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"エログロ"色の濃い3作を選んだバジリコ版。増村保造の映画化作品は「コレクター」風マザコン映画。



『盲獣』(2016/01 バジリコ)「盲獣 [DVD]
」「盲獣」ポスター 船越英二/緑魔子
浅草歌劇の踊り子・水木蘭子は、ある日恋人の使いと偽る者に誘拐され、見知らぬ地下室へと連れ込まれる。薄暗い地下室には奇矯なオブジェが多数あり、それらは女性の身体の部位をかたどり、色彩は奇妙だが手触りは様々な素材を使った巧妙なもので、腕なら腕、唇なら唇とまとめて無数に並べられていた。その地下室の主は水木の前に度々現れていた「盲目の男」だった。生来の全盲である彼はその慰みとして「触覚」の世界を見い出し、父の莫大な遺産を使ってそれを満足させる芸術を造らせ続けているという。やがてこの触覚の世界に没頭し、彼と共にこの地下室で暮らすようになる蘭子。しかし、蘭子に飽いた男は、その本性を現し始める―。(「盲獣」)
女性の体全体の美に執着する野崎三郎は、ある日友人の紹介で踊り子・お蝶に出会って、すっかりお蝶の身体の虜となり、共に暮らすようになる。そんなある日、お蝶が何かに怯えるように駆け落ちを提案する。不思議に思いつつも、野崎が以前行ったことのある人里離れた籾山ホテルへと身を寄せたが、沼でお蝶が姿を消してしまう。友人の植村喜八とともに、お蝶失踪の真実を探る野崎だが、何者かによって洞窟に閉じ込められてしまう。そして、犯人かと思っていた謎の男・進藤までが2人のいる洞窟に監禁される―。(「闇に蠢く」)
探偵小説家の「私」は、偶然知り合った実業家夫人・小山田静子に助けを求められる。かつて捨てた男である、謎の探偵作家・大江春泥に脅迫されているそうだ。静子への下心と作風の異なる春泥への興味から、「私」は春泥を追うことになるが、行方を掴めぬ内に、春泥の脅迫通り、静子の夫・六郎が死体で発見される。しかし、そこには思いもよらない真相があった―。(「陰獣」)
「盲獣」(1931(昭和6)年2月から翌1932(昭和7)年3月まで雑誌「朝日」に連載)、「闇に蠢く」(1926(大正15)年1月から11月まで雑誌「苦楽」に連載、その後中断し1927年に完結)、「陰獣」(1928(昭和3)年8月から10月まで雑誌「新青年」に連載)の3作を収めています。江戸川乱歩(1894-1965)の生誕120周年記念と言うより、没後50年を経て著作権が切れたために各社からその作品の刊行が盛んですが([Kindle版なども含め)、このバジリコ版はその中でも"エログロ"色の濃い3作を選りすぐったという感じでしょうか。
「盲獣」は、作者自身は本作を失敗作としており、桃源社版の「江戸川乱歩全集」刊行の際、後半の一部を削除したほどです。推理的要素は殆ど無く、ただ男が猟奇的な殺人を繰り返していくばかりで(二度三度と繰り返し、最後は海女さんたちを纏めて殺害して犠牲者は計7名に)リアリティも何もなく、そこがまた一面において乱歩らしいところですが、やや突っ走りすぎて話が収まらなくなり、「全部男の空想でした」で終わってもおかしくないような内容でした。 『十字路・盲獣 (江戸川乱歩長編全集(20))』春陽堂書店 (1973)
「闇に蠢く」の方が、カニバリズムなどがモチーフになってはいるものの、犯人推理の要素があり、その意外性が結構楽しめるかもしれません。「陰獣」は、更に凝った筋立てで、ラストは犯人が誰なのか曖昧にしてあります(但し、主人公にも読者にも誰が犯人か何となく分かるようにはなっている)。これらの作品にもエログロ的要素、更にはSM的要素までありますが、謎解きの要素もあって、「盲獣」ほど"異常さ"が前面に出てこない感じでしょうか。一方の「盲獣」も、純粋な猟奇小説に近いにしても、犯人があまりに易々と犯行を繰り返すため、却って軽すぎて、仕舞いには「笑っちゃう」といった印象も受けました(作者が自ら失敗作としたのも頷ける)。
『陰獣~江戸川乱歩全集第3巻~ (光文社文庫)』[Kindle版]
(1. 踊る一寸法師/2. 毒草/3. 覆面の舞踏者/4. 灰神楽/5. 火星の運河/6. 五階の窓/7. モノグラム/8. お勢登場/9. 人でなしの恋/10. 鏡地獄/11. 木馬は廻る/12. 空中紳士/13. 陰獣/14. 芋虫)
「陰獣」は加藤泰(1916-85)監督の「江戸川乱歩の陰獣」('77年/松竹)として映画化されているほか、何度かテレビドラマ化されています。一方、「盲獣」も、"映像化"するのは一見無理そうな作品ですが、「卍」('64年/大映)の増村保造(
1924-86)監督により「盲獣」('69年/大映)として映画されていて(増村保造は東京大学法学部卒業後、大映に入社。同大学文学部哲学科に再入学し、イタリアにも留学、フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティらに学んだ)、出演は、「黒い十人の女」('61年)の船越英二(1923-2007)、「やさしいにっぽん人」('77年)の緑魔子(東映)、「静かなる決闘」('49年)の千石規子(東宝)です。この映画にはこの3人しか登場しませんが、船越英二がこんなマニアックな役を演じているのが何となくうれしい(?)。
増村保造
映画「盲獣」では、時代
が現代に置き換えられていて、誘拐される女性は原作では浅草歌劇の人気踊り子だったのが、映画では売れないファッションモデルから有名写真家のヌードモデルへ転身してその個展まで開かれるようになった女性(緑魔子)というように改変されています(彼
女が呼ぶ「按摩師」は「マッサージ師」(船越英二)になっているが、まあ、これは同じこと)。その彼女が攫(さら)われて連れてこられた地下室の、女性の身
体の部位をかたどったオブジェが林立する様が、映
像的によく再現されていたように思います(アルフレッド・ヒッチコックの「白い恐怖」('45年/米)におけるサルバドール・ダリによるイメージセットを想起させる)。
映画では、盲目の男による誘拐は1度だけで、中盤までの展開は、監禁される側が監禁する側に対して憐れみを抱くようになるという点で、ウィリアム・ワイラー監督の「
コレクター」('65年/英・米)の影響を受けているように思いました。その後、男女が異常性愛に溺れていくのは江戸川 乱歩の原
作と同じですが、終盤にかけて、それまで息子である男のために"獲物"の調達と監禁に協力していた母親(千石規子)が、2人の関係が思いもよらず深いものとなったことを危惧してそこへ入り込んできたために三角関係の展開となり、その時点で原作とは別物になったように思いました(マザコン映画だったということか)。
原作は、後に「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」('69年)の石井輝男(1924-2005)監督によって、その遺作「盲獣vs一寸法師」('04年/石井プロダクション=スローラーナー)の中でも一部映像化されていますが、先行例があったからこそ石井輝男監督も映像化に踏み切れたのではないでしょうか。でも、増村保造版に比べると石井輝男版セットなどは安っぽい印象を受け(意図したキッチュ感なのかもしれないが)、両者を見比べると、映画会社と独立プロダクションの差はあるにしても、改めて増村保造の映画作りへのこだわりを感じさせます。
石井輝男監督「盲獣vs一寸法師」('04年)

