「刑事コロンボ」の第31話「5時30分の目撃者」('75年)で犯人の精神分析医役を演じていた二枚目俳優で、ハリウッド社交界でもプレイボーイで鳴らした彼らしく、愛人が絡むエピソードですが、計画殺人ではなく衝動殺人になっているのがややプロット的には弱点だったでしょうか。ハミルトンは、「刑事コロンボ」の新シリーズ(通算第57話)「犯罪警報」('91年)でも人気テレビ番組のホストである犯人役を演じていました。
 「ドラキュラ都へ行く」という邦題タイトルは、フランク・キャップラの「スミス都へ行く」をもじったものですが、内容は無関係。楽屋ネタのギャグ満載の身内で楽しみながら作った感じの映画で、一緒に観に行った外国人女性にはすごく受けていましたが、字幕頼りの自分にとっては残念ながらさほどでも(映画字幕はセリフが相当端折られていたように思うが、DVD化はされていないようだ)。

 SFホラーまで領域を拡げた「映画ポスター+解説集」では、ロナルド・V・ボーストの怪奇SF映画大全('97年/国書刊行会)という大型本があり、こちらは本書よりも更にポスター中心であるため、これも見て楽しめます。


FRANKENSTEIN 1931 poster.jpg「フランケンシュタイン」●原題:FRANKENSTEIN●制作年:1931年●制作国:アメリカ●監督:ジェイムズ・ホエール●製作:カール・レームル・Jr●脚本:ギャレット・フォート/ロバート・フローリー/フランシス・エドワード・ファラゴー●撮影:アーサー・エジソン●音楽:バーンハルド・カウン●原作:メアリー・シェリーFRANKENSTEIN 1931.jpg●時間:71分●出演:コリン・クライヴ/ボリス・カーロフ/メイ・クラークメイ・クラーク.jpgエドワード・ヴァン・スローン/ドワイト・フライ/ジョン・ポールズ/フレデリック・カー/ライオネル・ベルモア●日本公開:1932/04●配給:ユニヴァーサル映画●最初に観た場所:渋谷ユーロ・スペース (84-07-21)(評価:★★★☆)●併映:「フランケンシュタインの花嫁」(ジェイムズ・ホエール)
メイ・クラーク

BRIDE OF FRANKENSTEIN2.jpg「フランケンシュタインの花嫁」●原題:BRIDE OF FRANKENSTEIN●制作年:1935年●制フランケンシュタインの花嫁 1935 poster.jpg作国:アメリカ●監督:ジェイムズ・ホエール●製作:カール・レームル・Jr●脚本:ギャレット・フォート/ロバート・フローリー/フランシス・エドワード・ファラゴー●撮影:ジョン・J・メスコール●音楽:フランツ・ワックスマン●時間:75分●出演:ボリス・カーロフ/エルザ・ランチェスター/コリン・クライヴ/アーネスト・セシガー●日本公開:1935/07●配給:ユニヴァーサル映画●最初に観た場所:渋谷ユーロ・スペース (84-07-21)(評価:★★★★)●併映:「フランケンシュタイン」(ジェイムズ・ホエール)
「フランケンシュタインの花嫁」公開時ポスター。「カーロフ」の苗字が冠のように載っている。(本書より)

FRANKENSTEIN 1994 2.jpgFRANKENSTEIN 1994.jpg「フランケンシュタイン」●原題:FRANKENSTEIN●制作年:1994年●制作国:イギリス・日本・アメリカ●監督:ケネス・ブラナー●製作:フランシス・フォード・コッポラ/ジェームズ・V・ハート/ジョン・ヴィーチ/ケネス・ブラナー/デビッド・パーフィット●脚本:ステフ・レイディ/フランク・ダラボン●撮影:ロジャー・プラット●音楽パトリック・ドイル●原作:メアリー・シェリー●時間:123分●出演:ロバート・デ・ニーロ/ケネス・ブラナー/トム・ハルス/ヘレナ・ボナム=カーター/エイダン・クイン/イアン・ホルム/ジョン・クリーズ/シェリー・ルンギ/リチャード・ブライアーズ/アレックス・ロー●日本公開:1995/01●配給:トライスター・ピクチャーズ(評価:★★★)

