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PART2で区切りをつけるつもりで書いていたと思われるだけに、密度濃く、充実している。
和田 誠
「男はつらいよ」(1969)渥美清/倍賞千恵子/光本幸子
『お楽しみはこれからだ〈Part2〉―映画の名セリフ (1976年)』 「男はつらいよ〈シリーズ第1作〉 [DVD]
」
1973年から「キネマ旬報」に連載されたイラストレーターの和田誠(1936年生まれ)氏による映画エッセイシリーズのPART2で単行本刊行は1976(昭和51)年。PART1との違いは、日本映画がいくらか入っていることと、古い映画から当時の新作まで年代的に幅が拡がっていることです。このシリーズ、著者が許可を出さないためなのか文庫化されていませんが、一方で、当時の映画のロードショー料金を上回らない価格設定にするため、表紙は単色でしかも新刊時から帯無しというシンプルなスタイルになっています。このシンプルさにも、多くの装丁を手掛ける著者の美意識が表れているのかも。但し、例えば表紙にトリュフォーの「アメリカの夜」をもってきていますが、本文の形式を倣いながらも(この作品は本文でも取り上げいている)、表紙用に文も絵も新たに書き(描き)起こすなど、手抜きはしていません。
日本映画は、冒頭から「幕末太陽伝」('57年)、「夫婦善哉」('55年)、「けんかえれじい」('66年)、「総長賭博」('68年)、「日本沈没」('73年)ときて、途中、「生きる」('52年)をはじめとする一連の黒澤明監督作や、中村翫右衛門らが出演したオムニバス映画「怪談」('64年)、片岡千恵蔵主演の「七つの顔の男だぜ」('60年)、更には高倉健主演の「網走番外地」('65年)やその他任侠映画まで様々取り上げていますが、それでもトータルでは洋画の方が多くなっています。
新作も幾つか入れたといっても数的にはそれほどでもなく、圧倒的に著者が昔観た古い映画の話が多く、次いで、テレビや映画祭の特集で最近観た、かつて観ることが出来なかった昔の作品などがくる感じでしょうか。有名な作品と併せてややマニアックな作品もとり上げていて、よく観ているなあと思う一方で、その記憶力には驚かされます。
このシリーズは、映画の中の名セリフを取り上げて、リレー方式というか連想方式的に一定サイクル話を繋いでいっていますが(それと、勿論のことだが、イラストとの組み合わせ)、著者によれば、日本映画の方がセリフに関する記憶が少なく、洋画においてスパーインポーズで読んだものの方が記憶に残っているとのことです(そういうものかもしれないなあ)。
ここまでで「キネマ旬報」連載の60回分がひとまず落着し、あとがきで著者はまた書かせてもらう機会があるかもしれないといったことを書いていますが、結局、間を置きながらも20年以上にわたって連載は続き、単行本はPART7まで刊行されました。いずれの巻も映画ファンには読み応えがありますが、特にPART2までは、当初はそこで区切りをつけるつもりで書いていたと思われるだけに、密度が濃くて充実しているように思います。
「さらば友よ」(1968)
久しぶりに読み返してああそうか、ナルホドなと思った点を、外国映画主体のこのシリーズの中では少数派である日本映画から2つ。
1つは、「椿三十郎」('62年)のラストの三船敏郎、仲代達矢の決闘シーンで、近距離で一瞬にして勝負がつく斬り合いは、著者自身、当時"新機軸"だと思ったそうですが、山中
貞雄の「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」('35年)で、すでに大河内伝次郎の丹下左膳がヤクザ風の男を斬る場面で使われていたことを、著者はフィルムセンターで観て知ったとのことです。ああ、そうだったかなあ。「百萬兩の壺」の丹下左膳って、それまでの丹下左膳像と違ってコミカルな印象が強くて、剣豪のイメージが相対的に抑えられていたような気がしましたが、コミカルであろうと強いことに変わりはないんだよね、丹下左膳は。但し、あの"噴血"はやはり黒澤ならではの見せ方ではないかな。