「盲獣vs一寸法師」は、リリー・フランキーが映画初出演にして主演を演じた作品ですが(彼はオーディションで選ばれた。オーディション落選組に「シン・ゴジラ」('16年/東宝)での主演が決まった長谷川博己がいた)、全部を観ていないので評価不可。増村保造監督の「盲獣」は、カルト的なポイントは加味しない評価で「星3つ」。カルト的要素を加点すれば「星3つ半」か或いは「星4つ」に近いといったところです。
また、「盲獣」は、「江戸川乱歩 美女シリーズ(第21話)/白い素肌の美女」('83年/テレビ朝日)としてもテレビドラマ化されていますが、このシリーズは、天知茂演じる明智小五郎が事件の捜査に臨み、最後は変装して犯人を欺き、犯人の目の前で謎解きをするという推理仕立てがパターンであるため、それに合わせたストーリーになっています。前半のあらすじは、
助手の文代(高見知佳)と小林少年(小野田真之)に無理やりディスコに連れてこられた明智小五郎だったが、どうにも馴染めずその場を飛び出してしまう。その帰り道の公園で不自然に荷物を包み直している尼僧に目が止まる明智、よくみるとその荷物は人の前腕部を包んだものだった。明智に気づいた尼僧は、その場を立ち去る。明智がその後を追いかけると、寺に中から僧侶が出てきて、ここには自分しかおらず、尼僧がいる寺ではないと言う。多摩川の丸子橋付近で遊んでいる子供達の元にいくつもの風船に吊られた荷物が落ちてきて、それが紙に包まれた人の両脚であったため騒ぎになる。警察で、事件を担当する波越警部(荒井注)は、この猟奇的な事件を明智に相談する。一方の明智は、山野文化学院の院長・山野(田中明夫)の茶会に呼ばれ、山野の後妻・百合枝(叶和貴子)がなにかを明智に相談しようとした時、マッサージの宇佐美鉄心(中条きよし)がやってくる。彼女はそれをやり過ごし、一人娘の三千子(美池真理子)の行方を捜してほしいと明智に頼むが、後日、都心のデパートで人間の右手が発見され、指紋から三千子の右手と判明する―。
クレジットも原作は「盲獣」となっていますが、「一寸法師」からかなり引いています。まったくのオリジナル脚本にしてしまわないだけ良心的とも言えますが、かなり込み入った話になっています
。ただし、犯人は、最初に出てきた時から犯人らしい(笑)妖しい雰囲気なので、あとは犯行の謎解きを愉しんでくださいということかと思います(純粋推理的と言えなくもないが、そう言い切るにはややアンフェアか)。叶和貴子は、「パノラマ島奇譚」を原作とするシリーズ第17話「天国と地獄の美女」('82年)に続く2度目の「美女」役、明智の助手の文代と小林少年の役は、前の第20話からそれぞれ 五十嵐めぐみ → 高見知佳、柏原貴 → 小野田真之にバトンタッチしています。
やはり、映画と比べると、犯人の「秘密の部屋」のセットがあまりにちゃちだったでしょうか(照明で隠している感じ)。「天国と地獄の美女」と比べても安上がりに仕上げた感じで(「天国と地獄の美女」の方がシリーズの中では特別だったのかもしれないが)、その分、ミステリの方にウェイトを置いたのでしょう。ただ、そのミステリの方も、ややパンチ不足だったように思いました。
「江戸川乱歩 美女シリーズ(第21話)/白い素肌の美女」●制作年:1983年●監督:篠崎好●プロデューサー:佐々木孟●脚本:長谷和夫●音楽:鏑木創●原作:江戸川乱歩「盲獣」●時間:90分●出演:天知茂/高見知佳/小野田真之/荒井注/叶和貴子/美池真理子(池まり子)/五代高之/福田妙子/曽我町子/飯野けいと/喜田晋平/加藤土代子/桜川梅八/小田草之介/田中明夫/中条きよし●放送局:テレビ朝日●放送日:1983/04/16(評価:★★★)
音楽:林 光(1931-2012)


「盲獣」●制作年:1969年●監督:増村保造●脚本:白坂依志夫●撮影:小林節雄●音楽:林光●原作:江戸川乱歩「盲獣」●時間:84分●出演:船越英二/緑魔

子/千石規子●公開:1969/01●配給:大映(評価:★★★)
船越英二 in「黒い十人の女」('61年/大映)/緑魔子 in「やさしいにっぽん人」('71年/東プロ)/千石規子 in「静かなる決闘」('49年/東宝)
『盲獣・陰獣 (河出文庫)』['18年]
「盲獣」...【1973年文庫化[春陽文庫(『十字路・盲獣―江戸川乱歩長編全集(20)』)]/1988年再文庫化[春陽堂書店・江戸川乱歩文庫(『十字路―他一編(盲獣)』)]/1988年再文庫化[講談社江戸川乱歩推理文庫(『盲獣』)]/2005年再文庫化[光文社文庫(『江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男』)]/2018年再文庫化[河出文庫(『盲獣・陰獣 』)]】
「闇に蠢く」...【1988年文庫化[春陽堂書店・江戸川乱歩文庫(『暗黒星―他一編(闇に蠢く)』)]/2004年再文庫化[光文社文庫(『江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚』)]】
「陰獣」...【1977年文庫化[春陽文庫(『江戸川乱歩名作集〈1〉陰獣』)]
/2005年再文庫化[光文社文庫(『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』)]/2008年再文庫化[角川ホラー文庫(『陰獣―江戸川乱歩ベストセレクション (4)』)]/2015年再文庫化[春陽堂書店・江戸川乱歩文庫(『陰獣 』)]/2018年再文庫化[岩波文庫(『江戸川乱歩作品集Ⅱ 陰獣・黒蜥蜴 他』)]/2018年再文庫化[河出文庫(『盲獣・陰獣』)]】
『江戸川乱歩名作集〈1〉陰獣 (1977年) (春陽文庫)』
『江戸川乱歩作品集Ⅱ 陰獣・黒蜥蜴 他 (岩波文庫)』['18年]
要旨(「BOOK」データベースより)
犯行の謎に迫る探偵と意表を突く犯人。謎と推理をテーマとした代表作群。「陰獣」は緻密な構成とトリックにより日本探偵小説の新段階を告げた。「黒蜥蜴」は妖しく美しい女賊黒蜥蜴と明智小五郎探偵との対決と愛の葛藤を描く。幻のデビュー作「一枚の切符」、本格探偵小説「何者」、戦後の好短篇「断崖」を収録。
《読書MEMO》
● 桂 千穂 『カルトムービー本当に面白い日本映画 1945→1980』['13年/メディアックス]



