【3619】 ○ 須川 栄三 (原作:松本清張) 「けものみち (1965/09 東宝) ★★★★

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ドラマとは異なり、ほぼ原作通りの「悪が勝つ」結末で満足!?

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けものみち [DVD]」池内淳子/池部良/小沢栄太郎/小林桂樹/伊藤雄之助
けものみちp.jpgけものみち1.jpg 中風で寝たきりの夫・寛次(森塚敏)を女中勤めで養っている成沢民子(池内淳子)は、客のホテル支配人・小滝(池部良)に誘われ、事故死を装い、夫の寛次を焼き殺した。そして民子は翌日、小滝の紹介で弁護士・秦野(伊藤雄之助)と共に鬼頭洪太(小沢栄太郎)の邸を訪れた。中風で身体の不自由な老人・鬼頭の世話をするため民子は選ばれたのだ。金に任せた華けものみち2.jpg美な生活、民子は鬼頭に身体を任せながら、いつか小滝が忘れられない人となる。一方焼死事件に不審を抱いた警視庁捜査一課の久恒刑事(小林桂樹)は、当日現場付近にけものみち3.jpg民子らしい女がいたことを聞き込みながら、民子のアリバイを崩せず、次第に民子の美しさに職業を逸脱した淫らな行為を迫るのだった。久恒の調査で、鬼頭は元満州浪人で、戦後莫大な金を手にし、政治けものみち4.gifを裏から動かし、右翼団体を握っている人物であり、秦野とは、かつて鬼頭のもとで働いていた鉱夫の偽名で、本物の弁護士・秦野は満州で行方不明となっていた。また小滝は左翼くずれで、満州から古美術を盗み秦野らに近づいて、一つのラインを形成していることが判明した。その頃政界では、ある殺人事件にまきこれた高速道路公団総裁・香川(千田是也)が辞職し、新しい総裁が椅子についた。鬼頭のさ<しがねであることは当然ながら、確証がつかめず久恒は苛立つ。だが鬼頭の手は久恒にも伸びた。知りすぎた久恒は退職を勧告され呆然とする。そして数日後、久恒は鬼頭の用心棒・黒谷(黒部進)に殺害された。事件は複雑な人間関係を見せた頃、鬼頭が死亡、通夜の鬼頭邸で秦野が殺害される。民子は今さらながら、自分の置かれた立場に恐怖を感じた。小滝を訪ねた民子は、ある安宿に逢瀬を楽しんだが、入浴中、不意に乱入した黒部の手で石油をかぶり火だるまとなって死ぬ。だがその黒部も、浴室の戸をいち早く閉めてニヒルな笑いを浮かべる小滝の策に自ら滅んでゆくのだった―。

けものみち (新潮文庫).jpg 須川栄三(1930-1998/68歳没)監督の1970年作で、原作は、松本清張が「週刊新潮」に'62(昭和37)年1月から翌年12月にかけて連載したもので、'64(昭和39)年5月、新潮社から単行本として刊行されています。この映画化作品のほか、過去3度テレビドラマ化されています。
 
 •1982年「松本清張シリーズ・けものみち」[全3回]名取裕子・山崎努(NHK)
 •1991年「松本清張作家活動40年記念・けものみち」[全3回]十朱幸代・草刈正雄(NHK)
 •2006年「松本清張 けものみち」[全9回]米倉涼子・佐藤浩市(テレビ朝日)

「けものみち」1982.01 .jpg「けものみち」19822.jpgkemonomichi.jpg この中で、'82年の名取裕子・山崎努版の民子役の名取裕子はピッタリだと思いましたが、その上をいく映画における池内淳子という感じ。ジェームス三木脚本、和田勉演出の'82年のドラマ版も錚々たる配役ですが、やはり全体的にみても映画版の方が上でしょうか('06年ドラマ版はかなり落ちる)。

  役名  '65年映画'82年ドラマ'06年ドラマ
  民子  池内淳子 / 名取裕子 (米倉涼子)
  小滝  池部 良 / 山崎努  (佐藤浩市)
  鬼頭  小沢栄太郎/ 西村晃  (平幹二朗)
  秦野  伊藤雄之助/ 永井智雄 (吹越 満)
  久恒  小林桂樹  /伊東四朗 (仲村トオル)
  米子  大塚道子  /加賀まりこ(若村麻由美)

