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あまりインパクト無かった。マッチポンプっぽい印象を受けなくもない。
『好景気だからあなたはクビになる! (扶桑社新書)』/from「東洋経済ON LINE」(2013年06月25日)
2014年暮れ時点でまだ景気は完全に回復基調にあるとは言えませんが、本書が出された2013年年上半期に株価が上がったりしたため、こうしたタイトルになったのか(その後1年半、株価はほぼ据え置きだった)。まあ、大企業に限って言えば、2016年新卒採用枠を増やす動きなどもあるため、必ずしも予想が外れたタイトルとは言えませんが...。
著者は経営コンサルタントで、「投資会社、経営コンサルティング会社などにおいて企業再生、成長を見据えた企業変革に約20年従事したあと、独立。現在も企業再生をメインに活動を行う。これまでに30社以上、計2000人以上のリストラに直接関わってきた」とのことです。
本書の前半部分では、景気回復期においてこそ企業はリストラを進めるということが説かれていて、例えば500人規模の国内の工場を閉鎖するとなると、その費用は100億円を超えることも珍しくないとのこと、何故なら、500人に支払う上積みの退職金が一人1000万円だとして、合計50億円の現金が必要であり、500人規模の広い工場用地を売却するには、まず土壌汚染の有無など原状復帰が必要かどうかの調査をし、必要に応じて処理をしなければならず、また、土壌汚染が見つかってしまった場合には、すっかりきれいにしてからでないと売却できないため、5億円、10億円という単位でお金が出ていき、更に、工場の設備や機械や在庫などの売却・処分にも数億円単位で現金や会計上の処理がかかる―となると、ざっと計算しても、500人の工場を潰すのに100億円ぐらいの金がかかってしまうと
のことで、企業の台所事情が厳しいときにはリストラに踏み切れないが、好景気により円安・株価上昇によって現金が入れば、それは社員への還元ではなく「リストラ費用」となってもおかしくはないという論旨になっています。
まあ、そうした面はあるだろうなあという印象で、大袈裟に書いてある部分もあれば(2000年代前半までは、社会保険労務士や経営コンサルが数百万円のリストラを請け負っていたこともあった―って、一体どんな社労士?寡聞にして聞いたことがない)、一方で、業績を悪化させた張本人である幹部が、責任も取らずに会社に残っているのが破綻に至る典型的なケース―って、まあ、正論と言えば正論という感じで、全体としてはあまりインパクトを感じませんでした。
むしろ朝日新聞の、'12年の年末に大手企業の実名入りでスクープ記事をぶち上げ、'13年、本書刊行とほぼ同時期に連載特集していた「追い出し部屋」の取材記事の方がインパクトあったかも。連載特集では、リストラ会社が出向先となって余剰人員を受け入れ、電話による求人募集のような仕事をあてがっていたりしている実態が紹介されていましたが、今まで管理職だったような人にノルマ制の電話セールスのような仕事をさせるわけで、かなり露骨に辞めてくれと言っているようなものです。
朝日新聞(2012.12.31) 「追い出し部屋」報道
後半部分は、社員の側からの立場で、どうすればリストラの対象にならないで済むかが指南書的に書かれていて、"顔の見えない社員"のクビは容赦なく飛ぶものであり、上司の価値観に合わせる、報告をマメにする、挨拶や対話を欠かさず、積極的に仕事を引き受ける―などといったことが"リストラ防衛策"として説かれています。
でも、その人の仕事のやり方ってそう簡単に変えられるのでもないし、今までビジネスライクに付き合っていた部下が、いきなり自らのプライベートを開示して自分に接近してきたら、逆に警戒感を強める上司もいるのではないかなあ。気持ち悪がられてしまったりしてネ。
何千人ものリストラに関わってきたという経歴をアピールしているのは、どういう人がリストラされ易いかを語る上での説得力に繋がるのかもしれないけれど、リストラをやらないと経営破綻してしまうような場合を除きリストラは絶対してはいけないと言いつつ、一方で、自分がリストラに関わってきた「数」を誇っているのは、マッチポンプっぽい印象を受けなくもありませんでした。

タイトルの「非情の常時リストラ」に直接呼応しているのは第1章のみでしょうか。これ、編集者がつけたタイトルなんだろなあ。内容を読めば、必ずしも"煽り気味"のタイトルではないということになるのかもしれないけれど、"非情の"はねえ(天知茂の「非情のライセンス」からきているとの説もあるが、あの番組を熱心に見ていた世代というのは、もう定年再雇用期に入っているか、その雇用契約も終わってリタイアしている世代がメインではないか)。
東京管理職ユニオン 鈴木剛・書記長
PIPは、従来の整理解雇、退職勧奨を伴う普通解雇とは異なり、業務命令として、または「あなたのためだから」と思いやりのあるふりをして、達成不可能なノルマや無意味な課題を与え、自主的な退職に追い込んでいくやり方で、従来型の退職勧奨はせず、「業績改善計画」の未達成を理由に、本人に退職届を書かせる方向へ持っていく、或いは、精神的・肉体的に追い詰め、休職→退職へと持っていくやり方です。





人事専門誌などに、企業の人事制度や施策等を紹介する記事を書いたら、その分野では"第一人者"であろうと思われる著者の、光文社ペーパーバックスとしては、『隣りの成果主義』('04年)、『超・学歴社会』('05年)、『会社を利用してプロフェッショナルになる』('07年)に続く第4弾。
熊沢 誠 ・甲南大名誉教授
日本のワークシェアが難しいと認識しながらも、「同一職種同一賃金」による〈一律型〉ワークシェア(時短)のイメージのもと、男性正社員・女性正社員・女性パートの賃金格差を縮めることを実現可能な範囲で具体的に提示するなど、問題解決に向けた真摯な姿勢が窺えます



経営環境が悪くなり、会社の役員会で「リストラするしかない」「いや、ウチは終身雇用だから...」「じゃあ、退職勧奨ではどうか」などの会話が飛び交うとき、そもそもそうした雇用リストラに関するタームを、役員が共通した正しい認識で用いているかどうか、まず懸念される場合があります。
林 明文 氏
雇用調整の考え方と進め方が分かりやすく書かれて、出来ればお世話になりたくない本ではありますが、雇用調整をせざるをえない状況になった時には役立つ実務書です。

原題は"How to fire an employee (社員の解雇の仕方)"で、社員側から見れば「冗談じゃないよ」というタイトルですが、前説で経営評論家の青野豊作氏も、この「いかにもアメリカ的な奇書」と言い方をしています。


森永 卓郎 氏(略歴下記)
本書で言う「能力主義」とは、本文中にもある通り「成果主義」のことを指しています。どうしてこういうタイトルにしたかと言うと、出版当時においては「成果主義」という言葉がまだ"市民権"を得ていないという著者の判断だったそうです。

森永 卓郎