テレビプロデューサーの風松吉(船越英二)は、美しい妻・双葉(山本富士子)がいながら、多くの女と浮気していた。双葉と愛人たちはお互いの存在をそれとなく知っており、"風"が浮気者であるという事も重々承知しているものの、何故か"風"から離れられないでいる。そこで双葉と舞台女優で愛人の市子(岸恵子)との間で"風"を殺す計画が持ち上がる。それは計画を立てることで"風"への鬱憤を晴らすための架空の計画であったが、気の小さい"風"は、愛人たちが自分を殺そうとしていると思い込んで双葉に相談す
る。双葉はあっさり計画を認めた上で、愛人たちを一掃するために、
を隠すが、やがてその存在を疎ましく思うようになり、狂言殺人であることを明かして愛人たちから糾弾される。双葉は"風"と離婚し、市子が女優を辞めて"風"を引き受けることになる―。
和田夏十(本名:市川由美子、1920-1983)のオリジナル脚本、市川崑(1915-2008)監督の1961年公開作品。和田夏十は市川昆のパートナーとして「
主演は「野火」の船越英二(1923-2007)で、生き馬の目を抜くようなテレビ業界に身を置き多忙を極めながらも、一方で多くの女性と節操の無い関係を続け、では人生充実しているかというと、いつも何となく浮かない顔しているというそうした男を好演、"風"という名前に、仕事も恋愛も何となく"虚"であって"実"の見えてこない様が込められているように思いました。
「十人の女」の内、"風"の愛人で女優の石ノ下市子(岸恵子)、妻の風双葉(山本富士子)以下、愛人の三輪子(宮城まり子)、四村塩(中村玉緒)、後藤五夜子(岸田今日子)までが有名女優が演じていました。そ
して、9人目の愛人(本妻を含め「十人目の女」)十糸子まで名前に数字が入っていますが、その順番で言うと本妻の双葉(二葉)の前に愛人の市子(一子)が来ているというのがやや捻っていて面白いです。
演技面でも5人とも見せますが(中村玉緒が若い(!)。ついでに伊丹十三も)、中でもやはり岸恵子と山本富士子の"競演"が見所で、この2人の演技は主人公の"風"を演じた(しかもそう悪くない演技をしている)船越英二を喰っているように
思いました。岸恵子と山本富士子でどちらが上かというと、この作品では、スタイルの和洋の違いはありますが("ナンバー1"である)市子を演じた岸恵子の方が勝っていたでしょうか。終盤、市子によって"風"は飼い殺し状態になり、会社にも行けない状態になって生きる目的を失ったようになっていますが、これって市子にとってはどういうメリットがあったのでしょうか。単に復讐なのか、その辺りが個人的にはややもやっとした謎が残りました。

危うく"風"の10人目の愛人、11人目の女となりかかる女性を、前年イタリアの歌手ミーナの曲のカバー曲「月影のナポリ」でデビューして大ヒットし、「NHK紅白歌合戦」初出場を果たした森山加代子が演じていて(この曲はザ・ピーナッツもカバーした。「紅白」では同年ヒットした、これもまたザ・ピーナッツとの競作カバー曲「月影のキューバ」を歌った)、彼女の役柄は新人タレントの「百瀬桃子」。テレビ局の屋上でうっとりと森山加代子演じる桃子が「月」を見ているシーンから、彼女が船越英二の"風"と抱き合うまで、ここだけロマンティックなタッチで描かれているのが何故か印象に残りました(音楽は芥川也寸志)。森山加代子はその後本業の歌手としてもいったん低迷状態になりますが、「
「黒い十人の女」●制作年:1961年●監督:市川崑●製作:永田雅一●脚本:和田夏十●撮影:小林節雄●特撮:築地米三郎●音楽:芥川也寸志●時間:103分●出演:船越英二/岸恵子/山本富士子/宮城まり子/中村
玉緒/岸田今日子/宇野良子/村井千恵子/有明マスミ/紺野ユカ/倉田マユミ/永井智雄/
中村玉緒/





フジテレビ・ゴールデンシアター特別企画「黒い十人の女」 2002年9月21日(全1回) 監督:市川昆 オリジナル・シナリオ:和田夏十/神山由美子
出演: 小林薫/鈴木京香/浅野ゆう子/小泉今日子/深田恭子/小島聖/木村多江/松尾れい子/冨樫真/唯野未歩子/一戸奈未
読売テレビ・日本テレビ系 新木曜ドラマ「黒い十人の女」 2016年9月29日~(全10回)
演出:渡部亮平/瑠東東一郎/山本大輔/豊島圭介 脚本:バカリズム 原作:和田夏十


