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組織不正はいつも、その組織では「正しい」という判断において行われると。


日テレ(2024.6.3)
『組織不正はいつも正しい ソーシャル・アバランチを防ぐには (光文社新書 1311) 』['24年]
本書は、経営学者が、組織不正はなぜなくならないのかを考察したものです。本書によれば、組織不正は、いつでも、どこでも、どの組織でも、誰にでも起こりうるものであり、なぜなら、組織不正とは、その組織ではいつも「正しい」という判断において行われるものだからだとして、燃費不正、不正会計、品質不正、軍事転用不正の例を中心に、組織をめぐる「正しさ」に着目し考察しています。
第1章では、組織不正は必ずしも意図的なものではないとしています。不正であるかどうかは〈第三者〉が判断するため、組織にとっての「正しさ」が認められないこともあるということです。また、組織不正には、実際に被害が発生する「発生型不正」と呼べるもののほかに、被害が見られなくとも捜査機関が立件する「立件型不正」と呼べるものがあるとのことです。本書では、組織不正を「起こりうる」ものと考えた上で、第2章から第5章で実際の事例を取り上げ、この問題にどう対処すべきかを述べています。
第2章では、三菱自動車、スズキなどの「燃費不正」問題を取り上げています。事件の分析を通して見えてくるのは、国の基準に沿ったテスト法に対して、それは使えないものであり、メーカーは使えるテスト法を採用したという、行政とメーカーがそれぞれ「正しさ」を追求したが、その「正しさ」に差異があったということです(つまり、それぞれに「閉じられた正しさ」であったと)。
第3章では、東芝の「不正会計」問題を分析しています。そして、「利益」を追求した結果として起きた事件ではあるが、根本原因は経営陣と各事業部との「時間感覚の差」であり、経営陣が「短い期間」での利益達成を求めた結果生じたものであるとして、利益を求める「正しさ」の中にある時間的「危うさ」を指摘しています。
第4章では、医薬品業界の「品質不正」問題について、小林化工や日医工の不正製造を扱っています。国の政策としての、ジェネリック医薬品のシェアを早期に80%以上にするという目標が高すぎたために起きたことで、表面的には人出不足が招いたことだが、構造的には、「国―都道府県―製薬企業」間の対話の時間が少なかったことが原因だとしています。
第5章では、大川原化工機事件における「軍事転用不正」問題を扱っています。この問題は周知のごとく、そもそも犯罪が成立しない事案について、会社の代表者らが逮捕・勾留され、公訴提起が行われたものであり、警視庁公安部や検察が、なぜ無根拠な「正しさ」に拠る暴走をしてしまったのかを考察しています。
最終の第6章では、まとめとして、個人が「正しさ」を追求することで、いとも簡単に組織全体が崩れる「組織的雪崩」が起きることがあり、また、「組織的雪崩」の代名詞である組織不祥事や不正は、外部環境からの要求によって起きるとしています。その上で、単一的=固定的な「正しさ」から複数的=流動的な「正しさ」へと、「正しさ」を相対的に捉えることの大切さを説いています。
《読書MEMO》
BSテレ東・日経ニュースプラス9
本エントリーをアップして5日後、トヨタなど自動車メーカー5社の認証不正問題が明らかになったが、トヨタのトップの記者会見を見ると、今回の不正が「立件型不正」であり、社内では「不正」と認識していなかったということがよく窺え、本書の内容に符合するものであった。そうしたことから、「(「正しさ」の認識の違いによる)不正の撲滅は無理」との発言もつい出てしまったのだろうが、本音であるにしても、トップ会見での発言としてはマズかったように思う。聞いている人は「不正」という言葉から、意図的になされる不正しか思い浮かべないのではないか。

『
善と悪の心理学などを研究テーマとしてきた心理学者が、悪事に直面すると人間は沈黙する、という人間の生来の性向の根底にある心理的要因を解説し、沈黙が悪事の継続にどれほど重要な役割を果たしているかを明らかにするとともに、道徳的な勇気を持つにはどうすればよいかを説いた本です。
George Serafeim
Max H. Bazerman



最近マクドナルドで相次いだ異物混入問題は、食べ物に異物なんてあり得ないという前提で商品を口にする消費者と、完全な混入ゼロは困難とする食品業界との認識のズレを浮き彫りにしましたが、本書でもビッグデータから不正を見つけ出す手法など最新のテクノロジーを紹介する一方で、現実には不正・不祥事の「ゼロ」はありえず、必ず起きるという前提の下でいかに頻度を減らすかが予防のポイントだと述べているのが興味深い点でした

過去に企業不祥事が何度も繰り返され、その社会的反響の大きさから、こんなことは二度と繰り返すまいとその発生防止策がその都度討議されてきたにも関わらず、近年においても、大手金融機関の暴力団関係者への融資問題や、大手百貨店・有名ホテルの食材偽装・不当表示問題
が報道されるなどして、相変わらず企業不祥事は後を絶ちません。


大丸の「先義後理」など享保年間(18世紀初頭)に遡るものから。楽天の「スピード!! スピード!! スピード!!」など近年のものまであり(因みに、ライブドアには社訓が無かったそうな)、また、シャープ、松下電器(現パナソニック)、ホンダなどになると、創業者の立志伝の紹介みたいになってきますが、それらはそれで、自分が知らなかったことなどもあって面白く読めました。








ンは、今や買収されそうな飛行機工場に働く労働組合活動に熱心な労働者という役どころで(この映画は80年代日本がバブル景気で浮かれていた頃アメリカはどうだったかを知ることが出来る映画でもある)、マーティン・シーンは「






」を貫く経営.jpg)


郷原 信郎 氏 (経歴下記)


「公益通報者保護法」は、通報先に優先順位(内部→行政機関→マスコミ等)が定められていて、保護対象も労働者に限られている(派遣労働者や取引先労働者も保護対象に含むが、取引先事業主などは含まない)ことなどから、内部告発を抑制するのではとの批判も多い法律ですが、著者は "公益"という前向きのネーミングを評価し、冷静に条文内容を検証してその意図を汲むとともに、曖昧部分などの問題点も指摘しています。