「けものみち」道行.jpg  '82年のドラマ版では、原作よりも、名取裕子演じる民子を中心に描いていて、原作と結末を変えて、民子が、最後は山崎努演じる小滝との逃避行を図るかたちになっており、"道行(みちゆき)物"のような印象があって(小滝が最後に民子に心底惚れた)、小滝を完全な悪者にしていないところがテレビ的であると思えましたが、これはこれで良かったです(評価★★★★)。
【3133】 ○ 和田 勉 (原作:松本清張) 「松本清張シリーズ・けものみち」 (1982/01 NHK) ★★★★

けものみちd.jpg「けものみち」池内2.jpg 一方、この池内淳子の映画版は、ラストで民子が辿る運命は原作と同じで、ちょっと残酷ですが、これも夫殺しの原罪の報いということでしょうか。まあ、原作は民子ではなく小滝が主人公であり、その彼のピカレスク小説と解するのがオーソドックスであると思われます。

 こうしたピカレスク小説は、原作は「悪が勝つ」といった終わり方になっていても、映画化される際にはその「悪」も最後は滅びるといった改変がされることが清張作品においても少なからずありますが(「黒い画集 ある遭難」('61年/東宝)などはその典型)、この映画は、黒谷(黒部進)という原作には無い殺し屋が登場するなど途中一部改変はあるものの、ほぼ原作通りの「悪が勝つ」結末で満足(!?)でした。ただし、最後に小滝が見せるニヒルな笑いは、泣き笑いともつかぬ表情ともとれます。(評価はこちらも★★★★)。

 その池部良演じる「悪」を体現している小滝が、ずっとニヒルで(前年の「乾いた花」('64年/松竹)で演じたヤクザ・村木に近いイメージ)、これちょっとカッコ良すぎるのではと思ってしまうのは、小滝のモデルが当時ホテルニュージャパンのオーナー兼社長だった横井英樹(1913-1998)であると言われていて、落差イメージが念頭にあるためかもしれません。

けものみち図1.jpgけものみち5.jpg「けものみち」●英題:BEAST ALLEY●制作年:1965年●監督:須川栄三●製作:藤本真澄/金子正且●脚本:白坂依志夫/須川栄三●撮影:福沢康道●音楽:武満徹●時間:150分●出演:池内淳子/池部良/小沢栄太郎/小林桂樹/伊藤雄之助/森塚敏/大塚道子/黒部進/千田是也/菅井きん/矢野宣/土屋嘉男/中丸忠雄/小松方正/稲葉義男●公開:1965/09●配給:東宝●最初に観た場所:神田・神保町シアター(25-05-11)(評価:★★★★) 
 

「けものみち」ばんせn.jpgkemonomichi.jpg「松本清張シリーズ・けものみち」●演出:和田勉●脚本:ジェームス三木●音楽:(オープニング)ムソルグスキー「交響詩 禿山の一夜」/(劇中音楽)ムソルグスキー「組曲 展覧会の絵」(ラヴェル編曲)●原作:松本清張●出演:名取裕子/山崎努/西村晃/伊東四朗/永井智雄/加賀まりこ/石橋蓮司/中村伸郎/久米明/加藤和夫/勝部演之/林昭夫/塩見三省/松崎真/高森和子/原知佐子/矢吹二朗/林ゆたか/奥野匡/野村信次/西村淳二/松本マツエ/増田順司/大森義夫/山崎満/松村彦次郎/入江正徳/小坂明央/小林かおり/永六輔●放送日:1982/01/09~23●放送局:NHK(評価:★★★★)
 

「けものみち」米倉[.jpg「けものみち」平 米倉.jpg「松本清張 けものみち」●演出:松田秀知/藤田明二/福本義人●プロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)/伊賀宣子(共同テレビ)●脚本:寺田敏雄●音楽:(エンディング)中島みゆき「帰れない者たちへ」●原作:松本清張●出演:米倉涼子/佐藤浩市/仲村トオル/若村麻由美/平幹二朗●放映:2006/01/12~03/09(全9回)●放送局:テレビ朝日

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This page contains a single entry by wada published on 2025年8月 9日 03:01.

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