冬の網走駅で汽車を降ろされた男たちが、トラックに乗せられ網走刑務所へ護送される。受刑者の橘真一(高倉健)もその一人だった。入所後、雑居房に入
れられた橘は、殺人鬼"鬼寅"の義兄弟と称して幅を利かせていた牢名主の依田(安部徹)や同じ新入りの権田(南原宏治)と衝突、喧嘩の責任をとって懲罰房に送られる。一人になった橘は、幼かった自分と妹を飢えさせないために母(風見章子)が不幸な再婚をしたこと、養父の横暴に耐え切れず母と妹(宗方奈美)を残して家を出たことを回想する。都会へ
出てやくざとなった彼は、渡世の義理で人を斬り3年の刑期を宣告され網走刑務所に送られたのだった。入所から半年が過ぎ、真面目に労役に汗を流す橘を囚人たちは点数稼
ぎとして冷ややかに見る。仲間への意地から騒動を起こし再び懲罰房へ行かされる橘に対し、保護司の妻木(丹波哲郎)だけは親身になって相談に乗る。故郷の妹からの手紙によると、母が死の床にあり早く戻ってほしいという内容
であり、同情した妻木は仮釈放の手続きを約束してくれる。一方、雑居房では依田、権田らが脱走計画を練っており、密告すれば渡世の仁義を踏みにじるイヌとされ、巻き込まれると仮釈放が消える橘は苦悩する。この脱走を直前になって失敗させたのは同じ雑居房にいた阿久田老人(嵐寛
寿郎)であり、彼の正体こそ"鬼寅"であり、鬼寅は橘の苦境を見抜いて彼を救ったのだった。翌日、森林伐採の労役でトラックに乗せられた依田らは無蓋の荷台から飛び降りる。権田と手錠でつながれた橘も彼と一緒に飛び出して脱獄囚とされてしまう。報告を聞いた妻木は、やっともらった橘の仮釈放認可の書類を破り捨て二人を追う―。
石井輝男(1924-2005/享年81)監督による作品で、'65年公開当初は小沢茂弘監督の任侠映画「関東流れ者」(鶴田浩二主演)の添え物映画という位置づけであり、映画業界でカラーフィルムによる「総天然色」が主流になりつつあった時代に、「主役が脱獄囚であり、ヒロインにあたる女優が登場せず、ラブロマンスもないため興収を見込めない(だから当たりそうもない)」という理由で、石井輝男監督らが北海道のロケハンより戻ってきた際に「予算はカット、添え物の白黒映画にする」と会社(東映)から言われたそうです。何とかカラーで撮らせてくれと執拗に迫った高倉健に対し、大川博社長(東映の事実上の創業者)は「文句があるなら主役を梅宮辰夫に変えるぞ」と言ったそうです。しかしながら映画はヒットし、高倉健は一躍スターダムへ。石井輝男=高倉健のコンビで、以下、シリーズ第10作まで作られました。
この第1作は、(高倉健はカラー映画を望んだわけだが望みが聞き入れられず)白黒映画になったことで、雪中シーンが多いことやシンプルなアクションシーンなどとの相乗効果で、却ってシリーズの中で際立つことになったように思
います(シリーズ第2作以降は全作品カラー)。また、第2作以降に出てくる(「男はつらいよ」シリーズのような)マドンナ的な女性がこの第1作では登場せず、「母子物」的要素と「義侠心」に近い男の'友情'が前面に押し出されています(「母子物」的要素は第5作「網走番外地 南国の対決」にもあるが、それは子供が当事者であって、一方、第1作は大人としての主人公が当事者である)。
ロケは大変だったろうなあと思わせる作品でした(特に高倉健と南原宏治)。大雪原の脱走、トロッコによる追跡劇、列車による手錠切断から大団円までを演じた高倉健
は、まだこの頃みずみずしさがあって良く、若くして存在感がある一方で(このシリーズでの特徴だが)ちょっと剽軽一面も見せます(高倉健の実際の性格にも近いとも言われる)。南原宏治やいかつい顔の安部徹(若手時代は二枚目俳優だった)も悪くないですが、嵐寛寿郎演じる"八人殺しの鬼寅"の役回りも極めて良く、嵐寛寿郎は南原宏治、安部徹らを凌駕するどころか、準主役の丹波哲郎や主役の高倉健より良かったという人もいます。どういうわけか獄中59年、残り刑期が21年あったはずの"鬼寅"
が、以降のシリーズ作でも設定を変え、キャラクターのみ"鬼寅"のそれを継承して毎回出てきますが、やっぱりこの第1作の"鬼寅"が一番印象に残ります。
は、スタンリー・クレイマー監督、トニー・カーチス,シドニー・ポワチエ主演の「手錠のままの脱獄』('58年/米)を換骨奪胎した脚本を書き、女っ気の無い、男だけの脱獄映画、雪上アクション映画となったという経緯があります(こうなると伊藤一の小説は殆ど'原作'とは言えないのでは)。
脱獄する気も無かったのに脱獄犯として追われるという不条理な状況に置かれた高倉健演じる主人公の橘が、最後の最後に嫌疑が晴れてスッキリというこのパターンは、映画会社が違っても高倉健が主演の「
「網走番外地」●制作年:1965年●監督・脚本:石井輝男●企画:大賀義文●撮影:山沢義一●音楽:八木正生●原作:伊藤一「網走番外地」●時間:92分●出演:高倉健/丹波哲郎/南原宏治/安部徹/嵐寛寿郎/田中邦
衛/沢彰謙/風見章子/杉義一/潮健児/滝島孝二/三重街恒二/ジョージ吉村/佐藤晟也/関山耕司/菅沼正/北山達也/志摩栄/宗方奈美/河合絃司/小塚十紀雄/山之内修/日尾孝司/久保一/相馬剛三/久地明/沢田実/水城一狼/久保比佐志/山田甲一/沢田浩二/秋山敏/植田灯孝/最上逸馬/勝間典子/佐藤公明/石川えり子●公開:1965/04●配給:東映(評価:★★★★)

銀行に務める江田昌利(伊藤久哉)・浦橋吾一(和田孝)・岩瀬秀雄(児玉清)の3人は、8月30日、北アルプスの鹿島槍ヶ岳に登った。山小屋に宿泊して翌日、雨の降る中、3人は途中で遭難、江田が救援に向かうも、岩瀬は疲労と寒気から錯乱状態に陥り、黒部渓谷の奈落へ転落死する。ある日、江田は岩瀬の姉・真佐子(香川京子)と従兄の槇田二郎(土屋嘉男)から夕食に呼ばれ、遭難現場を訪ねたいとの申し出を受ける―。

脚本は、その後「昭和侠客伝」('63年/東映)や「網走番外地」('65年/東映)を監督する石井輝男(1924-2005/享年81)ですが、元々は東宝から新東宝へ移籍して'61年の途中までは新東宝に所属し、「黒線地帯」('60年/新東宝)、「黄線地帯 イエローライン」('60年/新東宝)などを監督した人であり、新東宝から移籍したニュー東映では、松本清張原作の「黄色い風土」('61年/ニュー東宝)を監督しています。
「山岳ミステリ」とでも言うべき珍しいジャンルの作品で、映画ロケも鹿島槍ヶ岳で行われています。石井輝男のイメージから原作をかなりいじっているかと思いましたが、ラストには原作には無い「雪崩」があるものの、全体としては忠実に原作を再現していました。
ラストの「雪崩」は、元の話が"悪(ワル)"の方が"正義"に勝(まさ)ってしまう話であるため、映画としては収まりが良くないと考え、一捻りを加えたのでしょうか。それでも、原作にある遭難事故に纏わる手記を、時系列を遡りながらも丹念に映像化するなどしており、ほぼ原作に忠実と言っていいと思います。
同じく原作短編集に収められている「天城越え」などはテレビ番組も含めると何度も映像化されていますが、その度に原作にはない話が出てきます。これは「天城越え」の原作が文庫30ページそこそこの短編であることによるものかと思われますが、「遭難」は文庫で100ページ超の中編で、それを、原作の要素に何も足したり引いたりせず、岩瀬の"遭難"を綿密に映像化することに時間を割いたと言っていいのではないでしょうか(原作には鹿島槍ヶ岳付近の略地図が出てくる)。
原作における犯行手口は、松本清張が実際に鹿島槍ヶ岳に行ってそれが成立し得るかどうかを実地検証したというものであり、岩瀬の"遭難"にそのトリックは綿密に織り込まれているため、"遭難"を忠実に再現したことは良かったように思います(綿密に再現することで、映画も本格推理ドラマとしてきちんと成立している)。いっそのこと、ラストも変えなくても良かったような気もするのですが、そうともいかなかったのか。これでラストも変えなかったら、映画も原作も全く同じということになり、敢えてそれを避けたのかもしれません(個人的には、同じでもいいと思うのだが)。

若き日の児玉清(1934-2011/享年77)の演技が見られる作品でもあります。1967年に東宝を退社してフリーとなり、その後はテレビドラマに活動の場を移しましたが、テレビ朝日系列で放送されている「パネルクイズ アタック25」の司会を、1975年の放送開始から2011年の死去直前まで36年間にわたって務めたことでも知られています。一応、岩瀬(児玉清)は江田(伊藤久哉)の妻(松下砂稚子)と不倫していたという設定なのですが、若い頃から爽やかな印象がありました(登山場面になってからは苦しそうな表情ばかりだったが)。