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もう1つは、「男はつらいよ」('69年)で、この作品はTVが先で映画が後ですが、著者はTVは観ていたけれど映画化されてこれほどの人気シリーズになるとは思っていなかったとのことで、作者らもそうだったのでないかとしている点です。その証拠として、TV版のあらゆる要素が(総まとめ的に)ぶちこまれていて、妹のさくらが結婚してしまうのもその現れで、シリーズ化が先に決まっていれば、さくらの見合いを寅が邪魔するなど、第2作以降にさくらの結婚は持ち越されていたのではないかとしており、ナルホドなあと思いました。
「男はつらいよ」(1969)森川信、渥美清、三崎千恵子、倍賞千恵子ら
その代りのお楽しみとして、毎回違った"マドンナ"が登場するパターンになったということなのでしょう。初代マドンナは昨年['13年]食道癌で亡くなった光本幸子でした。また、著者が矛盾を指摘する「俺がいたんじゃお嫁にゃ行けぬ」という主題歌の歌詞はもともとTV版用に作られたものですが、映画版の第2作からは別の歌詞に差し替えられています。
光本幸子(1943-2013)
第1作は、黒澤明監督映画の重鎮俳優・志村喬(諏訪飈一郎役)が出演し、さくらの披露宴のシーンで小津映画の重要俳優・笠智衆(御前様役)と同じ画面に収まっているというのが珍しいかもしれません(黒澤監督の「赤ひげ」('65年/東宝)にも2人共が出演しているが、それぞれ違った場面での登場となっている)。
第1作がヒットして、山田洋次監督が松竹
から3作撮ったところで好きな映画作りをしてもいいと言われて撮ったのが「家族」('70年)ですが、「家族」の構想は山田監督の中で製作の5年前からあったそうです。一方の「男はつらいよ」は、山田洋次監督が渥美清に最初に出会った時に「この役者は天才だ」と思ったそうで、おそらく、毎回脚本家が変わり、渥美清も毎回違う役柄で出演した連続テレビドラマ「渥美清の泣いてたまるか」('66‐'68年/TBS[全53話])(渥美清主演のほかに、青島幸男、中村嘉津雄主演の「泣いてたまるか」がそれぞれ14話と13話作られた)が二人の出会いではないかと思われますが、そこから急に構想が芽生えてきたのではないかと勝手に推測しています。「渥美清の泣いてたまるか」の最終回は山田洋次監督が脚本担当で、タイトルは「男はつらい」でした。やがて、これが独立した連続TVドラマ「男はつらいよ」('68‐'69年/フジテレビ[全26回])になったという流れでしょうか。
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「天井桟敷の人々」(1945)のところで、初めて観たのが高校1年の時で、その良さを理解できなかったように思うというのは正直か(その後何度か観て、少しずつ判ってきたとのこと)。山田宏一(1938年生まれ)氏が中学時代にこの映画を観てフランス語を習う決心をした話を引き合いに、著者は「バチスト(ジャン=ルイ・バロー)とガランス(アルレッティ)のベッドシーンで、カメラが窓の方にパンしてしまうのを不服に思ったのが初めて観たときの印象だから、ずいぶんと差がついてしまった」と書いているのがユーモラスです。個人的にも名作だと思いますが、3時間超の内容は結構「大河メロドラマ」的な要素もあったように思います。
「天井桟敷の人々」(1945)
『お楽しみはこれからだ』―時々読み返してみるのも悪くないシリーズです。