ジーン・ワイルダー/マデリン・カーン
「ヤング・フランケンシュタイン」マデリンカーン.jpg「ヤング・フランケンシュタイン」2.jpgヤング・フランケンシュタイン.gif「ヤング・フランケンシュタイン」●原題:YOUNG FRANKENSTEN●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:メル・ブルックス●製作:マイケル・グラスコフ●脚本:ジーン・ワイルダー/メル・ブルックス●撮影:ジェラルド・ハーシュフェルド●音楽:ジョン・モリス●原作:メアリー・シェリイ●時間:108分●出演:ジーン・ワイルダー/ピーター・ボイル/マーティ・フェルドマン/テリー・ガー/マデリーン・カーン/ジーン・ハックマン●日本公開:1975/10●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:飯田橋ギンレイホール (78-12-14) (評価:★★★★)●併映:「サイレントムービー」(メル・ブルックス)

「ノスフェラトゥ」2.jpg「ノスフェラトゥ」01.jpg「ノスフェラトゥ」●原題:NOSTERTU. PHANTOM DER NACHT(英:NOSFERATU THE VAMPYRE))●制作年:1979年●制作国:西ドイツ●監督・脚本・製作:ヴェルナー・ヘルツォーク●撮影:イェルク・シュミット=ライトヴァノスフェラトゥ(1978)[A4判].jpgイン●音楽:ポポル・ヴー●時間:107分●出演:クラウス・キンスキー/イザベル・アジャーニ/ブルーノ・ガンツ/ロラント・トーポー/ワルター・ラーデンガスト/ダン・ヴァン・ハッセン/ヤン・グロート/カールステン・ボディヌス●日本公開:1984/10●配給:ドイツ文化センター●最初に観た場ドイツ文化センター 青山.jpgドイツ文化センター 2.jpg所:青山・ドイツ文化センター(84-10-07)(評価:★★★☆)●併映:「ヴォイツェック」「カスパーハウザーの謎」(ヴェルナー・ヘルツォーク) 「映画パンフレット ノスフェラトゥ(1978作品) 発行:㈱パルコ(A4) 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 出演:イザベル・アジャーニ

ドイツ文化センター 1962年、青山通り付近にオープン

ドラキュラ都へ行く01.jpg「ドラキュラ都へ行く」●原LOVE AT FIRST BITE.jpg題:LOVE AT FIRST BITE●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:スタン・ドラゴッティ●製作・脚本:ロバート・カウフマン●撮影:エドワード・ロッソン●音楽チャールズ・バーンスタイン●時間:96分●出演:ジョージ・ハミルトン/スーザン・セント・ジェームズ/ディック・ショーン/アート・ジョンソン/リチャード・ベンジャミン/シャーマン・ヘムズリー●日本公開:1979/12●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:日比谷・みゆき座(79-12-15)(評価:★★★)

5時30分の目撃者 vhs.jpg刑事コロンボ(第31話)/5時30分の目撃者.jpg「刑事コロンボ(第31話)/5時30分の目撃者」●原題:A DEADLY STATE OF MIND●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:ハーベイ・ハート●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:ピーター・S・フィッシャー●ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー●音楽:バーナード・セイガル●時間:73分●出演:ピーター・フォーク/ジョージ・ハミルトン/レスリー・ウォーレン/スティーブン・エリオット/カレン・マックホン/ブルース・カービー/ライアン・マクドナルド/ジャック・マニング/フレッド・ドレイパー/ウィリアム・ウィンターソウル/ヴァンス・デイヴィス/レッドモンド・グリーソン/グローリー・カウフマン●日本公開:1976/12●放送:NHK(評価:★★★☆)特選 刑事コロンボ 完全版「5時30分の目撃者」【日本語吹替版】 [VHS]

《読書MEMO》
是枝裕和監督の選んだオールタイムベスト10["Sight & Sound"誌・映画監督による選出トップ10 (Director's Top 10 Films)(2012年版)]
 ●ラルジャン(ロベール・ブレッソン)
 ●恋恋風塵(ホウ・シャオシェン)
 ●浮雲(成瀬巳喜男)
 ●フランケンシュタイン(ジェームズ・ホエール)
 ●ケス(ケン・ローチ)
 ●旅芸人の記録(テオ・アンゲロプロス)
 ●カビリアの夜(フェデリコ・フェリーニ)
 ●シークレット・サンシャイン(イ・チャンドン)
 ●シェルブールの雨傘(ジャック・ドゥミ)
 ●こわれゆく女(ジョン・カサヴェテス)

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