「黒い画集 ある遭
難」●制作年:1961年●監督:杉江敏男●製作:永島一朗●脚本:石井輝男●撮影:黒田徳三●音楽:神津善行●原作:松本清志「遭難」●時間:87分●出
演:伊藤久哉/和田孝/児玉清/香川京子/土屋嘉男/松下砂稚子/天津敏/那智恵美子●公開:1961/06●配給:東宝(評価:★★★☆)





![黒線地帯 [DVD] - 1.jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E9%BB%92%E7%B7%9A%E5%9C%B0%E5%B8%AF%20%5BDVD%5D%20-%201.jpg)


秘密売春組織に絡む女(瀬戸麗子)を追っていたトップ屋の町田広二(天知茂①)は、街の女易者(魚住純子②)の手引きでポン引のサブ(鳴門洋二③)と行ったホテルで睡眠薬を飲まされ、目覚めた時には傍らでその踊子の女が町田のネクタイで首を絞
められ死んでいた。罠に嵌ったと知った彼は、女易者とポン引の行方を探る。この事件を新聞が報じ、町田のライバル鳥井五郎(細川俊夫④)も動き出す。町田はホテルの女中(城実穂)を街で見かけ、捉まえて話を訊こうとする。女の髪の中からは麻薬が見つかる。車が女を撥ね、彼女は"あの晩の男はサブ"と言い遺す。警察への町田からの匿名通報と同じ頃、事件を知らせる女の電話もあった。鳥井は、男の通報者は町田だと目星をつける。町田は死んだ踊子と親しかったという洗濯屋を
探り、街で拾った女の麻薬常用者からポン引のサブの居所を知る。コマ劇場の傍のパチンコ店で町田はサブを追い、マネキン製造所に飛び込み、麻耶(三原葉子⑤)という女と知り合う。彼女は、海軍キャバレーのシンガポール(水上恵子⑥)という女給のことを話してくれ、そのキャバレーに行くと鳥井が来ていた。町田は死んだ女の踊っていた横浜のキャバレーへの
途中、美
沙子(三ツ矢歌子⑦)という高校生を拾う。彼女はフランス人形運搬のバイトをしていたが、町田は人形に麻薬が隠されている事実を掴み、麻耶に自白を迫る。鳥井が来て町田を犯人と決めつけるが、町田は2日の猶予を鳥井に貰う。麻耶はいつしか町田に惹かれいた。警察は町田を犯人として追い、町田は麻耶と逃れるが、途中で麻耶が負
傷し、それを看るうちに時は迫る。麻耶は知っていることを町田に全部話し、町田は女易者を見つけ出し、麻薬団のボス(大友純⑧)が例の横浜のキャバレーを根城にしていることを聞き出すと、そのキャバレーに行く。そこには美沙子が人質になっていた―。
■「白線秘密地帯」('58年)監督:石井輝男、主演:宇津井健
■「黄線地帯 イエローライン」('60年・新東宝)監督:石井輝男、主演:吉田輝雄/天知茂
■「セクシー地帯」('61年)監督:石井輝男、主演:吉田輝雄

無実の主人公が警察に追われながら真犯人を探すのというのは(それに女性が絡むというのも含め)ある種定番ストーリーですが、サスペンスフルでテンポもいいです(音楽は渡辺宙明)。東映プロデューサーの天尾完次は、「石井は同じ東宝出身の黒澤明の対極に位置する」と評していますが、主人公が人伝(づて)に訊いて徐々に真相に近づいていく様は、個人的には、黒澤明の「
拳銃を盗まれた新米刑事(三船敏郎)の探索に重なるものがあるようにも思いました(黒澤作品を想起させるほどレベルが高いということか)。三船敏郎演じる刑事に鍵となる情報を与えるのも全て女性でした。
女(山村邦子⑨)やゲイボーイ(浅見比呂志⑩)がいる店とか。麻薬団のボス(大友純)は怖そうだったし(あっさり謀殺されてしまうけれど)、終盤の町田と殺し屋ジョー(宗方祐二)の格闘シーンも良かったです。貨物列車の上からはしけの上に飛び移って...。横浜のどの辺りでしょうか。情感を秘めたラストもいいです(ちょっと三原葉子向きではない感じもするが)。
あの淀川長治も、この作品のストーリーや細部の描写を1つ1つ取り上げて褒めていますが、「けれど、そんな筋よりも安っぽいグラマーに扮した三原葉子が出てくると、 もうそれで面自くなる。ジエルソミーナがヌード・グラマーに早変りした魅力である。この映画作者はもっと自信を、もつと本格に取り組むべし」としています(「キネマ旬報」昭和35年2月下旬号第252)。三原葉子は演技力よりも、三原葉子そのものがいいという感じ。淀川長治は石井輝男に黒澤のような作品を期待したのかなあ。石井輝男は5年後にその代表作「
「黒線地帯」●制作年:1960年●監督:石井輝男●製作:大蔵貢●脚本:石井輝男/宮川一郎●撮影:吉田重業●音楽:渡辺宙明●時間:80分●出演:天知茂/三原葉子/三ツ矢歌子/細川俊夫/吉田昌代/魚住純子/ 守山竜次/鳴門洋二/宗方祐二/瀬戸麗子/南原洋子/菊川大二郎/鮎川浩/城実穂/浅見比呂志/板根正吾/山村邦子/桂京子/小高まさる/大谷友彦/水上恵子/国創典/倉橋宏明/宮浩一/晴海勇三/村山京司/原聖二●公開:1960/01●配給:新東宝(評価:★★★★)