「椿三十郎」●制作年:1962年●製作:東宝・黒澤プロダクション●監督・脚本:黒澤明●音楽:佐藤勝●原作:山本周五郎「日日平安」●時間:96分●出演:三船敏郎/仲代達矢/司葉子/加山雄三/小林桂樹/田中邦衛/山茶花究/加東大介/河津清三郎/山田五十鈴/東野英治郎/入江たか子/志村喬/藤原釜足/夏木陽介/清水将夫 /伊藤雄之助/久保明/太刀川寛/土屋嘉男/団令子/平田昭彦●劇場公開:1962/01●配給:東宝 (評価★★★★☆)「椿三十郎 [監督:黒澤明] [三船敏郎/仲代達矢] [レンタル落ち]」

「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」●制作年:1935年●監督:山中貞雄●脚本:三村伸太郎●潤色:三神三太郎●撮影:安本淳●音楽:西梧郎●原作:林不忘●時間:92分●出演:大河内傳次郎/喜代三/沢村国太郎/山本礼三郎/鬼頭善一郎/阪東勝太郎/磯川勝彦/清川荘司/高勢実乗/鳥羽陽之助/宗春太郎/花井蘭子/伊村理江子/達美心子/深水藤子●公開:1935/06●配給:日活(評価:★★★★☆)
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「男はつらいよ 〈シリーズ第1作〉」●制作年:1969年●監督・原作:山田洋次●脚本:山田
洋次/森崎東●製作:上村力●撮影:高羽哲夫●音楽:山本直純●時間:91分●出演:渥美清/倍賞千恵子/光本幸子/笠智衆/志村喬(特別出演)/森川信/前田吟/津坂匡章/佐藤蛾次郎/関敬六
/三崎千恵子/太宰久雄/近江俊輔/広川太一郎/石島戻太郎/
志賀真津子/津路清子/村上記代/石井愃一/市山達己/北竜介/川島照満/水木涼子/谷よしの/●公開:1969/08●配給:松竹(評価:★★★★)
●キネマ旬報 映画評論家による男はつらいよランキング
2006年1月上旬号のキネマ旬報より、映画評論家・著名人41人による男はつらいよのベストテン。
順位 作数 作品名 マドンナ
1位 1作 男はつらいよ 光本幸子
2位 15作 男はつらいよ 寅次郎相合い傘 浅丘ルリ子
3位 17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け 太地喜和子
4位 11作 男はつらいよ 寅次郎忘れな草 浅丘ルリ子
5位 2作 続・男はつらいよ 佐藤オリエ
6位 5作 男はつらいよ 望郷篇 長山藍子
7位 38作 男はつらいよ 知床慕情 竹下景子
8位 25作 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 浅丘ルリ子
9位 9作 男はつらいよ 柴又慕情 吉永小百合
10位 32作 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 竹下景子
10位 48作 男はつらいよ 寅次郎紅の花 浅丘ルリ子
光本幸子 in「男はつらいよ〈第1作〉」('69年/松竹)/「必殺仕事人・激突!」('91-'92年/テレビ朝日系)


「泣いてたまるか」●制作:国際放映/松竹テレビ室/TBS●脚本:野村芳太郎/橋田壽賀子/早坂暁/家城巳代治/山田洋次/清水邦夫/青島幸男/橋本忍/金城哲夫/小林久三/山中恒/深作欣二/木下惠介/山田太一/井出雅人/佐藤純彌/森崎東/桜井康裕/山根優一郎/鈴木尚之/掛札昌裕/光畑碩郎/高岡尚平/関沢新一/大川久男/渡邊祐介/大石隆一/大原清秀/高岡尚平/北野夏
生/山内泰雄/入江昭夫/乙武英樹/灘千造/家城秀男/稲垣俊/大川タケシ/秋山透/内田栄一●演出:高橋繁男/山際永三/松野宏軌/中川晴之助/森崎東/今井正/深作欣二/降旗康男/福田純/円谷一/佐藤純彌/降旗康男/望月優子/山際永三/佐伯孚治/下村堯二/渡邊祐介/真船禎/松林宗恵/家城巳代治/飯島敏宏/瀬川昌治/神谷吉彦/枝川弘/平松弘至/小山幹夫/吉野安雄/大槻義一/鈴木英夫/井上博/香月敏郎●音楽:木下忠司(主題歌「泣いてたまるか」(作詞:良池まもる、作曲:木下忠司、歌:渥美清(渥美清主演の時))●出演(主人公):渥美清/青島幸男/中村賀津雄●放映:1966/04~1968/03(全80回)●放送局:TBS


「天井桟敷の人々」●原題:LES ENFANTS DU PARADIS●制作年:1945年●制作国:フランス●監督:マルセル・カルネ●製作:フレッド・オラン●脚本:ジャック・プレヴェール●撮影:ロジェ・ユベール/マルク・フォサール●音楽:モーリス・ティリエ/ジョセフ・コズマ●時間:190分●出演:アルレッティ/ジャン=ルイ・バロー/ピエール・ブラッスール/マルセル・エラン/ルイ・サルー/マリア・カザレス/ピエール・ルノワール●日本公開:1952/02●配給:東宝●最初に観た場所:池袋文芸坐(82-03-21)(評価:★★★★)●併映:「ネオ・ファンタジア」(ブルーノ・ボセット)
【2022年愛蔵版】
《読書MEMO》
「男はつらいよ」(第1作)予告編映像/4Kデジタル修復版ブルーレイ 2019年12月5日リリース




空中都市008に引っ越してきた、ホシオくんとツキコちゃん。ここはいままで住んでいた街とはいろんなことがちがうみたい。アンドロイドのメイドさんがいたり、ふしぎなものがいっぱい......じつはこのお話、1968年に作者が想像した未来社会、21世紀の物語なのです。さあ、今と同じようで少しちがう、もうひとつの21世紀へ出かけてみましょう!(「青い鳥文庫」より)。
生の頃この作品の愛読者だったことを知って感激したとあります(オリジナルは入手困難だが、「青い鳥文庫」版も和田誠氏の挿画を完全収録しているのがありがたい)。
このように、この作品に出てくる様々な未来像は、21世紀になっている現在からみてもまだ先の「未来像」のままであるものが多くありますが、方向性として全然違っているというものは少ないように思われ、そこはさすが科学情報に精通していた作者ならではと思われます。子どもの頃に思い描いていたという意味で、「懐かしい未来図」という言葉を思い出してしまいますが、あの時の"未来図"が本当ならば今頃スゴイことになっている? (人々はエア・カーや動く歩道で移動しているとか...)。実際にはそれほど変っていないかなあ。但し、少しずつ実現出来ている部分も一部あるなあと思いました。
例えば、ホシオたちの家族が移り住んだ空中都市は、「50かいだてアパートの36かい」ということになっていますが、今ならそういうところに住んでいる人はいるなあと(但し、ホシオたちの場合は「可動キャビン」方式で家ごと引っ越してきたのだが)。