魚場を狙う地回りから嫌がらせを受けながらも、由美は先祖の財産を守るべく孤軍奮闘していたが、ある夜、その由美の枕元に髪の毛を振り乱した女の幽霊が現われる。磯では由美の遠戚の海女・加代(万
里昌代)が仲間の海女と喧嘩していた。海草研究家・水木教授(沼田曜一)は、加代を抱き込み青山家に代々伝わる財宝を狙っていた。由美の親友・恭
子(三原葉子)が不安がる由美からの手紙で青山邸にやって来たが、彼女が来てからも怪異は続く。恭子は、自分が風呂上がりに目を離した隙に、入浴中の由美の前に現われた幽霊の後を浜に追う。恭子の
恋人の野々宮刑事(菅原文太)は黒真珠を飲み込んだ女の他殺死体が見つかったため、これは恭子の友達と関係があるのではと考え、彼も浜へ来ていた。恭子は幽霊の正体が、地回りに雇われた下男と女中の企みだと気付く。恭子は邸のパーティーで、下男に雇われた婆やが捨てた幽霊の衣装で現われ犯人を挑発するが、逆に、婆やが自殺に見せかけて殺されてしまう―。 
1959(昭和34)年7月公開の新東宝映画、曲谷守平監督の"海女ものスリラー"(海女もの×B級ホラー?)で、三原葉子、菅原文太主演。一応、「菅原文太の初主演作」とされているようですが、親友の瀬戸麗子から「亡霊に呪い殺されそう! 助けて!」との手紙を受け取った三原葉子が心配して青山家を訪ねて来くるところから始まって、彼女(恭子)の視点で話は進み、化物騒動の真相を暴くところまで自らやってしまうので、どちらかと言えば三原葉子の作品という印象が強いです。
「
ヌード拒否事件で新東宝を退社した後に、彼女の後を受ける形で三原葉子(1933-2013)が起用されたということもあって、前田通子のお姉さんっぽいキャラを踏襲している感じであり、「
その三原葉子は海女役ではなく、海女役は万里昌代(「
一方、三原葉子の方は三原葉子で、風呂場での着替えのシーンなどでグラマラスな肢体を披露、最後に由美、加代と共に小舟に誘拐されますが、どういう訳か小舟ではシュミーズ一枚にされていて、沼田曜一の共犯者を演じる国方伝に襲われかけますが、助けに来た菅原文太と海にドボンと...。ここでいいきなり都会からやって来た彼女が地元の海女
のようにスイスイ泳いでみせるのが不思議なのですが、察するに、海女の遊泳シーンがこの作品の1つの"売り"のようなもので、となると主演の三原葉子にも、彼女は役柄の上では海女ではないといったことはもうどうでもよく、とにかく他の2人同様たっぷり泳いでもらおうということだったのでしょう。
菅原文太(1933-2014)はすらっとしていて腹筋も割れていて、いかにもモデル出身という感じですが、グラマラスな三原葉子に押されているだけでなく、犯人役の沼田曜一(1924-2006)の怪演にも押されている感じがします。翌1960年1月公開の同じく小野田嘉幹監督の「
葉子はベリーダンスのような踊りを踊っている)、この「海女の化物屋敷」では、沼田曜一演じる水木教授に拉致された女性らをいつ助けに来るのか、今や遅しと待っていたら、助けに行く前に水木の方が勝手に滑って転んで...え~っという感じ(これではよくある"事件解決後に現場に駆けつけた警官"という間が抜けたパターンと同じではないか)。沼田曜一は、回想シーンでの妻を絞殺するところも、水中銃の銛に射抜かれるところも見せ場充分、これでは菅原文太の影が薄いのも無理はないです。
三原葉子と沼田曜一の印象が残る映画であり、更に万里昌代、瀬戸麗子が今回の当の海女役であり(右のスチール写真は前年の小野田嘉幹監督「人喰海女」('58年)における三原葉子で、この時は「海女の化物屋敷」と違ってちゃんと海女役だった)、「初主演」の菅原文太はややお飾り気味という感じだったでしょうか(時として"正義漢"というのは影が薄くなりがちになる)。2006年に亡くなった沼田曜一に続いて、菅原文太が2014年11月に亡くなっており、更につい2週間前['16年2月]、三原葉子が実は2013年7月に亡くなっていたという報に接することとなったのが寂しいです。三原葉子の死は、彼女の出身地の地元紙「盛岡タイムス」が昨年['15年]12月のイベントの予告記事の中で既にさらっと伝えていたのですが(その時点で没後2年以上経っているのだが)、世間では全然話題にならなかったような...。

「海女の化物屋敷」●制作年:1959年●監督:曲谷守平●脚
本:杉本彰/赤司直●撮影:岡戸嘉外●音楽:長瀬貞夫●原案:葭原幸造●時間:81分●出演:三原葉子/菅原文太/瀬戸麗子/山村邦子/万里昌代
/沼田曜一/国方伝/五月藤江/岬洋二/九重京司/大原永子/由木城太郎/山下明子/沖啓二/倉橋宏明/白川晶雄/高橋一郎/西朱実/宇田勝哉 ●公開:1959/07●配給:新東宝(評価:★★★)




三信貿易の木崎(宇津井健)が社長に書類を届けて帰った夜、守衛が殺され会社の金庫から1500万円が紛失する。木崎は浅沼
専務(藤田進)の海外出張に同行する恋人・夏岐(前田通子)を見送った直後に逮捕される。社長も殺されていて、木崎のポケットから金庫の鍵が発見されたことから全て
の嫌疑が木崎にかかるが、実はこれらは、浅沼専務と部下の野口(丹波哲郎)が仕掛けた罠だった。夏岐は
船上で浅沼に襲われ、海に転落する。打ち上げられた南海の孤島には、遭難して漂着生活をする5人の漁師がいた。夏岐に3人の男が襲いかかるが、人
間性を失わない石塚(沢井三郎)と山内(天知茂)により夏岐は助けられる。そして食料を探して潜った海中で、偶然に真珠の宝庫を発見する。それから2年後、外国船に助けられた
夏岐は、女真珠王・ヘレン南と変名し日本へ帰って来て、その莫大な財力で浅沼たちの悪事を暴いていく―。
「女真珠王の復讐」は、志村敏(1914-1980)監督による1956(昭和31)年の新東宝の製作・配給映画。原作はプロレタリア映画運動出身の松崎啓次が「青木義久」のペンネームで書いた小説ですが(雑誌「小説と読物」(桃園書房)に掲載)、映画の方は女優のオールヌードシーンが初めて描かれた作品としても有名です(それまではストリッパーなどによる"吹替え"が普通だった)。当の女優・前田通(みち)子は、演技力はそれほどでもないけれど、その憂いを帯びた表情と伸びやかで艶めかしい肉体には、宇津井健、藤田進、丹波哲郎、天知茂といった錚々たる男優陣も影が薄くなりがちといったところでしょうか。まあ、前田通子が主役ですから、それでいいのかもしれませんが。
この類の新東宝作品にありがちなようにストーリーは破綻気味で、会社で秘書をしていた夏岐が偶然流れ着いた南洋の孤島ではいきなり有能な海女ぶりを発揮し(その意味では新東宝作品の"海女もの"の1つとも言えるか。夏岐の素潜りシーンは一部、翌年に天知茂と結婚する、国体水泳選手だった森悠子が"吹替え"を務めたらしく、髪型が明らかに違ってる)、真珠の宝庫を見つけて大金持ちになるといったご都合主義を筆頭に、突っ込みどころは多くありますが、中盤の夏岐を襲う危難と終盤の復讐劇の展開からついつい引き込まれて観てしまいます(細部でストーリー破綻しているのに、全体で起承転結がしっかり成っているということか)。
でも、やはりこの作品の一番は前田通子でしょう。話題になったヌードシーンは遠景、後姿、しかも一瞬ですが、その他にも艶っぽいシーンが多く、東京に戻って来てからもホテルの中でセクシーな部屋着を着ていて、客が来るとスカートを巻くといった仕草が悩ましいです。彼女はこの作品で一躍スターダムへのし上がり、2年間に20本以上の作品に主演、新東宝の屋台骨を支えたほか、1957(昭和32)年の同じく志村敏夫監督による「海女の戦慄」では主題歌(「海女の慕情」)も歌いヒットします。
「海女の戦慄」の方は―、ミス海女に選ばれたチエ(三ツ矢歌子)がユキ(万里昌子)と一緒に上京するが、予定を過ぎても帰ってこない。数日後、ユキの溺死体が発見される。チエの姉で同じく海女であるヨシ(前田通子)は、風来坊の俊介(若杉英二)とともにチエの行方を探す―というあらすじです。
実は妹のチエは、悪漢たちに難破船の宝探しをさせられていたのが真相で、これも新東宝"海女もの"にありがちな展開ですが、そうしたこともあって「女真珠王の復讐」以上にストーリーは破綻気味で、誰かがこのストーリーこそが"戦慄"だと言っていましたが、言い得ていて妙。若杉英二の風来坊はあまりにレトロだし、引き上げられた宝石の小箱のちゃちさには愕然とさせられるし...。
前田通子は今度こそ本物の海女役で冒頭から肌も露わですが、あまり見せすぎるのも興醒めでしょうか。それでも、当時売出し中の三ツ矢歌子の海女姿などと比べるとその肢体はずっと映えて見え、また、若杉英二の、無理があるほどにバタ臭いマドロスぶりのレトロさと比べても、前田通子の方は今観てもモダンで洗練されているように思いました。
前田通子は同1957(昭和32)年、映画「続若君漫遊記・金比羅利生剣」に町娘役で出演中(当時23歳)、加戸野五郎監督にカメラが下から覗く中、「二階の階段の上で裾をまくれ」と注文されますが、その必然性がないと拒絶、押し問答の末、彼女が新東宝の大蔵貢社長に直訴すると、逆に「監督の指示に逆らった」(契約違反)として役を降ろされるとともに会社への損害賠償として100万円(当時)を支払うよう言われ、これを不服として人権擁護局に訴え、彼女の主張が認められて新東


「女真珠王の復讐」●制作年:1956年●監督:志村敏夫●製作:星野和平●脚本:相良準/松木功●撮影:友成達雄●音楽:松井八郎●原作:青木義久「復讐は誰がやる」●時間:89分●出演:前田通子/宇津井健/藤田進/丹波哲郎/天知茂/三ツ矢歌子/遠山幸子/小倉繁/若月輝夫/芝田新/林寛/沢井三郎/光岡早苗(後に城山路子)/保坂光代/藤村昌子/石川冷/宮原徹/菊地双三郎/高村洋三/有馬新二/山田長正/国創典(後に邦創典)/伸夫英一/倉橋宏明/高松政雄/山川朔太郎/北一
馬/村山京司/竹中弘直/小林猛/川部修詩/大谷友彦/草間喜代四/岡
竜弘/池月正/三宅実/西一樹/東堂泰彦/三井瀧太郎/三村泰二/沢村勇/山口多賀志/万里昌子(後に昌代)/有田淳子/藤田博子/森悠子/ジャック・アルテンバイ●公開:1956/07●配給:新東宝(評価:★★★)

「海女の戦慄」●制作年:1957年●監督:志村敏夫●脚本:内田弘三/坂倉英一●撮影:岡戸嘉外●音楽:レイモンド服部●原案:志賀弘●時間:73分●出演:前田通子/天城竜太郎(後に若杉英二)/小倉繁/松本朝夫(後に朝生)/三ツ矢歌子/林寛/芝田新/菊地双三郎/有馬新二/村山京司/九重京司/木下隆二/川原
健/桂京子/万里昌子(後に昌代)/大江満彦/石川冷/美舟洋子/有田淳子/秋田真夢/長門順子/水上恵子/島伊津子/保坂光代/辻祐
子/葉山由紀子/吉田昌代/水帆順子/太田博之(子役)/武村新/山田長正/信夫英一/広瀬康治/千葉徹/小森敏/国(後に邦)創典/沢村勇/遠藤達雄/高橋一郎/菊川大二郎/南沢潤一●公開:1957/07●配給:新東宝(評価:★★)

正月興行を間近に控えた太陽劇場に鶴十郎の幽霊が出たという騒ぎが起きる。十年前、人気役者・嵐鶴十郎は芸道の事で当時の劇場主・中谷から意見されたのを恨んで三階の楽屋で自殺をした。その幽霊が出たという。中谷もその鶴十郎の幽霊に悩まされて縊死しており、現在の劇場の権利は木塚専三(進藤英太郎)の手にあった。元旦が初日で舞台稽古に張り切っていた"こまどり座"の中に中谷の娘よし子(木暮実千代)・あつ子(喜多川千鶴)姉妹もいて、かつての父の劇場での初舞台を楽しみにしていた。その姉妹に大道具係・後
藤宗吉(山本礼三郎)は、お父さんは自殺ではないと謎の言葉を囁く。一方劇場には先日背景係をクビになった多羅尾伴内(片岡千恵蔵)が、今度は建築技師となって劇場の視察に乗り込んでいた。舞台稽古が始められるが舞台の床板が落ちて一座のみや子(暁テル子)がケガをする。楽屋にはどこからともなく人の足音が聞こえたり、笑い声やらうめき声が聞こえたりして奇怪な事が続く。一座の演出家・川上敏夫(月形龍之介)は宗吉を犯人と睨むが、その宗吉はロープで首を縊り、伴内の医者が乗り込んだ時には既に死んでいた。翌日、中谷姉妹の許へ伴内の公証人が現れてこの劇場は近くあなた達のものになると告げて帰っていく。それから程なく伴内は、私立探偵として宗吉の死因調査に劇場に現れた―。







みや子(暁テル子)の許婚を演じた杉狂児(1903-1975)は、女性の尻に敷かれる気弱な男ばかり演じていますが、映画監督の稲垣浩は杉狂児について、「日本の映画史に残る喜劇役者だと私は思う。いや、思うではな
く是非とも日本映画史に残さねばならぬ喜劇役者である」とし、「伴淳や森繁も個人の力はあるとしても、杉狂児の作ったレールを忘れてはならない」と喜劇人として高く評価しています(稲垣浩監督の「
個々の役者を見ていくと興味深いのですが、プロットや全体の構成、テンポの良さという点では前作「二十一の指紋」の方が上でしょうか(前作でイメージが確立してしまったので、今回は変化球を意図した?)。