原作者の小松左京は「空中都市008」放送終了時の頃は、日本万国博覧会のサブ・テーマ委員、テーマ館サブ・プロデューサー(チーフ・プロデューサーは岡本太
郎)として1970年の日本万国博覧会開催の準備に追われており、放送終了を残念がる暇も無かったのではないでしょうか。『地球になった男』('71年/新潮文庫)などの短編集の刊行もあり、'73年には『日本沈没』(カッパ・ノベルズ)で日本推理作家協会賞を受賞するなどした一方で、テレビなどにもよく出ていましたが、この人、この頃が一番太っていて、すごくパワフルな印象がありました。
特に、'73年3月発売の『日本沈没』は驚くほどの売れ行きを示し、その年の年末までに上下巻累計で340万部が刊行され作者最大のベストセラーになり、社会現象化して映画にもなりました。映画「日本沈没」('73年/東宝)は、その年の12月に公開されており、黒澤明作品でチーフ助監督を務めた経験がある森谷司郎が監督、橋本忍が脚本
で、製作費5億円と当時としては大作でありながら製作期間は僅か4か月と短かったですが、約880万人の観客を動員し、16億4,000万円という'74年邦画配給収入第1位となるヒットを記録しました。この映画、原作よ
りメロドラマっ
ぽいという評価と、スペクタクルに重点が置かれていて良いという評価に分かれるようですが、何と比べるかでしょう(映画では小野
寺(藤岡弘)とヒロインの玲子(いしだあゆみ)がやけに簡単にくっついてしまう印象を受けた)。小松左京自身も小野寺の海底開発興業の同僚役でカメオ出演していたほか、原作『日本沈没』執筆時のブレーンとなった地球物理学者の竹内均(1910-2004)が、プレートテクトニクスを説明する科学者・竹内教授というそのままの設定でゲスト出演していました(後に「ニュートン」の記事の中で「迫真の演技である、として皆にからかわれた」と書いている)。


「空中都市008」は2010年にiPad専用のオーディオビジュアルノベルとしてApp Storeで配信され、作中の登場人物の台詞が声優によって読み上げられるほか、物語の進行に合わせたBGMが再生され、かつてのNHKの放送で番組主題歌を歌った中山千夏が初音ミクとコ
ラボして誕生したテーマソングや、小松左京のボイスコメントなども収録されているそうですが、「まさか本がこんなことになっちまうとは、私自身がSF作家のくせに思いもよりませんでした」とのコメントを寄せた小松左京は、その翌年2011年の7月に肺炎の





「空中都市008」は人形美術及び操作を糸あやつり人形の竹田人形座が担当しましたが、同じ竹田人形座による人形美術及び操作の担当でこれに先行するものにとして、NHKの日曜の17:45-18:00の15分の時間帯(後に木曜の18:00-18:25の25分の時間帯に変更)で、「銀河少年隊」(1963年4月-1965年4月、全92回)がありました(さらにその前に「宇宙船シリカ」(1960年9月-1962年3月、全227回)というのもあった)。「銀河少年隊」は人形芝居と
アニメーションを合成したもので、原作は手塚治虫(因みに「宇宙船シリカ」の原作は星新一)。太陽のエネルギーが急速に衰え、地球を含めた太陽系の惑星は極寒に襲われ、数年後には太陽系の全生物が死滅してしまうという危機を救うために、花島六平少年率いる銀河少年隊が活躍するというもの。アニメ部分は虫プロの作品を多く手がけてきた若林一郎が脚色をして、スケールの大きい物語となって
おり、金星人の美少女アーリアも登場、宇宙服や宇宙船の操縦席など小道具もよくできていたように思いますが、竹田喜之助(1923-1979)って相当な"凝り性"だった? 音楽は「空中都市008」と同じく「宇宙人ピピ」「銀河少年隊」も
![空中都市008 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E7%A9%BA%E4%B8%AD%E9%83%BD%E5%B8%82008%20%5BDVD%5D.jpg)


「日本沈没」●制作年:1973年●監督:森谷司郎●脚本:橋本忍●撮影:村井博/木村大作●音楽:佐藤勝●原作:
小林桂樹/丹波哲郎/藤岡弘/いしだあゆみ/滝田裕介/中丸忠雄/加藤和夫/村井国夫/夏八木勲/
高橋昌也/地井武男/鈴木瑞穂/神山繁/中条静夫/名古屋章/中村伸郎/二谷英明/島田正吾/(以下クレジットなし):小松左京/竹内均/田中友幸/中島春雄●公開:1973/12●配給:東宝(評価:★★★☆)









外界から隔離された巨大なチョコレート工場がある大きな町の片隅で、貧乏な暮らしを余儀なくされている少年チャーリーとその一家。ある日、チョコレート工場の工場主ウィリー・ワンカ氏が、自社のチョコレートの中に5枚のゴールデンチケットを隠し、チケットを引き当てた5人の子供を工場見学に招待すると発表する―。

但し、挿絵は、柳瀬訳のクウェンティン・ブレイク(Quentin Blake、1932年生まれ)のものが良く、大型本である『まるごと一冊ロアルド・ダール』('00年/評論社)によるとロアルド・ダールは何人かの画家と組んで仕事をしているようですが、クウェンティン・ブレイクとのコンビでの仕事が最も多く、また、クウェンティン・ブレイクの絵は、ちょっとシュールな話の内容よくマッチしたタッチであるように思います。
このお話は、メル・スチュアート監督(「夢のチョコレート工場」('71年/米)ジーン・ワイルダー主演)と、先に述べたティム・バートン監督(「チャーリーとチョコレート工場」('05年/米))によってそれぞれ映画化されていますが、ジョニー・デップがチョコレート工場の工場主ワンカ氏に扮した後者「チャーリーとチョコレート工場」は比較的記憶に新しいところで、ジョニー・デップの演技力というより、演
出に「バットマン」シリーズのティム・バートン色を感じましたが、ストーリー的には原作を忠実になぞっています。男の子がパイプに詰まったり、女の子が巨大なブルーベリーに変身してしまったりするのもCGを使って再現していますが(映画館で近くに座った男の子が「CGだ、CGだ」といちいち口にしていた)、庭園のモニュメントや芝生はパティシェによって作られた本物の菓子だったそうです。
ティム・バートン「チャーリーとチョコレート工場」('05年/米)
但し、ジョニー・デップ扮するワンカ氏が、幼少時代に歯科医である厳格な父親に半ば虐待に近い躾を受けたことがトラウマになっている"アダルトチルドレン"として描かれているのは映画のオリジナルで、これに原作の続編である『ガラスの
大エレベーター』('05年/評論社)の話をミックスさせて、ラストはワンカ氏がチャーリーとその家族を通して新たな「家族」に回帰的に出会う(トラウマを克服する)というオチになっており、やや予定調和的である気もしますが、プロセスにおいて悪ガキが散々な目に遭い、一方のワンカ氏はケロッとしている(或いはふりをしている)という結構サディスティックな「毒」を孕んでいるため、こうしたオチにすることでバランスを保ったのではないでしょうか(映画はそこそこヒットし、映画館はロード終盤でも週末はほぼ満席。結構口コミで観に行った人が多かったのか)。結局は「家族愛」に搦め捕られてしまったワンカ氏といった感じで、個人的には、折角の「毒」を弱めてしまった印象が無くもありません。
「2001年宇宙の旅」「サタデー・ナイト・フィーバー」「鳥」「サイコ」「ベン・ハー」「水着の女王」「アフリカの女王」「アダムス・ファミリー」「スター・ウォーズ」といった映画作品へのオマージュも込められていて、後でまた観直してみるのも良し。音楽面でもクイーンやビートルズ、キッスへのオマージュが込められています。こうした味付けもさることながら、ビジュアル面で原作の(クウェンティン・ブレイクの絵の)イメージと一番違ったのは、チョコレート工場で働くウンパ・ルンパ人(柳瀬訳は「ウンパッパ・ルンパッパ人」)でしょうか。ワンカ氏がアフリカの何処かと思しきジャングルの地から連れてきた小人たちですが、色黒のオッサンになっていたなあ。演じたのはディープ・ロイというケニア生まれのインド人俳優で、インドで26代続くマハラジャの家系だそうですが、この映画で165人のウンパルンパ役をこなしたとのことです。個人的には原作も映画も(特にそこに込められた毒が)好きですが、映画は子どもも楽しんでいたのでは。
ロアルド・ダールは学校を卒業して、まず石油会社に入社して最初の勤務地が東アフリカで、第二次世界大戦では空軍パイロットとして活躍したとのことですが、乗
った飛行機が燃料切れを起こして墜落、九死に一生を得たとのこと。その後、文筆家として活動するようになり、まずアフリカで聞いた話やパイロット時代の経験を生かして短編小説を書き始め、やがて児童文学の方へ進んだとのことです。初期の作品は、自伝的短編集『