運転手の藤村大造(片岡千恵蔵)は、波止場で泣いていた里見珠江(喜多川千鶴)という女をある屋敷に送り届け、その家で五十がらみの男の惨死体を発見、そこには珍しい形の短剣の鞘と様々の所に印された二十一の指紋があっ
た。翌日、笠原警部(大友柳太朗)を訪れた皆川弁護士(斎藤達雄)は何か落ち着かぬ様子。藤村は多羅尾伴内と変名して彼を追い、彼が里見珠江を探していることを探り出すと、水野刑事(上代勇吉)と現場に行き、モルヒネの注射液を発見する。今度は「日かげの街」という闇市でモヒを求めて行き倒れになった浮浪者を装い、同情した浮浪児の三吉を通して、ナナ舞踊団の時田ナナ(日高澄子)と知り合う。彼女の一座が飯島(高田稔)の邸に出入することを知った藤村は、飯島家の門前で里見珠江にそっくりの娘を見かけたため、土屋元伯爵と名乗り、飯島に近しい高原(小堀明男)の紹介で飯島邸に乗り込む。例の娘は重松きみ子(喜多川千鶴・二役)と名乗り、南方探検家・重松子爵の孫だったが、彼女は遺産の一部のみ相続したので、名刀タキン・ミヤについては知らないと言う。藤村は計略してきみ子を自らが運転する車に乗せ、「里見珠江は貴女だろう」と責めるが別人だった。その時になって藤村は、ナナ舞踊団の里見まゆみが里見珠江であることに思い当るが、モヒ患者として身を隠していた彼女に会うと、自分が老人殺害犯人だと認める始末だった。裏に麻薬密輸組織があるとみた藤村は、腹話術師に変装し、ナナ達と飯島邸のパーティーに出演、余興を装って人形の顔を飯島、きみ子、緒方、桜井、高原に押して貰い、指紋を警察に送る。皆川弁護士を訪れると妻(沢村貞子)しかおらず、彼は偽電話で誘われて出かけ殺害されており、一度釈放された珠江までが行方不明となる。藤村は、飯島一味との最後の対決に臨む―。
1948(昭和23)年公開の松田定次(1906-2003/享年96)監督による大映映画で、多羅尾伴内シリーズの第3作にあたります。片岡千恵蔵主演のこのシリーズは、1946(昭和21)年から1948(昭和23)年まで大映で4作品が作られ、1953(昭和28)年から1960(昭和35)年まで東映で7作品が作られ、本作は、「七つの顔」('46年)、「十三の眼」('47年)に続くものであり、この後の「
片岡千恵蔵演じる藤村大造(多羅尾伴内)のキャラはここにきて完全に確立されているという感じで、クレジットでは片岡千恵蔵のところに、「多羅尾伴内/片眼の運転手/せむしの男/藤村大造/老浮浪者/土屋元伯爵/一楽亭ピカ一」と出ます("一楽亭ピカ一"は腹話術師としての名前)。一人七役で、まさに"七変化"です。
喜多川千鶴は「七つの顔」「十三の眼」からの共演で、この作品では里見珠江、重松きみ子の他に里見まゆみも演じているとすると、一人三役とも言えます。また、「
「十三の眼」からの共演、「
「二十一の指紋(多羅尾伴内 二十一の指紋)」●制作年:1948年●監督:松田定次●●脚本:比佐芳武●撮影:石本秀雄●音楽:白木義信●時間:84分●出演:片岡千恵蔵/喜多川千鶴/高田稔/斎藤達雄/大友柳太郎/日高澄子/見明凡太郎/小堀明男/沢村貞子/上代勇吉/近衛敏明/水野浩/清水明/伊達三郎●公開:1948/07●配給:大映(評価:★★★☆)

会社勤務の佐竹茂吉(佐分利信)は長野出身で質素な生活を好む。妻の妙子(木暮実千代)とはお見合い結婚だが、上流階級出身の妙子にとって夫の質素さが野暮にしか見えず、学生時代の友人たちである雨宮アヤ(淡島千景)、黒田高子(上原葉子)、姪っ子の山内節子(津島恵子)らと遊び歩いて憂さをはらしている。茂吉はそんな妻の気持ちを知りながらも、あえて触れないようにしていた。ところが、節子がお見合いの席から逃げ出したことをきっかけに、茂吉と妙子が衝突する。妙子は口をきかなくなり、あげくのはてに黙って神戸の友人のもとへ出かけてしまう。一方の茂吉はウルグアイでの海外勤務が決まって羽田から出発するが、それを聞いても妙子は帰ってこない。茂吉が発った後、家に帰ってきた妙子にさすがの友人たちも厳しい態度をとる。平然を装う妙子だったが、茂吉の不在という現実に内心は激しく動揺していた。そこへ突如茂吉が夜中になって帰ってくる、飛行機のエンジントラブルだという。喜ぶ妙子に茂吉はお茶漬けを食べたいという。二人で台所に立って準備をし、お茶漬けを食べる二人。お互いに心のうちを吐露し、二人は和解する。夫婦とはお茶漬なのだと妙子を諭す茂吉。妙子は初めて夫のありがたさ、結婚生活のすばらしさに気づく。一方、お見合いを断った節子は若い岡田登(鶴田浩二)にひかれていくのだった―(「Wikipedia」より)。
1952(昭和27)年公開の小津安二郎監督作で、野田高梧、 小津安二郎のオリジナル脚本ですが、小津が1939年に中国戦線から復員したあとの復帰第一作として撮るつもりだったのが「有閑マダム連がいて、亭主をほったからしにして遊びまわっている」という内容が内務省の検閲に引っ掛かってお蔵入りになっていたのを、戦後に再度引っ張り出して改稿したものであり、その際に、主人公夫婦がよりを戻す契機となったのが夫の戦争への応召であったのを、ウルグアイのモンテビデオ赴任に変えるなどしています。
木暮実千代の演技の評価が高い作品ですが、茂吉を演じた佐分利信もいい感じではないでしょうか。奥さんの言いなりになっているようで、実は全て分かった上での行動や態度という感じで、最後の和解のシーンも良かったです。その後、木暮実千代演じる妙子が雨宮アヤ(淡島千景)ら女友達に夫婦和解の様子を伝え、妙子自身大泣きした一方で、茂吉の方も「わかっている」と言って目に涙を溜めて泣いたと夫婦2人で泣いたような話をしますが、この辺りは妙子が話を作っているのではないかなあ(彼女の性格上、自分だけが泣いたことにはしたくなかったのでは)。
個人的には、この打ち明け話のシーンが無く、そのまま節子(津島恵子)と岡田(鶴田浩二)が連れだって歩くシーンで終わっても良かったようにも思いましたが、この"のろけ話"ともとれる話を節子が実質2度も聞かされるところが軽くコメディなのだろなあ。妙子から"旦那さんの選び方"の講釈を受けた上で(そうなったのは偶々なのだが)、ラストの岡田と連れだって歩くシーンに繋がっていきます。
女性3人でのプロ野球観戦(後楽園球場でのパ・リーグ試合でバッターボックスには毎日オリオンズの別当薫が。後楽園球場は当時、毎日オリオンズなど5球団の本拠地だった)や、競輪観戦(後楽園競輪場。1972年に美濃部亮吉都知事の公営ギャンブル廃止策により休止)、パ
チンコなど(パチンコは当時立ったまま打つものであり、「
競輪レースの模
様を"執拗に"撮っているのが興味深い。「
その後、パチンコに夢中で帰りの遅くなった岡田(鶴田浩二)と節子(津島恵子)がラーメン屋のカウンターで並んで
ラーメンを食べる場面は、夫婦でお茶漬けを食べるメインストーリーの方のラストの伏線と言えなくもありません。男女が並んでラーメンを食べる場面は後の「
木暮実千代の他、淡島千景、上原葉子(上原謙の妻)、津島恵子らの演技も楽しめるし、ちょい役ながら当時19歳の北原三枝(後の石原裕次郎夫人)もバーの女給役で出ていて、鶴田浩二や笠智衆らの演技も同様に楽しめます。でも、やはり、真ん中にいる佐分利信が安心して見ていられるというのが大きいかも。何のことはないストーリーですが、観終わった後の印象はそう悪くはない作品でした。


楽幸嗣/志賀直津子/石川欣一/上原葉子/北原三枝●公開:1952/10●配給:松竹●最初に観た場所:高田馬場・ACTミニシアター(90-08-19)(評価:★★★☆)併映:「東京の合唱(コーラス)」(小津安二郎)「