「チャーリーとチョコレート工場」●原題:CHARLIE & CHOCOLATE FACTORY●制作年:2005年●制作国:アメリカ●監督:ティム・バートン●製作:ブラッド・グレイ/リチャード・D・ザナック●脚本:ジョン・オーガスト●撮
影:フィリップ・ルースロ●音楽:ダニー・エルフマン●原作:ロアルド・ダール●時間:115分●出演:ジョニー・デップ/フレディ・ハイモア/デヴィッド・ケリー/ヘレナ・ボナム=カーター/ノア・テイラ/ミッシー・パイル/ジェームズ・フォックス/アナソフィア・ロブ/アダム・ゴドリー/アダム・ゴドリー/ディープ・ロイ/クリストファー・リー/ジュリア・ウィンター/ジョーダン・フライ/フィリップ・ウィーグラッツ/リズ・スミス●日本公開:2005/09●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:丸の内TOEI2(05-10-23)(評価:★★★☆) アナソフィア・ロブ(AnnaSophia Robb) in 「ソウル・サーファー」('11年)/「チャーリーとチョコレート工場」('05年)





自分があまり面白いと思わなかった映画は、その理由も含め正直に書いているのもいいです。一方、この人の一番好きな監督は、表紙に「
ボギーことハンフリー・ボガートが出演したビリー・ワイルダー作品では「麗しのサブリナ」('54年)があり、ここではボガートの「ぼくをみてください。神経痛の大学生だ」というセリフを取り上げていますが、堅物の兄ボガートが、遊び人の弟ウィリアム・ホールデンから女の子オードリー・ヘプバーンを引き離すために自分が代わりにデートする、その際に無理矢理若作りしている自分のことを自嘲気味に父親に言うセリフです。
この作品は、ボガートがコメディタッチの演技を見せ(しかもラストは女の子を追いかけるために飛んでいく)、
それが彼にあまりに似合っていないのではないかということで、一般の評価はそう高くないように思いますが、本書では、三島由紀夫がこのセリフを言うボガートを評して、「これ以上の適役はなかろう」と当時の「スクリーン」誌に書いていることを取り上げ、「こんな文章を読むと、とてもあのような死に方をする人とは思えないのだ」と書いているが印象深かったです(和田氏がこの文章を書いている時は、三島の自決からまだ3年と経っていない)。
「麗しのサブリナ」は、サミュエル・テイラーの舞台劇を映画化したもので、「ローマの休日」に続くヘプバーン主演第2作。運転手の娘が何故ジバンシィを着ているのかというのはあるけれ
ど(ジバンシィがヘプバーンのドレスを最初にデザインしたのがこの作品だが、ジバンシィはヘプバーンと顔を合わせるまで、自分が衣裳を担当する女優はキャサリン・ヘプバーンだと思っていた)、モノクロのせいか、ヘプバーンの美しさ、可憐さという点では「ローマの休日」と並んで一番の作品ではないかと思います。でも、ビリー・ワイルダーの演出も結構しっかりしていて、そこがまた見所だったのかも(因みに、ボガートは撮影中、ヘプバーンの演技の未熟さにややウンザリさせられていたという話もある(エドワード・ルケィア『ハリウッド・スキャンダル』より))。


「サンセット大通り」●原題:SUNSET BOULEVARD●制作年:1950年●制作国:アメリカ●監督:ビリー・ワイルダー●製作:チャールズ・ブラケ
ット●音楽:フランツ・ワックスマン●時間:110分●出演:グロリア・スワンソン/ウィリアム・ホ

た場所:銀座文化劇場 (88-12-12) (評価:★★★★)


![『パートナーズ』[08年].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%80%8E%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%8F%EF%BC%BB08%E5%B9%B4%EF%BC%BD.jpg)

二人の文章の上手さは、あとがきの村上春樹氏も絶賛していますが、この本のタイトルは、安西氏が村上氏にタイトルをどうしょうか相談した時に二人が中華料理店で食べていたのが「青豆とうふ」だったというところから村上氏が「青豆とうふ」と名付けたということで、こうした"軽さ"と言うか"ユルさ"もいいなあと思いました。
![西遊記 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E8%A5%BF%E9%81%8A%E8%A8%98%20%5BDVD%5D.jpg)


「フィルムは生きている」は、学研の「中学1年生コース」(1958(昭和33)年4月号~1959(昭和34)年3月号)、「中学2年生コース」(1959年4月号~1959年8月号)に連載されもので、これまでも単行本化されたり文庫に収められたりしていますが、本書では、連載第1回のカラーページ部分を再現し、各回の扉絵も収録され、その他に、作者自身が日本マンガ映画史を辿った「マンガ映画 メイドイン・ジャパン」なども巻末にあります。装丁・装画は和田誠氏で、和田氏も巻末に「手塚さんとの出会い」という小文を寄せています。
物語は、武蔵と小次郎の巌流島の決闘に懸けた「アニメ対決」へと向かっていきますが、一方で、後半に武蔵は視力低下に苦しむことになり、この辺りはベートーヴェンの後半の生涯に重ねた味付けになっています。
一方、「マンガ映画 メイドイン・ジャパン」の最後に、東映が「少年猿飛佐助(壇一雄作)」に続いて「西遊記(手塚治虫作)」を製作中であるとありますが、「手塚治虫作」と言いつつ、出来上がった「西遊記」('60年/東映)は、あくまでもそれまでの「
)にかけての流れの中にあるもので(監督・演出は何れも藪下泰司)、あまり手塚カラーというのが感じらないと言うか、逆にその分、時々「ここは手塚治虫だなあ」と思わせる部分があって、手塚的キャラクター及びその動きの描き方と、当時の東映アニメ調のキャラクター及びその動きの描き方とが全く異質であったことが窺えるものとなっています(但し、実際には手塚治虫は構成のみに関与し、作画には携わっていない)。
「西遊記」●制作年:1960年●監督:藪下泰司(演出)/手塚治虫(構成)●製作:大川博●脚本:植草圭之助/手塚治虫●撮影:大塚晴郷●音楽:服部良一●原作:手塚 治虫●時間:88分●声の出演:小宮山清/新道乃里子/木下秀雄/篠田節夫/関根信昭/武田国久/尾崎勝子/白坂道子/巌金四郎/加藤玉枝/川久保潔/風祭修一●公開:1960/08●配給:東映(評価:★★★) 


恩師スコット博士に婚約の報告に出かけた恋人同士のブラッド(バリー・ボストウィック)とジャネット(スーザン・サランドン)は、嵐の中で道に迷った末に山中で車がパンクしてしまい、電話を借りようと近くの古城を訪ねるが、そこでは奇怪なパーティーが開かれていた。城主フランクン・フルター(ティム・カリー)は変わった人物で、彼自身が作った人造人間、ブロンドで筋肉質の美男子「ロッキー」を披露する。そしてフルターとロッキーは、結婚するような演出でベッドのある部屋へと向かうが、ジャネットがロッキーの虜になってしまう。さらに、バイセクシュアルのフルターは、ジャネットとブラッドの両方と関係を持ってしまう―。
ジム・シャーマン監督の「ロッキー・ホラー・ショー」('75年/英)は、最初に名画座で観た時はロック・オペラってこんなのもあるのかという感じで(元々はロンドンで初演された劇場ミュージカル)、併映のロマン・ポランスキーの
ベルリンにあるハンバ
ーガー・ショップ「バーガー・クイーン」は、NYのハーレム出身ダンサーでトランスベイター(性転換者)のアンジー・スターダストが経営する店であり、類が友を呼んで世間のはみ出し者の米国人たちの溜まり場になっている。"バーガー・クイーン・ブルース"を歌うライラは、売春街から東ドイツへ渡って成功したパンク・スター、エロチックな空中ブランコ・ショウを見せるためにやって来たジュディスとパートナーのトロンは、アンジーの"スターダスト・ペンション"に棲むことになるが、隣部屋の売れない黒人ダンサーのゲイリーが魔術や妖術に凝っていて、自室に火をつけてしまう。ストリッパーのタラもトランスベイター(日本流に言えばニューハーフ)で、夜毎、違う男をベッドに連れ込んで同居人のロレッタを困らせる。「バーガー・クイーン」の店員ヨアキンも、ショービジネスのスターをめざす両性具有者(アンドロギュヌス)である―。
「ベルリンブルース」('83年/西独)は、公開された時に「ロッキー・ホラー・ショー」の再来と言われた、西ドイツの異色監督ローザ・フォン・ブラウンハイムの1986年作品で、ドイツらしいアナーキーな雰囲気に満ちたカルト・ムービーですが、不快感とかは無く最後まで楽しめました(むしろ最後の大合唱は、マイノリティの人たちが誇り高く生き続けることを宣言しているようで感動させられた)。ブラウンハイム監督自身もホモセクシュアルであることを公言し、同性愛者や性的倒錯をテーマに撮りまくっていて、出演者たちも実在のベルリン在住アメリカ人グループで、実名で出ていて現実の仕事と同じ役どころを演じています(つまり皆、本人役で出ているということ)。
後にパーシー・アドロン監督の

「ロッキー・ホラー・ショー」●原題:THE ROCKY HORROR SHOW●制作年:1975年●制作国:イギリス●監督:ジム・シャーマン●製作:作 マイケル・ホワイト●脚本:ジム・シャーマン/リチャード・オブライエン●撮影:ピーター・サシツキー●音楽:リチャード・ハートレイ●時間:99分●出演:ティム・カリー/バリー・ボストウィック/スーザン・サランドン/リチャード・オブライエン/パトリシア・クイン/ジョナサン・アダムス/ミート・ローフ/チャールズ・グレイ●日本公開:1978/02●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:五反田TOEIシネマ(83-02-06)●2回目:シネマライズ渋谷(地下1階)(88-07-17)(評価:★★★?)●併映(1回目):「ファントム・オブ・パラダイス」(ブライアン・デ・パルマ) 



F))(303席)」になる。2004年、3スクリーン目、デジタル上映劇場「ライズX(38席)」を地下のバースペースに増設。地下1階スクリーン「(元)シネマライズ渋谷」2010年6月20日閉館、跡地はライブハウス「WWW」に(地下2階「ライズⅩ」2010年6月18日閉館、地上2階「シネマライズ」2016年1月7日閉館)。
作年:1983年●制作国:西ドイツ●監督・脚本・製作:ローザ・フォン・ブラウンハイム●撮影:シュテファン・ケスター●音楽:ホルガー・ミュンツァー/アレクサンダー・クロート●美術:インゲ・スティボルスキー●時間:91分●出演:レアンジー・スターダスト/ジェイン・カウンティ/ジュディス・フレックス/ロン・フォン・ハリウッド●日本公開:1986/10●配給:ユーロスぺース●最初に観た場所:渋谷・ユーロスペース(86-12-06)(評価:★★★★) 「






貴族のプライド家の領地を案内するツアー中、ガイド役を務めるオードリーが矢で射殺される事件が発生する。オードリーは教会でプライド家について調査をしていて、彼女のおせっかいを疎む人物は多かった。魔女に呪われているという言い伝えのあるプライド家がひた隠す秘密にブラウン神父(マーク・ウィリアムズ)が挑む―(第13話"The Shadow of Scaffold" ソフト化時邦題「プライド家のプライド」)。
BBC「ブラウン神父」シーズン2(全10話)の本国放映は2014年1月で、日本では第11話・第12話が'14年5月、第13話以降は8月に放映されました(その際に、シーズン1(全10話)とシーズン2第11話・第12話も再放送された)。
この第13話は、連続殺人の最初の殺人の動機がさっぱり分からず、従って犯人も見当がつきませんでしたが、動機はあって無いようなものだったなあ。魔女の呪いは、プライド家の長子に連綿と効いていたわけかあ。精神障害に対する偏見があるように感じられるのがやや引っ掛かりました。
夫アイバン殺しの容疑で逮捕されたバイオレットの元を、ブラウン神父は告解を聞くために訪れる。しかし、バイオレットは潔白を訴え、妊娠していると告げる。事件の真相解明に乗り出した神父は、精肉店を営む一家が事件に関わっていると確信する。特にアイバンの母親はバイオレットを憎んでいた。フェリシアは、週に1度、彼女を癒す目的で朗読に訪れていた―(第14話"The Shadow of Scaffold" ソフト化時邦題「絞首台の影」)。
第14話は面白かった、と言うか、ヒロインをヒロインとしてパターンで観てしまたったため、最後に真犯人が捕まった後に、その"ヒロイン"であるところのバイオレットについて明かされた事実というのが意外でした。サリバン警部補は事件の全容解明よりもとにかく早いところ犯人を縛り首にしたいという感じだなあ。
一方のブラウン神父はバイオレットの秘密を鋭く見抜いたわけですが、結局、サリバン警部補には話さず自分で裁いてしまっていたなあ。尼さんにしちゃったわけ。"大岡裁き"と見做すには結構ビミョーな裁定でした。でも、まあそれなりに楽しめましたけれど(評価★★★☆)。
